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ちなつ「あかりちゃん……歯磨き……しよ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328958446/
ちなつ「だから、歯磨き、しよ?」
あかり「は、歯磨き? あ、あかりお口臭かったりするかな!?」アセアセ
ちなつ「ううん? 臭くないよ? むしろ良い香り」クンクン
あかり「っ!//// わざわざ嗅がないでよぉ!」ドギマギ
あかり「そうそう! あかり、りんご味の歯磨き粉使ってるんだぁ……」
あかり「って、ちなつちゃん嗅ぐのもういい加減にしてよぉ」
ちなつ「リンゴ味……可愛いねあかりちゃん」プクク
ちなつ「ほら、もっと、はぁ~ってして?」
あかり「……うう」グスッ
ちなつ「うん」
あかり「じゃあなんで歯磨きしようって言ったのかな?」
ちなつ「……いつもお世話になってるもん」
ちなつ「結衣先輩の事だけじゃなくて、私のわがままも聞いてくれるし」
ちなつ「私すごく助かってるんだよ?」
ちなつ「だから、お礼にあかりちゃんの歯磨きをしたいな……って思ったの」
あかり(関連性が全く見当たらないよぉ)
あかり「あかりは当然のことだと思うけどなぁ……」
あかり「だからそんなお礼だなんて……えへへ、あかり照れちゃうなぁ///」ポッ
あかり「でもなんで歯磨きなの……?」
ちなつ「膝枕とかマッサージはこの前やったし、耳かきもあかりちゃん拒否してたから……」モジモジ
あかり(屈強な男の道路工事……あかりは無理だよぉ)
ちなつ「それに人間にとって口は無くては生きていけない器官」
ちなつ「そこを相手に預けることでもっと親密になれるかなって思って……」キリッ
あかり「なるほど……んん!? いきなり知的になったよちなつちゃん! ってか預けるのはあかりだよぉ!!!」
あかり「い、いやぁ……その……」
あかり(マッサージでも殺されるかと思ったし……これで歯磨きだったら……)
ちなつ『はい、あかりちゃん、あーん』
あかり『ちょ、ちなつちゃん、それ歯磨き粉じゃなくて洗顔フォームだよぉ!』
ちなつ『えい』ズボォ
あかり『ふもおおおおおおおおおおおおおお!!!!』ブベラ
あかり(とかになりそうで怖いよぉ!!!!!!)ガクガク
あかり「だ、駄目なんかじゃないよ! で、でもちょっと不安が……」
ちなつ「それならだいじょぶだよ! お姉ちゃんが……」
ともこ『ちなつの歯磨きはまるでマイティ・モーのやすりがけみたいね』
ちなつ「って褒めてくれたから!」ドヤァ
あかり(それ絶対褒めてないよぉ!)サモアンフック!
ちなつ「だから……良いよね?////」
あかり「うぅ……」グスッ
ちなつ「よし! じゃあ明日私の家に泊まりに来てね!」
あかり「……って事になっちゃったんだけど……」
結衣「……」
京子「……」
結京「ご愁傷様です」ペコリ
あかり「えぇえええ!? ひどいよぉ!」プンプン
京子「いやいや、もうね、頑張れあかり!」グッ
結衣「お前なら耐えられるぞ」グッ
あかり「いや、励ましじゃなくて対処法を下さい」
あかり「うう……なんとかならないかなぁ?」ガクブル
京子「でもさ、ちなつちゃんが悩んでるときとか支えてあげてるのってあかりだよね」ポン
結衣「ちなつちゃんなりの恩返しなんだよ、きっと」
あかり「ちなつちゃんもそれは言ってたけど……あかりは別にそんな恩返しなんて」
京子「はは……あかりはやっぱり良い子だ」ナデナデ
結衣「だな。……とにかく、あかりはちなつちゃんの特別なんだよ」
京子「多分ちなつちゃんが素を見せてるのってあかりの前だけじゃないかな?」
結衣「あ、確かにあかりと話してる時ちなつちゃん、すごいキラキラしてるよ」
京子(結衣がそれを言うか……?)
あかり「///// そうなのかな?」
結衣「特別だから、何らかの形で感謝したいんだと思うよ、ちなつちゃんは」
あかり「……そうだとしたら……なんだろう、凄くうれしいな……////」
京子「ついにМに目覚めたかあかり」ニヤニヤ
あかり「そんなんじゃないよぉ! そんなんじゃないけど……」
結衣(Mが何か知ってるんだあかり……)
ちなつ「おはようございます! 遅れてすみま……せん?」
結衣京あか「っ……」シーン
ちなつ「ど、どうしたんですか!? 完全にお通夜ムードじゃないですか?」キョトン
結衣「い、いやぁ! 何でもないよ」アセアセ
結衣(言えない、言ったらあかりがヤバい! 怖がっていたなんて言ったら……!)
京子「いやぁ、あかりがちなつちゃんの歯磨きが怖いって」ペチャクチャ
結衣(言ったぁぁぁぁ!!! 言ったよこいつ!)
ちなつ「……え?」ゴゴゴゴゴ
結衣(言わんこっちゃないよ!! 黒い!! 波動が黒いよちなつちゃん!)
あかり「あわ、ちが、違うんだよちなつちゃん!」ビクビク
結衣(……あれ?)
あかり「え? 大丈夫って……?」
ちなつ「昨日、帰ってからあかりちゃんの為に練習したの。お姉ちゃんも気に入ってくれたし……」
ちなつ「きっとあかりちゃんも気に入ってくれると思うよ!」ルンルン
あかり「そ、そっかー! た、楽しみだなぁ!」ティヒヒ
あかり(ホントは怖いけど…… あかりがちなつちゃんの特別なら…… あかり、我慢できるよ////)
―――――
結衣「……ふぅ……」アセアセ
京子「ん? どしたの結衣」
結衣「お前のせいだろっっ!!!!」サモアンフック
京子「へぶっ!」
ちなつ「え~っと……確か……」
ともこ『ちなつ……あなた天才だわ……そうね、この歯磨きを形容するとしたら……
初恋、かしら? 目が合うだけで、一緒に居るだけで気持ちがあふれてしまう……
そんな切なさがあるのよちなつの歯磨きには……
ああ私もあかねさんに歯を磨いてもらいたい……私の初恋……』ブワァ
ちなつ「だったと思います」
あかり「んん!? あ、あかねって……」
京子「……よくわからないけど凄いなそれ」
結衣(明らかに最後の一行は要らないけどな)
京子「よかったじゃんあかり!」グッ
あかり「……うん////」ポッ
ちなつ「チーナだって、やればできるんです!」フンス
結衣「凄いね、ちなつちゃん」ナデナデ
ちなつ「はぅう!! 結衣先輩……////」メロメロ
あかり「……?」ズキ
キーンコーンカーンコーン
京子「あ、下校のチャイム……帰らなきゃね」
結衣「そうだな……じゃ、帰るとするか」ヨイショ
ちなつ「……? あかりちゃん、帰るよ?」
あかり「え、あ、うん」アセアセ
あかり(なんだろ……?)
あかり(ちなつちゃん見てると……////)
あかり(だ、だめだよぉ! 特別は特別でも、友達の特別なんだから……)
あかり(あかり、いけない子になっちゃったのかな……?)
それでええんや
鼻血出てますよ
結衣「また来週!」バイバイ
ちなつ「さようなら~」フリフリ
あかり「ばいば~い……はぁ……」
ちなつ「……元気ないね、あかりちゃん」
あかり「! そ、そんなことないよぉ」
ちなつ「……そっか」ツーン
あかり「うん、言ってあるよ」
ちなつ「じゃあそのまま私の家おいでよ! ご飯もちゃんと用意出来るし、お、お風呂も……」
あかり「え……そんな、悪いよぉ!」アセアセ
ちなつ「……一緒に食べたいんだけどな~」コアクマー
あかり「……じゃ、じゃあお言葉に甘えちゃおっかなぁ」ニヘヘ
ちなつ「それでよし! そうと決まればダッシュだよ! あかりちゃん!」ダッ
あかり「え!? ちょ、待ってよぉ!」
ちなつ母 ともこ「「召し上がれ♪」」
あかり「いただきま~す!」
ちなつ「いただきます!」
あかり「あ! 生春巻きだぁ~! いただいても良いですか……?」オズオズ
ともこ「あはは……だいじょぶよ、そんなに緊張しなくて」ナデナデ
あかり「あ、あう……いただきます……////」
あかり「あ、ふ……と、ともこさん////」
ちなつ「お姉ちゃん!? あかりちゃん食べるのに困ってるよ!」アセアセ
ともこ「あらちなつ、やきもち?」
ちなつ「……そんなんじゃない」プクー
―――――
あかり「はむっ……!! ……な、生春巻き……」ガクガク
ちなつ「ど、どうしたの?」
あかり「口に入れて初めて分かる、程よく味のバランスが取れているよぉ……」
あかり「キャベツ、ニンジン……
野菜の味がたっぷりとあふれる中、
それを邪魔しない程度に生ハムのうまみが……! これは至極の逸品だよぉ!」ゴゴゴ
あかり「こっちは……はむっ……スモークサーモン!?
燻製の香りがまた生ハムとは違うハーモニーを野菜と奏でているよぉ!」はむっほむっ
あかり「こんなの食べ続けたら……ほっぺたがとろんってなっちゃう!!」クワッ(迫真)
ちなつ「だって! よかったね、お母さん!」
ちなつ(あかりちゃんのほっぺ……とろん……柔らかそう……)
あかり「はふぅ……ごはん美味しかった……」ポンポン
ちなつ「えへへ、お母さんとお姉ちゃん料理上手だったでしょ?」
あかり「うん! でも迷惑じゃなかったかな……?」
ちなつ「考え過ぎだよ~、私の家族料理好きだから逆に嬉しいと思うよ?」
あかり「すごいなぁ~……素敵な家族だねぇ」
ちなつ「えへへ……ありがと、あかりちゃん」
あかり「うん! 食べる方がどっちかっていうと好きだけど」えへへ
ちなつ「私も……料理ガンバろっかな」ボソ
あかり「え? 今なにか言った?」
ちなつ「あかりちゃんはおバカだなって」コツン
あかり「あうっ! 酷いよぉ!」ブワッ
あかり「う~ん……ゆるゆりどんじゃらなんかどうかな?」
ちなつ「あ、いいね、持ってくるから待ってて!」トテトテ
あかり「分かったよぉ!」
―――――
ちなつ「お待たせあかりちゃん!」ドスン
あかり「やった~! ゆるゆりどんじゃら久しぶりだなぁ……」
ちなつ「さっそくやろうよ! 負けないからね……」ボッ
あかり「うん! あかりだって負けないよぉ!」ボッ
ちなつ「……ロン 四暗刻、キョウアヤ、ユイキョウ」
___________________________ __
│京│京│京│結│結│結│綾│綾│綾│ │ │ │り│ |り|
│子│子│子│衣│衣│衣│乃│乃│乃│ │ │ │せ│ |せ| ドン!
あかり「あわっ・・・・! あわっ・・・・! あわっ・・・・!」バカナッ……!
ちなつ「ふふふ……私の勝ちだよあかりちゃん!」
あかり「やられたよぉ……やっぱり強いね、ちなつちゃん! すごいなぁ……」
ちなつ「……あかりちゃん、悔しくないの?」
あかり「え? いや、ちょっとは悔しいけど……」
あかり「ち、ちなつちゃんが楽しそうだったし良いかなって……////」
ちなつ「……ふーん」
ちなつ「変なの」ツーン
あかり「変じゃないよぉ! 一緒に居て……楽しいもん」
ちなつ「……」
あかり「……? どうしたの?」トテトテ
ちなつ「負けたから罰ゲームね……」ゴゴゴ
あかり「ええぇ? 聞いてないよぉ!」
ちなつ「言ってないもん……えい」ホッペプニ
あかり「あう……? これが罰ゲーム?」
ちなつ「そうだよ? あかりちゃんいい子だから、これで許してあげるの」
ちなつ「ふわふわだね、あかりちゃんのほっぺ」ムニ
あかり(これじゃ……ご褒美だよぉ!)
―――――5分後
ちなつ「えいえい」ぷにぷに
あかり「っひゃ……んっ……も、もういいんじゃなっいか……な?」
ちなつ「ん~? やめていいの?」ニタァ
あかり「あぅっ……や、やめてっ、よぉ////」
ちなつ「あかりちゃん、でもさ」
あかり「ふぇ……?」
――『目がとろとろしちゃってるよ?』
あかりにとっていままでに経験のしたことのないそれは、
立ち膝をしていたあかりの腰をいとも容易く墜落させた。
あかり「―――――ひゃぁっ!!!?!!? ……あ、れ?」ガクン
ちなつ「ちょ、あかりちゃん!? 大丈夫?」
あかり「あ、れ……? あかり、い、今? 何?」
ちなつ「ご、ごめん、大丈夫? 立ち膝辛かったかな?」
あかり「ち、違うよぉ……あ、あかり今の何だか……っ!……?」
ちなつ「……? 大丈夫ならいいんだけど……」
ちなつ「あ、お風呂空いたって! あかりちゃん、立てる?」
あかり「う、うん……ちょっと待って……」
ちなつ「うん、待つよ」
あかり「……え?」
ちなつ「……ん?」
あかり「……いや、ちなつちゃん先に入っていいよぉ?」
ちなつ「え? 一緒に入らないの?」ポン
あかり「……へ?」
かぽーん
あかり「……////」
ちなつ「びばのんのん~(裏声)」
あかり「うう……////」
ちなつ「何恥ずかしがってんのあかりちゃん? ……と、友達だから……大丈夫だよ?」ツーン
あかり「……そうだよね。友達……だし……良いよね」ズキズキ
あかり(ちなつちゃんお肌綺麗だな……)
ちなつ「……! あかりちゃん私より胸が少しおっきいんだ~」
あかり「えっ//// た、確かに最近凄いピリピリして痛かったけど……」
ちなつ「向日葵ちゃんみたいになるかな?」
あかり「い、いや、それは無いと思うよぉ」
あかり「う~ん……それ嘘だと思うなぁ」
ちなつ「どうして分かるの?」
あかり「お姉ちゃんがね?毎日……」
あかね『あかり、お姉ちゃんね、胸をもっと大きくしたいんだけど……
揉んだら大きくなるみたいなの、手伝って貰っても良いかしら?』ニコニコ
あかり「って言って毎日もふもふしてるけどあれ以上全然大きくならないんだぁ」
ちなつ「……聞かなかったことにするね」
あかり「ちなつちゃんはちっちゃい方が可愛いと思うよぉ」
ちなつ「嫌味かっ!」ムニ
あかり「痛っ! ちょ、今おっぱい痛いからっ!」
ちなつ「あ! ご、ごめんあかりちゃん」
あかり「いや、嫌味に聞こえる言い方したあかりも悪いよぉ」アセアセ
ちなつ「良い子だね、あかりちゃん」ムニ
あかり「ひぎぃ!!!」
あかり「そうだね、あかりのぼせそうだよぉ」とろとろ
ちなつ「あかりちゃんがゲル状になってる……」
あかり「え! 大変! 早く出ないと!」
ちなつ「いや、嘘だよ。何焦ってるんすか……はやく出よ、あかりちゃん♪」
あかり(いや、ゲル状が嘘なことくらいあかりでも分かるよぉ)
あかり「良いお風呂だったよぉ」
ちなつ「そう? 気に入ってくれて嬉しいな」キャピ
ちなつ「……じゃあ、そろそろ……」キラリ
おもむろに懐から歯磨きセットと水の入ったコップを取り出すちなつに
形容しえない恐怖をあかりは感じた。
しかしそんなあかりの思いも知らず、残酷なピンクの悪魔は一歩、また一歩とあかりに歩み寄る。
ジリ……! ジリ……!
ちなつ「安心して、あかりちゃん。 ちゃんとリンゴ味買ってきたよ……」
あかり「あ、あう……ち、ちなつちゃん……」プルプル
ちなつ「……やっぱり、嫌なのかな?」
あかり「嫌なんじゃなくて……ちょ、ちょっと怖いよぉ」ガクガク
ちなつ「……無理しなくていいのに」シュン
あかり「……へ?」
あかり「え……? 元気なかった……かな?」
ちなつ「うん、部室出るときとか、帰る時」
あかり(あ、ちなつちゃんが結衣ちゃんとくっついてる時……)
ちなつ「ほんとは、歯磨き、嫌だったんだよね?」
あかり「ち、ちがうよぉ……歯磨きは確かに怖かったけど……」
あかり「元気がないのは別の理由で……」
あかり「……ちなつちゃんには……言えない」
ちなつ「……優しすぎるよね。ホントに無理しなくてもいいのに……やっぱやめよ? 歯磨き」
あかり「……あかりはしたいよ? 歯磨き」
ちなつ「嘘だよ。怖いのにしたいの?」
あかり「ちなつちゃんと仲良くなりたいもん」
あかり「……ちなつちゃんに、お口預けたいもん////」
ちなつ「……っ!!!!!!」きゅぅぅぅぅん
あかり「うん、あかりのお口、好きにされたいな……」お口くぱぁ
ちなつ「じゃ、じゃあ……していいの?」
あかり「……うん////」
ちなつ「嫌だったら……言ってね?」
あかり「大丈夫だよぉ!」
ちなつ「じゃあ、じゃあ……まず、ぺたんって座って?」
あかり「んと……女の子座りで良いのかな? こう?」ペタンコ
ちなつ「うん、オッケーだよあかりちゃん」
ちなつ「そしたら、手を前について?」
あかり「……//// なんかえっちだよ? これ……」
あかり「う、うん……」ゴクリ
ちなつ「いいんだよね?」
あかり「うん……いいよ」
ちなつは濡れた歯ブラシにピンク色の歯磨き粉をつける。
いつもあかりが愛用しているリンゴの歯磨き粉だ。
ちなつ「あ~ん……」
あかりは誘われるように口をあける。
するとちなつはそのあけた口を固定するよう両頬に片手を添えた。
徐々に近づく歯ブラシとリンゴの香り。
近づくたびにあかりの心臓が震える。
そして、ついに、歯ブラシが、あかりの口にふれた。
あかり「……んぅ……!?」ビクッ
しゃこしゃことゆっくり動き出す歯ブラシ。
ちょうどいい力加減があかりの歯を刺激する。
ちなつ「上手くできてるかな?」
あかり「うん……っ……」
上手い下手よりも、信頼を置ける存在に歯磨きをされている。
そんな未知の感覚に、あかりの床についている手が震えた。
あかり「ひゅむ……ん……っ////」
ちなつ「……気持ちいい?」
奥歯、犬歯、門歯。口内を蹂躙される。
確かにちなつの歯磨きの腕はなかなかのもので、あかりはかなりの心地よさを感じていた。
ちなつ「……あ、目がとろんってしてきたね……」
目が合うとちなつはあかりに妖艶な笑みを向けた。
その目を見るたびにあかりの意識は
「ちなつちゃんの歯磨き」では無く「歯磨きをしてくれるちなつちゃん」に向けられていく。
ちなつちゃんが歯を磨いてくれている。 ちなつちゃんだから心地いい。
あかりは徐々にそう思うようになってきた。
そういうとちなつはあかりの下奥歯に歯ブラシを添えた。
歯ブラシはしばらくそこにとどまっているかと思えば、唐突にほんの少しだけ動く。
そのゆっくりとした動きは歯茎に刺激を与え、あかりの体の震えを更に助長した。
あかり「はふ……ひゃ…………っ////」ピク
ちなつ「あはっ♪ ぴくってしたね? 気持ちいいんだ……もっとしてあげるね?」
あかり「はぁ――はぁ……っ! くふぅ……」ガクガク
ちなつ「これでやっと半分だね……もっとじわじわしゃこしゃこしてあげられるよ? 嬉しい?」
10分前に奥歯をスタートした歯ブラシはようやく前歯に到達した。
あまりにも長く刺激を与えられた口内。唾液の分泌量も増し、あかりの口内の唾液はもう既に溢れかえる寸前だった。
あかり「やは―――っ……ちなひゅひゃ、よだれでひゃ……っ」
ちなつ「うん、出ちゃいそうだね? 口の中全部見えるから……分かるよ?」
あかり「だから、手はなひっ……て!」アセアセ
あかりの必死の抵抗も虚しく、ちなつは手を離す所か満足げに微笑んでいる。
ちなつ「出していいよ? 受け止めてあげる」
あかり「へ!? だめ! だめらよ! よごれちゃ……っ! ふぁ……」トロ……
そしてその唾液は口の端をつたい、ちなつの手にたどり着く。
友だちを唾液で穢してしまった背徳感があかりを覆っていく。
ちなつ「えへ……いっぱい出ちゃったね。温かいよ、あかりちゃんの唾液」シャコシャコ
あかり「うひゅ……やめふぇ……きひゃないよぉ……」
ちなつ「そうかな? さらさらしてて、綺麗だと思うけどなぁ……」
ちなつ「大丈夫だよ? あかりちゃんの唾液だもん。綺麗に決まってんじゃん」
あかり「ほんなことないよぉ! よだりぇはよだれだもん!」アセアセ
ちなつ「……! なるほど、ちょっとМっ気のあるあかりちゃんはこっちの方が良いか」
あかり「なるほろって……?」
ちなつ「コホン……私の手、あかりちゃんに汚されちゃった……ね?」
あかり「―――!?」ビクッ
ちなつ「ほら、こんなに汚れちゃってる……」
あかり「や、やめへよ! 見はくないよぉ!」
ちなつ「このままじゃ私の手、あかりちゃんの唾液でふやけちゃうよ?」
ちなつ「あかりちゃんがしみ込んで行っちゃうよ……?」
ちなつ「こんなにいっぱい出したんだから……責任、とってくれるよね?」ボソ
あかり「―――ひゃふ……っ!」ピク
耳元でささやかれる言葉にまたしても震えてしまうあかり。
さきほどのほっぺの件であかりは耳が弱いことをちなつは完全にアナライズしていたのだ。
あかり「―――っ! ……やめへよぉ……」トロ……
ちなつ「あ、よだれ垂れちゃう……受け止めてあげるね、あかりちゃん」
そういうとちなつはまたあかりの両頬に手を添える。
もちろん、垂れたあかりの唾液はちなつの手に吸収されることになった。
ちなつ「んっ……暖かいよ…… ? あれ? ちょっとどろどろしてきてるよ?」
あかり「ひゃめ――いわないれよぉ////」
そうはいいながらも未知の感覚に顔がとろけそうになっているあかりを
ちなつが見逃すはずがなかった。
ちなつ「……あ……そうだ。 舌も磨いてあげようか?」
ちなつ「うん、舌。あかりちゃんの舌を、優しくごしごししてあげる」
あかり「え……ちょ、それってやる意味……」
ちなつ「もっとあかりちゃんと仲良くなりたいなぁ……」ジー
あかり「!……//// じゃ、じゃあ……おへはいひまふ」
ちなつ「うん、分かった。 じゃあ……舌、出して?」
あかり「はひ……」れろ
あかり「……?」
ちなつ「あかりちゃん卑怯」クニュ
あかり「んぐ――――!?」
あかりの頬に添えていた唾液まみれの手が離される。
と同時にちなつは突き出したあかりの舌を小さな親指と人差し指で摘まんだ。
ちなつ「あかりちゃんの舌、グミみたいでふにふに」クニュ
あかり「ひは―――――んっ!!」
ちなつ「色も凄い綺麗だし、ぜんぜん汚れてない……」くにゅくにゅ
ちなつ「喋れてないよ? あかりちゃん本当に犬みたいだね」キュッ
あかり「――――っ!!!」ビクッ
ちなつが強く舌を摘まむとあかりの腰が少し跳ねる。
あかりは未知の刺激でもうパンク寸前だった。
ちなつ「じゃあこのまま舌磨いちゃおっか?」
あかり「はへ―――はっ――――」
ちなつ「ゆっくりしてあげるから……」サワ
あかり「ひぐっ――――――んぅ―――!!」ビク
指による舌への刺激もまだ続いていた。
ちなつ「ほら、マッサージされながら舌磨き……気持ちいいかな」クニュ,シャコ
あかり「んぅ―――――! ふ――ふふぅ!」ガク
ちなつ「気持ちいいんだ……ふ~ん……」ニキュ,サワサワ
あかり「んくっ――れ――!」
ちなつ「もっとして欲しいのかな? もし違うなら、違うって言って?」
あかり「ひはふ―――んっ! ひはふ!」
ちなつ「えへへ、可愛いあかりちゃん」キュ
あかり「んは! ひはぅ! んっぁんん―――――!!」
ちなつ「凄い可愛いよ? あかりちゃん……またキス……して良いかな?////」
あかり「―――――っ?!??!!? ひはっ///// まっへ!」
ちなつ「舌にちゅーってしてあげるね? ん……」
ちなつの唇がほんの少しあかりの舌に触れる。
興奮した二人の息遣いが混じりあう。
ちなつは顔を離してにやりと笑うと、あかりの唾液が付着した自分の唇ぺろりと舐めた。
ちなつはあかりの頬や鼻先、そしてまぶたに舌を這わせる。
あかりの顔がちなつの唾液でいやらしい光沢を帯びる。
ちなつ「あかりちゃんだって、私の手汚したよね? これでおあいこだよ?」クニクニ
あかり「んんぅ//// ひはう―――ひょっ―――!」ピクッ
ちなつ「ほら、否定しない…… 嫌じゃないんだ……////」
舌を握られているのだ。喋れるはずがない。 違っても否定できない。
容赦ない責めはまだ続くのだ、と思うとあかりは絶望するしかなかった。
しかし、それと同時にどこかでそれを望んでいる自分も居る。
そう考えると身体の底から何かが溢れかえって来そうになり、自然とあかりは顔が緩んだ。
ちなつ「えへ、すっごいえっちな顔してるよ?」ボソ
あかり「はぁっ……! へぅぅう! ……っ!」ビクッ
ちなつ「目もとろんってしてるね……これじゃ私たちまるで……」ボソボソ
ちなつ「えっちなことしてるみたいだよね? ……んっ」
あかり「――――――ふぇ?」カク
――耳を甘噛みされる。
今まで震え続けていたあかりの身体が一瞬時が止まったかのようにピタリと動きを止めた。
あかりの顔がみるみると紅潮していく。身体が再び小刻みに震えだす。
あかり「――――っ!!!?!? っんぐ―――?!」ビクン
耳にちなつの吐息がかかる。舌にちなつの爪が軽く立てられる。
絶え間なく続く刺激にあかりの震えが徐々に大きくなり、リズムよくあかりの身体を跳ねさせる。
呼吸がきゅっ、と詰まった。 下腹部に痛烈な違和感を感じる。
――何かが来る? そう思った次の瞬間だった。
あかり「!?!――――――んんっ!!! ぁぅっ―――――――っひゃぁ!!?!」
あかりはくぐもった声をあげ、背中を大きく仰け反らせた。
あかりは力なく崩れ落ち、ちなつに体を預ける。
ちなつ「……あかりちゃん可愛い。 凄いね、唾液もいっぱいこぼれてる……ホントに犬みたいだよ?」ナデナデ
あかり「はっ……はっぁ……いまの……まひゃ……いみわからにゃっ! っ―――!?!!!」ビクッ
ちなつ「えへへ……なでなでしてもびくってなるんだ……」
ちなつ「大丈夫あかりちゃん?」
あかり「う、うん……だいりょぶ……」
ちなつ「一応、舌も磨いたしこれで終わりで良いかな?」
あかり「ふん、ていうか、あかりが限界だよぉ」クタクタ
ちなつ「じゃあ洗面台いこっか?」
あかり「い、うん、行こ……」クタクタ
…うっ!…ふぅ…
…うっ!ふぅぅぅぅうっ!…
…
ノンストップとはなかなかやりおる
あかり「ぐちゅぐちゅ……ぷぇ!」
あかり「ふぅ……すっきりだよぉ」プハァ
あかり(でも強烈に舌と下腹部に違和感を覚えてるよぉ)ジンジン
ちなつ「……ねえ、あかりちゃん?」
あかり「ん? どうしたの?」
ちなつ「ちょっと見ててほしいんだけど……」スッ
ちなつ「今から私も歯磨きしようと思ってるんだ~」ルンルン
あかり「……え、ちょ」
ちなつ「今から私から目をそらしちゃだめだよ?」ジー
あかり「や、やめてよぉ! 汚いよだってそれあかりが!」
ちなつ「仲良くなりたいんだよね? 私も仲良くなりたいな……」
あかり「う、うぅ……」
あかり「やだっ! 汚いよちなつちゃ……」ビクッ
ちなつ「私も歯、磨くからね?」
あかり「う……! っ……」グスッ
ちなつ「あかりちゃんの唾液いっぱい付いた歯ブラシ、私の口に入っちゃうからね?」
あかり「あかりの――唾液っ……ちなつちゃんのと混ざっちゃ……っ」ビクン
ちなつ「あ~ん……」
あかり「っく―――――! だめ、だめだよぉ! 磨いちゃ……」
ちなつ「……ふごい……あかりひゃんの唾液……とろとろひてひゅよ?……」シャコシャコ
あかり「言っちゃだ、めだよぉ! あかり、おかしくな……っ!」ガクッ
ちなつ「ずっと目みてへって言っひゃよね……ぷは……見ててね? あかりちゃん?」ジー
あかり「ふぁ……見ないでよぉ……立てなくなっちゃ……っ」ガクンペタ
ちなつ「とか言いつふ見へるよね……? もしかしてあかりちゃん変態?」
あかり「違うよぉ! 恥ずかしいだけだよぉ……」
ちなつ「矛盾しへるよ? かはいいね、あかりちゃん」シャコシャコ
ちなつ「仕方ないな~あかりちゃんは……」ズロッ
あかり「あっ……」
ちなつ「……? 残念そうな顔してるけど……?」
あかり「……そっ! そんなこと……ないよぉ////」
ちなつ「正直に言ってくれたら、ご褒美あげちゃうんだけどな……?」
あかり「……////」
あかり「そ、そんなこと//// 言えないよぉ!」
ちなつ「……ふ~ん……ご褒美要らはいんだ?」
あかり「あぅ……//// も、もっと……」
ちなつ「ん?」
あかり「も、もっと! ちなつちゃんのお口をあかりの唾液で汚してください!」
ゴクッ
あかり「へ……?」
ちなつ「んくっ……はぁ……」ペロ
ちなつ「うん、ご褒美。 唾液飲んであげたよ?」
あかり「あかりの唾液……ちなつちゃ――――――ゃぁぁあっっ!」ガックン
ちなつ「っ! また力抜けた!? だ、大丈夫?」
あかり「ちなつちゃ……飲んだ……っ」ズーン
ちなつ「だ、だめだこりゃ……」
あかり「……今日はすっごい疲れたよぉ……」
あかり(さっきより下腹部がさらに深刻な状況になってるよぉ)
ちなつ「ありがと、あかりちゃん……って恩返ししてる私が言うのもおかしいか」
あかり「……でもちなつちゃん、疲れたけど……気持ちよかった……かも////」
ちなつ「そっか! ならよかった……」
あかり「ちなつちゃんとももっと仲良くなれたし……良かった」
ちなつ「私もよかったよ? ありがと、あかりちゃん」ナデナデ
あか「うん……////」
あかり「う、うん……」はぁ~
ちなつ「ん……すごいいい匂いだよ、あかりちゃん」
あかり「ちなつちゃんも……はぁして?」
ちなつ「えへ、照れるなぁ……」はぁ~
あかり「……いい匂い……ずっと嗅いでたいよぉ」
ちなつ「えへ、やっぱり犬みたいだね」
あかり「わふっ!」
ちなつ「ぷっ……何それ」
あかり「……言った方が良いかな?」
ちなつ「言えるなら言って欲しいけど……」
あかり「……ちなつちゃんは、あかりの特別なんだぁ」
ちなつ「私にとっても特別……だよ?」
あかり「……うん。 でもね、違う特別なんだよぉ。 あかりとちなつちゃんの特別は」
ちなつ「……それが言えなかった理由?」
あかり「そうだよ」
あかり「いつか……分かってくれるといいなぁ」
ちなつ「……? あかりちゃん?」
あかり「あかりはね、ずっとちなつちゃんのそばに居たいよ」
ちなつ「////……当たり前じゃん。私もそばにいたい」
あかり「じゃあ今はそれで良いかな」
あかり「えへへ、あかり頑張るからね」
ちなつ「……う、うん////」
ちなつ「ん、おやすみあかりちゃん」
あかり「あしたも……歯磨きして欲しいな」ウト
ちなつ(……ホントに嫌じゃなかったんだ)
ちなつ「私ももっとあかりちゃんに歯磨きしたいから……良いよ、してあげる」ウトウト
あかり「ありがと……ちなつ……ちゃ……」スピー
ちなつ「うん……」スピー
結衣「おいこら京子! もう寝るぞ!」
京子「まって~! 今ナモクエ良い所!」
結衣「だ~め~だ! ほら、歯磨きして寝るぞ!」
京子「まって~!」
結衣「……仕方ないな」スッ
京子「!?」
おもむろに懐から歯磨きセットと水の入ったコップを取り出す結衣に
形容しえない恐怖を京子は感じた。
しかし怯える京子をお構いなしに、黒髪の悪魔は一歩、また一歩と京子に歩み寄る。
ジリ……! ジリ……!
結衣「口……あけて? 京子……」
終わり
ちなあか最高!
乙でした
ありがとう。
Entry ⇒ 2012.02.24 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「入学式まで暇だな…」ダル「だお」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329469226/
ダル「僕はセンター利用で先に受かってたわけだが。つーか満点とかヤマが当たるってレベルじゃねーぞ!あーエロゲも出ないし暇だお」
岡部「エロゲにしか興味がないのかこのHENTAIめ!」
岡部(そう、俺は電機大学に一般入試で合格してしまった。まあこの『運命探知の魔眼』にかかれば試験問題を予想することなどたやすい事なのだ!)
携帯「チャーラーラララーラーラーチャーラーラーララー」ピッ
岡部「俺だ」
まゆり「あ~オカリーン?トゥットゥルー!」
まゆり「うん!え~っとねぇ、まゆしぃたちの学校で学園祭があるって前に話したでしょ~?」
岡部「ああ。確か第二日曜日だったか。それがどうしたのだ?」
まゆり「それでねえ、オカリンも来てくれないかなあ、って思って」
ダル「幼馴染の学園祭とかそれなんてエロゲ?つーかリアルJKのコスプレ姿を見られるなんて羨ましすぎだろ常考。僕も連れていけオカリン!」
まゆり「ありがとぉ~!やっぱりオカリンは優しいのです!」
岡部「あ、まゆりよ、『頼れる我が右腕』を連れて行きたいのだが、いいか?」
岡部「そうか。期待しているがいい。共に"機関"と戦う…エ?ソンナショウカイノシカタハヤメロ?.....マアイイダロウ...…ともかく期待しておくのだ!」
まゆり「ふふっ、変なオカリン。じゃまたね~」
岡部「ああ。ではな。エル・プサイ・コンg」ブツッ
ダル「オカリン、結局どうなったん?」
岡部「大歓迎だそうだ。よかったな、ダル」
ダル「流石オカリン!俺たちにできない事を平然とやってのける!そこにシビれる憧れるぅ!」
岡部「しかし、お前三次元には興味はないんじゃなかったのか?」
ダル「萌えられれば何でもおkだお。何なら無機物にだって萌えられるお」
ダル「オーキードーキー。んじゃ帰りますか」トコトコ
~電車内~
岡部「そう言えばダルよ、先月のニューポンでタイムトラベルについての特集があったのだが、ダルはどう思う?」
ダル「確か、光速を越える速度で宇宙航行する方法と、ワームホール同士をつなぎ合わせて移動する方法と…あとブラックホールの特異点通過の際に四次元に到達する方法も紹介されてたお」
ダル「アインシュタイン大先生がいうには僕たちが生きるこの三次元は空間的にしか移動できなくて、時間は空間とは別のベクトルで一定速度で進み続けるんだっけ。」
ダル「その時間軸を移動できるのが四次元って聞いたお。つーかオカリン、時間を移動できるようになったところでどうするん?」
岡部「ククク、ダルは分かっていないな。現在、過去、未来。この三つを全て支配してこそ、"機関"を完全に滅ぼす事が出来るのだ、フゥーハハハ!」
岡部「何だと!…お前には俺の遥かなる野望を共有する素質があると思っていたのに…残念だ」
ダル「厨二病乙」
岡部「ぐっ…まあいい。なあダル、18歳で大学の研究室ってどう思う?」
ダル「kwsk」
岡部「その発表者が牧瀬紅莉栖…ヴィクトルコンドリア大学研究室所属の研究員で歳がなんと18なのだ」
ダル「あーそんな名前だったっけ。あれでしょ、記憶をデータにして圧縮すると3TBぐらいにしかならないってやつ。意識と記憶の違い云々は僕にはサッパリだったけど」
ダル「アメリカなら飛び級も普通にあるから、そんなに珍しくないんじゃない?」
ダル「同意。僕の嫁達との思い出はかれこれ10TBほどにはなってるお。ところでオカリン、牧瀬紅莉栖だけど、今月の『サイエンス』に論文が載ってたお」
岡部「何!?それは盲点だった、まだ売っているか?」
ダル「オカリン焦りすぎ。もしや牧瀬氏のことが気になってるん?かなり美人だしなぁー」
岡部「大体あいつはせっかく論文がニューポンに載ったというのに、写真に物凄く機嫌の悪そうな顔をして写っていたではないか!あれは"機関"のエイジェントの可能性がある!」
ダル「はいはいツンデレ乙。サイエンスなら僕のウチにあるから寄って読んでく?」
岡部「流石ダル。世界の支配構造を作り変える方法について日夜研究しているのだな!これからもよろしく頼む」
ダル「ごめんそういうのもういいから。んじゃ次の駅で降りるお」
岡部「ダルの家に行くのは久しぶりだな。お前の部屋には二度と入ろうと思わんが」
ダル「今日はサイエンス読むだけだろ?部屋には上がらなくていいお、つかむしろ上がらないでくれ。僕の嫁達が怖がってるからね」
岡部「…………了解した」
~ダル宅~
岡部「お邪魔します」
ダル母「あら岡部くん、いらっしゃい。いつも至と仲良くしてくれてありがとうねえ」
ダル「母さん、そういうの恥ずかしいからやめろって。じゃオカリンちょっと待ってて」
ダル母「岡部くんも電大受かったって聞いたわよ。至と一緒に頑張ってね」
岡部「はい、勿論。ダルは俺の親友ですから」
ダル「ハックショイ!オカリーン、持って来たおー!」
ダル「内容はニューポンの時とそんなに変わりないお。データ圧縮にブラックホールを使う事で携帯からでも拡散電波で送れるぐらい小さくできるってことが付けたされたぐらい」
岡部「記憶の圧縮にブラックホールとは…物騒だな。というか、ブラックホールが生成されるかもしれないという実験自体、ヨーロッパで始まったばかりではないか。これが実現するのは十年後か二十年後か…ともかく今の技術では荒唐無稽だな」
ダル「必死になって否定する…これは余程のツンデレと見た」
ダル「それなんだけどさ、椎名氏、だっけ?のクラスは何やるん?」
岡部「メイド喫茶だ」
ダル「オカリン…アンタ今最高に輝いてるよ…」
岡部「ああ。ではな。さらばだ!」タタタ
ダル母「忙しいのねえ、岡部くん…」
ダル「単にバカなだけと思われ」
岡部(有益な情報が得られたな。さて、帰るとするか)
岡部「ただいまー」
岡部母「おかえり。遅かったのね。大学受かったからってハメを外しすぎちゃダメよ」
岡部母「もう…お父さんったら///」
岡部(どうにかならないのかこの両親!)
岡部父「おい、倫太郎。お前私立に行く金食い虫なんだからちょっとは手伝ってくれ」
岡部「はいはい。どうせ他にやることもないのだからな」
岡部「マイファザーよ、もう店じまいの時間だろう!」
岡部父「すまんな。ありがとう。これお駄賃な」
岡部「これはイチマンエーンではないかマイファザーよ!何があったのだ?」
岡部父「お前まゆりちゃんの学園祭に行くんだろ?ちょっとは良いとこ見せてやれよ」
岡部「だから俺とまゆりは………ま、まあ有難く受け取っておく」
岡部父「素直じゃねえんだから…」
岡部(メールか…まゆりから?)
まゆり「メイドさんのコスが完成したのです!とっても可愛いからオカリン絶対来てね!」
岡部(ふふ、楽しそうだな、まゆりは。勿論だっ…と。)
岡部父「ほほーん、まゆりちゃんからじゃねえか。にやけやがって…」
岡部「し、しつこいぞマイファザーよ!俺は学園祭が楽しみなだけなのだ!」
岡部(そうだ。俺は学園祭を楽しみにしていたのだな。狂気のマッドサイエンティストたるものが学園祭とは…ククク、滑稽なものだな)
岡部(だが、たまにはこういうのもいいだろう)
~学園祭会場~
岡部「随分と賑わっているな。というか結構な数から写真を撮られるのは何なのだ」
ダル「皆オカリンの白衣をコスプレだと思ってるみたい。まあ悔しいけどイケメンだし誰だって普通はそう思う罠」
岡部「神聖なる白衣をコスプレ同義にするとは…許せん!」
岡部「そうするか」
岡部(何故こんな時期に学園祭…とは思ったが、これは来年度の新入生の歓迎会も兼ねているのか。何とも人が多い)
岡部「一年生はココだな」
ダル「おお、あそこじゃね?なんか紳士のオーラ漂ってるし」ユビサシ
岡部「うむ…何とも形容しがたい空気が漂っているな…」
ダル「とりあえず並ぼうず」
まゆり「いらっしゃいませ、カフェらぶちゅっちゅに!こちらがメニューになります!いかがなさいますか?」
客A「えーと、じゃあこのラブリィシェイクで」
客B「僕はすいーとマイはにートーストで!」
まゆり「かしこまりました、ご主人様~!あちらのテーブルへどうぞ~!」
岡部(まあ今のバイトだってファミレスだしな、慣れているのかもしれない)
岡部(まゆりがメイドカフェで働きたいと言ったときに反対して今のバイトを勧めたが、余計なお世話だったのかもしれないな)オカリン,オカリン!
ダル「…カリン、聞いてるん?ボーッとあの子見て。オカリンの幼馴染どの子なん?もしかして受付の子?」
岡部「よくわかったな。あれが俺の人質、椎名まゆりだ」
岡部「安定のHENTAIぶりだなダルよ」
まゆり「いらっしゃいませ、カフェらぶちゅっちゅに!あ~、オカリンだあ~!来てくれてありがとう~!」
岡部「ああ、上手にやっているではないか。見直したぞ」
まゆり「えっへへ~。オカリンに褒められたのです、えっへん。あれ、ってことは隣の大きな人が~?」
至「橋田至です、岡部くんの親友です。以後お見知りおきを(キリッ」
岡部「ダルよ、キャラ変わってるぞ」
まゆり「ダルくんだね~?そっかあ、まゆしぃもよろしくね~!えーっと、まゆしぃのことはまゆしぃ☆って呼んでくれたらいいよ~」
ダル「まゆ氏。おk、把握しますた。」
ダル「え?それって声に出して読んだらわかんねえじゃん」
客C「え、えーと…後ろ、つかえてるんだけどは、早く注文してくれないかな、ふひひ」
岡部「ああ、すまない少年よ。まゆり、注文を頼む」
客C「い、いいよ、分かってくれたら。僕はブラちゅーのミュージカルさえ見れればいいから、ふひひ」
岡部「ラブリィシェイクで」
ダル「同じのを頼むお」
まゆり「かしこまりました~!奥のテーブルへどうぞ~!」
客C「き、君たちセンスがいいね、目を見て混ぜ混ぜしてくれるそうじゃないか、ふひひ、楽しみだなあ」
客D「あっ、タクここにいたのー!ねえ、あっちで射的あるから行こうよ!ほら!」
客C「あ、待って梨深、僕はらぶちゅっちゅしたいんだアッー!」
~カフェらぶちゅっちゅ店内~
ダル「リアルJKのメイドとか最高だお…僕もう今死んでも悔いは無いお…」
るか「ラブリィシェイクをお持ちしました…」
岡部「ルカ子…だよな?」
るか「えっ、おかべさ、凶真さん!?」
ダル「ああ…メイドさん可愛いよメイドさん。オカリン、この子知り合いなん?」
岡部「ああ」
ダル「裏切ってたのかオカリン!こんな可愛い子を僕に黙ってるなんて!」
るか「可愛い…?ふえぇ…」
ダル「…何で泣くん?」
ダル「何なん?」
岡部「ルカ子は実は男なのだ」
ダル「男の娘とか最高だお……ってmjd?」
岡部「マジだ」
るか「本当なんです…」
岡部「だが男だ」
ダル「メイド服が似合っている」
岡部「だが男だ」
ダル「涙する姿に庇護欲をそそられる」
るか「でも…男なんです…」
ダル「だがそこがいい」b
るか「えっ?ふえぇ…」
ダル「ちょ、なんでまた泣くん?」
ダル「嬉しいって何でだお?」
るか「だって、ボク、こんな顔だし…みんなボクが本当は男だって知ったら引いてしまう人が多くて…」
ダル「るか氏、だっけ?君が男か女か、そんなことはどうでもいいのだぜ。可愛いは正義!」
るか「ぐすっ…その言葉を聞いたのは二回目です…。ありがとうございます…漆原、るかといいます…よろしく」
ダル「よろしくだお」
ダル「僕は変態でも紳士だからね」
岡部「ではルカ子よ、その…目を見て混ぜ混ぜをお願いしてもいいか…?」
るか「!!!…分かりました、頑張ってみます!」
るか「では、混ぜさせて頂きます…」
るか「じーっ」カチャカチャ
岡部「……」
るか「じーっ///」カチャカチャ
岡部「…………!」
るか「もう、限界です…」
岡部「ふぅ…よく頑張ったなルカ子よ」ナデナデ
るか「……………!///」スタコラ
ダル「自分で考えろ。つーか僕もうイライラしたから自分でシェイク混ぜちゃった訳だが」
岡部「何だかよく分からんがすまない」
ダル「どんだけ鈍感なんだお」
まゆり「オカリーン、どう?」
岡部「ああ、いい店だな、店員も素晴らしい」
まゆり「そっかぁ~!よかった!」
まゆり「そっかぁ…ダルくんごめんね。まゆしぃが代わりに混ぜるから許してくれる?」
ダル「なんという僥倖っ…!人の幼馴染の混ぜ混ぜとか背徳感MAXだろ常考」
まゆり「じゃいくよ~?」
ダル「Oh...」
まゆり「にこにこ」カチャカチャ
ダル「…………うっ…!」
まゆり「にこにこ」カチャカチャ
ダル「…………」
まゆり「にこにこ」
じゃねえよwww
ダル「死ぬかと思った…」
ダル「オカリンは命の恩人だお…マジでこの子魔力ありすぎ」
岡部(ダルがデロデロになったシェイクを律儀に持って帰ろうとしていたのは見なかったことにしておこう)
岡部(途中から店じまいしたまゆりとルカ子も加わり、久々にみんなで楽しいひと時を過ごした)
岡部(ダルがしきりに歯ぎしりをしていたが、歯でも悪いのだろうか。今度行きつけの歯医者を教えてやるとするか)
岡部(そんなこんなで、まゆりとの帰り道である)
まゆり「ねえオカリン、今日は楽しかったね」
岡部「ああ。まゆりも店番、立派に出来ていたな。見直したぞ」
まゆり「ほんとー?嬉しいよぉ♪オカリン、ありがとう」
岡部「そこでだな…この前のメイドカフェのバイトの件だが」
まゆり「留美穂ちゃんに誘われてたメイクイーン・ニャン^2のこと~?」
岡部「うむ。あの時はダメだと言ったが…まゆりも成長したようだしな、好きにするがいい」
まゆり「ほんと~?いいの~?オカリンは
優しいのです♪」
まゆり「うん!じゃさっそく留美穂ちゃんにメールをするのです!」
まゆり「あ、返事来た~!」
フェイリス「明日からいつでも来ていいニャン。じゃ、待ってるニャン!」
岡部「そのフェイリスという奴…俺と同じ匂いがするな…」
まゆり「フェリスちゃんはオカリンと一緒で、よく分からないことも言うけど、とっても優しいのです!楽しみだなあ~♪」
まゆり「うん!ありがとう♪」
岡部「そこでだ、俺も大学入学を機に新たな作戦を開始することにした!」
まゆり「おお~すごいね~!なになに~?」
岡部「聞きたいか?ならまゆりにだけは特別に教えてやろう…」
岡部「俺は、今日から、"機関"の野望と戦うための拠点を設立する!」
岡部「その名は…!」
岡部(まゆりだって、あの牧瀬紅莉栖だって未来に向けて何かを変えてみたいと思って努力しているんだ…負けてなんかいられない!)
岡部「『未来ガジェット研究所』だ!」
おしまい
乙です…
Entry ⇒ 2012.02.24 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
妹「お化け怖い」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328856952/
兄「ん?」
妹「ぅぅ……」ギュゥゥ
兄「何だ」
妹「お化け怖いよぅ……」フルフル
兄「お、お化け?」
妹「うん……」
兄(一体、何を言い出すのか……)
兄「近くにいるのか?」
妹「うん、あそこ……」ギュゥ
兄「……」
兄(部屋の隅……)
兄「どんなお化けなんだ?」
妹「女の人……」フルル
兄(うーん……)
妹「怖いよぅ……」ギュゥ
兄「大丈夫だ、大丈夫」ナデナデ
妹「ん……っ」
兄「……」
兄(参ったな……、全く分からん……)
妹「お兄ちゃん……」ギュゥ
兄「……」ナデナデ
妹「……」ギュゥ
兄(とりあえず、しばらく傍に居てやらなきゃな……)
妹「ぅぅ……」
妹「怖い……」
妹「こっち見てる……」ギュゥ
兄「……」ナデナデ
妹「髪の毛、長い……」
兄「……」
兄(本当に居るのかも……)
兄(でも、俺には全く分からんからなぁ……)
妹「お兄ちゃん、怖いよぉ……」ギュゥゥ
兄「だ、大丈夫だって」
妹「ぅぅっ……」
妹「……」
兄「でも、外は寒いか……」
兄「お前の部屋で一緒に居てやろうか?」
妹「うん」ギュ
……
妹「……」ギュゥゥ
兄「そんなに怖かったのか?」
妹「うん……」フルフル
兄「睨まれてたのか?」
妹「うん……」
兄「……」ナデナデ
兄(何なんだろうか……、本当に居るのだろうか……)
兄「ん?」
兄(め、目がうるうるして……、泣きそうなのか……!?)
兄「だ、大丈夫、大丈夫だよ、何もしてこなかったんだろ?」ナデナデ
妹「ぅぅ……」
兄「だ、大丈夫だって!」ギュゥ
妹「っ」
兄「ほら、俺がついてるから、な?」ナデナデ
妹「……っ」ギュゥ
兄「ん?」
妹「ぎゅって」
兄「……」ギュゥ
妹「んっ……」
兄「これで怖くないか?」
妹「うん……」ギュゥ
……
兄(抱き締めてあげてから、どのくらい経つだろう……)
兄(そろそろ、俺も疲れ……)
妹「……」ウトウト
兄「ん、眠いのか?」
妹「うん……」
兄「寝るか?」
妹「うん」
兄「じゃあ、俺はそろそろ……」
ギュゥ
兄「!?」
妹「……」
兄「……一緒に寝るってことか?」
妹「うん……」ギュゥ
妹「……」
兄「まだあそこに居るか、見に行くか?」
妹「……」ギュゥ
兄「……」
兄「いいよ、一緒に寝よう」ナデナデ
妹「……」
兄「俺は横に布団敷いて、そこで寝ようか」
ギュゥ
兄「ん?」
妹「……」
兄「……ん」ナデナデ
兄(まだ相当怖がってるんだな……)
兄「いいよ、ベッドで寝よう」
妹「えへへ……」
兄「……っ」
兄(って言っても、実際、やっぱり狭いよな……)
妹「お兄ちゃん」
兄「ん?」
妹「二人でこうしよ」ギュ
兄「!?」
妹「狭くないよ」
兄「……」
ギュ
妹「んっ……」
兄「……」
兄「狭くないな」
妹「うん」ニコ
兄「……」
妹「あったかい」
兄「うん」
妹「えへへ……」
兄「怖くないか?」
妹「うん」
兄「良かった良かった」
妹「……」ギュゥ
兄「ん?」
妹「……」ギュゥ
兄「何だよ?」
妹「えへへ」
流れで、何となく一緒に寝るようになり、
お風呂も……
そして、何故かその日から、妹はお化けのことを言わなくなった。
おわり。
兄「風呂までついて来いって、流石に……」
妹「だめなの……?」
兄「……」
兄「はぁ、しょうがないな」
妹「えへへ……、ありがと」ニコ
兄「って」
妹「……?」プルン
兄「ちょっとは恥ずかしがれよ!」
妹「……」カァァァ
兄「遅い!」
兄「え、え……」
兄(ヤバい、想像以上におっぱいが……)
兄(そして、それをまじまじと見てしまったせいで、やつが……)
妹「寒いよぉ」
兄「わ、分かった、分かったよ!」カチャカチャ
スルスル
……ビンッ
妹「……っ」
兄「……」カァァァ
兄(お、俺は、妹になんてものを……)
妹「……」ジーッ
兄「あ、あんまり見るな!」
妹「……」ニコ
……
シャァァァ
兄「……」ゴシゴシ
兄「気持ちいいか?」
妹「うん」ニコニコ
兄「熱かったりしたら言ってな」
妹「うん」
妹「お兄ちゃん上手」
兄「……そうか」ゴシゴシ
兄(なんで妹の髪洗ってんだ、俺……)
兄「ふぅ……」
兄「スッキリしたか?」
妹「うん」
兄「そうか、良かった」
兄「じゃあ、カラダは自分で……」
ギュゥ
兄「!?」
妹「……」
兄「わ、分かった、洗うから、今抱きつくのはやめろ!」
妹「……えへへ」
「んっ……」
……ゴシゴシ
「お兄ちゃ……」
……ゴシゴシ
「ぁっ……」
……
……
キュッ
兄「……」
妹「……」ニコニコ
兄(地獄だった……(色々我慢するのが))
兄「お、おう、いいのか?」
妹「うん」
兄「……じゃあ、お願いします」ビンビン
妹「……」
「きもちい?」
「ああ、上手いよ」
……ゴシゴシ
「背中も洗ったげる」
「おー、ありがとう」
……ゴシゴシ
「……ここは?」
「いや、そこは……!」
……ゴシゴシ
「だ、だめだ、そんな……ぁっ……!」
……ゴシゴシ
「お兄ちゃん、すごい気持ち良さそう……」
「ぁっ、ぁっ……あああっ」
……ビュルルルッ
兄「ふぅ……」
兄(妹の前で、まさかの……)
妹「えへへ……」ギュゥ
兄「だ、だから、今抱きつくなって!」
妹「お兄ちゃん、大好き」
兄「……っ」
妹「お兄ちゃん」
兄「ん?」
チュッ
と、こんな感じの、危ない毎日を送っています。
おわり。
乙
Entry ⇒ 2012.02.23 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
古畑「IQ1300……?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329657826/
俺には八千人の部下がいるだとか。
韓流グルメフェスタに来場者20万人とか。
無駄を削れば10兆、20兆の埋蔵金が簡単に出てくるとか。
ただ、そういうことする人は決まってロクな目に合いません。ご注意を」
小衣「いいアンタらー! 今日は待ちに待った警察博の開催日よー!
本当に警察博が開かれるなんて、分かってるじゃないー!
でも、どうせなら小衣博を――」
次子「こらっ」ゴンッ
小衣「痛っ。
……と、とにかく、警察博の開催日だから心行くまで楽しみなさいー!
過去の事件の証拠品や、最新の捜査道具、
警察が怪盗から守った美術品なんかが展示されてるわよ!
以上!」
アイリーン「きゃーっ、こころーっ!」
今泉「小衣ちゃーんっ!!」
小衣「ようやく警察博の開催日になったわね。
本当は小衣博の方が良かったけど」
次子「まだ言ってるのかよ」
アイリーン「小衣ー、今日も可愛いかったわよー」
小衣「ひいっ、アイリーン!」
咲「あ、逃げた」
アイリーン「あははー、待ちなさーい小衣ー♪」
平乃「行っちゃいましたね」
次子「アタシも警備の持ち場に行ってくるわ」
咲「うぃ~す」
店員「はあ、そう言われましても……」
古畑「だって、写真ではこのクレープ、イチゴが6つ入ってるじゃない。
私が買ったのには5つしか入ってないんだよ。
よく見なさいよ、ほら」
店員「いや、だからですね」
古畑「勘違いしないで欲しいんだけど、
別にイチゴが欲しくて言ってるわけじゃないんだよ。
ただ、こういうことはちゃんとしときたいんだよ」
店員「でも規則で、一度お渡ししたものの交換は――」
ダダダダダ――ドンッ
古畑「あ、クレープが」
古畑「何言ってるの、ぶつかってきたのはそっち――あれ、もういない」
今泉「古畑さーん、何やってるんですか」
古畑「あ、今泉君。いや、なんか今、子供がぶつかってきたんだよ。
背の低い、金髪のツインテールの子」
今泉「あ、それきっと小衣ちゃんですよ。
G4の明智小衣。ハーバード大学を飛び級で首席卒業したIQ1300の天才美少女。
さっき、野外ステージに出てたんで、僕見に行ってたんですよ。
ほら、携帯で動画も撮ったりなんかしちゃって」
古畑「あー、そうだよこの子だよこの子!
へー、この子がG4の」
次子「あー、カステラうめーっ。
それにしても、こっちは展示もないからあんまり客こなくて暇だなー。
……お、小衣だ」
ダダダダダ――
次子「小衣ー、まだやってたのか」
小衣「そーよ、まだやってたのよ!
アイリーンが来たら小衣はそっちに逃げたって言っておいて!」
ダダダダダ――
次子「あーあー、アイツも大変だな」
小衣「はあっ……はあっ……」
キョロキョロ
小衣「よし、誰もいないわね」
ガチャ――
ガサゴソ……
小衣「……」
次子「こんどはアイリーンが来たよ」
ダダダダダ――
アイリーン「ねえ、小衣見なかった?」
次子「あー、小衣ならそっちへ行ったよ」
アイリーン「ありがとーっ」
ダダダダダ――
次子「やれやれ」
ガチャ――
アイリーン「小衣ー、どこでちゅかー?」
小衣(……)
アイリーン「あはは、小衣見ーつけた」
――カチャリ
小衣(……)
アイリーン「さ、小衣ー、お姉ちゃんと一緒に行きまちょうねー♪」
ぐいっ
アイリーン「え、小衣……?」
小衣(……)スッ
――――ドガッ!!
『ご来場の皆様。本日は、ヨコハマ警察博にお越しくださり
まことにありがとうございます。
ただいま、入場者数が10000人を突破しました』
次子「お、もうそんな人数が入ったのか。
まだ午後一時になったばっかだってのに盛況だねえー」
古畑「あのー、すみません」
次子「おわ、誰だ?」
古畑「警視庁の古畑と申します。
いやー、そのなんというか……
迷ってしまいまして」
次子「あははー、まあ混んでるしなー。
ちょっと待ってな、今地図を……あれ、ないな」
古畑「私も会場の地図がついたパンフレットを貰ったんですが、
一緒に来た部下に預けていたらその部下とはぐれちゃいまして。
部下は多分、展示を見に行っていると思うんですが」
次子「ふーん。展示見に行ってるなら東館だろーな。
あ、展示と言えば爆弾処理班が面白いぞ。
アタシが連中に勧めて爆弾処理用のロボットを展示させたんだよ」
次子「そうだ、そっちの部屋にパンフが保管してあるから、それを使ってくれよ。
ついてきな、案内するから」
古畑「いやー、すみません。
あれー? ところで貴女、もしかしてG4の……」
次子「お、アタシのこと知ってるのか?
そうだよ、G4の銭形次子だ。よろしくな」
古畑「こちらこそよろしくお願いしますー。
あ、この部屋ですか?」
次子「ああ。空き部屋だから物置みたいになってるんだけど、
確かパンフが置いてあったはず。ちょっと待ってな――」
――ガチャガチャ
次子「あれ?」
古畑「鍵がかかってますね。
んー、どなたか中にいらっしゃるんでしょうか」
まだ部屋の中にいたのか。
おーい、アイリーン。開けろー」ドンドン
古畑「……返事がありませんね」
次子「あれ、いないのか。いつの間に出て行ったんだ?」
古畑「いやー、中にいないってことはないと思いますよ」
次子「なんで?」
古畑「このドア、鍵穴がついてません。
ということは、鍵は内側からしかかけられないということになります」
次子「ああ、そうか。じゃあやっぱり中にいるのか。
アイリーン! 開けろー!」ドンドン
古畑「……んー、返事がない」
次子「お、小衣」
ダダダダダ――
小衣「はあっ、はあっ……アイリーンはこっちには来てない?」
次子「いや、来たぞ。今、この部屋の中」
小衣「ひいっ」
次子「あっと待て、逃げるな。
なんか変なんだよ」ガシッ
小衣「ちょっと、離しなさいよ次子!
あと何が変なのよ!?」
古畑「ドアに鍵がかかっていて開かないんです」
古畑「あ、申し遅れました。私、警視庁の古畑と申します」
小衣「そう。小衣はG4のリーダー明智小衣。
ハーバード大学を飛び級で首席卒業した天才美少女よ!」
古畑「ああ、知ってます。IQ1300の」
小衣「1400!」
古畑「はい?」
小衣「IQ1400よ、間違えるんじゃないわよ!」
古畑「あー、それは失礼しました。
IQ1400……それはすごい」
この前なんかハッケイ島からの脱獄犯達を全員捕まえてヨコハマの街を守ったわ!」
古畑「そうですか。ちなみに私はSMAPを逮捕しました」
小衣「他にも海賊の黒ひげやジャック・スパロウや
麦わらのルフィやゴーカイレッドも小衣が捕まえたのよ!」
古畑「そうそう、イチローを逮捕したのも私なんですー」
小衣「他にも、他にも、ヨコハマを恐怖に陥れた変質者を捕まえたのも――」
次子「張り合うな」ゴンッ
小衣「痛っ!
何よー、小衣は悪くないー!!」
古畑「えー、それで話を戻すとですね。
この部屋、鍵がかかっていてドアが開かないんですけど、
中に声をかけても反応がないんです」
それとも獄中?
>>25
出ない、G4のみ。
アイリーンの奴、ここに隠れて小衣を待ち伏せしてるんじゃないか?」
古畑「と、言いますと?」
次子「アイリーンは小衣の大ファンでなー。
いつも小衣のことを追いかけまわしてるんだ」
小衣「小衣は迷惑してんのよ!」
次子「さっきだって、
アイリーンが来たらこっちに逃げたように言えって
小衣に頼まれてさー。
実際に来たから言われた通りに言ってやったんだからな。
小衣ー、感謝しろよー?」
小衣「何よー! 小衣はリーダーなんだから言うこと聞くのは当然でしょ!」
古畑「なるほど、だいたい分かりましたー。
でも、待ち伏せをしているってことはないと思いますよー。
鍵をかけていたら誰も入ってこれません」
次子「ありゃりゃ、それもそうか」
小衣「……仕方ないわね。
外から回り込んで、窓から部屋の中を見てみましょう。
べ、別にアイリーンのことが心配なわけじゃないわよ!
ただ、何かあったらまずいから仕方なく――」
次子「お、ツンデレ発動ですかー?」
小衣「違う! ほら、次子が先に行きなさいよ。
アイリーンがなんともなかったら、小衣はダッシュで逃げるんだから」
次子「分かった分かったって、押すな押すな」
古畑「あ、私もご一緒しますー」
次子「小衣ー、そんなに離れてないでこっち来いー」
小衣「いいからさっさと部屋の中を確認しなさい!」
古畑「えー、この部屋ですね。どれどれ……
…………!」
次子「お、どーした? アイリーンはどうだ……
…………えっ、おいおいウソだろ!?」
小衣「ちょっとー、どうしたのよー?
アイリーンはいたのー? 小衣もう逃げた方がいいー?」
次子「逃げないでこっち来い!
アイリーンが頭から血を流して倒れてるんだ!」
小衣「はぁ? どういうこと」
次子「いいから、そこの窓から覗いてみろって」
小衣「……うわ! 何これどういうことよ!?」
なあ、もしかしてアイリーンの奴、死んでるのか?」
小衣「いや、まだ息があるかも知れないわ。
次子、中に入って確かめてきなさい」
次子「おう、了解!
――ん、あれ?」ガタガタッ
小衣「何やってるのよ?」
次子「いや、この窓、鍵がかかっていて開かないんだよ。
古畑の旦那、そっちの窓は開くかー?」
古畑「いやー、こっちも鍵がかかっています」
次子「あーもう、しょうがないな!
緊急事態だし、銃底でガラス割るか。
ちょっと泥棒みたいだけど、鍵のとこをパリンと」
古畑「あ、ちょっとお待ちください。
そちらの窓の鍵、少し見せてくださいますか?
……んー、確かに鍵かかってます」
次子「だからそう言ってるだろー。
それじゃガラス割るから、少し下がってな。
――せいっ」ガチャパリーン
次子「そんな急かすなってーの!
この窓、鍵だけじゃなくてロックも掛かってるんだよ。
――よし、開いた!」
ガラララ――ッ
次子「よっと。
おい、アイリーン、大丈夫か?
おーい!」
小衣「アイリーンはどうなの?」
次子「ダメだ。死んでる……。
すぐ横に血塗れのハンマーが転がってるから、
これで頭をガツンとやられたっぽいな」
小衣「ちょっと……それって、殺されたってこと?」
次子「……多分」
古畑「あのー、すみません。
ドアにも、鍵かかってます?」
次子「ん? ああ、掛かってるな。
……って、そもそもドアに鍵が掛かってたから、
アタシらこうやって窓側に回り込んできたんだろー」
となると……んー、これは一体どういうことなんでしょう」
小衣「そうね、変だわ。
ま、とりあえずはこの部屋をよく調べてみましょ。
咲たちと鑑識を呼ぶから少し待ってなさい」ピッピッピ
プルルル――
小衣「……」
プルルル――
小衣「……」
プルルル――
小衣「あーもーっ! なんで出ないのよ咲は!
じゃあ、平乃に……」ピッピッピ
プルルル――ガチャ
平乃『はい、長谷川です』
小衣「あ、平乃ー?
事件発生よ、至急、咲と鑑識を連れて現場まで来なさい!
場所は西館南端の――」
平乃「被害者はアイリーン・ドアラー。
死因は打撃による頭蓋骨骨折および脳挫傷。
凶器は死体の横に転がっていた鋼鉄製のハンマーと思われます」
小衣「……」
平乃「特筆すべきは、現場であるこの部屋の施錠状態ですね。
ドアには内側からサムターン錠がかけられていました。
部屋の南側と西側にある窓も全てクレセント錠がかけられ、
さらにロックもされていました」
小衣「他にこの部屋に出入りできるところは?」
平乃「ありません」
咲「密室~」
次子「おいおい、マジかよ」
次子「なんだこりゃ、青い布?」
咲「うえ、飛び散った血がついてる~」
平乃「被害者が倒れていた場所のすぐ側、
壁際のキャビネットの扉がほんの少しだけ開いていました。
そこから取り出したものと思われます。
何かのダイイング・メッセージなのでしょうか」
小衣「そのキャビネットの中には、他に何か入ってたわけ?」
平乃「被害者が握っていたものと同じ青い布がたくさん……
他に、赤い布や黄色い布、緑色の布も入っていました。
警察博の飾り付けに使用したものの余りみたいですね」
小衣「青い布……青……ブルー……
うーん、ピンと来ないわね」
小衣「何よ?」
古畑「被害者の……アイリーンさんでしたっけ?
彼女のつけている腕時計の、針が止まっているみたいですが」
平乃「あ、本当ですね。
倒れた時のショックで壊れたんでしょうか?
時計の針は12時59分で止まっています」
次子「おお、犯行時刻ってわけだな!」
小衣「それをそのまま信じるのはどうかしら。
世の中には信用できないものが5つあるわ。
年寄りの自慢話、通信販売の売り文句、
スポーツ新聞の見出し、ミルキィホームズの推理、
そして最後が――」
古畑「犯行現場の壊れた時計」
小衣「分かってるじゃない」
古畑「私も4つ目を今泉慎太郎の推理と言い換えてよく使ったりします。
しかしですね、今回の場合は信じてもいいと思いますよー」
小衣「何で。あと今泉って誰よ?」
実際にその頃に殺害が行われたと思われるからです。
我々が彼女を発見したのは1時5分頃でした。
えーと、銭形さん?」
次子「ん、アタシ?」
古畑「あなた、この部屋に入る直前の被害者のこと見てますよね?
ご自分でそうおっしゃっていました。
いつ頃のことだか覚えてらっしゃいますか?」
次子「ああー、えーといつだったかな。
一時よりは前だったけど……そんなに前でもなくて、
12時55分か、それよりちょっと後くらいかも」
古畑「では、12時55分としましょう。
被害者が部屋に入ったのが12時55分、我々が被害者を発見したのが1時5分。
この間10分です」
平乃「時計の指している時刻もその10分間に合致しますね」
古畑「はい、そうなんです。
時計が偽装だと考えた場合でも、犯行時刻とはせいぜい数分のズレしかないはずなんです。
犯人にとって、こんな偽装をする意味があるんでしょうか」
平乃「なるほど、確かにそうですね」
小衣「ふん、小衣だってそんなことは分かってたわ。
さっきのはちょっと言ってみただけよ!
それより今泉って誰よ?」
多分、展示を見てると思うんですが」
次子「あー、そう言えばさっきそんなこと言ってたな。
展示を見てるなら多分東館にいるだろ。館内放送で呼び出そうか?」
古畑「んー、まあ居ても役には立たない奴なんで結構です」
平乃「古畑さんも結構きついこと言いますね……」
小衣「まあ役に立たない奴ならどうでもいいわ。
そんなことよりも問題なのは密室状況よ」
古畑「ええ、これは大きな謎です」
小衣「ふふん、小衣には犯人がどうやってこの部屋から脱出したか、
もう大体の見当はついてるわ」
古畑「ええ、本当ですか?
さすがIQ1300だ……」
小衣「1400っ!」
古畑「あ、失礼しました。IQ1400でした。
で、一体どんな方法で?」
古畑「はい?」
小衣「テレポート」
古畑「……」
小衣「何よその小衣を憐れんだような顔は!
警視庁の刑事なんかには分かんないでしょうけどね、
ヨコハマ市警はトイズを使う怪盗の犯罪と日々戦ってるんだから!」
古畑「トイズ……トイズと言うと、そのー、超能力みたいな」
小衣「そうね、超能力と考えて問題ないわよ。
トイズには色々な種類があって、当然テレポートのトイズもあるわ。
他には壁抜けとか、また別のトイズの可能性もあるかも知れないけど」
古畑「うーん……」
小衣「とにかく、小衣は現場の状況からこの事件を怪盗事件と判断するわ。
よって、事件の指揮は対怪盗チームである小衣たちG4が執るわよ。
いいわね?」
古畑「うーん……」
咲「了解~」
小衣「それと、犯人は大柄な男の可能性が高いわ。
条件にあてはまる怪盗がいたらチェックしといて」
咲「おいす~」
古畑「あのー、なんで犯人は大柄な男なんでしょう」
小衣「凶器からのプロファイリングよ。
あのゴツいハンマーを女子供が振り回すのは難しいでしょう。
それなりの腕力がなければわざわざ凶器にはしないわ」
古畑「んー、なるほど」
小衣「平乃、市警本部に本件を怪盗事件として連絡して。
それが済んだら次子と一緒に周囲の聞き込みを」
平乃「わかりました」
次子「なあ、警察博にきている客は引き止めなくてもいいのか?」
小衣「本当ならそうしたいところだけど、
来場者が一万人を超えているのに全員引き止めておくのは無理だわ。
それに犯人がまだ会場内にいるかも怪しいし」
次子「まー、そりゃそうか」
小衣「ええ。アンタももう帰ってもいいわよ。
あとはG4に任せなさい」
古畑「…………」
小衣「ほら、帰った帰った。
怪盗事件なんだから、ただの刑事がいても邪魔なだけだわ」
次子「こら、小衣。そういう言い方はないだろ」ゴンッ
小衣「痛っ!」
次子「ごめんなー、こいつ口悪くてさー」
古畑「いえいえ、んーふふふ。
それよりもですねー、この事件、
本当にトイズを使った怪盗事件と考えて良いんでしょうか?」
小衣「何よ、小衣の判断にイチャモンつけようってわけ?
でも、この部屋はドアの鍵も窓の鍵も構造上内側からしかかけられないのよ。
ドアや窓の周りに隙間もなさそうだし、外から糸で操作するのも無理。
他に出入口もない以上、これはもうトイズを使ったと考えるのが自然でしょうが」
古畑「いやー、分かりませんよ。
私がこれまでに解決した事件の中にも、
トイズを持たない普通の犯人が密室殺人を行った例があります。
密室だから犯人がトイズを使ったとは限りません」
古畑「んー、それはまだ、何とも」
小衣「何それ、お話にならないじゃない」
古畑「ただですね、怪盗が犯人だったとして、
なんでアイリーンさんを殺したんでしょう?」
小衣「さあ、警察博に忍び込んでいるのを見つかったからじゃない?」
古畑「何も殺すことはないじゃないですか。
トイズでもなんでも使って逃げれば済む話なんです。
はい、そこのところがどうも腑に落ちないんです」
小衣「誰かに見られていると発動できないトイズだったとかね」
古畑「トイズにはそういう発動する条件みたいなものもあるんですか?」
小衣「トイズによってはね。何しろ色々な種類があるし」
古畑「んー、だとしても分からないなあ」
小衣「何がよ」
ただの空き部屋ですよ? 怪盗の気を引きそうなものなんか何もない」
小衣「単に通り道だったんじゃないのー。
壁抜けのトイズなら、部屋から部屋への移動中にアイリーンに見つかったとか。
テレポートにしても一回の移動距離に限界があって、
この部屋は単に中継点だったのかも知れないじゃない」
古畑「なるほど。んー、トイズの都合にすれば何とでも言えますね」
小衣「何よ? 小衣に何か文句あるの?」
古畑「いえいえ、別に」
小衣「だいたいねー、疑問って言うなら、
トイズを使わずに犯人が密室から脱出したって考えの方が
小衣にはよっぽど疑問だわ」
古畑「さっきから犯人が密室から脱出したって言い方されてますけど、
犯人が部屋の外に出た後、何らかの方法で施錠を行ったという考え方もあるのでは?」
小衣「ドアの鍵も窓の鍵も内側からしかかけられない構造だって言ったでしょーが!
それとも、何か外から鍵をかける方法でもあるってわけ?」
古畑「んーふふふ、今はまだ、なんとも」
それに百歩譲って犯人が何らかのトリックを使って外から施錠をしたとしてもさー、
なんで犯人はそんなことする必要があったわけ?」
古畑「さー、なんででしょう」
小衣「ドアの向こう側は一本道だし、ドア自体が次子の警備してた箇所から丸見えだったわ。
ってことは少なくとも、犯人はドアからは出ていないでしょ。
ドアから出れば次子が気付いているはずだし」
古畑「はい、それはそうだと思います」
小衣「アンタの言う通り、犯人がトイズを持たない普通の人間だった場合、
脱出ルートは窓以外には考えられないわ。
でも窓はクレセント錠とロックで二重に施錠されてたわけ。アンタも見てたわよね?」
古畑「はい」
小衣「仮に外から窓を施錠できたとしても、そんなに短時間でできるとは思えないわ。
外は人通りが全くないわけじゃないんだから、
犯人からすれば見られるリスクがあったってことになるわよね。
そこまでして密室を作る理由が、小衣には理解できないんだけど?」
古畑「常人には不可能な状況だったとなれば、ヨコハマでは怪盗事件ということになりますからねー。
トイズを持たない犯人が、容疑者圏内から抜けることができます」
小衣「ふん、何にせよ窓を外から施錠する方法が見つからない限り意味のない話ね。
悪いけど、小衣はあくまで怪盗事件として捜査するつもりだから」
小衣「ちょっと、捜査の指揮は小衣たちG4が執るっつーの!」
次子「まーまー、小衣。
アタシ達も殺人事件は専門じゃないんだからさー。
協力して貰えるなら協力して貰った方がいいだろー」
小衣「何よー、次子は黙ってなさムグっ!?」
次子「古畑の旦那は殺人が専門なんだろ?
SMAPやイチローの事件解決したっつってたもんな」
古畑「はい。捜査一課です」
小衣「ムグ――――ッ」ジタバタ
次子「じゃ、お互い別の線から調べてみるってことでよろしく頼むよ」
古畑「はい、よろしくお願いします。
えーと、それで早速なんですが
犯行時刻前後の関係者の動向を抑えておきたいので、そのー……」
次子「お、ひょっとしてアタシ達のアリバイを聞きたいって?
かーっ、徹底してるね旦那も」
古畑「んーふふふ、すみません。
あくまで形式的なものですので」
つってもアタシはずっとさっきのところで警備してたけどな。
旦那も知ってるだろ?」
古畑「はい」
次子「ほら、小衣はどうなんだー?
ずっとアイリーンから逃げてたのかー?」
小衣「ぷはっ……。
何よ何よ、小衣は話すことなんて何もないわ!」
次子「こらっ!」ゴンッ
小衣「痛っ! もー、分かったわよ。
次子のところに来たあとは、G4の控室に逃げ込んで隠れてたわ」
古畑「んー、誰かそれを証明できる方は?」
小衣「いないわよ。誰にも見つからないように隠れてたんだから。
ちょっと何、まさか小衣のこと疑ってるわけ?」
古畑「いえ、とんでもない。
お気を悪くされたならすみません」
で、しばらく隠れた後、また次子のところに戻ったらアンタと会ったってわけ」
古畑「なるほど、ありがとうございます。
あとえーと、他のお二人は」
小衣「本人に聞きなさいよ。
でも、二人の仕事の邪魔したらしょうちしないんだから」
古畑「んー、二人ともさっき出て行ってしまいました」
次子「待ってりゃすぐ戻ってくると思うぞー」
古畑「いえ、こちらから探しに行くことにしましょう。
それでは失礼します」
小衣「……」
古畑「あ、そうだ。最後にもう一つよろしいですか」
古畑「えーと、G4の控室というのはどちらにあるんですか?」
次子「ああ、それなら地図に印つけてやるよ。
って、そうだ、パンフ持ってないんだっけ」
小衣「……これ使いなさい」
次子「お、サンキュー小衣。
えーと、こっちの方のここ。
はいよ、印しつけといた」
古畑「どうも、ありがとうございます。
それでは、また」
小衣「……」
今泉「古畑さ~ん! どこ行ってたんですか、探しましたよ」
古畑「ああもう、うるさいのが。
ずっと見当違いのところ探してれば良かったのに」
今泉「展示面白かったですよ。携帯で動画摂ったんで見ます?」
古畑「いいよ別に」
今泉「そう言わないで。
これなんか凄いんですよ……ってどこ行くんですか?」
古畑「んー、ちょっとねー、殺人事件があってさー」
今泉「ええっ!?」
平乃「あ、古畑さん」
古畑「ああ、どうもー。探してました」
今泉「あ、G4の長谷川平乃だ。
え、古畑さんお知り合いなんですか?」
平乃「あの、こちらの方は……?」
今泉「あ、僕、今泉慎太郎って言います!」
今泉「え、古畑さん僕のことなんて言ってたんですか?」
平乃「えーと、その、部下と一緒に来ていると。
ところで、古畑さんは私に何かご用ですか?」
古畑「えー、私も事件について調べてまして。
で、一応事件前後の関係者の動向を抑えておこうと思いまして、
今G4の皆さんにも確認をとっているところです」
平乃「私もですか? 事件前後と言うと1時くらいですよね。
あ、皆さんに差し入れを配って回ってました」
古畑「差し入れ?」
平乃「ええ、ヨコハマ名物のカステラを。
次子さんはどこにいるか分かってましたから渡せたんですけど、
小衣さんと咲さんは見つからなくて……」
古畑「んー、よく探されました?」
平乃「思いつくところ一通りは」
古畑「G4の控室なんかは?」
平乃「もちろん。ちょうど一時ごろでしたね」
どうもありがとうございました。
あ、そう言えばG4のあの……ピンク色の髪をした方」
平乃「咲さん? 遠山咲」
古畑「そうです。どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
平乃「いえ……咲さん、マイペースですから」
古畑「そうですか。ありがとうございました。
それでは失礼します。行くよ、今泉君」
今泉「あ、待ってくださいよ古畑さん」
小衣「……」ガサゴソ
――コンコン
小衣「誰ー? 開いてるから入っていいわよ」
ガチャ
古畑「どうも、失礼しますー」
小衣「またアンタ? 何しにきたのよ」
今泉「うわー、小衣ちゃんだ! 感激だなあ」
小衣「ちょっ、誰よこいつ!? ココロちゃん言うなっ」
古畑「部下の今泉です。
ちょっと君、いきなり失礼だろ、この」ペシッ
今泉「痛っ」
小衣も叩いていい?」
古畑「どうぞどうぞ」
小衣「じゃ遠慮なく。ていっ」ゴンッ
今泉「痛っ! なんですかその仮面!?」
古畑「んー、面白いものお持ちですね。
ちょっとお借りしてもよろしいですか?」
小衣「どうぞどうぞ」
古畑「ありがとうございます。えいっ」ゴンッ
今泉「痛っ!! やめてくださいよ古畑さん!!」
古畑「んっふっふっふ」
小衣「あっはっは、面白ーい!
……で、何の用?」
ちょっとお知恵をお借りしたいことがありまして。
被害者の遺したダイイング・メッセージについてなんですけれども」
小衣「ダイイング・メッセージ……?
ああ、アイリーンが握ってたあの青い布のこと?」
古畑「はい。何しろ被害者が握っていたものです。
犯人を示す重要なヒントなのかも知れません。
私はえー、思いつかなかったんですけれども、
IQが1300もあれば何かしら思いつくんじゃないかと考えまして
小衣「1400!」
古畑「あ、そうでした。IQが1400もあれば何か思いつくんじゃないかと」
小衣「小衣も少し考えたけど、特に何も思いつかなかったわよ。
パッと分かるものじゃないんなら、
あんまりこだわってもしょうがないと思うけどー?」
古畑「そう言わずに何かありませんか。
例えば名前に青が入ってるとか……青井、青山、青島……
他には青い服を着ているとか……ああ、そう言えばあなたも青い服だ」
小衣「だから小衣が犯人? って、なわけないでしょーが!
ここは警察博の会場なのよ、警官だらけなの、わかる?
アンタみたいに全身真っ黒の方が珍しんだから!
……って、ちょっとそこ、何撮ってるのよ!」
今泉「え? せっかく小衣ちゃんに会えたから記念にと思って……ダメですか?」
あーもう、好きにしなさいよ。
とにかく、小衣は例の布については重要視していないわ。
大方、アイリーンが襲われた時にでも偶然掴んじゃったんじゃないの。
ダイイング・メッセージですらないのかも知れないわ」
古畑「んー、実を言うとですね。私もその意見に賛成なんです。
布が入っていたキャビネットの扉はほんの僅かに開いていました。
逆に言うとほとんど閉じていたんです。
布がダイイング・メッセージだとして、
被害者がそれを掴んだ後わざわざ扉を閉めたとは思えません。
もう死ぬ直前だっていうのに、そんな余裕ありませんからねー。んふふ。
あの布には、ダイイング・メッセージ以外の何か別の意味があるんですよ」
小衣「どんな?」
古畑「んーふふふ。それはまだ、何とも」
小衣「アンタそればっかりじゃない。
話はそれだけ? だったらもう出て行きなさいよ。
小衣はこれでも忙しいんだから」
えーと、1時ごろ何をしていたかなんですが。
確かこの控室にいらっしゃったんですよね」
小衣「そーよ、さっき言った通り」
古畑「その時、誰かこちらに来ませんでした?」
小衣「……」
古畑「いかがです? 覚えてらっしゃいませんか。
そんなわけないですよね、何しろついさっきのことだ。
本当にこの部屋にいたのなら答えられないはずがない。
どうでしょう?」
古畑「えー、どなたが?」
小衣「平乃」
古畑「……」
小衣「あらら? どうしたの意外そうな顔しちゃってー。
小衣が質問に答えられたのがそんなに予想外?」
古畑「んー、おかしいなあ。
長谷川さんは、この部屋に来た時誰もいなかったとおしゃってました」
小衣「あれ、ゴッメーン! 言ってなかった?
小衣はこの部屋に隠れてたの。
アイリーンに見つからないように、ロッカーの中にいたわけ」
古畑「……」
小衣「平乃? 確かに来たわよ。
入場者数10000人突破のアナウンスが流れるちょっと前だったかしら、
差し入れにヨコハマ名物のカステラを持ってきたって言ってたわ。
でも、小衣はロッカーに隠れてたんだから、平乃が小衣のこと見てなくても当然でしょ?」
古畑「……んーふふふ、はい」
残念でしたー。とんだ見当違いよ。
そりゃ確かに小衣はアイリーンに付きまとわれて迷惑してたし、
動機はあるかも知れないけどー?」
古畑「……」
小衣「ちょっと考えれば小衣が犯人なわけないってのは簡単にわかるでしょ。
わからない? 凶器のハンマー、あんな重そうな物、
か弱い小衣に扱えるわけないでしょーが。
そりゃ持ち上げることくらいできるだろーけど、
誰かを襲うなんて無理そうだって見ればわかるだろっつーの。
ほんと、これだからIQが3桁の奴は……」
古畑「……」
小衣「で、話はもう終わり?
だったら、いい加減出て行って欲しいんだけど」
古畑「えー、はい。失礼します。
行くよ、今泉君」
今泉「はいっ。
またねー、小衣ちゃん」
小衣「小衣ちゃん言うな!」
小衣「へっへーんだ。
こんなこともあろうかと控室の様子を盗聴器で聞き取っておいて良かったわ。
IQ1400の天才美少女明智小衣があんな変な刑事に負けるわけないでしょーが!」
ガチャ――
古畑「ああ、いたいた。やっと見つけました」
咲「おいすー」
古畑「いやー、探しました。
なんですかこの部屋?」
咲「鑑識課の実験室~」
今泉「なんかここ、落ち着くなー」
古畑「そう言えば君、まだ桑原君のところに入り浸ってるんだって?
あんまり迷惑かけるんじゃないよ」
今泉「ほっといてくださいよ、あそこは僕の心のオアシスなんだから。
ここにも色々あるなあ……ビーカー、上皿天秤、コイル、三角フラスコ……
ああ、アルコールランプと石綿金網がありますよ。
あたりめがあったら焼いて食べるのにな」
咲「え~、アルコールランプであたりめ焼くとか趣味悪いっしょ~」
古畑「ちなみに、遠山さんはなんでこんなところに」
咲「携帯充電しててさー、
この部屋に置きっぱなしにしてたから取りに来たんだ~」
咲「あははー、ここ今日は誰もいないからさー、
午前中ここでサボってんだよね~。
で、そん時に充電器につなげたってわけ。
あ、サボってたこと、小衣には内緒ね~」
古畑「はい、わかりました」
咲「ところで、そっちの人は~?」
今泉「今泉慎太郎です!」
咲「そ~。アタシは遠山咲。よろしく~。
ねえねえ、なんでオデコに顔のあとみたいなのついてるの~?」
古畑「ああ、ほんとだ。なんだこの顔、不気味だなー。
君、呪われてるんじゃないの?」
今泉「古畑さんがさっき仮面で僕のこと叩いたからですよっ!」
咲「あはは、うけるー。ねえ、写メ撮っていい?」
古畑「ええ、どうぞどうぞ」
古畑「じゃあ、南側の壁の窓、全部カーテン閉めちゃいましょう。
今泉君、そっちのカーテン閉めて」
今泉「はい」
咲「んー、大分よくなったけどまだ日光が邪魔してる感じ」
古畑「もう午後ですからね。今泉君、西側の窓も全部カーテン閉めて」
今泉「はい」
咲「暗すぎー」
古畑「今泉君、電気つけて」
今泉「はい」
咲「お、バッチグー。激写なうー」パシャッ
古畑「しかし、こんな奴の写真なんか撮っても
しょうがないんじゃないですか」
咲ちゃんの面白写真コレクションに入れるんだから。
ん、あれ……」
古畑「どうしました?」
咲「携帯のフォトデータが壊れてる。
何これサイアク~」
古畑「あーあー、今泉の写真なんか撮るから呪われたのかも」
咲「お気に入りの写真もあったのにマジブルー。
充電する前は何ともなかったのに」
古畑「……」
今泉「あ、そうだ。携帯のデータで思い出したんですけど、
さっき面白い展示があったんで動画摂ってきたんですよ。
ほら、これ。爆弾処理ロボットなんですけど」
咲「お、ポポロMK-2じゃんー」
ガヤガヤ……
今泉『うわー、すごい人ごみだなー』
ガヤガヤ……
今泉『順番まだかなー』
ガヤガヤ……
今泉『ああ、やっと順番回ってきた。
へー、これが爆弾処理用のロボットか』
係員『はい。ポポロMk-2です。
爆弾処理だけでなく、ロボットダンスしたり、
底部のブースターで飛んだり、変形したりもできるんですよ。
誤作動が多いのが玉に瑕なんですが、それは仕様です』
じゃあポポロちゃんですね』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわーすごい、喋った!
ポポロちゃん凄いなー』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわ、叩いてきた! なんで!』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『やめて、助けてー!』
>>83
http://blog-imgs-49.2nt.com/s/s/h/ssh123/03_500.jpg
電子ロックではなく、画像右側の鍵の側面についてるつまみみたいな奴。
これでロックすると、クレセント錠部分が動かなくなる。
古畑「……」
咲「あはは、けっさく~」
古畑「撮影開始時刻が一時ちょうど……で動画が5分間」
咲「つか、列に並んでるところから撮らなくても良かったんじゃない?
