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アルビノ少女「どこからきたの?」
アルビノ「人懐っこいね。街の誰かの犬かな?」
仔犬「あんあんっ!」パタパタッ
アルビノ「でも、ここに来たらダメだよ。」
仔犬「きゃぅん?」
アルビノ「この森にはこわーい魔女がいてね、目が合うと石にされちゃうんだよ。」
仔犬「きゃうっ!」パタパタッ
アルビノ「まぁ、私のことなんだけどね。」
仔犬「くぅん?」
アルビノ「紐がついてるし、お前迷子なの?」
仔犬「わふっ!」
アルビノ「あ、首輪にネームプレートがついてるね。」
仔犬「あんっ」
アルビノ「お前、仔犬って、言うんだ。」
仔犬「きゃんきゃんっ」
アルビノ「お前のご主人、探してあげようか?」
仔犬「わんっ!」
アルビノ「ちょっと、待っててね。」
仔犬「わふぅ?」パタパタ
アルビノ「なんで目隠ししてるかって?」
仔犬「あんあんっ!」
アルビノ「私と目を合わせた人は石になってしまうから、そうしないためだよ。」
仔犬「わぅ?」
アルビノ「もっとも、お前のご主人に会うつもりはないけどね。」
仔犬「あぅっ!」
アルビノ「じゃあ、いこうか。」
仔犬「わんわんっ!」クルクル
アルビノ「お前は元気だね。」
仔犬「あぅ?」
アルビノ「お前に期待できるわけもないか………」
仔犬「あんっ!」パタパタッ
アルビノ「仕方ないね、“千里眼”」
仔犬「きゃうん?」
アルビノ「これはね、遠くのものを見ることができる魔法なんだよ。………近くに人がいるね、お前を探しているのかな?」
仔犬「わんわんっ!」
アルビノ「うん、わかったよ、ついておいで。」
仔犬「きゃんっ!」
青年「おーい!仔犬ー、どこだーっ!?」
青年「………いないな。」
青年「たぶん、こっちの方に走っていったと思うんだけど………」
青年「まったく、あのチビ、こっちの制止も聞かずに走っていっちゃうんだもなぁ………」
青年「ここら辺はアンマリ人の気配がしないな………」
青年「まぁ、森のなかだから当たり前だけど、人が手を加えたっていう形跡もない。」
青年「もったいないよなぁ、こんなに綺麗なのに。」
青年「いや、手が加えられてないからこそ、綺麗なままなのか………」
青年「どっちでもいいや。おーい!仔犬ー!でてこーい!」
アルビノ「向こうのブツブツ言ってるのが、お前のご主人?」
仔犬「あんあんっ!」パタパタッ
アルビノ「そうみたいだね。じゃあ、お行き。」
仔犬「あぅ?」
アルビノ「私はなるべく人とは関わりたくないから。お前をここまで連れてきたのだって、森の奥まで探されたら困るからだよ。」
仔犬「わぅ………」
アルビノ「わかったなら、ご主人のところに行って。もう迷子になるんじゃないよ。」
仔犬「あんっ!」タッタッタッ
アルビノ「元気でねー。」
仔犬「あんっ!」パタパタッ
青年「おー、チビ!どこいってたんだよ、このやろー。」グリグリ
仔犬「きゃんきゃんっ」ペロペロ
青年「ははっ!くすぐったいよ。」
仔犬「あぅん!」
青年「よし、お前も見つかったことだし、もう今日は散歩おしまいにするか。」
仔犬「あぅっ!」グイグイッ
青年「どうしたんだよ、服の裾引っ張って。」
仔犬「あぅあぅっ!」グイグイッ
青年「………着いてこいってことか?」
仔犬「わふっ!」
アルビノ「よかった。ちゃんと会えたみたいだ。」
アルビノ「私も帰ろうっと。」
アルビノ「今日はたしか、夜に白猫が来るはずだし……」
アルビノ「………薬の材料は採集しておいた方がいいかな。」
アルビノ「もう目隠しははずしても………っ!?」
アルビノ「あの人、こっちに来てる?」
アンアンッ!
アルビノ「どうしよう……」
コッチニナニカアルノカ?
キャン!
ウオー,オオキナキダナー
アルビノ「………隠れなきゃ!」バタバタ
ドテン
アルビノ「きゃっ!」
青年「うわっ!」
仔犬「あんっ!」
青年「あの………」
アルビノ「ひゃ、ひゃいっ!」
青年「大丈夫ですか?」
アルビノ「だ、大丈夫でふっ!ちょっと、つまづいただけですっ!」
アルビノ(お、落ち着け私っ!目は合わせることはないんだから、大丈夫。落ち着け落ち着け………)
仔犬「あんあんっ!」
仔犬「わぅんっ!」ガバッ
アルビノ「きゃっ……」ドシャ
青年「あー、こらっ、チビ!ダメじゃないか急に飛び付いたりしたら。………すみません、大丈夫ですか、お怪我はしていませんか?」
アルビノ「は、はいっ!け、怪我なんかしてませんっ!」
青年「本当にそうですか?お顔がやや赤いようですが………それに、包帯で目を覆ったままですと、危ないですよ?」
アルビノ「き、気にしないでくださいっ!」
アルビノ「さ、さわらないでくださいっ!」パシッ
青年「っ………!」
アルビノ「………あ、ご、ごごごめんなさいっ!」
青年「いえ、大丈夫です。」
アルビノ「腫れたりしていませんか?骨とか折れていませんか?それからそれから………」アセアセ
青年「落ち着いてください。女の子に叩かれた程度で骨が折れるほど、柔ではありませんから。」
仔犬「わふっ!」
アルビノ「は、はいっ!」
青年「外したくない理由でもあるんですか?」
アルビノ「えぇっと………わ、私、生まれたときから目が見えなくて………」
青年「それなら、目隠しする必要はない気がしますが……」
アルビノ「ひ、瞳が変だから……見てほしくないんです。」
青年「そういうものですか………」
アルビノ「は、はい、そういうものなんです。」
アルビノ「あ………えっと、その………こ、この森の奥に住んでるんです。」
青年「えぇっ、こんな不便なところにですか?」
アルビノ「………そう不便ではないですよ。」
青年「そうですか………とすると、どうしてここに?」
アルビノ「その子が………」
仔犬「わぅ?」
アルビノ「森に迷いこんでいたので、せめて入り口までは送っていってあげようかと。」
青年「………その目で?」
アルビノ「はい、森の中でしたら、匂いや質感でおおよその場所はわかりますから。」
アルビノ(本当は見えているんだけど。)
青年「待ってください。」
アルビノ「まだ、なにか?」
青年「その……コイツ送ってくれたお礼に、今度は僕がアナタを送りましょうか?」
アルビノ「い、いいですっ、ひ、一人で帰れま……きゃうっ!」ドテッ!
青年「なれている場所とはいえ、やっぱり危ないですよ。」
アルビノ「ほ、本当に大丈夫ですから………」サスサス
青年「いえ、このまま何度もアナタがコケるのを、見過ごすのも嫌ですので、送りましょう。手を借りますね。」
アルビノ「あ、ありがとうございます。」
アルビノ(どうしようどうしようどうしよう)
アルビノ(目が見えない振りをしたのが裏目に出た………)
アルビノ(なんか、手とか繋がれてるし………)
青年「あの……」
アルビノ「ひゃ、ひゃいっ!」
青年「道は間違ってないですか?」
アルビノ「ま、間違ってないと思います………このまま、まっすぐいけば、着くはずです」
アルビノ(………こうしてヒトと過ごすのっていつ以来だったかな)
アルビノ(暖かいなぁ………)
青年「開けた場所に一軒、家があったのですが、ここで間違いないでしょうか?」
仔犬「あんあんっ!」パタパタッ
アルビノ「はい、間違いないです。送っていただき、ありがとうございました。」
青年「一人で大丈夫ですか?」
アルビノ「はい………」
アルビノ(この人がいなければ、目隠しをとることができるから、普段通りに過ごすことができる。)
アルビノ(だけど、お礼もしないままっていうのはよくないよね……)
アルビノ「あ、あのっ!」
青年「はい、なんでしょうか?」
アルビノ「せっかくここまで来たのですから、よ、よろしければお茶でも飲んでいきませんか?」
アルビノ「ど、どうぞ」カチャ
青年「ありがとうございます。………面白い香りですね。」
アルビノ「近くで採れるハーブをお茶にしたんです。」
青年「そうなんですか。………それにしても、アナタはスゴい人ですね。」
アルビノ「………何がですか?」
青年「目が見えないというのに、お茶を入れることもできるし、森の中を歩くこともできる。」
アルビノ「………な、慣れてますから。」
アルビノ(“千里眼”の応用で、周りは見えてるんだけど、教えるわけにはいかないよね。)
アルビノ「はい、基本的には一人です。」
青年「それは大変でしょう。こんな人のいない場所よりも、街に住んだほうが生活しやすいんじゃないですか?」
アルビノ「街は、ちょっと………。私、ヒトとは少し違うから。」
青年「………その髪のことですか?」
アルビノ「はい。真っ白で気持ち悪いでしょ?」
青年「そうですかね?雪みたいで、綺麗だと僕は思いますよ。」
アルビノ「………アナタは優しいんですね。」
アルビノ(この人はいい人だ。普通、ヒトは自分と違うものを気味悪がる。)
青年「そうなんですか?」
アルビノ「一週間に一回、優秀なハウスキーパーが来るんです。」
青年「………寂しくはないんですか?」
アルビノ「それも、慣れてますから。前は一年おきくらいにしか来なかったんですから。」
青年「そう、ですか………」
アルビノ「お粗末様でした。」
青年「カップは流し台まで運びましょうか?」
アルビノ「いえ、おかまいなく。………引き留めておいて、なんですが、はやく帰った方がよろしいですよ。この森、夜になると危ないですからね。」
青年「夜の森はどこでも危ないでしょう。」
アルビノ「それもそうですね。」
青年「では、暗くなる前に僕はこれで。」
アルビノ「はい、気を付けてくださいね。」
青年「あの……」
アルビノ「どうかなされましたか?」
青年「もし、迷惑じゃなかったら、ここに遊びに来てもいいですか?」
アルビノ「え?」
青年「いくらハウスキーパーさんが来るとはいえ、こんな森奥に一人きりというのは寂しいでしょう?」
アルビノ「……………」
青年「僕なんかでよければ、話し相手になれたらなーって………」
アルビノ「……………」
青年「なんて、押し付けがましかったですね。ごめんなさい。」
青年「え?」
アルビノ「わ、私、こんな眼だし、街に出ることなんてないから、お話しする相手とかいないんです。」
青年「…………」
アルビノ「だから、迷惑なんかじゃないです………」
青年「つまり、またここに来てもいいと?」
アルビノ「はい……お暇があればまた………」
仔犬「あんあんっ!」
アルビノ「………この子も一緒に。」
青年「わかりました。また今度、コイツと遊びに来ます。」
仔犬「あんっ!」
リビング
アルビノ「今日は楽しかったな………」
アルビノ「あの人はいい人だった。」
アルビノ「また、遊びに来るって言ってくれたし……」
アルビノ「お部屋のお掃除とかしなくちゃ。」
白猫「どうせ、途中で飽きて、ニャーに投げ出すのが見えてますニャ。」
アルビノ「し、白猫っ!?」
白猫「どうも、ですニャ、お嬢。」
アルビノ「い、いつ来たの?」
白猫「お茶してる辺りくらいからですニャ。」
アルビノ「気づかなかった………」
白猫「ニャーは猫ですからニャ、気配を消すにゃんてオチャノコサイサイですニャ。」
白猫「お嬢以外にもいたから、気配を消すのは当然ですニャ。」
アルビノ「アナタは普通の猫のふりしてたらいいでしょ。」
白猫「優秀にゃハウスキーパーですから、そのようにゃ真似はできませんニャ。」
アルビノ「聞いてたのね………」
白猫「まぁ、それがにゃくとも出てはいきませんニャ。生来、犬っころとは、気が合いませんニャ。」
アルビノ「あの仔犬はかわいかったじゃない。………と、なんか、飲み物だしてあげるね。ミルクでいい?先週アナタが持ってきてくれたヤツだけど。」
白猫「古くなってるのをニャーで、処分しないでほしいですニャ………」
アルビノ「なにがー?………あ、マッチきれてる。」
白猫「ニンゲンを家に招き入れるにゃんて、普通じゃ考えられにゃいことですニャ。」
アルビノ「勝手についてこられたんだよ。………仕方ない“粉火炎”」ボォォ
白猫「にゃーにが、“勝手についてこられた”ですかニャ。仲良くお手々つにゃいで歩いてたくせに………」
アルビノ「し、仕方ないじゃない。“千里眼”で見てると、俯瞰図でしか見れないから足元が見えにくいんだし」コポコポ
白猫「へーへー、そうですかニャ。」
アルビノ「なに、その態度。新しい薬の実験台にでもなる?」コトコト
白猫「勘弁ですニャ。お嬢の作った薬はどれもこれも、効きがよすぎるからニャ。」
アルビノ「ハイハイ。………よし、できた。」
白猫「にゃにを作っていたんですかニャ?」
アルビノ「白猫用のホットミルク。」
白猫「ニャーは猫舌にゃんですけど………」
白猫「んー、特ににゃいですニャ。」フーッフーッ
アルビノ「薬の評判は?」
白猫「上々でしたニャ。ただ、新しい薬……不眠薬でしたかニャ?あれは不評でしたニャ。」フーッフーッ
アルビノ「なんで?」
白猫「服用者いわく、三日は眠れにゃかったそうですニャ。そして、反動で丸一日眠ってしまったと………」フーッフーッ
アルビノ「そういう効果の薬なんだけどな………」
白猫「使用する側としては、1日くらい眠気が吹き飛ぶレベルを求めていたみたいですニャ。後は副作用を軽微なものにしてほしい、と。」フーッフーッ
アルビノ「効能を弱めれば副作用も弱まるだろうから、次からはそうする。………さっきから何してるの?」
白猫「ミルクを冷ましてるんですニャ。」ズズズッ
白猫「あちっ!」
アルビノ「不眠薬の?」
白猫「そーですニャ。眠らずの薬ではなく、覚醒させる薬として、覚醒薬とかどうですニャ?」
アルビノ「却下。その名前はなんか危うい気がする………」
白猫「常用者はボロボロの廃人になっていそうですニャ。」
アルビノ「ダメ、ゼッタイ。」
白猫「言ってみただけですニャ。」
白猫「まず、商工会の方が傷薬と万能毒消しを小瓶詰めで、30ずつ。」
アルビノ「今回は少ないね。」
白猫「ここのところ平和ですからニャ。次に魔女会の方から精神統一薬を、樽2つほど。」
アルビノ「うげ、こっちは多いの………」
白猫「新人育成の時期ですからニャ。仕方にゃいですニャ。後は個人の依頼ですニャ。魔女長の婆さんが腰痛の薬、海の町に住んでるジジィが精力剤、 他はいつも通りですニャ。」
アルビノ「お婆ちゃん、また、腰が悪くなったんだ………」
白猫「よる年波には勝てにゃいと言ってましたニャ。」
アルビノ「お爺さんは………うん。」
白猫「よる年波には勝てにゃいとのたまってやがりましたニャ。」
アルビノ「水でいいか。」
白猫「プラシーボ効果が起きないかが不安ですニャ………」
白猫「すでに氷箱に入れておりますニャ。卵はやや古いのでお早めに、とのことですニャ。」
アルビノ「うん、わかった。………本は?」
白猫「お嬢の趣味に合いそうにゃのが、にゃかったから、今回は抜きですニャ。」
アルビノ「えー………」
白猫「文句があるなら、自分で街に出て買ってくればいいじゃにゃいですか。」
アルビノ「わかってて言ってるでしょ。」
アルビノ「変わるわけないよ。うっかりで誰か石にしちゃったりしたら、私、退治されちゃうよ。」