そこだけでも結構長かったし~」
今泉「でも凄いでしょ古畑さん。このロボット。
自分で動いて、しかも喋るんですよ」
古畑「今泉君さー、ちょっと調べてきてほしいことがあるんだけど」
今泉「はい?」
古畑「パンフ持ってる? 持ってるよね、ちょっと開いて」
今泉「はあ」
確認してほしいのは――」
今泉「……わかりました」
古畑「早く。なるべく急いで」
今泉「はい!」
ダダダダダ――
古畑「あー、遠山さん、申し訳ないんですが
しばらく携帯を貸してもらえませんか」
咲「えー?」
古畑「夕方までには必ずお返しします」
咲「まあいいけどー。変なことに使わないでよー」
古畑「はい、ご安心ください」
今泉「古畑さーん! 調べてきました」
古畑「ご苦労様。どうだった?」
今泉「はい、古畑さんの言っていた通りでした。
で、なんでかっていうとこういう理由があったみたいで――」
古畑「……そう、ありがとう。
あー、あとさ、大至急
小衣ちゃんを呼んできてくれる?」
今泉「はい!」
古畑「えー、明智小衣は致命的なミスを犯しました。
彼女は、自分が犯行現場にいたという証拠を残してしまったんです。
今回の問題は二つ。
明智小衣はどのようにして密室殺人を行ったのか?
そして、彼女が犯したミスとは?
ヒントは……壊れた携帯と、今泉君の動画。
ま、考えてみてください。
古畑任三郎でした」
内側のサムターンのみのドア、窓の鍵。
ハンマー、爆弾処理ロボット、10000人超えの放送。
カステラ、ロッカーの中。
はてさて………
青い布で被せて殴ったとしたら
展示のない西館
どこかから何かを取り出した小衣
一時過ぎの放送
誘導するよう次子に指示した小衣
窓は南と西側
飾り付けの布
12:59でとまった時計
G4の控え室
仮面
小衣は青い服
控え室を盗聴
小衣ちゃん言うな!
携帯充電
南の窓からは日差しが強い
西日も強い
充電後壊れた画像データ
MKー2の誤動作
動画は1時→1時5分まで
自分で動いてしゃべるMKー2
>>115
ない。必要な位置関係は問題部分から特定できる。
ここからわかることは・・・・
控え室にいたら聞こえないはずの放送を聞いちゃってるね。
これがミスか
後はどうやって密室をしたのかだ
放送が西館にしか流れなかった説にはなんか根拠あるの?
あと密室もあるからな!
はやいよお!
平之は放送聞いてたっけ?
それよりも密室か
今泉ビデオに放送入ってない
展示場は東館、放送は一時過ぎ、動画は一時きっかり。うまく噛み合うね。
やっぱり方角はヒントか。西館二階の鑑識部屋にも南、西の窓があるから、この部屋は犯行現場の真上なのかな?
んじゃ45分まで待つ。
その間に「今泉慎太郎」でも書いてる。
ついでにヒント。
携帯の画像データが壊れたのは偶然で、犯人が意図したものではない。
で、事件現場は窓から入れたわけだから一階にあって、
平乃のセリフから、南と西に窓がある。
いやまあパッと思いついただけだから根拠とか無いが
「その窓から覗いてみろよ」って言ってるな
廊下に面した窓ってことか?
だの鍵も次子、窓の鍵も次子がチェックしてるもんなぁ・・・
アイリーンがドア開けたら青い布でごまかしてあったポポロがあって、その服をつかんじゃって・・・ってことだろ布は
全部回収してキャビネットに入れたけど手の仲間ではみる暇がなかったとか
まるはだかのロボが残ることになるよ。
データ破損と犯行現場が近いことは関係ありそう。もっと時間があればわかりそうなんだが………
今泉「小衣ちゃ~ん!」
小衣「小衣ちゃん言うなっ!
何なのよアンタはもー」
今泉「古畑さんがお呼びです」
小衣「はあ? 知らないわよそんなの」
今泉「……」
小衣「ちょっと、どきなさいよ!」
今泉「古畑さんがお呼びです!」
小衣「……あーそう、わかったわよ。
このIQ1400の天才美少女、明智小衣を呼び出すなんていい度胸じゃない。
で、小衣はどこにいけばいいの?」
今泉「はい、こちらです」
ガチャ――
小衣「来たわよ! 何の用ー?」
古畑「どうもー、お待ちしてました」
小衣「要件を言って。手短に。
小衣は事件の捜査で忙しんだから」
古畑「んーふふふ。無理ですよ、解決しません。
いもしない怪盗を追っていては」
小衣「アンタまだそんなこと言ってるの?
じゃあ現場が密室だったことをどう説明するわけ?
まーた、『今はまだ、なんとも』とか言うんじゃないでしょーね」
古畑「んー、ご安心ください。
今度はきちんと説明できると思いますよー」
小衣「へー、自信満々にそんなこと言って吠え面かかないと良いわねー。
じゃ、聞くわよ。犯人はどうやってあの部屋から脱出したの?
部屋の外から鍵をかけたりできるわけ?」
古畑「それを説明するためにですね、ちょっと道具を用意しました。
その床に置いてあるトランクを机の上で開けてもらえますか?」
小衣「これ? 小衣にそんなことさせるなんて小衣使いが荒いわね。
ま、つきあってあげるわよ……って何これ、重っ!!」
小衣「無理よこんなの! 小衣をプロレスラーだとでも思ってんの!?」
古畑「そんなに重いですか? では私が……ほら、重くない」ヒョイッ
小衣「え、片手で……アンタ見かけによらず力あるのね」
古畑「いやー、そんなことありませんよ。
一度床に置くので、もう一度持ってみます?」
小衣「貸しなさいよ。んー……やっぱ重いー!!
中に何入ってんのよこれ!」
古畑「まあ、机の上に置いて開けてみれば分かります」
小衣「だからー、持ち上がらないんだっつーの!」
古畑「もう一度、持ち上げてみてください」
小衣「何度やったって重さが変わるわけないでしょーが!
……って、あれ、持ち上がった」ヒョイッ
古畑「んー、ふっふっふ」
古畑「えー、はい。
このリモコンでオンオフを切り替えることができます」
小衣「ああそう。だから小衣が持ち上げようとしても床に吸着して
持ち上がらなかったわけね。
……で? こんな悪戯がしたくて小衣をわざわざ呼び出したわけ?」
古畑「いいえ。これが事件に関係大アリなんです!
犯人はこれを使って密室殺人を実行したんですよ」
小衣「分かった。犯人は現場から脱出後、
磁石を使って窓に鍵をかけたって言いたいんでしょ?
でも残念でしたー。あの窓の鍵はステンレス製、磁石では動かせませんー。
さらに窓にはロックもかかってたけど、そっちはプラスチック製だし」
古畑「んー、違います。犯人は外から窓を施錠したわけじゃないんです」
小衣「じゃあドアから? それはもっと無理だっつーの。
次子が部屋の外にいたんだから」
古畑「いいええ。ドアからでもありませんー。
ドアは被害者自身が施錠したんでしょう」
小衣「はあ? じゃあ犯人はどっから脱出したっての!?」
する必要が無かったんですよ。
だって、殺害時には部屋の中にはいなかったんですから」
小衣「何それ、じゃ、どうやって犯人はアイリーンを殴り殺したのよ?」
古畑「はい、そこで電磁石なんです。
あの部屋の中には磁力の影響を受けるものがあったじゃないですか。
鋼鉄製の……凶器のハンマーが」
小衣「あーっはっはっ、面白いこと考えるのねアンタって。
部屋の外から磁石でハンマーを動かして殴り殺したっての?
そんなことできるわけないでしょーが」
古畑「んーふふふ、それができるんです」
小衣「無理無理。
あんな重そうなハンマーを宙に浮かせるほどの磁力が発生していたら、
部屋の中無茶苦茶になるわよ。
それに人間を狙ってハンマーを動かすのだって、できっこないわ。
どんだけ大掛かりな装置が必要になると思ってるのよ」
古畑「いえー、別にハンマーを宙に浮かせる必要なんてありません。
と言うかむしろ逆なんです。浮かせたんじゃなくて落としたんです。
磁力で天井に張り付けておいて、
被害者が真下に来た時に電気を切ってハンマーを落下させた……
これならできると思いませんか?」
都合よくアイリーンがハンマーの真下に来るとは限らないじゃない」
古畑「ところが、犯人は彼女がハンマーの真下にくることが分かっていたんです。
これ、見覚えありますよね?」
小衣「アイリーンが握っていた、青い布」
古畑「彼女はアナタを探していました。
そしてあの部屋にアナタがいると言われて部屋の中に入った。
部屋の中には誰もいません。しかし、この布がキャビネットの扉からはみ出していた」
小衣「……」
古畑「それを見て彼女はこう考えたんです。
アナタがキャビネットの中に隠れている……と。
何しろアナタの服と同じ色ですからねー」
小衣「…………」
古畑「もちろん、この布は予め犯人がキャビネットの扉に挟んでおいたものですよ。
被害者の行動を誘導するために」
ハンマーの形状次第で落ち方なんてかわるんじゃね
ハンマーがどんな形状だろうと、激突の角度が違いすぎるお。
逆に考えたら、ハンマーが凶器だった場合でも「投げた」という可能性が無いわけじゃないしな
それもそうだな。ただ磁石のヒントはもう少し欲しかった……傷口の話をしてくれればと思ってぼやいたのだ。すまん。
古畑「犯人は電磁石を操作するため、現場の真上の部屋……つまり、この部屋にいたはずです。
場所はすぐ下なんですから床に耳をつけていれば物音で中の様子が分かるでしょう。
あるいは、小型のキャメラや盗聴器を窓から下の階の窓の外に垂らしてもいいかも知れません。
これらは密室の外にあっても用をなすので、回収も簡単でしょう」
小衣「……」
古畑「いかがでしょうか。説明はついていると思いますが」
小衣「……まー、一応説明はついてるみたいだから、そこは褒めてあげるわ。
でもちょっとその方法は穴が大きすぎるんじゃない?」
古畑「んー、どうして?」
小衣「だって、確実性に欠けるでしょーが。
アイリーンが天井のハンマーに気づくかもしれないし、
逆にキャビネットからはみ出た青い布に気づかないかも知れない。違う?」
古畑「その通りです。しかし、そうなったら殺害を中止すればいいだけの話なんです。
事件現場において、犯人は被害者と顔を合わせていません。
上手く行かなそうなら中止すれば、それでなんの問題もない」
でもさー、それは、その方法を使えばトイズを使わなくても
犯行が可能だと証明しただけよね。
小衣の推理した通り、怪盗による事件だって可能性も否定できないでしょーが」
古畑「いいえ、犯行はこの方法で行われたんです」
小衣「なんで言い切れるの」
古畑「んーふふふ、証拠があるんです。
はい、これですー」
小衣「それ……咲の携帯じゃない」
古畑「ちょっとお願いしてお借りしてるんです。
えー、この携帯なんですけどね、
午前中にこの部屋で充電器に繋がれた後、
つい先ほどまでここに放置されていたんです」
小衣「それで?」
古畑「重要なのはですね、充電中になぜか
この携帯に保存されていた画像データが
壊れてしまったということなんです」
小衣「携帯のデータが……?」
古畑「この部屋で使われた電磁石の、強力な磁気が悪影響を及ぼしたんですよ。
精密機器や磁気記憶媒体は外部からの磁力に弱いですからねー」
古畑「そう言えば被害者の腕時計も針が止まっていました。
あれ、最初は被害者が倒れた衝撃で止まったんだと思ってたんですが、
時計自体には損傷がありませんでした。
あれも、ハンマーが帯びた磁気のせいで故障したんでしょう」
小衣「……」
古畑「この部屋で強力な磁石が使われた証拠……
ひいては先ほどの方法で殺害が行われた証拠になると思いますが」
小衣「……そうね」
古畑「怪盗事件ではなく、普通の殺人事件だと考えても?」
小衣「……いいわ」
古畑「んーふふふ、ありがとうございます。
さて、さきほどの方法で犯行を行うにあたり、必要なことがあります。
被害者に事件現場の部屋に入ってもらうことです」
小衣「……」
古畑「被害者はアナタを探してあの部屋に行きました。
アナタがあの部屋にいると被害者に伝えたのは銭形さんですが、
その銭形さんに指示を出したのは――」
古畑「はい?」
小衣「小衣が犯人だって言いたいわけ?」
古畑「違うんですか?」
小衣「違うわよ! 密室殺人の方法については
アンタの推理を認めてあげるけど、
小衣が犯人なわけないでしょーが!!」
古畑「しかし、被害者をあの部屋に誘導したのはアナタです」
小衣「それが何? たまたまよ。
小衣が偶然言わなかったら、犯人がアイリーンに同じことを言ったんじゃない?」
古畑「んー、偶然で済ますのはどうでしょうか」
小衣「だって偶然なんだからしょうがないでしょ?
それともアンタは、小衣が殺意を持って
アイリーンをあの部屋におびき寄せたと証明できるわけ?」
古畑「……」
平乃が来たことだって覚えてたじゃないの」
古畑「いやー、しかし長谷川さんはアナタのことを控室で見たわけではありません。
控室にレコーダーを置いておいて
あとで犯行時間帯の部屋の様子を確認したとか、
あるいは盗聴器を使ってこの部屋から
リアルタイムで様子を聞いていたとか、色々考えられます」
小衣「はいはい、想像想像。
小衣が控室にいなかったって証明できるわけじゃないんでしょ」
古畑「んーふふふ」
小衣「何よ気持ち悪い笑い方しちゃって」
古畑「えー、証明できるんです。
と言うよりアナタ、ご自分で証明されてるんです。
犯行時刻、控室にはいなかったと」
小衣「はあ?」
古畑「えー、こちらは私の携帯です。
今日、今泉が撮った動画を移してあります」
小衣「あ、これ。あの爆弾処理班のクソロボット」
古畑「ま、とりあえず見てください」
ガヤガヤ……
今泉『うわー、すごい人ごみだなー』
ガヤガヤ……
今泉『順番まだかなー』
ガヤガヤ……
今泉『ああ、やっと順番回ってきた。
へー、これが爆弾処理用のロボットか』
係員『はい。ポポロMk-2です。
爆弾処理だけでなく、ロボットダンスしたり、
底部のブースターで飛んだり、変形したりもできるんですよ。
誤作動が多いのが玉に瑕なんですが、それは仕様です』
じゃあポポロちゃんですね』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわーすごい、喋った!
ポポロちゃん凄いなー』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわ、叩いてきた! なんで!』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『やめて、助けてー!』
古畑「いかがでしょう?」
小衣「いかがでしょうって言われても……」
古畑「何か感想は?」
小衣「アンタの部下アホそう」
古畑「他には?」
小衣「いつ見てもこのロボットむかつく」
古畑「他には?」
小衣「いい加減にしなさいよ。
このつまんない動画がなんだって言うの!」
で、動画の時間は五分間」
小衣「で?」
古畑「まだ分かりませんか?
アナタ、認めてます。自分が控室にはいなかったと」
小衣「小衣、IQが3桁の人の言うことってよくわかんなーい。
この動画がなんだって言うのよ! 別に何もないじゃない!」
古畑「では……これが最後の証拠です。
また、今泉の撮った動画です。
ご覧ください」
古畑『……』
小衣『あらら? どうしたの意外そうな顔しちゃってー。
小衣が質問に答えられたのがそんなに予想外?』
古畑『んー、おかしいなあ。
長谷川さんは、この部屋に来た時誰もいなかったとおしゃってました』
小衣『あれ、ゴッメーン! 言ってなかった?
小衣はこの部屋に隠れてたの。
アイリーンに見つからないように、ロッカーの中にいたわけ』
古畑『……』
小衣『平乃? 確かに来たわよ。
入場者数10000人突破のアナウンスが流れるちょっと前だったかしら、
差し入れにヨコハマ名物のカステラを持ってきたって言ってたわ。
でも、小衣はロッカーに隠れてたんだから、平乃が小衣のこと見てなくても当然でしょ?』
小衣「……」
古畑「んーふふ、どうされました。
顔色悪いですよ」
小衣「……何でもないわよ。これがなんだって言うの?」
古畑「はい、アナタはっきりおっしゃってます。
長谷川さんが来たのは、
『入場者数10000人突破のアナウンスが流れるちょっと前だった』と。
あのアナウンス、私も聞いていました。
一時ちょっと過ぎに流れたのを覚えています。
我々が被害者を発見したのが1時5分ですから、
1時ちょうどから5分間のどこかで流れたのは間違いありません」
小衣「……」
古畑「しかし……しかしですよ?
今泉がロボットを撮った動画も同じ時間帯なのに、
こっちにはアナウンスが入っていないんです。
なんでだか分かりますか? まあ考えても分からないでしょうね。
ですから私は、今泉を放送室に行かせて、調べさせました」
小衣「……」
やっぱ東館と西館の関係は重要やったんやな
実際は6000人くらいだったそうです。
放送室側の手違いであのアナウンスは流れてしまったんですよ。
ま、と言っても、大した問題はないんです。
なにしろ、あのアナウンスは、展示がなくて客もほとんどいない
西館だけにしか流れていないそうですからね。
間違いに気づいて東館には放送しなかったそうです」
小衣「……西館、だけ……?」
古畑「はい。んーふふふ……G4の控室は展示と同じく東館にありましたよね?
しかし、アナタははっきりとアナウンスを聞いていたんです。
つまり、犯行時刻にアナタがいたのは控室ではありえない!」
小衣「だからって、小衣がこの部屋にいたと証明したわけじゃないでしょ!」
古畑「ではどこにいたんですか?
西館にいたのは確かです。アナウンスを聞いていたんですからね。
しかし、隣の部屋には人がいました。
アナタが来たか今泉に調べさせましたが、来ていないとのことでした。
その隣の部屋も調べさせました。その隣も。上の階も!
この部屋以外全部調べましたが、どこにもアナタは来ていない」
小衣「…………」
小衣「……ないわ」
古畑「自供と受け取っても?」
小衣「…………いいわ」
古畑「んーふふふ、ありがとうございますー」
小衣「…………勝った気になるんじゃないわよ。
あくまで、偶然アナウンスのミスがあったおかげなんだから!」
古畑「ふふふふふ」
小衣「それに咲がこの部屋で携帯の充電なんかしてなければ……
平乃が差し入れなんて持ってこなければ……
そもそも次子がクソロボットを展示なんてさせなければ……
アンタは小衣のことを疑いすらしなかったわよ」
古畑「いやー、それでも私、アナタのこと疑ってましたよ」
ハーバード大学を首席で卒業した、
IQ1400の天才美少女明智小衣にミスがあるはずがないわ」
古畑「んーふふふ。アナタ現場で事件で怪盗事件だと判断した後
G4の皆さんに指示を出してましたよね。
遠山さんには怪盗のデータの洗い出し、長谷川さんには本部への連絡、
銭形さんには周囲への聞き込み」
小衣「それが?」
古畑「しかしですねー、この警察博では
過去に警察が怪盗から守った美術品も展示されてるそうじゃないですか。
怪盗が現れたのだと思ったなら、まず美術品が狙われると思うはずです。
ところがアナタ、美術品を守るようにと言う指示は一切出さなかった。
それで思ったんです。アナタは、怪盗なんか現れていないことを知ってるんだ、と」
小衣「……降参。アンタ、IQが2000はあるんじゃない?」
古畑「いやー、その十分の一くらいしかないと思いますよ。
それでは、行きましょうか」
小衣「ええ」
(おしまい)
次回作も期待
天井に張り付いた凶器というアイデア一本で十分納得のいく出来だった
完全にあのBGMが頭に流れてるわ
逆に考えたら、ハンマーが凶器だった場合でも「投げた」という可能性が無いわけじゃないしな
>>190
磁石のヒントは携帯以外にも、>>71で今泉がはっきり実験室にコイルがある旨を発言してる。
傷口の角度は解剖すりゃわかるだろうけど、パッと見じゃ区別つかないかなと思ってる。
で、怪盗事件と判断されてる限り捜査権は小衣ちゃんにあって、司法解剖に回すかどうかの判断も小衣ちゃんがするからセーフかな、と。
完全に一本取られた・・・これはすごい
さすがこころちゃんですね!!
身長が180センチあると思ったら、178センチしかなかったとか。
貯金が200万あると思ったら、20万しかなかったとか。
数えきれないほど事件を解決したと思ったら、実は一つも解決していなかったり。
そういう時はたいてい、僕は悲しい気持ちになります。ご注意を」
今泉「まったく、古畑の奴は人使いが荒いんだよ。
今日もあちこち走りまわされてさ」
桑原「まー、あの人、頭脳労働担当って感じだからねー。
自分で動き回ったりとか、あんまりしなさそう」
今泉「何が頭脳労働担当だよ。
僕だってね、頭脳にはちょっと自信があるんだから」
桑原「ええー、本当ー?」
今泉「本当だよ! おばあちゃんにだって、
慎ちゃんは天才だって言われてたんだから!」
桑原「身内の評価でしょー?
あ、そうだ、じゃあこれやって見てよ」
今泉「何これ? パソコン?」
桑原「ネットで見つけた知能テスト。どう?」
今泉「いいよー、やってやるよ」
今泉「よし、終わった!」
桑原「さー、じゃ結果見てみようか。
どれどれ……」ピッ
今泉「ほら、97点!!
ほぼパーフェクト!
やっぱ俺もやるじゃん!」
桑原「……今泉さん。
非常に言いにくいんだけど」
今泉「何?」
今泉「え、じゃあ97ってのは」
桑原「……平均以下」
今泉「…………」
桑原「…………」
今泉「うわあああああああん」ダキッ
桑原「…………」
(おしまい)
次は2~3週間後くらいに、スレを立てると思う。多分。
考える時間のなんとも言えない楽しさよ
Entry ⇒ 2012.02.23 | Category ⇒ ミルキィホームズSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
幼馴染「パイズリの練習台になってくれない?」タプン
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329195969/
男「……練習は必要ないだろ」
幼馴染「でも、パイズリって上手じゃないとキモチよくないんだって」
男「……」
幼馴染「ね。お願い♥」タユユン!
男「お前の場合、まずダイエットして体重100Kg切るところから目指せよ」 完
男「いやよくないだろ!意味わからん」
幼馴染「彼氏出来たからさー練習しときたいなって」
男「へー…」ズキッ
幼馴染「だから恋愛対象にならないしあんただったら丁度いいかなって」
男「あのな、馬鹿にしすぎだろ」
幼馴染「嫌なの?パイズリ」ユサッ
男「…」
男「見てねーよ!デカパイ!爆乳おばけ!」
幼馴染「誰がおばけよ!じゃークラスの誰かに頼もーっと」
男「…彼氏に頼めよ」
幼馴染「だから、練習したいの。喜ばせてあげたいの、分かる?」
男「はぁー…」
幼馴染「ま、どうせ童貞にはわかんないか」フゥ
男「てめえ…」イラッ
男「…おい」
幼馴染「なによ?童貞」
男「くっ…わ、わかったよ練習相手になる」
幼馴染「練習相手にさせて下さい、でしょ?」
男「うぐっ……下さい」
幼馴染「お嬢様は?」
男「あぁーもう!!パイズリの練習相手にさせて下さいお嬢様お願いしますっ!」
男「…」
幼馴染「…ま、しょうがないか。男で我慢しよっと」
男「じゃあ…」
幼馴染「慌てすぎキモい。放課後あんたの家ね」
男「わかった」
幼馴染「…ふふっ。楽しみ?」
男「う、うるせぇな」
男「あーまだかよあいつ」ソワソワ
男「…高校入ってから話さなくなって、変わったなぁー」
男「ははっ彼氏、か」
男「…都合のいい男としか思ってないんだろうなぁ」
ピンポーン
男「来たかっ!」ガタッ
男「お、おぅ」
幼馴染「うわーあんたん家久しぶりだわー変わってないね」
男「し、私服に着替えたんだな」ドキドキ
幼馴染「え?当たり前じゃん汚れちゃうし」
男「そ、そうだな」ソワソワ
幼馴染「そわそわしすぎでしょあんた」
男「そわそわなんかしてねぇし」
男「片付けといたんだよ」
幼馴染「へぇーはいこれハンガー掛けといて」ヌギッ
男「あ、はい」サッ
幼馴染「そういえば男の部屋って初めてだっけ」タユン
男「昔遊んだだろー覚えてないか」チラッ
幼馴染「えっウソー!公園とかで遊んだのは覚えてる…ような」プルン
男「ま、昔の事だしな」ジッ
男「何年も前だしな」チラッ
幼馴染「……てか、さっきから目線キモい」
男「見てません」
幼馴染「うわ、素直じゃないのも更にキモい」
男「うっ…つかその服だとより強調されてんだよ!見てくださいって言ってるようなもんじゃねえか!」
幼馴染「キレるとかマジでキモいから」
男「うぐっ…」
男「…あっそ」
幼馴染「…」
男「…」
幼馴染「あのさっ」
男「あのさっ」
幼馴染「…あ、先いいよ」
男「幼なじみから言えよ…」
男「…ここでするんだよな?」
幼馴染「…まぁね」
男「風呂とかのほうがよくないか?」
幼馴染「お風呂っ!?」
男「いや、…だって汚れとかさ」
幼馴染「あ、あんたに裸見られたくないし」
男「そうか…いや部屋でいいけどよ」
男「だからいいって部屋で」
幼馴染「なんか立場わかってない言い方」
男「はぁ?」
幼馴染「練習相手なのよ、あんたは。他の誰だっていいわけ」
男「…わかってるよ」
幼馴染「わかってるなら、…いい」
男「あぁ…」
男「じゃ、お願いします」スッ
幼馴染「……いきなりとか空気読んで」サッ
男「じゃあどうしろと!」
幼馴染「シチュエーションとか雰囲気とかあるでしょ?」
男「パイズリだけだろ…そんな」
幼馴染「あ、童貞だったわねあんた。ごめんごめん」
男「…」イラッ
男「座りました」ギシッ
幼馴染「んで…こう肩を寄せる」
男「寄せました」ギュッ
幼馴染「そ、それで手を握ります」
男「握りました」ギュッ
幼馴染「あっ…」
男「それで?」
男「…胸はいつ見せてくれんの?」
幼馴染「…ちょっと黙れ童貞」
男「はい…」シュン
幼馴染「んで…その…キスをします」
男「キス?」
幼馴染「な、なによ」
男「いやそれはまずいだろ」
男「童貞とかじゃなく。彼氏によくないだろ」
幼馴染「…いいの」
男「よくない」
幼馴染「いいのっ!」
男「…はぁ」
幼馴染「ビビってんじゃないわよ。全く…」
男「ビビるっていうか…もういいか」
男「わかってるよ…」
幼馴染「ぅ…」
男「幼馴染…」スッ
幼馴染「ま、待った!」
男「へ?」
幼馴染「時間かけすぎ!こーゆーのはサッとするものなの!」ビシッ
男「すみません…」
男「はいはい」
幼馴染「…じゃ」
男「…お、おう」
幼馴染「…」ドキドキ
男「…」スッ
幼馴染「…い、いやー今日は暑い!」サッ
男「避けんなよ」ガシッ
男「いや、待たない」ギュウ
幼馴染「バカッ!力強っ…」
男「……っ…」
幼馴染「んんっ!……むふっ…」ピクッ
男「…ふっ……」
幼馴染「…んふっ……ぅ…」
男「……っと…」
男「で、次は」
幼馴染「へっ?」
男「次はなんだよ。てかよだれ出てんぞ」
幼馴染「はっ…」ゴシゴシ
男「次は胸か?」
幼馴染「目血走らせんなバカ」
男「胸はまだかよ!」
男「チッ…」
幼馴染「…あ、」
男「なんだよ」
幼馴染「ズボン…膨らんでる」
男「当たり前だろ」
幼馴染「そ、そりゃそうよねこんなナイスバディーを目の前にしたらね」
男「脱いでいいか」ヌギヌギ
男「準備だろ準備」ズルッ
幼馴染「っ…」ジーッ
男「…あんま凝視しないでくれないかな」ムクムク
幼馴染「あ、…明るいとこでするの久しぶりだし。ちゃんと見ないからいつもは」
男「…」
幼馴染「あれ?」
男「…」
男「いや別に」
幼馴染「…そろそろじゃ私も」
男「まだかよ」
幼馴染「んしょっ」ヌギッ
男「っ!?」
幼馴染「ふー」タユン
男「すげぇ…」
男「手、どけないのか」ジーッ
幼馴染「まだ…おあずけ」
男「すげぇ…すげぇ…」シコシコ
幼馴染「ちょっと何してるの?」
男「…はぁ…はぁ…」
幼馴染「き、聞いてる?」
男「はぁ…はぁ…」シコシコ
男「痛いっ!叩くなよ」
幼馴染「うるさい!トリップしてたのが悪いの!」
男「はっ…」
幼馴染「せっかく私が…」
男「いいのか?」ズイッ
幼馴染「だからっ!近い!」
男「パイズリしてくれよ」
男「はい」スクッ
幼馴染「急に聞き分けよくなったわね。まぁいいか」
男「まだかよ」ソワソワ
幼馴染「はい気をつけー」
男「はい」ピシッ
幼馴染「…動かないでよ」ニギッ
男「うっ…」
男「ストップ!ストップ!」
幼馴染「え?」ピタ
男「パイズリっ!胸でしてくれよ!」
幼馴染「…あぁそうだったそうだった」
男「なんだよ…いつも彼氏にしてんじゃねえのかよ」
幼馴染「…やり方忘れてただけだから。威張るな童貞」
男「早く…頼むよ」
男「え…」
幼馴染「なによ」ギュー
男「い、いや何故に脇と…気持ちいいけどさ」
幼馴染「最初は!こうやるの!」ギュゥ
男「はいっ!」
幼馴染「んで…次にこう」パフッ
男「はうっ…」
男「はぁ…はぁ…」
幼馴染「どう?」ギュウ
男「ヤバイっめちゃめちゃキモチいい」
幼馴染「ふふー」ムニュムニュ
男「はっ…!はっ…!」
幼馴染「なんか出てるんだけど」
男「我慢汁だろっまだ続けてくれよっ!」
男「あっやばっイクッ!」ガシッ
幼馴染「あっ…」
男「くはっ!」ビュルルッ
幼馴染「きゃっ!」ポタタッ
男「うぁ…あっ…」ビュルビュルルッ
幼馴染「うわー…」
男「ふっ……ふぅ…」
男「あ、うん」
幼馴染「…」フキフキ
男「(冷静に見ても…エロいよな…幼馴染)」ジロッ
幼馴染「匂い酷いね」
男「換気するから」
幼馴染「…シャワー浴びてくる」テクテク
男「わかった」
男「ヤバイ…」ムクムク
男「一発抜いとくか」
男「…えーっとAVAVっと」ゴソゴソ
男「…」シコシコ
男「はぁはぁ…」シコシコ
男「なんか…違うな」
男「…幼馴染っ……」
男「幼馴染っ!イクぞっ!」ドピュッ
男「はぁ……なんだこの虚無感…ティッシュティッシュ」
幼馴染「何…してんの」
男「あっ」
じゃねぇよwww
男「えっ…え?」
幼馴染「…傷ついた」
男「へ?」
幼馴染「私傷ついたっ!」
男「ええっ?」
幼馴染「なんでAVなんか見てるの?バカッ!!」
男「えっ…その」
男「!?」
幼馴染「最低…」グスグス
男「…本当にごめん」
幼馴染「…正座」
男「はい…」スッ
幼馴染「本当に悪いと思ってる?」
男「思ってるよ。ごめん幼馴染」
男「……ご、ごめんなさい幼馴染様」
幼馴染「許して下さい。プリンとアイスを買うので」
男「許して下さい。プリンとアイスを買うので…」
幼馴染「……もう幼馴染でしかオナニーしないから」
男「もう幼馴染でしか……ちょっといいか?」
幼馴染「なによ」
男「いや、その…」
男「そりゃどういう事だよ」
幼馴染「なんか…むかつく」
男「はあ?」
幼馴染「童貞のくせに馬鹿にするなって感じ」
男「…??」
幼馴染「…はいっもうこの話おしまい!」
男「…あ、あのさ」
男「ひぐぅっ!?」
幼馴染「正座してろって言ったのにな」グリグリ
男「ふっ踏むなよっ…」
幼馴染「いやなの?また硬くなったけど」グリッ
男「ぐふっ…」
幼馴染「…変態」
男「幼馴染が踏むからだろっ…」
男「あっ…」
幼馴染「続けて欲しい?」
男「なっ…」
幼馴染「続けて欲しいなら僕は幼馴染の奴隷ですって言いながら」
男「…てめえ」
幼馴染「何怒ってるの?変態」
男「…いい加減にしろっ!」バッ
男「俺だって、怒る時は怒るんだぞ」
幼馴染「へぇ?童貞のくせに」ググッ
男「力じゃ俺の方が強いに決まってるだろ」ガッ
幼馴染「…」
男「でけぇ胸揺らしやがって…」バッ
幼馴染「…っ…めてよ」
男「五月蝿い…」
男「はぁ…はぁ…」ムギュッ
幼馴染「強いって…」
男「…はむっ」
幼馴染「んっ!!」
男「んっ…じゅるっ…ちゅぱっ……」
幼馴染「やだぁ…」グス
男「ふーっ!ふーっ!」
男「…ぇぅあっ」ドピュ
幼馴染「えっ…」
男「あっ…」
幼馴染「…」
男「…」
幼馴染「握ったら出ちゃった…」
男「…」
男「…ごめん」
幼馴染「…」
男「乱暴にして」
幼馴染「もういい…」
男「(最低だ…俺)」
幼馴染「まだ…したい?」
男「……えっ」
男「いや、だってさ彼氏に」
幼馴染「ばか…」
男「…?」
幼馴染「彼氏なんていないもん」
男「」
幼馴染「…男に、…その喜んで欲しくて」
男「ま、マジかよ!?」
男「ま…マジで」
幼馴染「うぅ…」
男「よ、よくパイズリとか知ってたな」
幼馴染「ちゃんと勉強してきたもん」
男「勉強……」ムクムク
幼馴染「げ、元気だね」
男「いや、その仕方ない!幼馴染の前だしな!」
男「おれ…」ギュッ
幼馴染「あっ…」
男「お、おれ…で………」ギュッ
幼馴染「…やだ」
男「えっ」
幼馴染「そんな言い方じゃ…やだ」
男「幼馴染…」
男「幼馴染さん」
幼馴染「はい…」
男「幼馴染さんの事が好きです」
幼馴染「はい…」グス
男「俺でよければ付き合って下さい」
幼馴染「当たり前じゃないの馬鹿…」ギュウ
男「当たり前かよ」ギュッ
男「わ、わかった」
幼馴染「本当?」
男「幼馴染でしかオナニーしないよ」
幼馴染「面と向かって言われると恥ずかしい」
男「悪い」
幼馴染「…」
男「…」
男「あ、あぁ」
幼馴染「…さっきより硬いね」ギュッ
男「幼馴染っ…」
幼馴染「あんなに出したのに」ピタッ
男「えっ…」
幼馴染「……する?」
男「……する」
男「…じゃあ」スッ
幼馴染「ち、ちょっと待って」ゴソゴソ
男「ん?」
幼馴染「ちょっと…ちゃんとつけてよ…」カァッ
男「…何故に持ってるんだ」
幼馴染「ばっ…友達にもらったの!!」
男「はいはい」
男「大丈夫だ」
幼馴染「そっか」
男「つけました」
幼馴染「は、はい」
男「…えっとさ」
幼馴染「な、なに」
男「準備、いる?」
男「えーっと、ちょっといいか?」スッ
幼馴染「えっ、あっあっちょっとまって」
男「あ…」ヌルッ
幼馴染「………違うから」
男「え?」
幼馴染「男だって!ちんちん濡れてるでしょ!!」カァッ
男「準備万端だな…」
男「力抜いて」
幼馴染「ちょっと、怖い…かも」
男「…」チュッ
幼馴染「…んっ」
男「入れるからな」
幼馴染「ど、どうぞ」
男「可愛いなおい…」
男「はいっ……」ズプッ
幼馴染「痛っ…たい!…」
男「きっ……つ…」
幼馴染「んあっ…男っ…」
男「だ…大丈夫か?」グイッ
幼馴染「大丈…夫っ…じゃッないっ…」
男「全部はいっ…た」ググッ
男「やっ…ば…」ズッズッ
幼馴染「ああっ…あっ…」
男「はぁ…はぁ」ググッ
幼馴染「イッ……くぅ…」
男「…ぐあっ……ああっ!!」ビュルルッ
幼馴染「ああっ、あああっ!!」
男「…うぁっ…ああー…」ドサッ
男「あー…やばっ…まだっ…」ビュルッ
幼馴染「ふにゃ…あっ」ビクンッ
男「だ、大丈夫かよ」
幼馴染「ふあ…」
男「幼馴染…」ギュッ
幼馴染「おとこぉ…」
男「い、イケた?」
幼馴染「ばかぁ…」
男「面目ない」
幼馴染「でも…」
男「ん?」
幼馴染「パイズリの時より早く出たね」
男「」グサッ
幼馴染「えっ?」
男「…」
男「…」ズーン
幼馴染「おっぱい触っていいよ!ほら」プルンプルン
男「…」
幼馴染「もー!…じゃ、じゃ」
男「…?」
幼馴染「またパイズリの練習から…ね?」
男「…はい」ムクムク
Fin
乙だ
お前はよくやったよ
おつ
Entry ⇒ 2012.02.23 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「ここで人生を終えようか」少女「やめたほうがいいかと」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328831839/
男「この木でいいか」
男「……つまらない人生だったな。本当に」
男「……」グッ
ガサガサ……
男「……?!」
少女「あ……」
男「……」
少女「あの……そういうことはやめたほうがいいかと」
男「ほっといてくれ」
少女「あとで死体の処理をする人が大変ですし」
男「……」
男「はぁ……」
男(こんな山奥まで来たのに……死ねなかった……)
少女「えっと……」
男「ありがとう。今日は死ぬ気になれないから、帰るよ」
少女「宿はあるのですか?」
男「ないよ」
少女「寒空で寝屋がないのは命に関わると思いますが」
男「関係ないだろ」
少女「よろしければ、村に来ませんか?」
男「村?」
少女「はい。この先に私の育った村があります」
男「……」
「おかえりー」
少女「ただいまです」
「その人誰?」
少女「えっと……拾いました」
「そうなんだー。珍しいね」
男(捨て犬みたいに)
少女「どうぞ、こちらです」
男「こんな山奥に村があるなんて」
少女「色々と時間が止まったところですよ」
男「そうだな。都会に出たりしないのか?」
少女「出る必要がありませんね。ここで全てが賄えますから」
男(自給自足か)
少女「ここが私の家です」
男「……」
少女「おばあちゃん、ただいまです!」
婆「おかえり。おや、お客さんかい?」
少女「はい」
男「お邪魔します」
婆「よくもまぁ、こんな辺鄙なところへ来ましたな」
男「ちょっと、まあ……」
婆「色々と事情があるのでしょうな。さあ、あがってください」
男「ありがとうございます」
少女「私、お茶をご用意しますです」
男「あ、おかまいなく」
婆「さて、どうしてこんな場所にきたのですかな?」
男「え?」
婆「ここは見ての通り何もない場所。あんたみたいな都会の人が用事もなくこないでしょう?」
男「実は……俺、自殺、しようとおもって……」
男「ええ」
婆「理由を聞いてもいいですかな?」
男「よくある話です。―――受験に失敗して、就職もままならなくて……アルバイトで数年間生きてきて……」
男「ふと、将来に絶望して死のうと思っただけです」
婆「最近の都会ではそういう自決が盛んなのですか?」
男「まぁ、多分。俺だけじゃないと思います」
婆「まだお若いのに、もったいない話ですわ」
男「……」
少女「お茶です。どうぞ」
男「ありがとう」
少女「いえ」
婆「して、これからどうするのです?」
男「なにも決めてません」
婆「そうですか」
婆「ああ、わかっているよ。お前は優しいからね」
少女「えへへ」
男「えっと……」
婆「若人さん。まぁ、その若さで死に急ぐこともないでしょう。ここで一泊していくというのはどうですかな?」
男「それは……」
少女「お布団もご用意いたしますよ」
男「……」
婆「孫の優しさを無碍にする気ですか?」
男「そんなつもりは……」
少女「だめ……ですか?」
男「……わかりました。一日、お世話になります」
婆「そうですか。よし、押入れにある布団を今すぐ綺麗にしてあげなさい」
少女「はいです!」テテテッ
男「あ、ありがとうございます」
少女「よっ、ほっ」パンパン
男「わざわざ布団の埃を?」
少女「はいです。寝たときにくしゃみや咳が止まらなくなりますよ?」
男「そこまで汚れているようにはみえないけど」
少女「埃がみえるんですか?!」
男「見えないけど」
少女「じゃあ、隠れた埃が鼻や口から入って大変なことになりますよ」
男「そうかなぁ」
少女「埃は透明ですから」
男(透明ではないと思うけど)
少女「ほっ、はっ」パンパン
男「……」
男(長閑なところだな)
男(そこまで寒いわけじゃないし、空気も澄んでる……)
男「はい?」
婆「ここにいるのも退屈でしょう?村を見てきてはどうですかな?」
男「村をですか?」
婆「小さな村ですから観光はものの十数分程度で終わってしまうでしょうが」
男「……そうですね」
婆「では、孫に案内させますよ」
男「は、はい」
婆「まあ、ゆっくりしていくといいです」
男「わかりました」
男「……」
男「観光か……」
男「何もすることないし、いいか」
少女「……」
男「……」
男(緑が多いな。各家の庭……かな?とりあえず敷地内に畑もあるみたいだ)
男(山菜とかもすぐに採れるだろうし、地産地消ってやつなんだろうな)
少女「ここが私の友達の家です」
男「ふーん」
少女「ご紹介、しましょうか?」
男「え?」
少女「少し待っててです」
男「あ、ちょっと」
男「……別にいいのに」
少女「おーい!!」
友「どったのぉ?」
男(女の子だ。小学生ぐらいか……?)
友「おぉ!?なんだぁ!?」
男「は、はじめまして」
友「どっからきたの?外国?」
男「いや、都会だけど」
友「へー、ほー」
男「な、なに?」
友「今の都会ってこんな服きてるんだー」
男「……」
少女「ごめんなさいです。えっと、やっぱり都会の人は珍しくて」
男「まぁ、そうだろうな」
友「ふーん。あ、首の後ろに袋があるけどなにかいれるの?」
男「それはフードっていて、頭にかぶるものだ」
友「すげー!!都会だぁ!!」
男「……」
少女「今は村の案内の途中だから」
友「ちぇー。なぁなぁ」
男「な、なに?」
友「あとででいいから、私のとこにきてよ」
男「ど、どうして?」
友「都会の話ききたいし」
男「えーと……」
少女「是非、お話してあげてください」
男「じゃあ、後で」
友「約束だからね!」
男「あ、ああ」
少女「じゃあ、またね」
友「おう!」
男(元気な子だな……)
男「え?」
少女「その勝手に紹介したこと」
男「そんなことない。他に見るところもなさそうだし」
少女「すいません。何もなくて……」シュン
男「あ、いや、そういうつもりじゃない。ごめん」
少女「いえいえ。都会に比べれば何もないのは確かです。貴方にとってはつまらない場所ですよね?」
男「そんなこと……」
少女「でも、この村にも名所はあるんですよ」
男「名所?」
少女「あそこです」
男「あれは……神社か?」
少女「はい。あそこにも私の友達がいるので、ご紹介しますね」
男(神社が名所か……)
男(隔絶された場所って感じだな……)
巫女「……」ザッザッ
少女「こんにちはです!」
巫女「……」ペコッ
男「この子が……?」
少女「はい!友達です!私よりもお姉さんです!」
男「はじめまして」
男(確かに大人びてるけど……高校生ぐらいか……?)
巫女「……?」
少女「あ、あの、この人は……都会からこちらに来て……」
巫女「……」
男「な、なんだ?」
巫女「……あなた、都会の人ですね?」
男「え?」
巫女「神は全てを見透かしていますよ?」
巫女「ふっ……無心論者はそうやって自分を棚にあげて、神を貶す。なんとも業の深いことでしょうか」
男「……」
少女「お掃除ですか?」
巫女「よくわかりましたね。流石は神に選ばれし少女です」
少女「えへへ」
男「いや、箒もってるし、君」
巫女「貴方、そうやって神秘を頭ごなしに否定してなにが楽しいのですか?」
男「……」
巫女「これだから、世俗に塗れた魂は穢れているというのです」
少女「あの!!あまり失礼なことはいわないでください!」
巫女「……」
男(変な子だな……)
巫女「今、私のこと、可愛いって思いましたね?……変態」
男「思ってないから」
男「何言ってんだ……」
少女「あ、お参りしていきますか?」
男「いや、俺は……」
少女「願い事、ないんですか?」
男「そうだな……」
巫女「……なくても神の前に来たのです。何か懇願してみては?」
男「でも、そっちのほうが神様に失礼だろ?」
巫女「神は全知全能。たとえ貴方のような汚物の声も耳にいれてはくれるでしょう」
男「叶えてはくれないのか」
少女「じゃ、私だけでもお参りしていきますね」
男「ああ」
少女「よっと!」ガランガラン
少女「……」
男(何を願ってるんだろう。こんな場所で生活してるから、お嫁さんとかかな。都会の仕事なんてしらないだろうし)
巫女「……」ペコッ
男「お邪魔しました」
巫女「……ちょっと」
男「え?」
巫女「神は全てを見透かしています」
男「もういいよ」
巫女「見透かしています。貴方の悪事も偽りの言葉も」
男「はぁ?」
巫女「ですので。私に全てを懺悔しにきてください」
男「どういうこと?」
巫女「懺悔です。私に話したいことがあるのでしょう?」
男「ないけど」
巫女「いいえ、あるはずです。例えば都会のこととか」
男「ないって」
男「……そうなのか?」
巫女「……端的に言えばそうなるかもしれません」
男「わかった。また後で来るよ」
巫女「おぉ。貴方にも後光が見えます」
男「君、色々と無茶苦茶だな」
巫女「神に仕える巫女ですから」
男「……またな」
巫女「……」ペコッ
男「―――変わった子だったな」
少女「でも、私の面倒とかよく見てくれていい人です」
男「ふーん。幼馴染ってやつか」
少女「狭い村なのでみんなが幼馴染みたいなものです」
男「なるほど」
少女「では、次のところにいきましょうか」
少女「ただいまです!」
男「ただいま戻りました」
婆「おかえり。どうでしたかな?」
男「いいところですね」
婆「それは本心ですかな?」
男「え?」
婆「お茶をいれてくれるかい?」
少女「はーい」
男「それは……どういう?」
婆「都会よりもいいところか、と訊いたのです」
男「少なくとも俺が生まれ育ったところよりは」
婆「そうですか」
男「ここには競争とかないみたいですし」
婆「ははは、確かに。ここは皆が支えあうことで生きながらえてきた土地。他人を蹴落としても一文の得もない」
婆「ふふ。都会の空気を知らん田舎者たちですから」
男「そうですね。都会を知るとあんな顔をしていられないかも」
婆「ええ。都会のほうが住みやすいに決まっていますからね」
男「……」
婆「都会には何でもあります。畑を耕さなくても山に行かなくても、すぐ傍に食べ物はある」
婆「衣服を織らなくてもいい。娯楽に溢れ、仕事は多種にわたり様々な選択肢が皆に与えられる」
男「それはそうですが」
婆「田舎で生まれそのまま死んでいくにはあまりにも惜しい時代になったと思いませんかな?」
男「でも、田舎にも良い所はあります」
婆「ははは。都会から来た者は皆そういいますよ。―――そして時が過ぎれば都会に戻るのです」
男「それって……」
少女「お茶でーす」
婆「すまないね」
男「……」
少女「はい」
婆「ゆっくりしていきなされ、若人」
男「……」
少女「どうかされましたか?」
男「いや」
少女「そうですか」
男「……そうだ、あの子の家に行って来たほうがいいかな?」
少女「そうですね。是非」
男「あと、神社にも寄ったほうがいいか」
少女「無理されなくてもいいですよ?」
男「日が落ちるまでには帰ってくるから」
少女「はい。お夕飯を準備していますから」
男「ありがとう。行ってきます」
少女「いってらっしゃいです」
友「おー!!きたかぁ!!あがって!!」
男「お邪魔します」
友「なぁなぁ」
男「なんだ?」
友「ふーどだっけ?ちょっと触らせてよ」
男「いいけど?」
友「ふーん、へー……」
男「……」
友「これが都会なんだなぁ……」スリスリ
男「楽しいか?」
友「おう!」
男「……都会に憧れてるのか?」
友「行ってみたいね。なんでもあるんでしょ?」
男「まあ、うん……あるかな」
男「コンクリートのことか?」
友「それそれ!」
男「そうだな。屋根が見えないぐらい高い建物は多いな」
友「おぉ!やっぱり!いやぁ、そうなんだろうなぁ。うんうん」
男「でも、思ったほどいいところじゃないと思うけどな」
友「なんでぇ?」
男「道にはゴミが落ちていて汚いし、空気も悪い。常に誰かを疑って警戒して生きてるような場所だから」
友「うぇ。そなの?それはやだなー」
男「だろ?」
友「でも、行ってはみたいんだよねー」
男「行くだけならいいと思うけどな。住むような場所じゃないと思う」
友「なぁなぁ。訊きたいんだけど……」
男「なんだよ」
友「都会の人って離れた場所でも他人と会話できるって本当なの?」
友「私もそれ聞いたときは驚いたよ」
男「えー……?」
男(そんなテレパシーなんて……)
男「あ……そういうことか」
友「ん?」
男「ふふ……ああ、できる」
友「すげー!!!都会すげー!!!」
男「会話だけじゃなくて文字も伝えられる」
友「なにぃ!?手紙じゃないの?!」
男「いいや。紙なんて使わない」
友「なにそれー!?えー!?」
男「相手のことを念じるだけでいい」
友「おぉぉ!!都会ってやっぱり人間としての構造が既に違うのかよ……!!」
男(なんか面白いな)
男「だろ?」
友「でも、見てみたいなぁ」
男「そうか」
友「なぁなぁ!都会に帰るとき、私も一緒に連れて行ってよ!」
男「え?」
友「いいだろぉ?」
男「それは……ない」
友「え?」
男「俺が都会に戻ることはない」
友「そうなの?」
男「悪いな」
友「あ、いいって。私もダメもとで訊いただけだし」
男「そっか」
友「うん。それよりもっと聞かせて!えっと、なんでもすぐに温かくできる箱の話とかさぁ」
男「あ、そろそろ行くか」
友「え?どっか行くの?」
男「神社に。あそこの巫女さんとも話をするって約束してたから」
友「姉御か!そっかぁ、なら仕方ないな」
男「姉御って呼ばれてるのか」
友「姉御は良い人だからな。私もお世話になることが多いんだよ」
男「あの子に……?」
友「姉御は色んな知識があるからな!怪我をしたときとかよく治療してくれたよ」
男「へえ」
男(面倒見がいいのか)
友「ほらほら、はやく行ってあげてよ。姉御、待ってるから」
男「分かった。それじゃあ」
友「ばいばーい!!」
男「うん」
巫女「……」
男「こんにちは」
巫女「……都会の人。どうも」
男「ずっとここにいたのか?」
巫女「はい。私は巫女ですから」
男「そうか」
巫女「落陽の刻までここにいます」
男「家は?」
巫女「神の社が私の家です」
男「ふーん」
巫女「なにか?」
男「いや、話聞きたいんだろ?」
巫女「懺悔する気になりましたか。どうぞ、私の隣に座り、心いくまで告解しなさい」
男「なんで偉そうなんだよ……」
巫女「なんでも構いません」
男「なんでも言われても、何から話せばいいかわからないけど」
巫女「そんなことも自分で考えられないのですか。どうにも都会の人は思考力に欠けているようですね」
男「なんだと?」
巫女「ですが、私は巫女。それも愛でます」
男「……」
巫女「さぁ、愚鈍で蒙昧な話を曝け出してみなさい」
男「もういい。帰るわ」
巫女「……」ギュ
男「離せ」
巫女「ふっ。その程度で根を上げるとは。神は貴方の性根を叩き直せと私に告げました」
男「離せよ」
巫女「いいから座って話をしてください。―――都会には魂を写し出す機械があるとか」
男「……まず言うことあるだろ。全く」
巫女「カメラですか」
男「今はデジタルカメラっていうのがあるんだけど」
巫女「ほう」
男「って、言っても分からないよな」
巫女「いいから続けてください」
男「まぁいいか。簡単にいうと風景とかを紙に写して残すことができる機械だな」
巫女「それは代償があるのですか?」
男「代償……。まあ、あるか」
巫女「魂?」
男「いや……インクとか電気か」
巫女「インク?電気?」
男「あ、ここには電気もないのか」
巫女「また新しい俗語が出てきましたね。やはり都会は穢れています」
男(都会を見下してるのか、この子は)
巫女「なんでしょう?」
男「君は都会のことをどう思っているんだ?」
巫女「屑が集まり、己の自尊心ばかりを気にしているところですね」
男「ふーん」
巫女「貴方もそうでしょう?」
男「……そうかもな」
巫女「ふっ。神は全てを見透かしています」
男「じゃあ、都会は嫌いなのか?」
巫女「はい」
男「それが正解かもな」
巫女「貴方も都会は嫌いなのですか?」
男「好きならここまでこない」
巫女「なるほど。貴方とは知人ぐらいにはなれそうですね」
男「常に上からだな、君は」
男「……帰るわ」
巫女「……」ギュッ
男「離せ」
巫女「まぁまぁ。では中層としておきましょう」
男「……」
巫女「都会が嫌いになった理由はあるのですか?」
男「他人と競争するのに疲れただけだよ」
巫女「競争ですか」
男「都会は生きているだけで見知らぬ他人と争ってる。知力と財力でな」
巫女「こことは無縁ですね」
男「その通り。劣る奴は優れた奴の言いなりになるしかない世界。この村みたく支えあうことなんてない」
巫女「貴方は負け組なわけですね?」
男「……その通りだけど、正面から言われると腹立つな」
巫女「事実を突きつけられれば誰でも立腹するもの。貴方は特別ではないということですね」
巫女「……」ギュッ
男「いや、今の発言は正しい。怒れない」
巫女「そうですか」
男「そう。特別になれなかった。俺にはなんの才能もない」
男「生まれて来た意味がなかった。だから……」
巫女「だから?」
男「……死のうとした」
巫女「そうですか」
男「驚かないのか?」
巫女「私は巫女。神のお告げが聞こえます。神は全てを見透かしています」
巫女「貴方のことも、全て」
男「そっか……」
巫女「さぁ、話を続けましょう。―――温風を生み出す装置の話とか聞きたいですね」
男「ああ、エアコンか。いいぞ」
巫女「そうですか。なんなら、泊まっていってもいいですよ?」
男「どこで寝かせてくれるんだ?」
巫女「ここの石畳でも」
男「ふざけんな」
巫女「ジョーク。巫女ジョークです」
男「なんだよ……それ……」
巫女「それでは、ごきげんよう」
男「ああ」
巫女「実に有意義な時間でした。また是非聞かせてください」
男「あ、ああ……」
巫女「……」ペコッ
男(なんだ、意外と素直なんだな、この子……)
巫女「今、私のこと変な子って思いましたね?失敬な」
男「思ってないから」
男「ただいま」
少女「おかえりなさいです!」
男「良い匂いだな」
少女「夕飯、もうすぐできますから居間でまっていてください」
男「わかった」
男(そういえば朝から何も食べてなかったな……)
婆「おかえりなさい」
男「どうも」
婆「夜になると冷えますからね。温まってください」
男「そうします」
婆「ところで、明日以降のことはどうするつもりで?」
男「え?」
婆「話では一泊だけとのこと。これからどうされるのですかな?」
男「……」
男「それは……」
婆「他人の人生に口を挟むことはできればしたくありませんが、死ぬなんてもったいない」
男「……」
婆「死して得るものなどないでしょうに」
男「でも、俺には生きていても得るものはないですから」
婆「そうですか?」
男「才能も知識も、頼れる友人もいない。だから、俺は死のうと思ったんです」
婆「生きていれば得ることもあるかもしれません。現に私もこの歳で貴方との縁を得ました」
男「……」
婆「ははは。長く生きても知らない殿方と出会えた。私にとっては得がたいものですわ」
男「そう思えるのは貴方がこれまで幸せな道を歩いてきたからじゃ……」
婆「人生は十人十色。苦楽の境界など他人にはわかりますまい」
男「そうですけど」
婆「とにかく今日はここで休んでいきなさい。自傷はいつでもできましょう」
少女「この部屋はお使いください」
男「夕食だけじゃなくて部屋まで……ありがとう」
少女「いえ、そんな。おばあちゃんと二人だけの家ですから」
男「そういえば、君の両親は?」
少女「え?」
男「田舎だから広い家に住んでいるっていうのは別に違和感なかったけど、君の親はどこに?」
少女「えっと……昔……いなくなって……」
男「あ……ごめん……」
少女「いえ。気にしないでください。やっぱり不思議に思いますよね」
男「……」
少女「あ、えと、何か困ったことがあればなんでも言ってください!!
男「うん」
少女「ではでは!!」
男(両親がいなくてもあんなに明るく振舞えるなんて。はぁ……俺の駄目さが浮き彫りになるな……)
トントン
男「はい?」
少女『湯浴みの準備が整いました』
男「え?いいの?」
少女『一日の疲労は湯によって洗い流されるとおばあちゃんがいつもいってます』
男「じゃあ、入る」
少女『はい、お待ちしていますです』
男「……え?」
男「……」
男「そっか。こういうところのお風呂って薪をくべたりするんだよな」
男「早く入らなきゃ悪いな」
男「急ごう」
男「ここか」
男「木のお風呂とか初めてだな」
男「さてと……」
ガラッ
男「広いなぁ……4人くらいは入れそうだぞ」
男「……」
男(なんか悪いなぁ……。至れりつくせりじゃないか)
男(死のうとした屑なのにな、俺……)
ガラッ
男「え……?」
少女「どうも」
男「わぁあああ!???」
少女「あの……なにか?」
男「な、なんで入ってくるんだよ?!」
男「いや、おかしいだろ!!」
少女「え……」
男「俺が入ってるんだぞ!?」
少女「ええ」
男「ええ、じゃなくて!!」
少女「お背中でも……」
男「いいから!!」
少女「そうですか?」
男「……」
少女「では……」ペタペタ
少女「……」ザバァ
男(どうなってるんだ……)
男(田舎だからか……?)
少女「ふぅ……」
男「えっと……」
少女「気持ちいいです」
男「……」スタスタ
男「お邪魔します……」
少女「はい」
男「……」
少女「そういえば、お二人と話されたんですよね?」
男「う、うん……」
少女「どうでした?」
男「どうって……えっと……」
少女「楽しそうでしたか?」
男「そ、そうだな……うん……」
少女「あの……どうして私に背中を向けているんですか……?」
男「いや……見ちゃ悪いだろ……」
男「だって……裸なんて……」
少女「裸だから悪いと?」
男「お、おう」
少女「都会ではそのような規則が?」
男「恥ずかしくないのか?」
少女「ここでは普通、裸になりますよね?」
男「なるけど。他人に裸を見せることに抵抗とかないのか?」
少女「いえ」
男(やっぱり環境が違うとこうなるのか……)
男「異性の裸を見るって結構恥ずかしいことなんだけどな」
少女「そうなのですか。ごめんなさい、男の人と湯浴みをしたことがなくて」
男「……」
少女「これからは控えますね」
男「そうして」
男「はぁ……疲れた……」
男「羞恥心がないまま育つんだな……」
男「……」
男「そういえば……この村……男の人が……」
トントン
男「はい?」
婆『私です』
男「どうぞ」
ガラッ
婆「おやすみ前に申し訳ないです」
男「なんでしょうか?」
婆「明日、どうされるのかと」
男「その話ですか」
婆「自決される決意は固まってますか?」
婆「揺らいでおいでで?」
男「それは……」
婆「ははは。それもいいのではないでしょうか?」
男「え?」
婆「見ての通り、ここには男がいません」
男「……それって」
婆「この村は女だけしかいないのですよ」
男「どうしてですか?」
婆「この村は大昔、女性に対する扱いに不満を覚えた者たちが作った場所なのです」
男「それは男尊女卑が酷かった時代に?」
婆「そう。男性を一切に排し、女性だけの楽園を作ろうとした。―――まあ、ですが男性もいなければ繁栄はできない」
男「でしょうね」
婆「ですから、活きの良い殿方を攫っては数人の女に種を残していってもらってたわけですな」
男「な……!?」
男「……」
婆「ですがそれも昔の話。今は時代が変わった」
男「どういうことですか?」
婆「村の女の殆どは都会の存在を耳にしている。貴方のような部外者によって」
男「俺以外にもここを訪れた人が……」
男(それもそうか。じゃないと携帯電話やカメラの話題すら知らないもんな)
婆「私の娘もそう。都会に憧れ、出て行きました」
男「貴女の娘ってことは……あの子の母親?」
婆「ええ。子を宿したときに帰郷し、あの子をこの村で出産した。そして数年後、娘は子を残し村を捨てた」
男「どうして……?!」
婆「都会を知るとはそういうことです。子を捨ててまでも憧れる場所」
男「おかしいでしょう。娘を置き去りしていいわけがない。普通の神経じゃできない」
婆「娘は去る間際に言いました。『子に縛られたくはない』と」
男「……」
男「他の子も同じような感じですか?」
婆「都会に疲れ、戻ってきた者もいます。ですが大半がまた都会に戻る」
婆「それだけ、都会は魅力的なのでしょうな」
男「子どもをここに残して、ですか?」
婆「連れて行く者もいます。ここに残して行く者もいます。それだけのことですわ」
男「それだけのことって……」
婆「まあ、貴方が気にすることではない。他人の人生。誰も親がいないことを嘆いてはいません」
男「確かに……」
婆「さて、本題ですが。このまま、村に残る気はありますか?」
男「……」
婆「今なら好きな女を―――」
男「俺を種馬にする気ですか」
婆「楔が必要なのですよ。村の者がここから出て行かないようにするには、男という楔が」
男「それは……」
男「……」
婆「ですが、そのまま死ぬというのなら財産を残してほしい」
男「財産……?」
婆「ええ。もう女だけの村ではなく、男児も女児も受け入れる」
婆「この村を残すために」
男「……」
婆「どうですかな?」
男「考えます」
婆「つまり、もう自決はしないと?」
男「……わかりません」
婆「まあ、いいです。その気になればどんな相手でも貴方は抱くことができる」
婆「……私でもいいですけどね」ポッ
男「……ごめんなさい」
婆「ははは。それは残念」
男「……」
男「寝れない……」
男(誰でも抱ける……)
男(夢のような話だな、おい……)
男「……」
少女『私を抱くのですか……?』
少女『どうぞ……貴方の思うがままに……』
男「……?!」
男「何を……俺は……!!」
男「でも……」
男「うー……」
男「どうしたらいいんだ……」
男「おはよう」
少女「おはようです!」
男「うっ……」
少女「なにか?」
男「なんでも……」
男(意識するな……どうしても)
少女「朝食の用意はできてますよ」
男「うん」
少女「では、いただきますしましょう」
男「あれ、おばあちゃんは?」
少女「もう畑のほうへ行きました」
男「朝が早いんだな」
少女「ええ」
男(俺が一番遅く起きたのか……)
男「……」
少女「ふー、お洗濯、終わり!!」
男「……」モゾモゾ
男(服を借りたのはいいけど……和服って落ち着かないな……)
少女「どうかしましたか?」
男「え?ああ、こういう服を着るのは初めてで」
少女「でも、よく似合ってますよ?」
男「この服は誰のなの?」
少女「私のおじいちゃんが着ていたものらしいです」
男「てことは、おばあちゃんの……旦那か」
少女「もう亡くなりましたけど」
男「そんなの着せんなよ……」
少女「嫌ですか?」
男「いやというか……気分はよくない」
男「そうだなぁ……」
友「おっはよー!!!!」
少女「あ、おはようです!」
男「お、なんだ?」
友「よっ!トカイ!」
男「なんだそれ?」
友「アンタのことだ」
男「トカイって……」
少女「どうしたの?」
友「いやぁ、トカイともっと話がしたくてさぁ。邪魔だった?」
少女「ううん。全然」
友「んじゃ、おじゃましまーす!」
男「トカイはやめろ」
友「なんでぇ?かっこいいじゃん、トカイ!いいよな、トカイ!」
男「ああ」
友「トカイー」
男「やめろって」
友「聞いた話なんだけど、なんでも一瞬で知りたいことがわかる箱もあるんだろ?」
男「なんだそれ……」
友「姉御から聞いた事があるんだ」
男「パソコンのことか?」
友「確かそんな名前だった気がする!それってどんな箱なんだよ?」
男「説明するのは難しいな」
友「ええー、いじわるすんなよぉー!」
男「意地悪じゃないけど」
友「おしえろー!!」ユサユサ
男「うぜ……」
少女「お茶です。お待たせしました」
友「ほら、いつ都会に出てもいいように予備知識っているでしょ?」
男「まぁ、そうかな」
友「だから、なんでも知っておきたいんだ」
男「……」
少女「私もそのぱそこんについては興味がありますね。どのような箱なのでしょうか?」
男「えーとだなぁ……」
友「うんうん」
男「パソコンっていうのは、その演算機器で……」
友「えんざん?」
少女「どういう意味でしょうか?」
男「あー……えー……」
友「バカにしてんのかぁー!」ユサユサ
男「違うけど……説明するのが難しいんだってば」
少女「えんざん……お塩の山ですか……??」
友「ほんと?!食べ物もくれるの!?」
男「ああ、できるな」
友「都会すげー!!なんでもアリじゃん!!」
少女「服もくれるのですか?」
男「できるな」
少女「一台、欲しいですね」
友「私もぱそこんほしー!!トカイ、くれ!」
男「ここにあっても意味ないな。あれは都会にあるからなんでもできるんだ」
少女「残念です」シュン
友「そうかー」シュン
男「そんなに落ち込まなくても……」
友「じゃあさ、都会での遊びってなんだ?」
男「遊び?」
友「なんかいっぱいあるんだろ?私たちに都会での遊びを教えてよ!」
男(テレビゲームとか言ったら絶対に深くつっこんでくるな……)
男「鬼ごっことかか」
友「な、なんだそれ……!!」
少女「鬼ごっこ……?」
男「一人が鬼になって、みんなを追いかける遊びだけど……知らないのか?」
友「鬼ごっここえー!!!」
少女「鬼になるって……一体、どんな儀式が……!!」
男「いや、本当に鬼になるわけじゃない」
少女「どういうことですか?」
男「ただの役だ。鬼の役になったやつは逃げる人を追いかけて、こうして触れる」ポンッ
友「んで?」
男「触れられたらその人が鬼にかわって、逃げる人を追いかける。それを繰り返すんだ」
友「なんだそれ、楽しいの?」
男「どうだろう……。やってみるか?」
巫女「……鬼ごっこ?」
友「やろーぜ」
巫女「……」
少女「いやです?」
巫女「いえ」
男「そうか」
巫女「ですが、それは追いかけっこのことでしょう?」
男「え?」
友「鬼ごっこは追いかけっことは違うよ。だって鬼の役になるんだから」
巫女「名前が違うだけでは?」
男「まぁ、そうだな。そういう遊びは普通あるよな」
巫女「まぁ、都会では鬼ごっこと称しているのでしたらそれでいいでしょう。呼称に地域差があるのはよくあることです」
男「……」
男(まるで外のことを知ってるみたいな言い方だな……)
少女「えっと……」
友「トカイでいいじゃん!」
男「俺か?」
巫女「ふっ。腑抜けた面の鬼など全く怖くないですけどね」
男「怒るぞ」
少女「まぁまぁ」
友「よーし!!にげろー!!」
少女「あ、まって!!」
男「……」
巫女「……きゃー、さらわれるー」
男「待って」
巫女「はい?」
男「君、もしかして都会にいったことあるのか?」
巫女「……いいえ。では、逃げますので追いかけてくださいね、鬼さん」
男(あの子だけはやっぱり雰囲気が違うな……)
男(大人びて見えるのはもしかして外を知ってるからか……?)
男「まぁいいか」
男「さてと……追いかけるか」
男「といっても、土地勘のない俺に追いつけるのか……?」
男「……」
男「よし。とりあえず逃げたほうへ行ってみるか」
男「向こうだな」ダダッ
少女「まって……はぁ……はぁ……」
友「普通の追いかけっこと違って、掴まったら鬼にされるからね。気合入れないと!!」
少女「うん、そうだね」
友「でも、いいなぁ。今はトカイが一緒にすんでるんでしょ?」
少女「うん」
友「私も一緒にすみたいなー。トカイの話聞き放題じゃん」
少女「でも、あの人も色々と向こうであったみたいだから、なんでも聞くのはどうかと思うよ?」
友「そうなの?」
少女「だって……あの人は山の中で―――」
巫女「見つけた」
友「きゃぁ!?」
巫女「二人とも私を置いていくとはいい度胸ですね」
友「姉御かぁ……脅かさないでよ」
少女「では、3人で協力して逃げましょう!」
巫女「おにさんこちらー、てのなるほうへー」
男「?!」
友「姉御?!なんでそんなことするの!?」
巫女「このままではこちらが圧倒的有利ですから」
友「それもそうか」
少女「そうやって鬼を呼ぶんですか?」
巫女「そう」
男(やっぱりあの子……この村の出身じゃないな……)
男(詳しい話を聞いてみたい気もするけど)
巫女「あ。今、あの巫女さんと結婚したいなぁって思いましたね?」
少女「え!?いつのまに?!」
男「思ってないから」
巫女「神は全ても見透かしています」
男「決めた。絶対に君を捕まえる」
友「にげろー!!!」
少女「はぃぃ!!」
男「はぁ……はぁ……!!」
巫女「まるで盛りの犬ですね。そんなに鼻息荒くして女児を追いかけて」
男「おまえは……!!」
友「きゃははは―――」
ガッ!
友「ぁ―――!」
ズサァァ!
少女「あ?!」
友「……」
巫女「大丈夫!?」
男「躓いたのか?!」
友「……ぃぁぃ……」ウルウル
友「いたぃ……」ポロポロ
巫女「膝と腕を擦りむいているわね」
友「あねごぉ……いたいぃ……」
巫女「そうね。痛いね。血も出てるし」
友「ぅぅ……」ポロポロ
少女「大丈夫?」
男「えっと……」
巫女「とりあえず、水で傷口を洗いましょう。トカイさん、手伝ってください」
男「あ、ああ」
巫女「大丈夫よ。すぐに治るから」
友「うぅ……ぐすっ……」ポロポロ
少女「あわわ……痛そうです……」オロオロ
男「えっと、どうすればいい?」
巫女「この子をおんぶしてください。神社まで戻りましょう」
巫女「トカイさん、そこに水がありますから」
男「分かった」
友「うぅ……」
少女「痛そうです……」
男「よし、水をかけるぞ?」
友「―――つめたいぃ!!」
男「我慢してくれ」
少女「はぁ……こういうとき何もできない自分が悔しいですね……」
男「……」
巫女「お待たせしました」
男「え?それ……救急箱?」
巫女「さて、傷口を見せてください」
友「ん……」
巫女「この程度なら絆創膏で十分ですね。貼っておきましょう。確か……」ゴソゴソ
巫女「いえいえ。神の御心のままに」
男「なあ」
巫女「はい?」
男「その救急箱は?」
巫女「神の供物です」
男「おかしいだろ」
巫女「何がでしょうか?」
男「いや……だって……」
少女「あの、いつも怪我をしたときはこの箱を使ってくれるんです」
男「……」
友「風邪をひいたときもだな!」
少女「それが……変なのですか?」
男「君たちの家にも同じのがあるのか?」
少女「いえ。これはこの神社に祀られたものとかなんとか……」
巫女「何かおかしなところでも?」
男「いや。いい」
巫女「深く考えなくてもいいでしょう。貴方の想像通りです」
男「そうか」
少女「えっと……これからどうしましょうか?」
男「怪我人も出ちゃったし、とりあえず戻ろうか」
少女「ですね」
友「トカイー!おぶってー!!」
男「はいはい」
友「へへ……」
少女「いいなぁ……」
男「わざと怪我とかはしないでくれ」
少女「な、なんで……考えていることがわかったんですか……!?」
男「なんとなく」
男「大丈夫か?」
友「ありがと、トカイ!優しいな!」
男「そんなこと。俺が怪我させたようなものだし」
友「好きだ!」
男「え?!」
友「私、トカイのこと好きだ!また、会いにいってもいいかな?」
男「あ、ああ……いつでも」
友「ありがとう!!またね!!」
少女「うん」
男「……」
少女「あはは、告白されてしまいましたね」
男「あれは、そういう好きじゃないだろ」
少女「そういう好きって……どういう好きですか?」
男「なんだろう……。野菜が好きとか、そういうの」
少女「おばあちゃん!ただいまです!!」
婆「おかえり」
男「……ただいま、戻りました」
婆「おお。じいさんが生き返ったみたいですわ」
男「え……」
婆「抱いてもよくてよ?」
男「ごめんなさい」
婆「ははは。やはり孫のほうが好みですか」
男「そういうことじゃあ……!!」
婆「では孫の友人のほう?」
男「あの子は小さすぎるでしょう……」
婆「では、神社の巫女様か?」
男「……訊きたいんですけど、あの神社に神主っているんですか?」
婆「あの巫女様しかいませんが?」
婆「あの巫女様はこの村で外との繋がりを持っているのですよ」
男「繋がり?」
婆「この時代、こうした村は淘汰されていく。それを防ぐためにもそうした役割を持つ者もいりますので」
男「村長みたいな存在ですか」
婆「まあ、そう思ってもらっても構いません。無論、あの子だけが外と繋がっているわけではないですが」
男「限られた人だけが?」
婆「ええ。まあ、私もその一人なのですけどね」
男「じゃあ、部外者って……」
婆「いえいえ。繋がりを持つ者はこの村で外界に関することを漏らしてはいけない決まりがあります」
男「どうして?」
婆「ある朝、村民の殆どがいなくなっているなど避けたいですからな」
男「……」
男(え……それ、なんかおかしくないか……だって……)
婆「余計な知識はこの村にはいりません。ただでさえどこからか外の情報が流れ込んでいるというのに」
婆「貴方の口を縛る規則はないですからな」
男「ふーん」
男(飽く迄も外との繋がりをもつ女だけってことか)
婆「なにか?」
男「いえ。なにも」
婆「でも、まあ、あまり過激なことは教えないでほしいですね」
男「過激って?」
婆「ほら……まぁ……夜のこととか?」
男「……」
婆「ノーマルでいいですからね」
男「別に俺、変態じゃないですけど」
婆「ははは。それはよかったです」
男「……」
男(でも……外の情報を入れないようにするなら……俺のことを自由にさせるか……?)
巫女「……あら?」
男「……」
巫女「なんでしょう?」
男「訊きたいことがあるんだけど」
巫女「なんなりと」
男「君たちは村を捨てたいのか?」
巫女「……君たち、とは?」
男「徐々に外の情報を流して、興味を持たせて村民を逃がそうとしているのかなって」
巫女「ふっ。いきなり何の話でしょうか」
男「現に都会に興味を持っている子はいるし……」
巫女「妄想もそこまで来ると哀れですね。我々は常に村を守るために動いています」
男「……」
巫女「村から人を排そうなど微塵も考えていません」
男「本当か?」
男「……」
巫女「それにもしそうだとして、貴方に不利益などないはずですが」
男「そうだけど」
巫女「まあ、この村に住もうと考えているのなら、気になることなのでしょうね」
男「それは……」
巫女「お婆様に言われたのではありませんか?」
男「なにを?」
巫女「ここに残り、種を残せと」
男「……言われた」
巫女「それが全てです。村を守る為に私たちは生きている。―――あ、私を抱きますか?外では勘弁ですが」
男「な……!?」
巫女「ジョークです。さてと、そろそろ落陽の刻。帰路についたほうがいいでしょう」
男「あ、ああ……。じゃあ、またな」
巫女「さようなら」
男「……」
男(村を守るためか……)
男(でも……本当に……?)
男(なんか釈然としないなぁ……)
男「って、俺が気にすることでもないか」
男「……」
男(種を残して……この村で住むなら……)
男「あーもう!!」
男「寝るか」
男「俺には関係ないよな……うん」
男「……関係……」
男「もしかして……」
男「訊いてみよう、おばあちゃんに」
男「違います」
婆「では、どうして?」
男「俺がこのまま村を去ったら……この村はどうなるのか気になって」
婆「……簡単です。村を捨てるまで」
男「?!」
婆「貴方が来ていなければそうする予定でした。この村は既に終焉を迎えるばかりだった」
男「じゃあ……」
婆「一ヶ月ほど前に決めたのです。外界の情報を少しずつ拡散させて、いつでも村を出てもいいように皆に知識をつけさせようと」
婆「勝手に出て行くのもよし。連れ出してもよし。とにかく混乱しない程度に外のことを広めようと思いました」
男「そんなとき、俺が……」
婆「ええ。勿論、今までにも部外者が訪れたは本当です。ただ、貴方ほど自由にさせたことなどはなかった」
婆「それでも好奇心旺盛な者が部外者に心酔し、村を捨てていくことが幾度となくありましたが」
男「もしかして貴女の娘さんもその一人?」
婆「ええ、そうです」
男「でも、女だけは連れ出した……」
婆「はい」
男「……」
婆「ですが。貴方は違う。ここに残ってくれる可能性もある」
男「それは……」
婆「最後の望みなのです。腐ってもここは故郷。失くしたくはないのです」
男「……」
婆「どうか……」
男「そんなこと……言われても……」
婆「自決するぐらいなら、この村の救世主になってほしい。そう思います」
男「……」
婆「駄目ですか……?」
男「ただの自殺志願者が救世主って……」
婆「村を繁栄させろとはいいません、ただ生き残る希望が欲しいのですよ」
男「……」
少女「冷えますよ?」
男「え?」
少女「どうぞ。毛布です」
男「ありがとう」
少女「ご迷惑でなければ、ご一緒してもいいですか?」
男「うん」
少女「どうかされましたか?」
男「これからどうしようかなって……」
少女「これからですか……」
男「うん」
少女「今のお考えは?」
男「―――ここで人生を終えようか、なんて考えてもいるけど」
少女「……やめたほうがいいかと」
少女「村のために犠牲になることはありません」
男「君……」
少女「おばあちゃんがどういう想いで貴方を引き止めているかは想像がつきます」
男「知ってるのか?」
少女「なんとなくは」
男「そうか」
少女「貴方の人生です。流されないでください」
男「なんでそこまで言ってくれるんだ?」
少女「え……なんででしょうか……ね?でも、言われるがままここに留まっても貴方はまた山に向かうかもしれない」
男「な……」
少女「貴方が唐突に消えてしまうのが怖い」
少女「だから、きちんと自分の意思で決めて欲しい。そう思うんです」
男「ありがとう。出会って間もないのにそこまで想ってくれて」
少女「いえ、ただ正直な気持ちですから」
少女「私のお母さんは村を捨てました」
男「え……?」
少女「お父さんが好きだったから」
男「でも、君も捨てた」
少女「違います。お母さんはこの村で育って欲しいって考えたんですよ、きっと」
男「どうしてそう思うの?」
少女「都会の良いところも悪いところも知ったからではないでしょうか?」
男「でも、娘を置いていくなんて……おかしいだろ」
少女「私には分かりません」
男「おかしい。普通じゃない」
少女「物心がついたときから居ない人のことを怒るまで恨めないですから」
男「……君も相当変わってるな」
少女「えへへ、それほどでも」
男「褒めてないからな」
男「……都会に行ってみたいって君は思ってるのか?」
少女「……興味はあります。でも、この村が私は好きですから」
男「そうか」
少女「はいっ」
男「おばあちゃんは悲しむかもな……」
少女「あ、でも、みんなが出て行くってなるなら流石に都会に行きますね。一人で村に残りたくないですし」
男「あはは、それもそうか」
少女「それでは失礼します」
男「うん」
男「……」
男「このまま残るか……」
男「それとも……」
男「冷えたな……部屋に戻るか」
友「トカイー!!!」
男「お、怪我は?」
友「もう平気だよ!!」
男「そっか」
少女「おはようです」
友「おっはよ!」
少女「今日もお話をしにきたの?」
友「うん。トカイー、なんかはなせー」ユサユサ
男「はいはい……纏わりつくなよ」
友「へへー」
少女「じゃあ、私は飲み物でも」
男「ありがとう」
友「なぁなぁ、走る家の話してくれ」
男「また難しいな。車のことだろうけど……」
友「すぅ……すぅ……」
男「……」
少女「寝ちゃいましたね」
男「なんだよ。退屈だったのかな?」
少女「ふふ。きっとあまり寝れなかったんじゃないですか?」
男「どうして?」
少女「貴方に会うのが楽しみで」
男「子供かよ……。子どもだったな」
少女「あはは」
男「……」
少女「お茶のおかわりはどうされますか?」
男「もらう」
少女「はい」
男(このままでいいのか……俺……)
男「よっ」
巫女「どうにも暇そうですね。仕事はなにを?」
男「ニートだ」
巫女「にーと……?」
男「あれ。知らないか?」
巫女「それはどういう意味ですか?」
男「ま、いいじゃん」
巫女「よくはないですね。神は全てを見透かしていなければなりません」
男「なんだそりゃ」
巫女「まあ、貴方のように働きもしない人を指すのでしょうけど」
男「知ってるじゃねえか、殴るぞ」
巫女「自分で言ったくせに」
男「ふん……」
巫女「で、今日はどうしたのですか?」
巫女「私に判断を委ねるのですか?滑稽にもほどがあります」
男「相談だよ、相談」
巫女「ふっ。では、私の意見程度では意志が固まることもないと。では時間の無駄ですので帰ってください」
男「どうすりゃいいんだよ……」
巫女「ジョークです。巫女ジョーク」
男「……こっちは割りと真剣なんだけどな」
巫女「申し訳ありません。どうしても貴方の顔をみていると苛めたくなるのです」
男「なぁ、俺がここを去って、村がなくなるとしたら君はどうする気なんだ?」
巫女「私はこの村に残ります」
男「は?」
巫女「私は都会が嫌いなので」
男「一人でも?」
巫女「はい」
男「それも巫女ジョークか?」
男「……」
巫女「一人でもまあ、住めないことはないでしょうから」
男「おいおい」
巫女「私はこの村で生まれた」
男「……」
巫女「村にもこの神社にも愛着はあります。新天地での生活も楽しいでしょうが、私は離れたいとは思いません」
男「都会を知ってるからか」
巫女「私はあの世界で器用に生きてはいけない、そう思います」
男「俺と一緒だな」
巫女「虫唾が走りますね」
男「なんだとぉ?!」
巫女「ふっ。だから、安心してください」
男「え……?」
巫女「数年後、ふと思い出して戻ってきても私だけはここにいますから」
男「ただいま」
少女「おかえりです!!」
男「……」
少女「なんですか?」
男「おばあさんは?」
少女「部屋にいると思いますよ」
男「ありがとう」
少女「……?」
男「……」
少女「あの」
男「ん?」
少女「なにかあったんですか?」
男「ううん。なにもない」
少女「そうですか」
男「決めました」
婆「答えは?」
男「俺はここに残ります」
婆「おぉ……」
男「でも、村を守るつもりは一切ありません」
婆「な……」
男「出て行く人は出て行けばいいと思う。あなた達は都会の情報を流し続けてください。俺もそうします」
婆「なにを……」
男「都会に憧れを持っている人もいれば、この土地に骨を埋める覚悟の人もいる」
男「だから……俺はここの住人の楔になろうとは思いません」
婆「しかし……それでは村は……」
男「終わりに向かっているなら向かわせましょう。俺がそれを見届けます」
婆「おぉ……なんと……」
男「俺は屑です。ここを救うなんてことはできません。すいませんでした」
少女「村とともに貴方も死ぬと?」
男「そうすることにした。ここで俺の人生を止める」
少女「そうですか」
男「この村の繁栄とかに協力はできそうにない。ごめん」
少女「いえ。新しい村民を私は嬉しく思います」
男「でさ……これからなんだけど」
少女「はい?」
男「農作業とか教えてくれるか?」
少女「そうですね。ここに住むならそれぐらいはやっていただかないと」
男「ありがとう」
少女「いえいえ」
男「これから早起きしないとなぁ」
少女「私がしっかり起こして差し上げますよ」
男「それは……なんか嬉しいな」
婆「はぁ……村の娘全員を孕ませるだけの気概はなかったのですな」
男「あるわけないでしょ。何言ってるんですか」
婆「ほら、そこも少し深く掘って」
男「くっ……」
婆「そうなると一つ問題がありますね」
男「なんですか?」
婆「誰を嫁にするのか……」
男「……」
婆「まさか……」ポッ
男「ないない」
婆「そうですか」
男「それはまたゆっくりと考えます。ここにきてまだ数日。俺のことを好きだって言ってくれたのは小さな女の子だけですから」
婆「あの子、初潮がまだみたいなので、まあ、ほどほどに」
男「はぁ?!」
男「ぶっ?!」
友「どしたの?」
男「な、なんでも……」
婆「ははは……」
友「んー?顔、赤いぞ?」
男「うるさいなぁ」
少女「あのー!休憩にしませんかー!?」
男「うん!」
友「なぁなぁ、トカイ!!今日はさぁ、あの話を聞きたいんだけど」
男「なんだ?」
友「学校だ!」
男「学校な。わかった」
友「うん!」
男「行ってみたいか?」
友「ううん!トカイがこっちにいるからいいや!」
男「な……」
友「すきだぞー」ギュゥ
男「……」
少女「ふふ……どうします?」
男「なにが?」
婆「こんな年端もいかぬ娘を……都会では流行しているのですかな?」
男「してないですよ!!」
友「私ぐらいの子でもあれだろ?都会だと大人の人と色々するんだろ?」
男「なにいってんだ?」
少女「色々って?」
友「姉御がいうには裸になって―――」
男「あいつ何吹聴してんだよ……」
巫女「……」ザッサッ
男「よう。変態」
巫女「貴方に言われると無性に死にたくなりますね」
少女「こんにちはです!」
巫女「どうも。神に選ばれし姫君よ」
男「……俺、ここに残ることにした」
巫女「……」
男「これからよろしくな」
巫女「なるほど。貴方とはまぁ、友人としてのお付き合いはしてもいいかもしれませんね」
男「なんで上からなんだよ」
巫女「ふふ……よろしくね」
男「お、おう」
少女「さてと、お参りしなくちゃ」
男「俺もしようかな」
男「あのなぁ……!」
巫女「ふっ。でも、願い事ができたのはいいことですね」
男「まぁな」
少女「……」ガランガラン
少女「……よしっ」
男「訊いてもいい?」
少女「え?」
男「俺と初めてきたときも何がお願い事してただろ?どんな願いを?」
少女「あ、貴方が死にませんようにって……」
男「え……」
少女「えへへ」
男「そう……ありがとう」
少女「いえ。でも、もう大丈夫ですよね」
巫女「流石は神子。その慈悲深さは底知れず」
少女「はい」
男「……」ガランガラン
男「……よし」
巫女「あ、今、私とエッチなことをしたいと思いましたね?」
男「よくわかったな」
巫女「え?!」
少女「!?」
男「外は嫌なんだろ?」
巫女「あ、あの……嘘……ですよね?」
男「いいや。マジだけど?」
巫女「ちょ……あの……私そんなつもりは……」
男「……冗談だ」
巫女「が……?!」
少女「はぁ……びっくりした……」
男「はいはい。ほら、帰ろうか」
少女「は、はい」
巫女「二度とくるなー!!」
男「わかったよ」
巫女「あ、いや、来てもいいですけどね……」
男「どっちだ?」
少女「ふふ……」
男「あー、午後からは山に行かなきゃならないのか」
少女「おばあちゃんについていくのは大変だと思いますけど、がんばってくださいね」
男「ああ。ここまで来たら弱音は吐かない」
少女「……」
男「新しい生きかたも見つけたしな」
少女「そうですか」
少女「今日もおつかれさまでした」
男「うん」
少女「すぐにごはんの支度しますからね」
男「いつもありがとう」
少女「いえいえ。それより農作業は慣れましたか?」
男「多少は」
少女「よかったですね」
男「……」
少女「いそげっいそげっ」パタパタ
男(ここで生きよう)
少女「きゃぁ!」ズデンッ
男「大丈夫か!?」
少女「す、すみません。足が滑って……」
男「怪我はないみたいだな。よかった」
男「……」
少女「最近、よくここに居ますね」
男「うん」
少女「好きなんですか?」
男「好きだな」
少女「よっと」
男「今日、一人村を出たみたいだな」
少女「以前、都会に出た人から呼ばれていたみたいですね」
男「きっとこのまま少なくなっていくんだろうな」
少女「ええ」
男「怖い?」
少女「村が死んでいくようで、少しだけ」
男「だろうな」
少女「でも、私はここにいます。何があっても」
少女「はい」
男「……寒くないか?」
少女「いいえ。貴方がいるから」
男「……」
少女「……」
男「明日も早いし寝ないとな」
少女「そうですね」
男「今日は冷えるな」
少女「はい。寒くて寝れないかもしれません」
男「そうだな」
少女「温かくして寝ましょうね?」
男「うん」
少女「……」
男「寝るか……」
少女「朝ですよ」
男「あ……あぁ……」
少女「さ、今日も一日がんばりましょうね」
男「おう……」
少女「どうされました?」
男「いや。別に……」
少女「そうですか」
男「……おはよう」
少女「おはようです」
男「よし。がんばるか」
少女「おー」
婆「これ、はやく。二人して何をしているのですかな?」
男「今行きますよ」
少女「おばあちゃんもおはようです」
男「あー!!つかれた!!」
少女「お疲れ様です」
男「ありがとう」
少女「……はい。お茶です」
男「うん」
友「トカイー!!」
巫女「どうも、こんにちは」
少女「二人とも!」
男「どうしたんだ?」
巫女「いえ。なんとなく気の迷いで」
友「好きなやつの顔は何回みても飽きないからねー」
男「ありがと」ナデナデ
巫女「ん……?なにか嬉しいことでもありましたか?」
少女「え?いいえ、特には」
少女「そ、そうですか?」
巫女「ふむ……」
友「なぁなぁ。そういえばまた一人、村でるってさぁ」
男「そうか」
巫女「嫌じゃないんですか?」
男「別に。俺はもう決めてるからな。願掛けもした」
巫女「何を……?」
男「ここで人生を終えるって」
少女「……それは素晴らしいことだと思います」
友「私もここにいるぞー!!」
巫女「ふっ。まあ、そういうことなら友人以上のお付き合いをしてもいいですけど?」
男「そういうことならできればずっといてほしいけどな」
少女「言われずとも、最後まで一緒ですよ」
男「ありがとう。ここで人生を終えられて幸せだよ」
完。
もうちょっと続くかと思ったぜ…
物足りない感はあるけど下手にエロとかあるよりは綺麗に終わる方が好きだぜ
Entry ⇒ 2012.02.22 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
向日葵「告白」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328268948/
向日葵「大事な話なんですけど...」
向日葵「女の子同士なんて気持ち悪いかもしれませんが....」
向日葵「私、ずっと前から櫻子のことが....」
向日葵「す、好きでした////」
櫻子「うん、知ってるよ」
向日葵「今、なんておっしゃいました?」
櫻子「向日葵が私のこと好きなの知ってるよって言ったんだけど....」
向日葵「え?」
櫻子「え?」
櫻子「うん、ずっと前からしってるよ?」
櫻子「だから今日、告白されるって大体分かってたし」
向日葵「なにそれ怖い」
櫻子「小学4年生ぐらいには私のこと好きだなって分かってたよ」
櫻子「しかも、小さい時からさーちゃん好きって言ってたしね」
向日葵「そ、それは.....」
向日葵「小さい時のことですし....////」
向日葵「そ、そんなことありませんわ!!」
向日葵「大好きでしたわよ!!」
向日葵「あっ....」
向日葵「/////」
向日葵「くっ....////」
向日葵「そ、そうですわよ小さい時からあなたの事が大好きですよ!」
向日葵「悪いですか!///」
櫻子「開き直りやがった!?」
櫻子「私のせいなの!?」
向日葵「そうですわよ!」
向日葵「そのクリーム色の綺麗な髪の毛や」
向日葵「そこからするリンスのいい匂いや」クンカクンカ
向日葵「守りたくなってしまうほど無邪気なところとか」
向日葵「とても綺麗な大きな目や」
向日葵「子供っぽい身体つきも」
向日葵「全部大好きですわ!」
向日葵「ハァハァ....」
櫻子「・・・・・・・」
櫻子「////」カァァァ
櫻子(ここまで好きだったとは....)