白猫「婆さんが頑張ったお陰で、魔女にもようやく人権みたいなものができたんですけどニャ。」
アルビノ「あくまでヒトに危害を加えない限り、でしょ。私にそのつもりがなくても、この眼はお構い無しだからね。」
白猫「つくづく、不便ですニャ。」
アルビノ「呪いだからね、仕方ないよ。」
白猫「そう、割りきれるお嬢はスゴいですニャ。」
アルビノ「何年、私がこの眼と付き合ってると思うの?」
白猫「何年ににゃるんですかニャ?」
アルビノ「さぁ?忘れちゃった。」
白猫「いただきますニャ。」
アルビノ「なにか食べたいものはある?」
白猫「お嬢に料理のリクエストをして、希望通りにニャったことがにゃいので、にゃんでもいいですニャ。」
アルビノ「じゃあ、玉葱フルコースとかどう?」
白猫「………魚が食べたいですニャ。」
アルビノ「魚ね、おっけー。」ルンルン
白猫「はぁ………」
アルビノ「できたよー。」
白猫「魚が食べたいといったはずにゃのに、にゃんでオムレツににゃってるんですかニャ………」
アルビノ「なんか、卵が私に食べて、っていってる気がした。」
白猫「そうですかニャ………」
アルビノ「じゃあ、手を合わせて」パチン
白猫「ニャ」プニン
アルビノ・白猫「「いただきます」」
白猫「にゃんですか?」クンクン
アルビノ「ニンゲン嫌い?」モグモグ
白猫「嫌いですニャ。」
アルビノ「ふーん、そっかー………」カチャカチャ
白猫「お嬢はどうなんですかニャ?」
アルビノ「私?んー……わからない。だけど、嫌いじゃないと思う。お昼にあった人みたいに優しいヒトもいるし。」
白猫「それはごく一部のニンゲンですニャ。それに、お嬢は魔女であることを、あのニンゲンには隠していたでしょ?」
アルビノ「そうだった………次会うときに、教えてもいいかな?」
白猫「ニャー以外の話し相手を欲しくにゃいにゃら、教えてもいいんじゃにゃいですかニャ?」
アルビノ「冗談だよ。それくらいはわかってる。」
白猫「にゃにをですか?」
アルビノ「本当のことを話しても、あの人なら変わらずに接してくれないんじゃないかなぁ、って。」
白猫「………夢を見るのも、大概にしてくださいニャ。」
アルビノ「想像するくらいいいじゃない。」
白猫「お嬢の手料理って言うのがにゃー……」
アルビノ「なに?私の料理になにか、文句でもあるの?」
白猫「お嬢は味覚に味を合わせるんじゃにゃくて、味に味覚を合わせますからニャ………」
アルビノ「美味しければいいじゃない。それに、味覚を誤魔化す薬の研究にもなるし。」
白猫「そんにゃ研究をするくらいにゃら、料理の研究をするようにしてくださいニャ………」
アルビノ「今日は何をしようかな。」
アルビノ「白猫も、行商に行っちゃったし………」
アルビノ「もうちょっとゆっくりしていってもいいのになぁ。」
アルビノ「薬でも作るか。」
アルビノ「………あの人、来たりしないよね。」
アルビノ「ここを、こうして………」グルグル
アルビノ「後は煮詰めていけば完成っと。………“粉火炎”」ボォォ
アルビノ「………あ、もうこんな時間か。お昼ご飯作らなくちゃ。」
アルビノ「………一人だと、食べる気が起きないなぁ。」
アルビノ「ま、食べなくてもいいか。必要ないんだし。」
アルビノ「ニンゲンらしい生活を、ってお婆ちゃんに言われたけどさ。」
アルビノ「無理だよ、そんなの。」
アルビノ「………私、ニンゲンじゃないもの。」
アルビノ「魔女というより、メデューサだよね。」
アルビノ「蛇髪じゃないけど。」
アルビノ「これ、私の力じゃないのに………」
アルビノ「進んで使ったことなんて一度もないのに………」
アルビノ「………私は悪くないのになぁ」
花畑
赤目の幼女「………できた。」
赤目の幼女「花冠、ママの分……これでお揃い。」
ガサガサ
赤目の幼女「………誰?」
少年A「うは、おい、見ろよ」
少年B「なんだよ。」
少年A「あんなところに化け物がいるぜ。」ニヤニヤ
少年C「ホントだ。」ニヤニヤ
赤目の幼女「ち、違うよ、私、化け物なんかじゃないよ?」カタカタ
少年A「なーに、言ってんだよ。」
少年C「俺らと違う姿のクセによぉ。」
少年B「魔女の子供が、化け物じゃないわけないだろ。」
赤目の幼女「違う、違うよ………」カタカタ
少年C「どうやって?」
少年A「こうするんだよ」ブンッ
赤目の幼女「―――ゲホッ」
少年B「うわ、ひでぇ。鳩尾はいってんじゃねーの?」
少年A「いーのいーの、問題なし。相手は化け物なんだぜ?」ドガッバギィ
赤目の幼女「がっ……ゴボォ」ビチャビチャ
少年C「うわっゲロ吐きやがった!」
少年A「きたねぇな……この化け物がっ!」ボゴッ
赤目の幼女「ぐっ………」
少年C「おい、泣き出したぜ」
少年A「でも、やめるつもりなんかねーし。コッチは人間なんだ。化け物に手を抜いたら殺されちまう」ドゴッ
赤目の幼女「うっ!」ドサッ
少年A「よしっ!化け物討伐ぅ!」
少年B「まぁ、恨むんなら、魔女の子供なんかに、生まれた自分を恨むんだな。」
少年C「そーそー、魔女に人権なんかないもんな。まず人間じゃねーんだからよぉ」
赤目の幼女「うっ……うっ……」ユラリ
少年A「んだよ、その目は。まだやろうっての―――」
少年A「……………」カチーン
少年B「お、おい、コイツ!石になってるぞっ!なにしやがっ―――」
赤目の幼女「………え?なに、これ……」カタカタ
少年B「め、目が光って―――」
少年B「……………」コチーン
赤目の幼女「違う、こんなの違う。………こんなこと望んでなんか……」ブンブン
少年C「ひ、ひぃっ、化け物っ、ち、ちかよ―――」
アルビノ「はっ………」
アルビノ「………夢、か。」
アルビノ「忘れるくらい前のことなのに。」
アルビノ「たまに見るんだよね。」
アルビノ「………化け物、か。」
アルビノ「間違ってはないよね。」
アルビノ「さ、お昼寝もしたし、薬作りの続きでもしようっと。」
アルビノ「昼光草が切れてたんだった………」
アルビノ「昨日、集められなかったからなぁ。」
アルビノ「探してみるか………“千里眼”」
アルビノ「……………あ。」
アルビノ「昨日の人だ。」
青年「お前さ、頼むからジッと、しててくれよ………」
仔犬「わぅん………」
青年「お前が元気に走り回ったせいで、迷ったって理解してるか?」
仔犬「わふっ?」
青年「お前、今度言うこと聞かずにどこかにいったら、当分散歩に連れていってやらないからな。」
仔犬「あんっ!」スンスン
青年「返事だけは一人前だな………」
仔犬「くぅ?」ピタッ
仔犬「あんあんっ!」ダッ
青年「言ったそばから走るなよっ!」
仔犬「あんあんっ!」ガバッ
アルビノ「きゃっ!」
アルビノ「いたた……」
仔犬「わぅーん」ペロペロ
青年「待てって言ってる………あれ?」
アルビノ「あ、ど、どうも。」
青年「こんにちは。………僕のこと、わかりますか?」
アルビノ「はい、昨日、お会いした方ですよね。」
青年「正解です。目が見えないのによくわかりましたね。」
アルビノ「耳と鼻には自信がありますので。」
青年「あはは………昨日のお茶のお礼に遊びにいこうと思ったんですけど。」チラッ
仔犬「あんっ!」パタパタ
青年「コイツのせいで、迷子になっていたんです。」
アルビノ「そうだったんですか………」
青年「アナタはどうして?」
アルビノ「えと………森の中を散歩してたら、アナタの匂いがしたので………」
アルビノ(ホントは“千里眼”で見かけたからなんだけど。)
青年「う………僕臭いますか?」
アルビノ「あ、そ、そういう意味ではなくてですね………私、犬並みに鼻がきくから、匂いで個人が区別できるんです。」
仔犬「わふっ?」
青年「え?」
アルビノ「遊びにいらっしゃったのでしょ?」
青年「あ、あー、そうですね。なんだか、アナタにあったことで、目的を達した気分になってました。では―――」スッ
アルビノ「あ、え?ど、どうして、手を………」
青年「アナタが転ばないように、と思ったのですが………迷惑ですか?」
アルビノ「い、いえ、そんなことはないです………。つ、着いてきてくださいね。」
アルビノ(暖かい………)
青年「なんだか、すみません。お礼に来たって言うのに………」
アルビノ「いえ、来てくれて嬉しいです。」カチャ
青年「昨日とは違う香りですね。」
アルビノ「同じものを出すのは芸がないかな、と。前の方がよかったですか?」
青年「あぁ、いえ、これも美味しそうですよ。」
青年「………そうだ。お茶請けにと思ってクッキーを持ってきたんです。」
アルビノ「………クッキー、ですか?」
青年「えぇ、あまり見映えはよくないんですが………」
アルビノ「私は目が見えませんから。味がよければ気にしませんよ。」
アルビノ(確かに形は不揃いだ。手作りなのかな?)
青年「あ、はい。一応、僕が作ったりなんか………」
アルビノ「お上手ですね。」モグモグ
青年「見た目は不恰好なんですけどね。」ポリポリ
アルビノ「型抜きを使わずに手で形作ると、こうなっちゃいますよね。」モグモグ
青年「………えぇ、そうですよね。」
アルビノ「なにか?」モグモグ
青年「いや、よく食べるなぁ、と。もう、半分以上食べてますよ。」
アルビノ「あ、ご、ごめんなさいっ!美味しくて、つい………」
青年「そう言ってもらえると、作った方としては嬉しい限りです。」
アルビノ「もうお帰りになるのですか?」
青年「えぇ、今日は到着したのが遅かったですからね。次は迷わないようにします。」
仔犬「あんっ!」パタパタ
青年「お前のせいで遅くなったんだけど、わかってるか?」
仔犬「わふぅ?」
アルビノ「その様子だとわかってないみたいですね。」クスクス
青年「全くです。」
青年「そうですね………明日は用事があるので来れませんが、明後日なら………」
アルビノ「そうですか………」
青年「クッキーならまた持ってきますよ?」
アルビノ「ち、違いますっ!そ、そんないやしくなんかありませんっ!」
青年「いやー、あれだけ綺麗にたいらげてくれると、作った方も嬉しいですよ。」
アルビノ「うー………とにかく、明後日ですね。今度は私もアナタに負けないくらい………」
青年「どうかされましたか?」
アルビノ「………名前、まだ聞いてませんでしたよね。」
青年「あ、そう言えば………僕は青年って言います。」
アルビノ「私はアルビノと言います。」
青年「こちらこそ。」
アルビノ「………自己紹介ってもっと最初の方にするものですよね。」
青年「なんとなくで、話してましたからね………」
仔犬「あんあんっ!」グィーッ
青年「なんだよ、帰ろうって言ってるのか?」
仔犬「あんっ!」ブンブン
アルビノ「仔犬の言う通りです。早く帰らないと、暗くなってしまいますよ。」
青年「そうですね。では、お邪魔しました。」
アルビノ「はい、また来てください。」
町外れの家
青年「いいか、今日は大人しくここで待ってるんだぞ。」
仔犬「あぅ?」パタパタ
青年「今日は兄さんたちの式典なんだから、お前は連れていけないってこと。」
仔犬「わふ?」
青年「お前が嫌いな人だよ。ほら、こんな顔してる人。」カキカキ
仔犬「ぐるるるっ」
青年「書いた絵に威嚇するなよ………」
青年「まぁ、とりあえず、大人しくしてくれよ。家の中なら好き勝手していいからな。」
仔犬「あんっ!」
青年「じゃ、いってきます」
アルビノ「………はぁ〜」グルグル
アルビノ「退屈だなぁ」グルグル
アルビノ「いつもと変わらないのに」グルグル
アルビノ「なんでだろ」グルグル
アルビノ「んー………」グルグル
アルビノ「………あの人が来ないから?」
アルビノ「そ、そんなことない、よね」シュー
アルビノ「………あ」キューン
ボンッ
アルビノ「ケホッケホッ………失敗した。」
アルビノ「………片付けなきゃ」
青年「兄上、この度はご結婚おめでとうございます」
団長「ぬはははっ!なんだその言葉使いはっ!背中が痒くなるっ!」
青年「結婚に伴いこの街の防衛騎士団の団長様にもなった兄さんに、穀潰しの僕がフランクに話せるわけないじゃないですか。」
団長「ぬはははっ!どの口が言うかっ!お前は私の数倍頭がよいではないかっ!親父殿に頼めば私なんかよりも、ずっと上の地位につけるであろうに」
青年「そんなことないですよ。僕なんかは一介の町人がお似合いですよ。」
団長「ふん、ぬかしおるっ!王都の学術院を首席で卒業しておいて何を言うかっ!」
青年「最後の試験が簡単だっただけですよ。みんな満点をとって仲良く首席になったんです。」
団長「まぁよいっ!今日は式典だ!お前も飲めっ!」
青年「ほどほどにしておきますよ。兄さんもほどほどにしてくださいよ?なんたって主役なんですから。」
仔犬「くぅ………」テコテコ
仔犬「わんっ!」グルグル
ガタンッ
仔犬「わぅ?」ジィー
仔犬「あんっ!」ピョン
仔犬「ぐぅぅ……」ガジガジ
ガタガタ……ガチャン
キィィ……
仔犬「わふっ!」パタパタ
アルビノ「ふぅ………」ガチャン
アルビノ「だいたい片付いたかな。」ゴシゴシ
アルビノ「あとの細かいところは白猫に………」
アルビノ「………ダメだ。明日あの人が来るんだった。」
アルビノ「仕方ない……頑張るか。」
仔犬「あんっ!」パタパタ
アルビノ「お前が手伝ってくれたら………って、あれ?」
仔犬「わふっ!」パタパタ
アルビノ「………どうしてお前がここに?」
アルビノ「リードがついてないね。今日は散歩中じゃないの?」
仔犬「わぅ?」
アルビノ「あの人は?」
仔犬「くぅ?」
アルビノ「……………」
仔犬「あんっ!」パタパタ
アルビノ「ここまで来れたんだから、放っておいても、帰ることできるよね?」
仔犬「わふっ!」
アルビノ「果てしなく不安だ………」
団長「ぬはははっ!弟よっ!結婚はいいぞぉっ!」
青年「幸せそうで何よりです。」
団長「どうだっ!お前も結婚はしないのかっ!」
青年「相手がいませんよ。」
団長「なんだ、つまらんっ!気になる相手はおらんのかっ!」
青年「気になる人なんて………」
団長「どうしたっ!言葉を濁してっ!」
青年「……いませんよ。」
団長「そうかっ!なら私が見繕ってやろうかっ!」
青年「慎んで遠慮させてもらいます。」
青年「……………」
青年(………どうして、アルビノさんのことを考えたんだ?)
アルビノ「はい」コトッ
仔犬「………わぅ?」キョトン
アルビノ「お前のご飯だよ。もうすぐお昼だし、お腹すいたでしょ?」
仔犬「くぅ?」スンスン
アルビノ「大丈夫、毒なんかは入ってないよ。」
仔犬「わふっ」ペロ
仔犬「あんっ!」ガツガツ
アルビノ「よく食べてね。」
アルビノ「………さて、片付けを再開しなきゃ。」
青年「ふぅ、すっかり遅くなったな。」
青年「まったく、夕飯に誘ってくるなんて兄さんも、わかってないなぁ。」
青年「奥さん、はやく二人きりになりたいって顔してたし。」
青年「というか、なんで熊みたいな兄さんにあんな綺麗な奥さんが………」
青年「………結婚かぁ」
青年「……………」
青年「………だからなんで、僕はあの人のことを考えてるんだ。」
青年「ただいまー」
青年「……………」
青年「……………」
青年「……………」
青年「………仔犬がでてこない。」
青年「寝てるのか?」
青年「おーい、仔犬ー。」
アルビノ「もうやだ、疲れた………」
仔犬「わぅ?」
アルビノ「お前はまだここにいるし」
仔犬「わんっ!」パタパタ
アルビノ「帰らないの?」
仔犬「くぅ?」
アルビノ「もうすぐ夕方だよ。青年さんのところに帰った方がいいんじゃない?」
仔犬「あぅ?」
アルビノ「………帰り道わかる?」
仔犬「わふっ?」
アルビノ「………わからないの?」
仔犬「わんっ!」
アルビノ「………はぁ。」
仔犬「わふっ!」パタパタ
アルビノ「………嬉しそうだね。」
仔犬「あんあんっ!」グイグイ
アルビノ「ちょっと、服を引っ張らないで。すぐに準備するから。」
アルビノ「“千里眼”」
アルビノ「……………うん。誰もいないみたいだし、包帯はいいかな。」
アルビノ「待たせたね。じゃあ、行こうか。」
仔犬「あんっ!」
アルビノ「ここまで来たらもう帰ることできるよね?」
仔犬「わんっ!」パタパタ
アルビノ「そっちは逆方向だよ。街はこっち。」
仔犬「くぅ………」
アルビノ「そんな目をしてもダメだよ。早く帰ってあげないと青年さんが心配しちゃうよ。」
仔犬「あぅ………」トボトボ
アルビノ「気をつけて帰るんだよ。」
アルビノ「……………」
アルビノ「いったね。」
アルビノ「うん、私も薬の材料採取してから帰ろうっと。」
アルビノ「帰る足でここに来たけど」
アルビノ「………まだ摘み時じゃないね。」
アルビノ「宵泣草って花が咲いてるときに摘まないと効能薄いし」
アルビノ「日暮れまでもう少しか………」
アルビノ「そういえばこの花の話、よくママがしてくれたんだよね。」
アルビノ「“宵泣草が夜に泣くのは、いくら待っても現れない恋人を思ってるから”」
アルビノ「………恋人かぁ」
アルビノ「……………」
アルビノ「また、あの人のこと考えてる………」カァァ
アルビノ「……………」
アルビノ「……………」
アルビノ「………ある、かも。」
アルビノ「………………」ポロポロ
アルビノ「あはは……私、どうしちゃったんだろ。泣いたりして。」ポロポロ
アルビノ「あの人といたいなんて、思ったら………思うだけで胸が苦しいよ」ポロポロ
アルビノ「……………嫌い」
アルビノ「この眼が嫌い。嫌いっ嫌いっ!大っ嫌いっ!」
アルビノ「どうして、私はこんな目を持ってるの?」ポロポロ
アルビノ「うっ………うっ………」
仔犬「くぅ………」テコテコ
仔犬「わぅっ!」ピョンピョン
仔犬「………わふぅ」ショボン