櫻子(告白されるってこんなに恥ずかしいんだな///)
櫻子(どうしよう....)
櫻子(向日葵の顔、直視できないよ...///)
向日葵(つい興奮してとんでもないことを言ってしまいましたわ...)
向日葵(櫻子も下を向いてしまっているし)
向日葵(とても気まずいですわね....)
向日葵(それよりも、さっきの告白ちゃんと聞いていてくれたかしら...///)
櫻子「ひゃい!////」
櫻子「急に話しかけんなよバカ!////」
向日葵「す、すみません....」
向日葵「そ、それで告白の返事をききたいんですけれど....」
向日葵「どうなんですか...?////」
櫻子(OKしたら向日葵と恋人...///)
櫻子(でも、恥ずかしくて返事なんてかえせないよ///)
櫻子「ひ、向日葵っ!///」ドキドキ
向日葵「は、はいっ!」ドキドキ
櫻子「わ、私はー///」ドキドキ
櫻子「それじゃバイバイ!///」
ダッ
バタン
向日葵「・・・・・・」
向日葵「櫻子ぉ・・・・」
向日葵「癖で迎えに来てしまいましたわ」
向日葵「櫻子ーちこくしますわよ~」
ガチャ
撫子「おはよう」
向日葵「あ、おはようございます」
撫子「櫻子なら早起きして学校いっちゃったよ?」
向日葵「そ、そうですか」
向日葵「ありがとうございました」
向日葵(もしかして、私のことを避けてる•••?)
向日葵(学校に行ったら話しかけてみますか••••)
向日葵「おはようございます」
あかり「向日葵ちゃんおはよ~」
ちなつ「おはよーう」
向日葵「あれ、櫻子は来てませんの?」
ちなつ「櫻子ちゃん?」
あかり「櫻子ちゃんならさっきトイレいったよ~」
向日葵「トイレですか、ありがとうございますわ」
個室の中
櫻子「うーん」
櫻子「向日葵になんて返事すればいいんだろう....」
櫻子「告白かぁ....」
櫻子「返事するだけでこんなにドキドキするのに」
櫻子「向日葵は告白する時どんだけドキドキしてたんだよ....」
ガチャ
向日葵「櫻子ーここに居るんですの~?」
櫻子「!?」
櫻子(心の準備もできてなかったのに向こうから来やがった....)ドキドキ
櫻子(どうしよう....)
向日葵「はぁ、こんなに悩むなら告白しなければ良かったですわ....」
向日葵「•••••••」
向日葵「ひーちゃん....」ポロポロ
向日葵「さーちゃん•••••」ポロポロ
櫻子(もしかして私のせいかな....)
櫻子(私が昨日、返事しなかったから悩んでて)
櫻子(しかも、私のことさーちゃんって呼んでた....)
櫻子(あんなに小さい時から私の事を思ってくれてたのに)
櫻子(それなのに私は向日葵の気持ちに気づいてたのに何もしなかった....)
櫻子(今の関係が崩れるのが怖くて自分の本当の気持ちを隠してたんだ....)
櫻子(••••••••••)
櫻子「向日葵•••」ボソッ
向日葵「さーちゃん..」ポロポロ
向日葵「どこに居るのぉ...?」ポロポロ
櫻子「ひまわりー!!」
バンッ!
向日葵「さーちゃん••••?」ポロポロ
櫻子「昨日の返事なんだけど」
向日葵「!!」
櫻子「私、向日葵との関係が崩れるのが怖くて」
櫻子「今まで自分の気持ちを抑えてたけど本当の事言うね....」
向日葵「はい....」
櫻子「私と付き合ってください!///」
向日葵「櫻子•••///」
向日葵「ほ、本当にいいんですの?///」
櫻子「なんだよ...///」
櫻子「自分から告白してきたくせに....///」
櫻子「それに向日葵は私が居ないと駄目駄目だしね///」
櫻子「な、泣くなよ!」
向日葵「だって、嬉しくて....」ポロポロ
櫻子「泣かしてばっかりでごめんね....」
向日葵「だ、大丈夫ですわ」
櫻子「よかった~」
向日葵「櫻子、大好きですわ///」
向日葵「それと、ありがとうね」
向日葵「さーちゃん」チュッ
櫻子「ば、バーカ////」チュッ
おわれ
ちなつ「どうしたのあかりちゃん」ヒソヒソ
あかり「トイレから向日葵ちゃんと櫻子ちゃんが帰ってきたら2人がカップルみたいになってるよぉ」ヒソヒソ
ちなつ「そんなわけないじゃな....」
向日葵「櫻子ぉ///」
櫻子「向日葵~///」
ちなつ「カップルだね」
あかり「だよね」
向日葵「さーちゃん....」
櫻子「ひまちゃん....」
向日葵・櫻子「大好き!!///」
おしまい
乙
乙
Entry ⇒ 2012.02.22 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「そしてあたし達は走りだした」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328702401/
ほむら「暇ね…」
ほむら「………たまにはインターネットでもしようかな」
ほむら「えぇーと…か、ん、あ、め、ま、ど、a、k…」
ほむら「あっ、違う!」
ほむら「か、な、め、ま、ど、か…よし検索!」
ほむら「ほむっ!いろんな画像があるじゃない!」
ほむら「何時の間にこんな…とりあえず保存しなないと」
ほむら「ほむ…とりあえず今日はこの辺にしときましょう」
ほむら「今から……ん?」
ほむら「こ、これは…!」
ほむら「2月7日…昨日じゃないの!」
ほむら「しまった…出遅れた」
ほむら「こんなことしてる場合じゃないわ!」
ほむら「ついたわ」
ほむら「さて、飲み物のコーナーは…ここね」
ほむら「えーっと……あった!」
ほむら「後はまどかを…!」
ほむら「………」キョロキョロ
ほむら「ふぅ…」
ほむら(こんな所見られたらやっぱり不味い…わよね?)
ほむら(特にまどかに見られたら……)
まどか「あっ、ほむらちゃん」
ほむら「ほむっ!?」
まどか「奇遇だねっ」
さやか「転校生じゃん、何してんの?」
ほむら「美樹さやか…」
さやか「ん?何かいっぱいお茶買ってるじゃん」
ほむら「そ、それはっ!」
まどか「あれ?オマケがついてるんだ」
さやか「何これ?携帯ストラップ」
ほむら「あ…!」
まどか「え…?これ、わたし……?」
ほむら「たっ、たまたま!たまたま手に取ったのがそれだったのよ!」
まどか「そうなんだ」
さやか「…たまたまかぁ、たまたまねぇ」
ほむら「な、なによ…」
さやか「ん?たまたま、まどかだけ10個も手に取ったんだなぁーって」
店員の仕業だよ
まどか「ほ、ほんとだ…これ全部わたしだよ」
ほむら「あ…あはは…偶然って怖いわね…」
さやか「いや、まどかのことが好きなんでしょ?」
ほむら「ほむっ!?」
まどか「…ほんとなの?ほむらちゃん……」
ほむら「え……あ…えぇーと…」
まどか「…気持ちは嬉しいけど、わたし……」
さやか「あーあ」
ほむら「…あ……」
まどか「ごめんね、暁美さん」
ほむら「ま、まどか…?」
まどか「もう話しかけないで」
ほむら「ほぬうぅぅぅぅぅぅ!!」
ほむら(そうなる前に、早くまどかを確保するのよ!)
店員「らっしゃーせー」
ほむら「早く見つけなきゃ」
「あったあった」
ほむら「ん……」ガサゴソ
ほむら「これは…インキュベーター…違う、まどかは……」
「これじゃねぇよ…これ…もキュゥべえか、これも違う…」
ほむら「きゃっ?」
「うわっ?」
ほむら「あ…ごめんなさい…!?」
「いや、あたしこそ…って!?」
ほむら「さ、佐倉杏子!?」
杏子「ほむら!?」
ほむら「………」ジィー
杏子「………」ジィー
ほむら「っ!」バッ
杏子「っ!」バッ
ほむら「そ、そうね!」
杏子「あ、あたしさー、喉乾いてさー…その…」
杏子「お、お茶うめぇよな!」
ほむら「そうね!わ、私も何か飲みたかったのよ!」
杏子「そ、そっか!」
ほむら「え、ええ!」
杏子「………」
ほむら「………」
杏子「え?あぁー!えっ…とさ!やっぱ金殆ど持ってねぇから勿体ねぇなって!」
ほむら「へぇ…?」
杏子「あ、あんたも何か飲みたかったんだろ?」
ほむら「そっ、そうよ?えーっと…こ、このジュースで良いわ!」
杏子「そうか!なら早く買って来いよ!」
ほむら「え、ええ…」
ほむら(危なかった…なぜ佐倉杏子がここに…)
ほむら(それに、お金持ってたの?)
ほむら「…」チラッ
杏子「……」ニコニコ
ほむら(早く退きなさいよ…!)
店員「ありやっしたー」
ほむら「………」スタスタ
杏子「ん?な、なにさ?」
ほむら「何も買わないなら帰りなさい」
杏子「あ…か、帰るさ!あんたも買ったなら帰れよ!」
ほむら「も、もちろんよ!」
ほむら「………」スタスタ
杏子「………」スタスタ
杏子「あ、ああ!またな!」
ほむら「………」スタスタ
杏子「……行ったか」
杏子「ふぅ…ったく、脅かせやがって」
杏子「金殆ど持ってねぇんだから、出来の良いさやか1つだけ買いたかったのにさ」
杏子「さーて、そんじゃ選別すっかな!」
ほむら(…佐倉杏子は帰った…のよね?)
ほむら(よし、今度こそまどかを…)
ほむら「……!」
杏子「あれ?なんでキュゥべえしかないんだ…?」
杏子「不自然だよな…どうなってやがる…」
杏子「くそっ、やっぱ昨日買っときゃよかったなぁ…」
杏子「さやか…」
ほむら「…何をしているの?」
杏子「いっ!?」
ほむら「……」ジィー
杏子「やっぱ喉乾いたなって!」
ほむら「…ふぅん」
杏子「あ、あんたこそ、帰ったんじゃ無かったのかよ?」
ほむら「…や、やっぱりこっちのジュースが飲みたかったのよ!」
ほむら「さっき買ったのはあなたに譲るわ、だから帰りなさい」
杏子「さ、さんきゅー」
ほむら「………」
杏子「………」
杏子「早く買ってきなよ」
ほむら「……そうね」スタスタ
杏子「ふぅ……なんで戻ってくるんだよ」
杏子「しかもキュゥべえしか残ってないし…仕方ねぇ、別のコンビニ行くか」
杏子「くそっ、全然残ってないぞ?」
杏子「残っててもキュゥべえだけだし…次のコンビニが最後か…」
杏子「キュゥべえしか残ってないのも不自然なんだよな…もしかしてキュゥべえしか売ってないのか?」
杏子「…とにかく探すしかねぇよな」
店員「いらっしゃいませぇー!」
杏子「…ん?」
ほむら「違う…これも違う…これじゃない…」
ほむら「まどかぁ…」
杏子「…何やってんだ?」
ほむら「ほむっ!?」
ほむら「さ、佐倉杏子…?あなたまた…!」
杏子「お前こそ!何回コンビニ来てんだよ!」
ほむら「だって仕方ないじゃない!まどかがないのよっ!」
杏子「あたしだって、さやかがないんだよっ!」
杏子「………」
ほむら「えっ?」
杏子「えっ?」
ほむら「……仲間?」
杏子「……みたい…だな」
ほむら「…」ジィー
杏子「…」ジィー
ほむら「杏子……!」ギュッ
杏子「ほむら……!」ギュッ
杏子「なるほどな、ほむらはまどかストラップを探し回ってたのか」
ほむら「そう言う杏子はさやかストラップを…ね」
杏子「あ…あははっ!まぁあれだね、あたしとあんたは同類ってやつか!」
ほむら「…ふふっ、そうみたいね」
杏子「あはは…」
ほむら「……へ、変じゃないわよね?」
ほむら「私がまどかストラップを買っても変じゃないわよね?」
ほむら「おかしくないわよね?」
杏子「あ…ああ、そうだな」
杏子「…うん、変じゃねぇよ!だからあたしもさやかを買うんだ!」
ほむら「…良かった…そうよね、おかしくないわよね」
杏子「うん、おかしくない…おかしくないぞ」
ほむら「私だってまどかが好きだからじゃないわ、ただのコレクションよコレクション」
杏子「うんコレクションだな」
ほむら「そうね」
杏子「そうだな」
ほむら「………」
杏子「………」
杏子「ここら辺のは全部だな」
ほむら「…状況は?」
杏子「ほとんど売りきれ、あってもキュゥべえだけだね」
ほむら「やっぱり…あなたもそうなのね」
杏子「ってことは…ほむらもか?」
ほむら「…ええ、私も同じよ」
ほむら「やっと見つけても残っているのはキュゥべえだけ…ね」
ほむら「キュゥべえは出荷が多かったのかしら?」
杏子「さやかはともかく、なんであたしまでないんだ?」
ほむら「そうよね…まどかは無くても不思議ではない…むしろ当然だけど、可愛いから」
杏子「ああ、さやかも可愛いからな。無くても不思議じゃねぇよ」
ほむら「まどかの方が可愛いけどね」
杏子「いやいや、さやかの方が可愛いから」
ほむら「まどかよ」
杏子「さやかだ」
杏子「ち、ちげぇよ!」
ほむら「そうかしら?」
杏子「そっ、それよりも、何であたしらも無いのかだよ!」
ほむら「…そうね、私まで無いのは……」
杏子「そうなんだよなぁ…ついでにマミも」
ほむら「何で無いのかしら」
杏子「そうだよな」
杏子「欲しいよ」
ほむら「あはは……はぁ」
杏子「ははっ……はぁ」
ほむら「…まどか……」
杏子「…さやか……」
ほむら「……まだ行ってないコンビニはあるわ、こうなったらとことん行くわよ」
ほむら「きっとあるはずよ!」
杏子「うん、さやかがあたしを待ってる!」
ほむら「まどかぁー!」
杏子「さやかぁー!」
ほむら「………なかったね」
杏子「………うん」
ほむら「はぁ………」
杏子「……なあ、ほむら」
ほむら「…なによ」
杏子「あんたさぁ、時間巻き戻せるんだろ?」
杏子「だから7日の夜中に時間戻して買いに行こうぜ?」
杏子「それなら…!」
杏子「えっ?」
ほむら「もう時間を巻き戻せないのよ、私」
杏子「…マジかよ」
ほむら「……あなた、幻術が使えたはずよね」
ほむら「ロッソなんとか?それで…」
杏子「いや、無理だろ」
ほむら「なんで?やってみなきゃわからないでしょ?」
杏子「だってお前…幻だぞ?」
杏子「いや、えっ?何言ってんだよ?」
ほむら「まどかぁー!」
杏子「お、落ち着けって!な?」
ほむら「まどかぁー!」
杏子「そんな姿まどかに見られたらどうすんだよ?」
ほむら「っ?…そ、そうね…ごめんなさい、取り乱してしまって」
杏子「いや、分かればいいんだよ」
杏子「それに…あたしも頭痛くなってきた」
杏子「くそっ…さやか…!」
ほむら「……でも、まだ諦めるわけにはいかないわ」
杏子「…うん、あたしだってそうさ」
杏子「何としてもさやかを…!」
杏子「でも何処にも無いんだよっ…」
ほむら「ねえ、杏子…」
杏子「ん?」
ほむら「私たち、魔法少女よね?」
ほむら「……信じるのよ」
杏子「えっ?」
ほむら「だって魔法少女は、夢と希望を叶えるんだから」
杏子「!」
ほむら「本当の奇跡だって起こせるかもしれないわ」
杏子「……ふっ。そっか、なるほどね」
杏子「あたし達の夢と希望…つまりさやかストラップだ」
杏子「奇跡も魔法もあるんだよ!」
ほむら「ええ、そう信じる…!信じるの!」
ほむら「まどかを!」
杏子「さやかを!」
さやか「そだねぇー」
まどか「でも、やっとコンプリートできて良かったね!」
さやか「うん!良かった良かった!」
まどか「これでやっとお家に帰れるよ、てぃひっ」
さやか「ほんとほんと、大変だったわ」
さやか「でもこれで満足できたよ」
まどか「そうだね」
まどか「?」
さやか「ん?どうかした?」
マドカ…ボクヲ…
まどか「…声が聞こえたような」
さやか「声?」
まどか「うん」
さやか「んー?」
さやか「あっ!」
まどか「ほらっ、聞こえたでしょ?」
さやか「うん!聞こえた!」
サヤカァー
さやか「あれ?こんどはあたし?」
まどか「誰かが読んでるのかな?」
サヤカァー
さやか「よし、行ってみよう!」
まどか「うんっ」
杏子「さやかぁー!」
ほむら「まどかぁー!」
杏子「さやかぁー!」
ほむら「まどかぁー!」
杏子「さやかぁー!」
まどか「えっ…と……」
さやか「な、何してんの?あんた達…」
杏子「さや…!?」
まどか「………」
さやか「………」
ほむら「………」
杏子「………」
ほむら「杏子」
杏子「ああ」
ほむら「さようなら」スタスタ
杏子「また今度な」スタスタ
まどか「あはは…」
ほむら「あ、あら?美樹さやかじゃない、偶然ね」
杏子「あ、あははっ!元気してた?」
さやか「うん、元気だよ」
杏子「そっか、んじゃまたな!」
ほむら「さようなら」
まどか「ほ、ほむらちゃん…杏子ちゃん…」
さやか「いやいや、帰さないよ?」ガシッ
ほむら「そうよ、だから…」
さやか「うん、ここで何をしてたか話したら離してあげるよ」
まどか「話したら離す…てぃひひっ!」
さやか「………」ジトー
杏子「………」
ほむら「ま、まどか…」
まどか「あ、あれっ?…うぅ」カァッ
杏子「えっ?んっと…その…な?」
杏子「ほ、ほむらとちょっと話してただけだよ、なっ?」
ほむら「そっ、そうよ!」
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「ふーん?ちょっと話してたら、あたしとまどかの名前を叫ぶことになったんだ?」
杏子「えっ?あー、えー…っと…」
杏子「ははっ…」
さやか「少しは恥ずかしいとか思わなかったわけ?」
ほむら「そ…それは、その……」
ほむら「…ま、魔法の特訓…そう、魔法の特訓をしていたのよ!」
さやか「嘘ね」
ほむら「っ…」
さやか「誤魔化しきれるもんじゃないよ、そういうの」
まどか「あ、あの…ほむらちゃん…」
ほむら「まどか…」
まどか「その、何をしてたのか教えてくれないかなって…ダメ、かな?」
ほむら「………万事休すね」
杏子「ああ、もう素直に話すしかないな…」
さやか「うんうん、それでいいのよ」
さやか「お茶のオマケのストラップが欲しかったから叫んでたぁ?」
ほむら「そ、そうよ…」
さやか「いやいやいや!なんでそうなるの?」
さやか「そんなの絶対おかしいって!」
杏子「だ、だってさ!魔法少女は夢と希望を叶えるんだぜ?」
杏子「だったら!」
さやか「えっ?なにその理屈?」
杏子「だって売ってないんだからしょうがないじゃんかー!」
さやか「それは…そうだけどさ」
まどか「さやかちゃん」
さやか「…うん」
ほむら「1つだけでいい、1つだけでいいから欲しかったのよ!」
ほむら「私の分を…!」
ほむら(私の分のまどかを!)
まどか「ほむらちゃん…!」
杏子「なんで何処にも売ってないんだよ…畜生っ…!」
さやか「…そんなに欲しかったの?」
杏子「欲しいよ!あたしの…あたしの…」
杏子(さやか…!)
さやか「…そっか」
まどか「ほむらちゃんも、欲しいんだよね?」
ほむら「…うん、欲しい…凄く欲しかった……!」
ほむら「だから、私と杏子は信じるしかなかったのよ…」
まどか「ほむらちゃん、わたし…」
まどか「…ね、さやかちゃん」
さやか「うん、わかってる」
まどか「はい、ほむらちゃん」
ほむら「えっ?」
さやか「杏子、受けとりなよ」
杏子「さやか…?」
杏子「えっ?」
さやか「夢も希望もあるんだよ」
杏子「さやか…!」
さやか「ってこと!まぁ、ちっちゃな夢と希望だけどさ」
さやか「欲しかったんでしょ?あんたの分をさ!」
杏子「うん…!」
さやか「だから、杏子にあげるよ!」
さやか「ふふっ、見てらんないしね」
まどか「わたしも、わたしの分をほむらちゃんにあげるね」
まどか「特別だよ?」
ほむら「まどか…!」
まどか「実はわたし達もこれを探してたんだ」
まどか「それでさっきやっと全部揃ったの」
さやか「あたしら5人揃えるのにどんだけ苦労したんだか」
まどか「さっきのお店もわたし達が買ったのが最後だったもんね」
さやか「あははっ!人気者は大変だね!」
杏子「ははっ、なんだ、さやか達もそうだったのか」
さやか「そーゆーこと、でもあたし達は公園で叫んだりなんかしてないけどね」
杏子「あはは…」
さやか「ほんとやめてよね?さっきみたいのはさ」
杏子「わかったよ、もうしねぇって」
さやか「ならばよし!」
まどか「ほむらちゃん、大切にしてね!」
ほむら「ええ、もちろんよ!」
まどか「わたしも頑張って探したんだ」
まどか「やっと買えた、わたしのお気に入りなんだ」
まどか「ううん、いいの。ほむらちゃんだから特別だよ?」
ほむら「まどか…!」
まどか「えへへ」
ほむら「ありがとう!」
まどか「うんっ!」
ほむら「やったぁ…!」
さやか「でもいいよ、杏子にあげる」
杏子「さやか…いいのか?」
さやか「いいってば、あたしがあげるって決めたんだから!」
杏子「へへ…そっか、ありがとね、さやか!」
さやか「うん!」
さやか「あんた達も早く帰りなよ?」
杏子「ああ!」
まどか「ばいばい、ほむらちゃん!」
ほむら「ばいばい、まどか」
さやか「ばいばーい」
杏子「またなー!」
杏子「うん!やっぱり信じたかいがあったぜ!」
ほむら「そうね!」
杏子「あははっ!」
ほむら「ふふっ」
ほむら「さっそく……あれ?」
杏子「ん?…えっ?」
ほむら「杏子…私が貰ったのって…」
杏子「…あたしもだ」
さやか「うん、杏子も喜んでくれたみたい」
まどか「一番のお気に入りだったんだけどなぁ」
まどか「でも、ほむらちゃんが喜んでくれたから良いかな」
さやか「あたしもー、何気にって言うか、一番のお気に入りなんだよね」
まどか「ほむらちゃんストラップ」
さやか「杏子ストラップ」
杏子「うん」
ほむら「まどかの髪って黒じゃないわよね?」
杏子「ピンクだな」
ほむら「まどかの髪って私より短いわよね?」
杏子「そうだな」
ほむら「まどかって私より可愛いわよね?」
杏子「知らねぇよ」
杏子「はいはい、次はあたしだ」
杏子「さやかの髪って真っ赤じゃないよね?」
ほむら「ええ、美樹さやかは青よ、真っ赤の髪と言えば杏子よね」
杏子「だれがあんこだ」
ほむら「えっ」
杏子「えっ」
杏子「ま、まぁいいや…次いくぞ」
杏子「さやかの髪って短いよな?」
ほむら「ええ、そうね」
杏子「さやかはあたしより可愛いよな」
ほむら「知らないわよ」
ほむら「そう」
杏子「以上だ」
ほむら「これによって導かれた答えは1つね」
杏子「うん」
ほむら「これ、ほむらストラップ」
杏子「これ、杏子ストラップ」
ほむら「………」
杏子「………」
杏子「うん」
ほむら「逆に良かったんじゃない?」
杏子「逆に?」
ほむら「そうよ、まどかから、ほむらストラップが貰えたのよ?」
ほむら「しかも一番のお気に入りだって!」
ほむら「つまり、まどかのお気に入りは私ってことなのよ!」
ほむら「ほむっ!?そ、それは…」
杏子「それに、お気に入りってもストラップの出来とかじゃないの?」
ほむら「そ、そう…ね…私のことなんて…」
ほむら「で、でもっ!このほむらストラップは大切にするわ!」
杏子「ははっ!ああ、あたしも同じだよ」
杏子「さやかが杏子ストラップをくれたんだ!大切にしないわけないだろ!」
杏子「そうだよ!」
ほむら「……でもやっぱり」
杏子「…うん」
ほむら「まどかストラップ欲しい」
杏子「さやかストラップ欲しい」
杏子「…なあ、ほむら」
ほむら「なに?」
杏子「明日も学校休みだろ?ならさ」
ほむら「…ええ、そうね」
ほむら「うん!」
杏子「よっし!それじゃあ善は急げだっけ?」
杏子「とにかく行くぞ!ほむら!」
ほむら「ええ、行くわよ!杏子!」
杏子「そしてあたし達は走りだした」
ほむら「コンビニへ」
おわり
キュゥべえストラップ欲しかったけど無かった
キュゥべえ「きゅっ…きゅっぷい……」
マミ「キュゥべえ、美味しかった?」
キュゥべえ「う、うん…」
マミ「うふふっ、良かった♪」
キュゥべえ「い…今ので最後かい?」
キュゥべえ「ええっ?」
マミ「ティー・サムゲタン、パヴェ・ド・ショコラ、シフォンケーキ…いろいろあるわ♪」
マミ「全部お茶を使った料理よ?美味しく食べてね♪」
キュゥべえ「で、でも僕…もう…」
キュゥべえ「…も、もう満腹…」
マミ「美味しく食べてね♪」
キュゥべえ「はい、食べます、はい」
マミ「うふふっ、ありがとう、キュゥべえ♪」
キュゥべえ(ま、まさかマミがこんな風になるだなんて…)
キュゥべえ(僕があんなことさえ言わなければ…)
マミ「~♪」ルンルン
キュゥべえ「やあ、マミ!」
マミ「あら、キュゥべえ。いらっしゃい」
キュゥべえ「今日はご機嫌だね」
マミ「ええ、今日から私たちのストラップがお茶のオマケでついてくるの」
キュゥべえ「うん、知ってるよ」
キュゥべえ「どういう意味だい?」
マミ「みんながみんな6種類買うとは限らないでしょ?」
キュゥべえ「そうだね、1つや2つだけって人も大勢いるだろうね」
マミ「そう、そこで私は誰と一緒に買われるのか気になるの!」
マミ「やっぱり鹿目さんかしら?それとも美樹さん?」
キュゥべえ「…」
キュゥべえ(マミは僕とだよ!)
マミ「とにかく、誰と一緒でも楽しみだわ」ニコニコ
キュゥべえ「マミ…」
キュゥべえ(なんで僕じゃないんだ!)
キュゥべえ(マミキュゥ良いよマミキュゥ)
キュゥべえ(なのに何で僕はないんだよ…)
キュゥべえ(わけがわからないよ)
マミ「えっ?本当?どうだったの?」
キュゥべえ「まどかとほむら、さやかと杏子…他にはまどかとさやか」
キュゥべえ「…こんな感じだったかな?」
マミ「えっ」
キュゥべえ「………」
マミ「キュゥべえ、私は?」
キュゥべえ「残念だけど…」
マミ「そ…そんな……」
キュゥべえ(僕が嘘をつかないと思った?残念、今の僕は嘘つきでした!)
マミ「………」
キュゥべえ「マミ、残念だけど君は他の4人とのカップリングは…」
キュゥべえ「だから、僕と」
キュゥべえ(マミキュゥ!マミキュゥ!)
キュゥべえ「一緒に…えっ?」
マミ「みんな買うしかないじゃない!」
マミ「私が余るなら!」
キュゥべえ「なんで倒置法?」
マミ「私が!全部!」
キュゥべえ「えっ?ちょっと、マミ!」
マミ「キュゥべえのばかぁ」
マミ「うわぁぁぁぁぁぁん」
キュゥべえ「マミー!?」
キュゥべえ(5人のストラップを…しかも何故か僕のストラップだけ買ってくれなかった)
キュゥべえ(おまけに大量に残ったお茶の処理は僕がしなきゃいけないだなんて…)
キュゥべえ(こんなのってないよ…ひどいよ、あんまりだよ…)
キュゥべえ(でも、食べなきゃ…飲まなきゃ…)
キュゥべえ(これが恐怖なんだね?)
キュゥべえ「き…きゅっぷい…」
マミ「はい、次はこれよ♪」
きゅっぷい「う…」
マミ「召し上がれ♪」
きゅっぷい「ま、マミ…もう…」
きゅっぷい「い、いただきます」
マミ「まだまだたくさんあるからね♪」
キュゥべえ「うう…」
マミ「ふふっ♪」
キュゥべえ(さっきからまどかに助け呼んでるのに反応してくれない…)
キュゥべえ(殺される…お茶に殺される…!)
キュゥべえ(こんなのマミじゃないよ!)
キュゥべえ(彼女は…お茶の魔女だ!)
キュゥべえ「助けて…」
キュゥべえ「誰か僕を助けてぇぇぇぇ!」
マミ「残さず食べてね♪」
フィナーレ!
Entry ⇒ 2012.02.22 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
勇者「ここが500年後の世界か……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328788100/
夜明けとともに戦いが終わりを告げた。
一人の戦士が、魔王を滅ぼしたのである。
魔王「ぐわぁぁぁぁぁ……! ワシの体が朽ちてゆくぅ……!」
戦士「やった……ついにやったぞっ!」
魔王「しかし……なぜだ!? なぜキサマが伝説の剣を持っている!?
たしかにこのワシが破壊したはずなのに……!」
戦士「秘境でひっそりと暮らしてた時空使いってのに出会ってね。
お前が剣を壊した時より過去にさかのぼって、この剣を持って来たんだよ」
魔王「ぐうぅ……! そんなことができる人間がいたとは……!
む、無念……!」ガクッ
戦士(もっともあとでもう一度、過去にさかのぼって剣を戻さないといけないがな。
歴史が壊れてしまうから……)
城 謁見の間──
国王「よくやってくれた! おぬしはまさにこの国最高の戦士だ……。
いや、勇者と呼ぶに相応しい!」
国王「おぬしには“勇者”の称号を授けよう!
今日からおぬしは、勇者を名乗るがよい!」
戦士「ありがとうございます!」
戦士(俺が……この俺が勇者!? 信じられない……!)
戦士(やったぁっ!)
戦いに生きる者にとって、勇者とは最高に名誉な称号である。
こうして戦士は勇者となった。
マスター流剣術道場──
師匠「このオンボロ道場から、まさか勇者が誕生しちまうとはな。
ったく大したもんだぜ」
勇者「師匠の剣術がなければ、いくら伝説の剣でも魔王は倒せなかったでしょう。
ありがとうございます」
師匠「勇者になっても有頂天にならず、向上心を忘れるなよ」
勇者「はいっ!」
~
賢者の家──
賢者「危険な研究を繰り返し、魔法学界を追放された私から
魔法を習いたいといわれた時は正気を疑ったものだが……」
勇者「あなたの研究した魔法がなければ、魔王の大軍勢には勝てませんでした。
感謝しています」
賢者「こちらこそ、ありがとう。
私の研究が無駄ではなかったと、君が証明してくれたんだよ」
勇者による打倒魔王に大きく貢献したということで、
彼らが世に認められるようになるのはいうまでもない。
勇者の実家──
勇者「ただいま!」
父「お帰り! 町中お前のニュースで持ちきりだ、よくやったな!」
母「よく無事に帰ってきたね。本当に心配だったんだから」
妹「お兄ちゃん、お帰りなさい!」
弟「兄ちゃん! 冒険の話、聞かせてよ!」
勇者「ありがとう、みんな」
勇者(一週間は祝賀会やらなんやらで、忙しくなりそうだ。
時空使いのところに行くのは、それからかな……)
こうして勇者は、救国の英雄として人々に尊敬され、幸せに暮らした。
めでたし、めでたし……。
──となるはずであった。
勇者は再び過去にさかのぼり、伝説の剣を元あった場所に戻してきた。
勇者「これで歴史を壊さずに済む、か」
時空使い「ああ」
時空使い「しかし、伝説の剣があったとはいえ魔王は強敵だったはず。
称号だけではない。お前は名実ともに勇者だったということだ」
勇者「ハハ、アンタでも人を褒めることがあるんだな。どうもありがとう」
時空使い「さて、行くがいい。私の術は本来この世にあってはならないものだ。
私も住む場所を変える。もう会うこともなかろう」
勇者「時空使い」
時空使い「なんだ?」
勇者「一つ、頼みを聞いてくれないか?」
勇者「俺……未来が見たいんだ」
時空使い「未来だと?」
勇者「今俺がいるこの時代は、とりあえず平和になった。
だが、遠い未来果たしてこの平和はどうなっているのか、見届けたいんだ!」
時空使い「………」
時空使い「とかなんとかいって、本当は未来で自分がどう語り継がれてるか
知りたいんだろ? 勇者よ」
勇者「!」ギクッ
時空使い「お前はウソがつけない男だな。ま、そこが気に入ったんだが。
いいだろう。お前がこの世界を救ったのは事実だ。
少し未来を見る権利くらいあるだろうさ」
勇者「あ、ありがとう!」
時空使い「ただし、時空移動はこれが最後だ」
勇者「分かってる。ワガママを聞いてくれてありがとう」
滞在できる期間は半日、12時間経ったら自動的にここに戻る。
ただし向こうで死んだら、死体になったまま戻ってこれない」
時空使い「場所は……なるべくお前の故郷と近い場所に送るようにするが、
多少ずれてしまうだろう」
勇者「大丈夫だ。時空移動はこれで三度目だしな」
時空使い「さて、一番肝心なのは時間だ。どのくらいに飛ぶ?」
勇者「じゃあ……500年後で」
時空使い「500年……またずいぶん先だな」
勇者「あまり近いと、俺が勇者だってバレる可能性があるじゃないか」
時空使い「そうかぁ……? まぁいい、じゃあ500年後に飛ばすぞ」
時空使い「リナネカハキトーネマズイムイタ!」
時空使いが呪文を唱えると、勇者はこの時代から姿を消した。
……
………
勇者は道ばたにぽつんと立っていた。
勇者「ここが500年後の世界か……」
勇者(そういや、鎧とか着たまま来ちゃったけど、大丈夫かな……)
勇者(いやいや12時間しかないんだ、色々見て回らないと!)
勇者(すっかり様変わりしてるが、なんとなく見覚えがあるぞ)
勇者(とりあえず、俺の故郷の町に行ってみるか!)
勇者(すげぇ……! ちょっとした城塞都市みたくなってるぞ……)
勇者(とりあえず門番みたいな奴に話しかけてみるか……)
勇者「こんにちは、旅の者なんですけど」
門番「おおー? 旅の人かね。ぜひ寄ってってくれよ。
ここはかつて世界を救った勇者様が生まれた町『勇者の町』なんだ。
もっとも“町”なんていう規模ではないがね」
勇者(マジかよ、すげー!)
勇者「ちなみに勇者ってのは500年前に魔王を倒したっていう?」
門番「そうそう、勇者様が魔王城に乗り込んで、魔王をやっつけたんだよ。
今じゃ伝記や絵本、教科書にも載ってるから誰だって知ってるよな」
勇者(まちがいなく俺のことだ! すげーすげー!)
建物は大きく、道路も完璧に整備されている。そして何より──
勇者(町民の中に……俺と同じ格好をしてるのがいるぞ!?)
町民「お、旅のお方。アンタも勇者様ファッションかい?」
勇者(勇者様ファッション……?)
町民「こうやって魔王討伐時の勇者様の格好をしてるとさ。
なんだか俺もやれるかな、って気になってくるんだよね。
アンタもそういうクチだろう?」
勇者「ま、まぁね……」
(少しくらい俺のことが語り継がれてればなーとは思ってたが……。
予想以上だぞ、これは……)
勇者「ところで俺、この町には初めて来たんだ。
もし時間が空いてるんなら、ちょっと案内してくれないか?」
町民「いいとも。少しでも多くの人に、勇者様のことを知ってもらわないとな」
町民「勇者様に剣を教えた師匠様の子孫、師範様がリーダーで、
今や世界中に支部を構えている。門下の数はなんと一万人を超える」
勇者「へぇ~(昔は弟子は俺だけだったのに……すごいな)」
町民「あっちの学校は、勇者様に魔法を教えた賢者様の流れを組む魔法学校さ。
こちらも子孫の大賢者様が校長を務めている」
勇者「ほぉ~(賢者さん、研究が認められたのか……よかったなぁ)」
勇者「………」
勇者「ところで、勇者様の子孫はどうされてるんだい?」
町民「えっ、アンタ、そんなことも知らずにここに来たのかい!?」
勇者「いや、まぁ……勉強不足で……」
町民「勇者様の子孫である覇者様は、この町の偉大なるリーダーさ!
国王からも独立自治を認められているほどなんだよ!」
勇者(ウソォ!?)
町の真ん中にある広場には、高さ5メートルほどもある勇者像が建てられていた。
勇者(でけぇ! ……なんかずいぶん美化されてるな。ほとんど別人だ。
あんなに鼻高くないし、足も長くないし……でも嬉しいや)
町民「勇者様の一族は、代々あそこの館で暮らしているんだよ」
勇者(うわ、これまたでけぇ~ほとんど城じゃないか。
ずいぶん立派になったんだな、俺の子孫たちは……)
町民「じゃあ、案内はこれくらいでいいかい?」
勇者「十分だよ、どうもありがとう」
町民「じゃあ、この町を楽しんでってくれよ!」
どこもかしこも、勇者グッズであふれていた。
勇者(勇者まんじゅう、勇者ステッカー、勇者ぬいぐるみ……。
お、伝説の剣のレプリカまで売ってるのか、スゴイな)
勇者(これが500年後か……)
勇者(ちょっと照れ臭いけど、来てよかったな……)
勇者(こうまで発展してるとは、先祖として鼻が高いぞ。うんうん)
町をぐるりと一周し、勇者は銅像の前に戻ってきた。
少女「………」ジーッ
勇者「君も勇者様、好きかい?」
(ま、俺が本人なんだけどね……。ああ、バラしたい衝動に駆られる……)
少女「勇者様なんか、嫌い……大嫌いっ!」
勇者「なっ……!」カチン
タタタッ
兵士A「キサマ、今勇者様を侮辱したな!?」
兵士B「許さんぞ!」
勇者(お、いってやれ、いってやれ)
兵士A「このクソガキがっ!」
バキッ!
少女「あうっ……!」
勇者(え!?)
少女「う、うぅ……」
兵士A「とんでもないクソガキだ!」
兵士B「さっさと連行してしまおう!」
勇者「ちょ、ちょっと待てよ! なにも殴ることはないだろう!?
勇者を嫌いっていったぐらいで──」
兵士A「む、キサマ、このガキを擁護したな!? 同罪だ!」ブンッ
勇者「おっと」ヒョイッ
兵士A「ちいっ(この身のこなし……手強いな)」
ピピピ~~~~~ッ!
兵士Aが笛を吹くと、大勢の兵士が集まって来た。
勇者(おいおい、マジかよ……)
勇者(俺だけなら逃げることもできるだろうが……あの女の子が心配だな。
仕方ない、大人しく捕まるか……。どうせ12時間経てば帰れるし……)
勇者と少女は捕まってしまった。
看守「入れっ!」ドカッ
勇者「うおっ!」
少女「いたっ!」
看守「クズどもが……!」スタスタ
勇者「いてて……大丈夫か?」
少女「うん、大丈夫。お兄さんは平気?」
勇者「まぁ、鍛えてあるからね。とはいえ驚いたよ……。
あれぐらいで牢屋に入れられるなんて……。
この後、お説教を喰らって釈放って感じの流れなのかな?」
少女「ううん」
少女「私たち、二人とも殺されちゃうんだよ」
勇者「!?」
少女「お兄さんは知らないのね。
この町ではね、勇者様やその一族を侮辱したら絶対に死刑なの」
勇者(おいおい、なんだか様子がおかしくなってきたぞ……)
「こんなムチャクチャな法が成り立つのか!?
だって俺なんか何も知らない旅人なんだぞ? どう考えても──」
少女「この町の中では、覇者様は国王様よりも神様よりも偉いんだよ。
いいえ、この世界に覇者様に逆らえる人なんかいないかもしれない」
少女「覇者様は大勢の私兵を抱えているし、
師範様の剣術道場や、大賢者様の魔法学校も傘下にしている」
少女「それに、覇者様自身も勇者様の生まれ変わりといわれるくらい、
剣術と魔法に秀でてるしね」
少女「兵力、剣術、魔法……。非の打ちどころがないの」
勇者「……だったら、なんであんなバカなマネをしたんだ?
死刑にされるって分かっているのに……」
もう、いいかな……って思って……」
勇者「……二人とも亡くなったのか?」
少女「お父さんは覇者様のやり方に反発して、死刑にされちゃった。
お母さんは働きすぎで倒れて……」
勇者「働きすぎ?」
少女「この町の人には勇者税っていう重い税金が課せられるの。
町民は偉大なる勇者様に奉仕する義務があるってことでね」
勇者「勇者税……!?」
でも私に食べさせてくれて……倒れて……死んじゃった」
少女「もちろん逃亡なんか許されない……。
偉大なる勇者様のお膝元から逃れるなんて、大罪だもの」
少女「それでも勇者様の名に惹かれてここに来る人は多いんだよ。
ここは世界一安全な町でもあるしね」
勇者「じゃあ君は今までどうやって生きてきたんだ?」
少女「住む場所は全部取られちゃったから、町外れのゴミ山で暮らしてたんだ。
残飯とかを拾ってね」
勇者(なんてこった……)
少女「ううん、私は勇者様が好きだよ」
勇者「え?」
少女「勇者様は師匠様と賢者様の指導を受けて強くなって、
伝説の剣を持って邪悪な魔王をやっつけたんだよ。
だれにだってできることじゃない」
少女「私は勇者様を嫌いだなんて思ったことは、一度もない……」
少女「もし、あの世で勇者様に会えたら……私、謝らなくちゃね。
嫌いだなんてウソついて、ごめんなさいって」
勇者「………」
少女「え?」
勇者「もしも今、勇者がよみがえってこの『勇者の町』を見たらなんていうと思う?」
少女「……そんなの分からないよ。
でも、子孫である覇者様を見たら、きっと喜ぶんじゃ──」
勇者「……俺はきっと喜ばないと思うんだよな」
勇者「最初こそ“俺のことを忘れないでいてくれてありがとう”って喜ぶだろうさ。
でも、君みたいに勇者の犠牲にされてる子を見たら、きっと悲しむと思う」
勇者「それに……勇者ってのは子孫だとか先祖だとか関係ない。
おかしいことをしてる奴を見かけたら、根性を叩き直してやるのが
勇者なんだと思う」
きっと勇者なら──」
勇者「君をここから救い出し、覇者とかいう奴にお灸をすえるに違いない」
勇者「俺も腕っぷしには多少自信がある。
だから、ちょいと勇者がやりそうなことをやってやろうと思う」
少女「無理よ! 殺される!」
勇者「大丈夫だって。必ず救ってやるから。まぁ見てな」
勇者「オーイ、クソ看守!」
ドタドタッ
看守「お前か!? 今俺をクソ看守っていったのは!?」
勇者「申し訳ない。ウソがつけないタチなもので……」
看守「勇者様を侮辱したクズの分際で……!
明日の処刑まで待ってられるか、今すぐブチのめしてやる!」
ガチャッ
少女「きゃあっ!」
看守「二人仲良く殴り殺してやるから、覚悟しな!」
ブオンッ!
勇者は看守の警棒を掴み取ると、首に手刀を当てた。
看守「ぐえっ……!」ドサッ
勇者(魔王の手下にとっつかまった時もこうやって脱出したっけ……。
500年経ってもこういうとこは進歩がないんだな……)
勇者「よし、外へ出るぞ」
少女「で、でも……私は……」
勇者「じゃあムリヤリ連れてく」ヒョイッ
少女「あっ、やだ、持ち上げないでよ! 歩く、歩くからっ!」
勇者は看守から奪った警棒で次々に番兵を打ち倒し、
少女を連れて留置所の外に出た。
しかし、すでに外には大勢の兵隊が待ち構えていた。
勇者「ちっ」
少女「もう逃げられない……。でも、お兄さんだけなら逃げられるはず!
私はいいから、早く町から逃げて!」
勇者「そうはいくかってんだ。後ろに下がってろ! お前らかかって来い!」
「この人数とやるつもりか?」 「バカめ……」 「かかれーっ!」
勇者「うおおおおっ!」
ドカッ! ベキッ! ズガッ!
勇者は大勢の兵隊相手に一歩も引かず、警棒一本で互角以上に戦ってみせた。
勇者「ハァ、ハァ……(よし、奴ら逃げ腰になってきた!)」
しかし──
師範「ずいぶん騒がしいが、なにがあったのか?」ザッ
兵士A「し、師範様っ! はっ、あの男と少女を勇者侮辱罪で捕えたのですが……
奴ら脱獄いたしまして……て、手こずっております……」
勇者(師範……? アイツが師匠の子孫に当たる男か……)
師範「ほう。つまりそんな輩を捕えられないキサマらも、
勇者様を侮辱したことになるな」
ズバッ!
兵士Aの首が飛んだ。
勇者「なっ……!?」
師範「どれ、この俺が相手をしてやろう。久々に骨がありそうな相手だ」
兵士B「し、しかしヤツは脱獄犯──」
ザシュッ!
兵士Bは肩から腰までを、ナナメにバッサリと斬られた。
師範「与えてやれ」
兵士C「は、はいっ!」ビクビク
勇者は兵士Cから剣を手渡された。
勇者(仲間を……殺しやがった! なんのためらいもなく……)
勇者(今のだけで分かる……。あの師範ってヤツ、恐ろしく強いぞ……!
だが……コイツの強さを強さとは認めたくない!)
少女「お、お兄さん……」ガタガタ
勇者「心配するな。俺は絶対に負けない」
勇者「行くぞぉっ!」
ガキンッ!
勇者は渾身の力で剣を振り下ろした。が、師範は片手持ちのままでそれを受けた。
師範「なかなかの一撃だ」
勇者(バ、バカな……表情一つ変えずに受け止めた……)
師範「では、こちらから」
ガギィンッ!
師範の一閃。どうにか受けるが、勇者の両腕はシビれていた。
勇者(速いっ……そしてなんて重い剣だ……!)ビリビリ
師範「ほう、俺の一撃を受けるとはな。門下生に欲しいくらいだ。
だが、勇者侮辱罪は例外なく死刑だからな。実に残念だ……」
しかし、勇者の全力は明らかに手を抜いている師範に全く及ばなかった。
勇者「ハァ……ハァ……」
師範「キサマ、センスはあるのだが、まるで化石のような古臭い剣術だな。
いったいどこの田舎者だ?」
勇者(この町の生まれだよ……!)
師範「まぁいい、そろそろ終わりにするとしよう。
キサマと後ろの小汚いガキを殺して、フィニッシュだ」
勇者(くそぉ……! コイツの重い剣を受けすぎて、腕が……!)
少女「お、お兄さん……!」
すると──
大賢者「おやおや、師範さん。ずいぶん楽しんでらっしゃいますねェ」ザッ
師範「おお、これはこれは大賢者殿。学校はもう終わったのですかな」
勇者(こ、今度は……賢者さんの子孫か……?)
大勢の魔法使いを引き連れた大賢者が現れた。
もっとも、あなたより強い剣士など覇者様くらいでしょうが……」
大賢者「この町で最大の罪、勇者侮辱罪を犯した者など久しぶりのことです。
私にも楽しませて下さいよ」
師範「……まぁ、よかろう(ふん、人間に魔法を撃ちたいだけだろうが……)」
大賢者「君、あの方を回復してあげなさい」
魔法使いA「はい」
魔法使いAの回復呪文で、勇者の体は全快した。
勇者「あ、ありがとう……(なんでこんな真似を……?)」
魔法使いA「別にいいよ。どうせアンタ、すぐ死ぬことになるし……」
勇者「………?」
大賢者「見たところ、あなたも魔力を宿しているようです。
どうです? 私と魔法合戦でもいたしませんか?
もし私に勝てれば、あなたも少女も無罪にしてあげますよ」
「いいだろう、俺から仕掛けてもいいか?」
大賢者「どうぞ」ニヤッ
勇者「はなっから全力だっ! “メガフレイム”ッ!」
ブオアッ!
強烈な炎が、大賢者を包み込んだ。
勇者がいた時代、呪文は通常呪文の上位、『キロ』系が最強とされていた。
フレイム⇒キロフレイム、といった具合である。
しかし、賢者は魔法学界から追放されるほどに危険な研究を繰り返し、
ついに『キロ』の上位である『メガ』系呪文を編み出した。
勇者は炎系呪文である“メガフレイム”しか習得していないが、
魔王軍との戦いで大いに役立った。
勇者(ちょ、直撃したぞ……!)ハァハァ
「今、全力とかいってたよな」 「全力で『メガ』程度かよ」 「雑魚じゃん」クスクス
勇者「な、なんだ……?」
大賢者「やれやれ、この程度ですか」
勇者(む、無傷……!?)
大賢者「“メガフレイム”など、ここにいる魔法使いなら全員使えますよ。
──というより、『メガ』系など魔法の中では初級の部類ですからね」
勇者「ウソだ……『メガ』系呪文は最強のハズだ!」
大賢者「ウソじゃありませんよ。『メガ』系呪文の上にはさらに
『ギガ』『テラ』『ペタ』『エクサ』系呪文が存在しますから」
勇者「そ、そんな……(なんだよ、ギガとかテラって……)」
大賢者「炎のキレはなかなかでしたが……扱えるのが低級呪文がやっとでは、
私の相手にはなりませんねェ」
ゴオオワアァッ!
大賢者の右手から、勇者のものより遥かに大きい炎が放たれる。
勇者「ぐああああっ!」ドザッ
少女「お兄さんっ! お兄さん、しっかりしてっ!」
勇者(ダ、ダメだ……コイツら、強すぎる……)
師範「よし、もういいだろう。この二人は俺の試し斬りの材料になってもらう」
大賢者「トドメだけ持っていくなんてひどいじゃありませんか。
私もまだ試したい魔法があるんです」
勇者(さすがは、あの師匠と賢者さんの子孫だけある……! でも──)
勇者の脳裏に、恩師二人の顔が浮かぶ。
勇者(師匠も……! 賢者さんも……!)
勇者(間違ってもむやみに力をひけらかしたり、ましてや!
武器も持たない女の子を殺す、なんてことしない人なんだよぉっ!)
ガバッ!
勇者は立ち上がった。
大賢者「いえいえ、私が骨ごと焼き尽くしましょう」
勇者(立ったはいいが……打つ手は、ない……)ヨロッ
少女「お兄さん、逃げてぇっ! 今度こそ殺されちゃうわっ!」
勇者(逃げるわけにはいかない……!
もしここで逃げたら、俺は俺を一生勇者だなんて認められない!)
どちらが勇者を殺すかの口論は続いていた。
大賢者「あなたも譲らない人ですねェ。
ならば、いっそ同時に攻撃するってのはどうです?」
師範「よかろう。ただし、俺に魔法を当てるのだけはやめてくれよ」
大賢者殿「もちろん、そんなヘマはしませんよ」
二人の殺気が、勇者に向けられた。
勇者(来る……! こうなったら刺し違えてでも……来いっ!)チャキッ
「なにをしている?」
大賢者「!」
少女「!」
勇者「?」
空気が変わった。
「は、覇者様だ!」 「覇者様が来られたぞ!」 「おおっ、なんという幸運……」
少女「………!」ガタガタ
覇者「留置所周辺が騒がしいから来てみたら……どうしたんだ?」
師範「……はっ、私と大賢者で脱獄犯を追い詰めておりました」
覇者「それはご苦労だった。しかし、こう騒がしくするのは感心しないな。
町民をいたずらに不安にさせてしまうじゃないか」
師範「申し訳ありません……!」
勇者(コイツが……俺の子孫か……!
だが、俺の想像と違って暴君という感じではなさそうだが──)
覇者「あの剣士と少女が脱獄犯か……ちなみに罪状は?」
大賢者「二人とも、勇者侮辱罪と聞いています」
覇者「なに!?」
ヤツらは侮辱したというのかっ!?」
大賢者「!」ゾクッ
大賢者「お、おっしゃる通りです……」
覇者「お、お、おのれぇ~~~~~! キサマらァ~~~~~!」
勇者(な、なんだ、いきなり!?)
覇者「許さんっ!!!」
ボゴォッ!
覇者は瞬間移動のような速さで間合いを詰めると、勇者を殴りつけた。
防御どころか反応すらできず、吹き飛ばされる勇者。
勇者「がっ……!」
(師範と大賢者も強かったが……コイツはケタ違いだ!)
覇者「勇者様を侮辱した罪、万死に値するっ!!!」
覇者「ええい、キサマらは許せんっ! 公開処刑だっ!
明日、あの勇者像の前で私自らが処刑してくれるわっ!」
覇者「コイツらを牢屋に入れておけっ! 今度は絶対に逃がすな!
ついでにコイツらを逃がした看守は斬り捨てておけっ!」
兵士D「は……はいっ!」
勇者「あ、う……」
少女「お兄さん、大丈夫!? しっかりしてっ!」
勇者「うぅっ……」ガクッ
勇者は気絶してしまった。
…
……
………
勇者「ん……」
少女「よかった、気がついた?」
勇者「ここは……」
少女「牢屋の中だよ」
勇者「そうか……俺は負けちまったんだったな。
ごめんな、必ず救い出してやるとかいったのに……」
少女「ううん、かっこよかったよ。
あの三人に立ち向かうなんて……もうだれもできないと思ってた」
勇者「………」
勇者「そうか……」
少女「お兄さん、ありがとう。
私、最後にお兄さんみたいな人と会えてよかった。
私を救い出すっていってくれた時、本当に嬉しかった」
少女「だから、ね。本当は死ぬのが怖かったけど、今は全然怖くない。
お兄さんのおかげだよ」
勇者(ウソをつけ……震えてるじゃないか……)
勇者(しかし500年で、魔法や剣術があそこまで進歩してるとは……。
食糧事情もよくなったのか、体格や筋力も俺よりずっと上だし……)
勇者(くそぉ……!)
魔王にすら打ち勝った勇者が、手も足も出ずに負けた。
剣でも魔法でも、完敗だった。
負けた悔しさ、少女を救えなかった悔しさ、子孫が暴虐な支配者となった悔しさ。
勇者は少女に背を向け、声を殺して泣いた。
パアァァァ……
勇者(俺の体が光り輝き始めた!?)
勇者(そうか……もう12時間経ってしまったのか!)
少女「お兄さん、どうしたの!?」
勇者「いいか、よく聞いてくれ! 俺は必ずまたやって来る!
必ず君を助けてみせる! だから──」
バシュンッ!
少女の目の前から、勇者が消えた。
少女「!」
少女「………」
少女(お兄さん、いなくなっちゃった……。
でもよかった……これで死ぬのは私だけでよくなったから……)
時空使い「ようやく戻って来たな。
といっても、こっちの時間は30分くらいしか──って」
時空使い「ボロボロじゃないか! いったい何があった!?」
勇者「ハァ……ハァ……」
勇者「頼むっ! もう一度、もう一度だけでいいっ!
俺を500年後に連れてってくれっ!」ガシッ
時空使い「!?」
勇者「頼むっ!」
時空使い「落ち着け。とりあえず、なにがあったのかを聞かせてもらおうか」
勇者「……分かった」
勇者は時空使いに全てを話した。
勇者「頼むっ……! 俺は、あの少女を救ってやらなければ……」
時空使い「喜んで協力しよう、とでもいうと思ったか?」
勇者「!」
時空使い「しつこいようだが、私の術はこの世にあってはならないものだ。
できれば一生使わずにひっそりと生涯を終えるつもりだった」
時空使い「魔王の件でお前に協力した理由は、お前という人間を気に入ったのと、
過去に行くのは、あくまでこの時代のためだったからだ」
時空使い「500年後に行かせてやったのも、
魔王を倒して勇者となったお前への、私なりの餞別みたいなものだ」
時空使い「たしかに子孫が独裁者になったのはショックだっただろうし、
お前が行かなければ、確実にその少女は処刑されるだろう」
時空使い「だがな、お前には500年後の未来に対し責任なんて全くないし、
干渉する権利もない」
時空使い「それに仮に500年後を救えても、1000年後は? 2000年後は?
こんなことやっていたら、いつまでもたってもキリがないじゃないか。
お前は勇者だが、あくまでこの時代の勇者なんだ」
時空使い「悪いが、協力するつもりはない」
時空使い「さあ、早く帰れ。500年後のことなど忘れ、今を楽しむんだ」
勇者「……見て、しまったんだ」
時空使い「見てしまった?」
勇者「俺はあの少女が、俺の子孫に苦しめられてるところを見てしまった」
勇者「俺だって、全ての時代を救ってやろうなんて気は毛頭ない。
いや、この時代だって魔王こそ倒したが救えてるなんて思ってない」
勇者「だが、俺の中にある勇者ってやつは、苦しんでる人を見てしまったら、
知ってしまったら、なにをおいてもその人を助けるんだよ」
勇者「もし、あの少女を助けられなければ、俺は俺を勇者と認められない。
そしてあの少女を助けるには、アンタに力を借りるしかない。
身勝手な願いだってのは百も承知だ……」
勇者「頼む! もう一度だけ、力を貸してくれっ!」
時空使い「……呆れ果てた奴だ」
無駄死にするだけだ。もっとも、お前が殺されれば、
その覇者とやらも歴史から消えてなくなるかもしれんがな」
勇者「………!」
時空使い「それに前にもいったが、私はもう住む場所を変える。
それこそ、いくらお前でもやって来られないようなところにな……」
勇者「………」
時空使い「一ヶ月」
勇者「!」
時空使い「一ヶ月だけ、住む場所を変えるのを待ってやる。
必死に強くなって戻ってこい。
そしたらもう一度だけ……正真正銘のラスト、500年後に送ってやる」
勇者「時空使い……」
時空使い「行け。今は一分一秒でも惜しいだろう。時は金なり、だ」
勇者「──ありがとうっ!」ダダダッ
時空使い(……ふん。あんなヤツだからこそ気に入ったんだが、な)
勇者しか弟子がいなかった道場に、数人ではあるが弟子が通うようになっていた。
「えいっ、えいっ!」 「とおーっ!」 「やあっ!」
師匠「声が小さいぞっ!」
ガラッ!
勇者「師匠っ!」
師匠「ん……? おお、勇者じゃねえか。
見ろよ、お前のおかげでこんなボロ道場にも弟子が──」
勇者「師匠、俺には時間がありません。頼みを聞いて下さい」
師匠「おいおい、いきなりどうしたんだよ」
勇者「稽古をつけて下さいっ!」
師匠「なにいってんだ、お前はもう俺より強くなっちまっただろうが。
魔王を倒してのけたヤツに、教えることなんてねぇよ。
むしろお前はもう、指導する側の人間だろう」
勇者「強敵なんです……。魔王より数段強い強敵なんです……!
なにもいわずに俺に稽古をつけて下さいっ!」
師匠「………」
いいぜ、稽古をつけてやる。かかって来な!」
勇者「ありがとう、師匠!」
さっそく手合わせすることになった両者。
こっぴどくやられたとはいえ、勇者は師範の剣筋を覚えていた。
それを師匠に向けて、試してみる。
ガッ! ガガガッ! バシッ!
師匠「うおおおっ、な、なんだァ? ──う、受け切れんっ!
お前、ずいぶん剣筋が変わったな……なんというか新しいぞ」
勇者「さあ、続けますよ、師匠!」
師匠「わ、分かった!(どうしたんだ、いったい……?)」
勇者の狙いは、二つ。
一つは、稽古によって少しだけ体験した500年後の剣を自分のものにすること。
そしてもう一つは、師匠にも強くなってもらうことだった。
練習相手が強くなければ、稽古の効力は半減するからである。
賢者「やあ戦士君。おっと……今は勇者君、だったね」
勇者「お願いしたいことがあって、来ました」
賢者「君の頼みだったら、なんでも聞いてあげるよ。
あ、実は今度国立魔法学校の講師に招かれたんだよ!
これも君のおかげだよ」
勇者「あの……その話なんですが、一ヶ月待ってもらえませんか?」
賢者「えっ?」
勇者「賢者さんには『メガ』系より上の魔法を編み出して欲しいんです!
俺が習得する時間も欲しいので、できれば二、三週間ぐらいで!」
賢者「な、なんだって!?」
勇者「実は一ヶ月後、魔王よりも強い敵と戦うことになりました。
剣を主体に戦うつもりではいますが、強い魔法も必要なんです!」
勇者「いえ、平和を乱す敵、とかではないんです。
詳しくはいえませんが、俺が個人的に倒さないといけない敵、というか……」
賢者「ふぅむ。だが、『メガ』系より上の呪文は理論上ありえないんだが──」
勇者「いえ、あるんです! 絶対に『メガ』より上があるんですっ!」
賢者「………」
勇者「お願いしますっ!」
賢者「……分かったよ。他ならぬ君の頼みだ、力の限りやってみよう」
勇者「ありがとうございますっ!」
賢者「もしうまくいったら、君の実家に手紙を送ろう。それでいいか?」
勇者「はいっ!」
勇者の繰り出す新しい剣に、師匠も負けじとついていく。
二人は急速にレベルアップしていった。
勇者「ハァ、ハァ……」
師匠「ゼェ、ゼェ……いやぁ~強くなったな。お互いに。
なんというかここ二週間で剣が数十年進歩したような気さえするぜ」
勇者「数十年……ですか」ハァハァ
師匠「ん?」
勇者「それじゃダメなんです。500年は進歩しないと……」
賢者「何度か実験で死にかけたが……ついに編み出したよ。
『メガ』を超える呪文体系をね……」
賢者「私はこれを『ギガ』と名づけようと思う。
残り一週間で、君には炎系の“ギガフレイム”を身につけてもらう」
勇者「賢者さん、ありがとうございますっ!」
勇者(“ギガフレイム”なら、通じずとも牽制くらいの役には立つはずだ。
これで勝率がだいぶ上がった……!)
賢者「時間がない。さっそく魔法修業の開始だ」
勇者「はいっ!」
マスター流剣術道場──
勇者「ありがとうございました、師匠」
師匠「500年進歩、とまではいかねえが、お前は一ヶ月前よりグンと強くなった。
相手がどんな連中かは知らねえが、自信を持て!」
勇者「はいっ!」
勇者「──ところで師匠」
師匠「なんだ?」
勇者「もし師匠なら、自分の子孫が間違ったことをしていたら、どうしますか?
例えば、優れた剣の腕で横暴を振りかざすとか……」
師匠「テメェの剣で横暴を……? う~ん、そうだな……そんなバカは……。
バカヤロー! ってブン殴るかな」
勇者「ありがとうございます。では失礼いたします」ペコッ
師匠(はて、なんのこっちゃ……?)
賢者「いよいよ行くのかい? 強敵とやらのところに」
勇者「はい。俺のワガママで、講師になるのを一ヶ月延ばしてもらって
すいませんでした」
賢者「いやいや、君にいわれなかったら、きっと私の研究は終わっていただろう。
『メガ』の上があるなんて思ってもなかったしね。
学園講師になっても、研究は続けていくつもりだ」
勇者「頑張って下さい」
賢者「君こそな。どんな相手かは聞かないが、死ぬんじゃないぞ」
勇者「……賢者さん、最後に一つだけ質問をいいですか?」
賢者「質問?」
勇者「もし、自分の子孫が間違ったことをしてるのを見たら、どうしますか?
例えば、魔法を明らかな弱者に向けて撃つ、とか……」
賢者「私の子孫が……? なかなか難しい質問だな。
ま、もし私と同じ魔法使いなら“お前に魔法を使う資格はない”
といってやるだろうな。それが本人のためだ」
勇者「ありがとうございます。じゃあ俺はこれで……」
賢者(最後のは……心理テストかなにかだろうか?)
勇者「戻ってきたよ。修業は剣術も魔法もバッチリだ。
ワガママを聞いてくれて、ありがとう」
時空使い「おお……。戦いは全くできない私でも分かるよ。
お前が格段にレベルアップしたのが……。
この一ヶ月で、血のにじむような努力をしてきたようだな」
勇者「泣いても笑っても、これが最後の12時間だからな」
時空使い「……よし、ではさっそく500年後に送るとしよう」
時空使い「なるべく、お前が前に消えた場面に送るよう努力するつもりだが、
そこまでの微調整はできない。おそらく場所も時間も誤差が出るはず。
送ったはいいが、少女が処刑された後、になる可能性もある」
勇者「……分かってるよ。もしそうなったとしても、文句はいわない」
時空使い「じゃあ飛ばすぞ。私の前に立て」
時空使い「リナネカハキトーネマズイムイタ!」
勇者は再び500年後へと旅立った。
時空使い(生きて帰ってこいよ……。お前はこの時代にも必要な男なんだ……)
あの少女は勇者像のある広場に連れて来られていた。
もちろん、公開処刑のためだ。
大勢の観衆が見守る中、覇者が今回の処刑について説明する。
覇者「この少女は昨日、よりにもよってこの勇者像の前で、
我が偉大なるご先祖である勇者様を侮辱するという大罪を犯した!」
覇者「よって、この私自らがこの剣で公開処刑を執り行う!」
覇者「なお、もう一人の共犯者は牢屋から煙のように消えてしまったが、
見つけ次第処刑することになるだろう!」
ワアアアァァァァァッ!
歓声が上がった。
もっとも、上げなかった者は勇者侮辱罪にされてしまうのだが。
少女「!」
覇者「いっておくが楽に死ねると思わない方がいい。
まず耳を裂き、鼻を削ぎ、目を抉る。そして手足を斬り、最後に首、だ」
少女「い、いや……」ガタガタ
覇者「君は勇者様を侮辱したのだ。これぐらいの苦しみは当然だろう?
魔王を倒しこの世を救った英雄を否定したのだからね」チャキッ
少女「たっ、たすっ……」ガタガタ
覇者「まず、耳からもらおうか」スッ
少女(助けて……お父さん、お母さん!)
少女(助けて……昨日のお兄さん!)
少女(助けて……)
──勇者様ァ……!
剣が振り下ろされる。
剣は少女に届かなかった。
少女「え……?」
覇者「むっ!?」
剣を受け止めたのは、勇者だった。
少女「お兄さんっ!?」
覇者「キサマ、勇者侮辱罪の共犯者の……! いったいどこから湧いて出たっ!?」
勇者「さあて、どこからだろうねえ……(500年前、だったりして)」
観衆がざわつく。
「なんだアイツ!?」 「今突然現れたよな!?」 「魔法使いか!?」
勇者(時空使い……とんでもない場面に送ってくれたもんだな。
反応が少しでも遅れてたら、いきなり斬られて死ぬとこだったぞ……)ドキドキ
勇者(だが、少女の処刑にはギリギリ間に合ったようだ!)
少女「お兄さん、どうして来たの!? あのまま逃げてれば、助かったのに!」
勇者「いっただろ? 必ず救ってやるって」
少女「でも……!」
勇者「大丈夫だ。一ヶ月前の俺とは少し違う」
少女「一ヶ月?」
勇者「──い、いや、昨日の俺とは少し違う」
覇者「ふん……。まぁいい、処刑のジャマはされてしまったが、
どうせ君も探し出して処刑するつもりだったのだ。手間がはぶけた」チャキッ
勇者「………」
勇者「覇者、戦う前に一つだけ聞きたい。
アンタ、今のこの町を500年前の勇者が見たら、なんていうと思う?」
“よくぞここまで町を発展させ、私の名誉を語り継いでくれた、ありがとう!”
とな!」
覇者「その証拠に、勇者像も我々に優しく微笑みかけているではないか!」
覇者が誇らしげに勇者像を指さす。
勇者「ふーん、俺は全くの逆だな」
勇者「勇者はきっとこういうと思う」
勇者「見るに堪えない、と」
覇者「なにぃ!?」
勇者は勇者像の前に立った。
「なんだ?」 「剣を構えたぞ……?」 「アイツなにをする気だ?」
勇者「──だからもう、見なくていいようにしてやる」
勇者は──勇者像を真横に斬り捨てた。
少女「えっ……!」
覇者「なっ!?」
ズズゥゥゥ……ン……
「勇者像が倒れたぞ!」 「ひ、ひどいっ!」 「な、なんてことをっ!」
勇者(ちょっとやりすぎたかな……。だが、このぐらいの荒療治が必要だ……。
この『勇者の町』には……)
覇者「あ……ああ、あ、あ……ゆ、勇者様が……勇者様が……」ワナワナ
覇者「お、お倒れに……」ワナワナ
覇者「あああああ~~~~~!」
覇者「うわあああああ~~~~~!!!」
勇者「アンタらが絵本で読んで、像まで建てて崇めていた勇者ってのは!
重い税金かけて! 逆らう者は次々殺して! こんな少女まで不幸にさせる!
そんなヤツだったのかっ!」
勇者「違うだろぉっ!」
勇者「たった一人で魔王に挑んでまで、勇者が守りたかった世界ってのは!
皆で勇者一族の顔色うかがって! 勇者一族は剣と魔法で皆を弾圧する!
そんな世界だったのかっ!」
勇者「違うだろぉ……!」
勇者「ハァ……ハァ……」
少女「お兄さん……」
ざわつく観衆。
覇者「罪人風情が知ったようなクチを聞くじゃないか……!」
覇者「!」ハッ
覇者「なるほど、キサマの魂胆が読めたぞ。罪人め……」
死刑執行から逃れようとしているな?」
勇者「そんなんじゃない。ただ……いいたいことをいいたかっただけだ」
覇者「せめてもの強がりか。だが、残念だったな。
仮に町民らが暴れても、私にはあっという間に鎮圧する武力がある」
覇者「マスター流剣術道場の門下生たちも、魔法学校に所属する魔法使いも、
全て私の配下なのだからな」
覇者「勇者侮辱罪に加え、まさか勇者像をも斬り倒すとは……。
一瞬で首をハネるだけではとても飽き足らん!」
覇者「キサマはこの手で捕え、三日三晩拷問した後、晒し首にしてくれる!」ジャキッ
勇者「……かかって来いっ! その根性叩き直してやる!」
師範「覇者様、その罪人の処刑、我々にやらせてもらえないでしょうか?」
大賢者「えぇ、勇者像を斬り倒すほどの大罪人……。
そんな輩を斬ってしまえば、あなたの剣が汚れてしまいましょう」
勇者(コイツら……)
覇者「ふむ……それもそうだ」
覇者「この罪人の処刑は二人に譲ろう」
師範&大賢者「ありがとうございます」
二人とも、それぞれ世界的な剣術道場と魔法学校の長である。
自分たちの力を満天下に知らしめる機会を常に求めている。
勇者は彼らにとって、格好の宣伝材料であった。
師範「俺の勝ちだな、大賢者殿」
大賢者「くそっ……!」
(勇者像を斬り倒した最悪の罪人を始末する……最高の舞台だったのに……!)
勇者(おいおい、ジャンケンで決めるなよ……)
師範「さて、この俺が相手をしてやろう。クズめ」
勇者「昨日は惨敗だったがな……今日はそう簡単にはいかないぞ」
師範「ほう、たった一晩でなにが変わったというのだ?
まさか、昨日は手加減していたとでもいうつもりか?」
少女(とてもじゃないけど、師範様には敵わないわ!
お兄さん、逃げてぇっ……!)
師範「先手は譲ってやろう。さあ、かかって来い」
勇者の先制攻撃。
師範も危なげなく受けるが──この一撃で全てを理解した。
師範(この男……強くなっている!)
師範(バカな、昨日はこの俺に全く歯が立たなかった相手が……
たった一晩で俺を脅かしかねない技量を身につけただと!?)
師範(どういう手品を使ったんだ!?)
勇者(コイツ、もう俺が強くなったことに気づいたな……。
できれば油断している間に倒したかったが……やはりさすがだな)
師範「面白い。それでこそ、俺の獲物に相応しい」チャキッ
勇者「ここからが本番だ……!」チャキッ
パワー、スピード、テクニックを備えた500年後の剣術が勇者を襲う。
ガギィンッ! ギィンッ! ガギィン!
しかし、勇者もそれらを全ていなしてみせた。
少女「お兄さん……すごい……!」
「なんなんだ、あの男!?」 「師範とまともにやり合ってる」 「信じられない!」
勇者に剣術を教えた伝説的剣士である師匠、その子孫である師範。
そんな男と互角に剣を交える謎の旅人。
観衆が再びざわめいた。
覇者「なるほど、犯した罪に比例する程度の剣の腕は持ち合わせているようだ。
勇者像を斬り倒してみせたのも、マグレではなさそうだ」
キィンッ!
間合いを取る両者。
師範「恐れ入ったぞ。まさか、ここまで俺と張り合えるとはな」
勇者(余裕だな……こっちは全力で飛ばしてるってのに)ハァハァ
師範「褒美に見せてやろう……あらゆる剣術の頂点に立つマスター流剣術の強さを。
そしてその頂点に立つ、この俺の強さを!」
ガゴォンッ!
師範の豪快な一閃。
剣でしっかり受け止めたはずの勇者が──吹っ飛んだ。
ドザァッ!
勇者「うぐぁっ……!」
師範「やるな。俺の本気を受けられるのは、覇者様くらいのものと思っていたが。
もっとも覇者様はキサマのように、無様に吹き飛びはしないがな」
勇者(くっ……やはり500年の差……一ヶ月で埋められるほど甘くない、か!)
ドガギィンッ! ズガギィン! バギャァン!
勇者が剣を受けるたび、とても剣が奏でているとは思えない轟音が鳴り響く。
勇者(なんてデタラメなパワーだ! しかも速さもタイミングも申し分ない。
あまり受けてると、剣を折られる! そうなったら終わりだ!)
師範「どうした、少しくらい反撃してみろっ!」
ガギィンッ!
勇者(一撃受けるたびに、全身にシビレが走る……!)
勇者(あとに大賢者と覇者も控えてるんだ……これ以上、時間はかけられない!)
師範「ハァッ!」ブオンッ
勇者「“ギガフレイム”ッ!」
ボゥオアァッ!
師範「なにっ!?」
賢者の研究の結晶である炎が、師範に向かっていく。
師範「この程度の炎、切り払ってくれるわっ!」
ブオンッ!
師範「ふん、『ギガ』系呪文など、この俺には通用しない──」
師範「!?」
勇者がいなくなっていた。
師範「ど、どこへっ!?」
グサッ!
上から降って来た勇者が、師範の右肩を突き刺した。
師範「ぐあぁっ! キ、キサマァ……!」
勇者「これでもう、満足に剣は振れないだろう。降参しろ。
回復呪文も進歩してるだろうから、なんとかなるだろ」
勇者「悪いな、こっちは大罪人だ。使えるものがあったら使わないとな」
師範「くぅっ……! 左腕だけでもキサマ如きっ!」ブンッ
勇者「さすがに、片腕相手には負けられないっ!」
ザンッ!
次は脇腹を切り裂く。むろん、浅手に抑えてある。
師範「がぁっ……! ぐぅぅっ、こ、こんなハズが……!
師匠様の子孫であるこの俺が……! こんなクズに……!」
勇者「なぁ……」
勇者「アンタ……かつて勇者に剣を教えたっていう師匠を尊敬してるか?」
歴史上五本の指に入るであろう剣士だっ! 尊敬しないハズがないっ!」
勇者「そうか。じゃあ、その大先輩から伝言をもらってるから、聞いてくれ」
師範「?」
勇者「バカヤローッ!!!」
バギャッ!
師範「ごえぁっ!」
師範は勇者に殴り飛ばされた。
勇者(師匠……きちんと伝えましたよ。パンチのおまけつきで……)
「師範様が……ウソだろ!?」 「あんな罪人に……」 「なんなんだよアイツ……」
気を失った師範が、門下生たちに運ばれていく。
勇者「さぁ、次はアンタだったな、大賢者!」
大賢者「ふん、奇策が当たったマグレ勝利でいい気にならないで下さいよ。
そして、マグレは二度続くものではありません」
大賢者「“メガフレイム”が限界と思いきや、“ギガフレイム”も使えたとは……。
もしや、さらに上の魔法も使えるのですか?」
勇者「いや……“ギガフレイム”が最高だ」
大賢者「あなたはウソがつけないタイプのようですね。正直でよろしい。
そして自分の浅はかさを呪いなさい。
その程度の魔法で、私に勝とうなどという浅はかさを……」
大賢者「“テラフレイム”」
昨日、勇者を焼き焦がした炎が、再び勇者に襲いかかる。
紙一重でかわす勇者。
大賢者「“テラボルト”! “テラトルネード”! “テラフリーズ”!」
勇者は炎系魔法しか使えないが、大賢者はあらゆる属性の魔法を使用できる。
ズガァッ! ブオァッ! ビュアォッ!
500年間で進化した電撃が、竜巻が、冷気が、勇者めがけて飛んでくる。
しかし勇者もかわす。かわして、かわして、かわしまくる。
大賢者「──ちぃっ!」
勇者「どうした、もっとちゃんと狙えよ!」
よく考えれば、賢者さんの子孫相手に魔法で勝負なんて自殺行為だ。
500年前から、魔法使いを相手にする時は接近して攻撃、に決まっている!)
勇者(……いや待てよ)
勇者(さっきの師範も、俺が魔法使ったら面食らってたし、
コイツはコイツで魔法の使い手が剣士と一対一とか、普通やらないだろう。
接近されたら終わりだってのに……)
勇者(やはりコイツら……技術は俺より圧倒的に上だが、実戦経験は少ない!
せいぜい同じ剣士や魔法使いと練習試合でもする程度だろう)
勇者(そりゃそうだ……。コイツらに逆らう人間なんて、ほとんどいないだろうしな)
勇者(魔王がいる時代に生まれた俺の、子孫に対して一つだけ優位な点ってとこか……)
「あいつ、全部避けてるぞ!」 「なんてスピードだ!」 「マジかよ!」
大賢者(くそっ、私の魔法が当たらんっ!)
勇者(どんなに強力な魔法も、当たらなきゃこっちのもんだ!)
驚異の回避力と瞬発力で、勇者は大賢者に接近を果たす。
大賢者「なっ……!」
勇者「降参しろ、大賢者。この距離ならアンタが魔法を撃つより速く、斬れる」
大賢者「ぐぅっ……!」
大賢者「“フラッシュ”!」
勇者「うっ!(閃光での目くらまし! こんな魔法もあるのか……!)」
目が見えなくとも魔法を当てられぬよう、動き回る勇者。
そして勇者の目が視力を回復すると──
大賢者が少女に掌を向けていた。
大賢者「さもなくば、この少女が死ぬことになりますよ?」
勇者(くそっ、これまた分かりやすい手で来やがったな……!)
少女「お兄さんっ! 剣を捨てたら、勝ち目はなくなるわ!
私はいいから、剣を捨てちゃダメっ!」
大賢者「さぁ、どうしますか?」
勇者「決まってるだろ」ポイッ
勇者は剣を地面に投げた。
少女「あぁっ!」
大賢者「とてもよろしい。さて、次は動かずに私の魔法を喰らっ──」
ガッ!
勇者は地面に捨てた剣を、蹴り飛ばした。
大賢者「──なっ!」
ザクッ!
大賢者「ぐわあぁぁっ!」
勇者(我ながら、ナイスキック!)
ダッ!
勇者はすかさず大賢者との距離を詰め、腕から剣を抜き取ると、
今度は蹴りを顔面にぶち込んだ。
ドガッ!
大賢者「げぁっ!」
少女「お兄さん!」
勇者「大丈夫か?」
大賢者「お、おのれぇ……! よくもこの私に恥をかかせましたねェ……!」
大賢者が全身の魔力を両手に集中し始める。
魔法使いA「あれは……“エクサフレイム”をやる気だ!」
魔法使いB「大賢者様、止めて下さい! 町民に巻き添えが出ますっ!」
魔法使いC「それどころか、広場周辺が壊滅してしまいますっ!」
勇者(なんだ……“エクサフレイム”って……?)ハッ
大賢者『ウソじゃありませんよ。『メガ』系呪文の上にはさらに
『ギガ』『テラ』『ペタ』『エクサ』系呪文が存在しますから』
勇者(思い出した……この500年後で最強の呪文体系か!)
勇者(コイツ……そんなもん町中でぶっ放そうってのか!)
勇者「やめろっ! これは一対一だぞっ!」
大賢者「一度町中で、フルパワーで魔法を使ってみたかったのです。
かつて我が先祖、賢者様も危険な研究の末、新しい魔法を編み出しました。
魔法の探究には犠牲がつきものなのですよ……ククク……」
大賢者「かかされた恥は、この地獄の業火でお返しいたします……。
灰も残さんっ! “エクサ──」
大賢者「あぐぁっ!」
間一髪であった。
大賢者が魔法を放つより一瞬早く、勇者の斬撃が届いていた。
至近距離で魔法を喰らうことも恐れず、接近した勇者の勝利である。
大賢者「ぐぅぅ……! ひ、ひぃぃっ!」
勇者「賢者さんはたしかに危険な研究を繰り返してたよ……。
だが、お前なんかと違って他人を犠牲するなんてこと、一度もなかった」
大賢者「たっ、助け──命だけはっ!」
勇者「………」
勇者「お前に魔法を使う資格はない!!!」
ドガッ!
大賢者の顔面のすぐ近くに、剣を突き立てた。
大賢者「ヒィッ……ひっ……」ピクピク
大賢者は恐怖で失神してしまった。
勇者「ハァ、ハァ……あと一人……」
いや、始末しろよ
そいつは剣士のほうと違って殺しておかないとダメだろ
少女「お兄さんっ! 怪我してない? 大丈夫?」
勇者「ああ、大丈夫だ」
(負傷らしい負傷なしであの二人を退けられたのは、ラッキーだった。
本来あの二人の実力は、俺よりも上だったからな……)
パチパチパチ……
覇者「すばらしい!」パチパチ
勇者「!」
覇者「師範と大賢者は、ともに誰もが認める世界トップクラスの強者だった。
それを倒してしまうとは……」
覇者「勇者様を侮辱したのはよろしくないが、君はすばらしい戦士のようだ」
勇者(さっきまで激怒してたのに……落ち着きを取り戻したか)
後ろの少女ともども君たちを無罪として釈放してあげよう!」
勇者「!」
少女「!」
覇者「驚かなくていい。私は約束を守る男だ」
「おおっ!」 「さすが覇者様だ!」 「罪人に対しても、なんて寛大な心なんだ……」
勇者(寛大な心……? いいや違う。
あの二人の敗北で俺に傾きかけた町民の心を引き戻したかっただけだ)
勇者(コイツは自分が負けるだなんて絶対ありえないと思っている)
勇者(そしてそう思っていいだけの強さを身につけている……!)
覇者「さて、始めようか」
覇者「偉大なる勇者様の血を引く私の剣技は、師範とは一味違うぞ……」
勇者(期待してるよ……)ゴクッ
ギィンッ! ガギィン! ギャリッ……キィン!
全くの互角。
覇者はもちろん強いが、勇者も先の二戦を経てレベルアップを果たしていた。
覇者「ほう……師範とやり合った時より強くなっていないか?」
勇者「実戦で強くなっていくタイプなんだよ、俺って」
覇者「なるほど……。だが、この程度でいい気になられては困る」
覇者の首狙いの一撃を、受け止める勇者。
しかし、そこに──
ドゴォッ!
勇者(け、蹴り!?)
勇者は観衆の中まで蹴り飛ばされた。
覇者「奇しくも君がいったことだ。使えるものは使わないとな」
勇者「ぐぅっ……!」
蹴りを恐れるあまり、勇者は間合いを詰められなくなる。
覇者「おやおや、もう接近戦では勝ち目なしと判断したのか?」
勇者「くっ……(もう少し回復するまで、接近戦は危険すぎる……)」
覇者「だが、いいのかな? 私も大賢者ほどじゃないが、魔法を使えるんだよ」
覇者「“テラフレイム”!」
グオアアァッ!
巨大な炎が、勇者めがけて飛来する。かろうじてかわす勇者。
勇者(距離を取っても魔法があったか……! だったらもう──)
勇者(攻めるしかないっ!)
覚悟を決めた勇者が、接近戦に打って出た。
再び激しく打ち合う両雄。
勇者の方が実戦経験は豊富とはいえ、その他の要素はほぼ全て覇者に負けている。
徐々に、実力差が負傷となって表れる。
ザシッ!
勇者(左肩を斬られたっ!)
覇者「今の時代、どんな権力者や悪党も、勇者様と私の名にはひれ伏してしまう。
さて、君もそろそろ──」
勇者「まだまだっ!」
勇者の目は全く死んでいなかった。
キィンッ!
覇者(コイツ……なんなんだ!?
勇者様の格好をしているということは、罪人とはいえ勇者様を尊敬しているはず。
なのになぜ、私にこうまで堂々と立ち向かってこれるのだ?)
キィンッ! ガキィンッ! ガキンッ!
勇者(くそぉ……! これだけ攻めてるのに、まるでスキができない!)
覇者(──そこだっ!)
ベキャッ!
勇者(しまった……蹴りか……!)
覇者(肋骨を砕いた!)
勇者「ぐほっ! ぐはっ! げほっ!」
少女「お兄さんっ!」
覇者(これでもう……戦えまい)
勇者「ま、まだまだ……」
覇者「な、なんだとぉ……!」
覇者(たしかに優秀な戦士は骨が折れたくらいでは屈しないが……。
それでも心のどこかに諦めや、敵への怒りの感情などが湧くはずだ)
覇者(なのに、コイツの目にはまるでそれがない!)
師範「うぅ……」ハッ
門下生A「気がつかれましたか、師範!」
門下生B「よかった……!」
師範「あの男は……?」
門下生A「大賢者様をも破り、今覇者様と戦っております!
しかし、しょせんは罪人。覇者様が圧倒なさっております!」
師範「ぐぅっ……!」ズキン…
門下生B「まだどこか痛むのですか!?」
師範「いや……」
勇者『バカヤローッ!!!』
師範(勇者様や覇者様にたてつく輩の言葉が、なぜこれほど心に残る……!?
なぜ尊敬している人に叱られたような痛みが残る!?)
師範(なぜだ……!)ズキン…
大賢者「ん……」ハッ
魔法使いA「大賢者様!」
魔法使いB「幸い傷が浅く、我々でも治せました! もう大丈夫です!」
大賢者「あの罪人は、どうしていますか?」
魔法使いA「覇者様と一騎打ちをしておりますが、力の差は歴然です。
すぐ終わるでしょう」
大賢者「そう、ですか……」
魔法使いB「覇者様が大賢者様の分も、ヤツに制裁を与えて下さいますよ!」
大賢者「………」
勇者『お前に魔法を使う資格はない!!!』
大賢者(あの瞬間、ヤツがまるで賢者様のように見えた……。
──バカバカしい! 私は賢者様の姿など絵でしか知らないというのに!)
大賢者(どうして……!)
粘る勇者だが、すでに全身を傷を負っていた。
覇者の重い剣を受け続けた剣も、ボロボロだった。
勇者「ハァ……ハァ……」
覇者(もう勝つ見込みは100パーセントない、はず……。
なぜコイツの目は全く弱らないんだ!?)
不意に、覇者はある物語を連想してしまった。
たった一人で魔王軍に挑み、どんな逆境でも諦めず、
ついには魔王を滅ぼし、勇者と呼ばれるようになった戦士の物語……。
覇者(コイツが勇者様と重なるだと!? ありえんっ!
勇者様を侮辱し、私に剣を向ける男が、勇者様のハズがないっ!)
覇者「ありえんっ!!!」
勇者(しまっ──!)
ズバンッ!
覇者の剣は、防御に使った勇者の剣を砕き、勇者の右腕を叩き斬った。
ボトッ……
少女が右腕を失った勇者に駆け寄る。
少女「もういいよ、やめてっ! だれか、だれかお兄さんを回復してぇっ!
私がお兄さんの分もめいっぱい拷問受けるから、処刑されるからっ!」
少女「お願いっ……!」
勇者「大丈夫だ……血がついてしまうから、離れた方がいい」
少女「で、でも……!」
覇者(なぜだ……。右腕を斬られたのに……目の輝きが……ブレてない……!)
覇者「なんなんだ、お前はァッ!」
勇者「ここで諦めたら……俺はもちろん……少女も死ぬ……。
そしてお前も……一生自分より上はいないなんて思ったままだ……」
勇者「それに比べりゃ、右腕ぐらいどってことはない……」
覇者(迷うな……コイツは勇者侮辱犯なんだ! 殺せば……殺せば全て解決するッ!
勇者様、私に力をお貸し下さい!)
「トドメだッ!」
覇者が再度、剣を振り上げた。
ブオンッ!
なんと勇者は自分の右腕を投げつけた。
覇者「うわぁっ!?」
覇者「キサマ、頭がおかしくなったのか!?」
うろたえる覇者。
むろん、こんなスキを見逃す勇者ではない。
先ほど砕かれた自らの剣の残骸から、大きな破片を手に取り──
勇者(ほんの少しだけでいい……自分に対して疑問を持ってくれ……。
俺の可愛い、子孫……)
勇者「うおあああっ!!!」
グサァッ!