青年「あ、こんなところにいやがったなっ!」
仔犬「わふぅっ!?」ビクッ
青年「ったく、どこいってたんだよ」
仔犬「わ、わぅ………」タジタジ
青年「あんまり心配かけさせな―――」
仔犬「きゃん!」ダッ
青年「あ、待て逃げるなっ!」
白髪の女性「お前は優しい娘だよ。」
白髪の女性「私は嬉しいよ。お前がそういう風に育ってくれて。」
白髪の女性「だからこそ悲しい。」
白髪の女性「どうしてお前がこんな目にあわなければいけないのかと。」
白髪の女性「ヒトを好きと言ったお前がどうしてヒトから嫌われる眼を持ったのか。」
白髪の女性「今から私達の時間をお前に渡す。」
白髪の女性「だから死なないで。」
白髪の女性「生きていればきっといいことがあるから。」
――――――――
白髪の女性「だから死なないで。」
アルビノ「っ!ママ!?」ガバッ
アルビノ「………夢、か。」
アルビノ「いくら春先とはいえ、外で眠ってしまうのはどうなんだろ………」
キュウキュウウ
アルビノ「でもまぁ、宵泣草が鳴き出す前に起きたからいいとしようっと。」
アルビノ「さっさと摘まないと、うるさいし。」
アルビノ「この花鳴かなければ、ボンヤリ光るだけで綺麗なのになぁ………」
アルビノ「………いいこと、か。」
アルビノ「あの人に会えたことはいいことなのかな?」
青年「ようやく捕まえたっ!」ガシッ
仔犬「きゃうんっ!」バタバタ
青年「暴れるな。もう怒らないからさ。」
仔犬「わぅ?」
青年「勝手に抜け出したことを悪いって思ったから逃げたんだろ?」
仔犬「わふっ」
青年「だったら怒らないよ。次からこんなことしなければな。」
仔犬「わんっ!」
青年「いい返事だ。」
青年「………で、ここはどこだ?」
青年「夜の森というのは、視界が聞かないからなぁ」
青年「灯りもないし」
青年「熊とかでない、よな?」
青年「さて、どうしたものか………」
仔犬「わふっ!」ジタバタ
青年「下ろせってか?」ヒョイ
仔犬「わんっ!」トトト
青年「そっちに何かあるのか?」
仔犬「わんわんっ!」パタパタ
青年「おい、これ、森の奥に向かってる感じなんだけど、大丈夫なのか?」
仔犬「わふっ!」パタパタ
キュウキュウウ
青年「なんだ、この音………」
仔犬「わん」スンスン
青年「その花から聞こえてるのか。………うっすらと光ってるな。」
仔犬「あんっ!」パタパタ
青年「不思議な花だな………」
青年「だいぶ音が大きくなってきたな。」
仔犬「あんっ!」
青年「なんだか、物悲しい音だよな。」
仔犬「わぅ?」
青年「お前にはわからないか………ん?」
仔犬「くぅ?」
青年「アソコ、開けた場所に誰かいないか?」
仔犬「わんっ!」
青年「あれは………アルビノさん?」
仔犬「わぅ………」
青年「すごく幻想的な風景だよな………」
青年(花と月の光に照らされて、まるで絵画みたいに………)
青年(そのせいで声がかけづらいけど。)
青年(それにしても、なんだか違和感がある……)
青年「あ、包帯をつけてないんだ。」
青年「それはそうか、誰かに眼を見られるというわけではないんだし………」
青年「あ――――」
アルビノ「宵泣草も鳴き止んできたし。そろそろ潮時だね。」
アルビノ「これだけ摘めれば当分は材料に困らないだろうし。」
アルビノ「うん、もう帰ろう。」
ガサガサッ
アルビノ「っ!?」
アルビノ「だ、誰?」
ガサガサッ
青年「こ、こんばんは〜。」ヒョコ
アルビノ「……………あ!」バッ
青年「だ、大丈夫ですか!?」
アルビノ「ち、近づかないでくださいっ!」
青年「っ!」
アルビノ「あ、……ご、ごめんなさい。」
青年「いえ………」
アルビノ「………ちょっと待ってください」ゴソゴソ
アルビノ(あれ………包帯がない………)
アルビノ「あの………青年さん。」
青年「はい、なんでしょうか。」
アルビノ「何か眼を隠せるものはありませんか?」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「………アルビノさんは」
アルビノ「はい………」
青年「目、見えてるんですよね。」
アルビノ「………はい。」
青年「どうして、盲目のフリをしているんですか?」
アルビノ「………私は」
アルビノ「……………」
アルビノ「私は化け物なんです。」
アルビノ「そんな化け物です。」
アルビノ「……………」
アルビノ「………私は、アナタには知ってほしくなかった。」
アルビノ「だって、怖いじゃないですか。化け物なんて。」
アルビノ「アナタに嫌われたくなかった。」
アルビノ「だけど、ダメなんですよね。化け物がニンゲンのフリをすることは。」
アルビノ「嫌ってくれていいです。」
アルビノ「怖がってくれていいです。」
アルビノ「アナタがそういう態度をとってくれたら、私はまだ生きていけます。」
アルビノ「化け物じゃなくなるその日まで。」
アルビノ「……………」
アルビノ「あとは、この道を真っ直ぐ行けば街に出ることができます。」
アルビノ「………サヨウナラ」
青年「……………」
…………………おい
青年「……………」
仔犬「わぅ………」ツンツン
青年「……………」
仔犬「わんっ!」
青年「……………」
仔犬「わふぅ………」
仔犬「………ぁぅ?」スンスン
仔犬「わふっ!」ビクッ
仔犬「ぐるるる……」
団長「ぬはははっ!そう威嚇するな、チビよっ!」
青年「兄さん………」
団長「さぁ、飲むぞっ!弟よっ!」
青年「………また、喧嘩でもしたんですか?」
団長「ぬはははっ!相変わらずお前は察しがいいなっ!」
青年「奥さん……義姉さんと同棲してるときから、喧嘩したらいつも来てたじゃないですか。」
団長「一つ屋根の下で生活してるとなっ!喧嘩すると顔を合わせづらいのだっ!」
青年「顔を合わせる………ねぇ。」
団長「それにしても、お前はどうしたというのだっ!昼間あったときとはまるで別人ではないかっ!」
青年「兄さんがそういうってことは、今の僕はよほどひどい顔をしてるんですね。」
青年「………そうですね。嫁さんと喧嘩して、帰ろうとしない大男が僕の家にいることが悩みでしょうか。」
団長「誤魔化すではないっ!」
青年「……………」
団長「正直に言おう、私はバカだっ!昔から、お前の考えていることなど一つもわかりはしないっ!」
青年「………だったら」
団長「しかし、お前が何かに悩んでいることくらいはわかるっ!」
青年「……………」
団長「相談してみろっ!打ち明けてみろっ!人と言うのはなっ!言葉を交わすだけでも楽になれるものだぞっ!」
団長「うむっ!」
青年「そうかもしれませんね。」
団長「ぬはははっ、そうであろうっ!して、どうだっ!打ち明ける気になったかっ!」
青年「いえ、全く。」
団長「なんとっ!」
青年「ですが、悩みは解消できるかもしれません。」
団長「そうかっ!それは、よかったっ!」
青年「兄さん、悩みを解決するためにも一つ質問です。」
青年「義姉さんのために死ねますか?」
団長「あぁもちろんだっ!」
団長「男として生まれた以上っ!惚れた女のためなら命など、いくらでもかけようぞっ!」
青年「………そっか。」
青年「そうですよね。」
森の奥の家
アルビノ「……………」
アルビノ「………朝、か。」
アルビノ「……………」
アルビノ「……………」
アルビノ「………やる気、でないなぁ。」
アルビノ「わかってたことじゃない。」
アルビノ「物語の中でも怖がられる役ばっかりで。」
アルビノ「そんな私がニンゲンと仲よくできるわけなんて………」
アルビノ「………仲よく、できないのかなぁ」
アルビノ「あの人のハンカチだ。」
アルビノ「昨日、目隠しするのに借りたんだっけ………」
アルビノ「……………」
アルビノ「………これを取りにあの人は来るかな?」
アルビノ「………来ないよね。」
アルビノ「……………」
アルビノ「あーあ、退屈だなぁ」
コンコン
アルビノ「気のせい、かな?」
コンコン
アルビノ「気のせいじゃない………白猫かな?」
アルビノ「入っていいよー。」
??「あー、………その、入ってもいいんですか?」
アルビノ「………え?」
アルビノ「青年……さん?」
青年「………来ちゃいました。上がっても、いいですか?」
アルビノ「あ、………ダメっ!ダメですっ!」
カクッ
アルビノ「え、―――きゃぁっ!」
ドンガラガッシャーン
青年「あ、アルビノさんっ!だ、大丈夫ですかっ!?」ガチャガチャ
青年「あれ?………開かない。」
青年「け、怪我はしてませんか?」
アルビノ「はい、多分大丈夫です………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「あの、………鍵を開けてくれませんか?」
アルビノ「……………」
アルビノ「………嫌です。」
アルビノ「……………」
青年「………仕方ありません。僕がドアを開けるのは諦めましょう。」
アルビノ「……………」
青年「少し、お話ししませんか?ドア越しでいいですから。」
アルビノ「………“空間転移”」シュン
青年「うわっ!………椅子?」
アルビノ「どうぞ、かけてください。………魔法を使う化け物が怖くないと言うのでしたら。」
アルビノ(これで、いい。………怖がらせて、近寄らないようにしたら………。)
青年「いやー、助かりました。ちょっと疲れてるんですよね。」
アルビノ「……………え?」
アルビノ「………あ、は、はい、聞こえています。」
青年「それはよかった。では、何を話しましょうか?」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「………あの」
アルビノ「………どうして」
青年「……………」
アルビノ「どうして、私を怖がってないんですか?」
青年「………どうして、怖がる必要があるんですか?」
青年「それで、僕が怖がる理由になるんですか?」
青年「僕の知ってるアルビノさんは、大人しくて優しい、可愛らしい女の子です。」
アルビノ「そ、それはっ!私を………よく、知らないから………」
青年「でしたら、嫌うことも怖がることもできませんよ。」
青年「アルビノさんは、僕のこと嫌いですか?」
アルビノ「………それは、ぁぅ………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「………その、…好き、かな?」
青年「………そうですか。」
アルビノ「わからないんです。今まで、アナタみたいなヒトに会ったこと、ないですから………」
アルビノ「……………」
アルビノ「……………」
アルビノ「………いままで、ずっと嫌われ続けていたんです。」
アルビノ「魔女だから」
アルビノ「白い髪だから」
アルビノ「紅い眼だから」
アルビノ「そんな理由で気味悪がられ、怖がられて生きてきました。」
アルビノ「大多数の他人とは違うんですから。」
アルビノ「化け物と呼ばれて」
アルビノ「死ねと言われて」
アルビノ「生きてきました。」
アルビノ「気の遠くなるほどの昔のことです。」
アルビノ「お母さんとお父さんは、私に時間をくれました。」
アルビノ「他人をいとも容易く終わらせることのできる呪いを持った私に」
アルビノ「世界なんて、なくなってしまえばいいと呪ってしまった私に」
アルビノ「一度でも世界を呪ってしまった私には」
アルビノ「自分も」
アルビノ「他人も」
アルビノ「心のそこから信じることができないんです。」
アルビノ「そんな自分が誰かに好いてもらう権利なんてあるわけないじゃないですか。」
アルビノ「アナタを好きだと感じているこの気持ちでさえ疑っている自分は」
アルビノ「アナタに好かれてはいけないんです。」
アルビノ「え?」
青年「信じることができないから、誰かに好きになってもらうことがいけないなんて、そんなことはないです。」
青年「そんな悲しいことを言わないでください。」
アルビノ「で、でも………」
青年「ねぇ、アルビノさん、鍵開けてくれませんか?見せたいものがあるんです。」
青年「見たいものがあるんです。」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
アルビノ「……………」
アルビノ「……………」ゴソゴソ
カチャン
アルビノ「えぇ。」
ガチャ
青年「………やっぱり、眼は隠したままなんですね。」
アルビノ「はい………」
青年「でも、それじゃダメなんです。」
青年「アルビノさん、先に謝っておきますね―――」
シュルッ
アルビノ「……………え?」
青年「隠さないでくださいっ!」
アルビノ「っ!?」ピタッ
青年「隠しちゃダメなんです。目を背けちゃダメなんです。」
青年「アルビノさん―――こっちを向いてくれませんか?」
アルビノ「そ、それはっ………」
青年「できませんか?」
アルビノ「……………」コクン
青年「石にしてしまうから?」
アルビノ「……………」コクン
青年「そのことなら、多分………いや、絶対に大丈夫です。」
青年「だから、僕の目をみてください。」
青年「無理じゃないです。ただ、目を合わせるだけじゃないですか。」
アルビノ「それだけで、アナタが石になってしまうんですよ?」
青年「絶対になりませから………」グイッ
アルビノ「―――あ」
青年「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………あれ?」
青年「ね?大丈夫だったでしょ?」
青年「ふぅ………よかった……」
アルビノ「はい?」
青年「っと………」ガクン
アルビノ「あ、せ、青年さんっ!大丈夫ですかっ!」
青年「ちょっと気が抜けちゃって………」
アルビノ「???」
青年「いや、絶対に、とは言ったものの確証はなかったですからね。………ひょっとしたらということはあったんですよ。」
アルビノ「え?」
アルビノ「えええぇぇぇぇっ!?」
アルビノ「あ、ぁぅぅ………」
アルビノ「せ、説明してください。」
青年「はい?」
アルビノ「どうして、石にならなかったのか、とかですよ………」
青年「あぁ、……………えぇっと、勘、です。」
アルビノ「は?」
青年「………なっとくしてくれ、ませんよね?」
アルビノ「………自白材ってどこにしまってあったかな。」
青年「説明しますっ!説明させていただきますっ!」
青年「でも、とりあえず………」
アルビノ「………?」
青年「今日もクッキーを持ってきたんです。お茶にしませんか?」
青年「ありがとうございます。」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「………そう、顔を伏せなくても。」スッ
アルビノ「……………」ピクッ
青年「………この、ハーブティー、なにも入ってませんよね?」
アルビノ「ソ、ソンナコトナイデスヨ?」
青年「そういうときは、僕の目を見て言ってください。」
アルビノ「う………」
青年「なんて、冗談ですよ。」
青年「先に断っておきますけど、僕は魔術というか、魔法と言いますか………そういうことに全然詳しくないです。」
アルビノ「………そうなんですか?」
アルビノ「それで、あんな強引なことをしたんですか?」ニコニコ
青年「あの、アルビノさん………アナタ、そんな性格でしたっけ?」
アルビノ「魔女ですから。性格は悪くて当たり前ですよ?」ニコニコ
青年「兄さんが喧嘩したときに、僕のところへ逃げてくる気持ちがわかるなぁ………」
アルビノ「……………」ニコニコ
青年「ゴホンッ………端的に説明させてもらいます。」
アルビノ「会いましたね。私は化け物だと、お伝えしました。」
青年「アルビノさんは、化け物なんかじゃないですよ。」
青年「で、そのときにですね、アナタの目を、僕はバッチリ見ていた訳なんですよ。」
アルビノ「…………はい?」
青年「とっても綺麗でした。」
アルビノ「はい、送りました。」
青年「で、アナタのことを語ってくださったじゃないですか。」
アルビノ「はい、イロイロといった記憶はあります。まさか、ここまで語ったのに、私のもとに来る人がいるとは思いませんでした。」
青年「まぁ、信じていませんでしたからね。」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………は?」
アルビノ「………確かに、目に見えるようには使ってませんでしたね。」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「………ということは、青年さんは私のことを狂言者か何かだと思っていたと言うことですか?」
青年「あはは………少し違います。」
アルビノ「……………?」
青年「子供の頃の傷のせいで、心がちょっとだけ傷んでしまった女の子だと………思っていました。」
アルビノ「………過去形ですか。」
青年「魔法を目の前で使われましたからね。見た以上は信じるしかないんです。」
青年「どうかしましたか?」
アルビノ「青年さんは、私が魔法なんか使えない、だから、呪いも持っていない、という考えだったんですよね?」
青年「えぇ、そうですね。」
アルビノ「でも、私は魔法を使っているところを見せましたよね?」
青年「この椅子のことですね。」
アルビノ「………だったら、私の呪いもあるかもしれないとは、考えなかったんですか?」
青年「あはは……」
アルビノ「………まさか、確証もなく?」
青年「………はい。」
青年「いや、でも、最初に言ったじゃないですかっ!確証はなかったって!」
アルビノ「………石になることは怖くなかったんですか?」
青年「………正直に言っても構いませんか?」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」コクン
青年「ありがとうございます。………正直、怖かったです。」
アルビノ「……………」