覇者「はぐぅっ……!」
──覇者の腹部に突き刺した。
覇者(私が……負け、た……?)
ドザッ……
覇者が崩れ落ちた。
「まさか、そんな……」 「覇者様が倒れた……!」 「夢でも見ているのか……?」
これまで以上にどよめく観衆。
だが、勇者も勝つまでに傷つきすぎていた。
勇者「ぐっ……!?」ヨロッ
少女「お兄さんっ!?」
勇者(目が……かすむ……?)
勇者(ダメだ……。ここで死んだら……歴史が壊れ……覇者が消え、るかも……)
勇者(ダ、ダメ、だ……死んだら……)
少女「お兄さんっ! お兄さぁんっ!」
少女「やだよぉ、死んじゃダメだよぉっ!」
大賢者「私が治しましょう」ザッ
少女「えっ……」
「大賢者様!?」 「回復されたんだ!」 「だが、いったいどうして!?」
さすがは大賢者である。
500年後の最上級回復呪文で、勇者の右腕をくっつけ、傷も全快させてみせた。
勇者「あれ、俺は……!」
少女「お兄さん、よかった……!」
勇者「大賢者、どうして俺を……」
大賢者「分かりません」
勇者「……そうか。とにかく命は救われたんだ。ありがとう……」
大賢者「あえていうなら……遠い過去から賢者様からこうするよう、
命じられたような気がしただけですよ。
あなたに礼をいわれる筋合いはありません」
大賢者「あとは覇者様を治療せねばなりませんね。
それに……マスター流の門下は黙っていないと思いますよ」ザッ
マスター流剣術道場の門下生たちだ。
門下生A「おい、覇者様に勝ったからといってこの町から生きて出られると思うなよ!」
門下生B「そうだ! お前は卑怯な手で師範様を倒し、我々の流派を汚したのだ!
その報いは受けてもらわんとな!」
門下生C「覚悟しろっ!」
彼らは世界一の剣術道場の門下として、プライドも世界一高い。
こうなるのは必然だった。
少女「あぁっ……」
勇者(ざっと100人ってとこか……。
おそらく一人一人が一対一でも手こずる相手だ……だが)
勇者(いいだろう……とことんやってやる!)チャキッ
勇者が構えた瞬間だった。
師範「──やめろっ!」
門下生たち「!」ビクッ
俺の名はともかく、師匠様の名が汚れてしまう……」
門下生A「し、しかし──!」
師範「俺の命令が聞けないのかっ!」
門下生A「す、すいませんっ! 師範様っ!」
勇者「師範……」
師範「ふん……。世界中に一万人の門弟を持つ身として、
弟子に恥をそそいでもらうなど、耐えられなかっただけだ……」
勇者「ありがとう」
少女(師範様も大賢者様も、なんだか顔つきが変わったような……)
覇者「………」
勇者「覇者」
勇者「俺はお前に勝った。約束通り、俺と少女を無罪にしてもらおう」
覇者「……分かった」
勇者「そして、俺は少女を連れて『勇者の町』から出ていく。
ここよりこの子にふさわしい町の心当たりがあるからな」
覇者「好きにしろ……」
勇者「お前は強かった。俺なんかよりもずっと強かった。
もし勇者がこの時代によみがえったとしても、お前なら楽に勝てるだろうな」
勇者「だが……たとえ勝っても勇者はお前を認めないだろう」
勇者「その強さを……振りかざすだけでなく、
人々に分け与えられるようになったら、きっとお前はもっと強くなれる」
勇者「あそこで横たわってる勇者も、きっとまた微笑んでくれる」
覇者「!」
勇者「行こう」
少女「うん!」
覇者「ま、待てっ!」
勇者「ん?」
覇者「キサマは……いや、あなたはまさか──!」
覇者「………」
覇者「いや、なんでもない……」
勇者「?」
勇者「じゃあ、達者でな」
勇者は少女を連れて、『勇者の町』を去っていった。
師範「くっ……」ワナワナ
師範「くそおぉぉぉっ!」
バキンッ!
門下生A「し、師範様っ!?」
師範は自らの剣を地面に叩きつけ、へし折った。
大賢者の中でも同様だった。
大賢者(私には魔法を使う資格がない、か……)
大賢者(賢者様、今一度教えて下さい。私は今後どうすれば──)
しかし、大賢者の懇願に応じる声はなかった。
大賢者(もう、なにも聞こえない……)
大賢者(わ、私は、どうすれば……)
覇者(あの方は……あの方は……!)
覇者(まさか……!)
覇者(私はこれまで人生の全てを勇者様に捧げてきたつもりだった。
勇者様がお喜びになると思ったことは、全てやってきたつもりだった。
一族の繁栄こそが、勇者様の名誉を守ることが、全てなのだ、と)
覇者(だが、もしあの方が私の考えた通りの人だったとしたら……)
覇者(わ、私が……我々がやってきたことは……!)
覇者「うぐうぅぅぅぅっ……!」ガクッ
大観衆の面前で、頭を抱えてうずくまる覇者。
覇者「うぐうううぅぅぅぅぅっ……!」
覇者「うううぅぅぅぅぅっ……!」
絶対支配者の痛ましい姿に、声をかけられる者はいなかった。
500年後には、勇者も師匠も賢者もいない。
答えは彼ら自身で見つけるしかない。
勇者「くわしい事情は話せないんだが……。
俺は半日くらいしたら、またワープしなきゃいけないんだ」
勇者「次ワープしたら……もうこっちに戻ってくることはないだろう」
勇者「だからその前に、君を孤児院がある町に連れていく。
旅をしてる途中に立ち寄ったことがあってね」
(魔王を倒す旅の途中だけど……)
勇者(今までのパターンから、あの孤児院もでかくなってていいはずだけど……。
もし500年経ってなくなってたらどうしよう……)
少女「うん、分かった」
勇者(別れたくない、とかいってくれるかと思ったが、意外だったな。
ほっとしたような、残念なような……)
少女「でもお兄さんかっこよかったよ。あの三人に勝っちゃうなんて……。
絵本の中の勇者様みたいだったよ」
勇者「えっ!? ま、まぁね、俺は勇者じゃないけどあれぐらいはね。ハハ」
少女「ふふっ……」
勇者(あってくれよ、あってくれよ、頼むぞ……)
少女が指をさす。
少女「あの大きな建物じゃない?」
勇者「よ、よかった……!」
(しかも、ものすごく立派になってるぞっ!)
少女「あれ、なんでお兄さん“あってよかった”みたいな顔してるの?」
勇者「え!? あ、いや、そんなことないだろ。ハハ」
二人はさっそく孤児院を訪ねた。孤児院の責任者は女性だった。
勇者は女院長に
「旅先で両親を亡くした少女と知り合ったが、これ以上旅には連れていけない。
入所させてもらえないか」
という話をした。
女の子を連れた旅は危険でしょうしね」
少女「ありがとうございます」
勇者(よかったぁ~)
女院長「あなたは勇者様の格好をしているけど、もしかして『勇者の町』出身者?」
勇者「ええ、まぁ……(生まれたのは、500年前だけど……)」
女院長「『勇者の町』の覇者様のおかげでずいぶん治安がよくなりましてね。
この頃は孤児となる子もずいぶん減ってきているのですよ」
勇者「そうですか……」
(アイツもやるべきことはやっていたということか……。
だが、この子が孤児になる原因を作ったのはアイツでもあるんだ……)
女院長「では、多少手続きが必要となりますので……こちらへ」
少女「はい」
勇者「分かりました」
勇者「じゃあ、この子と最後に別れを済ませたいので外に出てきます」
女院長「分かりました。旅が一段落ついたら、また顔を出してあげて下さいね」
勇者「は、はい……」
少女「………」
少女「じゃあお兄さん、この町をお散歩しましょうよ!」
勇者「そうだな!」
少女「じゃあ、あっちにお店がいっぱいあるから行こう!」
勇者「オッケー!」
(金はあるけど使えるのかな……もう古銭だろコレ……)
二人は初めて訪れる町(勇者は500年前に訪れているが)を大いに楽しんだ。
勇者「さて、そろそろ君は孤児院に戻らないとな。
初日から門限を破ったらさすがにまずいだろう」
少女「……お願い。お兄さんがワープするまで、一緒にいさせて」
勇者「おいおい、それは……」
少女「お願い……!」
勇者「分かったよ。じゃあ院長さんに頼んで、
孤児院に入るのは明日からってことにしよう」
少女「お兄さん、ありがとう……」
勇者「いや、いいんだ。俺も本当は君と最後まで一緒にいたかったしな」
二人は町にある丘の上で、楽しく語り合った。
勇者「そろそろ……だな」
少女「うん……」
少女「お兄さん、ありがとう……」
少女「私は今、お兄さんがいたから生きてるんだよ。
お兄さんが広場に駆けつけて、腕を斬られても、戦ってくれたから……」
少女「本当にありがとう……!」
勇者「なぁに、こうして治ったわけだし。気にすることはないさ」
(まさか腕をくっつけられるとは……さすが500年後だ)
勇者「それに俺は……君に謝らなければならない立場だ」
少女「どうして?」
勇者(少女から両親を奪った原因を作ったのは、俺の子孫だからだ……。
だが、これはいってはいけないことだ)
「いや、なんでもない……」
少女「──いえ、勇者様」
勇者「えっ!?」
少女「お兄さんは500年前から来たんでしょ?」
勇者「あの、え、あれ……。な、なんで分かったんだ……!?」
少女「アハハ、勇者様はウソがつけないんだね」
勇者「あ……!」
少女「なんとなくそうかなぁ~と思ってたけど、やっぱりそうだったんだ」
勇者「あ、いや、え……」
少女「大丈夫、だれにもいわないよ。
もっとも他にも気づいた人はいるかもしれないけどね」
勇者「ごめん……」
少女「ううん。私、処刑が始まる寸前に、お兄さんと勇者様に助けてって
心の中で叫んだの」
少女「つまりこれって、両方とも駆けつけてくれたってことだよね。
ありがとう、も二人分いわないとね」
みんな勇者様がやっつけてくれたんだもん」
少女「私……勇者様が大好き」
勇者「俺も、君が好きだよ」
少女「私、今日のこと絶対に忘れないよ」
勇者「もちろんだよ。忘れようったって、忘れられないだろうさ」
少女「………」
勇者「………」
少女「ねぇ、勇者様……」
少女「私も500年前に連れていって!」
勇者「!」
少女「消える瞬間、勇者様にくっついてたらできるんでしょ!?」
少女「お願い……私、別れたくないよ。ずっと一緒にいさせて!
絶対に迷惑をかけないから! なんでもやるから!」
勇者「そ、それは……」
少女「私はこの時代で生まれたんだから、この時代でしっかり生きるよ。
そうしなきゃ、助けてくれた勇者様に悪いもんね」
勇者「な、なんだ。驚いちゃったよ」
少女「私が過去に行ったら色々おかしくなりそうだもんね。ごめんなさい。
みんなが知らないことベラベラしゃべっちゃいそうだし」
勇者「俺の時代は店とかもほとんどなかったしな……。
来たって面白くないよ、アハハ」
勇者「………」
勇者(俺も……もし許されるなら君を──)
勇者の体が光り輝き始めた。
勇者「!」
少女「お別れ、だね」
勇者「……そう、だな」
少女「そうだ、最後にプレゼントあげる」
勇者「え?」
少女は勇者の頬にキスをした。
勇者「……ありがとう」
少女「勇者様、私のこと絶対忘れないでね!」
勇者「ああ、もちろ──」
バシュンッ!
少女の目の前から、勇者が消えた。
少女(さようなら、勇者様……!)ポロッ
日が明けるまで、少女は独り静かに泣き続けた。
勇者「ただいま」
時空使い「おかえり」
時空使い「正直いって、生きて帰って来られないかと思っていたぞ」
勇者「ああ、誰かさんがまさに処刑の真っ只中に飛ばしてくれたからな。
いきなり死ぬところだった」
勇者「しかもその直後、魔王より強いのと三連戦やらかしてきたんだ。
我ながら、よく生き延びられたもんだと思ってるよ」
時空使い「ハハハ、そんな世界じゃ魔王も恐ろしくて復活できんだろうな」
勇者「まったくだ」
時空使い「うまく……いったか?」
勇者「……どうだろうな」
人間はそう単純なもんじゃない」
勇者「仮に心を入れ替えても、それまでに覇者たちの犠牲になった人たちは、
容易には許さないだろうしな……」
勇者「だが、きっと何かは伝わったと思うよ。
あとはもう、俺や師匠や賢者さんの子孫を信じるしかないさ」
勇者「そして、あの少女はいい子だった……。
歴史を壊してしまってでも、連れて帰りたくなるほどに」
時空使い「おいおい、お前は人をドキリとさせるのがうまいな」
勇者「アハハ。ある意味、それも勇者に必要な要素だろ」
勇者「でも、俺が連れて帰らなかったのは、歴史が壊れるからじゃない。
あの子はあの時代で生きていける、と確信したからだ」
勇者「ありがとう」
勇者「自分の信念を曲げてまで、俺を助けてくれて……」
時空使い「前にいったように、私は住む場所を変える」
時空使い「もう私はお前と、いやヒトと会うことすらなくなるかもしれん」
時空使い「しかし、心は不思議と穏やかだ」
時空使い「私はお前と出会えてよかったと心から思っている。
お前は私の術を、正しく活用してくれたと信じている」
時空使い「お前が子孫たちや少女を信じるようにな」
時空使い「さぁ行け、勇者!」
時空使い「この時代にも、お前を必要とする人は大勢いるぞ!」
勇者「ああ!」
後世絵本で「幸せに暮らしました」と書かれるような、幸福な人生を送ったという。
勇者に剣を教えた師匠と、魔法を教えた賢者も、それぞれの分野で認められた。
彼らもまた、大勢の弟子に恵まれ、忙しくも豊かな日々を過ごすことになる。
そして、勇者が没して数百年後──
孤児院出身のある女性作家が勇者を題材にした小説を発表した。
内容は勇者が過去未来と時空を飛び回り、人々を助けるという物語。
荒唐無稽だという声もあったが、この小説は大ベストセラーになったという──
~おわり~
よい話だった
これは良いSSだった
面白かったよ
面白かった
乙
ところで未来の三人が何を思ったのか世直し行脚する物語は…
Entry ⇒ 2012.02.21 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「はい」 メリーさん「あっ、やった!繋がった!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1329404399/
メリーさん「えっと、おほん・・・・私、メリーさん。今、京都にいるの。」
男「は?そ、それがどうしたんですか?」
ツーツーツーツー・・・・
男「俺の家、池袋なんだけどなぁ・・・・京都に来いってことか?」
男「どちらにしろ、わけの分からん迷惑電話だったな。」
メリーさん「私、メリーさん。今、新幹線に乗っているの。」
アナウンス『まもなくぅ、名古屋・・・・名古屋でございま・・・」
ツーツーツーツー・・・・
男「本当に訳が分からん・・・・。」
男「しかし、確かに新幹線の雑音は入っていた。」
男「ちゃんと車内じゃなくて、トイレの辺りから掛けてくるのは律儀だな。」
メリーさん「私・・・もぐもぐ・・・・メリーさん。今・・・・はむはむ・・・・・駅弁を食べているの・・・・・・。」
ツーツーツーツー・・・・・
男「・・・・・こいつただのアホだ。」
メリーさん・男「私、メリーさん。」
メリーさん「ぶふぉっ(笑)」
アナウンス『次はぁ、品川・・・・』
ツーツーツーツー・・・・・
男「セリフを合わせただけで吹き出すとか。笑いの沸点低すぎだろ。」
メリーさん「・・・よし。私メリーさん」
男「(前回の失敗から一呼吸置くようになったか、チッ)」
メリーさん「今、秋葉原にいるの!すっごく楽しいのー!」
ツーツーツーツー・・・・
男「す、すげぇ・・・・こいつ何者だ?」
メリーさん「私メリーさん。今、渋谷のスクランブル交差点を見てゲンナリしているのぉ・・・・。」
メリーさん「イメージと違うぅ・・・・」
ツーツーツーツー・・・・
男「・・・・・・はぁ。」
メリーさん「私、今渋谷のクラブにいるの!ヘドバンしてる人怖いよぉっ・・・・」
メリーさん「わ、私今・・・怖い人たちにナンパされて・・・今、渋谷に・・・・・」
ツーツーツーツー・・・・・
男「・・・・・くそっ!ったく仕方ねぇなぁ!!」
男「渋谷のどこだよ・・・・」
運転手「どちらまで?」
男「JR池袋駅だ!急いでくれ」
メリーさん「わ、私、メリーさん・・・・今、ホテルZEROの302号室に・・・・こ、怖いよぉ・・・・・」
男「ホテルZERO・・・ここか!」
店「ちょ、ちょっとお客さん!」
男「302号室!!」
男「おい、大丈夫か!!・・・・お、お前・・・・・・」
メリーさん「私メリーさん♪」
男「お、幼馴染・・・・じゃないか・・・・・・」
幼馴染「小学校の時の約束を果たしにきたのぉ・・・・」
男「俺が急に引っ越した時の事か・・・・」
幼馴染「うん・・・・・」
幼馴染「当たり前じゃない。忘れてたとしても、奪っちゃうけどね♪」
男「幼馴染・・・・」
幼馴染「男・・・・私をお嫁さんにしてね・・・・。」
男「もちろんだ。よろしくな・・・・。」ぎゅっ
幼馴染「私、メリーさん。今あなたの胸の中にいるの・・・・・。」
END
ずいぶん速い終わり方だな
乙
乙
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.02.20 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「な、なんで岡部が私のホテルに!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329224567/
紅莉栖「ちょ…来るんなら来るって連絡よこしなさいよ!」
紅莉栖(ぐ、偶然掃除した直後でよかった…!)
岡部「…」
紅莉栖「…な、何よ深刻そうな顔して?」
岡部「…」
紅莉栖「何とか言いなさいよ…はぁ、もう。いきなりなんだから…」
岡部「…紅莉栖」
紅莉栖「だから助手でもくりすt……え?…今、名前で」
岡部「紅莉栖っ!」ガバッ
紅莉栖「」
岡部「紅莉栖…!」
紅莉栖「な、なんですか///」
岡部「俺は…お前のことが………」
紅莉栖「ひい!///」ビクン
紅莉栖(な、なんぞこれ!なんぞこれ!?)
岡部「す…」
紅莉栖(…ktkr!?)
紅莉栖「う…///」ビクン
紅莉栖(うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!)
紅莉栖(キタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━ッ!!)
紅莉栖(キキキキキキキタタタタタ─────((((゚゚゚∀∀゚゚゚゚)))))─────!!!!!!!!)
紅莉栖(キタワー.*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!!☆ )
紅莉栖(キタァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ( ゚)ァァ( )ァァ(` )ァァ(Д`)ァァ(´Д`)ァァ゜(゚´Д`゚)゜。ウァァ・゜・(ノД`;)・゜・ァァァァン!!!)
岡部「お前の気持ちを、聞かせて欲しい…」
紅莉栖「ばがおがべぇ…いわなぐでもわがるでしょぉ…///」ポロポロ
岡部「な、泣くほど嫌だったか!?」
紅莉栖「ぢ、ぢがうわよぉ!なんでそうなるのよぉ…///」
岡部「す、すまない…」
紅莉栖「謝るなぁ!」ポロポロ
岡部「お前の口から、聞きたいんだ…あの時、聞けなかった言葉を…」
紅莉栖「おかべ…///」
紅莉栖(フヒヒヒヒ!あの時ってどの時かしらウフフまぁこまけえこたぁいいんだよ!///)
紅莉栖「岡部っ…私も、そのっ…///」
岡部「うん…」
紅莉栖「私も、岡部のことが…」
岡部「…」
紅莉栖「好き…///」
紅莉栖(ウオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!)
紅莉栖(言っちまった!なんだよこれ…なんだよこれぇ!!)
紅莉栖(嬉しい!嬉しい恥ずかしい!嬉しい!)
紅莉栖「へあ?…んっ!」
岡部「っ…」
紅莉栖「んむんっ…///」
紅莉栖(ギャアアアアアァァ!チュー!今チューしてる私!)
紅莉栖(岡部ったらもう私にメロメロなんだからもうしかたないなもうしかたないな!///)
紅莉栖(レッツ岡部倫太郎ワールド!!wwwwwww)
岡部「…はぁ」
紅莉栖「おかべぇ…んっ///」
岡部「ん…」
紅莉栖「んっ、おかべっ…んっ…ふ、んちゅ…」チュッチュ
岡部「っ…紅莉栖っ……」チュッチュ
紅莉栖(ほわああああああぁぁぁ///)
紅莉栖(なんだこの空間!甘ッ!すんごい甘い!!)
紅莉栖(サッカリン入ってる!?)
岡部「紅莉栖…っ」ギュ
紅莉栖「あぅっ…おかべぇ///」
岡部「お前が欲しい…」
紅莉栖「へ…え、えぇ!?///」
紅莉栖(やっべよく考えたらここホテルだし!///)
紅莉栖(男連れ込んで何やってるんだ私はフヒヒヒヒwwww///)
紅莉栖(ママごめんなさいwwww紅莉栖はわるい子紅莉栖はわるい子wwwwwww)
紅莉栖「やっぱりそういう…意味?///」
岡部「愛している…紅莉栖。お前が欲しい」ボソ
紅莉栖「っ!?」
紅莉栖(ああああああああああああぁぁぁいやあああああああぁぁぁぁぁ//////)ジュンジュワー
紅莉栖(い、今のは腰にきたぞおおぉぉ///)ガクガクガク
紅莉栖(耳元でそれは反則だわぁーそれ反則だわーまいっちゃうなぁー!タハハ!!///)
紅莉栖(あぁー少し不安そうな岡部かわいい岡部かわいいよ岡部///)
紅莉栖「わっ…私も、その…///」
紅莉栖「岡部が…欲しい、よ…」
紅莉栖(うはああああぁぁwwwwwwwww///)
紅莉栖(なに言ってんだこの天才HENTAI処女wwwwwwww//////)
紅莉栖(最後の「よ…」ってなんだよいらないでしょwwwww「よ…」wwwwww/////////)
紅莉栖「…あっ!」トサァ
岡部「好きだ…紅莉栖!」
紅莉栖「あっ、おかべぇ…や、優しくしてぇ…///」
紅莉栖(さようなら天才HENTAI処女)
紅莉栖(こんにちは天才HENTAI非処女)
紅莉栖「んふ、んちゅ…れる」ちゅっちゅ
岡部「はぁっ…」
紅莉栖「んっ…」
岡部「綺麗だ、紅莉栖…」スリ
紅莉栖「んっんっ…やだっ、はずかしッ…///」
紅莉栖(うっそ綺麗って、おかべが綺麗って!うはっwwwww///)
紅莉栖(で、でもこれ全部見られてうわーちょっと恥ずかしすぎるでしょう/////////)
紅莉栖(でも岡部にはもっと見せたいって言うかなんというかゴニョゴニョwwwwゴニョwwwww)
岡部「そんなことはどうでもいい…」
紅莉栖「あっ!やっ///」
岡部「俺は紅莉栖の全てが愛おしい…」
紅莉栖「はっ…あ、ばかぁ…おかべぇ…んっ…」
紅莉栖(私も岡部の全てが愛おしいwwwwwwwwwwww)
紅莉栖(うあーこれ夢?夢?夢じゃないよね?)
紅莉栖「ふ、ふぅッ…へいき、だけどっ…ン…」
紅莉栖「うンっ…痛くしたら…やっ…あ、あッ、あっ…」
紅莉栖「ひ、お、おかべのっ指っ…やだっ、やらしッ…んっんんッ!」
紅莉栖(あ、こりゃダメだもう脳内実況の余裕ない…)
紅莉栖「はっはっ…ふ、ぅっ………」
紅莉栖「ん…、うん…」
紅莉栖「痛いの、やだから…いたくしないで…?」
紅莉栖「やさしくしてくれるなら、ゆるす、からっ…」
紅莉栖「うっ…ふぅ、ふぅ…おかべぇ…」
紅莉栖「きす、きしゅ…んっ、んふぅ、んちゅ…」
紅莉栖「んぅッ…んっ、んっ、んっ、んッ…!」
紅莉栖「ぷあぁぁ…わ、わたしもぉ、あいしてるっ…おかべぇッ…!」
すきぃ……おかべっ、すきぃっ…んっ、あぅっ…」
紅莉栖「やさしいよぉ、おかべっ…はっ、はっあッ…」
紅莉栖「わかってた、おかべならすごくやさしくしてくれるって…っ」
紅莉栖「でもっ…んぅ、おかべなら……」
紅莉栖「もっと、痛くしても、平気…だからっ…
おかべぇ…もっと、私をっ…おかべのものに、して…?」
紅莉栖「んっ!あっ、は…ッ!んんぅ、あぅッ…!!」
私の、からだに、いっぱいっ…おかべのしるし、つけて…っ」
紅莉栖「はッ…あ、んんッ…いっぱい、こういうことの、痕、つけてっ…
わたしのっ…ぜんぶ、おかべのっ…」
紅莉栖「おかべっおかふぇ…っ、んぐっ、ちゅ…んふぅッ…んく…
ぷあ、あっ、ん、んっ、んッ、んッ、んッ、んッ~~!」
紅莉栖「っ!は、あ!あっ!おかべっ…!あっ熱っ…っ、~~~ッ!!」
おかべっ…ん……
はぁ、ふぅ……ん、やっぱり、やさしかったよ…おかべぇ…
うん…好き、私も好き…岡部が大好きっ…」
~ハッピーエンド~
岡部「フヒ、フヒヒ…紅莉栖、紅莉栖…愛してるお…」
岡部「…」
岡部「…夢?」
岡部「…」
岡部「ゆっ、夢ッ……!!」
岡部「…え?俺の夢!?」ガバッ
岡部「ぐあああああああぁぁぁぁ!!なっ、なっ…!!」
岡部「なんだよこれ!!」
岡部「俺かよ!?」
岡部「ッ!~~~~~~~~~~~~~ッ!!///」バタバタバタ
岡部「この鳳凰院凶真としたことがッ…!なんたるッ!!」ダバダバダバ
岡部「クッ…はは、まぁ!夢!夢だから!」
岡部「うん!誰も攻められない。俺は悪くない。助手も悪くない。誰も悪くない」
岡部「いや、しかしあんな夢を見てしまうとはな…www」
岡部「うむ、正直…悪くないwwwwww」ニヤニヤ
岡部「ドクペで束の間の潤いを取り戻すこととするか。助手も飲むか?」ガコ
紅莉栖「~~~ッ!///」バタバタバタ
まゆり「///」
ダル「…」ポロポロ
まさかラボか…?
紅莉栖「…ッ///」ビタンビタン
岡部「まったく朝っぱらから愉快な助手だ!」
岡部「フゥーハハハハハ!フゥーハハハハハ!!フゥーハハハハハッハッはぁ!!!」
まゆり「///」
ダル「ぐっ…オカリン…」
岡部「どうしたぁ!?マイフェイバリッ・ライアーム!ダルゥ!!」
ダル「オカリンは十分戦った…もう休んでいい。休んでいいんだお…」ポロポロ
岡部「なんのことかサッパリわからんッ!!」ポロポロ
岡部「何も無茶などしておらーん!今朝は皆、少しおかしいのではないか!?」
岡部「特に!助手など身悶えしっぱなしではないかッ!」
紅莉栖「ッ!///」ビク
岡部「…」
紅莉栖「…///」チラ
岡部「…///」
紅莉栖「…くっは!!///」バタバタバタ
岡部「~~ッ!!///」バタバタバタ
まゆり「…えへ~///」
ダル「オカリンっ…もうやめて…オカリンのライフはとっくにマイナスだお…」ポロポロ
ダル「今日のお前が言うなスレはここでした」
岡部「だああぁぁまああぁぁれぇぇ!!!」
岡部「な、なあまゆり?おまえは普通だよな?大丈夫だよな?」
まゆり「ん~っとねぇ…」
岡部「…」
紅莉栖「…」
まゆり「えっへぇ~…オカリン、えっちだねぇ~///」
紅莉栖「ホポショイ///」バタバタバタ
岡部「」ガクーン
ダル「…お、オカリイイイィィン!!」
ダル「オカリンのせいじゃないお…全部夢なんだから」
岡部「俺が軽率なことをしたせいで…全部ッ…」
岡部「皆…すまないっ…ぐっ…う、うぅぅぅ…」ダバー
ダル「…途中で起こさなかった僕らも悪いんだお」
岡部「途中…」
岡部「途中ってなんだよ…」
岡部「途中ってなんだよ!!」
ダル『お前が欲しい…』ボソ
紅莉栖「んんww///」ゴロゴロゴロ
岡部「はっはっはははwwwwwwww」ガッガッガッ
岡部「死のう」キリッ
ダル「…お、オカリイイイィィン!!」
ダル「そんな器用な死に方世界を騙すだけでおすすめできないお」
岡部「もう、もういいんだ…電話レンジもない、タイムリープもできない。なかったことにはできない…」
岡部「狂気のHENTAIサイエンティスト鳳凰院凶真はここに死ぬのだ…」
ダル「…最後まで聞き続けた僕らも悪いんだお」
岡部「最後…」
岡部「最後っていやいいや、聞かない。聞きたくない」
ダル『…愛している、紅莉栖。その…責任は、取るからな?』キリッ
紅莉栖「いやああああぁぁぁぁ!!///」バタバタバタ
岡部「オギャアアアアァァ!!」ゴロゴロゴロガタッガッシャアアァァ
ヌチャ
岡部「」
ダル「…なんぞ?」
岡部「緊急事態だ」
ダル「どしたん?」
岡部「パンツを買ってきてくれ」
ダル「…」
岡部「俺がシャワーから上がるまでにだ。できるか?」
ダル「…オーキードーキー!」ビシッ
まゆり「えひ~///」
紅莉栖「え?ま、マジで?www///」ガッガッガッ
岡部「お前達は早く帰れ…頼む帰ってくださいお願いします」
岡部「…」
岡部(ふむ、シャワーホースで死ねないだろうか?)
岡部(石鹸で足を滑らせるというのもアリだな…)
岡部(髭剃りは…だめだ横滑り防止が付いている)
岡部(やはりこの年には俺はまだ死ねないのか…)
岡部「…ふぅ」
ダル「…」
まゆり「…」
紅莉栖「…」
岡部「なんでまだいるんだよぉ!!」
岡部「!?」ビク
紅莉栖「岡部、その…」
紅莉栖「ねwwwwww///」
岡部「…」プルプル
紅莉栖「だ、だれm…だ、駄目だっ…く、私wwwwww///」ゴロゴロゴロ
岡部「跳べよおおおおぉぉぉ!跳べよおおおおぉぉぉ!!」
ダル「オカリン、2階から跳んでも死ねないお。あ、パンツここ置いとくから」
ダル「あ、まゆ氏まゆ氏、僕と同伴出勤希望~」
岡部「お、おいちょ待てよ!」
ガチャバタン
岡部「マジか…」
紅莉栖「…」
岡部「…」
紅莉栖「…」
岡部「なっ、なんだぁ!!」ビク
紅莉栖「ど、どうしてそんな夢見るのよおぉぉぉ!///」ゴロゴロゴロ
岡部「し、知らん!お前が勝手に出てきたのだ!」
紅莉栖「フ、誰にモノを言っているの?私は脳科学の専門化よ!!」ゴロゴロ
岡部「なん…だと…」
紅莉栖「私が分析するに…」
岡部「んぐっ…」
紅莉栖「ぶ、分析っ…///」
岡部「///」
紅莉栖「い、言えるかぁ!!///」ゴロゴロ
岡部「言わんでいい!」
紅莉栖「え、ちょ…に、逃げるのか!この童貞!」
岡部「逃げるのではない!戦略的撤退だ!!
あと童貞だ悪いかぁ~童貞どころか友人知人の前で夢精したHENTAIだがなフハハハハ!!」バサァ
紅莉栖「こんのヘタレ!待てぇ!」ダッ
岡部「うぉ!?危なッ…」
ドン
岡部「…」ガッシ
紅莉栖「ちょ…岡部?もう離してくれても」
岡部「……ッ」
岡部「どうして…っ」
紅莉栖「岡部…?」
紅莉栖「顔色、悪い、けど…」
岡部「すまない…こんなつもりじゃ…」
紅莉栖(あれ、こんなことがどこかで前あったような…)
紅莉栖(今の岡部の顔をどこかで見たような…)
紅莉栖『死にたくない…死にたくない、よ…』
岡部「どうして…紅莉栖…」
紅莉栖『こんな、おわりかた…いや…』
紅莉栖(あれ…これ、忘れちゃだめだったことじゃ…)
紅莉栖「岡部…?」
岡部「すまない、紅莉栖…」
岡部「俺は…こんな…」
紅莉栖「岡部!?」
岡部「あ、あぁぁぁ…ッ!」
紅莉栖「岡部ッ!!駄目!」
グキ
岡部「っ…」
紅莉栖「んっ…ん」
岡部「…んっ!?」
紅莉栖「…んちゅ、ぷは」
岡部「」
紅莉栖「はぁ…お、落ち着いた?///」
岡部「…」
岡部「あぁ、こんな荒療治があったとは思わなかった」
紅莉栖「し、しかたないでしょ!あんたに肩がっしり捕まれてんだから!///」
岡部「あぁ…だから、お前に直接触れるようなことは極力避けてきた」
紅莉栖「ふむん…」
岡部「それでも構わないと思っていた。
そもそもお前には前の世界線の記憶が無いだろうし、
思い出させるようなことも、したくなかった。
お前にはお前の人生がある…本当は会うつもりも無かった」
紅莉栖「それはあなたのエゴ。私の人生は私が決めるわ」
岡部「…まったくだ。俺は何様だという話だ」
紅莉栖「そして、そうやって抑圧されたリビドーがあの夢に…」
岡部「それは言うな…」
紅莉栖「ご、ごめん…」
ま、まったく仕方ないわねぇもう!」
岡部「紅莉栖…」
紅莉栖「な、なによ別にあんたのためじゃないんだからねなんとかかんとか!」
岡部「好きだ」
紅莉栖「ひ?」
岡部「紅莉栖…」ギュ
紅莉栖「なっ…あ、え?///」
紅莉栖「え、えぇ!も、もちろんよおぉぉ…///」
岡部「それはどっちの返事だ?」
紅莉栖「っ…」
紅莉栖「岡部っ…私も、そのっ…///」
岡部「うん…」
紅莉栖「私も、岡部のことが…」
岡部「…」
紅莉栖「好き…///」
岡部「愛している…紅莉栖。お前が欲しい」ボソ
紅莉栖「わっ…私も、その…///」
紅莉栖「岡部が…欲しい、よ…」
~ハッピーエンド~
面白かった
Entry ⇒ 2012.02.20 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
デリバード「お前もペンギンらしいじゃん」エンペルト「ああ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329548246/
エンペルト(っていうかこいつ誰)
デリバード「俺なんか氷飛行タイプよ、
どうよ飛べるんだぜ俺」
エンペルト「はぁ…そうすか」
デリバード「お前可愛いの最初だけじゃん、最終進化何あれ目見えなくなってんじゃん」
エンペルト「鋼タイプだししょうがないっしょ」
デリバード「言い訳してんじゃねえよ」
エンペルト「…」イラッ
デリバード「勝負?いいよ、俺ぜってえ負けねえし」
エンペルト「じゃあ先手どうぞ」
デリバード「あ?あんま舐めてると痛い目見るぞ」
エンペルト「大丈夫です、本気で来てください」
デリバード「おっしゃ、後悔すんなよ」
デリバード「>>8」
1.プレゼント
2.こおりのつぶて
3.ふぶき
4.きあいパンチ
ヒュッ
ボカーン
こうかはいまひとつのようだ
エンペルト「…」
デリバード「直撃とかエンペルトさん大丈夫すか」
エンペルト「まぁ…大丈夫っす」
デリバード「またまた無理しちゃって、ほら次はお前の番だぜ」
エンペルト「しょうがない、何にするかな>>20」
1.なみのり
2.れいとうビーム
3.じしん
4.アクアジェット
デリバはしぬ
デリバード「え?」
エンペルト「だからなみのりの威力増しますけどデリバード先輩なら耐えられますよね」
デリバード「ちょ、おまやめろ」
ザパァ
デリバード「ひでぶ」
グッタリ
エンペルト「あらら、よっわ」
ピクピク
エンペルト「あのー俺もう帰ってもいいすか?」
デリバード「ダメだ」
エンペルト「ダメって、もう先輩戦えないっすよ」
デリバード「ふっふっふこれを見ろ」
エンペルト「ん?」
ゴッゴ
デリバード「気合いのタスキのおかげで助かったわ」
エンペルト「えー」
デリバード「行くぞ俺のターン>>28」
1.つばめがえし
2.ゴットバード
3.ついばむ
4.きあいパンチ
ゴゴゴ
エンペルト「また何かやろうとしてるよ」
デリバード「…」
エンペルト「何この攻撃しちゃいけない雰囲気」
エンペルト「調子狂うわー >>33」
1.みがわり
2.てっぺき
3.リフレクター
4.あまごい
ぼうぎょりょくがぐぐーんとあがった
デリバード「よっしゃ今だゴットバード」
ヒュオオ
エンペルト「何だこれは、デカい」
ズドォン
デリバード「…」
デリバード「やったか?」
デリバード「なん…だと」
エンペルト「危なかった、さっきのターンてっぺきをしていなければ私は負けていた」
デリバード「くっ…」
エンペルト「いい一撃だった、
しかし今ので私を倒せなかったことそれが貴様の敗因だ」
デリバード「ちくしょう」
ガクッ
エンペルト「見るがいい私の最強攻撃>>40を」
1.たきのぼり
2.ふぶき
3.ハイドロカノン
4.ギガインパクト
バババ
デリバード「うぐぅ」
バタッ
エンペルト「今度こそ終わった」
ピクピク
エンペルト「ひどく体力を消耗してしまった、ポケモンセンターで回復をせねばなるまい」
デリバード「待てよ」
エンペルト「!?」
エンペルト「何故だ何故立っていられる」
デリバード「俺はまだ負けてない」
エンペルト「どういうことだ、確かにHPは0にしたはず」
デリバード「なに簡単な話だ」
デリバード「貴様ももう死んでいる」
エンペルト「何をバカなことを、貴様のゴットバードなら耐えきったではないか」
デリバード「知ってるか、ゴットバードは急所に当たりやすいんだぜ」
エンペルト「ハッ」
デリバード「それに俺の特性ははりきりだ」
エンペルト「そんな馬鹿な」
デリバード「タイプ一致のこのゴットバードを受けて立っていられた奴なんていないんだよ」
エンペルト「くっ…ちくしょおおおおお」
バタッ
デリバード「へへっ」
バタッ
…
すっかり意気投合した二人は何時の間にかタッグを組んでバトルするようになっていた
デリバード「そろそろサブウェイのスーパーダブルでも荒らしにいくか」
エンペルト「いいっすね俺たちのコンビならきっと100連勝なんて楽勝っすよ」
デリバード「俺が初手ねこだまし打つからお前がそのすきに1体倒せよ」
エンペルト「任せてください」
デリバード「待ってろよノボリクダリ」
エンペルト「お前らなんか目じゃないぜ」
こうしてまた2体のポケモンがバトルサブウェイの歴史に名を刻んだ
wifiで彼らの活躍に乞うご期待
おわり
Entry ⇒ 2012.02.20 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
沙織バジーナ「京介殿今日もお口でいいでござるか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328627736/
京介「あ?ああ、わかった」
京介「じゃあいくぞ。~~♪」
沙織「……んっ、ああっ。こんな感じでいいでござるか?京介氏」
京介「……」
京介「……ふぅ」
沙織「いやあ、京介氏はさすがでござるな。いい音色を出しまする」
京介「……いい加減俺のサックスにそういう言い方をするのはよそうぜ」
沙織「だって面白いんでござるもの」
完全にノープランで進めるのであしからず
京介「割と間違った表現じゃないから困る」
時系列から遡るように話していくと、今俺は沙織のマンションの一角にある防音スタジオで沙織と二人っきりである。
どうしてそうであるかといえば、まず俺は大学受験の結果、神奈川の某大学に入学することになった。
そこで新入生として1人暮らしをするようになる過程で何かしら手に職をつけようと思い近くに住まう沙織に相談を持ちかけたところ、
「それなら音楽でも始めてみてはいかがでござるか?」
との返答を得た。
そんな金がただでさえ1人暮らしの俺に捻出できようとは思えん。
沙織「京介さんはわたしを誰だと思ってるのですか。楽器の一つや二つわたしにかかればちょちょいのちょいでしてよ」
急にメガネを取ってドヤ顔をされても困るが。
京介「はぁ……いや、でもいくら減るものじゃないったって悪いよ」
スチャッ
沙織「どうせあれらもここで眠らせておくよりも京介氏に使ってもらったほうが楽器も喜ぶでござるよ」
京介「あれらも、ここで……ってことは、ここに相当数の楽器群があるってことなのか?」
沙織「平たく言えば姉の遺産でござる。まさかこんな形で日の目を見ようとは思わなかったでござるが」
京介「……ふぅん……」
沙織「ああ、そういえば京介氏にはその辺のことは話していませんでしたな。あの人は『なんでも試してみるもんさ』を地で行く人でしたので」
沙織「彼女からすればオタク趣味も音楽も等価なのですよ、好き嫌いはあれどそこに優劣はありません」
そう答える沙織の表情は誇らしそうでいて切なそうななんとも言えないものだった。
沙織「閑話休題でござる。ま、なんにせよこの区画のすぐに音楽室がござるので行ってませうか。百聞は一見に如かず、でござる」
京介「……それもそうだな」
ガラッ
京介「うわっ……こりゃすげえな」
京介「ギターベースドラムのけいおんセットにピアノやヴァイオリン、マリンバやティンパニまであるのか」
京介「そんじょそこらの楽器店より品揃えがいいんじゃないのかこれ」
ブルジョワの力とはかくも恐ろしきものか。これなら沙織の眠らせておくよりも云々も頷けようというもんだ。
色々物色していると俺は金管・木管といった吹奏楽器の欄に目が滑った。
京介「これは……サックス、だっけか」
沙織「ほほう、京介氏サックスとは随分主張したがりな楽器に目が行きましたな」
京介「?」
沙織「柔らかく響く音色はジャスコなどと揶揄されたりもしますが、ジャズやフュージョンなどでも花形の人気楽器ですな」
京介「ふぅん……にしても沙織、やたらめったら楽器に詳しいな」
沙織「レディとしての嗜みとしてレッスンをさせられたりしていましたもので」
京介「へぇ、何ができるんだ?」
沙織「主にはピアノにヴァイオリン、フルートあたりですかな。それに他の木管楽器も少々」
京介「……なんというか、さすがのお嬢様だな。目に浮かぶほどのテンプレだ」
素のこいつの演奏を生で見ようものなら、う、美しい……ハッ!とかなる自信がある。というか、実際なった。
京介「せっかく演奏するならカッコつけたいからな」
沙織「ミーハーでござるな」
京介「自分でもそう思う」
沙織「まあサックスは音も比較的出すだけなら出しやすいほうでござるし、木管だったら拙者も少し嗜みがあるので良かったらお教え申します」
京介「本当か?そりゃ重畳だ」
沙織「……拙者としても京介氏と過ごせる時間が増えるのは僥倖でござるからな」 ボソッ
京介「え?」
沙織「なんでもないでござるよ」 ニコッ
俺個人としてはインプロヴィゼーション的なもの――簡単に言えばその場でのアドリブ演奏――にあこがれたのでジャズ研に籍を置かせてもらっていたりもするが、サークルの活動外では専ら沙織の世話になっていた。
沙織は素の状態で教えてくるのででかさゆえの威圧感と美しさが同居していろんな意味で目のやり場に困る。
京介「スケールのロングトーンが終わったぞ」
沙織「なかなか音が良く伸びるようになってきましたね。じゃあ次はBPM60の8分で階段をやりましょう。Ebからですわ」
京介「えっと、これはアルトだからドから順繰りのだな?了解だ」
沙織「大分飲み込みが早くて助かります」
京介「まあ、師匠がいいからだよ」
沙織「ふふっ、お世辞だとしてもうれしいです」
一瞬ドキッとした。本当にこいつはこういう微笑みが絵になりすぎるから始末が悪い。
なんかどうしても専門用語ばかりになってしまってすまない
京介「スラーは息を入れ続ければいいから気持ち楽なんだがな。一度音を切る系のは意識を入れづらい」
沙織「コツとしては息を止めるのではなく、舌を利用して音を一時的に止める、という感覚です。一回ごとに息を入れなおすのでは非効率だし音も安定しません」
京介「理屈の上ではなんとなくわかるんだがな……」
沙織「ちょっと一旦お貸し願えますか?」 ヒョイッ
京介「えっ」
沙織「~~♪」
京介「(か、間接キス……)」
沙織「リードに特に問題はないようですわね。だいたい例としてはこんな感じです」 ヒョイッ
京介「……///」
沙織「京介さん?顔が赤いですけどお熱でもあるんですか?」
京介「いや・・・・・・なんでもない」
まったく自然でてらいもないということは、もう『そういうもの』なのだろう。
ここで変に穿つのも面倒だったので俺は無心で返されたサックスに口をつけた。
その日以降割と日常茶飯事でこういうことが起こっていることを知り、この楽器を選んでよかったと下種な部分で得心した。
京介「アニメ・ゲーム音楽のアマチェア演奏ライブ?」
沙織「ええ。そういう話が持ち上がってきたのでぜひ参加してみると面白いのではないかと。拙者も何かしらで参加するゆえ」
京介「けどたった2ヶ月程度の俺がそんなのに参加しても迷惑になるだけじゃ……」
沙織「ちっちっち。京介氏、音楽とは『音を楽しむ』で音楽でござるぞ。上手い下手だけで音楽の質は決まりませぬ」
京介「そうは言うけどな、理想論は理想論だろ」
沙織「だからって何もしなければ怠惰に屈するだけでござる。偉い人は言いました」
沙織「"イベントに参加すると元気になるなあ!目的を意識するから上達することに実感を持てる!"」
京介「……まあ確かに何かゴールを持つってのは大事だな。まったくその通りだ」
沙織「まだ1ヶ月時間がありますから、黒歴史にならないよう必死で練習して封印しましょうぞ!」
京介「誰が上手いことを言えと」
京介「これは……メルルの戦闘曲にマスケラの劇中曲か」
沙織「我々の楽器に合うよううまいことアレンジしてもらっています。こういうことが出来るのも音楽の醍醐味ですな」
京介「まあ、下手なJ-POPなんかよりよほど馴染みがあるのは確かだが」
沙織「京介氏が颯爽とこれらのテーマを吹きこなせばきりりん氏や黒猫氏などジュンジュワーでござるよ!」
京介「色々釈然としない表現だがまあいい。あいつらが喜びそうな曲ならモチベも維持しやすそうだし、いっちょやってみるか!」
沙織「然り。まあやってやれないことはないのでござるが……まあ京介氏に負担を強いるのは酷ですからな」
京介「流石にな。で、どうするんだ?」
沙織「とりあえず姉と旧知の方々からギターベースドラムを演奏していただくことになりました。あまり使いたくなかったカードではありますが」
どうもこいつは姉の話になると妙に影を落とすな。嫌いって訳でもなさそうだが……
沙織「あと、とある経緯で知り合ったボーカルの子をひとり」
京介「ボーカル……?何かその単語に引っかかりを感じる。なんだっけ……」
京介「いやまさか……ん?どうした沙織?」
スチャ
沙織「顔合わせの際、わたしと京介さんは恋人ということにしてありますので」
京介「!?」
沙織「音楽を嗜む人って好色家が多いんですよ。だから予防線としてです」
京介「あ、そ、そうか……」
沙織「そういうことなので、よろしくおねがいしますね。では」 スタスタ
京介「……あの笑顔は反則だろ」
京介「サックスで乗らせていただきます京介です。宜しくお願いします」
沙織「同じくピアノとヴァイオリンを務めさせていただきます沙織です」
ギターベースドラムの方々も順々に挨拶を済ませていった。
沙織「あら、ボーカルの子がまだ来てませんね」
京介「そうそう、そのボーカルの"子"って女の子なのか?」
沙織「ええ、高1の女の子です。きりりんさんと同じ学校に入ったと聞きましたが……」
京介「……」
ドタドタ バタンッ
???「遅れてすみませんっ!」
京介「……!!」
???「ボーカルをやらせていただきますかなかなです――って……オメー桐乃の彼氏!?」
京介「や、やっぱりお前か!!」
京介「それには色々経緯があるんだが……とりあえず、俺はもう桐乃の彼氏じゃない」
沙織「そうです、今は現在進行形でわたしの彼ですわ」 ピキッ
京介「なんでそんなに笑顔なの沙織!?」
加奈子「桐乃から乗り換えて沙織さんにとか節操のねーヤローだな!」
京介「ぐっ……」
実際は付き合ってたわけでもないから振っても振られてもいないのだが説明するわけにもいかないので、仕方なく黙る。
にしても俺は3つ下の女子に罵倒される宿運でも背負ってるのか。
当人の前でそれを言い放つかい。というか実はそれなりに評価されてたことに素直に喜んでいいものか悩む。
京介「にしても沙織"さん"とか、どういう成り行きでこのクソg……加奈子と知り合ったんだ?」
沙織「うちの系列会社のイベントですわ。ギャラをはずむって言ったら二つ返事で」
京介「まあ……なんともはや」
相変わらず金に汚ねえ奴だな。それでポンと交渉する沙織も沙織だが。
加奈子「そういうわけだ。金もらうからにはマジでやるんで、期待していいぜ?」
京介「……ああ、そうさせてもらうよ」
なんにせよ期待できる戦力には違いない。俺は内心嘆息しながらにししと笑う加奈子に答えた。
まずメルルのほうだが、軽やかなロリポップ的な雰囲気をかもし出すからっとした気持ちのいい曲である。
にもかかわらずこの曲はかかる場所が「メルルが雑魚的を殲滅する時」に流れるのでそのギャップが逆にいいと専らの評判である。通称処刑用BGM。
この曲は主に加奈子とギター、沙織のキーボードが主役なので俺は基本オブリガード(裏主旋)やハーモニーを担当するため、比較的気が楽だったりする。
次にマスケラのほうだが、こちらは「妖艶なる夜魔の女王」という曲で、艶やかでしっとりとした、かつ神秘的なメロディアスなロックだ。
こっちはギターと沙織のヴァイオリン、そして俺のサックスが複雑に絡み合うプログレじみたことをするため難易度がいささか高い。
三者三様にソロを吹いていくという意味ではジャズっぽい趣もあると言えるかもしれない。
正直まだ難しいことはよくわからなかったし自信もなかったが、沙織を筆頭にいろんな方々から手解きを受けたことはとても充実した日々だったと断言できる。
そして本番の日を迎えた。
起きたら再開しますね、一応濡れ場もある予定ですので
書き溜めは特にないので思いのままにペンでスラスラと
・落ちたスレの扱いがよくわからないので簡易あらすじ
京介、大学に入り沙織の勧めで楽器(サックス)を始める
ある程度の嗜みがある沙織に教えを請う
演奏してみた系のライブに出ることに ←いまここ
京介「へぇ……初めてきたけどなかなかいい会場(とこ)じゃないの……」
沙織「規模的にはそこまで大きくはありませんけどね。収容人数だと4~500人ってぐらいでしょうか」
京介「数で言われると結構なもんに感じるけどな」
沙織「要は20人×20人程度ということですからね。意外と人は詰めれば入るものということです」
京介「どう詰めても2人までしか入らないシェルターとかあったな」
沙織「兄さんは犠牲になったのです……」
主催者側「おはようございまーす!正面がステージ、左側に楽屋があります」
主催者側「あとこれが今日のスケジュール表なので各自確認お願いします!」
京介「ありがとうございます」
沙織「さて、まずは荷物を楽屋に置いてからステージを見に参りましょうか」
京介「ああ。ところで俺らは楽器は自持ちでできたけど、ドラムの方とかは大丈夫なのか?」
沙織「モノがモノなだけにプレイヤーごとに付け替えたりする余裕はありませんからね。ここに置いてある一式で全員回すらしいですね」
京介「確かにオーケストラなんかも打楽器なんかは奏者が入る前からデンと置いてあるもんな」
沙織「無論各自で諸々の調整はしなければなりませんし、色々面倒ではありますがこればっかりは」
京介「大きな楽器持ちの苦労が偲ばれるなぁ」
京介「沙織、このキーボードはそこでいいか?」
沙織「ええ。すみません、わたしの楽器なのに」
京介「アルトサックス一本とヴァイオリン・キーボードじゃどう考えても釣り合わないしな。それに……」
沙織「それに?」
京介「……いや、何でもない」
ここまで説明しなかったが、沙織は眼鏡をかけていないのはもちろん、夏場ゆえTシャツに膝上ぐらいまでのデニムパンツとかなりラフな格好である。
それにアルトサックスは基本肩紐1本で斜めに背負うので――後はわかるな?
こいつはもうちょっと自分のスタイルを自覚すべきだと思う。
京介「ここで演奏するのか」
いざ立って見渡してみると広く感じるもんだ。
ステージ内ではさっき話に出たドラムセットをはじめとしてピアノなどの置き楽器の調整をしている様子が見える。
京介「みんな真剣そのものだな。俄然緊張してきたんだが」
沙織「最初は皆そんなものですわ」
京介「沙織は冷静だなあ」
沙織「場数を踏んでるだけですよ。同じことです」
京介「あのクソガキの図太さが今は羨ましいな……ってかそういやあいつはどうしたんだ?」
沙織「かったりーからリハまで寝る、とのことで」
京介「……やれやれ」
加奈子「こんにちわぁ~メルルだよっ♪今日もはりきって殲滅していこぉ~!」
京介「あいも変わらず物騒なキャラだなぁ……」
なんだかんだ言っても演じてるときのこいつは殊更かわいいと認めざるを得ないとは思う。
普段のクソガキっぷりはどうにも言えんが、こいつもある種の天才なんだろうな。天才に変人が多いってのは本当だろう。
ある意味でこいつと沙織は似た者なのかもしれない。
問題は次のマスケラだ。全体的に曲調がサックス好みのせいでどうしても俺の動きがはっきり出るのだ。
実際俺の緊張っぷりは傍目からでも良く伝わっていたようで、ギターの方から「もうちょっと肩の力を抜いていいですよ」と諭される始末だった。うう、情けない。
プシュッ
京介「……ふぅ」
冷たいブラックコーヒーを口に入れて気を落ち着けようとするも、なかなか震えが止まらない。
ソロのところでスポットライトを入れるとは聞いてはいたが、まさかあれほど緊張するとは想像以上だった。
俺も必死で練習してきたつもりだが、今までソロがとちらなかったのは大目に見て6割ってところだろう。
右手を顔に当てていると、軽快な足音が近付いてきて俺の目の前で止まった。
加奈子「……なにしけたツラしてんだよ」
京介「……おまえは」
そう言うやいなや加奈子は俺の両頬をぐいと引っ張ってきた。
京介「てぃえめえにゃにひやがる」
加奈子「いいか良く聞きやがれ、オメーのミスなんかこの加奈子様のパフォーマンスの前じゃ霞んじまうんだよ」
加奈子「だから安心して吹きやがりな!」
京介「加奈子……」
京介「……ああ、そうだな」
加奈子「案外人のために頑張るってのも悪くないもんだって糞マネが教えてくれた」
京介「……ん?え?」
加奈子「話はそれだけだ、じゃあな!」
……多分加奈子なりに励ましてくれたんだろうな。素直じゃない奴だ。
しかし最後のほうの言葉はなんか引っ掛かりを感じたけどなんだったんだろう。
なにはともあれ少し気が楽になったし、あいつには感謝しなきゃな。
ガラッ
京介「ん?沙織じゃないか」
沙織「すー……すー……」
京介「寝てる……?」
リハから出番まではそこそこ時間があるし、まあ不思議ではないのだが。
しかしこいつがこの姿でこんな無防備にいる姿を見るのは初めてかもしれない。
アッシュグレーの滑らかな髪、整った顔立ちにスタイル、すらりと伸びた足。
緩くなった緊張が別の意味で高まってきてしまう。思わず生唾を飲み込んだ。
必死で込み上がる衝動を抑え付け、平静を装いながら手近な椅子に座り込む。
京介「お目覚めですか、お姫様」
立ち上がって恭しく礼をすると、沙織の顔がかあっと紅潮していった。
京介「安心しろ、何もしてないよ」
沙織「あ……う……」
こんなしどろもどろの沙織は珍しい。こんなのを見せられてからかってみたくならないわけがない。
京介「それとも、何かして欲しかったのか?」
沙織「っ、もう京介さんったら!」
京介「冗談だよ、今日の俺は紳士的だからな。というか緊張でそれどころじゃない」
無論寝るなんてできようはずもなかったので、そういう意味では俺は若干自嘲気味だった。
京介「ああ、そうだ」
沙織「まあ緊張するなというほうが無理な話ですわね。けど、京介さん」
京介「ん?」
沙織「本番なんていくらミスしても構わないですよ。本番で一番重要なことは、弱気にならないことです」
沙織「極端な話、全く違うメロディーになったとしても構わないとすら思います」
京介「そうは言うがな」
沙織「『練習は本番のように、本番は練習のように』なんて言葉がありますが、こと音楽に関してはわたしは違うと思います」
沙織「音楽に正解なんてないのですから、本番は本番のように吹けばいいんですよ」
沙織「かく言うわたし自身にもそういう経験がありますから」
京介「沙織……」
沙織「わたしは……きりりんさん黒猫さん、そして誰よりも京介さんにこの曲を届けたいと思っています」
京介「……」
沙織「だから、わたしは迷いなく演奏できます」
そういう沙織の目はどこまでもまっすぐに俺を見つめていた。その真摯な表情に俺は息を呑まされる。
京介「沙織……俺は……」
ガラッ
ベースの人「30分前だからそろそろ衣装変えをお願いしm……」
京介「」
沙織「」
ベースの人「……」 バタン
見てみぬ振りをする情けがベースの人にも存在したらしい。
京介「……おお」
なんかばつの悪い空気になってしまったが、沙織の気持ちで俺の心が暖かく満たされていくのを感じた。
俺が誰のために演奏するのか。そんなことはもうわかりきっていた。
さっきつねられた両頬にバシッと気合を入れ、俺は更衣室へと向かった。
京介「……行くぞ!」
客の入りも8割方詰まっており、こういうタイプの演奏会の珍しさというものを感じさせられた。
各自コスプレをしての演奏であり、俺は漆黒の沙織は星くずうぃっちバルゴ(EX)、加奈子は曲目の関係上メルル2期の衣装だ。
さすがの加奈子の演技力といった印象で、ほとんど加奈子のオンステージといってもいいかもしれない。
とはいえギターソロも負けてはおらず、俺も俺で裏方なりに頑張れたのでとても清清しかった。
問題のマスケラだったが、あれだけ緊張していたはずだったのに不思議と演奏する際になってみるとなんともいえない高揚感に包まれていた。
ソロや掛け合いの部分も自信をもって吹き切ることができたし、何より楽しかった。本当に楽しかったとそう思えた。
そう思わせてくれたのが誰なのか、それはもはや言うまでもない。
こういう共感を感じることができるようになった、というのもこのライブに出てよかったと思えた一因だろう。
一通りライブが終わりきり撤収したのは8時を回った頃だったが、打ち上げをしようという沙織の提案に則って6人で近くのファミレスへ向かった。
ドラムの人「楽しいライブでしたね……」
ベースの人「ああいう客との一体感がライブの醍醐味ですね」
ギターの人「加奈子ちゃんもさすがの一言でしたよ」
加奈子「だろォ?」
ギターの人「ええ。それとマスケラのお二方も。さすが恋人って感じの息の合いようでした」
京介「あはは、そうですね」
沙織「ありがとうございます」
そうしたライブの話を重ねるうちに時が流れ、10時を回ったあたりでお開きとなった。
京介「じゃあ、今日は本当にありがとうございました。また機会があればお願いします」
ベースの人「こちらこそ、ありがとうございました。お疲れ様です!」
京介「お疲れ様です!」
加奈子を含めた皆さんと別れ、俺は帰る方向が一緒の沙織と2人きりになった。
京介「ああ。……沙織」
沙織「はい?」
京介「今日、俺の部屋に来ないか?」
沙織「……京介さん」
京介「伝えたいことがある」
それ以上言葉は要らなかった。
沙織「――はい」
それからは互いに殆ど会話を交わさずに俺のアパートに辿り着いた。
沙織「ここが京介さんのアパートですか」
京介「近い割に実際来たのは初めてだったな」
沙織「そうですね……」
妙にそわそわして落ち着かない様子だ。そりゃそうだろうが。
ひとまず冷たい麦茶を用意すると、手近な座布団に腰を据えた。
疲れてそのまま眠ってしまいかねないので手短に本題に入ろう。
京介「……沙織は俺のために演奏するって言ってくれたよな」
沙織「はい」
京介「あの沙織がこんな風に俺なんかに積極的に迫ってくれることが俺は凄く嬉しい」
なんせ沙織は和を以て尊しと成す女だ。
前々のいきさつもあって沙織があいつらを差し置いてくるなんて事は本当に意外だったといえる。
そして沙織が"そう"決めたとあれば相当の覚悟と葛藤があったのだろう。
いろいろ聞いてみたいことはあったが、俺はとりあえず言いたいことだけは早急に言わねばなるまい。
意趣返しというわけでもないが、言われたことをそのまま返す形になった。
京介「俺は沙織が好きだ。沙織に付き合ってもらいたい」
沙織「京介……さん」
簡潔極まりないが、言いたいことは済んだ。後は沙織の返事を待つだけだ。
沙織「わたしも……わたしも、京介さんのことが好きです。大好きです」
準備はできていたがいざ言葉にされると俄然高まらざるを得なかった。俺も健全な男だ。
衝動的に押し倒してしまいそうになるがぐっと抑えて一言だけ振り絞るように伝えた。
京介「……シャワー、浴びてきなよ。俺のしかないけど着替えは用意しとくから」
沙織「あ……その……はいっ///」
ヤバイ可愛すぎる。落ち着け……素数を数えて落ち着くんだ……ッ!
やはり沙織は不人気なのか
原作読めば一番かわいくてすごいんだけど
どうせこれから脱ぐものをとも思ったが、湯冷めするのもまずいし、それに脱がす楽しみというのもある。
あとは机の中からゴムを取り出した。転ばぬ先の杖とはこういうことか。
ベッドの上に座り込んで所在無く両指をからめていると、風呂場のドアが小さく音を上げた。
沙織「上がりました」
京介「着替え、そこに置いてあるぞー」
沙織「了解であります」
少し時間が経って沙織が俺のシャツとジャージを着て出て来た。
湯上がりというバフステータスも相俟ってとてつもない色気を醸し出している。こいつ本当に高2か?
京介「じゃ、じゃあ俺も入ってくるな」
沙織「はい。行ってらっしゃいませ、ご主人様」
京介「…っ///」
沙織「ふふっ」
な、なんてヤツだ……
こいつは……強力すぎる!
なんというか……沙織の匂いに包まれている感じがする。
我ながら臭い感想だが事実だからしょうがない。
あまり沙織を待たせるのもアレなので、俺は念入りに体を洗いつつも手短にシャワーを済ませた。
着替えを済ませてからあえて仰々しく風呂場のドアを開けると、ベッドに座り込んでいた沙織の目がぱあっと輝いたように見えた。
沙織のすぐ隣に腰掛けて目と目が合う。
京介「お待たせした」
沙織「お待ちしておりました」
沙織「……ふふっ」
京介「ははっ」
妙に甘い空気が俺たちの周囲を包み込む。
京介「こんないい女をモノにできるんだから、俺はとんだ果報者だな」
沙織「わたしもですよ。京介さんは自分で思う以上にいい男だってのを自覚すべきなんです」
京介「お前もな。……じゃあ、行くぞ」
俺はそのまま沙織の肩を抱き寄せて目を瞑り、その唇を貰い受けた。
最初は唇を優しく重ね、そこから唇を舐めるように舌を割りいれていく。
そこから沙織の口内へと突き進め、文字通り口内を嬲っていく。
沙織もそれに応じるように舌を絡めてきてちゅぱちゅぱという隠微な音が互いの情欲を高めて行く。
沙織「きょ、京介さん……お上手ですね」
京介「耳年増なだけさ。口でのキスはこれが初めてだよ」
黒猫とのは頬だったしな。
沙織「わたしも初めてです。なんというか、こんなに気持ちの良いものだとは……」
心なしか……いや気のせいでなく沙織の瞳に潤みが差している。
京介「じゃあもう一度やるか」
間髪入れず沙織の口に貪る様に吸い付いた。沙織もなんの抵抗もなく受け入れてくれているのがとても嬉しい。
一度といっても当然言葉の綾で結局二度三度と何度も何度も磁石のように唇同士をくっ付けていった。
沙織「あっ……はぁんっ……」
くすぐったいのか弱いのか、沙織は温かな体をピクピクと震わせている。
その反応に満足しながらも俺は首筋へと舌を這わせ、シャツから見える鎖骨へと達する。
沙織「ひゃっ……ぅあっ……!」
沙織の体がさらにビクンと跳ね上がった。ただでさえTシャツ1枚のノーブラで拘束の無い果実がぷるぷると震えた。
京介「弱いのか?鎖骨」
沙織「は、はい……」
京介「じゃあもっと舐めてやる」
沙織「きょ、京介さんいじわ……ひぅっ!」
京介「(ヤバイ何これ楽しい)」
そしてそのあられもなく主張している2つの双丘をシャツの上から揉み始めた。
沙織「あ……」
なんというか、シャツの上からでも柔らかさが伝わってくる。
このでかさで張りもあるとかパーフェクトだろウォルター。
あえて脇から包み込むようにして揉んでいるのは当然計算であり、こうすると焦らし効果でより気持ちよくさせられると聞いたからである。グゥレイトォ、知識だけは多いぜ!
それから刺激を与えないようにそっとTシャツをたくし上げ、上半身を露にする。俺も合わせて上を脱いで正面に回った。
沙織「あ、あの……へ、変じゃないですか……?」
京介「…………綺麗だ」
沙織「え、あ……」
京介「綺麗だって言った」
それ以上の言葉が出ないぐらいそれは美しかった。語彙力がどうとかそういう問題じゃない。ギリシャの彫刻とか見てる感じって言えば伝わるだろうか。
京介「完璧に処理してあるんだな」
沙織「~~っ、恥ずかしいです……」
その綺麗な脇をフッ飛b……ぺろぺろしながら次第に膨らみの中央へと近付いていく。
そしてついにとっておきのメインディッシュへと到達する。
左の乳首を軽く咥えながら舌の先端でころころと転がす。
沙織「はっ、あぁんっ……!!」
焦らした分の効果が現れたのか、はっきりと感じてくれているようで大層余は満足した。
なんてことを考えてる場合でもないので、直ちにそのまま追い討ちに入る。
咥えてるさくらんぼをそのまま甘噛みし、空いている右側のそれを指先でクリっと捏ねる。
沙織「あっ、うっ、あっ……!んんっ……!」
沙織の体がビクンビクンと震える。
感じていることに恥じらいを帯びているのか声を抑えているらしい。その初心な反応がたまらなく愛おしい。
京介「我慢しなくていい、いやしないでくれ」
沙織「だ、って、そんな、いやら、し……んんんっ」
京介「沙織のそういう声も聞きたいんだよ、言わせんな恥ずかしい」
沙織「ううう……京介さんばっかりさっきからずるいです……」
京介「え?うわっ!」
沙織「わたし、護身術もたしなんでいるんですよ?重心さえ崩せば京介さん程度の体格なら余裕で投げられますわ」
京介「なん……だと……」
そもそも沙織は女性にしては単純に力もある。そう簡単に支配できる女ではないということを改めて再認識した。
まあ、望むところだと言わせて貰おう。
沙織「さて、今度はわたしの番ですわね。耳年増は京介さんだけではないと言うことを思い知らせて差し上げますわ」
京介「ぐっ……」
痛みはさほどないが、俗に言う上四方固めのような体勢になっていてろくに自由が利かない。
そもそも足をバタつかせて沙織に傷でもつけたら事なので抵抗するわけにもいかずスルリとズボンとパンツをひん剥かれる。
沙織「これが京介さんの……もうガッチガチじゃないですか」
京介「まったく誰のせいなんだろうなー」
沙織「ふふっ、誰だか知りませんがさぞ魅力的な方なんでしょうねぇ。それではいただきます。はむっ」
京介「……!!」
その時、京介に電流走る……!
京介「……!?……!!」
沙織の股間部への致命的愛撫(仮)を受けて危うく意識が持っていかれそうになった。
木管奏者は舌使いが上手いなんてジャズ研の酒の席で下世話な都市伝説を先輩から聞いたことがあったが……これはヤバイ。
なんというか舌の当て方が尋常じゃなく上手いのだ。とはいえこんなことをされるのも初めてだから比較のしようがないのだが。
それでも勝手がわからないのか手探りならぬ口探りで俺の性感帯を探してくれているのはとても可愛らしかった。
そんな分析ができるぐらいには余裕ができてから、俺は逆襲に入った。
固められている俺の顔の目の前には体勢的に沙織の大切な部分があるわけで、そこに思いっきり息を吹きかけてやる。
沙織「うんんっ!?んっ……」
沙織の腰が浮き上がったところに足で固められていた両腕を抜け出し、返す刀で沙織の腰からジャージとショーツを思い切り引き下げる。
というか本気でターンを持ってくつもりならこんないわば69の状態には持っていかないはずであり、これはおそらく沙織の知略なのだろう。
なんとなく乗せられてる感がして釈然としないが、今はそんなことはどうでもよかった。重要なことじゃない。
沙織も先ほどの俺と同様感じるところを意図的に避けている節があるので、まだ比較的余裕があるうちにじっくりと持久戦を持ち込んだ。
まず沙織のふとももの裏側をさするように手を掛け、軽く揉みしだく。
沙織「ん……ふっ……」
これだけの事をしても依然ソレから口を離さないのは大した奴だ。正直俺も気を確かにしないと危ない。
ならばと俺は這い上がるように両手を引き上げてその美尻に手をかける。
なんか痴漢してるみたいで妙に背徳的な気分になってきたが、落ち着いて俺は腕を内側に手繰り寄せる。
ついに秘唇の外側まで指先が到達し、そっと人差し指を差し入れてみる。
沙織「んんんんんっ!ぷはっ、あっ、はぁっ……」
……きつい。じっくり丹念に濡らしたおかげかまだ痛くはないようだが……
流石に感じ過ぎたのか俺のから口を離して悶える沙織。超可愛い。
京介「こっちこそ!」
沙織の大切な部分を二本の指でこじ開け、舌を滑り込ませる。
と同時にその上端にある豆を撫でるように擦り上げる。
沙織「~~っ……、はぁっ、はぁっ……あむっ……」
京介「くっ……うぁっ……」
沙織もついに手まで使って本気でかかってきたようだった。
白魚の手とはよく言ったもので、冷たくて滑らかな感触が舌とのギャップで俺の情欲を加速させる。
ついでに言うとピアニストゆえの賜物かその動きが実に素晴らしい。
互いの吐息が否が応でも高まっていき、絶頂が近いことを自ずと示唆していた。
沙織「わ……わはひ、ほっ……」
京介「うっ……うあああっ!!」
沙織「んっ、あっ、あああああっ……!!! ……げほっ、げほっ」
どうも咥えてるときに同時に達してしまったらしく、むせて咳き込んでしまったようだ。
急にムードもへったくれもなくなってしまったようで思わず肩をすくめた。
京介「す、すまん」
沙織「構いません。むしろ、京介さんと同時にイけてとても嬉しいです」
京介「嬉しいこと言ってくれるじゃないの……」
ベッドで倒れ込む沙織に目を向けながら俺は一度風呂場へと足を向けた。
沙織「どういたしました?」
京介「ちょっとソコを洗ってくる。ゴムもつけなきゃいけないしな」
沙織「ああ……まあ、そうですよね」
京介「ちょっと待っててくれな」 バタン
沙織「(……今日は一応安全日だったはずだけれど……仕方ないわよね)」
沙織「(わたし、あの人を好きになってよかった)」
これからが本番だというのにここで萎びられても困る。
きちんと男の義務としてコンドームを装着し、いざ愛する女の下へと帰らん。
京介「お待たせ」
沙織「一分一秒でも離れたくない気分です」
京介「ああ……そうだな、今日はもう離さないさ」
沙織「嬉しいです。やさしく……してくださいね」
京介「可能な限りな。保証はできない」
推測……というか半ば確信だった。
俺は無言で沙織の長い足を広げると、すでに濡れ尽くした秘部にそれをあてがった。
京介「……行くぞ」
沙織の細い腰を両手で掴んで屹立した自分自身を軽く差し入れる。
沙織「ん……」
ある程度推し進めたところに軽い抵抗があった。紛れもない沙織の純潔の証だ。
一秒にも満たない時間逡巡した後、意を決して俺は思い切り腰を突き出した。
沙織「う……ん……んうあああっ……!」
沙織のくぐもったような呻き声と共に膜が弾けたのが心で理解できた。
精々爪を立てて痛みを分けてもらうしかない。
分かち合えるものじゃないのなら2倍あればいいとはよく言ったものだ。
沙織「す……すみません。これほど痛いなんて……それに背中を……」
京介「謝らなくていいよ、沙織の痛みに比べれば軽いもんだ。男の勲章ってやつだな」
沙織「……では、好きに動いてください。もう大丈夫ですから」
京介「本当か?」
沙織「……嘘ですけど」
京介「沙織はかわいいなぁ」 ナデナデ
沙織「えへへ……嬉しいですお兄様」
京介「!」
お、おま……そんな蕩け切った顔でお兄様とか反則すぎんだろ……
今なら妹ゲーにのめり込む桐乃の気持ちがはっきりと理解できる。どんな妹だろうとこいつには絶対に敵わないだろうがな!
沙織「え?あ……あっ!」
ヒャア、がまんできねぇ0だ!とはこういうことなのだろう。
振り子が次第に勢いをつける様に緩やかに腰を前後させていき、次第に加速していく。
京介「うっ……ふっ…・・・」
沙織「ぐっ……いっ……痛い……」
沙織「でも気持ち……いいです……!」
痛いけど気持ちいい、という感覚は男には決してわからない感覚なのだろうが、それでも素直に嬉しい。
そんな喜びを感じながら俺は一心不乱に腰を打ちつけた。
沙織「んうっ……あっ……ぇあっ……!」
沙織「なにか、くる……きちゃいますぅ……!!」
京介「お……俺も、沙織の膣内……気持ち、よすぎる……!」
沙織「わたし、あたまの、なか、が……」
京介「で……射精るっ……!!」
沙織「きょう、すけ、さ……ああああんっ!!!」
またしても俺たちは同時に達した。
俺はペニスを引き抜いて沙織のもとへと倒れこみ、そこで意識は途絶えた。
というかなんか腕がジンジンすると思ったらどうやらいつの間にか腕枕に使われていたようだった。
俺は客観的に見たら見るも気持ち悪いであろうニヤケ面で沙織をまじまじと観察していたら、沙織が目を覚ましたようだった。
京介「おはよ」
沙織「おはようございます、京介さん」
京介「世界が今までと全く違って見えるようだ」
沙織「わたしもです」
京介「で、今日は日曜だけど……どうしよっか?」
沙織「そうですね……楽器店にでも行ってみましょうか。あとはみなとみらいにも行きましょう」
沙織「京介さんと一緒ならどこだって楽しい、そうわたしは思います」
京介「俺もだよ」
このMe tooを今日だけで何回繰り返したのだろうか。数えても詮無い事だが我ながら大したバカップルだと思う。
そんなお花畑なことを考えていたら、沙織が悪戯を思いついた子供のように目を輝かせた。
沙織「ねえ京介氏、今日もお口でいいでござるか?」
おしまい
まさか続きを始めてから6時間もかかろうとはこの海のリハクの目をもってしても(ry
沙織は非常にいいキャラなんですがあまりにも強すぎて出番を作りにくいフーゴポジションだと思うのです。
もっと沙織好きが増えればいいなと切に願います
ではでは
次回はあやせイチャラブを期待しょう
Entry ⇒ 2012.02.20 | Category ⇒ 俺妹SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「…ふぅ、今日も洗濯大変だなぁ~…特に京子の分が」チラッ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328537239/
綾乃「そ、そう…」
結衣「…」チラリッ
綾乃「て、手伝おうかしら?」
結衣「いいよ。綾乃はそこに座ってて。お茶でも飲んでて」
綾乃「う、うん…」
結衣「よっ、ほっ」バッバッ
綾乃「あの、なんで船見さんの家に歳納京子の服があるの?」
結衣「ああ、京子の奴がさ、泊まりに来るたびに服持って来るの面倒だからいくつか私の家に置いといて、って」
綾乃「そ、そう。ま、まったく、歳納京子って本当にわがままよね」
結衣「そうなんだよ。いきなりうちに来てまるで自分の家みたいに好き勝手やるしさ」
綾乃「へ、へぇ…」
綾乃(…これってのろけ話なのかしら)
結衣「京子のやつ本当に気まぐれだから、たまに期限危なくなった食材を私一人で食べないといけなくなったりするんだ」
綾乃「そ、そう。船見さん、苦労してるのね」
結衣「せっかく料理出してやっても、別の奴が食べたかったーとか言い出したりするし」
綾乃「へ、へぇ」
結衣「まあそれでもおいしそうに食べてくれるんだけど」
綾乃「そう…」
結衣「ごめん、退屈だったかな?」
綾乃「あ、いや、そんなことないわよ?」
綾乃(この屈託のない笑顔…。嫌味でやってるとはとても思えない)
綾乃(……天然?)
結衣「…綾乃?」
綾乃「へっ? な、なに?」
結衣「あ、いや、なんでもないけど。なんかぼーっとしてたからさ」
綾乃「あ、ああ…ごめんなさい」
綾乃「……」
結衣「……」
綾乃「……」
綾乃(き、気まずい……)
千歳「ふーやっと放課後やなー。ほな生徒会いこか、綾乃ちゃん」
綾乃「そうね」ガタッ
京子「ねー綾乃」
綾乃「ギャー! なななな何よ突然!?」
京子「週末さー、私達とお泊り会しない?」
綾乃「…!? と、歳納京子とっ、お泊り!?」
綾乃「えええっ!? ま、まあ、どうしてもって言うんなら…じゃなくて、えっと」
綾乃「……ん? 『私達』?」
京子「そだよー。ね、結衣」
綾乃「ふ、船見さん?」
結衣「…今週末、ちょっとしたパーティでも開こうかと思うんだけど、どうかな? 綾乃たちも」
綾乃「え? ええ、もちろん行かせてもらうわ」
千歳「そりゃもうもちろんやで。でも何のパーティなん?」
京子「えっ? えっと、なんだっけ?」チラッ
結衣「別に何かのお祝いってわけじゃないんだ。親戚からいいお肉をいただいて、それで」
京子「そうそう、焼肉パーティ、みたいな?」
千歳「へーそうなんやー」
綾乃「お肉…楽しみね!」
千歳「うちはいろんな意味で楽しみやわー」
綾乃「ええっと……船見さんの部屋ってここよね?」
ピンポーン
綾乃「…」
ガチャ
結衣「やあ、綾乃。いらっしゃい。どうぞ入って」
綾乃「お邪魔しまーす」
ピーッピーッピー
結衣「っと、ごめんね綾乃。洗濯物洗い終わったみたいだから。座ってて」
綾乃「ええ」
ガチャ タッタッタ
綾乃「……」
結衣「よいしょっと」テクテク
綾乃(…一人分の量じゃないわね、あれ)
綾乃「…歳納京子は昨日もここに?」
結衣「うん。わざわざ来るのが面倒くさいからって帰りにそのままうちに来てさ」
綾乃「そ、そうなの」
綾乃(どう反応すればいいのかしら、これ…)
綾乃「泊まってたなら今歳納京子はどこにいるの?」
結衣「食材の買出し。そういえば千歳は?」
綾乃「千歳は午前は予定があるから昼頃から来るって」
結衣「そっか」
綾乃「そうね…」
結衣「……」
綾乃「……」
京子「……ふむ」
京子「戦果は上々といったところか」キリッ
千歳「せやろか」
京子「なぬっ」
千歳「船見さん、雑談のつもりで歳納さんのこと話してたんやろうけど、あれじゃただののろけ話やで」
千歳「出会って最初にする会話が他のオンナの話ってはっきり言って最悪やで」
京子「くっ…。結衣めー。だから貴様は詰めが甘いというのだ」
京子「正直私も驚いたよ。全然気づかなかった。さすがババフェイスの結衣」
千歳「ババフェイス?」
京子「うむ。綾乃と他の子とで全然態度に差異が見られなかったしね。無表情すぎるでしょ、いくらなんでも」
千歳「せやな」
千歳(……)
千歳(他の子との態度、なぁ。それいうたら綾乃ちゃんなんてあからさまなんに歳納さん気づいてへんのやろうか?)
京子「ん? どゆこと」
千歳「ううん、なんでもないんや」
千歳(まさか『綾乃ちゃんは歳納さんのことが好きやから船見さんの作戦には協力できません!』なんていえへんし…)
京子「それにしても二人ともしゃべんないなー。どうしたんだろ」
千歳「綾乃ちゃんは人見知りする子やからなー。船見さんも無表情なりに緊張してるんちゃう?」
京子「なるほど……」
綾乃「……」
結衣(流石に失敗だったかな…口裏合わせて綾乃と二人っきりになるこの作戦)
結衣(いきなり二人っきりっていうのはかなりハードル高いなぁ…)
結衣(さっきの私、最悪すぎる…。会話のネタがないからって、なんでよりによって京子の話をしたんだ…)
綾乃「…遅いわねぇ」
結衣「…そうだね」
結衣(遅いって、やっぱり京子のことかな)
結衣(あかりやちなつちゃんだってわかってるだろうし)
結衣(京子は…京子はわかってるのか?)
京子「んぬぬぬ、勇気出せよ結衣いい」
千歳「…」
京子「ちょっとー千歳まで黙っちゃわないでよー」
千歳「…いきなりこんなこというのもあれやけど、うちなぁ」
京子「うん」
千歳「歳納さんと船見さん、てっきりデキてるんやと思ってたわ。ちょっとだけ」
千歳「まあそういうことやな」
京子「…」
京子「まァ、さ。こういうこと言うと、なんかナルシストみたいでアレだけど」
京子「綾乃が私のこと好きってことぐらい、流石に私もわかってるんだよ」
千歳「え」
京子「はぁぁぁぁそうだよねぇぇぇぇ。千歳も私達絶対付き合ってるって思うよねぇぇぇぇ」
千歳「ど、どないしたん…」
京子「そりゃあ言葉にしたことはないけどさぁ、私結衣のこと好きだったし、結衣も私のこと好きだと思ってたよ。っていうかもう付き合ってるつもりだったよ」
京子「なのにこれは……どういうことだよぉぉ結衣ぃいいいい」
千歳「なんと」
京子「そんな風に言われて協力を請われたら断れないじゃんかよぉぉぉ」オロオロ
京子「うううううう結衣ぃぃぃいいい」ボロボロ
千歳「ちょ、歳納さん、バレてまうて、バレてまうて。ここ押入れやで」
結衣「それって京子のこと?」
綾乃「えっ?」
結衣「来るのが遅いって、さ」
綾乃「ま、まあ…千歳は来るの昼頃のはずだしね?」
結衣「……そんなに京子が気になる?」
綾乃「えっ?」
結衣「そんなに京子の事が気になるの? 綾乃」
綾乃「ふ、船見さん?」
綾乃「!? それってどういう…」
結衣「今日の焼肉パーティさ、私が綾乃と二人っきりになりたいからって考えたものだって言ったら」
結衣「綾乃、どうする?」ズイッ
綾乃「え?え?」
結衣「綾乃…」
綾乃「ふ、船見さん? あの、ちょっと近い」
結衣「軽蔑されるかな? 誘うのにもわざわざ京子を利用して…綾乃の気持ち、知ってるのにさ」
綾乃「え、あ、あ、え?」
結衣「それでも私は」
綾乃「…ふなみ、さ」
京子「うおおおおおおおおおおおん!」
結衣「…」ビクッ
綾乃「!? これ…歳納京子の声?」
結衣(……)
結衣(う、うわああああああ! そういえばタイミングよく合流するために押入れに隠れててもらってたの忘れてた!)
結衣(告白するとしても夜の予定だったのに! 見られてたのかと思うと……!)カァァ
綾乃「…泣いてる?」
結衣「えっ?」
綾乃「……え」
結衣「……な」
京子「結衣ぃ!結衣ぃ! 綾乃と、幸せにねぇえええええ!」シクシク
京子「うぇぇぇん!」ボロボロ
結衣「きょ、京子?」
綾乃「」ポカーン
綾乃「」(気絶)
結衣「…」
千歳「あちゃあ…まさかこうなるとは」
結衣「千歳」
千歳「修羅場になるかもしれんとはおもっとったけど、まさか歳納さんがなぁ」
結衣「……京子」
千歳「とりあえず綾乃ちゃんを寝かせたげよ」
結衣「う、うん」
綾乃「…」ボーッ
結衣「…」
京子「…ふーっ」
千歳「落ち着いた?」
京子「…まーねっ」
結衣「京子…」
結衣「…悪い」
京子「そんなんじゃ、綾乃と付き合ってからもうまくいかないよ?」
京子「まったくー。悲しい思いをさせるのは、私で最後にしてよね……ッ」
京子「……。これからは綾乃の彼女なんだから、さ!」
結衣「京子…」
京子「じゃ、私帰るね。幸せに」
結衣「待て、京子!」
結衣「……京子」
京子「ああ、もうここにも泊まりに来ないよ。だって彼女は綾乃だもんね」
京子「じゃあ、今度こそ」
結衣「京…」
綾乃「待ちなさい!歳納京子!」
京子「あ、綾乃?」
綾乃「一度しか言わないからよく聞いて。私はね、歳納京子、あなたが好きなの」
京子「……」
綾乃「あなたのことが好きなのよ! 歳納京子!」
京子「……」
綾乃「船見さん」
結衣「綾乃…」
綾乃「さっきあなた、好きって言おうとしたわよね? これが、私の返事よ」
結衣「京子」
京子「なにさ」
結衣「おまえもさっき、私に好きって言ったよな」
京子「…」
結衣「私は、綾乃のことが好きだ。これが私の返事」
京子「…」
綾乃「なによ、歳納京子」
京子「さっき私に告白してくれたよね」
京子「でも私は結衣のことが好きなんだ」
京子「これが私の返事」
綾乃「……そう」
結衣「…」
京子「…」
綾乃「……ぷっ」
結衣「ふふっ…」
京子「はははっ」
千歳「ええはなしやなぁー!」グッ
あかり『こうして、三人の修羅場は、互いが互いの告白を断り、均衡状態になることで収まりました』
結衣「ねえ、綾乃、ちょっといい? この問題なんだけど…」
綾乃「ああ、これ? ここはこうして…」
結衣「なるほど。ありがとう、綾乃」
綾乃「いえいえ、どういたしましてよ、船見さん」
結衣「ところでさ」
綾乃「なにかしら?」
結衣「…いつになったら結衣って呼んでくれるの? 綾乃」
綾乃「!? ゴホッゴホッ!」
京子「な、なぬううう! 抜け駆けは禁止だぞぉ結衣!」
千歳「いや、それは別に抜け駆けとちゃうんちゃう?」
京子「だったら結衣も私のこと京子たんって呼べよ!」
結衣「意味わからんわ」
綾乃「だ、だったら歳……いや、きょ、京子も私のこと、綾乃にゃんって呼びなさいよ!」
結衣「なっ!」
京子「いいだろう!その代わり結衣は京子たんな!」
結衣「なら綾乃の私のこと結衣様って呼べよな!」
京子「よぅし!決まりだな!」
千歳「今日もうちは豊作ですぅ」ダバダバ
おわり
お休み
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
象娘「まってー!」ドスンドスン
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328742520/
頼んだ
ニート「マジで!? どうせ生きてても意味ないし、最後に良い思いをしてやる」
ニート「フィギュアみたいな可愛い女の子とセックスしたい!」
悪魔「ふぃ…ふぃぎゅ…?なんだそれ」
ニート「フィギュア知らないのかよ…あの、ほらあれだ。彫像みたいな女の子のことだ」
悪魔「なんだ、そんな事なら容易い。そらっ」ボゥーン
ニート「おい」
悪魔「はい」
ニート「俺が願ったは『彫像のように可愛い女の子』だったはずだよな」
悪魔「はい」
ニート「じゃあこいつはなんだ!」
悪魔「えーっと…」
悪魔「『超・象のように可愛い女の子』?」
象娘「ニートさまぁ~」ドスンドスン
ニート「うわああああ!くるなあああ!!!」
ニート「ああ 家屋を破壊しながら追ってくる!しかも速い!」
巡査 「こらー!象をあやつって街を壊している者がいると通報があったが貴様かー!」
ニート「誰だよそんなでたらめな通報したの…」
悪魔 「ケケケ…」
ニート「貴様かー!!」
巡査 「えっ 射殺?マジで?」
ニート「なに巡査をそそのかしてんだよ!おまえは悪魔か!」
巡査 「よーし象使いの死刑執行!!動くなよ!玉が外れるからな!」
パン!パン!
ニート「うは やめろ撃つな!あぶねえ!」
象娘 「パオーン!!」
巡査 「ああ 象がさらに興奮している!うわー!鼻でしばかれる!!」
バシッ!!
巡査「ギャー!!」
巡査は吹っ飛んでいった!