青年「だけど、躊躇うことはなかったですね。」
青年「惚れた女性のために命くらい投げ出せますから。」
青年「アルビノさん、僕はアナタのことが好きです。」
アルビノ「は、はぁ………」
青年「……………」
アルビノ「っ!?」
アルビノ「い、いや、ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!」
青年「はい?」
アルビノ「好きって………私たち会ってまだ3日くらいしかたってませんよっ!」
青年「一目惚れというやつです。」
アルビノ「はぁ?」
青年「いや、初めて会ったときにはここまで惹かれてなかったから………ふむ、二目惚れと言い直した方が………」
アルビノ「そんなことじゃなくてっ!」バンッ
アルビノ「…………イタタ」サスサス
アルビノ「は、はい、大丈夫です………って、だから――」
青年「僕は本気です。」
アルビノ「――――っ!」
青年「だから、アナタのことを嫌うなんて無理なんですよ。」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「……………」
青年「……………」
アルビノ「………ズルいです。」
アルビノ「今まで、そんなこと言われたことないんですよ?」
アルビノ「だから、そんなこと言われたら………」
アルビノ「私だってアナタのことを………」
―――好きになっちゃうじゃないですか。
アルビノ「勝手に私のことを好きになって。」
アルビノ「私が今まで、悩んでいたことを全部壊しちゃって。」
アルビノ「青年さんはズルいです。」
青年「……………」
アルビノ「………青年さん」
青年「はい。」
アルビノ「化け物の私だけど、アナタのことを好きになってもいいですか?」
アルビノ「アナタに恋していいですか?」
青年「構いませんよ。僕も………」
青年「僕も、アナタのことが好きです。」
青年「何の変哲もないアナタと同じただの人間ですけど、アナタに恋していますから。」
白猫「全く、甘ったるくて見てられにゃいですニャー」
魔女婆「ふぇふぇ、そう言うでないよ。甘酸っぱいじゃないかぇ?」
白猫「お陰でニャーのお役目もようやくごめんとにゃるんですニャ。」
魔女婆「そうだねぃ……」
白猫「あのニンゲンにお嬢を任せるのはシャクですがニャ。」
白猫「魔女の世界でも忌み子として恐れられてたお嬢に正面から向き合った勇気は、認めてやらにゃいこともにゃいですかニャ。」
魔女婆「ふぇふぇ、全くだよ。ニンゲンも存外捨てたもんじゃないねぇ。」
魔女婆「おや?どういうことだぃ?」
白猫「だって、ニャー達なら呪いの知識が半端にある以上、お嬢と目を合わすことにゃんて無理じゃにゃいですかニャ?」
白猫「あの目はお嬢が世界を呪う限り発動する、自動防御装置みたいなものにゃんですからニャ。」
魔女婆「まぁ、そうだねぃ……」
白猫「ですよニャー」
魔女婆「しかし、そういうと少しロマンに欠けるよ、猫の坊っちゃん。」
白猫「どういう意味ですかニャ?」
魔女婆「あの小僧が、嬢ちゃんに目をあわせることができる理由はねぃ、こういうべきなのさ。」
白猫「というと?」
魔女婆「愛じゃよ愛。」
魔女婆「おや、なにかいったかぇ?」
白猫「にゃーにも言ってにゃいですニャ。」
魔女婆「ふぇふぇ、そうかいそうかい。」
魔女婆「しかし、これ以上覗き見するのも、悪いかねぇ。」
白猫「悪いに決まってますニャ。バレたら、薬の実験台にされますニャ。」
魔女婆「じゃあここら辺でやめるとしようか。」
プツン
魔女婆「しかしまぁ、前途は多難であろうねぃ。」
白猫「お嬢の母上、マスターも、ニンゲンの男と恋してたんでしょ?前列がにゃい訳じゃにゃいですから、にゃんとかにゃるでしょうニャ。」
魔女婆「そうだといいねぇ………」
アルビノ「そう言えば………」
青年「どうかしましたか?」
アルビノ「今日はあの子連れてきてないんですか?」
青年「いや、まぁ………今日は道に迷うわけには行かなかったので、置いてきました。」
アルビノ「そうなんですか………」
青年「まぁ、次くるときには―――」
アンアンッ!
青年「え?」
アルビノ「ふふっ………」
アルビノ少女「どこからきたの?」
〜fin〜
休み休み書いたせいでぐだっちゃいましたが、これでアルビノ少女と青年の話はおしまいです。
白猫や団長なんかは、実は伏線にしたかったんですが、これ以上長くすると、あと一ヶ月は使い込みそうなので、ここで終わりとします。
自分語りが長いと
後味が悪くなるのでここら辺で。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
元スレ:アルビノ少女「どこからきたの?」
Entry ⇒ 2012.05.24 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
メリー「私メリーさん。人助けに目覚めたの」
お婆さん「すまないねぇ……わざわざ背中洗ってもらって」
メリー「大丈夫、気にしないで」ゴシゴシ
お婆さん「いやぁ……親切なお嬢さんじゃ……」
メリー「人に感謝されるのって気持ちがいい」
メリー「もっといろんな人を助けよう」
プルルルルル……ピッ!
女「はい……」
メリー『私メリーさん。今デパートの一階にいるの』
女「え?」
メリー『私メリーさん。今二階のアイス屋さんにいるの』
女「あの……」
メリー『私メリーさん。今三階のオモチャ屋さんにいるの』
・
・
・
メリー『私メリーさん。今あなたの後ろにいるの』
女「……!」クルッ
幼女「あ、おかーさん!」
女「あ、幼女! どこに行っていたの……心配したんだからね?」
幼女「ごめんなさい、まいごになってたの……でも、しんせつなおねーちゃんがこっちだよっておしえてくれたの!」
メリー「子供は目を離すとすぐどこかにいっちゃうから、ちゃんと見てないと」
メリー『私メリーさん。今あなたのマンションの前にいるの』
男「あぁ? メリーさんなんか俺の知り合いにはいねぇよ!」
メリー『私メリーさん。今エレベーターの中にいるの』
メリー『私メリーさん。今あなたの部屋のある階についたの』
男「おいおい……」
メリー『私メリーさん。今あなたの家の前にいるの』
男「冗談もいい加減にしろよ・・・・・・たくっ」
男「……一応、確認してみるか……」
ガチャ、バン!
男「……なんだ、やっぱ誰もいねぇじゃねえか……」
プルルルル・・・ピッ!
メリー『私メリーさん。今あなたの後ろにいるの』
男「……ま、まさかな」クルリ
メリー「私メリーさん。あなたの誕生日をお祝いしに来たの。はい、プレゼント」
メリー「可燃ゴミの日なのに不燃ゴミを出す人がいないように見張ってるの」
メリー「あと、カラスに荒らされないようにネットをしっかり掛け直してるの」
メリー「ぐちゃぐちゃだと気分が悪いから……ってそこの人。今日は燃えるゴミの日だから不燃ゴミは出しちゃダメ」
業者1「あの女の子が来てからゴミの分別がしっかりしてきたな」
業者2「誰なんだろな、あの女の子」
業者1「まぁ、なんでもいいんじゃないか? 今時珍しいしっかりした子ってだけで」
業者2「そうだな」
メリー「小学生の登校時間に立って、旗を持つの」
メリー「あ、皆。信号が青になったから、手をまっすぐ挙げて、右見て左見て渡りましょう」
子供「はーい!」
先生「すみませんねぇ、いつもいつも」
メリー「いえいえ」
メリー「たまには自分へのご褒美に甘いものが食べたい」
メリー「……おまんじゅう……」ジー
・
・
・
メリー「お金がないから買えなかった。別に悲しくなんかないもの」グスン
男「え、あ、はぁ……」
メリー『私メリーさん。今あなたの家の前にいるの』
男「あの……」
メリー『私メリーさん。今あなたの家の中にいるの』
男『私今出かけてるんですが……メリーさん?』
メリー『私メリーさん。今付けっぱなしのテレビを消しておいたの』
男「え? あ……そういえば消してなかった」
メリー『電気を大切にね』
メリー「駐車場は車上荒らしとかも怖いけど……やっぱり私としては」
メリー「……こう、車の中に置いていかれた子供がいないか気になるの」
子供「……」グッタリ
メリー「……あぁ、やっぱりいた。本当に親は子供のことを考えているのか疑問で仕方ないの」
メリー「あ、もしもし、私メリーさん。今○○スーパーの駐車場にいるの。車の中で子供が放置されて危険だから救急車をお願いしたいの」
子猫「にゃあん」
メリー「……あなた、捨てられたのね」
子猫「なぁお」
メリー「可哀想だけれど、私はあなたを飼う事はできないの……ごめんね?」
子猫「にゃあ?」スリスリ
メリー「そ、そんなに甘えてきても飼えないものは飼えないの……」
子猫「なぁお?」ウルウル
メリー「そ、そんな目で見つめてきてもだめなものは……」
子猫「みゃあみゃあん」
メリー「……」
・・・
プルルルルル・・・・ピッ!