ニート「まさか象娘おまえ…俺を助けてくれたのか?」
巡査「いててて…なにしろ象をけしかけてくる凶悪な奴でして…拳銃程度では役にたたんのです」
猟師「わかったワシにまかせろ。象使いより象をしとめるのが先だな 奴らはいまどこに?」
巡査「町のはずれの池沼にいます」
猟師は猟銃をとった。その銃身には無数の動物の刻印が彫られていた。
猟師「まさかこの銃に象の刻印を彫るとは思わなかったぞ…ククク」
象娘 「♪」
ニート「あはは 鼻で水をかけるのはやめろよ さすがに寒いってww」
象娘&ニート「キャッキャウフフ///」
悪魔「こいつらすっかり仲良くなってやがる…ケッ」
>>28
そういう名前の沼なんじゃないの
わからんけど
象娘 「♪」
デッキブラシで洗われて輝く象娘はこの世のものとは思えぬほど美しかった
ニート「お、おまえ よく見るとけっこう可愛いな…」
ニート「ん?なんだ急に険しい顔して どうした?」
猟師 「やばい隠れろ」
巡査 「これだけ離れているのにこちらに気がつくなんて…!」
猟師 「鼻のきく奴だ これは相当気合を入れてかからんと」
猟師 「大丈夫だ もうすぐやつらには隙が生まれる」
巡査 「え?なんで?」
猟師 「わからんか?奴らはいま発情期だ。もうすぐ交尾する。そこを狙う」
巡査 「こ 交尾!?はイ?だってヒトと象ですよ!?」
猟師 「こういうのは理屈じゃねえんだよ! 長年動物を見てきた俺にはわかる」
巡査 「よくわかりません あいつのささやきを聞くとあやつられそうになるんです
悪魔みたいな奴です」
猟師 「ふーむ 悪魔みたいな奴 か…」
悪魔 「おいおいいいからさっさとヤっちゃえよ!象娘もおまえのこと気に入ってるぞ!」
ニート「そうなのか?でも、ヒトと象だし…やっぱ色々まずいって…」
巡査 「だめだ こんなのワイセツ物陳列罪だ!」
猟師 「いいから見てろって こんなのめったに見られるもんじゃねえぞ」
巡査 「俺はこんなのいやだ!俺は俺のやりかたで法を守る!」
猟師 「ああ 巡査どっかいっちゃった…真面目なやつだなあ」
象娘の瞳もあやしく潤んでいる
悪魔 「いいぞ!やっちゃえやっちゃえ!」
ニート「お おまえはさっきの巡査!!」
悪魔 「チッ…いいところだったのに」
象娘 「チッ…」
巡査 「俺の管轄内で象との交尾など認めん!見ろ!おまえの両親を連れてきたぞ!」
ニート「な なんだと!!」
父 「おいおい おまえいつのまに象の彼女なんかつくったんだ?」
母 「たかしー!おねがいだからちゃんと働いてー!!」
ニート「と、父さん! うっせーババアどさくさにまぎれて痛いトコつくんじゃねー!!」
ニート「うるせー!誰にも俺たちの邪魔はさせない!!」
巡査 「どうしてもやめないというのなら 今からおまえの両親に交尾させるぞ!!」
ニート「ま マジかよ!?」
父 「わしはいっこうにかまわんけど…」
母 「お父さんたら…///」
父 「とりあえずやるか。たかし。いまからおまえの弟か妹つくるから見てろ」
母 「こんどはまともに働く子供に育てましょう」
ニート「やめてくれー!!これ以上俺を追い詰めないで!!」
母 「オーイエー!オーイエー!カモーン!!」
巡査 「おいおい けっこう激しいなあ」
ニート「ちきしょー!親のセックス見ちゃったよ!!もういい!俺もやる!!」
象娘 「///」
課長 「たかし君 今日も仕事がんばるなあ」
元ニート「えへへ なんといっても象二頭分稼がなくちゃいけないもんで…」
HAPPY END
もう一作くらい読みたい
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
古畑「ミルキィホームズ……?」
トイズには色々な種類があるそうです。
例えば五感強化のトイズ。んー、暗闇の中、美術品を盗むのに便利そうです。
怪力のトイズ。警察に囲まれても強行突破できるでしょう。
ダイレクトハック。どんなに強固なセキュリティもこれがあれば簡単に解除できます。
他には……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328625503/
古畑「ミルキィホームズ……?」
ネロ「僕の農場を……」
シャロ「わたし達の農場です!」
エリー「ひどい……」
コーデリア「許せないわ、怪盗帝国!」
四人「ミルキィホームズ、出動です!」
ストーンリバー「お前たち、何だそれは!?」
ラット「探偵服に着替えるんじゃないのかよ!?」
20「ぴぎゃあああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
――ドスバスゴスボスバキッ!
シャロ「わたし達の農場を荒らすなんて、怪盗だからってひどすぎます!」
コーデリア「お花~……私のお花……」
エリー「ナスさん……キュウリさん……」
シャロ「……あ」
ネロ「どうしたのさ」
シャロ「た、大変です……ラビットさんが息してません!」
エリー「あ……他の二人も……」
ネロ「ちょっとちょっと、じゃあひょっとして僕たち……」
エリー「怪盗帝国の三人を……」
シャロ「殺しちゃったってことですかぁ!?」
コーデリア「ひいぃっ!!」
夜が明けたら騒ぎになって警察が来て
私たちの手には冷たい手錠がかけられて
暗くて狭い牢獄に閉じ込められて
世間からは人殺しと後ろ指を指されて失意と悲しみの中
孤独に埋もれて眠るように死んで行くのよー♪」
シャロ「そんな……そこまでするつもりは無かったです……」
エリー「……ぅぅ」
ネロ「ねぇ……ちょっと待ってよ」
シャロ「?」
ネロ「これってさ、悪いのは怪盗帝国の奴らじゃない?」
エリー「ネロ……?」
シャロ「わたし達の農場ー」
エリー「それで……どうするの……?」
ネロ「僕たちは何も関係ない。そういうことにしちゃおうよ」
シャロ「ええー!? でもでも、それはー」
ネロ「じゃあシャロはこのままみんな逮捕されちゃってもいいの?」
シャロ「う、それは……」
エリー「でも……ここは私たちの農場だから……無関係って言っても……」
シャロ「そうですよ、信じてもらえないかも知れないですー」
ネロ「あーもう、だからそれどうにかする方法をこれから考えるんじゃないか!」
ネロ「コーデリアも歌ってないで真面目に考えてよ!
何かないの、僕たちが疑われずに済む方法ーっ」
コーデリア「そうだわ、死体を別の場所に運べばいいのよ!
そうすれば私たちが疑われることはないわ!」
ネロ「でももうすぐ明るくなるし、三人もどこかに運ぶのは難しいんじゃない?」
シャロ「あ、じゃあじゃあ、こうするのはどうでしょう」
ネロ「……うーん、いいかも知れないけど、それだけじゃあ……」
エリー「……ならアリバイを……朝になったら……」
ネロ「おっ! いいじゃん、それだよエリー! それで行こうっ!」
本当に・・・
コーデリア「おはようございます会長!」
会長「あら、今日は早いのですね」
エリー「……ぉ、おはようございます」
会長「おはようございます。他の二人は?」
コーデリア「あ、すぐに来ると思います」
会長「そうですか。何にせよ早起きはいいことです。これを機にあなた方も――」
ドオオォォ―――ンッ!!
会長「!! これは……爆発!?」
シャロ「すごい音がしたですー!!」
コーデリア「外からだわ、行ってみましょう!」
エリー「はい……っ」
シャロ「私たちも行くですー!」
会長「あ、お待ちなさいミルキィホームズ!」
会長「これは……!!」
コーデリア「私たちの農場が……」
ネロ「僕の農場ー……」
シャロ「わーっ! ごぼ天が燃えてるです!!」
エリー「あ……あれ……」
コーデリア「大変よ! 人が倒れてるわ!」
ネロ「それも三人も!」
会長「あの三人は……そんなまさか!」
警官「ご苦労様です」
今泉「あ、古畑さん! こっちです、こっち」
古畑「いやー、今日は日差しが強くて暑いねー。
で、ここの敷地内で爆発だって?」
今泉「はい、森の奥の農場が現場です」
古畑「ここ、探偵学院でしょ。なんで農場があるの」
今泉「さあ……お腹を空かせた生徒が勝手に作ったとか」
古畑「また君はも~、どこの世界にそんな学生がいるの」
今泉「あ痛、額をはたかないでくださいよ古畑さん」
古畑「それにしてもさ~、なんか我々、生徒から歓迎されてなくない?
周りにいる学生見ると、そんな空気感じるんだけど」
今泉「あ~、警察と探偵って仲悪いらしいですからね。
ほら、怪盗に対する捜査権限がどうとかで。
だから僕たちも嫌な目で見られるんじゃないですかね」
古畑「私が嫌われてるんじゃないよ、君が嫌われてるんだよきっと。
じゃ、現場案内して」
今泉「はい、こちらです」
古畑「あ~あ、こりゃひどい」
今泉「野菜が焼けるいい匂いがしますね」
古畑「私、お腹すいてきちゃったよ。帰り中華街によって行こうか」
今泉「いいですね、何食べます?
酢豚、回鍋肉……チンジャオロースもいいな」
古畑「今泉君、あれが?」
今泉「はい、ガイシャです。ご覧になりますか」
古畑「一応。三人もいるんだ……あー、こりゃひどい。
中華街はやっぱり無しにしよう。
ガイシャの身元は?」
今泉「えー、正式な確認がとれたわけではないんですけど、
第一発見者によると怪盗帝国に所属する怪盗ではないかと言うことです」
古畑「怪盗……ホトケさん怪盗なの?
なら私の出る幕ないよ私トイズ持ってないんだから。
探偵かG4に任せて、中華街で酢豚食べて帰ろう」
今回の事件はトイズとか関係なさそうですよ。
怪盗の一人が持ち歩いている爆弾が爆発したみたいで」
古畑「そうなの?」
今泉「ええ。状況から考えると、死んだ三人の怪盗はこの農場に侵入して、
そこでラットっていう怪盗の持っている爆弾が爆発したみたいです。
それで三人とも爆発に巻き込まれ、農場も爆風でメチャメチャになったんじゃないかと」
古畑「んー、なんで怪盗が農場に侵入するの。
怪盗って言うより野菜泥棒だよそれじゃあ」
今泉「さあ……」
古畑「あ、今泉君さ、足元のそれ何?」
今泉「え? これは……トマトですかね」
古畑「潰れてるね」
今泉「潰れてます。爆発のせいかな」
古畑「いやでもさ~、なんか足で踏みにじったような感じじゃない?
爆発でこんな風になるかなあ」
今泉「はい」
古畑「爆発に巻き込まれた怪盗の中に、剣とか刀とか使う怪盗いない?」
今泉「えーと……はい、いますね。ストーンリバーって言う怪盗がそうです。
え、古畑さん。なんで分かったんですか?」
古畑「ここ見て。何に見える?」
今泉「……トマトの木」
古畑「ここの枝のところさー、なんか変じゃない?
スパッと切れてるの。
爆発でこんな風になるかなあ」
今泉「確かに……どういうことなんでしょう」
古畑「んー……はい、どういうことなんでしょう。
そう言えばさ、ガイシャの死因は確定してるの?」
今泉「は、状況から見て爆発に巻き込まれたからと思われます」
古畑「解剖に回しておいて。
特に、爆発前に傷を負っていなかったか確認を」
今泉「は」
古畑「はい?じゃなくてさ。何か踏んづけてるよ」
今泉「え? あ、本当だ」
古畑「ちょっと足上げて。足」
今泉「はい!」
古畑「ん~……」
今泉「あ、これ。さすが探偵学院ですね」
古畑「何でこんなところに落ちてるのかなあ。
鑑識に調べるよう伝えておいて」
今泉「はい」
会長「……」
コンコン
会長「はい」
古畑「どうも、この度はとんだことで……
あ、私、古畑と申します。どうぞよろしく」
会長「古畑さんですか……私は当学院生徒会長のアンリエットです」
古畑「いや、そのー、アンリエットさん随分ショックを受けていらっしゃるようで。
まあ学院の敷地内に怪盗が侵入した上にこの騒ぎですからお気持ちは分かりますが、
もしかして爆発に巻き込まれた怪盗とは面識がおありで?」
会長「……はい、ありました。
彼らは怪盗と言っても独自の美学を持った、探偵たちの良きライバルでした。
それが、なんでこんなことに……」
古畑「お察しします」
このようなことになったみたいですが、
これは事故なのでしょうか……」
古畑「いえ~……今はまだ何とも。
それであの、辛いこと思い出させてしまうようで大変申し訳ないのですが。
現場を発見された時のことをお聞かせ願えませんでしょうか」
会長「分かりました……。
朝、寮でミルキィホームズと会った時に外から爆発音がして……
彼女たちと一緒に爆発音のした方に行ってみると、あの有様で……」
古畑「あれ、お待ちください。ミルキィホームズと言うのは?」
会長「当学院の探偵チームです。
数か月前にはヨコハマを救ったこともあるのですが、
ある日を境にトイズを失ってしまってからはダメダメで――」
古畑「んー、と言うことはアンリエットさんが現場に行ったとき一人で行ったわけではなかった?」
会長「ああ、私としたことが大事なことをお伝えしていませんでした。
申し訳ありません、気が動転していて。
確かに、私が農場に行ったとき、ミルキィホームズも一緒でした」
古畑「なるほど。
お手数ですが、ミルキィホームズについて詳しく教えて頂けますか?」
今泉「古畑さん、解剖の手配しておきました!
あと、さっき拾ったものも鑑識に」
古畑「ご苦労様。
次は学生寮に行こう。ミルキィホームズに会いに行くよ」
今泉「ミルキィホームズって、あのミルキィホームズですか?
うわぁ、感激だなぁ♪」
古畑「知ってるの?」
今泉「知ってるも何も、有名人じゃないですか。ヨコハマを救ったことだってあるんですよ!
え、古畑さん知らないんですか?」
古畑「いや、知らないわけじゃないよ。
君が知ってるかどうか確認しただけだよ。
で、どんなチームなの?」
今泉「ゴールデンハーフみたいな女の子四人組のチームです。
まあ何か今はダメダメらしいですけど」
古畑「ダメダメ同士お似合いじゃない。今泉君も入れてもらったら」
今泉「ちょ、古畑さ~ん!」
シャロ「今のところ私たちは疑われていなさそうですね(はぐはぐ)美味しいですぅ~」
ネロ「偽装工作が上手く行ったね(むしゃむしゃ)美味しいよぉ~」
エリー「……ええ……(はむはむ)美味しい……」
コーデリア「でも、まだ油断はできないわ!(がぶがぶ)美味しいわ~」
ネロ「そうだよ、警察が僕たちのところにも来るかも知れないんだからさ。
でも、僕たちは今回の件には何の関係もないんだからね。
昨日は早く寝て、今朝会長に会うまでこの部屋からは出なかった。いい?」
シャロ「はいです!」
エリー「それに……農場から回収できませんでした……」
ネロ「しょうがないだろ、見つからなかったんだからさ!
きっと、爆発で遠くに飛ばされちゃったんだよ」
――コンコン
コーデリア「ひぃ!」
シャロ「どうぞですー!」
ネロ「ちょっとシャロ、いきなり……」
古畑「あのー、お邪魔します。警察の古畑と申します。後ろのが今泉。
こちら、ミルキィホームズのお部屋で?」
コーデリア「はい、ミルキィホームズです!」
古畑「んふふふ、あ、皆さんお食事中でしたか。
んー、おいしそうなチキンだ」
シャロ「あ……、はい、古畑さんもどうぞ」
古畑「え、いや、そんなつもりで言ったんじゃ……
困ったな、悪いですよそんな……その……じゃ、おひとつ頂きます。
んー、美味しいですねこのチキン」
よろしくお願いします!」
エリー「……G4……」
ネロ「あいつらって刑事なの?」
シャロ「古畑さんは難事件を解決したすごい刑事さんなんですか?」
古畑「え、いや私なんてそんな。んふふ。
あ、SMAP逮捕したの私なんです」
シャロ「SMAP??」
ネロ「何それ、おいしいの??」
エリー「ぇ……」
シャロ「イチロー???」
ネロ「なんだか平凡そうな名前だけど」
エリー「ぇぇ……」
古畑「他には二葉鳳翆も私が逮捕しました」
コーデリア「ええ!? 由緒ある華道の流派、二葉流から独立して
踊りと華道を融合させた斬新なフラワーアレンジメントを始めた
あの二葉鳳翆をっ!!」
ネロ「コーデリア知ってるの?」
シャロ「じゃあ名刑事さんです! すごいすごい!」
エリー「――!?」
古畑「んふふふ」
古畑「ああ、そうでした。
えーと……、あ、皆さんお名前……」
シャロ「シャーロックです」
古畑「どうも、よろしくお願いします」
今泉「ゴールデンハーフで言うとマリアのポジションですね」
ネロ「僕はネロ。よろしく」
今泉「ゴールデンハーフで言うとエバのポジションです」
古畑「いいよ一々ゴールデンハーフで例えなくて。君ちょっと黙ってなさい」
エリー「ぁの……エルキュールです……」
古畑「あぁ、すいません、このタコがうるさくて」
コーデリア「そして私は~♪ ジャンヌ・ダルク!」
ネロ「コーデリアの言うことは気にしなくていいよ。
で、僕たちに何の用?」
皆さん、アンリエット生徒会長と一緒にあの現場まで行ったとか」
シャロ「はい、行ったですー」
古畑「ちなみに、あの農場は皆さんの農場と聞きましたが」
ネロ「うん、そうだよ」
シャロ「トマトを育ててるです」
エリー「ナスさんと、キュウリさんも……」
コーデリア「お花~♪ 私のきれいなお花~♪」
古畑「うーん、色々育てていらっしゃったみたいだ。
こんなことになってしまって、その、残念でした」
ネロ「まあね。せっかく野菜が実をつけるようになったのにさ」
シャロ「う~……トマトさん……」
古畑「ちなみに、爆発に巻き込まれた三人……怪盗帝国のことはご存知ですか?」
エリー「……」
エリー「でも……私たち、トイズを失くしたから……」
ネロ「そ、トイズが無くなっちゃってからはまともに対決もできなくなってさ」
古畑「そうですか。それは何だか悪いことを聞いてしまいました、申し訳ない。
ちなみに、個人的な興味からお聞きしたいんですが、皆さんどんなトイズを持ってらしたんですか?」
ネロ「あー……それは」
シャロ「私は……サイコキネシスが使えました。
と言っても軽いものしか動かせなくて、目に見える範囲限定なんですけど」
古畑「なるほど、サイコキネシス」
ネロ「僕はダイレクトハック。
触っただけで機械を操作できる」
エリー「私は……ぁの……」
ネロ「エリーはトライアセンド。平たく言えば怪力。ついでに硬化と重量増加」
コーデリア「ああ、見えるわ……私の周りのお花畑ーっ!」
ネロ「で、コーデリアがハイパーセンシティブ。五感強化」
古畑「なるほど。ありがとうございます。
いや、皆さん、探偵向きの良いトイズをお持ちだ」
古畑「まあでも、トイズが使えなくても皆さんは探偵なんですよね?
んー、ふふふ、その、恥ずかしながらお知恵をお借りしたいのですが」
エリー「ぇ……」
古畑「いやその、事件現場は探偵学院の敷地内ですし、巻き込まれたのも怪盗ですから。
ここは一つ、探偵である皆さんの意見を伺いたいな、と。
率直に言って、今回の爆発事件……どうして起こったと思いますか?」
エリー「その……それは……」
ネロ「探偵として僕の推理を言うなら、これは単なる事故だね」
エリー「ネロ……」
ネロ「怪盗帝国にはラビットって怪盗がいてさ、そいつはいつも爆弾を持ち歩いてるんだよね。
その爆弾に間違って火がついて爆発。三人は巻き込まれたんじゃない?」
ネロ「間違いなく偶然だね。
だってさ、あそこは僕たちにとっては大切な農場だけど、他の奴から見ればただの畑だよ?
怪盗帝国があの農場に用があったとは思えないよ。
例えば、どこかに向こう途中たまたま通り道にあの農場があったとかじゃないかな。
ねえ、おじさんもそう思わない?」
古畑「いえ、思いません――」
ネロ「何でさ?」
古畑「あの農場では野菜が踏み荒らされた跡がありました。
他には木を刀で斬った跡も。両方とも爆発ではああいう風にはなりません。
つまり、あの農場では爆発が起こる前に争いがあったと言うことになります」
ネロ「……」
その痕跡を爆弾で吹き飛ばしたということになります。
つまり、農場で争いがあったことを知られると疑われるかも知れない人物。
あの農場の関係者という線が強い!」
エリー「……」
古畑「さらに犯人は――いや、犯人と言うよりは犯人たちと言うべきでしょう。
怪盗帝国は手練れの怪盗のグループと聞きました。
単独で勝てるとは思えない、きっと複数犯です。
探偵学院の敷地内で起きていることから、探偵のチームであるという可能性が極めて高い。
そう言えば、探偵と言うのは基本的に個人主義者で、
チームを組んでいる探偵と言うのは珍しいとアンリエット生徒会長から聞きました。
容疑者はかなり絞られるはずです」
シャロ「すごい推理です、名探偵みたいですー!」
ということはひょっとすると、犯人たちの中には
高い破壊力を誇るトイズを持っている者がいなかったのかも知れない。
あるいはトイズ自体全く使えないのかも知れません」
コーデリア「うふふふふー、お花、お花が見える~♪」
古畑「んーふふふふ。総合するとですね。
犯人はあの農場の関係者でチームを組んでいるトイズの使えない探偵たちと思われます。
皆さん、心当たりはありませんか?」
ネロ「あのさー、おじさん。もしかしなくても僕たちのこと疑ってるよね?」
古畑「いえいえ、とんでもない!
あ、参ったな。そんなつもりでは……
お気を悪くさせたならすみません」
ネロ「なんだよ、白々しい。
でもさ、僕たちが何かしたなんてありえないよ」
エリー「絶対に……不可能な理由があります……」
古畑「んー、伺いましょう」
ネロ「そもそもラビットが持ち歩いている爆弾はさ、アイツのトイズを使って着火するんだよね」
ネロ「そう、トイズを使って火を着けるの。
逆に言うと、爆弾自体は爆薬と導火線だけのシンプルなやつでさ、
着火装置も時限装置も着いてないんだ。
ラビットにとってはそれでも、好きな時に起爆できるからね」
嘘だと思うならアンリエット生徒会長に確認してもらってもいいよ」
エリー「私たちには……爆弾に火を着けることはできないです……」
ネロ「あの爆弾にラビット以外の奴が火を着けようとするならさ、
導火線に直接を火を着けるしかないんだ。
でもそれだとすぐ爆発しちゃうから、自分の近くでなきゃ爆破できないんだよね」
古畑「んーふふふ、随分お詳しいですね」
で、ここからが重要なファクターなんだけどさ」
エリー「爆発が起きた時、私たちはアンリエット生徒会長と一緒にいました……」
ネロ「いい、おじさん?
僕たちは四人ともアンリエット生徒会長と一緒にこの学生寮にいたんだ。
で、爆発は森の奥の農場で起きているの。
だから僕たちにはあの爆発を起こすことはできないってわけ。
わかる?」
古畑「はい、わかります。
んーふふふ、いや、だから私、皆さんのことを疑っているわけでは」
エリー「……」
皆さんにはアリバイがあるって」
ネロ「本当に分かってるの~? 怪しいなー」
古畑「いや、分かってますよ。
普段皆さんは部屋に籠って授業にも出ず誰とも顔を合わせないのに、
今日……それも爆発が起きた時間帯に限ってアリバイがあるんですよね?
いや、本当に皆さんラッキーでした。
これは重要なファクターだと思います」
ネロ「……っ」
古畑「そろそろ行こうか、今泉君。
それでは皆さん、長々とお邪魔しました。
ご協力ありがとうございます。
また後で、お会いしましょう」
今泉「ちょっと、古畑さん!
本気でミルキィホームズ疑ってるんですか?
だってミルキィホームズですよ、ミルキィホームズ。
あの子たちが犯人なわけないじゃないですか」
古畑「今泉君さ、解剖の結果ってまだ出ないかな。
ちょっと電話して確認してみてくれる?」
今泉「え、流石にまだ結果は出てないと思いますよ。
頼んだのさっきだし」
古畑「んー、爆発が直接の死因かどうかだけでもいいんだよ。
何とかならない?」
今泉「ちょ、そう言われても……
古畑さ~ん!」
ネロ「あの刑事さんさあ、完全に僕たちのこと疑ってたよね……」
シャロ「え、でも『そんなことはない』って言ってましたよ?」
ネロ「皮肉に決まってるだろ!
絶対の僕たちのこと疑ってたよ」
コーデリア「もうダメよ……おしまいよ……
私たちは逮捕されるんだわ……
そして裁判にかけられて火あぶりにされるのよ……」
ネロ「うるさいなもー! ネガティブなことばっかり言うなよ!
そんな簡単に捕まるもんか!」
エリー「……アリバイ……」
ネロ「そうだよ、僕らにはアリバイもあるんだしさ。
コーデリアは心配しすぎ!」
シャロ「そんなことよりお腹すきました!」
コーデリア「そうね! 腹が減ってはなんとやらだわ!
ご飯食べに行きましょう!」
――オハヨー♪ オハヨー♪ ここにいるよー♪
古畑「今泉君さあ、何なのこれ?」
今泉「ミルキィホームズのプロモーションビデオですよ。
これだけ人から愛されているミルキィホームズが犯人のわけないじゃないですか」
古畑「あ、G4も映ってる」
今泉「あ、小衣ちゃんだ。
小衣ちゃんってIQ1300もあるらしいですよ。
古畑さんより頭いいんじゃないですか」
古畑「えー? IQ1300とか言ってる時点で頭悪そうだよ」
会長「あの……」
古畑「あ、すまいせんテレビお借りして。
うちの今泉があのビデオをどうしても見せたいと言うもんですから」
それよりも、ミルキィホームズを疑ってらっしゃる?」
古畑「いえいえ、んーふふふ」
会長「確かにミルキィホームズは怪盗帝国と敵対関係にありましたが、
トイズを失ってダメダメダメな今の彼女たちがそんなことをできるとはとても思えません」
古畑「いやーどうでしょう。
私の部下にもダメダメダメダメな奴がいますが、そんな奴でも思いがけず役に立つことがあります。
逆に言うなら、普段ダメダメダメダメダメな人間であっても、思いもかけない犯罪を行うことが……」
会長「それは……」
古畑「んー、失礼しました。余計なことを。
ところで、アンリエット生徒会長にいくつかご確認したいことがあるのですが」
会長「……どうぞ。
私でお答えできることでしたら」
着火装置も時限装置もついていないという話を聞いたのですが、
これ、間違いありませんか?」
会長「はい。炎のトイズを使って起爆するので、そういうシンプルな構造のものだったと記憶しています」
古畑「なるほど、ありがとうございます。
それと、貴女が聞いた爆発音なんですが、
それ本当に農場で爆発が起きた音だったんでしょうか?」
会長「と言いますと?」
古畑「えー、例えばですね。
録音された爆発音をスピーカーで流したものだったとか、
別の場所で起きた爆発の音だったとか」
スピーカーで再生した音なら気づくと思いますし、
それに農場に駆け付けた時、辺りには熱気が漂っていました」
古畑「んー……そうですか。
あ、ご協力ありがとうございました」
会長「いえ……」
今泉「古畑さん! こっちきてビデオ見ましょうよ」
古畑「もういいよ、さっき見たよ」
今泉「今度は別のビデオなんですよ。ささ、古畑さんもどうぞ」
今泉「やっぱり小衣ちゃんはかわいいな~」
古畑「……!」
今泉「ねえ古畑さん、小衣ちゃんかわいいですよね」
古畑「今泉君! これもう一回最初から再生して」
今泉「え? はい」
古畑「……ありがと。そのまま見てていいよ。私はちょっと失礼」
古畑「えー、今回の事件の犯人がミルキィホームズであることは疑いありません。
今のところ具体的な証拠はないのですが、それはなんとかするとしましょう。
ここで私から問題です。
彼女たちはどうやって爆弾を爆発させたのか?
ヒントは、今泉君が見ているビデオ。
もうお分かりですね?
古畑任三郎でした」
,:='゙ `ヽ、_
,:'゙ ヽ,
ノ `:、
;′ ヽ.
} _.,... -ー- .._ `:、
ノ r''''"´ `ヽ, }
} { i. /^′
,} ,:彡 | /
{ ,.イ´ j: i_,,. -ーt′
} /~"ニフ {. /二ニニィ {フ=ニ、ト、
j | {// ,i' ,ヘツ_>'/ : ド=’イ | ヽ 古畑任三郎でした。
'; |`<''/ { 丶 ̄ ./ |、 ルリ
〉 \イ,.,.、冫 l.、 |
l、 \,,ハ. /` 丶 :},)|
ヽ、 ,ハ ヽ / ` ‐⌒ー ' , |‐- .._
>'i \ ヽ. , ‐--ー一 ''゙!丿 \
,/l ヽ \ 丶、 `"二´ ,' | ト、
ノ | ヽ. 丶、 `ヽ、 ___ノ |. | |
古畑「えー、マッチ、ライター、チャッカマン、虫眼鏡……こんなもんでいいかな」
ガチャ
シャロ「あ、古畑さん!」
ネロ「ちょっとちょっと、何でおじさんが僕たちの部屋にいるのさ?」
古畑「ん~ふふふ。申し訳ありません。
アンリエット生徒会長にお願いして入れて頂きました」
エリー「何の用……ですか?」
古畑「えー、皆さんにご報告したいことが。
死因だけ取り急ぎ調べてもらったんですが、
例の怪盗の三人組、やはり爆発で死亡したわけではありませんでした。
つまり、爆発が起きる前に死亡していたということになります」
ネロ「へー、それで?」
古畑「えー、実際の死亡推定時刻は日の出前から朝にかけてとなります。
ちなみに、皆さんその時間は何をしていらっしゃいました?」
シャロ「寝てましたー」
皆さんいつも早朝は農場で農作業をされていると聞きました。
今朝はどうして行かなかったんですか?」
ネロ「寝坊したんだよ。悪い?」
古畑「えー、先ほども言った通り、農場は爆発前に荒らされていました。
犯人は……犯人たちはですね、朝、農場に行ったら畑を荒らす怪盗たちと出くわしたんでしょう。
そこで争いになり、勢い余って殺してしまった」
コーデリア「想像だわ」
古畑「犯人は……皆さんですね?」
シャロ「って、なんでですかー」
古畑「死体には爆発で負ったもの以外の傷も複数確認されています。
凶器はおそらく農作業用具ですね?
調べれば殺害に使われた痕跡が見つかるはずです」
ネロ「はいはい。
じゃあ百歩譲ってそうだったとしてさ、
僕らがやったって言う証拠はあるの?」
指紋が出るでしょう」
ネロ「それが何? 僕らの農具に僕らの指紋が付いていたからって何がおかしいわけ?
それにさ、おじさん大切なこと忘れてるよね」
エリー「アリバイ……」
ネロ「さっきも言っただろ。
爆発が起きた時、僕ら四人は会長と一緒にいたんだ」
古畑「四人? いえ、二人でしょう。
アンリエット生徒会長に確認を取りました。
爆発が起きた時、一緒にいたのはエルキュールさんとコーデリアさんの二人だったと。
ネロさんとシャーロックさんは爆発が起きた後に会長の前に来たそうじゃないですか」
ネロ「もう、細かいなあ。
後から来たって言ってもすぐだよ、10秒も経ってなかった」
エリー「農場で爆発を起こして戻ってくるのは無理です……」
爆発が起きる直前、離れた場所から爆弾に火をつけたんですよ」
ネロ「そんなのどうやったって言うのさ」
古畑「はい。えー、窓を開けます。あちらをご覧いただけますか?
農場が見えます。皆さんにも見えますね?
どうですか、シャーロックさん」
シャロ「はい、見えますー」
古畑「はい、どうも。
ところで、シャーロックさんのトイズは念動力。
見える範囲にあるものを動かせる……そうでしたね?」
シャロ「はい……あ、でも動かせるのはほんの軽いものだけで」
古畑「えー、ほんの軽いものだけ。それで充分なんです。
重いものを動かす必要はありません。
農場に火を付けるための道具を置いておいて、ここから念動力で動かせばいいんです。
それを使ってここから爆弾に着火したんです」
爆弾に火を着けた道具が農場で発見されたんですよ!
はい、こちらです。
爆発のせいか少し土に埋もれていました。現場から回収できなかったのは致命的でしたね。
普通ならこんなものが農場に落ちているはずがない!
つまり、さきほど説明したトリックが実際に使われたということです。
いかがでしょうか?」
ネロ「あのさーおじさん、大事なこと忘れてない?」
古畑「はい?」
エリー「私たちは……トイズが……」
コーデリア「そうよ! 私たちはトイズが使えないのよ!」
古畑「え、何? トイズが使えない?」
ネロ「そうだよ。さっきの僕たちの話聞いてなかったの?」
シャーロックさんのトイズを使えば、遠くから爆弾に火を着けることができたんですよ?」
ネロ「だからさー、そんなもの何の証拠にもならないんだよ。わかる?
トイズが使えないんだからシャロがその虫眼鏡を動かすこともできないの。
僕らがトイズが使えないって言うのが嘘だと思うなら、会長に確認して貰っても――」
古畑「何? 何を動かせないですって?」
ネロ「だからその虫眼鏡を――」
エリー「……ネロ!」
古畑「はい、エルキュールさんは気付かれましたね。
もう結構です、ありがとうございました。
皆さんがトイズを使えないことはアンリエット生徒会長に確認済みです。
今さら確認する必要はありません。んーふふふ。
それよりもネロさん」
ネロ「……何」
古畑「今あなた虫眼鏡とおっしゃいましたね?
私は火をつける道具としか言っていないんですよ。
それなのになぜあなた、それが虫眼鏡だと思ったんですか?」
古畑「皆さんがトイズを使えないのは確かです。
ですからシャーロックさんが遠くから道具を動かすという手は使えません。
となると予め現場にセットしておけて、時間が経つと火がつくような道具を使う必要があります。
今日は日差しが強い。木の枝か何かに虫眼鏡を固定しておいて、
爆弾の導火線に焦点が合うようにしておけば、時間差で火をつけることができたでしょう。
実際、虫眼鏡も現場から発見されています。
しかしですね、私は現場から発見されたのは虫眼鏡だとは一言も口にしていないんですよ」
ネロ「ちょっと待ってよ、ペテンだよこんなの!
だって、これみよがしにそこに置いてあったじゃないか!」
古畑「はい、確かにここには虫眼鏡が置いてありました。
しかし、隣に置いてあるこれは何でしょうか?
そう、ライターです」
ネロ「……」
古畑「さらにその隣にはマッチもあります。反対側にはチャッカマンも。
私の言いたいことお分かりですか?
ここには火をつける道具がいくつも置いてあるのに、あなたは私が見つけた証拠品をはっきり虫眼鏡と言ったんです。
マッチやライターと違い、普通は虫眼鏡を火をつける道具とは言いません。
なぜ、虫眼鏡だと思ったのか――納得の行く説明をして頂けるとありがたいのですが」
ネロ「……それは」
ネロ「コーデリア!」
コーデリア「私たちも探偵でしょう。謎が暴かれたら、それで終わりにするべきよ」
エリー「……」
ネロ「でも……でも……」
コーデリア「大丈夫よ、例え逮捕されても、私たちはみんな仲良しミルキィホームズよ!」
シャロ「それに、刑務所の中なら食べるものには困りませんよ!」
ネロ「……そうだね。農場もなくなっちゃたし、ちょうどいいか……」
コーデリア「古畑さん、行きましょう」
古畑「はい」
――おしまい
乙
しかしあっさりしてるwww
皆さんは、トイズを持っていたらどんなことに使いますか?
炎のトイズ……煙草に火を着けるのに使えそうです。
変身のトイズ……髪をフサフサにできるなあ。
幻惑のトイズ……髪をフサフサにできるなあ。
他には……」
桑原「お疲れ様でした。
今日はヨコハマの探偵学院に行ってきたんだって?」
今泉「うん」
桑原「どうだった?」
今泉「可愛い女の子がたくさんいた。
俺も警察なんかやめて……探偵になろうかな。
それで古畑の奴、ぎゃふんと言わせてやるんだ」
桑原「ちょっとアンタねえ……
探偵になるって言っても、トイズがなきゃなれないよ。
持ってないでしょ、トイズ」
桑原「ん? どうしたの右手で左手の親指を握って……」
今泉「親指が外れるトイズ」
桑原「えー? 今どき小学生でもそれはないでしょ」
今泉「ダメかな?」
桑原「ダメダメ。なんでそんなドヤ顔ができるの」
今泉「本物の探偵じゃなくても良いんだよ!
せめて何かトイズっぽいことでもやりたいんだよ!」
あ、じゃあこんなのどう?」
今泉「何?」
桑原「これから貴方の過去を当てて見せます」
今泉「え?」
桑原「あなたの身近に、大きな影響を与えた人物がいますね」
今泉「ええ!? 当たってる!!」
桑原「その人は、かなり年配の人物です」
今泉「当たってるよ!! 俺、おばあちゃんの影響をすごく受けたもん!」
桑原「どう?」
今泉「え、何? どうやったの?」
桑原「これはね、誰でも当てはまることを言ってるのよ。
人間誰でも多少は他の人の影響を受けてるでしょ?
影響を与える人はたいてい年輩だしさ」
今泉「なるほど! えへへへ」
どこにかけるの?」
今泉「へへへ、古畑の奴をこれでぎゃふんと言わしてやるんだ」
桑原「え、古畑さん!?」
今泉「古畑の奴びびるだろうな~、えへへへへ」
桑原「あのー、今泉さん?」
今泉「何?」
桑原「あのさ、ヒジョーに言いにくいんだけど……
今のやつ、古畑さんに教えてもらったんだよね」
今泉「……!」
今泉「……」
桑原「……」
今泉「うわああああん!」
桑原「…………」
―――おしまい
良かった
そしてエリーペロペロ
アニメ版ミルキィに悲しい後日談など存在しない
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ ミルキィホームズSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
亜美「あずさお姉ちゃん!今日も絵本読んでYO→!」
あずさ「うぅ~ん、今日は良い天気ね~」
あずさ「お仕事も無いし、川へお洗濯へ行きましょう~」タッタッタ
あずさ「次は芝刈りに行かないといけないわ~、腰がやられてしまうわ~……」ジャブジャブ
おばあさんが川で控えめながらも、薔薇のアクセントが大人の雰囲気をかもしだす
レース生地のブラジャーを洗っていると……
あずさ「あら? あれは一体なにかしら~」ジャブジャブ
ドンブラコ、ドンブラコと、大きなゴージャスセレブプリンが流れてきました。
あずさ「あらー……(驚愕)」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328331795/
亜美「あずさお姉ちゃん!今日も絵本読んでYO→!」
さすがのおばあさんも、これには驚きを隠せませんでした。
あずさ「……これじゃ一人で食べきれないわね~」
あずさ「うふふ、2日に分けていただこうかしら~」
おばあさんは、大きなゴージャスセレブプリンをひろいあげて、家に持ち帰りました。
ドンッ
あずさ「よいっしょ……ふぅ、なんだか妙に重たかったわ~」
あずさ「賞味期限とか大丈夫かしら~?」クイッ
あずさ「それにダイエットも……」
おばあさんは悩みました。
あずさ「……」
あずさ「さらば、あの頃の日々」スッ
しかし、その悩みはスイーツの前には塵芥にも等しいものだったのです。
おばあさんの婚期とウェストラインはまた伸びてしまいました。
いざ、プリンのラベルを剥がそうとしたその時……
ボシュウウウウウウ!
突然、真っ白な煙が部屋を覆い尽くしたのです。
あずさ「きゃっ!」
あずさ「……!……けほっけほっ! Smoky Thrillだわ~!」
その揺れる蜃気楼の先には……
真「まっこまっこりーん!」
なんとゴージャスセレブプリンの中から勢いよく男の子が飛び出してきたのです
あずさ「なんということでしょう……」ガクガク
真「やーりぃ! やっと出れました!ありがとうございます!おばあさん」
あずさ「あ……あの……」
あずさ「……」
あずさ「あの、プリンで体中べちょべちょですよ~?」
おばあさんは天然でした。
あずさ「いいえ~。困った人を見たら知らぬが仏、ほっとけないわ~」
おばあさんは男運には恵まれていませんでしたが、とても親切で穏やかな方でした。
真「あの……驚かないんですか? プリンから人が出てきたんですよ?」
あずさ「うふふ~、きっと大変なことがあったのね~」
真「……」
あずさ「ゆっくりしていってちょうだい~」
真「おばあさん、ありがとうございます……!」ジワッ
あずさ「いいえ、気持ちはわかるわ~」
真「えっ」
あずさ「私も、よく山へ芝刈りに行って迷子になってしまうのよ~」
真「あ、あの……」
あずさ「うぅん、それでもプリンの中っていうのは私もさすがに無いわね~」
おばあさんは天然でした。
真「えっそれは絶対にダメッ……!じゃなくてっ!」
真「あ、あの! お願いします! ボクを養子としてここに住まわせてくれませんか!」ビシッ
あずさ「あら~キレイなお辞儀ね~……90度ピッタリ……」
真「ボ、ボク空手もやってるんで悪い奴が来たら懲らしめてやります!」
真「だからお願いします!おばあさん!」
あずさ「あらー。プリンを食べようと思ったらいきなり母親になってしまったわ~」
おばあさんは「生き遅れ」から「シングルマザー」にジョブチェンジしました。
あずさ「えっと、お名前は何ていうのかしら」
真「それが……覚えてないんです。だからおばあさんが付けてくれませんか?」
あずさ「えっと、それじゃぁ……」
あずさ「ゴージャスセレブプリンから産まれたから、ゴージャスセレブプリン太郎ちゃんね~」
真「えっ……あ、あのボク女の子なんですけど……」
あずさ「あら、ごめんなさい~!うっかりしてたわ~! それじゃぁ……」
あずさ「ゴージャスセレブプリン花子ちゃんね~」
あずさ「ゴージャスセレブプリン花子ちゃん~!ゴージャスセレブプリン花子ちゃん~!」
真「……あずささん」
あずさ「うふふ、今日は芝刈りにいってくれないかしら~」
真「すいません、せっかく名前付けてもらったのに申し訳ないんですけど……」
真「あの~……その~……改名してくれませんか?」
あずさ「あら~ゴージャスセレブプリン花子ちゃんじゃイヤなのかしら?」
真「イ、イヤですよ!長いし呼びづらいし! どっかのアヤしい外国人みたいじゃないですか!」
あずさ「そんな我儘な子に育てた覚えはありませんよ~」
真「と・に・か・く! ボクはこれから「真」って名前にします! 町娘のやよいって子に付けてもらいました!」
あずさ「あら、町にお友達が出来たのね~」
真「はい! 貧乏だけどす~~ごく元気で良い子なんです!」
あずさ「……わかったわ、ゴージャスセレ……いいえ、真ちゃん。それじゃ村の役所に手続きをしてくるからお留守番しててね」
真「ほっ……良かったぁ……」
真「うぅ、これからゴージャ(ryなんて名前で一生呼ばれたらどうしようかと思ったよ」
おばあさんの天然に悩まされながらも、真は常にまっすぐな子だったそうな。
ものすごく似合ってる
真「あちゃ~、ちょっと薪割り過ぎちゃったかな?」
真は毎日、手刀で芝刈りに行きました。
あずさ「はぁ……はぁ……」ガチャッ
真「あ、お帰りなさい。あずささん、今日は迷子に……」
あずさ「た、大変よ~!町に鬼が出たわ~!」
真「な、なんだって!」ガタッ
あずさ「あらあら~!!あらあら~!!(混乱)」アタフタ
真「あずささん、落ちついてください! 目が回るだけですからっ!」
あずさ「……はぁっ……やよいちゃんの家のもやしが鬼の年貢で全て持っていかれちゃったのよ~!」
真「えっ、そんなことしたらっ……」
あずさ「餓死してしまうわ~……!」
真「もやしだけにっ……!」
あずさ「真ちゃん、どうしましょう~」アタフタ
真「……あずささん、ボクが鬼退治にいきます!もうヤツの悪事を見逃してられません!」
おばあさんにとって、真は唯一の家族だったのです。
真「あずささん、大丈夫ですよ。ボクは必ず帰ってきます」
あずさ「……真ちゃんいつのまにか立派になったのね~」ウルッ
真「なぁに鬼ヶ島まで、自転車でひとっ走りですよ!」
あずさ「真ちゃん必ず生きて帰ってきてちょうだい……はい、餞別よ」
おばあさんは真に背中に『真』一文字が書かれたトレーニングウェアと、
吉備団子を渡しました。
真「あずささん、それじゃ行ってきます!おたふく風邪には気をつけてください!」ダッ
あずさ「……真ちゃん、あなたの無事を祝って、送り歌を歌うわ」
あずさ「……」スゥ
あずさ「このおぉ坂道ぃぃをおおお!登るたびにぃいひいいいい!」
おばあさんは早速死亡フラグを立ててしまいました。
シャアアァア!
真「う~ん、やっぱり鬼相手に一人だと心細いな……」
真「そういえばこの近くに頼れる犬、雉、猿が居るって聞いたなぁ」
すると、目の前になにやら大きな影が……
真「あっあれは……」
貴音「げろっぱ!」
真「……」
貴音「げろっぱ!げろっぱ!」
なんと、そこにおったのはヒップ92の蛙だったそうな。
その鋭い眼光が狙っているものは明らかに真の吉備団子。
真「……カエルって何だよ!」
これにはさすがの真もツッコまざるを得ませんでした。
真「うぅ……どこまでもついてくる……。やれやれ、わかったよ」ゴソゴソ
あまりのしつこい物乞いに、ついに真が音をあげました。
おばあさんの手作りのファウルカップから吉備団子を取り出して、カエルに手渡しました。
貴音「感謝いたします、わたくし、あなた様にどこまでもついていきます」モグモグ
貴音「この吉備団子、メンカタカラメヤサイダブルニンニクアブラマシマシにはできませんか?」
真「……できないよ。そもそも吉備団子は油で揚げてないし野菜入ってないし」
貴音「なんと!」しじょっ!
真「だああああ! あずささんと同じくらい疲れる!」
真「はぁ……君、お供するっていっても、闘いとかで役に立つの? 相手は鬼だよ」
貴音「ふふっ心配ありません」
真「何か特技とかあるの?」
貴音「はい……」
真「……」
貴音「尻で割り箸を割れます」
面倒くさくなった真はカエルをお供に連れていくことにしました。
貴音「えぇ」
真「……ていうかボクが漕ぐの?」シャァァ
真は苦労人の相が出ていました。
しばらく自転車を漕いでいると、おや、また新たな動物が一匹……
真「あ、あれは……」
伊織「にひひっ、こんにちは可愛いウサギちゃんでぇ~す」
真「ウサギかぁ……」
脱毛期のウサギが道を塞いでいました。
真は悩みました。
以前に、海女さんの響から、ウサギは性欲がとても強いということを聞いていたからです。
鬼退治に行く途中に、仲間の輪を乱さないかが心配でした。
真「それに、ピンク色だしなぁ……ピンクってちょっとエッチなイメージあるし……」
伊織「あんた、さっきから聞こえてるんだけど……」
まさかの初対面での淫乱認定には、ウサギも心外だったそうな。
伊織「……なによそれ」
真「えっ?吉備団子だけど……」
伊織「この伊織ちゃんがそんな安っぽい団子なんて食べるわけないでしょ」
真「な、なにを~! あずささんがせっかく作ってくれたんだぞ!」
伊織「あんたが私の家来になるってんなら、食べてやってもいいわよ」
真「な、なんだよ!その上から目線!」
伊織「はん、よく言うわよ。初対面であんなこと言っておいて」
真「そ、それとこれとは話が別だろ! 今は吉・備・団・子!」
伊織「これだから人間はイヤよね。そうやってすぐに我を通そうとするんだもの」
真「君に言われたくない!」
伊織「なによ!」
真「なんだよ!」
貴音「……あの」
真「す~~~っごくエッチなんだろ?」
伊織「あっあっあんた、また言ったわね!」ビシッ
真「へへーん!顔真っ赤にしてるってことは図星なんだろ」
伊織「ちっ違うわよ!この変態!ド変態!変態大人!」
真「ふんだ!変態はそっちだろ!」
伊織「あんたのような人間のオスだってスケベだらけなんでしょ!」
真「ちょ、ちょっと待てよ! 君、今なんて言ったんだ!」
伊織「人間のオスはスケベって言ったのよ! なんならもう一回言ってあげようかしら? にひひっ」
真「ボ、ボクは女の子だよ!」
伊織「あ~ら、ごめんなさい。私、ついついオスと勘違いしちゃったわ」フアサッ
真「今のはボクも頭に来たぞ……!」グッ
貴音「あのう、そろそろ先へ……」
真「うぅ~!」
伊織「あんたね、ウサギ舐めんじゃないわよ!本気出したらアンタなんかこの肉球で一捻りなんだから!」
真「そういう君こそ、ウサギのくせにぜ~んぜん可愛げが無いじゃないか!」
伊織「い、言ったわね~!」
真「もう君とはやってられないよ!」
伊織「私こそあんたとなんかゴメンよ!」
真「ふんだ!行こう貴音」タッタッタ
貴音「ようやく終わりましたか」
真「うん、早く行かないと、やよいが餓死しちゃうよ」
伊織「……」ピクッ
伊織「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」プルプル
真「えっ今の聞こえてたの?」
伊織「ウサギは耳が良いんだから……ってそんなことはどうでもいいのよ」
伊織「あんたね、それを早く言いなさいよ!」ビシィッ
真「言う暇なんて無かったじゃないか……」
伊織「し、仕方ないわね……吉備団子、食べてあげてもいいわよ……」
真「えっ」
伊織「吉備団子1個で、この伊織ちゃんがお供してあげるって言ってるのよ!」
伊織「わ、私の気が変わらないうちに、吉備団子をさっさと寄越しなさいよ!」
真「わ、わかったよ。貴音。それじゃこの子に吉備団子を……」
貴音「……」
真「貴音……?」
貴音「ケップ……」
真「oh...」
伊織「……」
こうして、噂のFunky girlが仲間になりました。
伊織「貴音、あんたのお尻がスペース取りすぎなのよ!」
貴音「はぁ、そういわれましても……」
伊織「……あら」クンクン
真「ん、どうしたんだい、伊織」
伊織「何かが近くにいるわ」クンクン
真「も、もしかして……鬼?」
伊織「いいえ、この匂いは鬼じゃないわ。どうやら味方みたいよ」
真「うぅ、次こそ、犬か雉か猿でありますよーに!」
伊織「吉備団子は無いからこのイケイケファンシーゼリーで手を打ちなさい」
真「わ、わかった……うぅ緊張するなぁ……」
真「う、うん」
伊織「しっかりやんなさいよね」
真「わかった……ん……なんか声が聞こえない……?」
──ペイーン……
真「あ、あれ?」
──ダキシメラレーターヌクモーリヲー……
真「ま、まさか……」
┣¨┣¨┣¨┣¨・・・
──イマモオボエーテイルー……
┣¨┣¨┣¨┣¨・・・
あずさ「このおお坂道をおお登るたびにぃぃ!」
真「」
あずさ「あら、真ちゃん~町でジューシーポーリーしてたら道に迷ってしまったわ~」
3匹目の仲間は合コン帰りのおばあさんでした。
駐輪場に自転車を止めて、闘いの準備は万端です。
キキィ
真「いよいよ、この先に鬼がいるんだね……」
あずさ「みんな、お手洗いはすませたかしら~」
伊織「絶対に、やよいをこれ以上泣かせたりしないんだから……!」
貴音「たのもう!」バターン!
──ふふふ……待ちくたびれちゃったよ……
真「さぁ悪事はこれで終わりだ!姿を現せ!」
──恐れ……
──ひれ伏し……
春香「崇め奉りなさい!!!」カッカー!
あずさ「あら~赤鬼さんね~はじめまして~」
春香「あれれ~困るなぁ、年貢はあいパックでスタジオに運んでくれないと。ねっ千早ちゃん?」
千早「あ、青鬼です」ペコリ
千早「張りきってるわね、春香」
春香「うん! だってやっと出番来たんだよ、千早ちゃん!」
千早「まぁなんでもいいですけれど」
春香「あ!千早ちゃん、あれ言ってよ、あれ」
千早「えっ……その……」
春香「ほらぁ~、来たら言うっていったよね」
千早「……年貢はナンでもいいですけれど」カァァ
春香「……グー!その年貢ギャグ、グーだよ!」
春香「あ、年貢に辛いの入れちゃダメだよ」ゴソゴソ
春香「も~こんなの食べたら、お尻から血が出ちゃうんだけど!」
千早「そういうこと言わないの」
春香「うん、確実に血が出る」
千早「そういうこと言わないの」
真「……」
久々の来客にはしゃぐ鬼たちの妙なテンションに真ご一行はついていけませんでした。
真「年貢ギャグはもういいよ! と、とにかく懲らしめてやる!」ダッ
春香「わわっ、ちょ、ちょっとタンマタンマ!」
真「えっ」
春香「ぼーりょくはんたいっ!」
伊織「今さら、な、なによ。あんただって散々悪いことしてきたくせに!」
春香「だって……私、殴られたら……」
春香「お尻から血が出ちゃうんだけど!」
千早「そう、春香は、お尻からイメージカラーが出る呪いにかかっているの……」
真「……」
春香「きっと、渓谷に住んでいる魔女の律子さんに魔法をかけられちゃったんだよ……」
千早「春香、かわいそう……」ウル
春香「だからね、この魔法を解くための材料を町で探してたんだ……」
真「あのさ」
真「それって痔じゃない?」
真が乙女心に土足で入り込んでしまいました。
千早「そうね、この春香の赤い鬼パンツは血じゃなくて模様よ」
春香「千早ちゃんの青い鬼パンツはジャスコで3枚1000円で買ってるんだよね」
千早「えっ……それは……」
春香「も~!鬼だったらそういうトコにも気を使わないとダメだよ?」
千早「……せっかく鬼退治に来てくれた人の前で、恥ずかしいわ」カァァ……
伊織「あんたらの鬼パンツの話なんかどうでもいいわよ……」
春香「千早ちゃん!胸張っていかないと!」
千早「えぇ、そうね」
春香「恥じらいなんて時には邪魔なだけ!」
千早「だけ!」
真「……」
赤鬼と青鬼のコンビネーションは抜群でした。
真「なんか関わりたくなくなってきたよ……」
真は完全に迷走mindでした。
伊織「もうなんか、どうでもよくなってきたわ……。帰りましょ、みんな」
春香「えっ帰っちゃうの?」
伊織「えぇ、よく考えたら水瀬財閥の力でなんとかなるし……」
春香「えぇ~……」
金とコネの力はいつの時代でも揺ぎ無いものでした。
しかし、他にもうひとつ、変わりの無いものがありました。
それは……
あずさ「……あの~」
あずさ「お尻が痛い時は、油物を控えて、食物繊維が豊富なものを食べたほうがいいですよ~」
春香「えっ……」
あずさ「それと、これ近所の薬草です~、これをすり潰して塗ってください~」
おばあさんの知恵袋でした。
こうして、おばあさんの機転により、赤鬼が痔に悩まされることは無くなったそうな。
あずさ「うふふ、めでたし、めでたし」
亜美「……ねぇ、あずさお姉ちゃん」
あずさ「何かしら~?」
亜美「ここってさ、変わらないもの……それは」
亜美「団結である!」キリッ
亜美「……とかいうところなんじゃないの? どうなの?」
あずさ「うぅん、そうかしら~」
亜美「……はるるん……じゃなくて赤鬼とは仲良くなったの?」
あずさ「うふふ、そうね~。実はまだ後日談があるのよ~」ペラッ
やよい「うっうー!今夜はもやしパーティですぅ!」
貴音「ふふっ、わたくしの宴会芸を披露させていただきます」スッ
バキンッ!
……。
亜美「……んん?」
あずさ「あら~、1ページ飛んでたわ~」
亜美「なんかお姫ち……じゃなくてカエルが割り箸割ってたよ」
あずさ「ごめんなさい~読み直すわね~」
亜美「……ううん、いいや」
あずさ「うふふ、めでたしめでたし。それじゃ次はどの本にしましょうかしら~」
亜美「そんじゃねそんじゃね、次はこれっこれっ」
あずさ「はいはい~」
つづく?
規制明けが嬉しくて何も考えず立ててしまった
今では反省している
乙樽
文才を感じる文章だった
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「前の世界線の私から岡部さんを全力で寝取る」
ガチャ
紅莉栖「ハロー、あっ今日は岡部さんだけなんですね」
岡部「助手か。今日は早いんだな」
紅莉栖「はい。その、岡部さんに早く会いたかったから……ふふ」
岡部「そ、そうか……ところでクリスティーナ」
紅莉栖「ティーナって言わないで下さい。なんですか、岡部さん」
岡部「ま、前にも言ったとは思うが、その敬語とさん付けは止めてくれないか?」
燃える!
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328440815/
紅莉栖「前の世界線の私から岡部さんを全力で寝取る」
岡部「な、なぜだ?お前もラボメンになって随分と経つのだ。いい加減、そのよそよそしい言葉使いは、俺もむず痒いのだが……」
紅莉栖「岡部さんは年上なんですから、敬語を使うのは当然です」
岡部「ダル相手には敬語を使わずに呼び捨て名前を呼んでいるではないか」
紅莉栖「橋田相手に敬意を示す必要はないと判断したからです」
岡部「しかしだな……」
紅莉栖「それに、岡部さんは私の、い、命の恩人ですから敬語を使うのは当然です」モジモジ
紅莉栖「それでも!こうしてここに居られるのは岡部さんのお陰なんです」
岡部「………」
岡部(どうしてこうなった)
岡部(このシュタインズ・ゲートに到着して、紅莉栖と再会して以来、ずっとこうだ)
岡部(前の世界線の時も最初は一応敬語を使っていたが、すぐにラボに馴染んで使わなくなった)
岡部(だから、この世界線でも最初は敬語を使われても、いずれすぐに前の世界線の時のような関係を築けると思ったが……こうもよそよそしいと違和感がある)
紅莉栖「で、でも……お、岡部さんがどうしてもって言うなら、その……呼び捨てくらいなら、いいですよ?」
岡部「ほ、本当か!?よし!なら是非とも今後はそれで頼む!」
岡部(よし、これ少しずつでも前と同じような呼び合いができ……)
紅莉栖「わ、わかりました……り、倫太郎」
岡部「」
紅莉栖「いや、人前でその厨二ネームを呼ぶのはちょっと……」
岡部「フェイリスやルカ子を見習え!それが無理なら岡部で呼べ!この際、特別にオカリンでも構わん!頼むからその、名前で呼ぶのは止めてくれ」
紅莉栖「り、倫太郎はいや、ですか?」
岡部「いや、その……嫌と言うか」
岡部(は、恥ずかしいだろうが!く、紅莉栖に名前で呼ばれるなんて、前の世界線でもなかったのに!)
岡部「嫌、ではない……が」
紅莉栖「本当ですか!?」
岡部「その、恥ずかしいから……出来れば前のように岡部と呼び捨てで呼んでくれ」
紅莉栖「……前のように?」ピク
岡部(しまった……)
岡部(まただ……)
紅莉栖「名字で呼んでた……ふふ、じゃあ名前で呼ぶ私の方が前の私より、親しい仲って事よね……」ブツブツ
岡部(紅莉栖にはあの一連の出来事を全て話している。あいつにも、僅かにリーディング・シュタイナーが発動したのか、紅莉栖は俺の話を信じてくれた)
岡部(だがそれ以来、俺が前の世界線の紅莉栖の事を口にすると、いまみたいに不機嫌そうな顔をして何か考え事をするようになった)
紅莉栖「倫太郎」
岡部「なっ、だからその呼び方は止めろと」
紅莉栖「もし、倫太郎って呼んでいいなら、私も敬語を止めます」
岡部「なっ」
紅莉栖「どうします……?」
岡部「わ、分かった。お、お前には特別に俺の名前を呼ぶ権利をやろう。その変わり」
紅莉栖「分かってる。敬語は止める。これでいい?倫太郎」
岡部「あ、ああ。それでいい」
紅莉栖「ふふっ」
岡部「な、何が可笑しい?」
紅莉栖「私が倫太郎って呼ぶんだから、もちろん、そっちもちゃんと紅莉栖って呼ぶわよね?」
岡部「なにっ!?」
紅莉栖「ちゃんと呼ばないと、また敬語に戻す」
岡部「ぐっ……わかった。紅莉栖」
紅莉栖「えへへ」
岡部「……なんだ、紅莉栖」
紅莉栖「ふふっ、呼んでみただけよ」
岡部「そ、そうか」
紅莉栖「うん」
岡部「………」
紅莉栖「ふふっ」
岡部「く、紅莉栖」
紅莉栖「なあに、倫太郎」
岡部「その、二人だけの時だけにしないか?この名前呼び」
紅莉栖「………どうして?」
岡部「いや、いきなりお互い名前呼びだと、まゆりたちになんて言われるか……」
まゆり「えへへ~二人とも夫婦みたいなのです」
岡部「……みたいな事を言われかねん」
岡部「……」
まゆり「……」
岡部「えっ?」
まゆり「オカリンと紅莉栖ちゃんが二人で名前を呼び合っていた時からだよ~」
紅莉栖「私は気付いてたわよ。ハロー、まゆり」
まゆり「紅莉栖ちゃん。トゥットゥルー♪」
岡部「な、なら何故言わんのだ!まゆり!お前も入ってくるなら最初に挨拶くらい……」
まゆり「えへへ、二人がラブラブしてたからあまり邪魔をしたくなかったのです」
岡部「ら、ラブラブ!?しとらんわ!」
まゆり「え~でも紅莉栖ちゃんはとっても嬉しそうだったよ?」
紅莉栖「ちょっと、まゆり!?……まあ嬉しいのは否定しないけど」
岡部「お、お前まで何を!?」
岡部「いや、だから俺と紅莉栖はそんな仲ではないと!」
紅莉栖「……えっ?」グスッ
岡部「い、今はそんな関係ではない!……こ、今後については知らん!それは俺の管轄外だ」
まゆり「だって~紅莉栖ちゃん」
紅莉栖「今は違うけど、いつかは……ふふ」
まゆり「う~んと、じゃあ今日はまゆしぃ、下で綯ちゃんと遊んでくるから、二人はラボでラブラブしててね」
岡部「なっ、おい!待て!」
まゆり「オカリン、紅莉栖ちゃんと仲良くね。トゥットゥルー♪」
バタン
紅莉栖「倫太郎といつか……前の私ではなれなかった関係に」ブツブツ
岡部(……紅莉栖とまた二人きりか)
『目を閉じろ』
『どうして?』
『いいから閉じろ!』
岡部「くっ………」
岡部(い、いかん……意識するとあの時の光景を思い浮かべてしまう!……だが)
岡部「紅莉栖の唇、柔らかかったな……」ボソ
紅莉栖「……えっ?」
岡部(なっ!?お、俺はなんて事を言って……)
紅莉栖「ねえ、倫太郎」
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「前の世界線の私、倫太郎とキスしたの?」
紅莉栖「キス、したの?」
岡部「あ、いや……」
紅莉栖「したの?」
岡部「……しました」
紅莉栖「……聞いてない」
紅莉栖「そんなの聞いてない!前の私と私の倫太郎がキスしたなんて聞いてない!」
岡部「」ビク
紅莉栖「また前の私が……私の倫太郎を……そんなの認めない、倫太郎が見ているのは前の私じゃなくて、今の私なんだから、そんなの」ブツブツ
岡部「」ビク
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「キス、しよっか」
岡部「は、はあ!?お前、急に何を……」
ちゅっ
岡部「んむっ!?」
紅莉栖「んっ、あむ、んあ」クチュクチュ
岡部(し、舌まで入れるのか!?)
紅莉栖「ん、ぷは……ふふっこれで私もおあいこよ!」
岡部「な、なにを言って」
紅莉栖「倫太郎は渡さない。誰にも渡さない。前の私になんかには絶対に渡さない!」
ぎゅっ
岡部「お、おい!」
紅莉栖「倫太郎は離さない。倫太郎は私の。倫太郎は前の私のものじゃない!」
岡部「前のって……お前はお前だ。例え世界線が変わろうが、牧瀬紅莉栖に違いなんてない」
紅莉栖「それはあなたから見た場合の話よ!」
岡部「」ビク
紅莉栖「私は違うの。私には倫太郎を助けた記憶も、倫太郎とキスした記憶もない!それは全部前の私……」
紅莉栖「私にとって倫太郎はパパから私を助けてくれた命の恩人で、私の大好きな人なの!」
紅莉栖「分かってる。全て同じ主観で世界線を渡ってきた倫太郎にとって、前の私と今の私は、何も変わらない同じ人物に写って見えるのもおかしくない」
紅莉栖「倫太郎にとって、前の世界線の出来事がどれだけ大切なのか、分かってる。その中に前の私との思い出が含まれている事も」
紅莉栖「でも違うの。違いを分かって欲しいの!倫太郎には私を見て欲しい!私を通して前の私を見てるのは止めて……」グスッ
ぎゅっ
岡部「すまない紅莉栖……俺は今までそんな思いをさせていたなんて」
紅莉栖「これからは、ちゃんと私も見て」
岡部「無論だ」
ちゅっ
紅莉栖「んっ」
岡部「んむっ、」
岡部「どうした、紅莉栖」
紅莉栖「その、ね?……えっと」
岡部「なんだ、はっきりしないな」
紅莉栖「前の私とは……その、したの?」
岡部「したって……何を?」
紅莉栖「それは……キス、」
岡部「だ、だからキスはしたと言って」
紅莉栖「キス、以上のこと」
岡部「」
紅莉栖「し、したの!?してないの!?」
岡部「も、黙秘だ。これはトップクラスの機密情報なのだ。そうそう簡単に教えられる筈がないのだよ、助手」
紅莉栖「………」グスッ
岡部「ちょっ、なぜ泣く!?」
紅莉栖「……って言った」
岡部「は?」
紅莉栖「助手って言った」
岡部「いや、今のはつい……」
紅莉栖「紅莉栖って呼んでくれるって言ったのに!私だけを見てくれるって言ったのに!前の私の渾名で呼んだ!」グスッ
紅莉栖「やっぱり、無意識に私を通して前の私を見てたんだ……」
岡部「ち、違うと言ってるだろう!」
紅莉栖「それに、黙秘って事はやっぱりしたんだ……」
岡部「なっ」
紅莉栖「ラボで二人きりでちゅっちゅした後に、我慢できなくてしたんだ……」グスッ
岡部(おい、なんでリーディング・シュタイナーがそこだけ発動しているんだよ)
紅莉栖「童貞と処女同士、初々しく相手を気遣いながらズッコンバッコンしたんだ!」グスッ
岡部「しとらんわ!」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「あっ……」
岡部「ら、ラボは神聖な場所なのだ……そんな俗物めいた事、する筈がないだろう」
紅莉栖「して、ないのよね」
岡部「……ああ」
紅莉栖「本当に?」
岡部「……そうだ」
紅莉栖「童貞、なの?」
岡部「しつこいぞ」
紅莉栖「倫太郎は本当に童貞なの?」
岡部「しつこい!俺が!童貞だ!」
岡部「前の世界線の紅莉栖と想いを通じ合わせた時間は一日にも満たなかったからな……キスだけでも俺にとっては充分だった」
紅莉栖「………」
岡部(しまった)
紅莉栖「やっぱり倫太郎は前の私の事を愛しているんだ。キスだけで前の私は倫太郎を虜に……なら、キス以上の事をすれば倫太郎は私の虜に……?」ブツブツ
岡部(また始まった)
紅莉栖「ねえ、倫太郎」
岡部「却下だ」
紅莉栖「ちょっ、まだなにも言ってないじゃない!?」
岡部「なら何を言い出すつもりなのだ?言ってみろ天才HENTAI処女よぉ」
紅莉栖「あなたと合体したい」
岡部「却下だ」
紅莉栖「なんでよ!?」バン
岡部「か、壁を殴るな!」
紅莉栖「なんで私とドッキングできないの!?やっぱり前の私とドッキングしてたから」
岡部「違うと言っただろうが!だいたい貴様!いま何時だと思っているのだ!まだ昼前だぞ!?」
紅莉栖「夜ならいいってことか、OK。把握」
岡部「なぜそうなる!?」
紅莉栖「なら何が問題なのよ……」グスッ
岡部「そもそもだな……」
紅莉栖「うん……」
岡部「俺たちは別に付き合ってもないだろ」
紅莉栖「あっ……」
紅莉栖「そう、だけど……」
岡部「確かに前の世界線では抱き締めてキスをした」
紅莉栖「ぐぬぬ」
岡部「そして告白もした。だが別に特別な関係なったという訳ではない。ただ、切羽詰まって想いを伝えただけだ」
紅莉栖「………告白、したの?」
岡部「あっ」
紅莉栖「倫太郎、告白したの?」
紅莉栖「前の私に、倫太郎から?」
岡部「いや、それは……」
紅莉栖「前の私から告白したんじゃなくて、倫太郎から告白されたんだ……ふ~ん」
岡部「お、俺も切羽詰まっていたから、最後くらいは想いを伝えようと……」
紅莉栖「なんなの。キスだけじゃなくて告白までされるなんて羨ましすぎるだろ常考……抱き締めてキス+告白、ズルいズルいズルい、前の私ズルい」ブツブツ
岡部「……どうしてこうなる」
岡部「」ビク
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「なんて言って告白したの?」
岡部「い、言える訳ないだろう!?……恥ずかしくて無理だ」
紅莉栖「なんて言ってたの?」
紅莉栖「教えてますよね?」ニコッ
岡部「ひっ」
紅莉栖「教えてくれるよね……」
岡部「だ、だから恥ずかしいと」
紅莉栖「教えてよ……」
岡部「む、無理だ」
紅莉栖「教えて……」
岡部「だから無理だって……」
紅莉栖「教えろ」
岡部「………はい」
紅莉栖「………」
岡部「誰よりも大切な女性(ひと)のことを、忘れたりはしない」
紅莉栖「………」
岡部「俺は、お前が好きだ」
紅莉栖「ありがとう、倫太郎。私も大好き」
ぎゅっ
岡部「………えっ?」
紅莉栖「えへへ、倫太郎から告白してくれるなんて……嬉しい」
岡部「おい」
紅莉栖「私たち、これで両想いね」
岡部「おい、待てHENTAI処女」
紅莉栖「も、もうすぐ処女じゃなくなるし!」
岡部「自重しろ、HENTAI」
紅莉栖「ツンデレ乙」
岡部「お前に言われたくないわ!」
紅莉栖「……やっぱり倫太郎は前の私しか見てないんだ」グスッ
岡部「そ、そんな事はない!……だいたい、忘れないなどという台詞はもう不要なのだ。お前に告白するなら、もっと違う言葉で」
紅莉栖「ふぇ?それじゃあいつかは……」
岡部「い、今はその時ではない!」
紅莉栖「うん、待ってる……」
紅莉栖「倫太郎がいつか私に…ふ…ふふ」
岡部(その場の勢いとはいえなんて事を……)
岡部(告白、か……そういえば結局、あいつの返事を聞く事は出来なかったな)
岡部(……いや返事なんて不要か。俺たちは確かにあの日、二人きりのラボで想いを通じ合わせることができたのだから)
紅莉栖「倫太郎」
岡部「」ビク
岡部(しまった!また俺は無意識に口にしていたのか!?)
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「私、負けないから」
岡部「なに?」
岡部「ね、寝取るって……」
紅莉栖「絶対だからな!」
岡部「いや、そんな強調せれても……」
紅莉栖「いつか、必ず私にメロメロキューにしてやるんだから、覚悟しておけよっ」
岡部「い、いいだろう!だがな、貴様の色香に惑わされる程、この鳳凰院凶真は甘くはないぞ!?フゥーハハハ!」
ダル「なあ、オカリン」
岡部「……どうした、ダル」
ダル「なんでさっきから膝の上に牧瀬氏乗せてんの?」
岡部「………機関からの精神攻撃だ。気にするな」
紅莉栖「えへへ、倫太郎の膝。あったかい……」
ダル「なんで名前呼び?」
岡部「……これも機関からの精神攻撃だ。気にするな」
紅莉栖「倫太郎、倫太郎」
岡部「どうした?紅莉栖」
紅莉栖「ふふっ、ううん。なんでもない」
岡部「そうか」ナデナデ
紅莉栖「えへへ」
ダル「………」
紅莉栖「ラボメンなんだから敬語はいらないって倫太郎に言われたのよ」
ダル「ただのラボメン同士なら異性の膝の上に座らないと思われ」
紅莉栖「機関からの精神攻撃よ、気にしないで」
ダル「オカリンからずっと頭を撫でられているのは?」
紅莉栖「これも機関からの精神攻撃ね……」
岡部「紅莉栖、もいいいか?」ナデナデ
紅莉栖「んっ、もっと」
ダル「………機関万能すぎるだろ」
岡部「いや」ナデナデ
紅莉栖「まだよ。んっ」
ダル「………」
紅莉栖「倫太郎、倫太郎」クイクイ
岡部「なんだ、紅莉栖」ナデナデ
紅莉栖「倫太郎は前の私の頭を撫でた事、ないのよね?」
岡部「あ、ああ」
紅莉栖「えへへ。よし、勝った」グッ
ダル「前の牧瀬氏ってなんぞ?」
紅莉栖「倫太郎を虜にした私のライバル」
ダル「はあ?」
岡部「そうではない。もう一人の紅莉栖。それは今は居ない俺と前世を共にした我が最愛の助手の事だ!」
ダル「日本語でおk。というか、最愛って……オカリンが最愛って言葉使うなんて」
岡部「ちょっ、おま!?そこを強調すると紅莉栖が……」
紅莉栖「最、愛……?」
ダル「……えっ?」
紅莉栖「最愛、最愛、最愛……やっぱり倫太郎が最も愛してるのは今の私じゃなくて前の私なんだ。でも大丈夫よ、私。倫太郎は絶対に振り向いてくれる。だって約束したもん。私を見てくれるって。いずれは告白してくれるって。だから大丈夫よ。大丈夫大丈夫大丈夫」ブツブツ
ダル「な、なんぞこれ……」
ダル「なあ、オカリン。これどゆこと?牧瀬氏なんか怖いんだけど……」
岡部「……その、なんだ。簡単に言うと俺が以前好きだった女性にあいつは嫉妬しているのだ」
ダル「えっ、オカリンにそんなのいたん!?」
紅莉栖「やっぱり倫太郎は前の私が好きなんだ。そうなんだ。やっぱり前の私が」ブツブツ
岡部「本当はもっと複雑なんだが、とりあえずそういう事で納得してくれ……」
ダル「……把握」
岡部「俺がなんとかしてみる」ヒソヒソ
紅莉栖「前の私。また前の私。どんなに頑張っても倫太郎は前の私を見ているんだ。そうよ、絶対そう。倫太郎、倫太郎倫太郎」ブツブツ
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「」ピク
岡部「紅莉栖。昨日も言ったが、俺はお前を通して、前のお前を見てはいない。俺が見ているのは、今ここにいる牧瀬紅莉栖ただ一人だ」
紅莉栖「本当……?」
岡部「無論だ!この鳳凰院凶真の言葉に嘘偽りなどなに一つありはしない!」
ダル「……嘘乙」
紅莉栖「じゃあ、証明して」
岡部「な、なに?」
紅莉栖「倫太郎が本当に私を見ているのか、証明して」
岡部「なっ!なにをする!?」
紅莉栖「いいから、じっとしてて」
ダル「Oh……」
岡部「お、お前まさか、ここで!?くっ」
紅莉栖「こら、目を閉じるな」
岡部「なぜ!?」
紅莉栖「倫太郎の目を見ないと、証明にならない」
岡部「わ、わかった」
紅莉栖「倫太郎……」
岡部「紅莉栖……」
ちゅっ
ダル「………」
ダル「ふんっ」バンッ!
岡部「んむっ、くり、す……あむっ」チュ、クチュ
ダル「……」
紅莉栖「ぷはっ」
岡部「はあ、はあ……紅莉栖、これで証明できたか?」
紅莉栖「うん……」
岡部「そうか、ならいい」ナデナデ
紅莉栖「ふふっ、勝った♪」
ダル「……僕の拳が光って唸りそうだお」
岡部「ふう、紅莉栖の機嫌が良くなってくれたか……」
ダル「付き合ってないとか言いつつ、キスする男の人って……」
岡部「う、うるさい!……近いうちにちゃんと告白はする」
ダル「うわっ、リア充爆発しろ」
岡部「……心配しなくてもいずれお前にも出会いがある」
ダル「ちくしょー!嫌味乙!」
岡部(事実なんだがな……いや、このシュタインズ・ゲートでは先の事なんて分からないか)
ダル「……なあオカリン、一ついい?」
岡部「なんだ」
ダル「気になってたんだけど、オカリンがさっき言ってた、オカリンが好きだった人ってどんな娘?」
岡部「なっ!何故そんな事を聞くのだ!?」
ダル「いや、気になるじゃん。あのオカリンがベタ惚れしたおんにゃの子」
岡部「べ、ベタ惚れなど!………いや、否定はしない」
ダル「うっそ、マジ?」
岡部「……ああ、マジだ」
紅莉栖「………」
ダル「ふむ」
岡部「だが、根はマジメな奴なんだ。意外と弱い面もあるのだが、プライドが高いせいか普段は気を張っていてな。見てられなくて、少し相談にも乗ったりした」
ダル「さり気なくフラグを建てるなんてさすがオカリン!そこに痺れる憧れるゥ!」
岡部「茶化すな。それでまあ……俺にも色々と困難な事件が起きてな」
ダル「なんぞ?」
岡部「ややこしいから説明は省く。それで、一人ではどうしようもないと、諦めていた時にそいつは俺に手を差し伸ばしてくれたんだ」
ダル「ほうほう、今度は逆にオカリンがフラグをたてられたと」
岡部「フラグって……まあ、そのお陰で好意を抱くようななったのは事実だ。あいつのお陰で俺は救われたからな」
ダル「うわっ、ノロケだしたよ」
岡部「の、ノロケてなどいない!」
紅莉栖「………」
岡部「どう、とは……?」
ダル「いや、だからその娘とオカリン」
岡部「ああ、まあ……告白はした」
ダル「えっ?あのヘタレなオカリンが!?」
岡部「ヘタレとはなんだ!ヘタレとは!」
ダル「いやだって……あのオカリンが自分から告白なんて、そ、それで返事は?」
岡部「返事は……聞いてない」
ダル「えっ?それって……」
岡部「……返事の変わりにき、キスが帰ってきた」
ダル「一瞬でもオカリンに同情した僕が馬鹿だったお。リア充爆発しろ」
ダル「ふ~ん、オカリンにそんなラノベチックな出会いがあったなんで初耳だお」
紅莉栖「………」
岡部「ラノベチックか……そう、かもな」
ダル「つーかさ、オカリン」
岡部「なんだ」
ダル「そのオカリンが好きだった娘の特徴って、まんま牧瀬氏じゃね?」
岡部「ま、まあ確かに、似ているかも、な」
岡部(似てるもなにも、紅莉栖本人の事だしな)
紅莉栖「………」ギリッ
岡部「それは断じて違うぞ?ダル。クリスティーナは我が助手として」
紅莉栖「ティーナ?助手?」
岡部「ごほん、紅莉栖を誘ったのは新たな未来ガジェット開発に大きく役立と思ったからであって、特に私情はない!」
ダル「うわっ胡散臭せ~。だって牧瀬氏、最初からオカリンにメロメロだったじゃん。その好きだった娘に似てたから全力で牧瀬氏口説いたんじゃないかと」
岡部「なっ!?そんな訳あるか!」
紅莉栖「……そっか、また、前の私か」ブツブツ
岡部「そうか、じゃあなダル。フェイリスの奴によろしく言っておいてくれ」
ダル「うん、わかった。んじゃ、おつー」
バタン
岡部「全く、あいつは相変わらずフェイリスに夢中だな。このままで本当に七年後に鈴羽が産まれるのか……」
紅莉栖「………」
岡部「どうした?紅莉栖。さっきからずっと黙ったままだぞ」
紅莉栖「………」
岡部「熱でもあるのか?」
紅莉栖「……る」
岡部「なに?」
紅莉栖「寝取る」
バッ
岡部「!?」
岡部「く、紅莉栖!?」
紅莉栖「今の私は倫太郎に相談なんてしてない!タイムリープマシンも作ってない!倫太郎を助けてもない!全部、前の私がした事よ!でも!」
ちゅっ
岡部「んむっ!?」
クチュクチュクチュ
紅莉栖「ぷはっ、はあ、はあ……好き、なの……倫太郎が好き」ヌギヌギ
岡部「ま、待て紅莉栖!そ、それ以上は洒落にならん!」
紅莉栖「倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎」
ガバッ
紅莉栖「だが断る!」
岡部(な、なぜこうなる!?)
岡部(そもそも何故同じ自分に嫉妬をするのだ!?せめてルカ子やフェイリスの時のようにリーディングシュタイナーが発動してくれれば!)
紅莉栖「倫太郎は私のよ!私を助けてくれた命の恩人」
岡部「だからそれは気にするなと言って」
紅莉栖「違う!岡部は私のよ!一緒に青森まで行くって約束したんだから!」
岡部「な……に?」
紅莉栖「倫太郎は私に告白してくれるって約束してくれた!」
岡部「戻った?」
紅莉栖「違う!岡部はもう既に告白してくれたわ!キスもしてくれた!もうお陰でメロメロキューだバカ!」
岡部「ま、また!?」
紅莉栖「こ、告白はまだよ!妄想乙!」
紅莉栖「ちゃんとされたわよ!抱き締められて!何回も何回もちゅっちゅしました!ファーストキスはドクペの味だったわよ!はい論破!」
岡部「な、なんだよ、これ……」
紅莉栖「なに?倫太郎」
岡部「お前、まさか思い出したのか?」
紅莉栖「えっ?何を?」
岡部「ええい、とぼけるでない、セレセブ!」
紅莉栖「セレセブじゃねーし!いい加減普通に呼べ!バカ岡部!」
岡部(この渾名で呼んだのは初めてだったが、やはり……リーディングシュタイナーが発動した?)
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「だからなに、倫太郎」
岡部「クリスティーナ」
紅莉栖「なに、岡部。あとティーナって付けるな」
岡部「これは……」
岡部(紅莉栖の場合、それら二つの世界線の記憶がフェイリスのように混線せず、それぞれ独立した状態で記憶が保たれている……のか?)
岡部(確かめて、みるか……)
岡部「クリスティーナ。お前の今、一番欲しい物はマイフォークである。違うか?」
紅莉栖「違うわよ」
岡部「な、なに!?」
岡部(ば、馬鹿な!?完全にリーディングシュタイナーが発動した訳ではないのか?)
紅莉栖「フォークはもう大丈夫だから。今、一番欲しいのは、その……」モジモジ
紅莉栖「お、岡部」
岡部「………」
岡部「あ、はい」
紅莉栖「さっきからなに?倫太郎」
岡部「俺たちが初めてキスしたのはいつだ?」
紅莉栖「い、いきなりなんなのよ!?」
岡部「いいから!……答えてくれ」
紅莉栖「き、昨日。ラボで……」
岡部「そうか、ありがとう」
紅莉栖「もう、なんなのよ……」モジモジ
岡部(やはり、二つの記憶は独立しているのか。そしてそれを切り替えるスイッチがおそらく呼び名、か)
紅莉栖「な、なによ。岡部」モジモジ
岡部「好きだ」
紅莉栖「ふぇ!?」
岡部「俺は、お前が好きだ。お前はどうなんだ?」
紅莉栖「と、、といいますと!?」
岡部「お前は、俺の事をどう思っている?前は聞けなかったから、今度はしっかりと聞いておきたい」
紅莉栖「わ、私も!私も……岡部の事が好き、大好き」
岡部「……ありがとう」
紅莉栖「はぅ」
岡部(良かった。ずっとあの返事が気になって眠れなかったが、今日から安眠できそうだ)
紅莉栖「な、なに?質問が終わりなら、さ、さっきの続きを」ハアハアハア
ガバッ
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「紅莉栖……」
ぎゅっ
紅莉栖「り、り、り、倫太郎!?ど、ど、どうしたの?!」
岡部「問題は全て解決した」
紅莉栖「えっ?」
岡部「これで俺は思う存分、お前たちを愛することができる」
紅莉栖「ちょっ!お前たちって!どういうんむっ!?」
岡部「んっ…ふぅ…いくぞ、紅莉栖」
紅莉栖「ちょ、だから待って、あっ――」
岡部「……すまなかった」ドゲーザ
紅莉栖「……なんで言わなかったのよ」
岡部「く、紅莉栖がリーディングシュタイナーを発動してくれたのが嬉しくて、その……」
紅莉栖「ま、まあ倫太郎の初めてが『私』だったから許す」
岡部「……ありがとう、紅莉栖。クリスティーナは?」
紅莉栖「ゆ、許さない!絶対に許さないからな!岡部、あんた責任取りなさいよ!」
岡部「せ、責任は勿論とる!」
紅莉栖「絶対だからな!あと、今度からその……する時だけ、ティーナは許す」
岡部「わ、わかった」
紅莉栖「ふん、なによ!こっちは初エクスタシーを貰ったんだから!むしろ、痛みだけ無駄に受けた私ざまあwwwwww」
岡部(……なんでこいつら自分で自分を煽ってるんだ)
紅莉栖「ぐぬぬ」
紅莉栖「倫太郎は私のよ!異論は許さない!」
紅莉栖「違う!岡部は私のだから!」
紅莉栖「ねえ倫太郎!」
紅莉栖「ねえ岡部!」
紅莉栖「あんたはどっちの私がいいの!?」
紅莉栖「えっ?」
岡部「お前たちが牧瀬紅莉栖には変わりない。助手であり、クリスティーナであり、セレセブであり、ラボメンナンバー004でもある。俺にとって誰よりも大切な女性(ひと)だ」
紅莉栖「お、岡部にとって誰よりも大切なひと……」
紅莉栖「倫太郎……えへへ」
岡部(どちらかを選ぶのに意味はない。選ぶ必要など、ないのだから)
岡部「これがシュタインズ・ゲートの選択だよ」
おわり
読んでくれた人、保守してくれた人、ありがとニャンニャン
エル・プサイ・コングルゥ
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
姉「弟君、お風呂入っちゃいなさい」弟「やだ」
弟「やだ、お姉ちゃんと入る」
姉「だって、お姉ちゃんもう入ったよ?」
弟「……じゃあ、入らない」
姉「も~う……」
弟「……入らない」
姉「う~ん、じゃあ、お姉ちゃんもう一回入るから……ね?」
弟「……うん」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328623428/
姉「弟君、お風呂入っちゃいなさい」弟「やだ」
姉「服脱ぐよ」
姉「自分で脱げる?」
弟「やだ」
弟「お姉ちゃんが脱がせて」
姉「もぅ、しょうがないなぁ……」
姉「ばんざーいして」
弟「……」
スルスル
スルスル
……ボロンッ
姉「……」
姉(相変わらず、ここはすごいおっきいなぁ……)
弟「……」
弟「……」
姉「お姉ちゃんも、そろそろ恥ずかしいんだから」
弟「……」
姉「もぅ……」
姉「脱ぐの?」
弟「うん」
姉「……」
スルスル
……パサッ パサッ
姉「……」プルンッ
弟「……」
姉「え……?」
弟「……」ビンビン
弟「……」ビンビン
姉「お、弟くん……」
弟「早く」グイグイ
姉「……っ」
弟「……」
姉「ま、まず、カラダ洗わなきゃね」
弟「……」
姉「……私が洗うの?」
弟「うん」
姉「……はいはい」
キュッ
シャァァァ
姉「……」ゴシゴシ
弟「……」ビンビン
姉「う……」
姉「こ、ここも洗えって……?」
弟「うん」
姉「……」
ニギ
弟「っ」ピク
姉「っ!」ドキッ
ゴシゴシ
弟「……っ、っ」ビクッ ビクッ
姉「う……」
弟「もっと」
姉「……っ」
ゴシゴシ
弟「っ、っ」ビクッ
弟「だめっ」
弟「もっと、もっとっ」
姉「う、うん……」
ゴシゴシ
弟「……っ」
姉「……」
ゴシゴシゴシゴシ
弟「もっ……とっ」
姉「う、うん」
ゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
弟「お姉ちゃんっ」
姉「え?」ゴシゴシ
弟「あっ!」ビュッ ビュッ
姉「きゃぁっ!!」ビクッ
姉「え、う、うん……っ!」
ゴシゴシゴシゴシ
弟「あっ、あっ、あっ」ビュッ ビュッ ビュビュッ
姉「う、うぁっ……」
弟「はぁはぁ、お姉ちゃんっ」ギュッ
姉「んっ……」
姉「弟くん……」
姉(なんか、すごい出た……)
姉(いっぱいかかっちゃった……)
弟「……」
姉「どうしたの……?」ナデナデ
弟「……」
姉「何かな?」ナデナデ
弟「あむっ」
姉「ぁんっ」
弟「んむんむ、ちぅちぅ……」
姉「ぁっ、だめっ……!」キュンッ
姉「ぁっ……おっぱいだめっ……!」
弟「ちぅぅぅっ」
姉「はぁぁん……っ!」ビクッ
姉「ぁっ!!」ビクッ
姉「か、噛むのだめっ……!!」
弟「くにくに、きゅぅきゅぅ……」フニフニ
姉「っぁ」ビクンッ
ペタンッ
姉「はぁっ、はぁっ……」
姉(カラダ中が痙攣しちゃったみたいに……)
姉「ごめん、弟く……」
弟「……」ビンビン
姉「う……」
姉「だめだからね?」
弟「……」ビンビン
弟「……」ギュ
姉「ぁっ」
弟「……」スリスリ
姉「んっ……、だ、めだって……っ」
姉「んっ……、何?」
弟「お風呂入ろ」
姉「一緒に……?」
弟「うん」スリスリ
姉「う、うんっ……」
姉「んっ……狭っ……」
弟「……」カクカク
姉「お、弟くん、何して……?」
弟「はぁはぁ……」カクカク
姉「んっ……」ゾクゾクッ
姉「ぁ、ぅ……」カァァァ
姉「そ、そんなに見ても、だめ……」
ニュルッ
姉「ぁっ」
弟「はぁっ、はぁっ」
チャプチャプチャプチャプ
姉「ぁっ、ぁっ、んっ……!!」
弟「はぁはぁ、お姉ちゃん、お姉ちゃん……っ」ギュッ
チャプチャプチャプチャプ
弟「はっ、はっ、はっ……」ギュゥゥ
チャプチャプチャプチャプ
姉「ぁっ、ぁ……」キュンキュン
弟「はっ、はっ、はっ……」
チャプチャプチャプチャプ
姉「んっ……ぁっ……!」
チャプチャプチャプチャプ
姉「んっ、んっ、んっ……!」
弟「お、おねちゃ、おねちゃっ……あっ、あっ……」
チャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプ
姉「ぁぁぁんっ……!」キュゥゥッ
弟「ああっ、あっ……!」
弟「ちゅぅっ……!」
姉「んむっ」
弟「ちゅる、ちゅぷ、ちゅっ、にゅるっ……!」
姉「んっ、んっ、んんっ……!」ギュッ
チャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプチャプ
弟「あっ、あっ、あっ、あっ……」カクカクカクカクカクカクカクカク
弟「あっ!!」ドクンッ
姉「っっ」ビクンッ
弟「っ、っ、っ」ドクッドクッドクッドクッ
姉「……っ」
姉「んっ、ん……っ」
姉「……」
弟「……」
弟「はぁっ、はぁっ……」
姉「赤ちゃんできちゃう……」
弟「……」ギュゥ
姉「んっ……」
姉「えっ?」
ニュルッ
姉「ぁっ」キュゥ
弟「はぁぁっ……」
チャプチャプチャプチャプ
…………
……
その日から、弟くんに、何回も膣内で射精される日々が続いています。
赤ちゃんも恐らくできてしまっているでしょう。最近、生理が来ません。
でも、止められません。だって、弟くんが、すごく私としたがっているから。
弟くんが、すごく私を求めているから。
私で、気持ちよくなってくれるから。
おわり。
乙
乙
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ちなつ「あかねさん、あかりちゃんを私にください!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328361658/
ちなつ「あかりちゃん!あったよ!あかりちゃんの番号あった!!」
あかり「あかりもちなつちゃんの番号見つけたよ~。おめでとうちなつちゃん!」
ちなつ「ふふふ、ありがと。あかりちゃんもおめでとう!」
あかり「えへへ~、ありがとう、ちなつちゃん」
ちなつ「これで私達、これからもずっと一緒だね」
あかり「大学に行っても仲良くしようね!」
―私、吉川ちなつと、
―その親友、赤座あかりは
―この日、同じ大学の入学試験に合格した。
ちなつ「ほらほら、泣かないの。まったく、何時まで経ってもあかりちゃんは泣き虫なんだから」
あかり「だって、あかり、嬉しくて嬉しくて~!」
ちなつ「はいはい、よしよし」
ちなつ「まぁ私達は学力的に、それなりに余裕あった方だから良いけど・・・」
ちなつ「それより私はあの二人のことが気がかりかな~」
あかり「あの二人って、櫻子ちゃんと向日葵ちゃんのことだよね?」
あかり「向日葵ちゃんは合格してると思うけどぉ‥」
ちなつ「櫻子ちゃんの方は、直前の摸試でも合格ラインギリギリだったしなー」
あかり「だ、大丈夫だよぉ!櫻子ちゃんは向日葵ちゃん家で毎日遅くまで勉強してたもん!」
あかり「試験直前何てそれこそ毎日お泊りしてたみたいだし、きっと合格してるよぉ」
ちなつ「それが逆に心配だったというか・・。あいつら絶対何回かヤってるだろうし」
あかり「へ・・・?ヤルって何を?」
ちなつ「いやいやいや、ごめん。あかりちゃんにはまだ早いから忘れて」
あかり「・・・?」
あかり「そうだねぇ。うう、二人とも無事に合格してますように!」
ちなつ「と言っても、この込み具合だとあの二人を見つけるのにも骨が折れそう‥」
ちなつ「もしかしたらまだ来てないかもしれないし、逆にもう帰っちゃってるかも‥」
あかり「あれ、ちなつちゃん。何だか向こうの方が騒がしいよ」
ちなつ「へ?」
―ザワザワ、ザワザワ
―「だって、いきなり抱きついてキスだよ」「よっぽど合格したのが嬉しかったんだろうねぇ」
―「それにしても女の子同士で‥」「あの二人は恋人同士なのかな?」
―「う~ん、確かに貧乳と巨乳でバランスは取れてるけど」「ってアンタ何処見てんのよ」
ちなつ「・・・・・・・・・」
あかり「さっきの話、きっと櫻子ちゃんと向日葵ちゃんのことだね!」
ちなつ「ウン、ソウダネ・・・」
あかり「あっちの方みたい。行こ、ちなつちゃん」
ちなつ「ウン、ワカッタ・・・・」
ちなつ(うぅう、アイツラ公衆の面前で何やってんのよ・・・。友達として恥ずかしいわ!)
6年も経てば、人もその関係性も、十分すぎる程に変わるものだ。
出会い、別れ、初恋、成功、挫折、失恋・・・、
様々な出来事を経験し、私達は大人になった。
向日葵ちゃんと櫻子ちゃんも色々と成長したものだ、特に向日葵ちゃんの胸部とか。
彼女のアレは昔からアレだと思ってたけど、ここ最近は特にアレだ。雌牛と言って良い。
櫻子ちゃんはまぁ、うん、昔よりは大きくなったんじゃね?一応。
多分未だにAだけど。
―某ファーストフード店にて。
向日葵「ということで、改めて二人とも、合格おめでとうございますわ」
櫻子「おめでとー!!」
あかり「向日葵ちゃんと櫻子ちゃんもおめでとう!」
ちなつ「おめでと!」
向日葵「これで、赤座さん達とは学部は違いますけれど、これからもみんな一緒ですわね」
あかり「そうだねぇ。私とーっても嬉しいよ!」
櫻子「私も、私も!」
ちなつ「しかし、本当全員受かってて良かったよ。これで気兼ねなくお祝いできるし」
あかり「うんうん、私も一安心だよ」
向日葵「これで眼前の大きな不安が一つ消え去りましたわ」
櫻子「お、おう。何でみんな私を見るのさ?」
櫻子「高校ももうすぐ卒業だし、私らもいわゆる“品格”て奴が出てきた感じ?」
向日葵「櫻子は小学校の頃から大して変わってない気がしますが」
櫻子「おい向日葵。人の何処を見てその台詞を言ってんだよ」
向日葵「胸部ですわ」
櫻子「その乳燃やすぞ、このおっぱい魔人Z!!」
ちなつ(何時まで経っても変わらないのはあんたらの痴話喧嘩だっての‥)
ちなつ「そういえば櫻子ちゃんと向日葵ちゃん。ここから大学まで結構遠いけど、二人はどうするつもりなの?」
ちなつ「やっぱり一人暮らしとか?」
櫻子「ああ、それならもう決まってるよ。私も向日葵も」
あかり「嘘ぉ!?今日合格決まったばかりなのに!?二人とも下準備速すぎだよ~」
向日葵「ま、まぁ、試験の前から二人で決めていたことですから‥」
ちなつ「二人でって?」
向日葵「それはその‥、えーとですね。つまり‥」
櫻子「私と向日葵はこの春から同棲するんだ」
あかり「え?」
向日葵「さ、櫻子。そんな身も蓋もない言い方‥」
櫻子「だって本当のことじゃんか」
ちなつ「ど、同棲!?」パヤパヤパヤパヤ
あかり「それって、一緒に住むってことだよね?」ドキドキドキドキ
向日葵「ま、まぁ、私達は腐れ縁ですし、その方が家賃も安く済みますし‥」
櫻子「それに、私達、なるべくずっと一緒に居たいから」
向日葵「さ、櫻子!?」
櫻子「だって二人とも私たちの友達だし、こういうことはちゃんと知っておいて欲しいと思って」
櫻子「お茶を濁したり誤魔化したり、そういうのは良くないと思うから」
向日葵「そ、そうかもしれませんけど‥時と場所というのも考えて‥くれないと」
向日葵「何も朝っぱらからこんなファーストフード店で、そんな大事な話しなくても‥」
櫻子「時間や場所なんて関係ないよ」
櫻子「私の向日葵への想いは、今も昔も、いつもどこでも、きっと未来でも変わらない」
櫻子「世界で一番向日葵が大事だよ」
向日葵「さ、櫻子‥!」ズッキューン!!
あかり「」
ちなつ「」
向日葵「さ、さくらこ~♪」ポワポワポワ~ン
あかり(ひ、向日葵ちゃんが‥、人懐っこい子猫ちゃんみたいになって櫻子ちゃんの膝の上でポワポワしてる‥!)
ちなつ(まさか、既にヤッテル関係だとは思っていたけど、ここまで関係が進んでいたなんて‥!!)ジュルリ
あかり・ちなつ(ていうか、櫻子ちゃんがイケメン過ぎ・・!!)
あかり「うぅ・・。なんかもう、私凄く感動しちゃったよぅ。二人ともおめでとう!幸せにね!」
ちなつ「なんだろうこの胸のトキメキ‥。抑えられない・・!!」
櫻子「それで、二人はどうするの?今の家からも電車駆使すれば通えなくもない距離だと思うけど‥」
あかり「わ、私は‥どうしようかなぁ。合格してから考えれば良いと思ってたから」
ちなつ「わ、私も‥」
櫻子「ふぅん、そっかー」ナデナデ
向日葵「さくらこさくらこさくらこ~♪」ポワポワポワ~ン
櫻子「それじゃ、私達こっちだから。またね~!」
向日葵「また今度ですわ~」ポワポワ
向日葵「ねぇ‥櫻子。今日、うち来ない?」
櫻子「向日葵ん家? うん、行く行く~」
ちなつ「・・・・・おう」
あかり「二人ともまったね~!」
ちなつ「・・・・・・最後まで見せつけられてしまった」
あかり「けど、ああいうのってなんだか良いよねぇ。見てるだけでこっちがポワポワしてきちゃうっていうか」
ちなつ「あーうんソウデスネ」
あかり「あかりもいつか、ああいう相手が見つかったら良いのになぁ」
ちなつ「・・・・・!」ドキッ
ちなつ「な、ナナナナ!?ど、どうしたいって何が、どういう意味で!?」
あかり「もちろん、大学生活になったらどこに住むかって話だよぉ」
ちなつ「て、ああ。なんだそっちか・・・。私てっきり」
あかり「てっきり?」
ちなつ「い、いや、やっぱ何でもない!」
ちなつ「そ、そだねー。やっぱり、大学生になったらアパートで一人暮らしとか憧れなくもないかなー」
あかり「ふぅん、憧れるのはやっぱり“一人”暮らし?」
ちなつ「え・・?」
あかり「いや、深い意味はないんだけどね。ちなつちゃんは“一人”でも逞しく暮らしていけそうだしねぇ」
―ドキリ
けど、一番変わったのはあかりちゃんだと思う。
昔からのトレードマークだったお団子は、そのまま二つとも形を残してはいるけれど、
髪も背も私を通り越して随分伸びたし、
昔から誰に対しても平等に向けられていた天使の微笑は、更にその輝きを増していた。
ちなみに、流石に高校生にもなって一人称自分の名前は恥ずかしいみたいで、
一人称の「あかり」は、今となっては私の前でしか使ってないようだ。
お助けスキルの万能っぷりにも磨きがかかり、
櫻子ちゃんに限らず、我がクラスで彼女のお世話になっていない人はいない程。
頼りにされ過ぎて人に埋もれてカメラに映らないことが多々あるのはご愛嬌。
とにかく凄いJKに成長しちゃったものだ。
私だって、あかりちゃんのことは、その・・、凄く可愛い女の子だって思うようになったし。
そんな彼女の一番の親友でいられるこの現状は、
凄く嬉しくて美味しいものだと思ってはいるけのだけれど・・・。
けど、私は同時に感じている。
今の私のこのドキリと鳴った心音は、
彼女と“それ”以上の関係を望んで鳴った音だということを。
あかり「う~ん、あかりはねぇ。どうかなぁ」
あかり「あかり、おっちょこちょいな所とかまだ結構あるし・・」
あかり「それに一人っきりで暮らすのは、やっぱり少し寂しいかなって思うよ」
ちなつ「あかりちゃん・・」
あかり「ちなつちゃんは、どう?」
何故だろう。
あかりちゃんは今、確かに微笑んでいるのに、
あかり「一人でも寂しくない?」
その笑顔が、今にも消え入ってしまうような儚げなものに見えて、
ちなつ「・・・・・・」
私は、衝動的に彼女の腕に手を伸ばしていた。
あかり「え?」
ちなつ「一緒に暮らそう、あかりちゃん。向日葵ちゃんと櫻子ちゃんみたいに!」
あかり「え・・、けど・・いいの? あかりなんかと一緒で」
ちなつ「ううん、あかりちゃんじゃなきゃ意味がないよ!」
ちなつ「だって、私が一緒にいたいのはあかりちゃんだけで、その‥、うまくは言えないけどさ!」
ちなつ「私はあかりちゃんが良いの!」
ちなつ「私、あかりちゃんとキスし合うような関係になりたい!!」
あかり「ち、ちなつちゃん・・・!」
ちなつ「ほ、本気だからね!」
ちなつ「あ」
あかり「初めては中学一年生の時、ちなつちゃん家で。アレは無理矢理だったけど・・。それからも何度も」
あかり「練習とか予行演習とか実験とか、理由は色々だったよねぇ」
ちなつ「しまった、そうだったぁ!!!」
ちなつ「違うの、あかりちゃん!そういう意味じゃないの。キスは確かに今までもしてたけど、これからは、その・・!」
ちなつ「向日葵ちゃんと櫻子ちゃんみたいに・・!」
あかり「喧嘩し合うの?」
ちなつ「ああ、あの二人だとそっちの方がイメージ強いけど、そうじゃなくて・・・」
あかり「ふふふ、なぁに?」
ちなつ「つまり私はあかりちゃんと・・、アレだよアレ」
ちなつ「エッチな関係になりたいの!!」
あかり「・・・・・・・・・はわわ」
ちなつ「って、何口走ってるんだ私はぁぁっぁアアア!!」
ちなつ「なし!今のなし!もっと気の利いた言葉探すから、もうちょっと待って、あかりちゃん!」
あかり「けど、良いよ。ちなつちゃん」
ちなつ「え?」
あかり「その、あかりも、恥ずかしいけど、ちなつちゃんが相手なら、良いかなって」
あかり「あかり、そういうことってあまり知らないから、あのね、下手かもしれないけど、それでも良ければ」
あかり「あかりと、えっちしても、良いよ?」
ちなつ「・・・・・・・・・・」
ちなつ「なにこれクソ萌える」
ちなつ「」バタッ
あかり「あ、アレ?ちなつちゃん!?鼻血?」
ちなつ「・・・・・・・・・・・」
あかり「い、息をしてない!?ちなつちゃん?あかりを残して逝かないでよ、ちなつちゃぁぁん!!」
あかりちゃんとの同棲に向けての動きを進めることになったのであった。
と言っても告白さえ成功させてしまえば、後に残る問題なんて些細なものだ。
女の子同士の二人暮らしなんて、大学生ともなれば親も簡単に容認してくれる。
寧ろ、家賃含めた多くの生活費の負担が半分になることを考えれば、
向こうとしては一人暮らしより歓迎すべき事態だと私は思う。
実際、中学の頃から仲良しだったあかりちゃんが相手だと言うこともあり、
親の説得は実に容易だった。
親の説得は。
あかり『何かね、同棲のこと話したら、是非一度連れてきてくれって頼まれちゃって』
あかり『ううん、お父さんとかお母さんじゃなくてね。お姉ちゃんが』
あかり『お姉ちゃんがちなつちゃんと、一度じっくり話し合いたいんだって』
その電話を受け取った直後、私の頭の中で流れたバックグラウンドミュージックが、
クロノトリガーの『魔王決戦』だったことは、何故だかよく覚えている。
ちなつ「お、お邪魔しま~す」
あかね「あら、いらっしゃい。ちなつちゃん。ちょっと久しぶりかしらねぇ」
ちなつ「は、はい。お久しぶりです、お姉さん」
あかね「あらあら、お姉さんだなんて。“あかねさん”とか気軽に呼んでくれて構わないのよ?」
ちなつ「は、はい。分かりました」
あかね「まぁこんな所で立ち話も難だし、リビングに行きましょう。あかりも待ってるわ」
ちなつ「はい。 ・・・そういえば、今日ご両親は?」
あかね「夫婦水入らずで温泉旅行に行っててね、今日は帰ってこないの」
ちなつ「そうなんですかぁ。そんな日にお邪魔しちゃって済みません。でも奇遇ですねぇ。今日は私のお姉ちゃんも・・」
あかね「まぁその旅行を今日という日に両親にプレゼントしたのは私なんだけどね」ボソ
ちなつ「え?今なんて?」
あかね「さぁ、どうぞいらっしゃい。ちなつちゃん」
ちなつ「わ、分かりましたー」
あかりちゃんのお姉ちゃん、あかねさんとも何度か会ったことはある。
赤座あかね。
あかりちゃんと同じくらい優しくて朗らかな笑顔を浮かべている、あかりちゃんと良く似た大人の女性。
うちのお姉ちゃんも昔からあかねさんのことを絶賛してるし、凄く良い人なんだと思う。
そう、思うんだけど・・・。
あかね「あら、どうかしたかしら?ちなつちゃん」
ちなつ「いえ。何でもないです」
何故だろう。
時折あかねさんからは同じ人間のものとは思えないオーラというか迫力というか、
化け物染みた気迫を感じる時があるのだ。
まるで、中学時代結衣先輩を追いかけていた時の私と同じ、
いや、その何倍も強い執着心のようなものを・・・。
ちなつ(な~んちゃって。流石に、考えすぎだよね・・・)
あかね「・・・・・なかなか良い勘をしてるわね」ボソ
ちなつ「へ?」
あかね「さ、どうぞ入って」
あかり「あ、ちなつちゃんだ。いらっしゃ~い」
ちなつ「ありがとう、あかりちゃん」
あかね「ふふ。自分の家だと思って寛いで良いのよ」
あかね「あかりと同棲するのなら、早いうちにこういうのは慣れといた方が良いでしょうしね」
ちなつ「え、えへへへ。そ、そうですね」
あかり「またまた~。お姉ちゃんたら気が早いんだからぁ」
あかね「だってあかりったら、『ちなつちゃんと一緒に暮らすんだ』って報告してから、毎日嬉しそうにはしゃいじゃって」
あかね「お姉ちゃん、嫉妬しちゃいそうよ?」ニコッ
ちなつ「・・・・・・!?」ゾワッ
ちなつ(今、私に向けられて凄まじい量のプレッシャーが放たれたような・・・!?)
あかり「も、もう!私、そんなにはしゃいだりしてないもん!」
あかね「あらあら、そうだったかしら?うふふふ」
ちなつ(き、気のせいだよね?)
私がまだ中学生だった頃に、
京子先輩が言っていた言葉を思い出した。
京子『へぇ、ちなつちゃんもあかりの家、行ったことあるんだ』
ちなつ『はい、優しそうなお姉さんが出迎えてくれました』
ちなつ『いやぁ、ああいう優しい大人の女性も何て言うか、その、素敵ですよねぇ。私憧れちゃいます』
京子『ふ~ん。でも、あの人には気をつけた方が・・・』
ちなつ『ふぇ?どうしてです?』
京子『あ、いやいやいや。普通に接する分には普通に、いや、普通以上に良い人だよ。優しいし』
京子『ただ、ちなつちゃんはあかりとキスしたこともあるし・・』
ちなつ『ちょっとぉ、そのことはもう忘れてくださいよぅ!』
京子『もしまた、あんな風にあかりにチョッカイ出す時は、あかねさんには気を付けた方が良いよ?』
京子『気を付けた所で逃げることはできないだろうけど。下手すりゃ死・・・、いや、なんでもない』
ちなつ『またまた~、京子先輩ったらフザケタことを抜かし過ぎですよ~、構ってちゃんですか?』
京子『笑顔で酷いこと言わないで・・。まぁ、下手にあかりに手を出さない限りは大丈夫だろうけど』
京子『それこそ、あかりと恋人になったりしない限りは・・・』
ちなつ『何言ってるんですか、京子先輩。私は永遠に結衣先輩一筋ですよ!』
京子『まぁ、そうだよねぇ』
ちなつ(『下手すりゃ死…』って何ですか、京子先輩!? 私これからどうなるんですか京子先輩!?)
ちなつ(いやいやいや、落ち着くのよチーナ。あの京子先輩が言っていた言葉だもの。当てになるはずがないわ)
ちなつ(それにこの部屋にはあかりちゃんだっているんだもの)
ちなつ(慈愛の女神の権化みたいなあかりちゃんがこの場にいる限り、誰だってそんな大それたことは出来ないはず‥!)
あかり「それじゃ、お姉ちゃん。私そろそろ行くね」
あかね「本当に一人で大丈夫?私手伝おうか?」
あかり「私もう大学生だよ。何でも一人でできるお年頃だもん。大丈夫」
あかり「ちなつちゃんも楽しみにしててね」
ちなつ「え?あかりちゃん何処行くの?」
あかり「てへへ、せっかくちなつちゃんが遊びに来てくれたことだし、手料理でも振る舞っちゃおうかなぁって」
ちなつ「へぇ、楽しみだなぁ。ありがとう、あかりちゃん!」
あかり「お礼を言うのはまだ早いよ~。それじゃ、行ってくるね」
ちなつ「うん、頑張ってね」
あかね「怪我には気をつけてね~」
あかり「よ~し、頑張るぞ!」トコトコトコト
ちなつ「・・・・・・・・・・」
あかね「・・・・・・・・・・」
ちなつ(って・・・)
ちなつ(いきなり密室であかねさんと二人きりになってしまったアアッ!?)
あかね「・・・・・・・・・・・・・」ニコニコ
ちなつ(な、何なの!?何なの、この空気!?)
ちなつ(あかねさん笑顔なのに、その笑顔がどういう訳か、すげー“重い”!)
あかね「ねぇ、ちなつちゃん」
ちなつ「は、はい!?なんでしょうか」
あかね「お茶、お代わりいる?」
ちなつ「い、いえ、結構です」
あかね「そう・・・」
ちなつ「・・・・・・・・」
あかね「・・・・・・・・」ニコニコ
ちなつ(だから、何この空気!?)
あかね「・・・・・・・・」ニコニコ
あかね「あら、何かしら?」
ちなつ「今日は、あかねさんが私を呼んでくれたんですよね?」
あかね「ええ、その通りよ」
ちなつ「その~、いったい私に何の用だったんでしょうか?」
ちなつ「今更だけど、ちょっと気になっちゃって」
あかね「あらあら、そうだったわね。ごめんなさい、気を使わせちゃって」
あかね「何でも、あかりとあなたがこの春から同棲生活を始めるっていう話じゃない」
あかね「それでね、ちなつちゃんに聞きたいことがあって」
ちなつ「聞きたいこと、ですか?えっと、なんでしょう。私に応えられる範囲なら何でも聞いてください」
あかね「あらあら、ありがとう。でも、あまり難しい話じゃないから気を楽にして良いのよ」
あかね「ねぇ、ちなつちゃん」
あかね「あなた、あかりのことが好き?」
ちなつ「どぇえええええええ!?」
あかね「あらあら、ごめんなさい。いきなりこんな話振ったら驚いちゃうわよね」
あかね「違うのよ?好きって言ってもそういう意味でなくて・・・」
ちなつ(あぁ、びっくりしたぁ。そういう意味じゃなかったか)
あかね「友達とかクラスメイトとしての“好き”ではなくてね」
あかね「恋人とか恋愛とかの意味で“好き”かって聞いたの」
ちなつ「ああ、それですか。なんだぁ~」
あかね「うふふふふ」
ちなつ「って」
ちなつ(思い切りそういう意味じゃんッ!!)
あかね「うふふ。そんなに困らないで良いのよ。簡単な質問でしょ?」
ちなつ(か、簡単って・・!?そんな大事なことを簡単に聞いてくるってどうなの?)
ちなつ(まさか、ここでバカ正直に“好き”って答えたら『死』なんて展開じゃないわよね?)
ちなつ(ない、とは思うけど・・)
ちなつ「い、いきなりそんなデリカシーのない質問されても、困ります!」
ちなつ(取りあえずここはお茶を濁しておこう)
あかね「あら、濁しちゃうのね」
ちなつ「いっ!?」
あかね「でもね、本当に難しいことを聞いてる訳じゃないし、ちなつちゃんがどう答えたとしても」
あかね「それで、あなたをどうかしようとか、そう思っている訳じゃないし」
あかね「そのことを父と母にばらして同棲の話をナシにしようという訳でもないの」
あかね「ただ、あの子の姉として、こういうことは知っておきたいだけなの」
あかね「だからお願い。あなたの本当に気持ちを聞かせて頂戴」
ちなつ「・・・・!」
自分の妹のことを想って、私にそんな質問を投げかけてきたのだということが良く分かった。
ちなつ(そっか。当然だよね。大切な妹のことだもの。そういう心配しない方がおかしいか)
ちなつ(それなのに、私ったら・・)
大昔に聞いた京子先輩の戯言を本気にして、本音をはぐらかした自分がとても恥ずかしくなってきた。
そう、あかねさんはあかりちゃんの実の姉なのだ。
私の大切な人のお姉さん。ならば、私が真実を話すのに気後れする理由なんて何もない。
だって私は、
あの日、あかりちゃんに告白したことに、一切の後悔を抱いていないのだから。
ちなつ(そう、堂々とすれば良いのよ。あの時の櫻子ちゃんみたいに!)
ちなつ「・・・・分かりました。正直に話します」
ちなつ「あかねさんの、言う通りです」
ちなつ「私はあかりちゃんのことが、す、すすすす、好きです!」
ちなつ「あかりちゃんを、その、私の特別な人として、愛しています!!」
あかね「そう。やっぱり、そうだったのね」
ちなつ「はい。はぐらかそうとして、済みませんでした」
ちなつ「はい!」
あかね「あなたはあかりのことが大好きなのね?」
ちなつ「はい!」
あかね「実はね、私も一緒なの!」
ちなつ「はい!?」
あかね「うふふ、仲間ができて私も嬉しいわ」
ちなつ「あの?あかねさん?それってどういう・・?」
あかね「ああ、ごめんなさいね。あんな言い方じゃ誤解させちゃうわよね」
あかね「恋人とか恋愛とか意味で“好き”って訳じゃないのよ」
ちなつ「ああ、ですよね。びっくりした」
あかね「ただね、あかりの脱ぎたてのパンツを被ってみたいとか、お風呂上りのあかりの湿った髪の毛をくんか
くんかしたいとか、汗まみれになったあかりの身体をギュウギュウしたいとか、あかりを女体盛にしてお刺身食べて
みたいなとか、あかりの使用済みティッシュをモグモグしたいとか、目が覚める寸前の意識が朦朧とした状態のあかり
のほおに毎朝チュッチュしたいなとか、犬のきぐるみパジャマ着て『あかりわんわんだー』って嬉しそうにはしゃぐあかりに
『わんわんならコレを付けないとね』と首輪を持って迫って困らしてあげたいとか、缶ジュースのコーラを開けたら中から
勢いよく中身が飛び出してきて炭酸まみれになってしまったあかりをペロペロして綺麗にしてあげたいなとか、突然の
大災害によって生き別れとなってしまった私を長い年月をかけて探し出したあかりに対して『あなた誰?』と記憶喪失
を演じてみて涙目にしてみたいとか、単純に近親相姦したいとか」
あかね「そういう“好き”って意味だから。安心してね」
ちなつ(思ってたより37倍ヤバい答えが返ってきたッ!!!?)
ちなつ「アハハハハハ、その、冗談ですよね?」
あかね「うふふふ。冗談だと思いたいのね」
あかね「それじゃぁ、ちなつちゃん」
あかね「私の部屋、来る?」
だが、そんな些細なことなど気にならない程に、その空間は“異質”だった。
ちなつ「あかりちゃんの写真がいっぱい・・・」
あかね「ええ、私の宝物よ」
あかね「家族写真をバレないようポスタ―大に引き延ばすのも結構大変なのよね~」
ちなつ(どう考えても盗撮としか考えられないシチュの写真もあるんだけど・・)
ちなつ「それに、ベッドの上にはあかりちゃんの抱き枕」
あかね「もちろん特注品よ」
ちなつ「ベッドが人間の形に盛り上がってる・・・」
あかね「あかり抱き枕その2よ。デザインはちょっと見せられないわね」
ちなつ「あかりちゃんのパンツ」
あかね「もちろん洗ってないものよ」
ちなつ「え?ペットボトル?」
あかね「中身は秘密よ」
ちなつ「おおう・・・・・」
ちなつ「ええ。言葉ではなく『心』で理解できました・・」
あかね「そう。なら良かったわ」
あかね「実はね、この部屋はあかりにも両親にも見せたことがないの」
ちなつ「一度でも見せていたら今の温かい家庭はなかったでしょうね・・」
あかね「けど、今日こうしてあなたに見せてしまった。秘密なのにね」
あかね「それはどうしてか、あなたに分かるかしら?」
ちなつ「いやぁ、全然分からないっす・・・」
あかね「それはね、ちなつちゃんに、最後の質問をしたかったからなの」
ちなつ「ふぇ?」
あかね「ちなつちゃん。私はこうやって、私がどれだけあかりを愛しているのか示してみせたわ」
あかね「次はちなつちゃんに教えて欲しいの」
あかね「あなたが、どれほどの想いであかりを愛しているのかを」
ちなつ「な、何でいきなりそんなことを!?」
あかね「だってこれは凄く大切なことよ。分かるでしょう」
あかね「ちなつちゃん。今のあなたになら、私がどれくらいあかりが好きなのか良く分かるでしょう?」
あかね「これほどまでにあかりが好きな私が、私がね・・」
あかね「私よりあかりを好きでない人間に、あかりを渡すと思う?」
あかね「そんなことに、私が耐えきれると思うのかしら?」
ちなつ「そんな・・・」
ちなつ「あかねさん、私がどう答えても『私をどうしようという気はない』とか、『同棲の話をナシにする気はない』とか」
ちなつ「あれ嘘だったんですか!? 私を騙したんですか!?」
あかね「あらあら誤解しないで、ちなつちゃん。今の質問にだって、あなたがどんな答えを返したとしても」
あかね「あなたに手を出したり、今更同棲のことを反対したりしないわ」
あかね「そう、あなたにはね」
ちなつ「なら・・!!」
あかね「けれどね、あかりは別。いいえ、あかりは特別なの」
あかね「あかりは私にとって、この世の誰よりも、いいえ、この世の何よりも大切なモノ」
あかね「それが自分より想いの弱い人間に取り上げられるなんて考えられない」
あかね「だからね。取られる前に取るの。刈り取られる前に私が収穫するの」
ちなつ「それって、どういう意味です・・?」
あかね「まぁ敢えて無粋な言葉を使って言うと。あかりの“初めて”は、私が頂くわ」
ちなつ「・・・はぁ!?」
あかね「あかりをね、私だけのものにするの」
あかね「どれだけ遠くに行っても私だけ想い続けるように」
あかね「どれだけ時間が経っても最後には私の所に戻ってるくるように」
あかね「念入りに確実に、あの子を作り変えるのよ」
ちなつ「そんなこと、滅茶苦茶です・・・。自分が何を言っているのか分かってるんですか!」
あかね「ええ、分かっているわ。とても罪深い、普通に考えたら誰にも許してもらえない所業よね」
あかね「でもね。これは仕方のないことなの」
あかね「そうしなければ、私のこの気持ちが収まらない、というだけ」
あかね「分かるかしら、ちなつちゃん。“やる”“やらない”の問題ではないの」
あかね「私はね、“やるしかない”の」
あかね「私、“赤座あかね”という人間は、生まれた瞬間からそういう風に出来てしまっているの」
あかね「いいえ、正確にはあかりが生まれた瞬間から、かしら?」
ちなつ「・・・・・・」
ちなつ(なに、この人。狂ってる・・・)
私はそれを止められるだろうか。
答えは否だ。
あかりちゃんの両親に伝えたところで、
他人の家の子供と自分の家の子供、どちらを信じるかは明白だし、
この部屋のことを教えたとしても、
その調査の手が及ぶ前に、あかねさんが証拠隠滅の手間を惜しむとは思えない。
あかりちゃんに直接伝えたとしても、
彼女は優しいから私とあかねお姉さん、そのどちらかを疑うような真似はしないはずだ。
多分、どっちも信じて、その葛藤を表に出すことはしないのだろう。
本当にあかねさんが本気で迫ってきたら、きっと彼女は抵抗できない・・。
あかね「まだ、そうなると決まった訳ではないわ」
あかね「だから、あなたの気持ちを教えて」
あかね「あなたがどれくらいの強さであかりを愛しているのか」
あかね「あなたが、あかりに何をしてあげられるのか」
あかね「私に説明してみせて」
あかね「そして私を諦めさせて」
あかね「『私の負け。あなたにだったらあかりを任せられる』」
あかね「そう、思わせて頂戴」
あかね「けどね、その程度の愛も語れない様なら」
あかね「ちなつちゃんに、あかりは渡せない」
私がどれくらいあかりちゃんを愛しているか?
私があかりちゃんに何をしてあげられるのか?
何それ?
いきなりそんなこと言われたって、それで私に何て答えろって言うの?
だって私はただ、
ただ、あかりちゃんが好きなだけで。
誰にでも優しく笑顔を向けるあかりちゃんが好きなだけで。
クラスの皆に頼りにされて慕われているあかりちゃんが好きなだけで。
私のどんな理不尽な我儘にも笑顔で付き合ってくれたあかりちゃんが好きなだけで。
私の恋を笑わずに真剣に応援してくれたあかりちゃんが好きなだけで。
私が失恋した時、泣きじゃくる私の背中を何も言わずに抱きしめてくれたあかりちゃんが好きなだけで。
私と中学の頃からずっといてくれたあかりちゃんのことが好きなだけで。
だから、私は、何よりもあかりちゃんが大切で、
大好きで。
だから、そのあかりちゃんを私から奪おうとするこの人は・・。
この人を止める為に私は・・。
私が言わなければならない言葉は・・。
あかね「どう? 答えはまとまったかしら」
ちなつ「ああ、そっか」
そうだった。分かった。
私が言うべき台詞は分かった。
ちなつ「分かっちゃった」
あかね「あら、何が分かったのかしら?」
ちなつ「あかねさん」
ちなつ「そんなことはどうでもいい」
ちなつ「『知ったことじゃない』って言ったんです」
ちなつ「そう、あなたなんてどうでもいい」
あかね「ちなつちゃん・・。私の質問の意図を理解しているのかしら?」
あかね「あなたの返答次第では、あかりは・・」
ちなつ「だから、どうでも良いですよ。あなたに興味がありません」
ちなつ「あなたが善でも悪でも姉でも家族でも変態でも狂人でも犯罪者でも、そんなことは些細なことです」
ちなつ「私はあかりちゃんを愛してる。そう、愛してる。大好きです」
ちなつ「大事なのはその事実一点だけ。“強さ”?“どれくらい”?“何をしてあげられるか”?」
ちなつ「学校のテストじゃあるまいし、面倒くさいんですよ」
ちなつ「年上だからって、上から目線でものを語るのはやめてください」
あかね「“愛してる”だけ?そんな使い古された単語一個で、私の気持ちの上に行けると思っているの・・?」
ちなつ「だからさぁ。さっきも言ったじゃん。いつまで上から目線で語ってんのよ・・」
ちなつ「あかねさん。あなた、あかりちゃんとキスした経験は?もちろん、マウストゥマウスで」
あかね「はい? 何を突然・・」
ちなつ「私は、中学の頃に既に済ましたわ。逃げるあかりちゃんを押し倒して無理矢理奪っちゃったの。あかりちゃんの初めてのキス」
ちなつ「その後も、あかりちゃんは色々と“練習”に付き合ってくれたわ。分かる?」
ちなつ「“奪う”だの“襲う”だの、何を偉そうに。そんなの私の18番だっての!」
ちなつ「私はね、自覚あるけど、恋だの愛だの色恋沙汰だの、そういうのには人一倍貪欲なのよ!」
ちなつ「あなたがあかりちゃんに・・何が出来ようと!何をしようと!そんなことは関係ない!!」
ちなつ「どんな障害も弊害も押しのけて、私はあかりちゃんを絶対に手に入れる」
ちなつ「今度こそ、私は私の愛を成就させてみせる・・!!」
ちなつ「それを止められるのは貴女じゃない!あかりちゃんだけ!!」
ちなつ「私が愛している、世界で一番優しい女の子だけよ!!」
ちなつ「分かったらさっさと引き下がれば良いわ!このシスコンの変態姉貴!!」
あかね「・・・・・・・・・・・・・」
ちなつ「・・・・・・・・」
ちなつ(・・・・。やべ、言いすぎた?)
あかね「なら、私の答えは“こう”よ」
ちなつ「え?」
ギュ
―彼女は・・、あかねさんは、
―私の身体を、ただ優しく抱きしめた。
あかね「ありがとう。ちなつちゃん」
あかね「それほどまでに、あかりのことを愛してくれてありがとう」
ちなつ「へ?え? はい?」
あかね「貴女になら、あかりを任せられる」
あかね「私が愛している、世界で一番大切な妹を任せられるわ」
ちなつ(この人、泣いてる!?)
ちなつ「・・・・・・それって、つまり」
あかね「ええ、そうよ。ごめんなさい。あなたを試していたの」
ちなつ「つまり、私てば騙されちゃったんですか!?」
あかね「ええ、そう‥よ?」
ちなつ「なんで疑問形なんですか!?」
あかね「嘘自体はあまり付いてなかったから」
ちなつ(この女は・・・・!)
あかね「ちなつちゃんのことは何度も会ったことがあるし、ともこさんからもお話を伺っていたから・・」
あかね「貴女がどういう人間で、あかりとどういう関係なのかも、大体察しはついていたのだけれど」
あかね「やっぱり、『どれくらいあかりを好きなのか』なんて、本人に直接確認しなきゃ分からないでしょう」
あかね「だからね、私も自分の全てをさらけ出すつもりで、思い切って聞いてみたの」
あかね「結果的に、私は凄く安心できたわ。あなたの気持ちは本物だもの」
あかね「貴女と一緒なら、きっとあかりは幸せになれる」
あかね「それが分かっただけで、私は本当に嬉しい・・」
ちなつ「あかねさん・・・」
ちなつ(それ確かめるにしても、もうちょっと別の方法があったんじゃ・・)
あかね「ついでに、私の秘蔵コレクションを遠慮なく自慢できる相手が出来たこともとても嬉しい!」
ちなつ「て、おい!一緒にしないでください!私はそこまで変態じゃありません!」
ちなつ「良いんですか?私は確かにあかりちゃんが好きだし、結婚したいと言っても過言じゃありませんけど」
あかね「結婚はまだ早いわ」
ちなつ「ごめんなさい」
ちなつ「でも、私ああいう性格ですよ」
ちなつ「天使みたいに優しいあかりちゃんと、私なんかじゃ釣り合いとれないってことくらい、自分でも分かってます」
ちなつ「そんな私なんかに、あかりちゃんを任せても・・」
あかね「性格なんて関係ないわ。貴女があかりを愛しているのなら、私はそれでいいの」
あかね「本当のところ、あかりが誰と付き合おうと、誰のことが好きであろうと」
あかね「そんなこと、私にとっては些細なことなのよ」
ちなつ「え?」
あかね「脆くて儚くて、だからこそ美しく見える幻想」
あかね「けれどね。“姉妹”は違う。生まれた瞬間から決まっている絶対的な絆の繋がり」
あかね「終わることのない永続の関係性」
あかね「例えこの命が潰えても、私はあの子の姉のまま。あの子は私の妹のまま」
あかね「私にとってね、それ以上の関係性なんてね、この世界に存在しないのよ」
あかね「だから、あかりが誰の“恋人”になったとしても、それを私が妬む必要性なんて欠片もないわ」
あかね「あかりが無為に不幸にならないように、今回みたいなちょっとした根回しはしてしまうけどね」
ちなつ「つまり、私は甘く見られてるんですね?」
あかね「いいえ、私は誰のことも、過剰にも過小にも評価しないわ」
ちなつ「はは、やっぱり上から目線だよこの人。今に見てろよ」
ちなつ「そのシークレットってどういう基準なんですか!?手作りなんですよね?」
あかね「ほら、あかりがこんなにあられもない姿に・・・」
ちなつ「ま、ま、惑わされませんよ!!」
ちなつ「そ、そんなカードなんかに・・!一枚の紙切れなんかに私は、私は・・・!!」
あかり「あ、お姉ちゃんとちなつちゃん。上で何してたの?」
あかね「ふふふ。二人だけの秘密の話し合い。あかりには内緒よ。ねぇ、ちなつちゃん」
ちなつ「そ、そうですね。あかねさん」
あかり「あー、何時の間に二人とも凄く仲良くなってるー」
あかね「ふふふ。ちなつちゃんとは何かと趣味が合いそうでね」
ちなつ(・・・・・、結局4枚ももらってしまった・・・)
ちなつ「ふー。あかりちゃんのご飯美味しかったー。ご馳走様」
あかね「あかりの作るご飯は、いつ食べても美味しいわねー」
あかり「えっへっへぇ。ありがとう、二人とも」
あかね「という訳で、ちなつちゃん」
ちなつ「はい、なんでしょうか?」
あかね「今日は泊まっていきなさい」
ちなつ「え?」
あかり「ふぇ?」
ちなつ「はい?」
あかり「ちょ、ちょっとお姉ちゃん。なんでいきなりそんな!?」
あかね「引っ越す前に、色んなことに慣れておいた方が良いでしょ」
あかね「今のうちに、いろいろ体験しておくのも悪くないんじゃない?」
あかね「幸い、今日はお父さんもお母さんも帰って来ないしね」
あかり「そ、それって・・・」
ちなつ「つまり・・・」ゴクリ
あかね「うふふふ」
―あかりちゃんの部屋。
姉とは打って変わって綺麗に整頓されたシンプルだけど可愛いお部屋。
私も何度か泊まったことのある小慣れた空間。
そんないつもの空間に、いつもの景色とは少し違う要素が一つ。
あかりちゃんがいつも眠っているベッドの上、
可愛らしいデザインの小さ目の枕が、二つ並べて置かれていた。
ちなつ「・・・えっと、良いのかな?」
あかり「あ、あかりは良いけど・・・。ちなつちゃんは」
ちなつ「わ、私だって!!あかりちゃんが相手なら何時だって何処だって!」
あかり「あかりも・・同じだよ。ちなつちゃん」
ちなつ「あかりちゃん・・・」
チュ
あかり「はは。子供ぽいキスになっちゃった・・」
ちなつ「大人のキスは、ベッドの中で。ね?」
あかり「うん・・・」
ちなつ「そ、それじゃ早速・・」
あかり「あ、その前に、その」
あかり「あかり、トイレ行って良い?」
ちなつ「ちょ、空気読んでよ、あかりちゃぁん」
あかり「うぅうぅ、ごめんねぇ。でもあかり何だか緊張しちゃって」
ちなつ「でもまぁ、何はともあれ」
ちなつ「ふふふふふ、よっしゃぁ!!」
ちなつ(今まで紆余曲折あったけど、ついにこの時が!この時が!この時が!!)
ちなつ(落ち着いて。落ち着くのよちなつ!この時の為に何年も前から予習学習してきたじゃない!!)
ちなつ(自分を信じるのよ!きっとうまくいくわ!!)
ちなつ(そして何回もあかりちゃんを天国送りにしてやるんだから!)
ちなつ「・・・・、それにしても緊張するな」
ちなつ(あかりちゃんの部屋・・。折角だからこの機会に色々調べて見ようかな)
ちなつ(手始めに、ベッドの下!こういう所にHな本とか隠してたり・・)
ちなつ(な~んて、あかりちゃんに限ってそんな訳ないか・・ ん?)
ちなつ(あれ?なにかある? 奥の方。鉄の箱みたいな)
ちなつ(なんだろう?)
あかね「それにしても、本当に安心したわ」
あかね「ちなつちゃんが、本当にあかりを愛してくれていて」
あかね「そして心も身体も強そうな子で。いえ、頑丈そうな子で」
あかね「これで私も安心」
あかね「彼女ならきっとどんな目にあっても、きっとあかりを愛してくれるはず」
あかね「あの子の全てを受け入れてくれるわよね」
あかね「だから、頑張ってね。ちなつちゃん」
あかね「あの子一応、私の妹なのよ」
ちなつ「なに、これ・・・・」
ちなつ「何で?どうして?どういうことなの?」
ちなつ「この箱の中、どうなってるの!?」
ちなつ「何で、私の写真が・・こんなに!?」
ちなつ「最近の・・だけじゃない。これ、中学校の頃の制服だ。ごらく部での写真もある・・」
ちなつ「明らかに、隠し撮りっぽいシーンもあるし!なんで私こんなに脱いでるの!?」
ちなつ「ていうかこういう写真、今日どっかで見た気が!?」
壁一面にこういう写真が貼り巡らされていない分、こっちの方が大分マシなのだろうが、
それにしてもこの枚数は尋常な数じゃない。
いったい、何百枚入っているんだ。
あかり「ちなつちゃん・・・」
ちなつ「!?」
あかり「あはは、それ見つかっちゃったんだ。恥ずかしいなぁ」
ちなつ「あ、あかりちゃん。これって、どういう・・」
あかり「えっと、その、ごめんねぇ。ちなつちゃん」
あかり「こういう写真を勝手に撮ったり、隠し持ってたりすることって、かなり悪いことかもって、思ってはいたんだけど」
あかり「でもね、どうしても抑えられなかった・・」
あかり「ちなつちゃんのこと、ずっとずっと。本当に好きで好きで溜まらなかったから」
ちなつ「あ、あかりちゃん?どうしたの?その、瞳孔開いているよ?」
あかり「だからあかり、凄く嬉しかったんだよ。ちなつちゃんが私に告白してくれて」
あかり「私、あの時すっごく幸せだった」
あかり「これで、ちなつちゃんはあかりの、あかりだけのもの!」
あかり「あかりの、好きにしても良いんだよね!?」
ちなつ「あ、あ、あう・・」
あかり「怯えないで、ちなつちゃん」
あかり「優しくする。優しくするから、ね?」
あかり「だから、ちょっとだけ我慢して、ね?」
ちなつ「ちょ、ちょっとあかりちゃん、いきなりその手の動きは激し過ぎ・・」
ちなつ「あ、ああ! ひゃっ!!ひ、ひぅぅうっ!ひぅぅんん!!」
あかり「ふぇへへ。可愛いよぅ。ちなつちゃん、可愛いよぅ」
あかね「あの子は私の妹だから」
あかね「きっと、私みたいに誰かを普通に“愛する”ことはできない」
あかね「本当にあかりのことを愛していなければ、耐えきれないほどにね」
あかね「そう、私のことを想うあなたみたいに」
ともこ「ん・・んん・・・!」
あかね「うふふ。無理して喋ろうとしなくてもいいのよ」
あかね「ずっと放置しちゃっててごめんなさい」
あかね「苦しかったでしょう?」
あかね「ちなつちゃんが部屋に来ても気づかれないように、ベッドの上でこんなに激しい振動にも耐えて静かにしてくれたものね」
あかね「ご褒美にこれからたっぷりと、あなたを愛してあげる」
あかね「嬉しいでしょう? ねぇ」
あかね「ともこさん」
ともこ「くはぁ。ハァハァ・・・はい、あかねさん」
こうして、私、吉川ちなつは、まぁうん色々あって、
無事にこの春からあかりちゃんと同棲することになったのである。
あかり「うわぁ。ここがあかり達の新しいお家かぁ」
ちなつ「やっぱり実家と比べると全然狭いねー。けど、そこが良い感じかも」
ちなつ「これからも、宜しくね。あかりちゃん!」
あかり「うん、宜しくねぇ。ちなつちゃん」
ちなつ「それじゃ取りあえず、段ボール開けて必要なものから整理していこっか」
あかり「うんしょ。うんしょ。準備できた」
ちなつ「って、何でいきなりダブルベッドだけ完璧に完成してんの!?何時の間に!?」
あかり「てへへへ。取りあえずこれがないと始まらないかなって思って」
ちなつ「何が!?引っ越し早々何を始める気」
あかり「流石にあかりもこんな昼間からそんなことしないよぅ」
あかり「けど、作業に疲れて休憩する時、ちょっとだけ。ね?」
ちなつ「それ絶対休憩にならないよね!?」
ちなつ「やらないよ!せめて夜寝る時まで待ってよ!」
あかり「分かった!じゃ、今日の晩に、今できない分も合わせて、ゆっくりと・・ね?」
ちなつ「明日入学式なんだから本当ほどほどにしてよね?」
ちなつ「足腰が立たなくなるレベルはちょっとマジで困るから」
あかり「・・・・・それじゃ、腕一本くらいなら」
ちなつ「それってどんなプレイ!?」
あかり「てへへ~。それは後でのお楽しみ」
ちなつ「天使の笑みで可愛いこと言ってるように見えるけど、それ全然楽しみじゃないよ!?凄く怖いよ!?」
苦しいことも多々あるけれど、私は今幸せです。
多分きっと幸せです。
あかり「何かもう面倒くさいから、今から始めちゃおうか」
ちなつ「ちょ、ちょっと!あかりちゃん!?どこ触ってるの!? や、やめ!!」
あんまそれ噛みしめる暇とかムードがないけれど。
fin.
長々とお付き合いさせてしまい済みませんでしたー。
誰も覚えてないと思うけど、半年くらい前にVIPに投下した
櫻子「6年後の未来に着いたぞ!」と同じ世界観だったりします。
取りあえず全部投下出来て良かった。
全裸になってる人は脱がして悪かった。どうか服を着て欲しい。
すばらしいあかちなだった
すばらしい乙
赤座家の血筋の恐ろしさがよく出ててとても面白かった
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「千冬姉は毎朝一回はキスしないと不機嫌になる」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328406372/
女性客A「ねえ、キスの経験っていつからだった?」
女性客B「うーん、実は15で……初恋の人と」
女性客A「それくらいかあ。私は1年遅かったけど、相手は今何してるんだろうね」
女性客B「何って……私と結婚の準備進めてるけど……」
女性客A「はあ!?今まで続いて、しかも結婚の相手なわけ!?超レアケースじゃん」
千冬(隣客が騒がしいな)
女性客B「私たち、小さな島の出身でね。お年寄りばっかりで子どももあんまりいなくてさ」
女性客A「ふんふん」
女性客B「街の子どもより物を知らない分素直だったからかな。お互いに遠慮しなかったし、向こうもこっちを想ってくれてて……」
千冬(ふむふむ)
女性客A「そういうのいいなあ。私は今まで何人かと付き合ってきたけど、ほとんど思い返さないもん」
千冬(見た目は25前後だが、もう何人かと……)
女性客A「学校の先輩と。卒業式の後で体育館裏でね」
女性客B「Aの方がロマンチックじゃない」
女性客A「うーん……でも、なんか演技してる気分だった。『こういうのが理想ですよ』っていう刷り込みをなぞってるだけっていうか」
千冬(……まったく心境が理解できん)
女性客B「でも、初めては忘れないものよね!」
女性客A「うん!」
千冬(………)
千冬「マスター。勘定だ」
千冬(……キス、か。やはり良いものなのだろうな。長い歴史を持つのだからな)
千冬(好きな相手とのキス……)キュン
千冬(!?私はなにを生娘のようなことを……)
千冬「帰ったぞ」
一夏「おかえり千冬姉。遅かったな」
千冬「ああ、心配掛けたな」
一夏「顔赤いぞ。酒飲んできたんだな」
千冬「うむ……もう休む……」フラッ
一夏「!危ない」ガバッ
ドサァ!
千冬「!」
一夏(!千冬姉と唇が触れ合って……)
千冬「す、すまん!酔っていたようだ」ドキドキ
一夏「あ、ああ!大事なくて良かったな!」ドキドキ
千冬「シャ、シャワーを浴びてくる」
シャアアァァァ
千冬(……まさか……初めての相手が一夏とは………)ドキドキ
千冬(バーで話を聞いてしまったのが原因だ!下らん妄念が湧いてきたから、忘れようと更に酒を飲んでしまった)ドキドキ
千冬(しかし……胸の高鳴りが収まらないのはなぜだ?)ドキドキドキドキ
千冬(鏡を除いても、まったく上気した顔が戻っていない。酒のせいか、それとも……)ドキドキ
一夏「千冬姉、長風呂だな……ダメだ、俺もまだドキドキいってる。水飲もう」ドキドキ
千冬(今こんな真っ赤な顔を一夏に見られたら、どう思われるか……)
千冬(引いてくれ、頬の赤み!……こんな顔じゃ出られない!)
―――
―
一夏「あ、千冬姉上がったんだ。ずいぶん長かったな」
千冬「ああ」
一夏「………」
千冬「………」
一夏千冬(沈黙が痛い)
一夏(俺と同じように、千冬姉もさっきのキスのことをどう折り合い付けようか悩んでるんだ)
千冬(一夏もさっきの事故のことが頭から離れないようだな、分かってしまう……)
一夏「俺もシャワー浴びようかな!千冬姉おやすみ!」ソソクサ
千冬「ああ」
千冬「……明日あいつとまともに顔を合わせられるだろうか?」
千冬「もう寝てしまおう。まだ心臓が落ち着かんが、横になれば平常時に戻るはずだ」
一夏「お、おはよう、千冬姉」
千冬「うむ、おはよう……」
一夏「朝飯作っといたぜ。なんか早起きしちゃったからさ」
千冬「……一夏よ、昨日は悪かったな」
一夏「!いや、気にしてないって!千冬姉もすぐ忘れろよ」
千冬「それと、済まんがもう一度キスしてくれないか」
一夏「あんなのノーカンだよ。ただのハプニング……って、え!?」
一夏(顔が赤くなってる……)
千冬「私も、まあ一応女性だ。だが、こういった行為の意味するところを人並に考えて来なかった」
一夏「う、うん(顔赤くしてうつむいてる……可愛い)」
千冬「しかし、昨日おまえとその……あの……キス、をしたあとに妙に心臓が高鳴ってな」
一夏「それで?」
千冬「この脈拍の速度上昇がキスという行為によるものなのかどうか、確かめたいんだ」
千冬「本心を打ち明けさせて貰うならば、私は女性的な魅力に欠けているのではないかと思っていてな」
一夏「全然そんなことねえよ!」
千冬「女の癖に女心が分からんのではないかと、常々思っていてな。IS学園の教師がそれではいかんだろう」
千冬「高校位の年の娘は、どの国も同じ傾向を備えている。だから、せめて女心を理解していなくては正しい指導もできんだろう」
一夏「……つまり、キスしたときの気持ちがどれいったものか知ることは、生徒の気持ちを理解することに繋がる、って言いたいんだな」
一夏「うん、良いよ。千冬姉は俺を育てるのに大変で、そういったことには縁がなかったんだし」
一夏「だからそれくらいのことはしなくちゃな。俺のせいで生徒の相談に乗ることができなかった、ってことが起きたら嫌だし」
千冬「そうか!じゃ、じゃあいくぞ」
一夏「うん」
千冬「……っん」チュ
一夏「……ぅむ」
一夏(………柔らけえ……あったかいし……)
千冬「……ぅん……んっ……」
一夏(……もっと……こうしていたい)
千冬「……ぅん!?」キュゥゥゥン
一夏(千冬姉ぇ!)ギュウ!
千冬「!?……ぅうぅん!……ゅぅん!」ドキドキドキドキ
一夏(離したくねえ!!)ギュウゥゥ
千冬「ふぱぁっ……!」バッ
一夏「あっ!!」
一夏「あ………」
千冬「ふう……はぁ……」チラッ
一夏「!」
千冬「……!」プイッ
一夏(最低だ俺……今千冬姉に何しようとしたんだ)
一夏(信頼して協力を求めてきたのに、あんなことを……家追い出されるな)
千冬「……おい」
一夏「!」ビクッ
千冬「協力してもらって済まんな。今から私は少し出掛けてくる……」
バタン
一夏「てっきり怒鳴られるかと……意外だ」
一夏「でもさっきの千冬姉、また顔が真っ赤になってたな……」
千冬(……まずい。気持ちを整理するんだ。息を整えろ)ドキドキドキドキ
千冬(ここまで心臓が震えるのは未体験だ。どうしてあれだけのことで)
箒「あ、千冬さん。こんにちわ」
千冬「!ああ、おまえか。そうか、いつの間にか神社まで歩いてきたんだな私は」
箒(付け加えるならより色っぽい……)
千冬「そ、そうか?寒い風が吹きつけてくるからそのせいだろうな」
千冬(まずい。傍目から見ても分かってしまうほど紅潮しているのか)
箒「ところで、一夏は今家にいるのでしょうか?」
千冬「私が出るときにはいたが、今はどうかな」
箒「そうですか………はっ」
箒(こんなあからさまに一夏のことを聞いては、またなじられてしまう!)
千冬「わ、私はもう行く。おまえも風邪をひかぬよう用心しろ」
箒「はい!(あれ?いつもなら余裕を持ってからかってくるのに……)」
千冬(気持ちを整理してみよう。私は一夏とキスをしたら心音が高まった)
千冬「……!」ドキドキ
千冬(ダメだダメだ!思い出したらまた鼓動が速くなってくる)
千冬(大体、キスという行為そのものに対しては昨日ほど興奮しなかったんだ)
千冬(だが……相手が血の繋がった実弟だと意識した途端、急に心臓が締め付けられ、背中がゾクゾクして……うぅ!)
サラリーマン(色っぽい人だなあ。顔真っ赤にして……痴女かな?)
普通は「熱があるのかな?」と思うだろwww
千冬(良心の呵責か……?でもそれであんな気持ち――いや、身体への反応が引き出されるものか?)
千冬(分からん……それで、そのあとあいつに強く抱きしめられてっ……)ゾクゾクッ
千冬(このまま行っては確実に何かが壊れると感じて、思わず振り払ったが……認めなくてはならないな)
千冬(私は抱かれたとき、あのまま続くことを求めていたのだと……)カァァァ
サラリーマン(確実に痴女だな)
千冬(こんな危険なこと、続けていてはダメだ……今回限りで止めにしないと。だが……)
千冬「一夏っ……!」
千冬(切ないっ……キスの効果を確かめようとしただけなのに、どうしてこんなことになるんだ)
一夏(もしかして、もう家に戻るつもりはないのかも……)
一夏(俺が……あんなことしたからだ……怒るよりも怯えてたんだ、あの千冬姉が)
一夏(探しに行こう!そんで、許されるかどうか分からないけど土下座しよう!)
♪アテモーナク オチテイクホシノー
一夏(こんなときに着信か)
一夏「はいもしもし」
山田「あ、織村君ですか?今、先生が酔いつぶれてですね!」
一夏「はい!場所はどこですか?」
>>72
私服です
―――
―
【織斑宅】
一夏「よいしょっと……山田先生、ご迷惑をお掛けしました」
山田「いえいえ。でも、先生のことを気遣ってあげてくださいね。何か悩んでる風でしたから」
一夏「すいません。こんな時間から付き合わせちゃって申し訳ありません」
山田「はい。では失礼しますね」
千冬「……ううぅ」
一夏「千冬姉、ごめんな……俺のせいだよな」
千冬「一夏か……?」
一夏「!おう、俺だよ。どうしたの?」
千冬「……私とのキスは嫌じゃなかったか……?」
一夏「え?」
千冬「私は、あの後ずいぶん悩んでな……高々あれだけのことで、どうしようもなくなってしまってなあ」
千冬「ひょっとして、私が巻き込んだキスのことで、おまえも思いつめてるかも知れんと思ってなあ」ポロポロ
一夏「千冬姉、泣くなよ。俺は、悩んでない……って言ったら嘘だけど、嫌だったわけではないぞ!」
一夏「俺こそ、途中で抱きしめてごめん。怖がらせちゃったよな」
千冬「いや……私は嬉しかったぞ?ふふふ」
一夏(酔ってるのかな……?)
一夏「ち、千冬姉。一回寝たら?疲れてるだろ、精神的に」
一夏「テーブルの上に夕食用意してるからさ。夜中に起きたら食ってくれよ」
千冬「ぅむ……」
一夏「じゃあな……」
―――
―
~夜3時~
千冬「うむ……ん?いつの間に家に戻っていたんだ」
千冬「!そうだった、一夏に運ばれた記憶があるぞ」
千冬(そう言えば余計なことを口走ったような……明日からどう接すればいいんだ!?)カァァァ
千冬(ひょっとしたら一夏に嫌われたか……)
千冬(……!)チクリ
千冬(なんだ……今の胸を刺すような痛みは?あいつとキスしたときのものともまた違う……)
千冬(分からん……私は分からないことだらけだったんだ……)
一夏「あ、おはよう。千冬姉」
千冬「……」チラッ
一夏(やっぱり、昨日のことでまだ怒ってるのかなあ)
千冬(良かった……一夏から声を掛けてくれた……まだ元通りにできそうだ)
一夏「あのさ、俺昨日寝る前に考えたんだけどさ」
千冬「う、うむ。何をだ?」
一夏「自分の本心は何なんだろうかってさ。昨日いきなり抱きしめたことを謝ろうと思ったのがきっかけなんだけど」
一夏「じゃあなんで俺はあんなことをしたんだろうってもう一回振り返ってみてさ。答えは凄くシンプルだったんだよ」
千冬「……」
一夏「俺はさ、千冬姉のことが好きなんだよ。女として」
千冬(!また、慣れない妙な気持ちに…………)
一夏「うん。とんでもないこと口走ってるのは分かってる。でも、正直に言わなきゃ千冬姉に悪いと思ってさ」
一夏「理由も分からず抱きしめましたって訳じゃないことを、分かってほしかったんだ」
千冬(一夏が精いっぱい思いを伝えてくれている……嬉しい……!)
一夏「千冬姉、ごめんな。びっくりしたと思うし、気持ち悪いと感じてると思う。でもどうしても言いたかったんだ」
一夏「俺、もう同じ場所には住めないよな。今日から寮に戻って、それっきりこの家には足を踏み入れないよ」
一夏「学校ではお世話になるけど、極力迷惑かけないように頑張るよ」
千冬(………こんなことになるとは……どうすれば……)
千冬(!『答えは凄くシンプルだったんだよ』)
千冬「待ってくれ、私はおまえに出ていって欲しくない!」
一夏「!!」
一夏「え!?」
千冬「私は、小賢しくもより良い教育のために必要な行為だと説明した。が―――」
千冬「本当は、好きな男とキスしたいと願っていただけだったんだ。しかしその気持ちを押し込めて、ご立派な建前で自分を納得させた」
一夏「千冬姉……」
千冬「一昨日事故でキスしたあとずっと心臓の高鳴りが止まなかった」
千冬「かなり戸惑ったが……それはキスという行為そのものではなく、おまえが相手だったからだと今は思っている」
千冬「でも、分からん!この二日というもの、初めての気持ちになることが多すぎたんだ」
千冬「弟という関係だったからか?それとも―――おまえという一人の男が好きだからか?」
一夏「……」
千冬「昨日、自分の気持ちを整理したときは前者だと思った。しかし、思い返してみれば別の気持ちも存在していた」
一夏「別の気持ち?」
千冬「昨日初めて唇が触れ合ったときだ。心臓が締め付けられるのでもなく、鼓動が速くなるのでもなく……とても安らかで温かい気持ちになったことを」
一夏「!」
千冬「頼む!もう一度…………」
千冬「もう一度っ!その、キスを……んむっ!?」
一夏「ん……ぅう……むぅ」
千冬(一夏ぁ!!)
一夏「はっ……んぅ……(千冬姉……凄く愛しい)」ギュウ…
千冬「んんっ……ぅぅん……ぅむぅ……」ギュウ
千冬「ん……穏やかな気持ちだ……興奮は確かにしているが……それより胸を充たすものがある……」
一夏「そっか……んっ!?……」
千冬「うん……ぅうん…………」
一夏(千冬姉の方から……)
突然だが私用で抜ける
落とすなり残すなりしてくれ、
もし10時ごろまで残ってたら続き書く
一夏(千冬姉が強く抱いてくれてる……俺も……)ギュウゥゥ
千冬「っはぁ……はぁはぁ……一夏、頬が火照っているぞ」
一夏「千冬姉こそ顔真っ赤だぜ。色っぽくて、可愛いぞ」
千冬「馬鹿者!姉をからかうなっ!大体おまえは―――んむっ…」
千冬「……ぅんっ!?(舌が入って……?)」
一夏(ちょっと黙らせようか)
千冬(なんだこれはっ!?舌同士が絡まって……)
一夏「………」
千冬(水音に脳が焼かれるようだ……だが……息が……)
千冬「ぅうん……んんぅっ!!」トントン!
一夏(おっと!)バッ
千冬「はぁっ……!ぜぇ……はぁはぁ……」
一夏(可愛いなあ。服も乱れて来てるし、身体全体がうっすら汗かいてるし)
一夏(もっと…愛したい……)スッ
千冬「や……やめろっ……」フルフル
千冬「………最初の内は良かった……息が苦しくなる前に止めてくれたしな」
千冬「だが舌を入れてきたときは、こちらのペースを考えなくなって……急におまえが捕食者のように感じてしまったんだ」
千冬「正直、さっきはおまえが怖くなったぞ。さっきのまま続けるなら私は……嫌だっ!」フルフル
一夏「!」
一夏「ごめんっ!千冬姉!俺が馬鹿だった。もうしないよ……」
一夏「ああ!」
千冬「良かった。私もおまえのことを気遣うと約束しよう。お互いに尊重し合ったほうが幸せだろう」
一夏「じゃあ、さっきのお詫びで千冬姉のリクエスト聞くよ!」
千冬「そうか!じゃ、じゃあ、ベッドに寝てそこでキスしてくれないか?昔の映画でそういうのを見て、印象に残ってるんだ」
一夏「うん!」
千冬(そのシーンでキスしたのは、田舎出身の『恋人同士』だったな……)ドキドキ
一夏(千冬姉、なんか子どもみたいに目を輝かせてるな……ラウラと似てる)
千冬「ああ」
一夏「よし……」
トス パサッ
一夏「ほい、千冬姉。入りなよ」ポンポン
千冬(布団を持ちあげてスペースを作り、軽く手で叩いて誘導……エスコートを任せても大丈夫そうだな)
千冬「ああ……失礼するぞ」モゾモゾ
一夏「……千冬姉。さっきはごめんな」
千冬「ふふ。そう思っているなら行動で示して貰いたいな」
一夏「よし……じゃあ、目をつむってくれよ」
千冬「?ああ」
一夏(よし……)スッ
一夏「……好きだよ」ボソッ
千冬「ひゃんっ!?(耳元でささやきだと?)」
一夏「びっくりしちゃったかな?ごめん」
一夏(耳まで赤くなってら)
一夏「じゃあ、キスしよっか」
千冬「うむ……んっ」チュ
一夏「………」スッ キュウッ
千冬(一夏の奴、抱きしめるのではなく腕で包み込むように……)
一夏「はっ……へへ」ニコッ
千冬「はあっ……はっ」フフッ
千冬(憧れの映画のシーンにそっくり……感動だ)ポロッ
一夏「あっ……俺、またどうかしたかな?」
千冬「いや、この涙は違う。嬉しくて泣いているんだ」
千冬(ああ……嬉しい。どんどん喜びが内から湧いてくるようだ)
一夏「にしても暑いな。火照ってきたからかな」
千冬「……一夏、さっきはああ言ったが……心の内に優しさを持ってくれれば、多少強引にしてくれても構わんぞ」
一夏「え?」
千冬「……確かに暑いな。すまないが上を脱がせてもらうぞ」ガバッ
一夏「!!」
一夏(千冬姉……胸が当たって………)
千冬(見かけによらず、厚めの胸板だな……心臓の音が聞こえるぞ)
千冬(早く気付いてくれっ……ヒントは出したぞ)
一夏(千冬姉の胸……きめ細かい白できれいな形だ……)ギュウ
千冬「んっ!!」
一夏「ダメだ。千冬姉が可愛いから仕方ない」モミモミ
千冬「んっ……!あんっ……」
千冬「大丈夫だっ……続けてくれっ」ニコリ
一夏「千冬姉……!ううう」ガバッ
千冬「んん!うん……ぅぅうううぅん!」ギュッ
一夏(キスしながら千冬姉の身体触ってたらもう収まりきらない……)
千冬姉「あっ……ん!!」
一夏(!!そうだ……こういうときこそ千冬姉のことを考えなくちゃな)
千冬「はぁ……はぁ……」
一夏「千冬姉。もっと、先に進んでいいかな?」
千冬「……その前にキスしてくれ」
一夏「よし、分かった……んっ」チュ
千冬「………」ギュウゥゥゥ
一夏「はっ……千冬姉……(ズボンいらねえ)」ヌギヌギ
千冬「その……優しく頼むぞ……」
一夏「分かってる。じゃあ……」
ピンポーン
一夏千冬(!!)
箒「一夏か千冬さん、どちらか居られますか?」コンコン
一夏(居留守使おう!)
千冬(ああ。止むを得ん)
箒「出ないか……昨日姉さんから
【しばらく前からいっくんとちーちゃんの生活ウォッチしてまーす!まとまったらいっしょに見よーね♪】
こんな内容のメールが送られてきたから、注意を与えようと思ったんだが……仕方ない、出直そう」
千冬「ああ」
束「敵は去りなん、だね♪」
一夏「ふう……」
千冬「こんなこと知られたら……」
束「姉弟揃って学級追放もさもありなん、だね♪」
一夏千冬「……何いぃぃぃぃいいい!!??」
千冬「貴様……何をしている!!」
一夏「た……束さん……いつの間に」
束「いやー………箒ちゃんのために情報か仕入れてあげようと思ってウォッチしてたら、予想以上のものを見せていただきました♪」
千冬「……………」ガタガタ
束「まさかねえ……この束さんが口をあんぐり開けちゃったんだよ!すごいことだよ、人類史に残るよ」
千冬(……万事休す、か)
束「お二人はこの束さんに重大なことを教えてくれました!」
束「だから、今まで二人の生活を撮ってきたビデオ装置は……こうだ!」ガシャン!!
一夏「ん?」
束「ありがとね、いーくん、ちーちゃん!大切なことに気づけたよ!お礼が言いたくてこの私がわざわざ姿を現したんだよ!」
束「誇っていいよ!じゃあねーアデュー!!」スタコラサッサ
千冬「やつの気まぐれに助けられたか………」
一夏「……寒いな、ズボン履こう」
千冬「私も上を外していたんだった」
一夏「……そろそろ夕食作ろう」
――――――
―――
―
一夏(数日経って、俺たちは普段通りの生活を続けていた。)
一夏(俺も千冬姉も……積極的に身体を求めあうこともないが、あの日を境にお互いを違った目で見るようになったと感じる)
一夏(俺は家事をし、千冬姉は仕事へ行く。俺はたまに勉強し、千冬姉はたまに飲んで帰ってくる。この夏休みのパターンに、ある工程が差し込まれた以外は普段通りと言って良かった)
一夏(その工程とは……)
一夏「おう……ちょっと待ってくれ」タタ
千冬「うむ……じゃあ、頼む……んっ」
一夏「よし………」チュ
千冬「ん……ぅん……」
一夏「む……ん」
千冬「はぁ……も、もう一回」チュ
一夏「んっ」
千冬「ふう、じゃあ行ってくる」
一夏「気をつけて」
一夏(その日以来、朝に千冬姉とキスすることが日課になった)
一夏(一日だけすっぽかしてしまった日もあって、その日はずっと不機嫌そうだった)
一夏(俺自身千冬姉とキスするのは好きだ。お互いに嬉しさを分け合える気がするからだ)
一夏(身体を求めることがないのは、愛を確かめるにはこの行為一つで十分だと俺たちは考えているからかも知れない)
一夏(そう。俺と千冬姉は、恋人同士と言える仲まで変化したのかも知れない)
ガチャ
箒「はぁはぁはぁ……すまん一夏、かくまってくれっ!!」
一夏「え?」
束「箒ちゃーん!!どこかなーー!?むむっ!箒ちゃんの匂い!こんなところに隠れてやがったかあ!」ガチャ
箒「ひいっ!!」
一夏「うわっ!!」
束「キースキスキス!箒ちゃん!姉妹の絆を確かめ合おうよーー!!」
箒「一夏助けてくれぇ!!」
一夏「ちょっと落ち着いて……うわぁ!!」
一夏(束さんのこの変化を生み出したことを考えると、俺は少しあの日のことを後悔するのだ)
〈 終 わ り 〉
途中で抜けたとき保守してくれた方々、感謝します
おもしろかった
てかお前天才だな
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
佐々木「キョン、こんなに拍動してるよ」
どぞどぞ
(人ω-`)
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328965844/
佐々木「キョン、こんなに拍動してるよ」
大分焦った様子で呼び出す理由も言わずにただ「僕は君が来てくれないと今夜は寝れそうにない、お願いだ助けてくれ親友よ」と泣きそうな震えた声で話すあいつの雰囲気に、またハルヒ絡みなんだろうなとウンザリしながらも、親友の頼みとあっては仕方がない。
間違っても、夜遅くまで遊んでいるような不良でない俺は誤解を与えない為に、妹や親を起こしてしまわないようにコッソリと家を抜け出した。
佐々木の家はあの頃から変わらずにしっかり存在した。その当然のことにとりあえずひと安心すると、携帯を取り出し、到着の旨を伝えた。
やましいことが無かったとしても流石にこの時間に男が訪問するのを許す親はいないからな。
カギを掛けてないとは田舎とはいえ、防犯意識が低くすぎるんじゃないか?それにこんな時間の訪問は親に隠れる必要があると思うのだが。
「それなら大丈夫さ、二人で仲良く旅行中さ。頼むから早く来てくれよ、キョン」
驚愕の事実を平然と言ってくれるやつだ。いくらなんでも危機感を感じなさすぎだ、さっきの鍵の件も含めて一言言わんと安心出来ん。
扉の前で立ち止まり、ノックをすると間を置かず「入ってくれ」と声がした。
「やあ、こんな遅くに呼び出してしまってすまない。だが、君以外に頼れる人がいなかったんだ」
そんなに信頼して貰えるのは嬉しいが、親がいない夜中に男を家にあげたり鍵を掛けてないのは不用心すぎるんじゃないか?
「……。そうかもしれない。だけど、僕にはそんな事を気にする心の余裕は無かったんだよ」
それにこんな時間に男を上げるんなら一応橘とかも呼んでおくべきだったんじゃないか?
「それは出来ない、彼女に頼れる内容じゃないんだ。いや、君以外では意味がないというのが正確だね。加えてそもそも君は僕をどうこうしようなんてこれっぽっちも考えてないんだろ?どうせ……」
「ああ、その、えぇと」
なんだ、歯切れが悪いな。言ってくれないと、どうしようもないぞ。俺には読心術なんてないからな。
うん?なんだそれは?ずいぶんボロボロになっているが、大きいクッションか?
「そう。一般に抱き枕と呼ばれる類だよ。僕は小さい頃からこれを抱いて寝ていたのさ。子どもっぽいと僕を笑うかい?でも、抱き枕っているのは、しっかりと人間の心理に基づいている物なんだよ。いや、そんなことはどうでもいいんだ。ここを見てくれ」
「もう、ダメになってしまったんだ。長く愛用してきたからね、いつか物は壊れるのだから仕方ないと言えばそうなんだけど、僕はさっき言ったとおりコレがないと寝れないんだよ」
まさか、それが困ったことなのか?
「失礼な、僕にとっては大問題だいなんだよ。そこで、君を頼ったって訳さ」
どうしろって言うんだ。俺の家庭科の評価は3だぞ。とてもじゃないが、裁縫は無理だ。
「一晩だけ、抱き枕の役をやって欲しいんだ」
……。すまんがもう一度言ってくれ。聞き間違いをしたようだ。
「キョン。抱き枕になってくれ」
聞き間違いじゃなかったーー!!
「おやおや、キョン。君は親友の願いを断るどころか、裏切るような人間だったのか?僕を襲うつもりだとでも?」
そんな訳あるか!
「じゃあ!問題ないね!さぁ、布団に入ろう」
いやいやいやいや、問題ありまくりだろ。布団に入ろうにも私服だし。
「ここに男物の新品のパジャマが偶然ある」
なんであるんだよ!
「お父さんにプレゼントしようと買った物だがサイズを間違えてしまったんだ。これで問題ないだろ?」
「洗面所に新品の歯ブラシがあるはずだよ。僕がそろそろ替えようと思っていた物だ。使ってくれ」
そ、そうだ!ベッドのサイズが厳しいだろ!
「僕と寝るのはそんなに嫌かい?」
いやいやいやいや、そういう訳じゃない。決してそうではない。だが……
……腹を括ろう。今夜は寝れそうもない。明日が休みで良かった。
違うからな!寝れないってのはそういう意味じゃないからな!!勘違いするなよ!!
さて、俺はハルヒのお陰で他の人よりは経験値がそこそこ高いが、しかし俺のマニュアルに『抱き枕』の項はない。一体どうなることやら。
「さあさあさぁ、ベッドに入ってくれ!」
あいつの目、輝いてないか?いや、気のせいだろう。
ドキドキしているのは事実だが、仕方ない。生理現象というやつだ。俺も男だ、行くしかない!
佐々木のベッドは俺のベッドと比べて長さは少し短いが横幅に関しては二人で寝ても十分な広さだった。これで、もう逃げ場はなくなってしまった。
佐々木が抱きついてきた。分かっていたとはいえ身体がピクッとしてしまう。
佐々木はそれだけでなく、顔を埋めてきた。今、俺は一体どんな顔をしているのか自分でも分からない。
いや、ただ親友の頼みを聞いたまでだ。それに実際、察したんじゃないさ。まだ、状況すら掴めてない。
「それでもだよ。君は優しすぎる。だから僕は……。いや、これはフェアじゃないね。ここまでだって今までのハンデを埋めると言ってもこれはギリギリなんだ。これ以上は反則かな」
「くっくっくっ、そうだね、君ははっきり言わないと分からないタイプだね。それどころか、言っても分からなそうだ」
いくら俺でも今のが馬鹿にされいるのくらいは分かる。
「いや、褒めてるんだよ。君の凄さをね」
まぁ、いいさ。事実みたいだからな。
「おや、気づいていたのかい?」
古泉にあれだけ言われてるんだ、事実なんだろう。
「くっくっくっ、SOS団かい?嫉妬してしまうね」
そんな羨ましがるようなもんではないさ。
勘弁してくれ、これでも限界なんだ。
「ダメだよ。許さない。僕の前でSOS団の話をした罰さ」
ええい!ままよ!
振り向いた目線のちょっと下に佐々木はいた。暗闇に慣れた目は真っ赤に染まっているあいつの顔を捉える程度には冴えていた。
一世一代の我慢だ。頑張れ、俺。
シャンプーのいい匂いがする。あぁ、やっぱり眠れなそうだな。仕方ない。
あいつの役にたてたんだ。これ以上は望まないさ。
「今日は本当にありがとうね。それじゃあお休みなさい」
おう、おやすみ。
「それにしてもキョン、今宵は月が綺麗だね」
ああ。そうだな
ーFIN ー
一応これで終わりです。
昨晩のスレは書こうとした所で落ちてしまい、悔しかったので今日、佐々木スレを見つたので書いてしまいました。
SSは二作目だったのですが前回は台本式だったので(当然佐々木スレです)、拙い所があったかもしれませんがお許し下さい。
乙乙
キョンが気づくのはいつになるのか…
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ 涼宮ハルヒSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
妖狐「ここから出せー!」仙狐「駄目だ」
仙狐「ああもう五月蝿いな、おまえは罰でここにいると言う事を分かっているのか?」
妖狐「なんだよー、ちっと村でいたづらしただけじゃないかー!」
仙狐「ちっとでも十回も二十回も悪戯していれば当然の報いだ。この山頂の神聖なる社で頭を冷やせ」
妖狐「ケチキツネー!略してきちくー!」
仙狐「何処をどう略せば鬼畜になるこのうつけが!まったく、本当に喧しい奴だ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328108401/
妖狐「ここから出せー!」仙狐「駄目だ」
仙狐「だいたいそこの御神木の力だ。これがある限りお前はここから出られない」
妖狐「なんだと!?じゃあこいつを倒してしまえば」
仙狐「たかが尻尾が二本の化け狐ごときに倒せる代物ではない。諦めろ」
妖狐「くっそー!きっと絶対逃げてやるからな!」
仙狐「どっちだ馬鹿者」
仙狐「木の周りをうろつくな。くるくるくるくる鬱陶しい」
妖狐「どっかに弱点とか無いかなと思って」
仙狐「化け物の類じゃないんだぞ。そんなものあるか」
妖狐「あ、ウロ発見!……だからなんだっちゅーねん」
仙狐「五月蝿いなぁ本当に」
妖狐「リスが一匹いるだけだったよ」
仙狐「低いところに住んでいるなそのリス」
仙狐「これに懲りたら反省して悪さをするんじゃないぞ」
妖狐「お、その口ぶり。もしかして出してくれるとか?」
仙狐「そんなわけないだろう。そもそも封印したのは私ではなくここの神社の神主だ、私にはそんな決定権は無い」
妖狐「なんだよ、ちょっと期待しちゃったじゃん」
仙狐「ろくに反省していないだろうお前」
仙狐「そんなものを渡して何の徳があるというのだ」
妖狐「私が暇を潰せる」
仙狐「却下。お前は岩に括りつけられてろ」
妖狐「ちぇっ、しょうがないから昼寝でもしようか」
仙狐「もう寝たのか、こいつは」
仙狐「ああ、急にあの男が外から妖気を帯びた狐を捕らえてきたと思ったら、こいつだ」
仙狐「大分悪さをしていたようだが……、一体何をやらかしたかは聞いてないな」
仙狐「後で探っておくとしよう」
仙狐「……む?私も眠くなってきたな。どうせしばらく起きんだろうし、どれ。私も少しだけ……」
「……おきろー……」
仙狐「ん、……なんだ……」
妖狐「起きろっつってんだろこのネボスケ!」
仙狐「のわっ!?い、いきなりなんだ!?」
妖狐「あんた私を監視してるんでしょ?それが三時間も私を放っておいていいっての!?」
仙狐「さ、三時間?しまった、すっかり寝坊したか……くそっ!」
妖狐「しっかりしなさいよね、あまりにも暇だったから顔に落書きしちゃったわよ」
仙狐「ふん、もうじき日が暮れる。麓に下りたあの男の帰ってくるだろう」
妖狐「あの男っていうと、私をとっ捕まえやがったあの神主さん?やだな私あいつ嫌いだもん」
仙狐「そんなこと知ったことではない。どうせしばらくはここに缶詰なんだ、愛想の一つでも振っておけ」
妖狐「げ、もう参道にいる。しょうがないなあ、普通の狐にもどろっと」
仙狐(…………)
狐「クゥン?」
神主「む、愛想良くしても妖怪には甘くはしないぞ。ほれどいたどいた」
タッタッタッタ
妖狐(……なにあいつー、センのこと見えてないの?)
仙狐(ああ、邪悪なら見えるようだが神聖なものになるとどうも……センとはなんだ)
妖狐(あ、仙狐のセンだよ。なんとなくあだ名で呼びたくなった)
仙狐(……勝手にしろ)
鼠「キーッ!キーッ!」
狐「…………」
神主「そんな目で見てもこの酒はやらんぞ。村のものに奉納された神酒だからな」
狐「くぅ……」
神主「よし、それじゃ俺は寝るとするか」
パチッ
仙狐「どうだ?普通の狐も悪くないだろう」
妖狐「あ、センスッゲーむかつく顔してる!この野郎この野郎!」
仙狐「はっはっは!そういきり立つな雑魚妖怪めが!これでも飲んで落ち着け」
妖狐「うわっぷ、なにこれ徳利?……あ、さっきのお神酒じゃん。飲んでいいの?」
仙狐「もう神には渡してある。残った酒はしっかり処理しなきゃな!はっははは!」
妖狐「ふーん、そんじゃお言葉に甘えるわ。お酒はただの狐じゃ味わえないしねー」
仙狐「我ら化けたものの特権だな!はーっはっはっはっはっは!」
妖狐「何?笑い上戸?しかもかなり弱いのねあんた」
妖狐「落ち着きなさい、それアンタの自爆だから。何も覚えてないの?」
仙狐「あー……そういえばなんか呑んだような呑まれたような……うえっぷ」
妖狐「意外とセンも完璧って訳じゃないんだねー。弱み握った感じ?」
仙狐「くっそー……昼寝といい酒といいどうしてこう私は……あ」
妖狐「吐くなら隅っこでね?あ、駄目駄目ここはまずいって!」
妖狐「すごかったんだからね昨夜のアンタ。それはもういつものお堅いイメージが崩れるくらい」
仙狐「なあ、私は何をしたんだ?すまないが本当に覚えていないんだ」
妖狐「!……えー、そんなこと、この私に言わせるつもり?」
仙狐「おいなんでそこで照れるんだなあ私は何をしたんだ答えてくれよ頼むとっても怖いから」
妖狐「いやまあ普通に大笑いしたり私に抱きついたりそのまま寝たりいたって平和な酔っ払いだったよ」
仙狐「なんだ……驚かせやって……ん?」
仙狐「ん、なにやら村の方でも騒いでるようだな。田んぼの方も調子が悪くなってきたとか」
妖狐「あー、旱魃(かんばつ)だっけ?水がないと米育たないものね」
仙狐「うちの神社でも雨乞い祈願などはやっているんだが……所詮は祈願だしなあ」
妖狐「あらあら、いいの?自分の上の人をそんな風に言っちゃって」
仙狐「神は私みたいに直接は干渉できないんだ。祈願を受けてもそれを叶えられるかは村の者次第……」
妖狐「ふーん、大変そうだね。竜神とかがいれば直接ザーッっといけるんだろうけどねー」
仙狐「竜神か……そういえば最近下のほうに竜を祭った小さな神社が建ったらしいな」
妖狐「え、商売敵じゃん。しかも一気に人気もってけるだけの切り札持ってるじゃん。どうすんの?」
仙狐「どうもしないさ。向こうは向こう、こっちはこっちでうまくやればいい。利益が目当てと言うわけではないからな」
仙狐「なんだ、珍しいな。お前が書物を読むなんて」
妖狐「ふっふっふ。反省したのを見せるためには村の者を助けるのが一番だと思ってね」
仙狐「感心な心がけだな、それで?」
妖狐「うん、私の母さんもやる気になりゃ晴れだろうと雪だろうと雨を降らすことができたなって思い出して、そんでね」
仙狐「すごい母親を持ったな。で?」
妖狐「まあ私も雨乞いの術が使えないかなあと思ったわけなんだけど。いやさっぱりでね。神社の書物とかならそんなの書いてあるかなと思ったけど」
仙狐「無かったんだな。まあ別に大丈夫だろう、うちの男も良くやってるし麓の神社もあるからな」
妖狐「うー私の手柄にしようと思ったのにー!」
仙狐「む?確か麓の……」
巫女「あ、貴方がここの神社の神使さん?どうも竜宮神社の巫女です」
仙狐「見えるのか、私はこの山狐神社の仙狐と申す。用件はなんだ」
巫女「はい、今回私の方の神社で雨乞いの儀を執り行うことになりまして、それで貴方の所の神主さんを少しお借りしますと伝えにきました」
仙狐「そうか、ご苦労であった。あの男、少々使えぬかもしれませぬが……よろしく願おう。お前のところの神様にもよろしく伝えておいてくれ」
巫女「はい、そうしておきます。神主さんはちゃんとしてますから大丈夫ですよ。それでは」
仙狐「よく隠れていたな。彼女はおそらくお前がここにいる理由を知らぬから顔を出していたら大騒ぎになっていたところだ」
妖狐「それにしても、雨乞いの儀ねぇ。麓でやるってことはやっぱ麓の手柄にされちゃうのかな」
仙狐「そうだろうが……くどいなお前。そんなに自分がやりたかったのか」
妖狐「だってーうー、いっそのこと日照りの儀で妨害を」
仙狐「冗談で済ましておかないと本気で岩にくくりつけるぞ」
仙狐「なんだ……おお!」
妖狐「すごいね、本当に竜がきたよ」
仙狐「しっかり雨雲もひきつれて……これが竜か」
妖狐「あーあ、これで多分三日くらいは雨祭りだ。その間どうするの?」
仙狐「……仕方ないな。囲碁でもして過ごすか」
妖狐「あ、いいね!私は将棋のほうが得意なんだけどね」
妖狐「あら本当、二日間か。随分と早い気がするけど」
仙狐「しかしまだ少し遠くに竜の姿が見える。何回かに分けるのかもしれない」
妖狐「はー、これで村も安泰か。さぞしたの神社は大人気だろうね」
仙狐「そうでもないぞ?ほれ」
妖狐「ん?うわっなにその神酒の山!こっちにも供え物が来たの?」
仙狐「なんだかんだでここも古いからな。うちの神主が出張ったから報酬は半々といったところだろう」
妖狐「人気なんだねーここ」
妖狐「どれ?……なんだ半月じゃないさ」
仙狐「でも、綺麗だ。雨で空気が浄化され、月がとてもよく映る」
妖狐「まだお月見には早いんじゃない?それよりもさちょっとこれ見てよ」
仙狐「ん?これは、祝詞?一体何の」
妖狐「へっへー、多分中身は雨乞いの儀だよ。あいつが神社に帰ってきたときに持ってたんだ」
仙狐「間違えて持ってきてしまったのか?速めに気づかせて返させなければいけないな」
妖狐「ちょいとお待ちよ。どうせなら私が見てからでも遅くないと思うんだ、ちょっと応用利かせれば私の術の糧になりそうだ」
仙狐「あ、こら!ちゃんと返しなさい!向こうも困ってるかもしれないだろう?」
妖狐「大丈夫!今夜中に別の紙に写してさくっと返すからさ!」
神主「うう……?なんか落っこちて!?これはあのときの!」
神主「しまった!急いで返しに行かねば!」
タッタッタ
妖狐「よっしこれで大丈夫ね」
仙狐「まったく、それで?役に立ちそうかそれ」
妖狐「うーん、ちゃんと見ないことにはどうにも。でもなんとかなるっしょ」
仙狐「…………不安だ」
仙狐「むう、これは一体……?向こうで何かあったのか?」
妖狐「ひゃっ雷!セン、私雷はどうも苦手なのよ!」
仙狐「……これからもっと激しくなりそうだ、お前は早めに寝ておいたほうがいいと思うぞ」
妖狐「ん、それじゃあね!また明日!」
仙狐「ああ、また明日」
仙狐「うわぁあ!?な、なんだあ!?」
仙狐「外に雷が落ちたのか!?何処だ……!」
仙狐「ば……馬鹿な……ご神木が……!」
仙狐「そ、そうだ!妖狐!妖狐はどうした!」
仙狐「妖狐!よう……居ない、しまった!」
仙狐「あっ火が!神木に火がついた!くそっこんなときに限って雨がやみやがる!」
仙狐「おい、神主!神主起きろ!早くしないと……この神社が!」
妖狐「……や、やっほう?」
仙狐「逃げたな?」
妖狐「あ、えーと……つい」
仙狐「……もういい。この神社に留める力はない。いや、本社少し火がつきもはや神社かすらも怪しい」
仙狐「消えてくれ、いやさっさと消えろ!この化け狐!」
妖狐「あ……ああ!じゃあね、セン!多分もう二度と会えない!」
巫女「そう、ですか……」
神主「竜神様の天罰なのか?あれを持ち出してしまった……」
巫女「いえ、そんなはずは無いでしょう。きっと」
神主「俺は……俺はどうすれば」
巫女「……もし、よろしかったら……」
仙狐「修復にはしばらく時間がかかる。それに神木の代わりも用意しなければならないしな」
仙狐「その間は向こうの神社にいるのだろう。きっとそうだ」
仙狐「なあ、よう……ふん」
仙狐「なぜ……なぜこんな事に」
仙狐「……くそっ」
妖狐「へん、この術さえあればあんな奴なんかねえ……ヒヒヒ」
妖狐「……いやあ嫌われたなあ、盛大に」
妖狐「い、いや寂しくないけどね?むしろ楽になったけどね?娑婆の空気美味しいです!」
妖狐「……明日は、満月かあ」
妖狐「仕掛けるには丁度いい、大悪党は月の夜に蘇るのさ」
仙狐「だがもうこれを一緒に楽しむものはいないんだ」
仙狐「……ん?これは……」
仙狐「雲も無いのに、雨粒?」
神主「おや、月夜に天気雨が降るとは」
巫女「どこかの狐がまじないでもかけたのかしら、なにも誰にも見られないように……」
妖狐「こらぁ竜神!アメフラシ!さっさと私に顔見せろ!」
ゴロゴロゴロゴロ
竜「……貴様か、雑魚妖怪」
妖狐「へん、きたわねオロチさん?あんたなんで神社を撃ったりしたのかな?」
竜「……何の話だ」
妖狐「すっとぼけなさんな!あの時落ちた雷は確かに神威を纏っていた!それに雷が落ちた後あんたの雲が急に消えたんだ!」
竜「……貴様がいたからだ。妖狐」
妖狐「はいはい言ってろカス野郎!アンタの本当の狙いは分かってるんだ!」
竜「面白い……私の真意?言ってみろ、小娘」
妖狐「簡単な事だよ!あんたはあの神社をつぶしたかったんだ!信仰心を一身に受けるためにね!丁度私がいたから上手い事言ったつもりだろうけど、私の目はごまかせないよ!」
竜「フハハハハ……言い逃れ、責任転嫁。見苦しいなあ、ええ?どれも証拠がない妄言ばかりだ」
妖狐「へへ、確かに証拠はない!でもねえアンタが神社を焼ける理由にはなってないんだよ!つかあんた神じゃねえだろ!」
竜「な!何を言う貴様!」
竜「そんなわけあるかあ!さっき貴様が言ったではないか!我がいかづちは神威を纏っていると!」
妖狐「あーあれ嘘。私そんなの見分けつく目もっていません!揺さぶりようの嘘です!ばーか!」
竜「く、私は竜神だ!雨を降らし、雷を操る。これが神の力でなくてなんだと言うのだ!」
妖狐「残念だけどね、その程度」
九尾「私にだってできるんだわ、意外と」
仙狐「な、なんだこの妖気は?鬼でも来たというのか!?」
仙狐「場所は向かいの山か、すぐに向かわねば!一体何が起こっているんだ!」
神主「いま……雷落ちませんでした?雲も無いのに」
巫女「…………いえ、何も聞いておりません」
仙狐「……いや違う!あれは何か力を持った蛇の妖怪だったのか!」
仙狐「ではこの妖気は奴の……いやその目の前にいる小さな妖怪」
仙狐「まさか、まさかまさか!あいつは……妖狐!」
九尾「よう、来たかセン。みてよこの醜い妖怪」
竜「私は、神だ!神なのだ!だから他の神など要らんのだ!」
九尾「こいつが大体の犯人だ。ちょいと手を貸しなさい!」
仙狐「は?な、何がどうなってるのか良く分からないが、分かった!」
竜「ぬっ!?ぐっ!ああああああああああああああああああああああ!!!!」
九尾「はあ?え、終わり?折角いいとこだったのに!」
仙狐「あ、あなたは……まさか本物の?」
竜神「おうともよー俺が竜神だーちょっとだけ力奪われてたけど元気だぞーごめんな九尾ちゃんー出番貰ったー」
妖狐「ええーなんで今になって来るかなーもー」
仙狐「あの、未だに私にはよく状況が分からないのですが、ありがとうございました。竜神様」
竜神「いいのよいいのよーそれよりもさーうちの巫女ったらアンタのとこの神主と結婚したいとか考えててさー、最近やたら緊張してるしどうなのー!てかんじー」
仙狐「へ?は?え?」
妖狐「気にしないほうがいいと思うわ、ちょっとボケてるみたい」
仙狐「……文字通り嵐のようなお方だったな」
妖狐「ちくしょーまた出番取られたー!せっかく犯人捕まえて仲直りの手土産にしようと……あっ」
仙狐「……へ?な、仲直り?」
妖狐「あー……いや、あの時つい好奇心で外に出てごめんねーとか、いろいろ。やっぱ忘れて!山に帰るわ!」
仙狐「あっちょ、ちょっと待ってくれ!」
仙狐「えーと……なあ。もし良かったらだが、あの神社にもうちっとだけいてくれないか?」
妖狐「ちょっまた監禁ですか?そればっかりはご勘弁」
仙狐「いや、そうではない。ほら、あそこ……本来神使二柱いるはずなのに私一人だろ?もう長いこと一人なんだ!だから、そのー」
仙狐「……話し相手になってくれると、私が嬉しい」
妖狐「は、早い話が私にもう一柱になれと?え、隣にずっと一緒にいてくれと?」
仙狐「嫌ならそれでいい。ただ……」
妖狐「急な話だなぁ。うーん……よし!」
仙狐「……あ、ありがとう!今度こそ絶対逃がさないからな!」
妖狐「え、そりゃ簡便して」
おわれ
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部(CV:若本)「フゥゥーーーハハハァァ!!」
岡部(CV若本)「フゥーー~~ハハハァ~!!」
岡部(CV若本)「やはりぃ…声がいつもとォ、違うぅ、気がするな」
岡部(CV若本)「風邪でもひいたか……この、きょぉお気のムァッドサイエンティストたる俺が、不覚なことだ」
岡部(CV若本)「……むぅ……」
体温計<ピピッ ピピッ
岡部(CV若本)「さんじゅうrrrルぉく度5分!平熱ではないかぁ」
岡部(CV若本)「いったい俺の喉はどぉうしたんだ?」
ガチャッ
まゆり(CV若本)「トゥットゥrrルゥゥゥゥーーーーーゥ!!」
岡部(CV若本)「ま、ま、むぁぁゆるぅいいいいい!! どうしたのだその声は!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328885694/
岡部(CV:若本)「フゥゥーーーハハハァァ!!」
岡部(CV若本)「な、な、ぬぅぁんだこれはぁぁ!!」
スチャッ
岡部(CV若本)「俺だぁ。大変な事にぃなった、俺だけでなくまゆりまでもぉがぁ音響トラップに嵌められたぁ、
ど、どうすればいい? 指示をくれぇ!」
まゆり(CV若本)「まゆしぃはねぇ~、今朝起きたらこんな声になっていたのですぅ、お母さんに言われるまで
ずぇん然気づかなかったよぉ~☆」
岡部(CV若本)「ま、まゆりよ……この後、一緒に病院まで行こうではないか……」
まゆり(CV若本)「ぅえ~~っ? まゆしぃ、どこも悪くぬぁいのですぅ」
岡部(CV若本)「し、しかしだな……」
ガチャッ
紅莉栖「…………」
まゆり(CV若本)「あ、紅莉栖ちゃん!トゥゥットゥrrルゥゥ~~うう!!」
紅莉栖「!!!!」
岡部(CV若本)「じょ、助手よ……驚くのは分かるぅ、だがぁ落ち着いてくれぇ」
紅莉栖(CV若本)「あ、あんたたちもぬぁのかああぁぁ~ァ!!」
紅莉栖(CV若本)「そうなのよぉ、今朝からこれで途方に暮れちゃって……でも、あんたたちも同じ、という事はぁ……
岡ぶぇぇ! あんたなにかまぁた変なことしなかったでしょうねぇ!」
岡部(CV若本)「ふ、ふ、っざけるぅなぁ! いったい何をどぉうしたらこんな現象が起こるというのどぁ!!」
ガチャッ
ダル(CV若本)「ぶるああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
岡紅(CV若本)「「ぬわああああぁぁぁぁぁぁ!!」」
まゆり(CV若本)「うわぁ、ドゥァル君! いきなり大声出したらぶぃっくぅりするのですぅ」
ダル(CV若本)「だぁが反省はしていな……って、みんなも声がすごいことになってるぅお」
岡部(CV若本)「ダァルゥ、今のあれは何だ! 心臓に悪いではぬぁいか!」
ダル(CV若本)「とりあえずやっとけとゴォォストが囁いたお。そんな事よりみんなにちょっと相談がある訳だが」
紅莉栖(CV若本)「今のこの状況を“そんな事”でぇ片付けるような提案?」
ダル(CV若本)「そうだお。今日メイクウィーンニャンx2に行ったら」
岡部(CV若本)「待ぁてダルよ! もう話が見えたぞ!」
ダル(CV若本)「違うぅおっ。今日はフェイリスたんは風邪をひいたらしくて臨時休暇だったぁお」
まゆり(CV若本)「ぅえぇぇ~っ! それは心配なのですぅ」
ダル(CV若本)「だから、これからみぃんなでフェイリスたんのお見舞いに行こうぜっ、という話だおぉ」
岡部(CV若本)「やめておけ。奴は今誰にも会いたくないであろう…正確には声を聞かれたくないだろう」
まゆり(CV若本)「フェリスちゃんも私たちと同じような声にぃ、なってるって事ぉ?」
紅莉栖(CV若本)「論理的には有り得ないけど……」
岡部(CV若本)「論理など捨て置けぇ! 今我々の観測している現象こそがぁ、真実ぅ!」
ガチャッ
萌郁「…………」
岡部(CV若本)「むぅ、指圧師か……」
まゆり(CV若本)「萌郁さん、トゥゥットルルルゥゥゥ~~ゥ!」
萌郁「…………!」 カタカタカタカタカタカタカタカタ
ピロリンッ♪ 『み、みんなその声どうしちゃったの?!(・o・;』
萌郁「…………?」
ダル(CV若本)「マジで気づいてないっぽいぃ件」
岡部(CV若本)「さてはお前ぇ……今日起床してからぁ、まだ一言も喋っていないな?」
萌郁「…………」
岡部(CV若本)「黙っていては分かるぁんではぁ、ないかぁぁ!貴様も悪魔の声をぉ、晒すのどぅああぁ!!」
萌郁「………っ…」
紅莉栖(CV若本)「ちょ、ちょっと岡部ぇ…追求しなくてもぉ、いいじゃぁないのよぉ」
岡部(CV若本)「駄目どぅああ! ムォァッドサイエンティストたる俺には真理を探求する義務がぁある!!」
岡部(CV若本)「さあぁ! 腹から声を出してぇ、俺に続いて詠唱するのどぅあ!!
『エrrルゥゥ、プサァイ、コングrrrウウウゥゥゥゥ』!!!」
萌郁「…………」
萌郁(CV後藤(弱))「……エル、プサイ……何?」
岡部(CV若本)「……あるぇぇぇ?」
岡部(CV若本)「指圧師! 貴様だけ何ぁ故声が変わってぇいないのだぁぁ!」
紅莉栖(CV若本)「そこはぁ逆だろぉ、どぉうして私達だけが声が変わったのかぁ、それを考えるべきぃ」
岡部(CV若本)「ふぅんむぅ。ラボメンで声が変わっているのは俺とまゆルィ、クリストゥィーナ、ダル、
そしておそらくフェイリスとぉ……しばし待て」
ピッ ピッ プルルルルル プルルルルル プルルルルル プルルルルル プルルル…ガチャ
岡部(CV若本)「俺だぁ。現在の状況を報告しろ」
るか(CV若本)『……お、お、岡部さぁんですかぁ?』
岡部(CV若本)「その声……やはぁりぃお前にもぉ、機関の魔の手がぁ及んでいたか」
るか(CV若本)『岡部さ、きょぉう魔さんも声が……いったいどうなってるんでしょぉう……
ボクぅ、恥ずかしくてぇ、家から一歩も出られないんですぅ……』
岡部(CV若本)「案ずるなぁ、rrルゥカ子よ!この俺がほぉううぉううぃんの名にかけてぇ、この事態を
打開して見せるぅ! それまで辛抱して待つのだぞ。エルゥ・プサァイ・コングrrルゥゥ」 ピッ
岡部(CV若本)「ルゥカ子も声が変わっていた……」
紅莉栖(CV若本)「という事は桐生ぅさんを除いてラボメンは全員アウトぉ、か」
岡部(CV若本)(正確には全員ではないがな。……8年後までこの状況が続いたらどうか分からんが)
岡部(CV若本)「昨日? そぉういえば、昨日は指圧師はいなかったな」
ダル(CV若本)「桐生氏以外は全員ラボに来てたお」
紅莉栖(CV若本)「どぉうやらそこに鍵がありそうねぇ。昨日の行動をおさらいしてみましょぉう」
岡部(CV若本)「とはいってもだ。昨日は『最後の晩餐』以外には何もしていなぁいぞぉ」
紅莉栖(CV若本)「ただの鍋パーティーだろうがぁ、最後でもないだろぉう」
まゆり(CV若本)「るか君に教わりながら作ってぇ、とぉってもおいしかったぁのです☆」
萌郁「……」 ピロリンッ♪ 『いいなぁ、私も用事がなければ参加したかったよ… ・゚・(ノД`)・゚・。 』
岡部(CV若本)「……それどぅあ!! 助ぉ手ぅ、貴様あの鍋に変なものを盛ったなぁぁ!!」
紅莉栖(CV若本)「はあぁぁ? どぉうして私のせいになるんだこのクソアホバカ岡部ぇ!!」
ダル(CV若本)「声のせいかぁ、いつもより罵り度3倍増しに聞こえるお」
岡部(CV若本)「しかぁしそれ以外に何も考えられないではぬぁいかぁっ!」
紅莉栖(CV若本)「本当ぉに変なものは入れてないぞぉ!!
買ってきた野菜と肉、あとは冷蔵庫に入ってた豆ぉ腐、ぐらいだぁ」
ダル(CV若本)「……ん? 冷蔵庫に豆腐なんてぇ、入れてたかおぉ?」
ダッダッダッ ガバッ
岡部(CV若本)「ぬああぁっ、やはぁりっ!!未来ガジェェット33号『ベリーメロウ』が消えているぅ!!」
ダル(CV若本)「あー……あれか」
岡部(CV若本)「クリスティーンヌァッ! やはりお前が原因ではないくぅああぁっ!!」
紅莉栖(CV若本)「え? な、ぬぁんでよ?」
岡部(CV若本)「お前が愚かにも豆腐だと勘違いして入れたもの……あれは豆腐ではぬぁい!」
岡部(CV若本)「ミクロレベルの穴がぁ無数に空いた多孔質構造のすぇん進素材だったのどぅああっ!!」
岡部(CV若本)「その構造ゆえにぃ、多量のガスを吸着して蓄えることができるのどぅあ。
しかも、人体にベリーカインドな天然素材っ!!」
ダル(CV若本)「つまりただの高野豆腐だおぅ」
紅莉栖(CV若本)「え、それってぇ……何かガスをぉ、吸い込ませてあったり?」
岡部(CV若本)「あくまでテストとしてぇ……大学にあったアルゴンガスを吸い込ませてあった」
ダル(CV若本)「ちょ、それってぇ大丈夫なんん?」
岡部(CV若本)「大丈夫でないからこの状況ぬぁのどぅあるぉうがあ!」
岡部(CV若本)「納得している場合ではぬぁいわ! どぅおうしてくれるのだ助ぉ手ぅよ!」
まゆり(CV若本)「それって毒ガスなのぉ~? 大変、みんなが病気になっちゃうのですぅ」
紅莉栖(CV若本)「しぃん配ないわぁ、まゆrrるぅいぃ。これ、明日にはみんな治るぅわぁ」
岡部(CV若本)「なずぇ言い切れるぅのだ!」
紅莉栖(CV若本)「ほら、ヘリウムガスを吸い込むとぉ、声が高ぁくなるでしょぉ?
ヘリウムガス中ではぁ、音速が速くなることでぇ、声のしゅうぅ波数もぉ、高ぁくなる」
紅莉栖(CV若本)「アルゴンガスはその逆ぅ……声が低ぅくなぁるのよぅ」
岡部(CV若本)「な、ぬぁるほど……しかぁし、鍋を食ったのは昨日だというのに、長続きしすぎではぬぁいか?」
紅莉栖(CV若本)「推測だぁけど、胃の中の高野豆腐から少しずぅつ少しずぅつガスが漏れ出す事でぇ、
効果が長持ちしているんじゃなぁいかと思うぅ」
ダル(CV若本)「一ぃ日も経てば消化されるから、それも終わるってぇ事かおぉ」
まゆり(CV若本)「そっかぁ~、安心したのですぅ。紅莉栖ちゃぁんは頭がぁいいねぇぇ」
岡部(CV若本)「褒めることはないぞぉ、まゆルぅぃぃ! そいつは今回の元凶と言ってもぉ、過言ではぁない!」
紅莉栖(CV若本)「訳わからんものを冷蔵庫に入れとくあんたが悪かろうがぁぁ!!」
ギャーギャー! ワーワー! ブルアアアァァァァァ! ブリタァァァニア!
萌郁(CV後藤(弱))「…………これ、録音、しておこう……」
岡部(CV宮野)「フゥーハハハ!! おはよう諸君!! さわやかな日ではないか!!」
まゆり(CV花澤)「トゥットゥルー! オカリンも元の声に戻ったねえ☆」
紅莉栖(CVミンゴス)「まああんたはその厨二がかった口調のせいで大差なかった気がするけどね」
岡部(CV宮野)「ふっ、安い挑発には乗らんぞ。今日の俺は最高に気分がいいからな!フゥーハハハ!!」
ダル(CV関)「昨日はそうとううるさく感じたけどよく考えたらオカリンはいつもうるさいお」
フェイリス(CV桃井)「アンゴルモアの呪いは手強かったのニャ。でもあの時の修行が役に立ったのニャ」
るか(CV小林)「一時はどうなることかと思いました……」
岡部(CV宮野)「それにしても、今日も指圧師は来ていないのか? ラボメンとしての自覚に欠けているぞ」
ダル(CV関)「いやぁそう頻繁にブラウン氏の目を盗んで遊びにはこれないっしょ」
ガチャッ
ダル(CV関)「……と、言ってるそばから本人ktkr」
岡部(CV宮野)「……し、指圧師よ……」
萌郁「…………………………」
萌郁(CV後藤(弱))「…………何?」
岡部(CV宮野)「あ、いや……うむ、よくぞ来たな」(いや、いつもの声で当然だが、なんだかホッとした)
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「うわああぁぁ!!」
まゆり(CV花澤)「び、びっくりした~。誰の声?」
フェイリス(CV桃井)「クーニャンの方から聞こえたニャ」
紅莉栖(CVミンゴス)「ふぇ!? あ、いや、その、聞き間違いじゃない?」
岡部(CV宮野)「いや、今しっかりと聞こえ――」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「ひっ!?」
フェイリス(CV桃井)「今度はルカニャンの方から聞こえたニャ!」
るか(CV小林)「あ、いえ、これは、そのぅ……あうぅ……」
岡部(CV宮野)「どうしたルカ子よ、顔が真っ赤ではないか。いったい何が――」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「はうっ!!」
ダル(CV関)「今度はオカリンのいる辺りから聞こえたお」
岡部(CV宮野)「すると、さっきのは……」 チラッ
紅莉栖(CVミンゴス)「!! こ、こっち見んなぁ、バカ岡部!!」
岡部(CV宮野)「くっ……」 チラッ
るか(CV小林)「あ、あの、その、うぅ……///」
ダル(CV関)「え、何この微妙なふいんき? 僕の知らないところでどんな駆け引きを」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
ダル(CV関)「ぬふぅ」
岡部(CV宮野)「そうか……高野豆腐の消化とともに取り込まれたアルゴンガスは、一晩経って……
下から出てくるのだな」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
まゆり(CV花澤)「ひゃっ! えっと今のは、その、えへへ……」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
フェイリス(CV桃井)「ニャッ! ち、違うニャ、今のはちょっとした封印のあれのあれニャ!!」
ダル(CV関)「クンカクンカスーハースーハー」
ブルアアアァァァァァ!! ブルアアアァァァァァ!!>
ブルアアアァァァァァ!!
ブルアアアァァァァァ!! ブルアアアァァァァァ!!
ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「くそっ! いつになったら止まるのだこれは!!」<ブルアアアァァァァァ!!
ダル(CV関)「フェイリスたんのパフュームくんかくんか」<ブルアアアァァァァァ!!
フェイリス(CV桃井)「いやぁーー!さすがにそれはやめてなのニャー!!」<ブルアアアァァァァァ!!
るか(CV小林)「岡部さんの前で、恥ずかしい……でも、なんだかドキドキする……」<ブルアアアァァァァァ!!
まゆり(CV花澤)「ずっと聞いてるうちになんだか綺麗な音の気がしてきたのです」<ブルアアアァァァァァ!!
紅莉栖(CVミンゴス)「一生の恥だわ……もうお嫁にもらわれないレベル」<ブルアアアァァァァァ!!「あぅ」
岡部(CV宮野)「ええいもらってやるから黙れ!そういえば指圧師はどうした?」<ブルアアアァァァァァ!!
ピロリンッ♪ 『なんかくっさいから私今日はもう帰るね~ (^-^)/~ 部屋・クサイ・もう無理ぃ(笑)』
岡部(CV宮野)「…………ちくしょおおおおおおおお!!!ぶるああぁぁぁぁぁぁ!!!」
Steins;Gate ChapterXX 強力胃薬のエキゾーストノート END
乙
面白かった
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「窓から入ってくるのやめろって」幼馴染「いいじゃんいいじゃん」
幼馴染「こっちから来た方が楽なんだもん」
男「で、何のようだよ」
幼馴染「宿題みーせて」
男「またかよ~!自分でやれよな、全く」パラ
幼馴染「ありがと男!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327997395/
男「窓から入ってくるのやめろって」幼馴染「いいじゃんいいじゃん」
俺は幼馴染が怖くてしょうがなかった。
俺と幼馴染の家は500mほど離れている。
幼馴染はいつも裸足で俺の窓に来ている。つまり俺と家の間の500mを裸足で来ていることになる。
しかも窓から来るということはある程度の高さを走っていると考えるのが普通である。
普通の歩道を歩いているから窓から来る意味は無いし困難であるからだ。
つまり幼馴染は電柱、塀の上を走って俺の家の窓まで来ていることになる。
そのバランス、身体能力…
怖くてしょうがない
男「ああ、また明日な」
幼馴染「また明日~」タッ
男(来た!!)
男(今日こそは見てやる!幼馴染がどうやって帰っているのかを)
男(!!!!!!)
男(バカな!!!)
それから近所で有名なキチガイ婆さんの家の塀を恐れずに走っていく度胸…
番犬ゴリラックマがいるあの庭の中を通っていく力…
犬に気づかれずにいるくせに凄い速度で走っていく器用さ…
近所のクソカギがたむろっている通りを余裕で通過していく凄さ…
幼馴染はやっぱり普通の人間じゃない…!
気付けば幼馴染は俺の隣にいた
幼馴染はあの時の事件以来、普通の女の子だった。
あの時の事件は、今思い出しても忘れられない…
俺がまだガキ(幼稚園生)だった頃、俺はバイクに乗っていた(キックボード)
チンピラは俺を掴むとバイクをよこせと言ってきたんだ。
あの時は驚いた…
俺が嫌だと言うとそのチンピラは俺の腹を殴りやがったんだ…
そこに駆けつけてきた幼馴染がそのチンピラを一蹴りで沈めたんだ…
俺は驚いたね。あのデカいチンピラを不意打ちとはいえ一撃で倒したのも凄い。
それがあの幼馴染となれば尚更だ。
それからチンピラが起きる事は無かった
恐らく他の奴らにも言いつけてたと思う。
それから小学校に一緒になった俺は親に隠れて幼馴染と仲良くしていたんだ。
だから幼馴染は俺の家の正門から入ることができない
友「よお!ww男www」
男「ん?おはよう。テンション高いなお前」
友「まぁなwwwそれよりヤバイぜwww」
男「なにがあったの?」
友「B組の関口と菅山がキチガイ婆さんに
ボコされたらしいww」
男「エッ!?」
関口と菅山はよく二人でいるチンピラであって腕はそこらへんの婆さんに負けるとは思えない
友「ざまぁだよなwww俺あの二人にシメられたからざまぁみろだわwww」
男「噂にしか聞かなかったけどそのキチガイ婆さんってなんなんだ?」
男「野崎、教えてくれよ」
野崎はクラスでも委員会に務めているエリートで色々な事に詳しい
野崎「キチガイ婆さんは子供、俺たちみたいな小学生が大嫌いらしい」
野崎「独り暮らしでいつも怒っている。他人の悪行を見つけるとすぐそれに漬け込んで怒り出すんだ」
野崎「性根の腐った婆さんだよ」
男「それで?関口と菅山がボコされたっていうのはどういうことなんだ?」
野崎「そのまんまだよ。そのキチガイ婆さん。戦闘力も恐ろしく高かったらしい」
野崎「一緒にいた雑魚山も漏らしたらしいよ」
男「雑魚山ってあのパシリか」
友「お前家近かったよなwwww」
男「う、うん…」
幼馴染「やっほー!おはようみんな」
友「よおwwwお前足はええww」
男「あ、おはよう」
男「キチガイ婆さんの話だよ」
幼馴染「何それ」
男「知らないのかよお前」
野崎「とにかくヤバい婆さんなんだよ」
男「うへぇ遅刻かぁ」
友「お前走れば間に合ったのになwww」
幼馴染「別にいいよ。みんなと話してた方が楽しかったし」
野崎「僕も遅刻かぁ」
友「お前委員なのになwww」
野崎「大変だ!男!友!」
男「どうしたんだよ野崎」
野崎「体育館に急いできてくれ!都影が演説を始めてるぞ!」
都影は学級でも有名なやつだ。
頭がよくて顔がかっこいいむかつく野郎だ
都影「我々学級は日々、様々な敵と戦い、打ち勝ってきた!」
都影「しかし!我々はまた大きな壁にぶち当たった!」
都影「それはみんながご存知の通り、キチガイ婆さんのことである!」
都影「被害者は現在2名!目撃者は被害者を含めて3人である!」
都影「みんなはたかが2人くらい大したことないだろうと思っているだろうが、それは違う!」
都影「2人の負傷レベルが明らかに喧嘩ではない!」
都影「関口は肋骨と右腕を骨折、菅山は歯が折れて内臓を酷く損傷したんだ」
都影「キチガイ婆さん討伐隊を結成する!!」
都影「構成メンバーは最大で20人は集めたいと思っている。その内戦闘員は15人だ!」
都影「みんなに力でキチガイ婆さんを倒そうではないか!」
おおおおっー!!!!
やれやれっー!!!
男「討伐隊だって!?」
野崎「めちゃくちゃだよ!損傷からして15人でも敵わない!」
友「都影の奴捨て駒にするつもりだな…」
都影「では!これより生き残りである雑魚山くんによる証言を聞こうじゃないか!」
都影「雑魚山くん、話してくれるかな」
雑魚山「は、はい……」ガタガタ
雑魚山「あ、あの婆さんは化け物だ…」ガタガタ
雑魚山「僕が見ていると急に、急に…」ガタガタ
雑魚山「空を飛んだだよっ!!ひいいっ!!」ガタガタ
はあっ?
マジかよ…
やべえぞ…
雑魚山「と、とにかく無理だよおおっ!ひいいっ」ジョロロロ
男「漏らしやがった」
友「くっせえwww」
都影「だからこそ!我々の力を持って倒そうではないか!」
おおおおっ!!!!
そうだそうだ!!!!
男「都影の奴何を考えてるんだよ」
男「おい!お前らマジかよ!?」
友「ああwww面白そうだもんなwww俺戦わねーしwww」
野崎「僕は僕で諜報員としてキチガイ婆さんの事が詳しく知りたいんだ」
男「討伐隊に入るなんてお前らどうかしてるぜ!」
友「おいおいwwwこれは一年に一度のビックウェーブだぜ?www」
偵察隊2「大丈夫です。今ならいけます」
偵察隊1「ぐわああっ!!」ブスッ
偵察隊2「裁縫針!!」
偵察隊2「まずい!!」ザッ
偵察隊2「こちら偵察隊!こちら偵察隊!今キチガイ婆さんの物と思われる攻撃を受けました!こちらが攻めてくることには気づいています!」
偵察隊2「こちらの行動には気づいています!退避した方が!」
偵察隊2「え?馬鹿な!?人数がいるから大丈夫なんて!」
都影「恐れるな!こちらはヘルメットとダンボールの防具と武器を各自持っている!」
都影「言わば完全武装だ!負けるはずがない!」
都影「入口を開ける突入隊は構えろ!」
突入隊「イエッサー!!」
都影「後続攻撃部隊もいる!恐るなよ!お前らがちゃんと進めば作戦は成功する!」
都影「キチガイ婆さんはこちらの存在に気付いているみたいだ!」
都影「奇襲は無理だが、奴が敷地内にいることも確認できている!」
都影「真っ向からぶつかろうではないか!」
おおおおおっー!!!
やるぜ!!!
突入隊「うおおおあっ!!!!」
野崎(突入隊の人数は5人!これだけでも多いがヘルメット、ダンボール、プロテクターによる武装に鉄の棒も持っている)
野崎(まず負けないだろう…それから第二次突撃隊も7人もいる!)
野崎(後続攻撃部隊は手作り爆弾などによる後方支援…)
ガシャーン!!
野崎(まずドアは破壊!)
都影「続けー!!第二突撃隊!」
第二突撃隊「うおおおっ!!!」ドタドタ
野崎(これで12人が家の中に入った!)
野崎(!!!!!)
都影「あっ!!!!」
シュタッ
キチガイ婆さんは屋根の上から玄関に降りてきた…!
つまり今突撃した部隊はみんなキチガイ婆さんに背を向けている…!
都影「キチガイ婆さんだッー!!!」
野崎「後続攻撃部隊!撃つぞ!」
友「うわあああっ!!」シュビシュビ
野崎(馬鹿な!鉄製のパチンコは杖で弾きやがった!)
友「来るぞ!」
都影「くそっ!!」
野崎(完全に作成が失敗したっ!これじゃあ中から食われていく)
本来ならキチガイ婆さんにむけて
後続→第二→突入→婆さん(矢印はこちらの攻撃)
という順番に攻撃していくはずが
後続←婆さん→第二→突入(矢印は婆さんの攻撃)
になってしまっている!!
一番体が大きい突入隊は一番遠い!!
キチガイ婆さん「きえええっ!!」ビシュ!!
野崎「友っ!!」
野崎(杖による攻撃…!腹を突かれたっ!)
野崎「都影っ!撤退だっ!作成は失敗したぞっ!」
都影「いや、それはできない!」
野崎「ふざけんなっ!命令を出せっ!」
都影「くそっ!」
野崎(都影は丘の上にいる!!畜生…!)
キチガイ婆さん「ふんっ!!」シュッ!!
野崎「屋根の上だっ!!」
第二突撃隊「くそっ!チョコマカしやがって!」
野崎(確かに凄い跳躍力だ!飛んだとも言える!)
第二突撃隊「降りてこいやー!!」
突入隊「どこいきやがった!」
状況
屋根
婆さんの玄関■■■■
突入隊
第二突撃隊
後続攻撃部隊
野崎「お前は友を運んで逃げてくれ」
後続攻撃部隊「分かった!」
友「…………」
タタタタタタタッ!!
野崎「!!!!!!」
キチガイ婆さん「きしゃああああっ!!!!」バッ!!
突入隊「うわああああっ!!!!」
キチガイ婆さん「しねええっ!!」ドガッ!!バギイッ!!
突入隊「ぐわあああっ!!」
野崎「屋根から裏に回って裏口から家の中に入ったのか!」
野崎「それから家の中を移動して突入隊への不意打ち!」
野崎「強すぎるっ!!」
第二突撃隊「4人もやられてるぞっ!」
野崎「撤退だっー!!みんなニゲロオオッ!!」
みんな「うわあああっ!!!」
みんな一撃で倒されている…!
それも防具の無い所を正確に杖で狙い撃っている!
あの身のこなし!それから家の中を走っていたのに全く気配を感じなかった!
俺はキチガイ婆さんが見えるまで気づかなかった!
この事はみんなに知らせなければまずい!!
改めて学校に伝えて6年を集めて新しく討伐隊を編成するしかない!
突入隊「おいていかないでくれっ!!」
野崎「ッ!!」
野崎(仕方ないっ!この人数で怪我人を運びながら逃げるなんてキツい!しかも殆どが戦意消失してるはず!)
男「今日、討伐隊が帰ってくるらしいな」
幼馴染「そうだね。まぁあの人数なら婆さんくらいボコボコでしょ」
男「あっ!帰ってきた!」
男「11人しかいないじゃないかっ!なげだっ!」
都影「作戦は失敗した…しかし得られた情報はある!6年の力を借りて改めて討伐隊を編成するしかない!」
男「野崎っ!無事か!」
野崎「俺は軽症で済んだ…」
男「友は?お前ら後続だったんだろ?」
野崎「腹に一撃食らって病院だ…」
男「そんな…」
男「そ、そんなに強かったのか…」
野崎「化け物だぜ…雑魚山が漏らしたのも分かる…」
男「詳しくきかせてくれ!」
野崎「分かってる…今から説明する」
野崎「最初の作戦としては奇襲を仕掛けるつもりだったんだ。」
男「うん」
野崎「だが、隠れて観察してる偵察隊がバレて奇襲は無理になってしまった」
野崎「ちなみに偵察隊は一人負傷した…喉を針で刺されてな」
男「遠くから針を飛ばして当てるなんてなんてコントロールだ…」
野崎「その時点で引くべきだった…!」
野崎「なのに都影は突入させたんだ」
男「だけどあの15人がどうやって負けたんだよ」
野崎「今から説明する」
野崎「庭から来れば第二突撃隊が攻撃すればいい。家の中で見つかれば突入隊のゴリ押しと後ろからの攻めで倒す予定だった」
野崎「だけど婆さんは屋根の上から降りてきたんだ」
男「なんだと…!」
野崎「ちょうど第二突撃隊と後続攻撃部隊の真ん中に入ってまずは防具がついていない後続攻撃部隊がやられた」
男「友…」
野崎「俺達は鉄製のパチンコ玉を一斉発射したけど一発は当たらなくて二発は杖で弾かれた」
野崎「前に出ていた友は杖で腹をやられた」
男「そこから押せなかったのか?」
野崎「ああ。婆さんはもう一度屋根の上に飛んだんだ」
男「雑魚山もいってたけど本当なのか」
野崎「ああ。凄いジャンプ力だったよ。そこからみんな屋根や他の場所を警戒していたんだ」
野崎「つまり屋根の上に登って屋根や外を警戒させておきながら裏に回って降りて、裏口から家の中に入り、一番玄関に近かった突入隊を不意打ちしたんだよ」
男「そ、そんなことができるのか」
野崎「俺も驚いたよ。家の中を猛ダッシュしているはずなのに何の気配も感じなった!」
野崎「婆さんが家の中から出てきたのを目で見てみんなに言ったんだが遅かった!」
野崎「みんな驚きと戦力差を感じて戦意喪失してしまったんだ」
野崎「俺は残りの後続攻撃部隊である川水に友の事を任せておいたから友が追撃を食らうことは無かった」
野崎「それから死に物狂いでみんな逃げたのさ」
野崎「都影戦わなかった!婆さんが屋根の上に登った時に逃げていれば被害は少なくて済んだのに!!」
男「都影は何がしたかったんだ…」
野崎「とりあえず昼休みに都影の演説があるみたいだから行こう」
男「分かった」
都影「みなさん…昨日キチガイ婆さん討伐隊を編成し、討伐しに行きましたが結果は惨敗となってしまいました…」
都影「9人が負傷…キチガイ婆さんを見る事すらできませんでした…」
都影「我々は6年に協力を求めたいと思います!」
そうだー!!
最初からそうしろー!!
都影「では、六年生代表の桐沢さん。お願いします」
桐沢「はい。みなさん。私はキチガイ婆さんの話を聞いた時は20人の討伐隊が入れば十分だと思っておりました。」
桐沢「だが現実は違いました!!」
桐沢「6年から20人を出して4、5年と合わせて60人の討伐隊を再編成したいと思います!!!」
おおおおー!!!!
戦争じゃねえかっ!!!
桐沢「我が校の生徒を何人も傷つけたキチガイ婆さんは絶対に倒さなければいけない存在です!」
桐沢「みなさん!協力して絶対にキチガイ婆さんを倒しましょう!!」
おおあおー!!
パチパチパチパチパチパチパチパチ
男「何とかしないとっ!」
野崎「多分、負傷者を考えてもお前は参加することになるだろうよ」
男「それは分かってる!」
桐沢「指揮は私と都影くん。そして作戦隊長を野崎君に任せたいと思います!」
野崎「俺は作戦隊長になることになった」
その時浮かんだ出来事…!
チンピラをキック一撃で殺した幼馴染…!
500m離れた所から塀や電柱を伝って俺の家までくる幼馴染…!
幼馴染しかないじゃないか…!
幼馴染「なに?」
男「正直、これは言っていいのか、頼んでいいのか分からない」
男「だけど俺は友に怪我をさせたキチガイ婆さんが許せない…!」
男「だから、幼馴染…」
幼馴染「なにかな」
男「キチガイ婆さんを倒してくれ…!」
幼馴染「っ!」
男「頼むっ!」
男「ああ…」
幼馴染「いいよ。」
幼馴染「あんなことがあっても男は私を嫌わなかった」
幼馴染「友の為に倒したいっていう気持ち、その優しさも本当にいいと思うよ」
幼馴染「私はキチガイ婆さんを倒すっ!」
男「あ、ありがとう!」
ごめん…幼馴染…
俺は確かにお前を嫌ってはいなかった
だけどお前のことを怖がっていたんだ。恐れていたんだ。
幼馴染…本当にごめんな…
桐沢「作戦隊か。」
幼馴染「いや、戦闘員です」
桐沢「お前、女じゃないか。死ぬぞ」
幼馴染「大丈夫です」
桐沢「そうか。覚悟があるだけ他のやつらよりマシだ」
野崎「あの家の敷地内はこちらは未知数である上に婆さんにとって知り尽くしているベストなフィールドです」
野崎「だから、あの家以外の場所、なるべく真っさらで広い所で戦えれば勝てると思います。」
野崎「前回の敗因はこちらがキチガイ婆さんについて未知数だったこととフィールドが不利であったことです。」
野崎「こちらはもう情報を掴んでいるのでフィールドさえ克服すれば敵は無しです」
桐沢「偵察隊によるとあの婆さんは家から出ることはあんまり無いらしい」
偵察隊「はい。食糧の確保も通販を利用しています」
都影「どうやってフィールドを移動させるかだな」
桐沢「ふん。なるほどね」
野崎「まず、狙撃隊数人が丘の上から石を投下します。石を布で包めばハンマー投げの要領で遠心力を利用できます」
都影「いいじゃないか」
野崎「婆さんを石で攻撃するのではなく、家を壊す目的でやります。そうでもすれば婆さんは嫌でも家から出てくるでしょう」
野崎「自転車で逃走します。武器である石も自転車のカゴにつめば婆さんに武器として逃げてる時に攻撃される可能性も無くなります。」
都影「偵察隊の一人は針で攻撃されたらしい」
偵察隊「はい、私は見ていましたが真っ直ぐ速く飛んできた事を考えると、吹き矢などを利用したものかと思われます」
野崎「体は防具で針くらいなんともないがパンクさせられるとキツいな」
都影「はい、キチガイ婆さんのことですからパンクさせて動きを止めたら一撃でソイツを倒して残りを追うと思います」
桐沢「そう考えるともう少し人数を増やした方がいいな」
都影「そこからどこに引き寄せましょう?」
桐沢「どこだ?」
野崎「学校です。この本校を砦として使うのです」
野崎「全入口の封鎖、上からカタパルトによる攻撃をします」
桐沢「カタパルトとは?」
野崎「今、技術部に作らせていますが昔使われた投石機と同じです。見方にぶつかっても大丈夫なように空気を詰めたバスケットボールを飛ばします」
桐沢「いいじゃないか」
野崎「下では腕力がある6年が戦います」
都影「これなら負けないはずだ!」
幼馴染「うん、私その石を投げて自転車に乗る役になったんだけど」
幼馴染「正直不安だな。自転車で引きつけるとなったら後ろがノーガードだからさ」
男「俺は学校で戦う。頑張ってくれ」
幼馴染「明日、頑張ろうね!」
男「うん!」
確かに一撃では大したダメージにはなりませんが敵は一体なので何度も当てれば効果はでてきます。
偵察隊1「婆さん、敷地内にいます!」
都影「そうか。では投石部隊、作成開始だ!」
投石部隊長「はい!」
投石部隊長「みんな!構えろ!」
幼馴染(怖い…!でもこの距離ならあのボロ屋は壊れる…!)
投石部隊長「いくぞ!」
ブンッブンッ!!ブンブン!!
ドガン!!バリン!!バゴオオン!!
幼馴染「ガラスが割れた!」
投石部隊「屋根も壊れてるぞ!」
投石部隊長「二投目!構えろっ!」
ブンッ!!ブンブンブンッ!!ブンッ!!
ドガアアアン!!バゴオオン!!バキイイン!!
幼馴染「壊れてる!」
キチガイ婆さん「何をやっとるかぁー!!
」
投石部隊「ここまで作戦通りだっ」
投石部隊「ぐえっ!」ブスッ!!
幼馴染「杖が吹き矢になってる!」
投石部隊長「伏せろっ!!」
幼馴染(追いかけてくるまでは耐える…!)
幼馴染「はっ!!」
幼馴染「ジャンプしてくるよっ!みんな早く自転車に乗って!」
投石部隊長「そ、そうなのか!みんな急げっ!!」
ビシュ!!
幼馴染「乗った!このままダッシュで学校に戻るっ!」
投石部隊長「みんな全速力だぁー!!」
幼馴染「なっ!?石だと?」シュン
幼馴染(紙一重でかわしたけど石が飛んでくるなんて)
幼馴染(恐らくさっき針でやられた部隊からとったやつか!)
投石部隊長「みんなー!固まるなっ!色んなルートで目的地までいくんだっ!石が飛んでくるぞっ!」
投石部隊「うわっ!石がっ!」ガスッ
幼馴染「このままじゃ全員目的地まで行けないっ!」
幼馴染(それにしても凄い足の速さ…!こっちが先に走り出したから追いついてないけど自転車とほぼ同速で走ってる…!)
幼馴染「どんどん石の餌食になっていく…!このままじゃ全滅する!」
幼馴染「しかも石を食らってバランスを崩した自転車を一つ一つ杖で一撃かましてる!」
幼馴染「首が折られるっ!」
投石部隊長「しまったっ!!」ガタッ!!
幼馴染「部隊長!!」
投石部隊長「気にせず全力で走れっ!」
キチガイ婆さん「ふんっ!」ビシッ
投石部隊長「えんっ!!」バタッ
幼馴染(学校まで着かない…!)
幼馴染(フィールドを変えるしかない!)
幼馴染「聞こえますか?リーダー」ザザザ
桐沢「どうした?」
幼馴染「自転車でそちらに向かっていますが全滅してしまいそうです!場所を変更しましょう!」
桐沢「ど、どこにするんだよ」
幼馴染「鬼畜坂の下にある自然公園です!戦闘員はそこに集めてください!」
桐沢「ぐ、分かった!」
投石部隊「うわわああっ!!」ガタッ
婆さん「ふぅわあああははははっ!!!」バシッ
投石部隊「た、助けてくれえっ!」
婆さん「しねえええっ!!」ガシッ
投石部隊「ガアッ!!」
幼馴染「後は私一人!やるしかない!」
桐沢「みんなきけ!場所を移動するぞ!」
都影「投石部隊がここまで着きそうにない!場所を自然公園に移動する!」
男「なんだって!?」
野崎「投石部隊は?」
都影「残り少ないらしい」
男「幼馴染は?」
桐沢「連絡してくれたのが幼馴染ちゃんだから多分大丈夫だ」
野崎「幼馴染を信じよう!早くいこう!」
都影「みんな移動だー!!」
おおおー!!
キチガイ婆さん「まてえええっ!!!」
幼馴染(凄いスピードだ…!こっちは自転車なのに段々と追い詰めてくる…!)
幼馴染(だけど石と針はもうきれてるはず…!吹き矢なら一発装填だからあの時一発撃って装填されていないはず!撃ってこないんだから違いない!)
鬼畜坂とは
基地街にある物凄く急な坂である。
自転車は勿論、歩くのさえキツい斜面になっていて車でないと通れないと言われている
幼馴染「ここを下れば自然公園!」
幼馴染(だけど一発食らわせてやる!)
キチガイ婆さん「とまれえええっ!!!」
幼馴染(ほぼ後ろにいるっ!!)
幼馴染「この急斜面…!自転車は凄いスピードになってる!」
キチガイ婆さん「まてええっ!!」
幼馴染「くらえっ!キチガイっ!」
ガシススイイッ!!
キチガイ婆さん「ぎゃあっ!」ブシャアッ
幼馴染(命中…!大ダメージなはず!)
幼馴染がした事は後ろに向かっての投石である!
といっても後ろに向かって勢いよく投げることはできない!勢いは弱い!
しかしぶつかる方の婆さんの勢いは凄まじい!
自転車とほぼ同じ速度、それ以上で走っている上に坂で勢い、速度はさらに上がっている
それが石にぶつかればひとたまりもないだろう!
例えれば猛スピードで走って空中に浮かんでいる石にぶつかるのと同じである!
幼馴染「後は自然公園にいくだけ!下ってすぐの場所だ!」
キチガイ婆さん「ゆうるううううさあああっんんんっ!!!」
幼馴染「物凄い殺気だっ!恐ろしいっ!」
幼馴染「こちら、投石部隊!自然公園には着いた?」
都影「戦闘員だけ無事到着したぞ!他は徒歩だから後からくるはずだっ!後はお前が自然公園にくればっ!」
幼馴染「婆さんに一発食らわせたっ!いけるよっ!」
都影「そうかっ!気をつけろよ!」
幼馴染「うんっ!」
自然公園
野崎「見ろ!幼馴染だ!」
桐沢「投石部隊はあいつ以外全滅か…」
都影「その後ろにキチガイ婆さんも
いるぞ、作戦はここまで成功だ」
男「よかった!幼馴染が無事で」
桐沢「戦闘員!準備しろっ!もう少しでくるぞっ!」
男「幼馴染ー!」
幼馴染「男っ!後頼むっ!」
男「任せろよっ!」
キチガイ婆さん「きしゃああああっ!!!
」
桐沢「来るぞ!」
前方戦闘員「うおおおおっ!!」
キチガイ婆さん「WRYYYYYYYY!!!!!!」
シュバッ
都影「飛んだ!?」
野崎「前方戦闘員を飛び越えたっ!」
桐沢「第二戦闘員!構えろっ!」
都影「頭から血が出てる。恐らく幼馴染にあてられたんだ」
野崎「男っ!幼馴染の方へ来るぞ!」
男「なっなんだとっ!」
男「俺が止めるっ!」
キチガイ婆さん「邪魔だっ!」バコオッ!!
男「ぎゃっ!!」バタッ
幼馴染「男ー!!!!」
桐沢「逃げろ!幼馴染!」
幼馴染「よ、よくも男を…!!」
幼馴染「ぐぅっ!!」バキョオッ!!
野崎「前蹴りっ!あの音は肋骨が折れたっ!」
桐沢「止めろっ!戦闘員っ!」
戦闘員「やめろおおっ!!」
キチガイ婆さん「邪魔じゃあああっ!!」
桐沢「せ、戦闘員が一掃だと…」
野崎「これじゃあ幼馴染は殺される!」
キチガイ婆さん「くらええつあああっ!!」ビシュバシュ
幼馴染(一撃一撃が強力すぎるっ!当たったら骨折は確定!現に肋骨が折れた!)
幼馴染「くそっ!こっちに攻撃する隙がないっ!」
幼馴染(さっきの石でダメージは大きい!一撃こっちが当てれば殺せる…!)
幼馴染(キックさえ当たれば!!)
あと時チンピラを蹴り殺した事を
男がチンピラに殴られ、倒れ。
幼馴染は怒って駆け出した…!
幼馴染はチンピラに蹴りを当てようと走っていった…!
チンピラに蹴りは当たり一撃で倒したのだ…!
だが、その時キックが当たったのは、足下で男が押さえていたからだ!!!
キチガイ婆さん「んんんううんんっ!!!??」
男「いまだっ!幼馴染っ!」
幼馴染「男…」
あの時のまんまである。
立場は逆としても、男と知り合ってとても仲がよかったあの時。
チンピラを殺してしまっても仲良くしてくれた男…!
杖の一撃を食らったのに立ち上がってキチガイ婆さんを押さえてくれた男…!
キチガイ婆さん「ぎょあああっ!!」
都影「なんて威力の蹴りだっ!」
キチガイ婆さん「う、ぐううう…」ドタッ
男「はぁ…はぁ…」
幼馴染「た、倒した…」
野崎「す、すげえ…」
幼馴染「!!!///」
男「や、やったな!あのキチガイ婆さんを倒したんだぜ!」
桐沢「ああ!MVPだぜ!」
都影「これで学校も安心だな!」
幼馴染「そ、そんなことないって///」
キチガイ婆さん「………」スッ
男「はっ!キチガイ婆さんがっ!」
キチガイ婆さん「しねえっ!」バッ!!
キチガイ婆さん「がえええっ!!!」ズザズガグザドガ
男「え…!?」
友「後続攻撃部隊!到着だぜ!」
男「と、友おおおぅ!!」
友「へへ、お前らが頑張って戦ってるのに病院で寝てられるかよ」
後続攻撃部隊「何とか間に合ってよかったよ」
桐沢「到着したか!みんなごくろうだ!」
偵察隊「怪我人の回収、完了しました」
桐沢「お前達もサポートしてくれてごくろうだった」
男「学校に帰ろう!」
幼馴染「うん!」
男「それにしてもすげえ戦いだったな」
友「あぁ、俺たちは二人とも同じ場所を怪我したけどなwwww」
野崎「やっぱテンション高いな友はwww」
男「それにしても幼馴染はやっぱりすげえよ」
友「ああ、自転車で唯一生き残ったし、
最初に婆さんに一発かましたのはアイツだからな」
幼馴染「おはよーっ!みんな」
友「ようwww」
男「お前元気だなー」
幼馴染「疲れたけど怪我はしてないからねー」
男「なんだかんだいって基地街はいい街だな」
男「ん?電線が揺れてる」
ガタッ!!
幼馴染「やっほー!男!宿題みせてー!」
男「やれやれ、はいよ」
幼馴染「ありがとーっ!」
つづく
幼馴染は凄い回復力で何ともないのです!
ごめん、普通に間違えた
理解した
乙
表向きは幼馴染を助けてばっかだが色々と幼馴染に助けてもらっている男は強くなろうと自分一人で
狂犬ゴリラックマを倒すことになる!
たった一人で狂犬ゴリラックマを倒すことはできるのか!?
ついに現れた最強の少年 八重樫!!
骨が折れてもくっつけられ、壁を登ることができる超人的な肉体!!
その6年生八重樫を幼馴染は
どうやって倒すのか!?
次回!!
男vs狂気の番犬ゴリラックマ
幼馴染vs最強少年八重樫
楽しみにしててね!!!
Entry ⇒ 2012.02.17 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
フレイ「レナス、ドラゴンボールって知ってる?」
フレイ「ドラゴンボールというのはね、7つ集めれば何でも願いが叶うと言われているアーティファクトよ」
レナス「何でも願いが? まさか」
フレイ「少なくともオーディン様はその存在を信じていらっしゃるわ。
レナス、あなたに命じます。7つのドラゴンボールを集めていらっしゃい」
レナス「分かったわ。それでそのドラゴンボールとやらはどこに?」
フレイ「文献によると、ミッドガルドから遠く離れた大地、地球という星にあると記されているわ。
水鏡の使用を許可します。ただちに赴きなさい」
レナス「了解した」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328871664/
フレイ「レナス、ドラゴンボールって知ってる?」
フレイ「報告します。レナスを地球へと向かわせました」
オーディン「そうか、だが状況が変わった。フレイにも地球へ向かってもらう」
フレイ「私もですか? たかがアーティファクトの捜索、レナス1人で十分では?」
オーディン「未来を予知するユーミルの首が我に告げたのだ。ドラゴンオーブは地球にある」
フレイ「ドラゴンボールだけでなくドラゴンオーブまでもが地球にっ?」
オーディン「うむ、世界に安定をもたらすと言われる四宝、何としてでも我の物とせねばならぬ」
オーディン「万が一は許されんのだ。フレイよ、レナスを追って地球へ向かえ」
フレイ「はっ! 必ずやドラゴンボール、そしてドラゴンオーブをヴァルハラに持ち帰ってご覧に入れます!」
オーディン「これは極秘任務、信頼のおける者にしか頼めぬのだ。任せたぞ」
シュンッ スタッ バババッ
悟空「せい! ちぇあ! ハッ!」
界王「むむむ」
悟空「ん? どうしたんだ界王様ぁ。便秘かぁ?」
界王「違うわーい! 実はな、ヴァルハラから何者かが地球に向かったようなんじゃ」
悟空「ヴァルハラ? なんだそれ?」
界王「あの世の一部でこことは遠く離れた場所にある地域のことなのじゃが……。
奴らがわざわざ地球へ向かう理由となると、恐らくドラゴンボールしかあるまい」
悟空「要するによぉ、ドラゴンボールを狙って地球にまた変な奴らがやってきたってことか?」
界王「そういうことになるかなぁ」
悟空「ハハ、だったら心配いらねえさ。地球には悟飯たちがいるんだ!」
界王「うむう、そうじゃのう。何も起こらなければよいのじゃが……」
悟空「それよりよぉ、オラ腹減っちまった。メシくれ」
界王「……わしはお前の家政婦さんじゃないぞ、まったくもう」
ピッコロ「……」
デンデ「ピッコロさん、今日も座禅を組んだまま一歩も動きませんね」
ポポ「セルを倒して1年。ピッコロ、平和になっても純粋に強さ求めてる。邪魔しちゃいけない」
デンデ「そうですね」
ピッコロ「……!?」ゾクッ
ピッコロ「なんだ、この気は!?」
ピション
レナス「お前がこの星の神か」
ポポ「だれっ」
デンデ「銀髪の……女の人?」
デンデ(ピッコロさん、僕の代わりに……!)
ポポ「分かった、さぁこっち」
デンデ「は、はい、お気をつけてっ」
タッタッタッタッ
レナス「さて、ドラゴンボールを渡してもらおうか」
ピッコロ「名前くらい名乗ったらどうだ、何者だ貴様」
レナス「私は戦乙女レナス・ヴァルキュリア。主神オーディンの命によりアーティファクトを集めている」
ピッコロ「!? オーディンだと!」
レナス「ここにそのドラゴンボールがあることは分かっている。引き渡せ」
ピッコロ「断る。大人しく帰れ」
レナス「お前に拒む権利はない。これは命令だ。ドラゴンボールを引き渡せ」
ピッコロ「第6級神ごときに命令される筋合いはない。とっとと失せろ」
レナス「ふっ、言ってくれるな、辺境の神よ。だがこれはオーディン様の命令。
私の言葉はオーディン様の言葉と知れ」
レナス「……気が進まぬが力づくでその気にさせるしかないようだ」
シュンッ!
ピッコロ「遅い!」
ドゴォ!!
レナス「ごほっっ!」ズドン
ドンガラッシャーンッ!
レナス「ぐぅ! な、なんだと……!」ヨロッ
ピッコロ「でかい口を叩いていた割には大したことがないな」
レナス(馬鹿な! なんだ今のスピードは……!)
ピッコロ「ふん」シュンッ
バギンッ! ダッダッダッ! ドドドドッ!!
ピッコロ「だあ!」ズゴォ
レナス「おヴぇっっ!!」ゴボッ
ズドドドーンッ!!
レナス「ぁ…がぁ……」フラッ
レナス(こ、この私が完全に押されている……!)
ピッコロ「どうやら格の違いを思い知るのは貴様の方だったようだな」
レナス「お、おのれぇ……!」ゼェゼェ
相手は神様と融合したピッコロさんやぞ
レナス「ぐっ! オーディン様の名前を軽々しく……!」
『まったくだわ』
ピッコロ「む、なんだ!」
ピション
フレイ「その不敬な態度、万死に値するわね」
レナス「フレイ、何故あなたがここに!」
フレイ「たかが辺境と舐めていたわ。
どうやらこの星は強者が集う激戦地だということがあの後分かってね。
やっぱり私自ら趣くことにしたの」
ピッコロ(フレイだと? 第2級神格を持つ豊穣の神か。神界でも5本の指に入る実力者と言われている……)
ピッコロ「……」ギリッ
ピッコロ(……手強い! ヴァルキリーとはレベルが違う!)
レナス「フレイ! この任務は私に課せられた使命! ならば私が!」
フレイ「レナス、あなたは相手の実力を読めないほど愚かではないと思っていたけど?」
レナス「……分かったわ。フレイに任せる」
フレイ「初めに言っておくわ。私は煩わしいのが大嫌いでね。
過程なんかどうでもよくて結果だけを求めているの」
ピッコロ「……だからなんだ」
フレイ「あなたとまともに戦うつもりはないってこと」ポワワワ
ピッコロ「なっ! 地上に向けてエネルギー波を!」
ドグウウウウウウンッ!!
ピッコロ「ちっ!!」シュタッ
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!
ピッコロ「ぬおおおおおおおおおおおおお!!」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
もくもくもくもく……
レナス「やったわ! エーテルストライクがヤツに直撃した!」
フレイ「地球の神なら地球を守らなきゃならないものねぇ。例えその身を挺しても、ね」フフフ
フレイ「さ、ドラゴンボールは神殿にあるはずよ。探しましょう」
レナス「ええ」
バシューンッ
悟飯「今の大きな気は一体……! ピッコロさん、無事でいて!」
クリリン「おーい! ごはーん!」
悟飯「あ、クリリンさん!」
クリリン「やっぱりお前もあの気の正体が気になったのか」
悟飯「はい! 大きな気が2つ神殿に現れて、それからピッコロさんの気が……!」
クリリン「ああ、ピッコロのことだ、そう簡単にやられるはずはないと思うが……」
悟飯「急ぎましょう!」
クリリン「ああ!」
バシューンッ!
フレイ(そしてドラゴンオーブはどこに……。どちらも地球の神が保管しているに違いないわ)
レナス「そうだ、神殿の奥に2人隠れているはずよ。その者たちから聞き出しましょう」
フレイ「……誰かがいる気配は感じられないけど」
レナス「この星の者たちは私たちと同じようにエナジーを0にまでコントロールできるのかもしれないわ」
フレイ「だとしたら面倒ね。とにかく探し――む! 大きな波動を持った者が2人くる!」
シュタッ
クリリン「神殿があちこち壊れてる。大きな戦いがあったのは間違いなさそうだな」
悟飯「ピッコロさーん! どこにいるのー!」
クリリン「わっ馬鹿! そんなでかい声出したら敵に見つかっちまう!」
悟飯「でもデンデとポポさんのことも気になるし、そんなこと言ってられません!」
クリリン「確かにそうだな。よし、神殿の中も見てみるか」
フレイ「子供……? それにしては強大な力を持っているわね。
特にあの黒髪の少年の方からはとてつもない波動を感じるわ」
レナス「フレイ、ここは知恵を絞りましょう」
フレイ「何か作戦でも?」
レナス「ええ」
クリリン「な、何も出ませんように……」オソルオソル
悟飯「! クリリンさん! 神殿の入り口のところ!」
クリリン「えっ!」ギクッ
レナス「ぁ、ああ、た、助けて……!」フラフラッ
悟飯「女の人……?」
クリリン「うひゃっ、か、可愛いっ///」
クリリン「うへへ……って! 何があったんですか? あなたは?」
レナス「私は地球の神に招かれやってきた神界の使いメリルと申します」
クリリン「神界の使い?」
レナス「はい、ドラゴンボールが正しく管理されているかどうかを調べに来たのです」
悟飯「それで一体何があったんですか!」
レナス「得体の知れない怪物が突如現れ、ドラゴンボールを寄こせと……。
この星の神は勇敢に戦いましたが、化け物にやられてしまって……ああ!」
クリリン「なんだって!」
悟飯「……勇敢に戦った?」
レナス「はい、化け物は神との戦いで傷を負い逃げていきました。
今のうちにドラゴンボールを安全な場所に移さねばなりません!」
クリリン「そ、そりゃ大変だ!」
悟飯「……」
すぐに移動させないとまたあの化け物がやってくるかもしれません!」
クリリン「え、えーっと、ドラゴンボールは――」
悟飯「クリリンさん! そいつから離れて!!」
クリリン「えっ?」
レナス「……!」
悟飯「この神殿を襲ったのはお前だな!! みんなをどこにやった!!」
レナス「な、なんのことですか。私ではありませ――」
悟飯「とぼけるな! 神様は……デンデは戦ったりしない! ここで戦ったのはピッコロさんだ!」
クリリン「あ、そうか。言われてみれば」
レナス「なに……?」
悟飯「お前はピッコロさんを神様だと勘違いしてる!
それはピッコロさんが神様のふりをしてデンデを守ったからだ!
お前は嘘をついてる!」
レナス「……なるほど、そういうことだったか」
クリリン「あわわわっ!」サッ
悟飯「ピッコロさんたちをどこにやった!」
レナス「さあな」
シュンッ
悟飯「うぐっ!」ガシッ
フレイ「坊や、少し大人しくしててもらおうかしら」
クリリン「悟飯! くそ、2つの大きな気の正体はお前らだったのかっ!」
悟飯「ぐぐぐぐっ!」グググ
悟飯(凄い力だ……! 解けない……!)
フレイ「さあ、ドラゴンボールはどこ? 言いなさい」グイッ
悟飯「ぐぐぐぐ! し、知るもんか! 知っててもお前らなんかには絶対言わないぞ!」ググググ
フレイ「あら、抱きしめ足りないようね」ギュウッ
悟飯「うぐあああああああああ!!」グググググッ
クリリン「悟飯!」
クリリン「く、くそ! どうすりゃいいんだ!」
悟飯「お、お父さんが……いない地球は……僕が……守るんだ!」グググ
フレイ「む?」
悟飯「お前たちなんかに負けるもんかあああああ!!」ドウンッ!
フレイ「な、なに! このパワーは……!」
超悟飯「許さないぞ! お前たち!」シュインシュインシュイン
レナス「金髪になった?! それにこの凄まじいパワーは……!」
ドゴォ!!
フレイ「うごッ!」ベギッ
シュタッ!
フレイ「やるわね!」シュンッ
フレイは悟飯のアッパーカットを顎に受け大きく吹き飛ばされるが、
身を翻し地面を蹴り、悟飯の元へと反転した。
ドゴンッ! バシンズドンッ! ドガス!! ババババッ!!
ガシッ!
超悟飯「ぐっ!」
フレイ「大したものだわ坊や! この私に本気を出させるなんて!」
悟飯とフレイは手を掴み合い力比べを始めた。
フレイの圧倒的な腕力に、悟飯は思わず後ずさってしまう。
超悟飯「ぐ、ぐぐぐぐ……! なんて力だ……!」
レナス「お前の相手は私だ」
バギンッ!
クリリン「ぐへっ!!」メギッ
ドガッシャーン!
クリリンの横っ面に、ヴァルキリーの強烈な回し蹴りが叩き込まれる。
クリリン「あいててて……」
ビュンッ!
レナス「ハアッ!」
クリリン「やばっ!」サッ
ジャガグンッ!
追撃で迫り来るヴァルキリーの剣は、
クリリンをかすり地面を破砕した。
ビュウンッ!
クリリン「いっ!?」
ガゴンッ!!
クリリン「ぐあっ!!」バゴッ
ヴァルキリーは神通力で盾を飛ばし、
クリリンに直撃させた。
超悟飯「クリリンさん!」
フレイ「余所見してていいのかしら!」
ドズンッ!!
超悟飯「ぐうっ!」
掴み合った体勢のまま、
フレイは悟飯の腹に重い蹴りを叩き込む。
バジンッ!
超悟飯「ぶぎゃっ!」
そしてフレイはすかさずソバットを決め、
悟飯は上空に投げ出されてしまう。
フレイ「トドメ!」シュワワワワ
ポーピー!
超悟飯「くっ!」サッ
フレイは上空の悟飯目掛けてエネルギー弾を投げつけるが、
悟飯はそれをかろうじて避けた。
超悟飯「強い……!」ハァハァ
レナス「先にこちらを終わらせる! その身に刻め!!」
ヴァルキリーは異次元から光の槍を呼び出し、
クリリンに投げつけた。
レナス「神技! ニーベルン・ヴァレスティ!!」
クリリン「うわああああ!!」
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!
光の槍は大爆発を起こし、
クリリンをその閃光に飲み込まれた。
超悟飯「クリリンさーん!!」
もくもくもく……
レナス「さて、残りは1人か。こうなりたくなければさっさとドラゴンボールの在り処を――」
『情けないぞ悟飯。こんなザコどもに手間取りやがって』
レナス「む! 誰だ!」
超悟飯「この声はっ!」
フレイ「上か!」
ベジータ「ふん、こんなハゲ相手じゃ面白くなかろう。この俺様が相手をしてやる」
クリリン「た、助けてもらって嬉しいけどさぁ、こんなハゲはないだろ~」
超悟飯「ベジータさん、気を付けて! こいつら只者じゃありません!」
ベジータ「ふん、そうかねぇ。セルの野郎と比べりゃ全然大したことなさそうだがな」
レナス「減らず口を!」
超ベジータ「一気に終わらせてやるぜえ!!」ドウンッ! シュインシュインシュイン
レナス「なっ! こいつも金髪に――」
バギンッ!!
レナス「ごべっっ!!」メギッ
ドンガラガッシャーンッ!!
ベジータの電光石火の一撃を顔面に受け、
思いっきり吹っ飛ぶヴァルキリー。
超ベジータ「言い忘れたが俺は女だろうと手加減はせんぞ。もっともテメーは人間かどうかも怪しいがな」
バタンッ
レナス「た、立てないっ! 馬鹿な、たった一撃で……?!」
フレイ「レナス! こうなったら手段を選んでられないわ! エインフェリアを呼びなさい!」
レナス「た、確かにこの者たちに勝つにはそれしかなさそうね……」フラッ
超ベジータ「ほう?」
超悟飯「エインフェリア……? 何のことだか分からないけどさせるもんか! ベジータさん! 早くトドメを!」
超ベジータ「そのエインフェリアとやらを使えば、この俺に勝てると?」
レナス「そうだ、エインフェリアの力を使えばお前を倒すなど容易いことだ」
超ベジータ「いいだろう。その下らん挑発に乗ってやる。さっさと見せてみやがれ」
クリリン「なっ! おいベジータ! 何言ってんだ!」
超悟飯「そうですよ! 奥の手を使わせる前に――」
超ベジータ「ふざけるな! そんな勝ち方をしても面白くなかろう!」
クリリン「ま、またベジータの悪い癖が始まった……!」
超悟飯「くっ! ベジータさんが許しても僕は許さないぞ」スッ
悟飯はヴァルキリーに掌を向け、
エネルギー波を撃ち放とうとする……が、
シュンッ
超ベジータ「バカ野郎!!」
ズゴォ!
超悟飯「ぐあっ!」
ベジータは悟飯の腹を思いっきりぶん殴り、
悟飯の妨害をしてしまう。
超悟飯「べ、ベジータさん……何を……!」
超ベジータ「貴様もサイヤ人なら敵の本気を見てみたいとは思わんのか!」
超悟飯「お、思わない……! もうセルの時の二の舞はごめんですよっ!」
キラキラキラッ
周囲に光の欠片が煌き、
ヴァルキリーの背中に光の翼が生えだした。
レナス「我と共に生きるは冷厳なる勇者! いでよ!!」
パッシャーンッ
光の羽が宙に舞い、そしてその光の中から人影が飛び出した。
クリリン「いいいーっ! あ、あれは!!」
超悟飯「なっ! そ、そんな馬鹿な!」
超ベジータ「な、なにぃ!?」
ブロリー「……」シュウ~…
超ベジータ「ブ、ブロリーだとぉ!? ど、どういうことだ!?」
フレイ「レナスは死んだ英霊の魂を使い、戦力として行使することができるのよ」
超悟飯「そ、そんな!」
レナス「勇者ブロリーよ! 神に反逆せし者たちに正義の鉄槌を下すのだ!」
ブロリー「……カカロットォ」
レナス「お、おい」
超ブロリー「カカロットォォォォォォォォォォ!!!!」ドウンッ! シュインシュインシュイン
レナス「ぐっ、ダメだ! やはり言うことを聞かない!」
フレイ「構わないわ! あの戦闘狂なら奴らと戦いたがるはずよ!」
クリリン「まさかブロリーが出てくるなんて反則だよぉ! ベジータ! 責任取れよな!」
超ベジータ「も、もう駄目だぁ……おしまいだぁ……」ガクガクブルブル
クリリン「ベジータぁ!!」
超悟飯「……」
超悟飯(お父さん、僕に勇気をください!)
超悟飯「ブロリー! お前の相手は僕だ!!」
超ブロリー「カカロットの息子ぉ?」
超悟飯「そうだ! お前なんか僕がやっつけてやる!」
バゴオオオオオオオオオンッ!!
超悟飯「うぎゃっ!!」
ズドドドドドドドドドーンッ!!
ブロリーの星をも砕くような凄まじい拳が直撃し、
悟飯は地面を抉りながらすっ飛んでいった。
超悟飯「ま、負けるもんか! お父さんが守り続けた地球は……僕が守る!」
体勢を整え、勇敢にもブロリーに突っ込む悟飯。
バジンッ!
超悟飯「でりゃりゃりゃりゃっ!!」バシドゴスッ
超ブロリー「うおおおおおおお!!」ガスベキドゴッ
ガッガッガッ! バギッ! ドッドッドッ!!
ズドドドオンッ! ガシュゴンッ! ドゴゴゴゴッ!
超ベジータ「馬鹿め、どこが互角だ!」
クリリン「え?」
バギンッ!!
超悟飯「ふんぎゃっ!!」
ガシッ!
超ブロリー「カカロットォ……!!」ググッ
超悟飯「ぁががぁぁぁぁあぁぁ!!」
正面から首を掴まれ、苦しそうに悶える悟飯。
超ベジータ「何をするつもりだ!」
クリリン「決まってるだろ! 悟飯を助けないと!」
超ベジータ「バカヤロウ! 貴様が行ったところで何ができる!」
クリリン「分かってるよ! でもだからって黙って見てることなんてできるかよ!」
超ベジータ「気に入らんが賭けるしかあるまい」
クリリン「え?」
超ベジータ「悟飯がセルの時に見せたあの力を再び使うことを……!」
フレイ「ブロリーが奴らの相手をしてる間に私たちは神殿の中を探索しましょう」
ビュンッ
超ベジータ「させると思うか? テメーは俺が相手をしてやる」
レナス「くっ!」
フレイ「図に乗るんじゃなくってよ。原子も残さず浄化してあげるわ」
超ベジータ「ほざきやがれ、素粒子にまで分解してやるぜ」
シュンッ!
フレイ「でぇあ!!」
超ベジータ「だああ!!」
ダダダダッ! ドドドゴスっ! バッバッバッ!
今のうちに私はドラゴンボールを――」
ガシッ!
レナス「むぐっ!!」
ピッコロ「おっと、どこへ行くつもりだ?」
レナス「お前は……! フレイにやられたはずじゃ……!」
ピッコロ「確かにダメージを負いはしたが、一撃でやられるほどヤワじゃないんでな」
レナス(馬鹿な……エーテルストライクの直撃を受けて生きているとは……!)
ピッコロ「さあ、ブロリーをあの世に送り返せ」
レナス「む、無理よ! ブロリーの力は私の能力を遥かに超えている……。
ヤツが気の済むまで暴れるのを待つしかない」
ピッコロ「ふざけるな、このまま消滅させてやろうか?」グイッ
レナス「う、嘘ではない! 本当だ! や、やめろぉ!」ググググ
レナス「わ、私を殺したらブロリーはずっと暴れ続けるぞ! それでもいい――!!」
ザシュンッ!
レナス「がっ!!」ベチャ
次の瞬間、ヴァルキリーはピッコロの手刀で体を斜めに切り裂かれた。
ドサッ
レナス「がはっ! じ、自分が何をしているのか分かっているのか……。
わ、私には魂の選定という重大な使命があるのだ……!
こんなところで死ぬわけには……!」
ピッコロ「魂の選定だと? 死者の魂を死後もこき使っているだけだろう。偉そうなことをぬかすな」
レナス「なんだと……?」
レナス「ま、待て! 私が悪かった! 大人しく引き上げる! だからやめ――――」
ポーピー!
レナス「あ――」
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
ピッコロ「これでブロリーの動きはどうなる……!」
超ブロリー「へぇあ!?」ビクン
超悟飯「ぅ……ぁ……」ドサッ
クリリン「やった! ブロリーの動きが止まった!」
超悟飯「ピ、ピッコロさん……無事でよかった……」
フレイ(まずい! エインフェリアはレナスからの
ディバイン・マテリアライズ・エナジーの供給がなければ
実体を維持することができないというのに!)
超ベジータ「余所見してるんじゃないぜえ!!」
ドゴォ!!
フレイ「ごぼあっ!!」メギッ
ふらふらっ
フレイ「ば、馬鹿な! 神である私たちがどうして人間如きにこうも押されるの……!」
超ベジータ「サイヤ人は戦闘民族だ! 舐めるなよォ!!」
バギッ!!
フレイ「ぐヴぇっっ!!」
しゅううう~……
クリリン「ブロリーの体が消えていく! やったぁ!」
ピッコロ「ふん、ヴァルキリーめ、暴れ続けるなどとホラを吹かしやがって」
クリリン「後は1人だけだ! もう大丈夫そうだぞ悟飯! あのブロリー相手によく持ちこたえたな!」
超悟飯「ハァ…ハァ……は、はい……」
ダダダッ! ドズンッ! ドドドドッ!
フレイ「ぐっ! であ!!」ヒュン
超ベジータ「どうした! 随分気が落ちているぞぉ! もうお疲れかぁ!」バシュ
バジンッ!
フレイ「ぐう……!」
超ベジータ「貴様は自分より強い者と戦ったことなどないのだろう! だが俺たちは違う!」
ドゴォ!!
フレイ「がはッ!」
超ベジータ「絶えず強敵と戦い腕を磨き続けてきたんだ! 神だなんだと踏ん反りかえって楽をしていた貴様らとは違うぜ!」
フレイ「く、く……そ……!」
バギンッ!!
フレイ「がああ!!」ベキッ
ヒュー! ズドドドオオオーン!!
クリリン「ああ、すげえや! これなら勝てるぞ!」
ヤムチャ「おーい!」
クリリン「あ、ヤムチャさん!」
ヤムチャ「また変な奴らが現れたみたいだな~」スタッ
クリリン「どうしたんですか、こんなところに」
ヤムチャ「いやー、大きな気が現れたから気になってたんだけど、
俺が行っても足手まといになるだけかなぁって躊躇してたんだ。
そしたら残る気は1つだけになって、その気も大分弱ってるみたいだからもう大丈夫かなと思ってさ」
クリリン「も~、こっちは大変だったんですよ~」
ズドドドーンッ!!
フレイ「ぅぁ……ぐう!」ヨロヨロッ
ヤムチャ「あれが今回の敵か。び、美人じゃないか!」
クリリン「顔は可愛いけどとんでもない連中ですよ」
ヤムチャ「人造人間みたいだな……」
フレイ(こ、このままではやられる! どうすれば……! ……むっ?)
クリリン「ところでそれ何です? 水晶玉ですか?」
ヤムチャ「ああこれか? ついさっき骨董品屋で見つけてな。
今の彼女が占いにハマってるからプレゼントしようと思ってさ」
クリリン「へえ」
フレイ(?!! あ、あれはドラゴンオーブ!! あんなところにあったのね!!)
スタッ
超ベジータ「さて、テメーとの戦いも飽きてきたぜ。ここらで終わりにしてやる!」
フレイ「ま、待って!」
超ベジータ「ほう? なんだ? まさか神ともあろうものが命乞いをするんじゃなかろうなぁ?」
フレイ「そ、その通りよ! 降参するわ! もうこの星には手を出さない! だから許して! ね?!」
超ベジータ「ちっ! つまらん真似しやがって!」
ベジータ「拍子抜けだ。俺の気が変わらん内にとっとと失せるんだな」シュウウ…
フレイ「わ、分かったわっ」
ヤムチャ「おいおい、そんな簡単に見逃していいのか?」
悟飯「大人しく帰るっていうならこれ以上戦うことはないと思います」
クリリン「そうだな。び、美人だしなっ」
ピッコロ「……」
ベジータ「ああ、さっさと消えやがれ」
フレイ「ええ……」ポシュン
ザシュッ!
ヤムチャ「ぐおっ!」グシャッ
フレイ「ふふ……」
しかしフレイは空間移動でヤムチャの後ろに回りこみ、
ヤムチャの背中に手刀を刺し込んだ。
クリリン「ヤ、ヤムチャさん!?」
ピッコロ「ちっ! やはり悪足掻きを企んでやがったか!」
ヤムチャ「が……ぁぁ……!」
フレイ「あなたのようなカスにその宝玉は相応しくないわ」
ベジータ「ふん、何をするかと思えば、そんなザコをいたぶってそれで満足か?」
ピッコロ「いや待て! 何か様子が変だ!」
ピッコロ「ド、ドラゴンオーブだと!! まさか!!」
フレイ「はあああああっ!!」
シュパアアアアアアアアアアアンッ!!
クリリン「ぐう! ま、眩しい!」
悟飯「う……な!? なにあれ!」
超フレイ「さあ、第2ラウンドといきましょうか」ビリビリビリッ
ベジータ「な、なんだと! こ、このどでかい気は……!」
クリリン「セルと同じくらい凄い気じゃないかぁ!」
ピッコロ「ちっ、まさかドラゴンオーブが地球にあったとは……!」
ベジータ「ドラゴンオーブだとっ? なんだそいつは!」
界王「ドラゴンオーブじゃと~!? 長らく行方知れずになっていたが、まさか地球にあったとは~!」
悟空「ドラゴンオーブ? ドラゴンボールの親戚かぁ?」
界王「ドラゴンオーブとは神界に古代より伝わる四宝の1つでなぁ、
元々は世界に安定をもたらすための宝具なのだが、
その力を戦闘用のエネルギーに転換すればとんでもない戦士が生まれるんじゃあ!!」
悟空「な、なんだってぇ! それじゃ悟飯たちは……!」
~~~~~~~~~
ピッコロ「――というわけだ」
クリリン「あわわわ、そんなすげえ道具をたまたまヤムチャさんが見つけて持ってくるなんて……!」
超フレイ「たまたま? 違うわね、これは運命なのよ。
私がドラゴンオーブを手にしたのはなるべくしてなった運命!
偶然なんかではないわ! 運命がこの私を勝利へと押し上げてくれているのよ!」
超ベジータ「であああっ!!」シュンッ
バシン!!
超フレイ「あらあら、蚊が止まったかしら」
超ベジータ「な、なにぃ!」
超フレイ「ふふふ、でこぴん」パチン
ドゴォォッッ!!
超ベジータ「ぬおおっ!!」ベギッ
ドガッシャーンッ!!
悟飯「ベジータさん!」
クリリン「そ、そんな、ベジータのパンチを顔面に受けて無傷だなんて……!」
悟飯「そ、それが、あの時みたいに上手く力を引き出せなくて……」
ピッコロ「……そうか、もし俺が死ねば、お前はあの時のように怒れるか?」
悟飯「え、な、何を言ってるんですか、ピッコロさん!」
ピッコロ「ふっ、行ってくる」
シュンッ!
クリリン「ピッコロ!」
悟飯「ピッコロさん!!」
超フレイ「あらあら、やる気? 自分は無力だって気付けないほど愚かなの?」
ピッコロ「だだだだだだだだっ!!」ドシュドシュドシュ
フレイに連続エネルギー弾を放つピッコロ。
超フレイ「ふふふっ、どこを狙っているの?」ヒョイヒョイ
ピッコロ「周りを見てみやがれ!」
超フレイ「む? これは――」
ピッコロ「魔空包囲弾!! くたばれええ!!」
チュドドドドドドドドドーンッ!!
クリリン「す、すげえや! やったか!?」
もくもくもくもく……
超フレイ「この程度のパワーで私を倒せると思ったのかしら」ウフフ
ガシッ!
超フレイ「遅い、全然遅いわ。スローモーションで再生してるみたいにゆ~っくり見えるわよ」
ピッコロ「ぬうっ!」
超フレイ「必死な顔しちゃって、まぁ醜いわねぇ」
グショッ!!
ピッコロ「ぐあああああ!!」ブシャアア
超フレイ「あらあら、ごめんなさい。ちょっと力を入れただけで腕がもげてしまったわ」アハハ
悟飯「ピ、ピッコロさん!」
超悟飯「うわあああああああ!!」ドウンッ! シュインシュインシュイン
クリリン「だ、駄目だ、ただのスーパーサイヤ人だ。セルを倒した時の悟飯じゃない!」
超悟飯「どうして……! どうしてあの時の力を出せないんだ!
このままじゃピッコロさんが……!
守りたいのに! みんなを守りたいのにいい!!」
ピッコロ「く、くそ……!」
ピッコロ(悟飯、後は頼んだぞ……)
超悟飯「お願いだよ! もう1度だけ! もう1度だけあの時の力を!!」
――何やってんだ悟飯!!
超悟飯「こ、この声……お父さん……?」
悟空『甘ったれてんじゃねえぞ! セルを倒した時のパワーをもう1度見せてみろ!』
超悟飯「そ、そんなこと言われても、出そうと思っても出ないんだ! どうしたらいいの!?」
悟空『難しく考えるな! 理屈じゃねえ! あの時の自分を思い出すんだ!』
超悟飯「でも、あの時はただ怒りに身を任せていただけで……やっぱり分からないよ!」
悟空『おめえが戦わなきゃピッコロは殺されるぞ! それでもいいのか!』
超悟飯「ピッコロさんが……殺される……!」
悟飯「お、おじさぁん」
ピッコロ「ピッコロ大魔王ともあろうものが……ガキを庇っちまうなんて……最低だ……」
悟飯「しっかりしてぇ! 死なないでぇ!」
ピッコロ「死ぬ…な…よ……悟……飯……」
悟飯「おじさああああああああああああん!!」
~~~~~~~~~~~~~~
超悟飯「イヤだ……! あの時みたいなことだけは、もう絶対に!!」
悟空『戦え! そしておめえが地球を守るんだ! 悟飯!!』
超フレイ「さようなら、来世で会いましょう」ピッ
ピッコロ「ぐ……悟…飯……」
超悟飯「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ドウウウウウウウンッ!!!
超2悟飯「はあああああああああああああッ!!」バチバチバチバチッ
クリリン「や、やった! あの時のすげえ悟飯だ!」
ピッコロ「やったな……悟飯……」
超フレイ「な、なんなの……この凄まじい波動は……! 宇宙中探したってこれほどの者は――!」
超2悟飯「ピッコロさんを離せえええええええええええええええ!!」
バギッッッッ!!
超フレイ「がごッッ!!」メギッ
ヒュー! ズドドドドドドドドオーンッ!!
バァーン!
超フレイ「おのれええ! たかが人間如きが神である私にいいいいいい!!」
超2悟飯「だああああああ!!」
ドドドドドッ! ドギャッ! ガゴスッ!!
ズゴンッ! ドッドッドッドッドッドッ!!
超フレイ「フンッ! はぁァァ!!」
超2悟飯「だだだだだだだだああああああ!!」
ベジータ「ぱ、パワーは互角か……!」ゼェゼェ
クリリン「ベジータ! 大丈夫か!」
超2悟飯「だああ!!」
ドゴンッ!!
超フレイ「がはッッ!!」
クリリン「ああ、パワーは互角だ……! で、でも信じられねえ!」
超2悟飯「でああ!!」シュンッ
超フレイ「ぐほッ!!」ドゴォ
クリリン「悟飯の方が戦い慣れてる! 12歳の子供である悟飯の方が!!」
ピッコロ「へっ、当然だ。悟飯はほんの小さなガキの頃から
とても敵わないような強敵と戦い続けてきたんだ」
ピッコロ「何百年も無駄に生きてきた神なんぞよりもキャリアは上だ!」
超フレイ「おヴェッッ!!」ズゴスッ
ふらふらっ
超フレイ「な、何故なの! ドラゴンオーブの力をあるのに……何故勝てない……!
神に使役されるだけの存在でしかない人間如きに……!」ワナワナッ
フレイは上空へと高く舞い上がり、
そして雄たけびを上げた。
超フレイ「はあああああああああああああああ!!」ビリビリビリビリッ
クリリン「す、すげえ気だ! こうしてるだけで地球が吹き飛びそうなくらいに……!」
超フレイ「あっはっはっはっ! 私は宇宙空間でも生きていけるけどあなたたちはどうかしらねぇ!」ビリビリビリッ
ベジータ「ちっ、まさか!」
超フレイ「もうドラゴンボールなどどうでもいい! 地球ごと……いえ! 太陽系ごと消滅させてあげるわ!!」ビリビリビリッ
ピッコロ「くそったれ! なんて気だ!」
超フレイ「神技!!」ビリビリビリッ
超2悟飯「はーめー……」
超フレイ「エーテルストライクッ!!!!」
ドゴウウウウウウウウウウウウウウンッ!!!
超2悟飯「波あああああああああああああああッ!!!!」
ドビュウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!!
クリリン「同時に撃ったっ!」
バギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!
ベジータ「ぶつかり合った! 互角か!」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
超2悟飯「ぐ……! ぎ、ぐぎぎ……!!」バチバチバチッ
超フレイ「まさか互角とは! でもこちらにはドラゴンオーブがある! 無限にパワーを供給できるわ!」ビリビリビリッ
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
クリリン「ま、まずいぞ! 悟飯の方が少しずつ押され始めてる!」
ピッコロ「ドラゴンオーブのせいか! フレイは体力を消耗しないが、悟飯はそうはいかない!」
超フレイ「よく頑張ったと褒めてあげるわ! 来世で出会ったら私の部下にしてあげる!!」ビリビリビリッ
超2悟飯「ぐぅ……! ま、負けるもんか!」バチバチバチッ
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
超フレイ「しぶといわね!!」ビリビリビリッ
超2悟飯「守るんだ……! 僕が地球を……! お父さんの代わりに!!」バチバチバチッ
超フレイ「無駄よ! ドラゴンオーブがある限り――!」
ピキッ
超フレイ「なっ?! ドラゴンオーブにヒビが……!!」ビリビリビリッ
超2悟飯「僕は……孫悟空の息子!! 孫悟飯だあああああああああああああ!!!!」バチバチバチッ
超フレイ「お、押され――――?!!」
ドビュウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!!
超フレイ「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
シュ~~~~~ もくもくもくもく……
超2悟飯「ハァ…ハァ……!」ゼェゼェ
悟飯「お、終わった……」シュウ~…
クリリン「悟飯ー!! やったなあ! 流石は悟空の息子だよお前は!!」ダキッ
悟飯「あはは……」
ピッコロ「この頑丈な神殿も随分ボロボロになってしまったな。ミスターポポ、出てきてもいいぞ」
べごっ
ポポ「ふぅ~、神様、もう大丈夫」
デンデ「悟飯さん凄いです!」
悟飯「デンデ! 無事だったんだね! あは、ポポさんもっ」
ポポ「いざというときの避難用シェルター、ある」
クリリン「いや~、みんな無事でよかったよ」
ヤムチャ「ひゅー…ひゅー……」ピクピク
ピッコロ「カリンのところに仙豆があるはずだ」
クリリン「ピッコロもその腕――」
ピッコロ「ふんっ!」ブシャ
クリリン「……生えるんだよな、お前は」
クリリン「それじゃ、俺は仙豆を貰ってくる!」バビューン
ベジータ「……ちっ!」
ベジータ(俺が手も足も出なかった相手をいとも簡単に倒しやがって……!
まったく気に入らないぜ、貴様ら親子は!)
ピッコロ「ふっ、貴様も仙豆を食っていくか?」
ベジータ「必要ない! 俺はもう行くぞ!」
バビューンッ
ピッコロ「……」
ピッコロ(悟空よ、見ているか。悟飯は力強く成長したぞ)
フレイア「しっかりして! フレイ姉さん!」
フレイ「ぅ……ぐぁ……」
オーディン「フレイよ、何があったのだ! ドラゴンオーブはどうした!」
フレイ「ち、地球……」
フレイア「なに?! 地球がどうしたの姉さん!」
フレイ「地球にだけは……手を出しては……いけ……な…い……」
ガクッ
オーディン「フレイ! フレーイ!!」
悟空「へへ、さすが悟飯だ! なぁ? だから大丈夫だって言ったろ?」
界王「確かに目の前の脅威は去ったが……、しかしとんでもないことをしてくれたの~」
悟空「なんだよ?」
界王「この戦いでドラゴンオーブは失われてしまった。
あれは世界に安定をもたらすものだったのだぞ~。
これから世界中でとんでもないことが起きるに違いないっ! ああ、どうしよっ」
悟空「なんだぁ、そんなことかぁ」
界王「そんなこととはなんだぁ~! お前は事の重大さが分かっとらーん!」
悟空「だったらよぉ、神龍に頼みゃいいじゃねえか~。ドラゴンオーブを元通りにしてくれってさぁ」
界王「そ、その手があったか~!」
神龍「さあ、願いを言え。どんな願い事でも2つだけ叶えてやろう」
ピッコロ「失われたドラゴンオーブを復活させてくれ」
神龍「たやすい願いだ」
シュンッ
悟飯「あはっ、さすが神龍!」
ヤムチャ「ちぇ、こんなものを見つけたばかりにとんでもない目に遭ったぜ」
ピッコロ「これは神殿で厳重に管理するとしよう」
神龍「さあ、2つ目の願いはなんだ」
ピッコロ「いや、願いは1つだけだ」
神龍「そうか。ではさらばだ」
ピシャーン
クリリン「これで全部元通りだな。いやー何事もなく終わってよかったよ」
悟飯「でもやっぱり世界は広いですね。きっと宇宙にはもっともっと強い人がいっぱいいるんだ」
クリリン「ああ、そうかもしれないな」
悟飯「だから僕、これからも気を抜かないで修行を続けようと思います。勉強と両立は大変かもしれないけど」
ピッコロ「ふっ、そうか」
悟飯「時々修行相手になってもらえますか、ピッコロさん」
ピッコロ「もちろんだ。いつでもしごいてやる」ニヤ
悟飯「はいっ! お願いします!」
こうして地球は再び悟飯たちの手によって守られた。
この先も地球を狙って悪~いヤツが現れるかもしれない。
でも大丈夫、これからも彼らとドラゴンボールが、きっとなんとかしてくれるから!
しかし……、
レナス「……」
レザード「ああ! 愛しき人ヴァルキュリアよ! 待ってておくれ! すぐにその瞳を輝かせてみせよう!」
レザード「あっはははははははははっ!」
地球が再びピンチになる日は近いかもしれないっ!
おわり
Entry ⇒ 2012.02.17 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
真美「に、兄ちゃんも…その…一人で、するの…?」
真美「あ、うん…そ、それならもう真美見たよ!」
P「そうなのか?まあ今回は雑誌が出てからになってしまったけど…
・・・?真美?どうして俺から離れるんだ?」
真美「え!な、な、なんでもないよ!」
(学校で男子たちが話してた…あずさ姉ちゃんのグラビアでその…するって…)
P「真美?」 ツカツカツカ
真美(だ、だからきっと兄ちゃんも…自分で…自分のを…)
(し、知らなかった、そんなことするなんて…///真美のグラビアも…もしかして…)
P「おい、真美。」 ポンッ
真美「キャアアアッ!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328021554/
真美「に、兄ちゃんも…その…一人で、するの…?」
伊織「ちょっと!何よ今の悲鳴!」
あずさ「あらあら~真美ちゃん顔真っ赤~」
伊織「ちょっとアンタ…前から変態だとは思ってたけど、到頭…」
真美「い、いおりん!違うってば!ゴキブリ!そう、ゴキブリが出たの!」
すまん書きためて無いんだ。気まぐれで書いたので。風呂はいる。
P「あ、ああ、俺こそ驚かせてしまったみたいでごめんな。」
ナンダー キヲツケナサイヨネ ウンメイノヒトハドコカシラー ゾロゾロ
P「じゃあその本は真美にやるから。夕方の撮影まで休んでてくれ」
真美「あ、うん…真美テレビ見てるね…」
小鳥「ゴキブリですって?新しいゴキブリホイホイ買ってこないといけませんね。」
ハイオチャデス
P「あ、音無さん。ありがとうございます。」
ジーッ
真美(兄ちゃんピヨちゃんの脚をじっと見てる!!)
小鳥「あらやだ!代えあったかしら…すいません。ちょっと外しますね」
パソコンカタカタ
美希「ハーニィっ!!」 ドンッ
P「おわっ!美希か。後ろからいきなりはやめてくれ…」
美希「早く会いたいから学校終わってダッシュで来たの!…ほら、ミキがドキドキしてるのわかる?」ギュムーッ
P「お、おいやめろ。わかった、わかったよ。だから離れてくれ。」
美希「や!ミキ疲れたからこのまましばらく充電するの!」
真美(兄ちゃん、口ではやめろって言ってるのに嬉しそう…やっぱり兄ちゃんも学校の男子と一緒なんだ…)
真美「あ、うん…」
美希「ハニー、いってらっしゃいのチューはー?」
P「はいはい。また今度な。」
真美(また今度って…今度っていつなんだろう…兄ちゃんミキミキとキスしてるのかな?)
真美「ね、ねえ。この衣装スカート短すぎない?」
春香「そう?いつもとそんなに変わらないと思うけど…」
真美(はるるんはわかってないよ…これじゃ気を付けないと下着見えちゃうじゃん…)
「それじゃー本番始まりまーす!3、2、1!スタート!」
コンニチハー ハイサイ! ワイワイペチャクチャ
P「…?真美の表情が硬いな?」
P「なんか脚をモジモジさせてる…はっ、もしや!」ピコーン
「オッケーイ!休憩入りまーす!」
真美「うう…結局パンツが見えないか気になって集中出来なかったよ…」
P「おい!真美!」グイ
真美「兄ちゃん!?」
P「全く…本番前に済ましておかないとダメだろう?」
真美「え?何が?」
P「場所がわからなかったのか?…ほら、ここだ。いってこい。待っててやるから。」
真美「え?ここってトイレ…」
P「?ずっと我慢してたんだろう?早くいってこい。漏らしちゃうぞ。」
真美「兄ちゃん…」
ツカツカツカ
P「え?お、おい。どうしたんだよ。」
真美(兄ちゃんのバカ。デリカシーがなさすぎるよ…)
P「うーん。何がまずかったんだろうか。」
真美(真美の足がモジモジしてるの見てたからかな…パンチラしないか気にして見てるからあんな勘違いしたのかな…)
真美「///」
P「今日の真美はリアクション控えめだなあ」
――後日
P「水着撮影か…真美も大分メディアへの露出が増えてきたな。」
「真美ちゃ~ん!いいよいいよーかわいいよー!」
真美「はい、ポーズ!」
「いいねいいね~。じゃあちょっとセクシーな感じでいってみようか~!」
真美「セクシー?え~と、こんな感じ?」
「そうそう!いいよいいよ!サイコ~!」
真美(みんな真美のこと見てる…考えてみたら今、真美、下着みたいな格好だよね…)
「かわいいよ!かわいいよ!真美ちゃ~ん」
カワイイヨ カワイイヨ クァイイヨ…
真美(男子は水着のグラビアでこーふんするって言ってた…ここにいる人達も…?)
真美(兄ちゃん…なんだか怖くなってきちゃったよ…兄ちゃん?)
P(真美も有名になってきたんだなあ)
真美(兄ちゃん…ニヤニヤしてる…真美のことエッチな目で見てるんだ…やだ…やだよお…)
「ま、真美ちゃん!?どうしたの!?」
P「お、おい真美!」
真美「あ、兄ちゃん…」 ニヤ~
真美「ヤダッ!!」 パシッ
P「ま、真美…」
真美「あ・・・ご、ごめん。そうじゃなくて…」
P「すいません!ちょっと休憩させてください!」
律子「それで?結局上にTシャツを着て、下はパレオで撮り直したんですね。」
P「ああ…でも今回はビキニで真美の元気さをアピールしたかったんだ…」
律子「困ったもんですね…私からもお説教しときましょうか?」
P「いや…もう少し様子を見させてくれ。どうも最近の真美はおかしい。」
律子「はあ…それならおまかせしますが…」
小鳥「くふふ…真美ちゃんの悩みはお姉さんが解決してあげるわ♪」
真美「あ、ピヨちゃん…」
小鳥「お仕事失敗しちゃったんだって?」
真美「うん…兄ちゃんにも迷惑かけちゃった…」
小鳥「大丈夫よ!この漫画を読めば真美ちゃんの悩みは解決するわ!」
真美「水色時代…?」
小鳥「ええ!思春期の揺れる心や悩みを描いた名作よ!読んでみて!」
真美「ふーん・・・?」
小鳥「そんな!?歴史的名作を!じゃ、じゃあこれはどう?『ないしょのつぼみ』!
これなら絵柄は今風でしょ?性の目覚めを描いた傑作よ!」
真美「ふーん… パラパラ… え、 やだ なにこれっ!」
小鳥「ど、どうしたの?」
真美「これ、ちょーえろいじゃん!ピヨちゃんのエロ!エロエロエロエロエロエロ!」
小鳥「ま、待って!最後まで読めばこの作品の素晴らしさが…」
真美「こんなの読んでるから彼氏できないんだよ!ベーっだ!」タッタッタ…
小鳥「なんですとー!」
真美「あ、ミキミキの写真集だ…ミキミキは恥ずかしく無いのかな…」
真美「…もうグラビアのお仕事やだな…えっちい目で見られたくないよ…」
真美「みんなはどう思ってるんだろ…」
真美「そろそろみんな帰ってきたかな…事務所に帰ってみよう」
「「おかえりー」」
春香「ねえねえ。ドーナツ作ってきたから真美も一緒に食べようよ。」
真美「うん!」(はるるんに、ゆきぴょん、まこちんにひびきんか)
雪歩「真ちゃん、少しつめて?」
真美「ありがと、ゆきぴょん!」
ワイワイ パクパク ワーオイシー
春香「よかった。」
真美「?何が?」
春香「真美、最近元気なかったみたいだから…心配してたんだ。」
真美「…そのことなんだけどね」
春香「え?どうしたの突然?」
真美「その…恥ずかしく無いのかなって…」
響「自分は全然へっちゃらだぞ!」
真「う~ん、僕も最初は恥ずかしかったけど、撮影で結構可愛い服着れたりするし…」
雪歩「わ、私は今でも苦手ですぅ…」
春香「私ももう慣れちゃったかな…」
真美「そっか…で、でもさ…男子はみんなのグラビアを見て…その…えっちい目で見たりするんだよ…。」
真「うわ!僕にふるなよ春香!… オッホン!ま、まあ少しくらいはお色気だって必要なのである!」
真美「…一人でされてても?」
雪歩「一人で…?」
真美「学校の男子が言ってた…その…男子はこーふんしたら一人で…その…する、って…
みんなのグラビアを、『オカズ』にするって…///」
「「・・・・・・・」」
そこが問題だな
響「じ、自分!犬美にエサをあげるの忘れてたぞ!」
雪歩「あ、じゃ、じゃあ私は穴掘ってきますぅ!」
真「お!そーいやーそろそろレッスンの時間だなー」
春香「あ、みんなずるい!私もトイレに行こっかな~っと!あはは!」
真美「ちょっと待ってよみんな!」
真美「なんかもういいや…ちょっと風にでもあたってこよう…」
トボ・・・ トボ・・・
キイ…
美希「あれ?どうしたの真美?」
美希「天気が良くて気持ちいいから風にあたってたの。真美こそどうしたの?」
真美「ミキミキと同じだよ…」
美希「どうしたの?なんか変なの。」
真美「なんかさ…疲れちゃって…」
美希「そっか。じゃあ、こうしてみるの!」 ごろーん
真美「わあ、ミキミキ!コンクリに寝転がったら汚いよ!」
美希「いいから、真美もやってみるの!」
真美「えー…」 ゴローン
真美「あ、本当だ…気持ちいい…」
美希「…」
真美「ねえ、ミキミキ…?」
美希「うん?」
真美「ミキミキは…その、水着のグラビアとか恥ずかしくないの?」
美希「?ミキが?恥ずかしい?」
真美「うん」
美希「ぜーんぜん!」
美希「?ミキは食べ物じゃないよ?よくわかんないけど、別にえっちい目で見られたって平気なの。」
真美「…なんでさ。」
美希「うーん。だってえっちい目で見られる。ってことはミキが魅力的だってことでしょ?だからむしろ嬉しいの。」
真美「よくわかんないよ…」
美希「…じゃあ、真美とハニーがデートをすることになったの。」
真美「えええっ!と、突然何をいいだすのさ!」
美希「たとえ、なの。そんな事ありえないの」
真美「…兄ちゃんムカつく!って思うと思う…」
美希「じゃあ、今度は海水浴です。とっておきの可愛い水着。ハニーはノーコメントです。これは?」
真美「やっぱりむかつく…水着褒めてよ!って思うと思う…」
美希「そういうことなの。」
真美「?さっぱりわかんないよ。」
真美「それは・・・兄ちゃんと学校の男子は違うもん…」
美希「ミキが魅力的ならハニーはきっと嬉しいの。だからミキはたくさんの人に魅力的って思ってもらうの。
そしたらハニーだってみんなが羨む世界一の恋人を持つことになってきっと嬉しいの!」
真美「…」
美希「それにハニー以外の人にどう思われようが全然へっちゃらなの。どんとこいなの!」
真美「…ぷっ、ははは…なにそれ…」
美希「ふふふ…ハニーには内緒だよ…えへへ…」
「いいよいいよ~!!いや~最高だね~!」 パシャパシャ
P(真美のやつ、緊張がなくなってる。すごくいい表情になってるな。)
「はい!終了でーす!」
真美「兄ちゃん兄ちゃん!どうだった?」
P「ああ!すごくいい!最高だったぞ!」
真美「にひひ~。興奮したっしょ?」
P「こーら、生意気いうな。」
真美「いいんだよ~素直になりなって!ところでさ…」
P「なんだ?」
真美「きょ、今日みたいな撮影のあとってさ…」
P「うん?」
真美「に、兄ちゃんも…その…一人で、するの…?」
完!
最初は真美やみんなの一人エッチ事情を書くはずがどうしてこうなった。
こういう綺麗な終わり方好き
Entry ⇒ 2012.02.17 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「飯にしようぜ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329093431/
鈴「はいはい」ドッコイショ
一夏「冷蔵庫は……と。うわほとんど空っぽだな」
鈴「どれどれ。野菜は使いかけのカケラばっかりね」
一夏「こっちに半分使ったひき肉があった」
鈴「うーん……あ!豆腐あるじゃん!」
一夏「えーと…使うのはこれとこれと……ああ、『アレ』だな」
鈴「そ」
鈴「りょーかい。アタシはスープの用意しとくね」ゴトゴト
一夏「おう。……えーと」
一夏「まずは生姜とニンニクのカケラをみじん切りにして……」トントントントン
一夏「ゴマ油をしいたフライパンで炒める…と」ジュウウワッ
一夏「うんうん良い感じだ」
鈴「美味しそうじゃん」
一夏「誰がやっても変わらないよ」ヘヘヘ
鈴「言ってみただけー」
一夏「なんだよそりゃ」
鈴「へへ。あたしは適当に……春雨を茹でて……」
鈴「鶏ガラとウェイパーで味付ければいいか」
一夏「なんかズルイなぁ」
鈴「いいからいいから」
一夏「あとは軽く炒める」ジャンジャンジャン
鈴「はいはいどいて!豆腐いくよ!」
一夏「あいよ」
鈴「ほいほいほい」
一夏「相変わらず包丁さばきいいなぁ」
鈴「中華料理屋の娘ですから」
一夏「…………親父さんと仲直りしたか?」
鈴「い、いいから料理に集中しなさいよ」
鈴「少しくらい順序逆になっても大丈夫よ」ジョポポ
一夏「ま、いっか」
一夏「あとはダイスに切った豆腐を崩さないようにかき混ぜて……」
一夏「水溶き片栗粉でトロミをつけたら完成だな!」デンッ
鈴「スープもこれだけだと寂しいから溶き卵入れよっと」トロロロロ
一夏「じゃあ盛り付けとくぞー」
鈴「はーい」
鈴「さーていただきm……一夏ぁ?」
一夏「なんだよ」
鈴「麻婆豆腐っていったらこう!こうでしょうが!」ドバッ
一夏「あ!おま!」
鈴「麻婆丼に決まってるでしょ!!」
一夏「ほんとに中国人かよコイツ……」
鈴「何よ悪い?」
一夏「……いや。じゃあ熱いうちに食おうぜ」
鈴一『いただきまーす』
濃い目の味付け。ピリリとしていておいしい。
酒のつまみになりそう。
スープ:中華風味の溶き卵スープ
インスタントの鶏ガラ出汁とウェイパーで適当に作ったスープ。
ちょっと味が濃い。はるさめと溶き卵入り。
鈴「はぐはぐはぐ」ガツガツ
一夏「なるほど、麻婆丼だとちょうどいい味になるんだな」ヨソイヨソイ
鈴「あ、ちょっと!何真似してんのよ」
一夏「いいだろ別に」パクッ
一夏「うーん美味い」
鈴「へっへっへ、どう?鈴ちゃんのアレンジ」
一夏「あーうまいうまい」パクパクッ
鈴「なによそれ」ゲシッ
鈴「えいえい!」ゲシゲシ
一夏「こらっ…鈴!」ガタッ
鈴「へっへー」ガツガツ
一夏「まったくもう……ほら、米つぶがついてるぞ」ヒョイ パク
鈴「んっ……もう!自分で出来るったら///」
一夏「へっへー」
鈴「ふんっ……///」
一夏「食べてすぐ寝たら太るぞ……ほら」クイッ
鈴「んあっ…枕ありがと」
一夏「たくもう」
鈴「にへへ~」
一夏「…………」ナデナデ
鈴「あー、洗い物片付けないと」
一夏「いいからいいから。俺がやっとくよ」
鈴「ありがと」
一夏「代金いただきまーす」チュッ
鈴「ちょ……///」
鈴「…………バカ」ギュッ
鈴「えー寒いからパス」
一夏「そんなこと言わないでさ~」ギュッ
鈴「あ、そのままね。暖かいから」
一夏「えー」
鈴「コタツって足は暖かいのに背中寒いわよね」
一夏「いやあの、寒いんですが」
鈴「もっときつく抱いてもいいよ?」
一夏「そういう事じゃなくてさぁ」ギュウウウ
鈴「ちょ…いちか……さすがに締めすぎ……って」
鈴「いだだだだだだだ!!ギブギブギブ!!」
一夏「へっへーん」
鈴「もう……なにすんのよっ」ダキッ
一夏「こらこら」ナデナデ
-----
---
鈴「…………ん」
鈴「ありゃ、寝ちゃってたのか」
鈴「ん~~~~っ、あれ?一夏は?」
鈴「おーい一夏ー」トテトテ
鈴「……庭のほうから音がするわね」
一夏「かまくら作り」
鈴「おーさむさむ。アタシ中に入ってるね」
一夏「って無視かよおい」
鈴「温まるもの作っとくからアンタはそっち作っときなさいよ」
一夏「へーい」
鈴「あ、もちろん二人が入れるくらいね」
一夏「…………そんなに雪あるかな」
鈴「土鍋~土鍋~」ゴソゴソ デンッ
鈴「うっし。作りますか」
鈴「たまには出汁からとってみよ」
鈴「けっずりぶし~けっずりぶし~~」
千冬「ただいまー」
鈴「あ、千冬さんだ」
鈴「いや~一夏が鍋食べたいって張り切っちゃって」
千冬「張り切る?」
鈴「裏庭見てくればわかりますよ」
千冬「ほう」トテトテ
『何やってるんだ馬鹿者』
『げっ千冬姉』
鈴「さーて、昆布を漬けたら削りはじめますか!」フンスッ
鈴「一気に削り節を投入」ドササササ
鈴「差し水をして……と。あとはもう一度煮立ったら火から下ろして完成!」
鈴「…………だよね?」
鈴「和出汁なんてめったに取らないからな~」
鈴「おっ、そろそろね……火をとめて、と」グツグツ
鈴「よっこいしょ」ジャアアアア
鈴「うん!いい色いい色!」
鈴「へっへ~、昨日買ってきた鶏肉をさっそく……ま、解凍するだけだけど」ゴソゴソ
鈴「あとは、と。長ネギ~」サクッサクッサク
鈴「まいたけ~、しめじ~~」ムシリムシリ
鈴「春菊~春菊~」ザクザクザク
鈴「お、大根もいいわね」トントントン
鈴「そしてなんといっても…豆腐!」
鈴「…………最近豆腐食べ過ぎかな」
鈴「せっかくだからつけダレもつくろ」
鈴「さっきの出汁をちょっとと醤油、みりん、砂糖……」サッサッ
鈴「軽く煮立てて……うん!おいし」
鈴「薬味は、と……」
鈴「大根おろしの残りに穴を何箇所かあけて」グリグリ
鈴「そこに七味を詰めて……」
鈴「あとは普通におろす」ガシガシガシガシ
鈴「紅葉おろしの完成~」
一夏「ん、こんなもんだろ」ポンポン
鈴「結構いいじゃない。あ、畳も敷いたんだ」
一夏「去年の春先に和室の畳交換しただろ。アレの古いやつが残っててさ」
鈴「へへ、上出来上出来!」
一夏「そっちは?」
鈴「鍋だよ~」
一夏「完璧だな」
一夏「だから厚着してこいって言っただろ。しょうがいないな」ゴソゴソ
一夏「ほら、一緒に毛布かぶろうぜ」
鈴「はーい」
一夏「……ちょっと短いな」
鈴「もっとくっつこうよ」
一夏「おう」モソモソ
鈴「あったかー」
一夏「鍋の方はどうかな」グツグツグツ
鈴「ちょっと、鶏はよく火を通しなさいよ」
一夏「分かってるって」
鈴「じゃあアタシは豆腐からね」
一夏「はーい」ヨソイヨソイ
鈴「あ、これがつけダレでこっちが紅葉おろし」
一夏「うまそうじゃん」
鈴「へへ~」
野菜と豆腐、鶏肉のシンプルな鍋。
紅葉おろしをのせて甘辛いつけダレで食べる。
酒:山形の出羽桜
住吉と人気を二分する山形の銘酒。
今回は吟醸を選んだ。すっきりした辛口で飲みやすい。
鈴「はふっ!はふっ!」
一夏「風流だなぁ~」グビッ
鈴「あ!あんた何飲んでんのよ」
一夏「酒」
鈴「ずるい!あたしにも!」
一夏「もちろん用意してます」ズイッ
鈴「どれどれ」キュッ
鈴「くぅうううう!!!」
一夏「お見事な飲みっぷり」
鈴「ほんとだ」
一夏「キレイだなぁ」
鈴「ほんと……だね」ギュッ
一夏「ん」チュッ
鈴「幸せの味がする」
一夏「何を言ってるんだ君は///」
鈴「へっへ~」グイッ
鈴「くひうつひ」チュッ
一夏「んむっ」ゴクッ
鈴「ぷはっ…………どう?」
一夏「酒の味がする」
鈴「……」ゲシッ
一夏「いや。逆に気を使わせちゃったかも」
鈴「……マジで?」
一夏「まじまじ」
鈴「そっか」
一夏「山田先生と飲みに行くってさ」
鈴「……さっぱりした梅粥でも作っておこっか」
一夏「それがいいな」
鈴「眠い~」ゴソゴソ
一夏「俺は寒い……でも腹減った……」
鈴「んがっ」zzz
一夏「こりゃ駄目だな」
一夏「俺が作るかー」ガバッ
鈴「毛布とらないでってばぁ」グイグイ
一夏「悪い悪い」
一夏「うー、寒い寒い。まずは暖房だな」ピッ
一夏「トーストトースト」ゴソゴソ
一夏「焼くだけ~」ジジジジ
一夏「やっぱこれだけだと寂しいしもう一品いくか」
一夏「ここに切ったウインナーを入れて」パララ
一夏「砂糖で甘めに味付け…と」
一夏「お手軽スクランブルエッグ~」ジャアアアアア
一夏「ほいほいほいほい」ジャッジャッジャッ
一夏「ほい完成~」
一夏「あとはレタスを敷いて、よっと」トロッ
一夏「うん、やっぱ朝はこれだな!」
一夏「コーヒーでも持ってくか」トポポポポ
------------
コンコン
一夏「鈴起きてるか?」
鈴「ん~~」
一夏「ほら、コーヒーだぞ」
鈴「あふ……あひがと」
一夏「ちょっと熱いぞ」
鈴「ふーふー…………おいひ」ズズズ
鈴「うん」ウトウト
一夏「ありゃりゃ……もしかして疲れてる?」
鈴「ほとんどアンタのせいでしょ」
一夏「面目ない」
鈴「んんん~~~、コーヒーで少し目が覚めたわ」
一夏「じゃあ飯にしようぜ」
鈴「うっし、じゃあ行きますか!」ガバッ
一夏「ほいシャツ」
鈴「……冷たい。あっためて」
一夏「おいおい」
鈴「う、ごめん……」
一夏「いいっていいって。あっため治すからそこ座ってて」
鈴「アタシがやるわよ」
一夏「んじゃお願いしよっかな」
鈴「あ、なんかズルイ」
一夏「へへ、お願い~」
鈴「はいはい」
一夏「俺はカリカリのも好きだぞー」
鈴「分かってるわよ……ん、固いのは塩味のほうが合うよね」
鈴「塩を軽く振って……残り物のほうれん草のおひたしを混ぜて」
鈴「板状に成形しながらきっちり焼いていく」ジュウウウ
一夏「こっちはトーストをすぐ食べられるようにしておこう」
一夏「今日は蜂蜜でいこっか」ヌリヌリ
鈴「あたしはさっぱりした方がいいな」
一夏「あいよー……じゃあマーマレードにしよ」
鈴「こっちもできたわよ」ジュウウウ
一夏「お、うまそう」
鈴「ベーコンの切れ端も載せたから二枚目のトーストに使いましょ」
一夏「はいはーい」
お好みのトッピングで食べる。
焼きたては何も塗らなくてもいいくらいおいしい。
コーヒー:ブレンド
千冬が近くの焙煎屋で買ってくるお気に入りブレンド。
苦味強め、酸味弱めでコクのある味わい。
ほうれん草のおひたしを混ぜ込んだ卵焼き。
細かく刻んだほうれん草がしゃきしゃきの食感を楽しませてくれる。
鈴「目が覚めたら一気にお腹すいてきた」ハグハグハグ
一夏「ま、昨日はカロリー消費したからなぁ」
鈴「お下品お下品ー」
一夏「すいません」
鈴「にひひ……あ、そっちのトーストも少しちょうだいね」ヒョイ パクッ
鈴「……蜂蜜もいいわね」モグモグ
一夏「だろ?そっちももらうぞ」ヒョイ パクッ
鈴「蜂蜜どこから買ってきたの」
一夏「シャルからもらった」
鈴「フランスの?」
一夏「フランスの」
鈴「へー!へー!」ヒョイ パク
一夏「おい」
一夏「あー…久しぶりにいい天気だしなぁ」ズズズ
鈴「映画でも見にいこっか」
一夏「いいな。たまには帰りがけに外食も」
鈴「ぬおーテンション上がってきた」
一夏「ははは。じゃあシャワー浴びたら行こうか」
鈴「うん!」
鈴「はーい」ガチャッ
箒「やあ」
鈴「箒じゃん!上がって上がって」
箒「お邪魔するぞ」
一夏「誰か来たのかー?」
鈴「箒が来たよー」
箒「ははは、久しぶりだな一夏」
箒「仕事でこっちの方に来てな……顔を出させてもらった」
一夏「顔を出させてもらったなんて水くさいぞ」
鈴「そーだそーだ」
箒「む、しかし友人とは言え用事もないのに来るわけにも……」
一夏「いいから暇な時はもっと遊びにこいよ」
鈴「うんうん。アタシ達も時間ができたらお邪魔しに行くからさ」
箒「ふっ……ああ、そうだな」
箒「ん、ああ。手ぶらと言うわけにもいかないからな」サッ
箒「ケーキを買ってきたんだ」
鈴「やったっ!ねねね、開けてもいい?」
箒「もちろんだ」
鈴「へっへ~~」ゴソゴソ
一夏「どれどれ…お、うまそう」
鈴「あたしこれもーらい」
一夏「んじゃ俺はこれとこれと……」
箒「こらこら。逃げないからゆっくり選べ」
一夏「ん」
鈴「お?」
箒「む」
鈴「一夏おねがーい」
一夏「ほいほい」タッタッタ
箒「誰か来る予定だったのか?」
鈴「んーん。通販か何かじゃない?」
『お、いらっしゃいセシリア!』
箒「…………千客万来だな」
箒「やあ。先にお邪魔している」
セシリア「まぁまぁ!お久しぶりですわね」
鈴「やっほーセシリア」
セシリア「鈴さんもお久しぶり」
鈴「今箒がおみやげに持ってきてくれたケーキ選んでるんだ」ニヘヘ
セシリア「あら、それは調度良かったですわね」
一夏「ちょうどいい?」
セシリア「ええ……こちら」スッ
箒「これは…紅茶か?」
セシリア「そうですわ」
一夏「ずいぶん高そうだなー」
セシリア「これでも国家代表ですからね。いろんなコネで…おほほ」
一夏「悪いやつー」
鈴「悪いやつー」
箒「悪いやつー」
セシリア「うふふ」ペロ
一夏「む、アレか……」ニヤッ
セシリア「なんですの?」
箒「ふむ。アレだな」
鈴「そそ」
一夏「じゃあ持ってくるな」
鈴「おねがーい」
セシリア「??」
セシリア「まぁまぁ……素晴らしい紅茶セットですわね」
箒「これはあれだな。学園を卒業した時に千冬さんからお祝いでもらった……」
鈴「そ。でも紅茶飲む習慣がなくてさ」
一夏「今まで埃をかぶってきたんだよな」
セシリア「それはもったいないですわっ」
セシリア「この機会にぜひこの素晴らしいティーセットを使う習慣をつけていただきませんと」
鈴「じゃあセシリアに淹れ方をコーチしてもらおう」
箒「それはいいな」
一夏「賛成だ」
鈴「ごくろー」
一夏「割らないかひやひやだったぜ」
セシリア「うふふ……では早速始めましょうか」
箒「よろしく頼む」
鈴「お願いしますせんせー」
一夏「お願いしまーす」
セシリア「あらあら」
一夏「え、そんなにお湯を使うのか?」
セシリア「いえ。これはティーポットを温めておくためのお湯ですわね」
セシリア「お紅茶はなるべく100度近いお湯で淹れるのが鉄則ですわ」
箒「なるほど」
セシリア「ティーポットが冷たいだけでお湯の温度が下がりますの」
鈴「一夏、ごー!」
一夏「あいあいさー」ゴトッ シュボ
セシリア「次は淹れるためのお湯ですわね」
一夏「ほーい」シュボッ
セシリア「沸騰させることは大前提ですが長時間沸かし過ぎてもいけませんわ」
一夏「ふむふむ」
セシリア「では鈴さん、こちらの温めたポットに茶葉を」
鈴「はーい。えーと……」
箒「確か人数分+1杯だったか」
セシリア「それでかまいませんわ」
セシリア「一般的なティースプーン一杯分では茶葉が足りませんの」
鈴「へー」
セシリア「かと言って二杯では多すぎる…そこで」
箒「人数分+1杯というわけか」
セシリア「そうですわ」
一夏「なるほどなぁ」
セシリア「そこまで一度に大量に作れるティーポットはないと思いますが」
鈴「だよねー」チラッ
一夏「うっ」
セシリア「もしこだわりたいのでしたらグラムを量って淹れるのが一番ですわね」
セシリア「さて、じゃあお湯をいれまして」トポポポポポ
セシリア「三分ほど待てば完成ですわ」
鈴「わくわく」
一夏「わくわく」
箒「わくわく」
一夏「いいぞー」
鈴「………」ターッ ターッ ターッ
一夏「緑茶を入れる手つき……!」
鈴「う、うるさいわね」ターッ
箒「まぁまぁ」
セシリア「うふふ」
鈴「よっと……」
セシリア「あとはお好みでミルクと砂糖を加えて召し上がって下さいまし」
鈴「いいじゃんいいじゃん」
セシリア「それではいただきましょうか」
箒「いただきます」パンッ
一鈴セ『いただきま~す』
生クリームとフルーツを使ったケーキ。
生地がべちゃりとするほどたっぷりシロップを使っている。
紅茶:セシリアがもってきたお茶
セシリアがコネで手に入れたお高い茶葉。
淹れ方もセシリア直伝で文句なし。
鈴「お」
箒「ほう」
セシリア「うん、美味しい」ニコッ
一夏「おおおおおおお」ズズズ
鈴「おいしー!」
箒「良いものだな」
セシリア「良かったですわ……ではケーキも」サク パクッ
箒「すぐ帰るつもりがしっかり落ち着いてしまった」モグッ
鈴「あ、一夏!それアタシが狙ってたケーキ!」
一夏「そっちにもあるだろ」
鈴「アタシはみかんのがよかったの!」
一夏「へっへーん」パクッ
鈴「むぅ」
一夏「…………よっと…はいあーん」
鈴「えへへ……」アーン
箒セ「…………」ニコニコ
鈴「ちょ、あんまり見ないでよっ///」
箒「また遊びにこよう」
一夏「ああ。それじゃあな」
鈴「絶対また来てよね」
セシリア「はい」
箒「うむ」
ガチャッ バタン
鈴「はぁあああ……なんか懐かしかったね」
一夏「だなぁ」
鈴「セシリアなんてしょっちゅう会ってるのになんでだろうね」
一夏「…………」
鈴「一夏?」
一夏「なぁ鈴、ちょっとIS学園の制服着てみないか?」
鈴「はぁ?…………まぁいいけど///」
鈴「え?もう終わったよ」
一夏「んなっ」
鈴「まー包丁さえ使えれば楽だしね」
一夏「おおー」
鈴「どうどう?」
一夏「やっぱりこう、大皿にドカンというのは壮観だな」
鈴「へへへ~」
一夏「焼いてるとこ」
鈴「どうりで暇そうなのね」
一夏「ま、否定できないけどさ」
鈴「メインディッシュが焦げたりしたらシャレにならないよ~?」
一夏「…………ちょっと見てくる」
鈴「はーい頑張って~」ニヤニヤ
鈴「……そろそろ時間だしソーセージでも茹でますか」
一夏「なんか、細かいもの作っておくか」ゴソゴソ
鈴「およよ?なに始めてるの」
一夏「何かつまめるものをつくろうと思って」
鈴「ふーん。じゃ、あたしもやろ」
一夏「そっちはいいのか?」
鈴「サラダは出来てるし今ソーセージ茹でてる」
一夏「そっか」
一夏「塩コショウとマヨネーズ、と……あとはひたすらつぶす」グニグニ
一夏「大体まざったら刻んだゆでたまごを……」バラッ
鈴「ポテトサラダかぁ……じゃあアタシは和風でいこ」
鈴「ほうれん草あったよね」カパッ
一夏「あ、こっちで茹で上がったのあるぞ」
鈴「準備いいじゃない。あとは適当にゴマと醤油で……と」
鈴「これを和えて…かんせーい」
一夏「胡麻和えか…いいな、千冬姉の好物だ」
一夏「きんぴらごぼうか」
鈴「ちょっと、いきなり当てないでよ」
一夏「ごぼう使うのなんてそれくらいしかないだろ」
鈴「まぁね」ジャアアアア
一夏「ゴマ醤油もいいけど練りゴママヨネーズも捨てがたい」
鈴「両方作りましょ?」
一夏「やっぱそうなるよねー」
一夏「お、きたきた!」
鈴「アタシが見てくるから一夏は盛り付け続けてて」
一夏「りょうかーい」
一夏「といってもパーティー料理だからな。大皿並べて終わりだぜ」
一夏「……おっと、メインの鶏ちゃんは焼きあがったかな~」タタタタタッ
一夏「うん、焼きいい色!」
『いらっしゃーい!!』
一夏「役者がそろったみたいだしそろそろ開始だな」
一夏「堅苦しいあいさつはなしなし!」
鈴「そうそう」
箒「ほら、乾杯の音頭を」
ラウラ「あ、む…分かった。それでは」
ラウラ「乾杯!」
一夏「かんぱーい」
セ鈴箒千「かんぱーい!!」
ラウラ「あ、ありがとう///」
箒「これは私からのプレゼントだ」
セシリア「おめでとうラウラさん。あ、こちらがわたくしのプレゼントでしてよ」
一夏「これが俺たち二人からな」
鈴「あとは料理もね!」
ラウラ「うっ…私のために…その……ありがとう」グシッ
一夏「おいおい泣くなよ」
ラウラ「教官……」
千冬「私はもうお前の教官ではないぞ」
ラウラ「えっ……」
千冬「そうだな、千冬さん、とでも呼んでもらおうかな」
ラウラ「…………///」
ラウラ「ち、千冬さん」
千冬「うむ」
内蔵をとりネギをつめ、表面には粗塩とコショウを塗りこみ
ナイフで切れ目を入れてニンニクをつめ、じっくり時間をかけて焼いたもの。
パリパリの皮とジューシーな肉の組み合わせが美味しい。
サイド:たくさん
鈴が飾り切りをしたサラダにたっぷりのソーセージ。
それからポテトサラダやきんぴらごぼう、和え物から
フライドポテトや鶏の唐揚など盛りだくさん。
ラウラ「…………」キョロキョロ
千冬「どうしたラウラ」
ラウラ「え…あ、あの……」
千冬「主役がつまらなそうな顔をしていてはいかんぞ」
ラウラ「いえ!つまらないなんてそんな……!!」ブンブン
千冬「ふっ……わかっているよ」
ラウラ「はい……」
千冬「お前が何を待っているかも」
ラウラ「え?」
ピンポーン
一夏「やっときたかー」
鈴「まぁ忙しいからね」
箒「だいぶ遅れたな……心配したが間に合ったようだ」
セシリア「今日だけは死んでも来るって必死でしたからね」
ラウラ「……も、もしかして」ダダダッ
ガチャッ
シャル「こんばんわ~…あ、ラウラ!誕生日おめでt……わぷっ!」
ラウラ「シャルロット……!!」ダキッ
ラウラ「シャルロット…シャルロット……」グスッ
シャル「……泣いてるの?ラウラ」
ラウラ「…………!」ブンブン
シャル「……ほんとにごめんね、遅れちゃって」
ラウラ「い、いい。来てくれたからな」
シャル「それじゃ僕もみんなと一緒にお祝いさせてもらおうかな」
ラウラ「あ、ああ。こっちだ。すごいぞ!一夏と鈴が料理を作ってくれたんだ!」
ラウラ「鶏をまるごと焼いたのとか、動物の形をしたサラダとか……それから……」
シャル「ふふふっ」ニコニコ
鈴「遅かったじゃない!」
箒「みんな待ってたんだぞ」
セシリア「ともあれ、お疲れ様ですわ」
シャル「ありがとセシリア……みんなも、遅れちゃってごめんね」
箒「忙しいのは知ってるからな。来てくれただけで充分だ」
一夏「そうそう。腹は減ってるか?腕によりをかけて作ったんだ」
シャル「うんもうぺっこぺこ!いただきまーす!」
ラウラ「わ、私も食べるぞ!」
鈴「ほらほら、すぐには無くならないから」
一夏「ん?」ゴシゴシ
鈴「みんな寝ちゃったわね」ジャアアア
一夏「そうだな」ゴシゴシ
一夏「鈴も疲れたら寝ていいぞ?俺がやっておくから」
鈴「そういうわけにはいかないわよ」ゴシゴシ
一夏「でもま、みんな喜んでくれたみたいで良かった」
鈴「そうだね」
一夏「だいたいラウラが乗り気じゃなかったからなぁ」
鈴「『私には誕生日などない~』だもんね。説得が一番大変だったかも」
鈴「うん」
一夏「シャルロットが来てくれて良かったぜ」
鈴「途中まで見るからに沈んでたもんねー」
一夏「ラウラはシャルロットが好きなんだな」
鈴「学園の時は同室だったし……ま、シャルロットはお姉さんみたいなとこがあるから」
一夏「優しいし可愛いしなんでもそつなくこなすしな」
鈴「随分持ち上げるじゃない」
一夏「俺は鈴が一番好きだけどな」チュッ
鈴「……ふ、不意打ちは駄目だって」
一夏「うおっ!」
鈴「きゃっ!」
一夏「ち、千冬姉……」
千冬「手伝ってやろうと思ったが……お邪魔だったようだな」
鈴「そんなこと……ない、デスヨ?///」
千冬「ふっ……おい、一夏!」
一夏「ん?どしたの」
千冬「こっちにこい」チョイチョイ
一夏『うっ……』
千冬『みんな待ってるんだぞ』
一夏『わかってるよ。実はもう用意してあるんだ』
千冬『そうか。……ってきり姉として最後の後押しをしてやらんといけないかと思ったぞ』
一夏『大丈夫。近々決めるよ』
千冬『期待してる』ポンッ
鈴「?」
鈴「んー?」
一夏「結婚しようぜ」
鈴「そうだなぁ、今日のお昼は………………え?」
一夏「結婚しよう」
鈴「」
鈴「………………」
鈴「~~~~~~~っ!!?」ジタジタ
一夏「嫌か?」
鈴「そ、そんな……こと………」
鈴「………………お、オネガイシマス」
一夏「ん?なんだって?」
鈴「おねがいしますっ!!」
一夏「鈴の言葉で聞きたいなぁ~」ニヤニヤ
鈴「くっ……あ、アタシと結婚してくださいっ!!」
千冬「よーし聞いたなお前たち!!」バッァーンッ!
セシリア「聞きましたわっ!!!」ドバァーンッ!
箒「まったくいつまで屋根裏に居させるつもりだ」ズッバッァーン!
クラリッサ『了解』ザザッ
ヒューーーーン
鈴「な、何アレ」
一夏「結婚記念の空中演舞だってさ」
鈴「あ、え?え?」
一夏「ラウラのドイツの部下がやってくれてるらしいぞ」
鈴「あれがドイツの第4世代?……ってそうじゃなくてさ」
鈴「思いっきり街中に見えてるんですけど」
一夏「一夏♥鈴音ときたか……ハハハ、難しい漢字まで凄いな」
一夏「まだまだくるぞー」
バララララララ
鈴「え?え?え?ヘリコプター?」
シャル『いちかーーー!!りんーーーー!!結婚おめでとおおおお!!!!!』
『なんだあれ』
『一夏って織斑さんとこの?』
『へぇ~結婚かぁ。おめでとさん』
一夏「最初はウェディングドレスプレゼントしてくれるってきかなくてさ」
一夏「悪いから断ってたら結局フランスの有名デザイナーだかを連れてくるって」
鈴「」
一夏「ば?」
鈴「一夏のばかあああああ!!!!!!」
一夏「うおっ!」
鈴「こんな、…アタシに秘密で何をして……っ」グスッ
一夏「お、おい泣いてるのか?」
鈴「バカ!!」ギュッ
一夏「おっと」
鈴「なんでもっと早く言ってくれないのよ……!!」チュッ チュッ
一夏「ゴメンな…断られたらと思ったら緊張して」チュッ
鈴「アタシが断るわけないじゃない!」チュッ
セシリア「あら千冬さん?目が赤いですわよ?」
千冬「な、これはその」グイッ
箒「おめでとう一夏。鈴。私は感動したぞ。うんうん」ズヒッ
ラウラ「おめでとう!二人共」
シャル『おーい開けてよーー』ドンドン
鈴「ああーーーーもう!!」
一夏「へへへ」
一夏「おおーー凄い花束だ」
鈴「あ、ありがと」
セシリア「式場もおさえてありますわ!」
箒「先導は学園の三年生がISを使ってやってくれるらしい」
千冬「私がつい口を滑らせたら三年の奴らがな……」
ワイワイ ワイワイ
鈴「…………ねぇ一夏」
一夏「ん?」
鈴「どこまで計画できてるの?」
一夏「んー、……ほい。とりあえず結婚届け。俺のとこは全部書いてあるから」
鈴「」
一夏「あともう一つサプライズが」
鈴「もうなんでもきなさいよ」
千冬「いい度胸だな」
シャル「びっくりするよ~鈴」
ラウラ「なんでも来いという言葉に二言はないだろうさ」
箒「よし、私が案内してこよう」
鈴「案内?」
一夏「ああ、来てくれたんだよ」
鈴「??」
鈴「えっ……!」
シャル「そしてなんとっ!」
『さぁさぁ早く』
『おいおい押さないでくれ』
『そんなに急がなくてもあの子は逃げませんよ』
鈴「ま、まさか……」
千冬「そうだ。両親一緒だぞ」
ラウラ「まったく、説得に苦労したぞ」
一夏「いろいろ思うとこもあるだろうけどさ……一緒に祝ってもらおうぜ」
一夏「おいおい泣くとこじゃないだろ」
鈴「うわぁああああああ…………」ギュッ
一夏「…………」ナデナデ
鈴「あ、ありが…ひっく、ありがとう………」
一夏「鈴が喜んでくれることならなんだってするさ」
シャル「かっこいいぞ一夏っ」
セシリア「ひゅーひゅーですわ!」
一夏「冷やかすなよ///」
千冬「さて、お祝いの準備をするか」
ラウラ「鈴のご両親が腕を奮ってくれるそうだ」
一夏「ほら鼻かめよ」
鈴「ん」チーンッ
一夏「はははっ」
シャル「ははっ!」
セシリア「うふふ」
ラウラ「ふむ」
千冬「おめでとう二人とも」
一夏「あ、俺も」
セシリア「わたくしもですわ!」
箒「私もだ」
ラウラ「こっちも」
シャル「僕も!」
千冬「もちろん私もだ」
一夏「というわけで……」
一夏「鈴、飯にしようぜ」
おわり
実に素晴らしい
Entry ⇒ 2012.02.17 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ソーニャ「今日もやすなで抜くか・・・」
ソーニャ「やす・・・な・・・」クニクニ
ソーニャ「あんっ・・!」ビクンビクン
ソーニャ「ふぅ・・・」
ソーニャ「やすな・・・」
ソーニャ「zzz」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328286639/
ソーニャ「今日もやすなで抜くか・・・」
やすな「ソーニャちゃん!」
ソーニャ「やすなか」
やすな「えへへ、おはよう」
ソーニャ「おはよう」
ソーニャ(朝から可愛いな・・・)
やすな「ソーニャちゃん、昨日ね・・・」
ソーニャ「うん・・・うん・・・」
ソーニャ(犯罪的な可愛さだな・・・)
ソーニャ「へぇ」
ソーニャ(柔らかそうな唇だな・・・)
やすな「あっ、ソーニャちゃん宿題やった?」
ソーニャ「うん」
やすな「みせて~」
ソーニャ「だめだ、自分でやれ」
ソーニャ(やすなの為だ・・・くそっ)
やすな「そんな~・・・」
ソーニャ「当然だ」
ソーニャ(がっかりした顔も天使みたいだな・・・)
ソーニャ「えっ・・・」
ソーニャ(お、教えてだと・・・2人っきりで!?)
やすな「ねえソーニャちゃん」ユサユサ
ソーニャ「ゆらすな」
ソーニャ(抱きしめたいよやすな・・・)
やすな「お弁当のオカズあげるからさ、ねっ?」
ソーニャ「ちょっとくらいならみてやる」
ソーニャ(オカズはお前だよ・・・)
ソーニャ「や、やめろ!」バシッ
ソーニャ(我慢できなくなるだろ・・・)
やすな「いたっ、酷い!ソーニャちゃんの馬鹿!」
ソーニャ「お前が抱きつくからだろ」
ソーニャ(はぁ・・損な性分だな・・)
ソーニャ「な、なに言ってんだ」
やすな「まぁいいや、後で宿題教えてね」
ソーニャ「はいはい」
ソーニャ(くそっ、こんなに近くにいるのに・・・)
ソーニャ(はぁ・・・今日もやすなにキツく当たっちゃったな・・・)トボトボ
ソーニャ(本当は抱きしめてイチャイチャしたいのに・・・)トボトボ
あぎり「あれー、なにかお悩みですかー?」
ソーニャ「!?」
あぎり「もしかしてー恋愛とかーですかー?」
ソーニャ「ど、どこから出てきたんだ」
あぎり「秘密ですーでも否定しないということはー」
ソーニャ「ち、違う!私はそんなんじゃ・・・」
あぎり「せっかく良い物があるのに・・・」
ソーニャ「良い物・・・?」
あぎり「でも関係ないですよ、これは恋愛でお悩みの女子高生が使うものですから」
あぎり「ただし女の子同士の恋愛でね」
ソーニャ「なん・・・だと・・・」
あぎり「だからソーニャには関係ありませーん」
あぎり「えー、なんでですかー?」
ソーニャ「し、仕事に使えるかもしれない・・・しな」
あぎり「・・・まぁ見せるだけなら」パッ
ソーニャ「お、おう」パシッ
あぎり「効果は書いてる通りですー」
ソーニャ「へ、へぇ・・・こんなのがあるのか・・・」
あぎり「あーる、ルートからの特別な薬でーす」
あぎり「もちろん天然由来ですけどね」
ソーニャ「そうか・・・」
あぎり「・・・1万円でいいですよ」
ソーニャ「だ・・・だれがこんなもの・・・あっ」ピラッ
ソーニャ「私の一万円がたまたま風で・・・」
あぎり「ふふふ」パシッ
ソーニャ「こ、こらー。こんな物を押し付けるんじゃないー」
ソーニャ「・・・///」
ソーニャ「はやく帰ろう・・・」
ソーニャ「よ、よし・・・飲むぞ・・・」
ソーニャ「・・・ごくっ」
ソーニャ「ふぅ・・・これで明日の朝には効果が出るはずだ・・・」
ソーニャ「今日は大人しく寝るとするか」
カチッ
ソーニャ「ん・・・朝か・・・」
ソーニャ「・・・!?」ガバッ
ソーニャ「ほ、本当に効いてる・・・」
ソーニャ「アレってこんな風になってるのか・・・」
ソーニャ「しかし・・・これでやすなと・・・」
ソーニャ「///」
ソーニャ「考えたらムラムラしてくるな//
」
やすな「ソーニャちゃん、今日はどこよってく~?」
ソーニャ「好きにしろ」
ソーニャ(しかしどうすればいいのやら・・・)
やすな「あ、そういえば~」
やすな「ソーニャちゃん私の家来たことないよね?」
ソーニャ「あぁ、そうだな」
ソーニャ(家・・・だと・・・!?)
やすな「じゃあ今日は私ん家で遊ぼっか~!」
ソーニャ「まぁそれぐらいなら」
ソーニャ(これは・・・チャンスだ・・・)
やすな「ただいまー!!さぁ上がって上がって~」
ソーニャ「お邪魔します」
ソーニャ(これがやすなの家か・・・やすなの匂いがする)
やすな母「おかえり・・・あれっ、あんた友達つれて来たの?」
やすな「うん、ソーニャちゃんだよ」
やすな母「あら、あなたがソーニャちゃんね、いつも娘がお世話になってます」
ソーニャ「いえ・・・そんなこと・・」
ソーニャ(これがやすなのお母さんか・・・似てるな)
やすな「ソーニャちゃんロシア人なんだよ」
やすな母「あら、そうなの」
やすな「うん、いまは殺し・・・むぐっ」
ソーニャ「あははは!そうなんですよ、留学に来てるんですよ・・・ハハハ」
やすな母「あら、大変ね~」
ソーニャ「ふぅ・・・危ないとこだった」
ソーニャ(しかしここがやすなの部屋か・・・天国だな)
ソーニャ(そしてあれがやすなが毎日寝てるベット・・・)
ソーニャ「ちょっと匂いを・・・」
ガチャ
やすな「ソーニャちゃん、お菓子もってきたよ」
やすな「あれ、眠いの?」
ソーニャ「ちょ、ちょっと横にな・・・ハハ」
ソーニャ(あ、あぶないあぶない・・・)
ソーニャ「いや、そこまで眠いわけじゃ・・・」
やすな「よいしょ」ゴロン
やすな「えへっ、ソーニャちゃんと添い寝だぁ・・・」
ソーニャ「ななな・・・なにを///」
ソーニャ(や、やすなの柔らかい身体が・・・)
やすな「なにって添い寝だよ~ソーニャちゃんとお昼寝するの嬉しいな~」
ソーニャ「べ、別に私は寝ないぞ・・・」
ソーニャ(や、やすなの匂いが・・・)
やすな「ん?なんか固いのが当たってる・・・携帯?」
ソーニャ(もうどうなってもいいや・・・)
やすな「そう・・・ってくすぐったいょお!スリスリしちゃだめぇ!」
ソーニャ「し、してねぇよ///」
ソーニャ(あっ・・・ついやっちゃった)
やすな「もーっ、ソーニャちゃんがそんな事するなんて思わなかったよ」スリスリ
ソーニャ「やっ、足からめるなっ・・・あんっ」
ソーニャ(やっ・・・やすなの足が・・・)
やすな「えっ、どうしたの?」
ソーニャ「く、くすぐったかっただけだ・・・!」
やすな「ねぇ、やっぱこれなに?携帯じゃないよね?」ぐにっ
ソーニャ「あっ」ビクン
やすな「え?ぐにってしたよ?」ぐにぐに
ソーニャ「ば、馬鹿・・・やめ」
やすな「えっ?どうしたの」バサッ・・・
やすな「えっ、なにこれ・・・」
ソーニャ「・・・」
やすな「えっ・・・」
ソーニャ「じ、じつは・・・かくかくしかじかで・・・」
やすな「そう・・・なんだ・・・」
ソーニャ「・・・」
ソーニャ「うぅ・・・」
やすな「そっか~えへへ」
ソーニャ「い、嫌じゃないのか?」
やすな「うん」
ソーニャ「・・・やすなは私の事どう思ってるんだ」
やすな「えっ、好きだよ?」
ソーニャ「い、いつも酷い事してるのに・・・それでもか」
ソーニャ「ごめん・・・」
やすな「でも今日からは私に怒らないでね?」
ソーニャ「う、うん」
やすな「えへへっ・・・ソーニャちゃん大好き」ギュッ
ソーニャ「・・・!!」ビクッ
ソーニャ「や、やすな・・・!!」チュッ
やすな「んっ!んん~!!」
ソーニャ「やすな、好きだ」ガバッ
やすな「あっだ、駄目ぇ」
ソーニャ「優しくするから・・・な?」ナデナデ
やすな「え、ええ~・・・」
やすな「・・・ハァ」
やすな「しかたないか・・・いいよ、けど優しくしてね」
ソーニャ「・・・やすな」チュッ
ソーニャ「ふぅ・・・やすな、可愛いかったぞ」ナデナデ
やすな「うう~、ソーニャちゃんったら6回も中に出して・・・」ぎゅっ
やすな「赤ちゃんできちゃうよぉ・・・」
ソーニャ「ん~?嫌なのか?」ナデナデ
やすな「嫌じゃないけど・・・」
ソーニャ「なら大丈夫だな」
やすな「もう・・・」スリスリ
やすな「ねぇ・・・ソーニャちゃん」
ソーニャ「ん、どうした?」
やすな「あの・・・出来ちゃったみたい」
ソーニャ「なにが?」
やすな「私とソーニャちゃんの赤ちゃん・・・」
ソーニャ「ほ、ほんとか・・・」ガタッ
やすな「どうしたらいいのかな・・・」グスッ
ソーニャ「う、産めよやすな・・・私が責任とるからさ」
やすな「ほ、本当?」
ソーニャ「あぁ・・・結婚しよう・・・やすな」
やすな「う、う~ん・・・」
やすな「ああああああああ・・・!」ニュルッ・・・オギャーオギャー
ソーニャ「!!」ガタッ
医者「あー!よしよし!元気な女の子だ!」
看護師「おめでとうございます!」
やすな「わ、私の赤ちゃん・・・」グスン
ソーニャ「や、やすな・・・よくやった」ウルウル
ソーニャ「ああ・・・やすなにそっくりで可愛いだろ?」
やすな「えへへ・・・でも目元はソーニャちゃんと同じだよ」
ソーニャ「ああ・・・間違いなく私とやすなの子だな・・・」
あぎり「いやーほんとに産まれるとはー・・・」
あぎり「まぁ2人が幸せならそれでいいねすかねー」
ソーニャ「やすな・・・」
あぎり「うわあーみせつけてくれますねー」
ソーニャ「やすな・・・愛してるぞ・・・」チュ
やすな「んっ・・・んん・・・私も」チュッ
やすな「っていうお話を幼稚園でやるんだけどどう?」
ソーニャ「いや、駄目に決まってんだろ・・・」パシッ
やすな「あ!返してよぉ!」
ソーニャ「これは没収だ」
やすな「そ、そんなぁ・・」シクシク
ソーニャ(後でじっくり読み返そう///)
終わり
ソーニャちゃんがアニメでデレるのはいつだろう
Entry ⇒ 2012.02.17 | Category ⇒ キルミーベイベーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
探偵「難事件だよ……これは……」助手「マジッす?!」
探偵「……」ジーッ
助手「ほっ、ほっ」パタパタ
探偵「よく働くね」
助手「うっす!所長のためっすもん」
探偵「……」
助手「ほっ、ほっ」パタパタ
探偵「お尻がいいねえ」
助手「うっす!あざっす!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328073001/
探偵「難事件だよ……これは……」助手「マジッす?!」
探偵「……うむ」
助手「おそーじおわりっ」
探偵「……」
助手「所長、お茶でもどっすか?」
探偵「貰おうか」
助手「うっす!」
探偵「……」
助手「それにしてもヒマッすね」
探偵「いいことじゃないか」
助手「でも、漫画や小説みたいに難事件を解決したいっすよ」
探偵「世間一般の探偵はそんなことしないし、トリックを暴くだけの頭脳など私にも君にもない」
助手「ま、そっすねー」
探偵「だが、君はお尻がいい。背中からお尻のラインなんて整いすぎていて、見惚れてしまうよ」
助手「うっす!あざっす!」
探偵「ありがとう」ズズッ
助手「依頼こないっすかねー」
探偵「昨日、浮気調査の依頼は来たけど」
助手「えー!?なんでいってくれないんっすか?!」
探偵「え?」
助手「自分もお手伝いするっす!!」ムフー
探偵「君は私の目の保養になってくれればいいんだ」
助手「じぶんも所長と調査したいっす!したいっす!」ジタバタ
探偵「……」
助手「したいっす!したいっす!!」ジタバタ
探偵「やめろ」
助手「あ……すいません」
探偵「君は私を悶死させる気か?」
助手「ごめんなさい……殺すつもりなんで毛頭ないっす……」
助手「クビっすか?!じぶん、クビっすかぁ?!」
探偵「そんなことしない。君はお尻がいいからな」
助手「うっす!地元の友達にもよくいわれるっす!」
探偵「そうだろう。そうだろう」
助手「この魅惑のヒップラインがじぶんの武器っすから」プリンッ
探偵「やめろ」
助手「え?」
探偵「……ふー」
助手「あの……所長?」
探偵「……そうやってお尻を強調されると……仕事にならないだろ」キリッ
助手「あ……すいません」
探偵「自然にしていればいいんだ。それだけで君は輝ける」
助手「うっす。精進するっす……」
助手「あの、じぶんは……?」
探偵「……」
助手「あ!はい!お留守番してるっす!」ビシッ
探偵「頼むよ」
助手「うっす!」
バタンッ
助手「はぁ……」
助手(ここで働き始めてもう半年……)
助手(上達したのはお茶とコーヒーの淹れかただけ……)
助手(所長は良い人だし尊敬もできるから……あの人の役に立ちたいのに……)
助手「所長……」
女「ふんふふーん」スタスタ
探偵(あの人だな……)
探偵(38歳。子どもが二人にも関わらず、家事を省みないでいつも昼間は外にいる)
探偵(旦那さんが心配もするわけだ……)
女「らんららーん」スタスタ
探偵「……」
探偵(しかし見るに耐えん、お尻だ)
探偵(尾行する気も失せるな……)
女「あ、はぁい」
男「よお。おせえぞ」
女「ごめんなさい」
探偵(ふん……簡単な仕事になりそうだな)
探偵(ホテルにでも直行してくれれば……)
探偵(早く帰って助手のお尻を拝みたいよ、まったく)
助手「すぅ……すぅ……」
ガチャ
助手「うおぉお!?寝てない!寝てないっすよ!!」
探偵「ただいま」
助手「おかえりなさいっす!!」ビシッ
探偵「コーヒーを」
助手「うっす!!」パタパタ
探偵「……」ジーッ
助手「コーヒーのさとうは~かくざとう~どうしてしかく~まるでもいいじゃ~ん♪」
探偵「……くっ……くく……」
助手「どうしたんすか?」
探偵「いや……長年、他人のお尻ばかりを見てきたが、やはり君ほど洗練されたお尻は見たことがない」
助手「あざっす!」
探偵「生きてて良かったよ」
探偵「ありがとう」
助手「で、浮気調査のほうは?」
探偵「簡単な仕事だった」
助手「おぉ!?もう写真が」
探偵「奥さんの行動がおかしくなり始めてから既に三ヶ月ほどたっているらしいからな」
探偵「罪悪感など薄れてしまっているのか、周囲を警戒する様子もない」
助手「じゃあ、ミッションコンプリートっすか」
探偵「うむ」
助手(これくらいなら自分でもできたんじゃ……)ムスッ
探偵「自分もでできたのではないか。そんなお尻をしているね」
助手「な!?わかるんすか?!」
探偵「君のお尻は表情や言葉やりも心情を雄弁に語ってくれる」
助手「お尻にマスクとかいりますか?」
探偵「隠すとか鬼畜の所業だな。やめたまえ」
探偵「そんなに私の仕事を手伝いたいのか?」
助手「もちろんっす!!」
探偵「……」
助手「……」プリンッ
探偵「ふはっ……」
助手「所長!?鼻血が!!」
探偵「負けたよ……」
助手「ティッシュ!ティッシュ!!」パタパタ
探偵「すまんね」
助手「あの……」
探偵「次の依頼、私と一緒に調査してみるか?」
助手「まじっすか?!わーい!わーい!」
探偵「……」
探偵(試されているのは私だな……。調査中も助手のお尻の誘惑に負けないでいられるか……それが問題だ……)
依頼人「この写真の彼女を行方を捜してください」
探偵「この人は?」
依頼人「妹です……」
探偵「……妹さん。家出でも?」
依頼人「わかりません。一年前、急に家を飛び出してそれっきりで……」
探偵「なるほど」
依頼人「お願いできますか?」
探偵「ええ。引き受けます」
依頼人「ありがとうございます」
助手「お茶です」
探偵「ありがとう」
依頼人「……」
探偵「うちの助手になにか?」
依頼人「いや……いいお尻だなぁって……。あ!すいません!!なにいってんだ俺……!!」
依頼人「うぅ……恥ずかしい……」
探偵「ところで、妹さんの行き先については?」
依頼人「心当たりは一年の間に全て当たりました。友人、知人にも……」
探偵「なるほど……」
依頼人「……申し訳ありません。私には出せる情報がありません」
探偵「いやいや。その交友関係や一年前までよく顔を出していたであろう場所を教えてください」
依頼人「え、ええ」
探偵「見つけてきますよ、必ず」
依頼人「お願いします!!」
助手「ふんふーん……」プリンッ
依頼人「……」
探偵「助手を凝視しないようにお願いします」
依頼人「は、はい!!」
探偵「ま、無理もないですがね。ふふ」
助手「うおー!!もえてきたっすよー!!」
探偵「熱くなりすぎないようにな」
助手「めらめらー!!」
探偵「ふっ……可愛い奴め」
助手「さ、行きましょう!!」ズンズン
探偵「行き先は知っているのか?」
助手「妹さんが通ってた学校からじゃないんすか?!」
探偵「よくわかってるな」
助手「えへへ~」
探偵「依頼人の妹は22歳。大学生。今は23歳だな」
助手「なにがあったんでしょうね。気になりますね」
探偵「それを調査するのが私たちだ」
助手「うっす!うっす!!」
探偵「いくぞ」
助手「今から潜入調査っすね」
探偵「ま、大学だから私服で入っても怪しまれはしないが」
助手「いきましょう!!」
探偵「……」
助手「わたしはたんて~い、なんじけんも~ひとひねり~♪」
探偵「ふー……」
探偵(なんてヒップだ。引き締まっているだけではなく、確かな弾力性も見て取れる……)
探偵(思わず噛み付きたくなるお尻とはこういうのを言うのだろうな……)
探偵「……」ジーッ
「なにあの人……?」ヒソヒソ
「警備員呼んだ方よくない?」ヒソヒソ
助手「所長……あの、そんな至近距離でお尻を見つめられると……流石に照れるっす……」
探偵「あ、しまった……すまない……」
助手「もう……」
「そうですね。何の連絡もないんで、こっちも心配してるんですよ」
助手「ほうほう」
探偵「……」ジーッ
助手「ところで、この方が退学する直前のこととかって知ってますか?」
「そうですねぇ……」
助手「変なところに行ってるとか、変な男とつるんでたーとか」
「大阪に行きたい。とかなんとかは聞いた覚えがありますね」
助手「大阪」
探偵「……」ジーッ
「ところで、後ろの人は……?」
助手「え?!あー!!所長!!どうしてじぶんのお尻をみるんすかぁ!!真面目にやってくださいっす!!」
探偵「え?あ、ああ。これは失敬」
助手「もう!」
(ヘンタイか……?)
探偵「大阪だな」
助手「でも部活や同じゼミの友人には一切、言ってなかったのがきになりますね」
探偵「漏らしていたのは、同講義で一緒だったわずかな人だけ」
助手「なんかあるんすかね」
探偵「失踪する前、親類に知られたくないのなら普通は誰にも漏らさない」
探偵「でも、大抵の場合は引き止めて欲しいと心のどこかで思うもの」
助手「だから親しい友人には言わずに、浅い知人にだけ?」
探偵「相談したんだろ」
助手「なるほど」
探偵「じゃあ、大阪に行こうか」
助手「うっす!!支度するっす!!」
探偵「ふー……」
探偵「ホテルの手配も……」
探偵「はっ……!!ホテル……。同室……にするべきか……?経費削減ということで……」
性別わかると思ったのに
助手「きたー!!」
探偵「……」
助手「なんでやねん」ビシッ
探偵「騒ぎすぎだ」
助手「すんません」
探偵「ホテルに行こうか」
助手「うっす!!」
探偵「ところで……」
助手「なんすか?」
探偵「その……手違いがあって……ホテルは一部屋しか借りれなかった……」
助手「へええ!?!?」
探偵「ま、問題はないか」
助手「いや……」
探偵「行こうか」
助手「よいしょっと」
探偵「大阪か……騒がしいが、東京も似たようなものだな」
助手「そうっすね」
探偵「……」
助手「あのぉ」
探偵「なんだ?」
助手「なんでシングルの部屋なんすか?」
探偵「なにか?」
助手「ベッド、ひとつじゃないっすか」
探偵「気にするな」
助手「じぶんはどこで寝ればいいんすかぁ!?」
探偵「私と一緒にねればいい」
助手「ほ、ほんきっすか……?」
探偵「経費削減だ」
助手「あのあの!!」
探偵「なんだ?」
助手「……」
探偵「どうした?」
助手「いえ……なんでも……」
探偵「いくぞ」
助手「うっす……」
助手(これは……立場を利用したパワーハラスメント……?い、いや……セクシャルハラスメント……?)
助手(まさか……所長はじぶんのことが……)
助手「マジっすか……」
助手「まじっすかー!!!」
探偵「うるさいぞ」
助手「す、すいません……」
探偵「そうですか」
「すいません」
探偵「ありがとうございます」
「えっと……あなたは?」
探偵「私はこの女性の行方を追っているのです」
「そうですか」
探偵「それでは」
助手「……」
探偵「ここも駄目だったな」
助手「そっすね……」
探偵「どうした?悩み事か?」
助手「え!?」
探偵「お尻を見ていれば分かるぞ」
助手「な、なにをいってんすか!?」
探偵「ふー……今日は収穫がなかったな」
助手「残念っすね」
探偵「……風呂でもはいったらどうだ?」
助手「え?」
探偵「ふー……」
助手「じゃあ、お先に失礼するっす……」
探偵「ゆっくりでいいぞ」
助手「……あの」
探偵「なんだ?」
助手「の、覗かないでくださいね?」
探偵「……ああ」
助手「それじゃあ……」
探偵「……」
探偵「さてと……」
助手「はぁ……」
助手(所長……もしかして……じぶんのことを……)
助手(いやいや!!ありえない!!)
助手(じぶんの魅力はこのお尻だけだし……)ペチンッ
助手(体なんて……別に……)
助手(でも……もしかしたら……)
助手「うー!!!」
助手「だめだめだめ!!!仕事できてるんすから!!」
助手(それに所長はそんなことしないっす!!)
助手「……」
助手「ん……?視線を感じる……」
助手「気のせい……?」
探偵(よし……この風呂場は狭い……。大抵は入り口に背を向ける姿勢でシャワーを浴びることになる)
探偵(ゆえにこうして扉の隙間から覗けば、お尻が……見える……ふふ……)
探偵「ふー……」
探偵(私の目に狂いはなかったな……)
助手「ふんふーん」ゴシゴシ
探偵(泡が滴り、尻を伝い……落ちていく……)
探偵(すばらしい……すばらしいよ……君のお尻は……)
探偵(この絶景を写真に……)
ピローン
助手「!?」
探偵(しまった……携帯のカメラは音がでるんだった……)
助手「所長!!いるんすか?!」
探偵「部屋の写真をとっていただけだ!!」
助手「あ、そうっすか」
探偵「すまんな、驚かせて」
探偵(危ないところだった……だが、この一枚は素晴らしい。永久保存確定だ……)
探偵「では、私も入ろうかな」
助手「……」
探偵「なんだ?」
助手「い、いえ……」
探偵「ふー……」
助手「……」
助手「いまだ……」
助手「すいません、所長!!疑ってるわけじゃないっす!!」
助手「ただの確認なんっす!!」
助手「……所長の携帯電話……」
助手「……」ピッ
助手「……」ポチポチ
助手「あ、部屋の写真っす」
助手「ふー、流石に盗撮はないっすよね。もう、じぶんのバカバカっすよ。あはは」
探偵「まぁ、いいか……」
助手「ひゃっほーい!!」
探偵「……」
探偵(何を騒いでいるのか……)
探偵(さて……)
探偵(依頼人の妹さんの行方は二の次でいい)
探偵(既に行き先の目星もついているしな……)
探偵(この出張の真の目的は……)
探偵(助手のお尻を心いくまで堪能することにある)
探偵(こういう遠出する依頼は正直、珍しいからな……)
探偵(仕事という名目ならば、助手の警戒心も然程ありはしない)
探偵(この夜が……第一の山場だな……)
探偵「ふふふ……ふふふふふ……あーっはっはっは」
助手「所長が風呂場で笑ってるっす……なんか、あったんすかね……?」
助手「ぶふっ!?なんで素っ裸で出てくるんすか!!」
探偵「別にいいではないか」
助手「目のやり場にこまるっす!!」
探偵「ふふん。そういう顔も可愛いな」
助手「やめてくださいっす!!」
探偵「今日はもう寝るか」
助手「そうっすね」
探偵「さ、くるんだ」
助手「え?」
探偵「私の隣で寝ろ」
助手「またまたー」
探偵「……」
助手「ま、マジッすか……?」
探偵「こい」
しかし・・・っ!同性であるという可能性も捨てきれない・・・っ!つまり・・・まだ・・・まだ分からない・・・っ!
探偵「背中合わせで寝れば問題ないだろ?」
助手「ま、まあ……」
探偵「……おやすみ」
助手「お、おやすみなさい……」
探偵「……」
助手(ひー……予想はしてたけど……やっぱりこうなるんだ……)
助手(いや……でも所長のことっす。じぶんに手を出すことはないはずっす……)
探偵(赤外線暗視カメラ……まさかこんなところで役に立つとは……)ゴソゴソ
探偵(君が寝ている間、ずっとお尻を撮影させてもらうよ……)
探偵(悪いね)
助手「……」ドキドキ
探偵「……」ゴソゴソ
探偵(うん。ここに固定していればいいだろう。よく撮れている。興奮してきたよ)
助手(寝れない……)
探偵「すぅ……すぅ……」
助手「所長……?ねちゃったっすか?」
探偵「んー……すぅ……」
助手「寝てる……」
助手「はぁ……」
助手(じぶんは何を疑ってたのか……)
助手(所長がそんなことするわけないのに……)
助手(じぶんも寝ないと)
助手「……」
助手「ん?」
助手「なんか……ある……」ゴソゴソ
助手「……カメラ?」
助手「なんで……?」
探偵「すぅ……おしりぃ……うまほぉ……」
助手「無線で映像を飛ばす盗撮用のカメラっすね、これ」
助手「んー?」
助手「なんでこんなものが……?」
助手「所長、所長」ユサユサ
探偵「ん?なんだぁ?」
助手「あの、ベッドの中に隠しカメラが」
探偵「え?なに……?」
助手「なんすかね?これ」
探偵「そうか……ホテルにはこういう盗撮用のカメラをおいて客の行動を監視するところもある」
助手「それって犯罪じゃないっすか!?」
探偵「私が明日、フロントで言うよ」
助手「お願いしまっす!!」
探偵(危ないところだった……)
助手(絶対嘘だ……)
助手「じぶんがあずかるっす」
探偵「え……」
助手「おやすみなさいっす」
探偵「待って」
助手「なんすか?」
探偵「かえし―――いや、私が預かる」
助手「明日、一緒にフロントでいいましょう」
探偵「待て……よこせ」
助手「いやっす」
探偵「なんでだ!?」
助手「なんで所長、そんな必死なんすか?誰が持っててもいいじゃないっすか」
探偵「君の身に余るものだ」
助手「ただのカメラじゃないっすか」
探偵「うぐ……」
探偵「……」オロオロ
助手(でも、ベッドの中に仕掛けて……なにを……?)
探偵(冷静になれ……冷静に……)
探偵(焦れば負けだ……)
助手(ベッドの中なんて撮っても……意味が……)
探偵「……分かった。白状しよう」
助手「え?」
探偵「ふー……カメラの性能を試したかったんだよ」
助手「じぶんに内緒で?」
探偵「あと、君の洞察力も知りたかった。初めての仕事だからな」
助手「所長……!!」
探偵「まさかこんなに早く看破されるとは……君はすばらしいな」
助手「嘘っすね?」
探偵「……」
探偵「ちっ……」
助手「所長……?」
探偵「……」
助手「……」
探偵「君は嘘を見破るのが得意なのか?」
助手「目を見ればわかるっすよ」
探偵「探偵にはもってこいの特技だな」
助手「で、どうしてこんなカメラを?」
探偵「性能を見ていた」
助手「ほんとっすかぁ?」
探偵「本当だ」
助手「まあ、それならいいんすけど」
探偵(ふー……あぶない)
助手「でも、今度からは一声かけてくださいね!」
助手「……ん?」
探偵(直に見るか……)
助手「所長!!」
探偵「なんだ?」
助手「枕のほうに足をもってきてどうするんすか!!」
探偵「寝相が悪いんだよ。私は」
助手「意識があるうちにっすか!?」
探偵「ふっ」
助手「もう……何がしたいんっすか……?」
探偵「寝やすい姿勢を探すのは当然だろうに」
助手「にしたって……」
探偵「きにするな」
助手「息苦しくなると思うっすよ?」
探偵「ノープログレムだよ」
助手(やっぱり息苦しいんじゃ……)
探偵(匂いまで……最高じゃないか。ここが桃源郷だな)
助手「……」
探偵(あぁ……噛み付きたい……でも……そんなことしたら……きっと嫌われる)
探偵(今日は見るだけ……見るだけ……)
探偵(みる……だ……け……)
助手「ううん……」プリンッ
探偵「がうぅ!!!」ガブッ!
助手「ぎゃぁぁぁ!!!」
探偵「君が悪いんだ!!君が……こんなお尻をしているから!!」
助手「いたい!!いたい!!!」
探偵「ぐるるるる!!!」
助手「やめて!!!やめてー!!!」
助手「……」
探偵「ごめん……」
助手「こんなお尻じゃ結婚できないっす……」
探偵「……」
助手「……さいてー」
探偵「だから……謝ってるじゃないか」
助手「信じてたのに……」
探偵「……」
助手「……依頼はどうすんすか?」
探偵「あ、ああ……じゃあ、行こうか」
助手「お尻……ヒリヒリする……」
探偵「あの……」
助手「……」プイッ
探偵(どうやら、私は難事件に巻き込まれたようだな……)
探偵「……」
助手「……」
探偵(すっかり嫌われたな……)
探偵(どうしたらいいか……)
助手「所長」
探偵「な、んだ!?」
助手「ここで聞き込みじゃないっすか?」
探偵「あ、ああ!そ、そうだな!!」
探偵「いこうか!!」
助手「……」
探偵「ごめんください」
妹「はい」
探偵「あ」
助手「いた」
助手(ここでアルバイトをしてたんすね……)
妹「兄が……」
探偵「ええ」
妹「私は帰りません」
探偵「どうしてですか?」
妹「……いえません」
探偵「居場所をお兄さんにお伝えしても?」
妹「やめてください!!」
探偵「……」
妹「言わないで……絶対に……」
探偵「……分かりました。今日のところは失礼します」
妹「では……」
探偵「……ふむ」
助手「……」
助手「何かわかったんすか?」
探偵「彼女もまたお尻が素晴らしいな」
助手「……さいてーっすね」
探偵「まて!!君が一番だ!!」
助手「それで、どうするんすか?」
探偵「おい……そんな冷たい目をするな。悲しくなるだろ……」
助手「で、これからどうするんすか?」
探偵「……」
助手「……」
探偵「そ、そうだな……。もう少し彼女の調査を行うか」
助手「どうしてっすか?お兄さんに居場所を伝えればハッピーエンドじゃないっすか」
探偵「そうなるとこの出張が終わってしまう」
助手「意味わかんねーっす」
探偵「とにかく調査だよ」
探偵「ここだよ」ムフー
助手「……」
探偵「たこ焼きでも食べるか?」
助手「いらねーっす」
探偵「ソフトクリームもあるぞ?」
助手「いらねーっす」
探偵「……」
助手「……」
探偵「大阪城、のぼるか?」
助手「興味ないっすから」
探偵(落ち着け……)
探偵(まだ大丈夫だ……焦ると負ける……)
探偵(この難事件を見事に解決してこそ、探偵じゃないか……)
助手(お尻……まだ噛み付かれたときの感覚が残ってる……)
探偵「なに!?別室だと!?」
助手「当たりまえっすよ!!もう同室なんてごめんこうむるっす!!」
探偵「しかし……経費削減……」
助手「……じゃあ、じぶんは事務所でお留守番してるっす」
探偵「な……!!き、君が協力したいっていったんじゃないかぁ!!」
助手「そりゃいいましたけど、お尻が被害をうけるなんて考えてなかったっすから!!」
探偵「ぐっ……」
助手「……」
探偵(まて……冷静になれ……)
探偵(ここで帰らせるほうがメリットはない……)
探偵(引き止めるしかないな……)
探偵「分かった、部屋をもうひとつ取ろう」
助手「……どうもっす」
探偵(ここに滞在している間はいくらでもチャンスはある……)
助手(所長にはほんと、マジびっくりっすよ)
助手「……」
助手「お尻……まだうずくなぁ……」
トントン
助手「はーい」
探偵「どうだ?新しい部屋は」
助手「眺めもいいし、いい感じっすね」
探偵「そうか」
助手「なんすか?」
探偵「いや……ベッドの調子を……」
助手「おい」
探偵「な、なんだ?」
助手「その手に持ってるのみせるっす」
探偵「……」
探偵「たまたま持っていただけだ」
助手「こんな高性能小型カメラをっすか?」
探偵「私は探偵だからな」ムフー
助手「開いた口が閉まらないっすよ」
探偵「君のお尻はいつでも引き締まっている」
助手「でてけ」
探偵「やれやれ」
助手「こっちの台詞っす」
探偵「では、失礼」
助手「もう……」
バタン
探偵(くく……見事に引っかかったな)
探偵(カメラを仕掛けるつもりなど初めからない。あのカメラはフェイクだ)
探偵(本当は扉の鍵に細工をしたのだよ。カメラを見つけたことで、もう他の場所を怪しむことはしないだろう……くく……)
助手「そろそろねるかー!!」
助手「……」
助手「所長……」
助手「―――すぅ……すぅ……」
ガチャ
探偵「……よし」
探偵「……」
助手「すぅ……すぅ……」
探偵「寝ているな……」
探偵「布団をめくれば……」ペラッ
探偵「桃源郷が現れる……」
探偵「まずは拝むか」
探偵「いいお尻だ」
助手「ううん……」
助手「ふぅ……?」ズルッ
探偵「ふふ……」
探偵「いいぞ……実にいい……」
探偵「ご飯、丼で五杯はいけるな」
探偵「さて……噛み付きたいな……」
探偵「昨日は布の上からだったから、味を確かめられなかった」
探偵「かといって、これ以上の嫌われると危険だ。助手が辞めてしまうかもしれない」
探偵「だから……舐める」
探偵「ふふ……優しく舐めれば……問題はないはずだ」
探偵「では……いくか……」
助手「むぅ……」
探偵「……」ハァハァ
探偵「……じゅる、じゅぱ、ぷちゅぅ……!」
助手「―――ひやぁぁぁぁぁ!!!!!」
助手「おそいっす!!!」ガシッ
探偵「おぉ?!」
助手「……」
探偵「何をする!はなせ!!」
助手「なにしてんすか?」
探偵「……この部屋に監視カメラがないか探しにきたんだ」
助手「もう探したっすよ、じぶんで」
探偵「そ、そうか……」
助手「……」
探偵「にゃん☆」
助手「辞表、出します」
探偵「待て!!早まるな!!」
助手「早まってないっす!!むしろかなり遅らせたほうっす!!」
探偵「一時の感情に流されてはいけないない!!」
探偵「くっ……」
助手「もうやだ!!さいてー!!ど変探偵!!」
探偵「その言い方はあんまりだ」
助手「ふん……!」
探偵「……わかった。もうしない。誓うから」
助手「信じられないっす」
探偵「頼む……この通りだ……」ザッ
助手「な……!?ど、土下座したって……だめっすから……!!」
探偵「おねがいだ……!!やめないでくれ……!!」
助手「……」
探偵「たのむ……!!」
助手「……もう、しないっすね?」
探偵「ああ!!絶対にしない!!」
助手「じゃあ……いいっすけど……」
助手「……」プイッ
探偵「ありがとう!!」ギュゥゥ
助手「ちょっと!!抱きつかないでくださいっす!!」
探偵「嬉しいよう!!」スリスリ
助手「もう……!!」
探偵「……」サワサワ
助手「おい」
探偵「なんだ?」ムニュムニュ
助手「お尻、触ってるっすよ?」
探偵「ああ、うっかり」
助手「反省……してないんすね?」
探偵「してるしてる」サワサワ
助手「……」ギュゥゥ
探偵「いたたた!!!手を抓るな!!」
探偵「よし。じゃあ、依頼人の妹さんの身辺調査といこか」
助手「それがなにになるんすか?」
探偵「何かにはなる。無駄にはならないよ」
助手「ならいいっすけど……」
探偵「よし、いこう」
助手「はぁ……」
探偵「どうした?お尻に張りがないぞ?」
助手「そうかもしれないっすね。どこかの変態がじぶんのお尻を執拗に追い回すんで」
探偵「ふん……。君がそんな魅力的過ぎるお尻をしているからだよ。人の所為にしてはいけない」
助手「……」
探偵「人間とは業の深いものだ」キリッ
助手「帰ったら辞表だすんで。お願いします」
探偵「まて!!絶対に受理はしないからな!!」
助手「しないと訴えるっすからねっ!!」
「ああ、その子か」
探偵「やはり知っているんですね?」
「よくこの店に来てるからね」
探偵「なるほど……」
「なんで?」
探偵「関係者なんです。でも、最近めっきり会えなくなって。それで今、少し調べているのですよ」
「ふーん」
探偵「どうして大阪に着たか、知ってますか?」
「アニキから逃げてきたとは言っていたな」
助手(逃げてきた……?)
探偵「お兄さんですか。仲が悪かったとか?」
「いや。日常的に暴力を振るわれていたらしい」
探偵「……」
「酷い兄貴もいたもんだよ」
探偵「なるほどね……」
助手「この依頼……どうするんすか?」
探偵「どうしたらいいと思う?」
助手「え……?」
探偵「私たちは探偵だ。依頼人の依頼を遂行して初めて仕事をしたことになる」
助手「そうですけど……」
探偵「それに気になることもある」
助手「なんすか?」
探偵「彼女が日頃から暴力を受けていたとすれば、どうして警察に連絡をしないのか」
探偵「周囲の親類、友人に話さなかったのか……」
探偵「何故、親しくもない知人に逃げることをさりげなく伝えたのか……」
助手「……」
探偵「彼女のところに行こうか」
助手「は、はいっす!!」
探偵「……そこのお尻の素敵な人」
妹「え?」
探偵「そう、君だ」
妹「な、なんですか……?」
探偵「恥らう姿もまた、いいね」
助手「ふん……!!」ギリギリ
探偵「いたいよ。足、踏んでるから」
妹「あの……」
探偵「色々、訊きたいことがあります」
妹「……帰ってください」
探偵「お兄さんと……どういった関係だったのですか?」
妹「……?!」
助手「へ?」
探偵「もう推測はできてます。私から話しましょうか?」
探偵「どうも」
妹「……」
探偵「貴女とお兄さんは……特別な関係にあったのではないですか?」
助手「え?!」
妹「……っ」
探偵「否定してくれても構いません。これまでの情報を元に推論を述べるだけですから」
探偵「お兄さんに暴力を受けていたということを色々な人に話しているようですね?」
妹「え、ええ……」
探偵「では、どうして警察に相談しなかったのですか?親でもいいし、親しい友人でもよかった」
探偵「なのに貴女は誰にも話さず、ただ地元から去ることだけを浅い関係の知人にだけ語った」
妹「……」
探偵「お兄さんのことを話したくなかった……好きだから……」
妹「それは……」
探偵「そして本当は兄の傍から離れたくないという心理が働き、知人らに去ることを漏らしてしまった。違いますか?」
妹「……その通りです。私は兄を愛してます。一人の男性として」
探偵「それは今でも?」
妹「はい」
探偵「暴力を受けていても……ですか」
妹「暴力といっても……兄はすこし偏った……性癖があるので……」
探偵「どういうことです?」
妹「お尻……」
助手「!?」
探偵「ほう……?」
妹「兄はお尻が好きで……。よく、ぶたれました」
探偵「お尻を?」
妹「はい……。拒否すると……その……兄が荒れて……何をされるかわからなくて……」
探偵「なるほど。愛してはいるけど、それが嫌になったと」
妹「はい」
助手「……」ギュゥゥ
探偵「いたいから。手のひらを抓るのはいたいから」
妹「……中学校に入ったときから兄の暴力は始まりました」
妹「でも、普段は優しくて……いつも私のことを……愛してくれていて……」
探偵「よくあることです」
妹「私……どうしたらいいか……」
助手「所長……どうするんですか?」
探偵「私は探偵です。お兄さんに貴女の現在を伝えます」
妹「それが……お仕事……ですものね……」
探偵「貴女が困惑していることも全て、話します」
妹「え……」
探偵「お兄さんも貴女を愛している。だから、探偵まで雇って探している」
探偵「貴女がまだ会いたくないとわかれば、お兄さんも無理に会おうとはしないはずです」
妹「はい……そうかもしれませんね……」
探偵「それでは」
妹「あの!」
探偵「はい」
妹「兄に……愛していますとだけ、伝えてください」
探偵「分かりました」
妹「……」ペコッ
助手「はぁー……」
探偵「どうした?バカみたいに口をあけて」
助手「あ、いえ……所長が探偵だったを再確認してしまったっす」
探偵「全く……何を言ってるんだ」
助手「ちょっと……しびれたっす……」
探偵「ふっ。さ、ホテルに戻ろう。明日、新幹線で帰るぞ」
助手「うっす!!」
探偵(よし……今晩は何をしても許されるぐらいに好感度は上がったはずだ……)
助手「うー!!やっぱ、所長かっこいいっす!!」
助手「普段、アレなのは全部相手を油断させるための演技にちがいないっす!!」
助手「くー!!!」
助手「私は、探偵です」キリッ
助手「あはっ!かっこいぃー!!!」
助手「もう一生ついていくっす!!これは永久就職っす!!!」
助手「うー!!」バタバタ
トントン
助手「あ、はーい」
探偵「お邪魔するよ」
助手「所長……ど、どどど、どうしたんすか!?」
探偵「少し、話でもしようと思って。ハイ、ジュース」
助手「どうもっす!!」
探偵(睡眠薬入りだけどね……)
探偵「ほら、ジュースが温くなる。早く飲んだほうがいい」ハァハァ
助手「えっと……今日、すごくかっこよかったっす……」
探偵「ありがとう。さ、ジュースを飲むんだ」ハァハァ
助手「えと……所長?」
探偵「なんだ?」
助手「じぶん……所長にずっとついていきたい」
探偵「え……」
助手「今日の仕事ぶりを見て、改めてそう思いました」
助手「家を追い出された私に仕事と住む場所を与えてくれたからじゃない」
探偵「……」
助手「じぶん、所長が好きです」
探偵「お……おい……」
助手「だから……ずっと、助手でいさせてください!!」
探偵「う、うん……いい……よ……うん……」
探偵「全く……君を手放すつもりなんてないがな」
助手「所長……!!」
探偵「そこまで信頼されているのは……少し驚きだよ……」
助手「えへへ。所長も照れるんっすね。かっわいー!!」
探偵「上司をからかうな」
助手「じゃあ、これ、頂きますね」
探偵「まて!!」
助手「なんです?」
探偵「そちらは駄目だ。こっちにしなさい」
助手「なんでっすか?」
探偵「いいから」
助手「こっちでいいっすよ」
探偵「いや。心が痛むからだめだ」
助手「……なんか、盛ったっすか?」
助手「じゃあ、飲んでくださいっす」
探偵「おふぅ……!?」
助手「ほら。ぐっと、一気に飲んでくださいっす」
探偵「やめろ」
助手「なんだ!?睡眠薬でも盛ったっすか!?」
探偵「なんで分かった?証拠は?」
助手「その発言っすよ!!ばかー!!」
探偵「誘導尋問か。やるな」
助手「所長がバカなだけっす!!」
探偵「やめろ……」
助手「おら!!のめ!!」
探偵「おま……訴えるぞ?」
助手「じぶんが勝つっすよ!!」
探偵「それもそうか……」
依頼人「そうですか……」
探偵「……はい。まだ、心の整理ができていないと、言っていました」
依頼人「ありがとうございます。妹にはまだ当分、会えそうにないですね」
探偵「これで依頼は達成ということで、よろしいですか?」
依頼人「ええ」
探偵「そうそう。妹さんから伝言です」
依頼人「え?」
探偵「―――愛している」
依頼人「……すいません」ウルウル
探偵「お気をつけて」
依頼人「はい……」ポロポロ
助手「ふんふーん」プリンッ
依頼人「……いい尻だなぁ……」
探偵「あのお尻は私のです」キリッ
探偵「お前のことをいいお尻だと言っていた」
助手「それ、伝えなくてもいいっす」
探偵「そうか」サワサワ
助手「おっと、手が滑って熱々のお茶が所長の手に」バシャ
探偵「がゃ!?!」
助手「セクハラっすよ?」
探偵「く……なんてやつだ……クビにしてやるぞ……」
助手「ふふん。別に反撃が怖くないならお尻、どうしたっていいっすよ?」
探偵「マジか!?」
助手「でも……容赦はしないっすからね?」
探偵「難事件だよ……これは……」
助手「マジッす!?触れなきゃいいだけなのに?!」
探偵「いや、触れるさ。―――だって、私は君のことが大好きだからね」キリッ
助手「なんか全然嬉しくないけど。ありがとうございます。私も好きっすよ、所長♪」
END
いいキャラだった
分からない所にロマンがある
Entry ⇒ 2012.02.16 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)