男「はい、もしもし?」
メリー『私メリーさん。今子猫の引き取り手を探してるの。かわいい子猫なの。あなた育ててみない?』
子猫「にゃあお」
メリー「どうしよう……今更見捨てることなんてできないし……」
子猫「なぁおなぁお」スリスリ
メリー「この子も私に懐いてしまったし……仕方ない」ハァ
・
・
・
メリー「私メリーさん。今本屋にいるの。猫の育て方の本を読んでいるの」
メリー「明日は七夕だから、晴れるようにてるてる坊主をたくさん作って吊るしておくの」
メリー「イタズラ好きな子が逆さまに吊るしているのもあるから、それを直して、吊るしなおして・・・・・・ってあぁ! 子猫、てるてる坊主かじっちゃダメ!」
翌日
メリー「私メリーさん。今昨日の幼稚園にいるの。子猫も一緒」
子猫「にゃん」
メリー「空は雲ひとつない青空。綺麗に晴れた。てるてる坊主が効いたわね」フフン
メリー「子供達がワイワイ騒ぎながら短冊に願い事を書いている」
メリー「私は短冊を昨日のうちに吊るさせてもらった」
メリー「……一番乗り」
メリー「草むしりのボランティア。最近は参加する子供が少なくなってきているらしいから、私が代わりに頑張るの」
メリー「それにしても……暑い。そして蝉がうるさい」イライラ
メリー「痛っ……葉っぱで手を切ってしまった。軍手があればよかったのに……」
おばちゃん「あらあらあんた大丈夫かい?ほら手出して」
メリー「あ、はい」
おばちゃん「……はいこれで大丈夫! 全く、軍手もなしに何やってんのさ!」
メリー「実は、その……」
おばちゃん「なんだあんた軍手持ってないのかい!? しょうがないねぇ、おばちゃんの貸してあげる!」
メリー「え……いいの?」
おばちゃん「こんなかわいい子が頑張ってるんだ、ほっとくなんて出来るかい!」
メリー「……ありがとう」
おばちゃん「いいっていいって!」
・・・
メリー「人の親切とボランティアに配られたジュースが身にしみる」チューチュー
メリー「……」
メリー「公衆電話で私の電話の番号を押せば……」
メリー「いやいや、それは流石に悲しすぎるから、うん」
メリー「いや、でも……着信履歴が真っ白なのも……」
メリー「……一回だけなら、うん。これは実験だもの。大丈夫、悲しくなんかない」
・・・
メリー「私メリーさん。そもそも公衆電話を使うお金がなかったの。貧乏は辛いわ」
子猫「なお?」
メリー「ごめんね、名前つけてあげないと可哀想だよね」
子猫「にゃあ!」
メリー「ふふ……さて、なんて名前を付けてあげようかな」
メリー「うーん……見た目はふわっとしていて、色は白め……」
子猫「にゃあ?」
メリー「何かを連想させるような……うーん……」
メリー「……お饅頭?」
メリー「……いや、さすがに饅頭は名前として……」
子猫「にゃん! にゃあ♪」
メリー「……え、嘘饅頭気に入ったの?」
子猫「にゃあん!」
メリー「……まぁいいか、この子が気に入ったのなら、饅頭で」
メリー「ひらひらと舞っていく紅葉はとても綺麗……だけど」チラッ
ゴミ「」
メリー「……心無い人がゴミをポイ捨てしていくのは許せない」
メリー「持ち込んだものは持ち帰る。それかちゃんとゴミ箱へ。観光に行くときのお約束」
メリー「……飲みかけのペットボトル捨てていくなんて、本当勿体無い……」
男「……はは、泣きたくなって来たわ」
プルルルル・・・ピッ!
メリー『私メリーさん。今病院の中にいるn』男「馬鹿野郎病院の中で電話してんじゃねぇよっ!」
メリー『あっ……ごめんなさいすぐ切るわ』ピッ
男「……たく、今時メリーさんの電話とか、いつの時代のイタズラだよ」
コンコン
男「ん? あぁ、検診の時間か……どうぞーあいてますよー」
メリー「私メリーさん。あなたのお見舞いに来たの」
男「……え?」
メリー「さっきは病院で電話かけてごめんなさい。私としたことが迂闊だったわ」
男「お、おう」
メリー「ここにお見舞いの品置いておくから。早くよくなってね? じゃあ、私行くね」
メリー「……寒いから冬は嫌い」
メリー「……何かあったかい物が食べたい」
子猫「にゅあ……」
メリー「……お前もおいしいもの食べたいよね? ごめんね、お金がなくて何も買えないの。ごめんね……」
子猫「にゃあん……」
メリー「……夏のときのジュース、また飲みたいなぁ……」
メリー「子猫にご飯をあげるのが精一杯」
メリー「最後にお腹一杯になったのはいつだったかなぁ……寒さがお腹にまでしみる」ハァ
メリー「……町のあちこちにサンタがいる。そっか、もうすぐクリスマスか」
メリー「……おいしそうなケーキ……いいなぁ……食べたい」
子猫「にゃあん……」
メリー「……あ、雪まで降ってきた」
メリー「……雪でも、お腹は膨れるのかな……」
メリー「……明日はクリスマスかぁ……サンタさんは私にプレゼントを運んできてくれるのかな」
メリー「……お腹一杯ご飯が食べたい。おいしいお饅頭が食べたい……」
メリー「……あはは、都市伝説の類の私に、サンタさんが来るわけないよね」
メリー「……あっ」バタッ
メリー「私メリーさん、今転んじゃったの……お腹が減って立つ力も出ないの」
メリー「……もう、疲れちゃったなぁ……」
?「おや、あんたは……」
メリー「え……?」
メリー「お婆さん……」
お婆さん「おや、よく見たらお嬢さんずいぶんと汚れているねぇ……ほら、立てるかい? 手を貸すよ」
メリー「ありがとう……」
お婆さん「あのときのお礼がしたくてねぇ……今から私の家に来ないかい? 孫がこなくなって寂しいんだよ」
メリー「……いいの?」
お婆さん「一緒においしいご飯食べようかぇ、あ、お饅頭好きかい? おいしいお饅頭があるのよ。ほら、猫ちゃんも一緒に連れてきていいから」
メリー「お饅頭……」
お婆さん「あぁ、でもその前にお風呂に入れてあげないとねぇ。女の子がそんなに汚れていたら可哀想だからねぇ」
・・・
メリー「お婆さんと一緒に食べた久々のご飯はとってもおいしかったの」
お婆さん「はいよ、お嬢さん。お饅頭だよ、お食べ」
メリー「あ、ありがとう」
お婆さん「はい、猫ちゃんにはお魚だよ」
子猫「にゃおん!」
メリー「……」モグモグ、
メリー「……」モニュモニュ、
メリー「……」ゴクン
メリー「……幸せ」
お婆さん「気に入ってくれたかい、よかったよかった」
メリー「……お婆さん、饅頭」
お婆さん「ん?」
子猫「むゃあ?」
メリー「……メリークリスマス」
メリー「私メリーさん。今とても幸せなの」
メリー「私メリーさん。これからも、人助けをしていくつもりなの」
メリー「私メリーさん。今、あなたの近くに向かっているの」
メリー「私メリーさん。だから……あなたも周りの人を助けてあげて欲しいの」
終わり
Entry ⇒ 2012.05.19 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「ツンツンしすぎて岡部に愛想尽かされた……」
紅莉栖「最初はいつもみたいに仲直りできるって思ってた……」
紅莉栖「なんだかんだで最後は岡部の方から謝ってきて、私がそれをツンツンしながら許して……今回もそうだと思ってた」
紅莉栖「でも、違った……」
紅莉栖「メールもこないし、電話もない……もうこれで半年経った……」
紅莉栖「おかべぇ……」グス
紅莉栖「いつもなら長くても二週間くらい経てば岡部の方から謝ってきた……」
紅莉栖「最初は大学が忙しいのかなって思って、たいして気にしなかった……」
紅莉栖「2ヶ月経ってようやく異変に気付いた……私の方から何度もメールや電話をしても岡部に繋がらない……」
紅莉栖「3ヶ月目で着信拒否された……」
紅莉栖「その時はショックでまともに食事も取れなかった……」
紅莉栖「直ぐにまゆりやフェイリスさんに相談をした……そしたら」
まゆり『オカリンは紅莉栖ちゃんが忙しいだろうと思ってメールを控えてたんだって〜大丈夫だよ、紅莉栖ちゃんが寂しがってたよってオカリンに伝えておくから☆』
フェイリス『ニャニャ、凶真め。クーニャンを悲しませるなんてダメだニャン。フェイリスからちゃんと凶真に言っておくニャン♪』
紅莉栖「そう返事がきた……ふいに涙が溢れそうになった」
紅莉栖「……でも、それから1ヶ月経っても岡部から連絡はなかった」
紅莉栖「……でも、みんなから返事が来なかった」
紅莉栖「……」グス
紅莉栖「……おかべ」
紅莉栖「ごめん、おかべ……」
紅莉栖「うぅ……おかべに会いたいよ……」グス
紅莉栖「研究も区切りが着いた。長期休暇も取ったし準備はできてる……」
紅莉栖「早く、会いたい……」
紅莉栖「岡部……」
紅莉栖「待っててね、岡部……」
紅莉栖「ちゃんと、謝るから、だから前みたいにいちゃいちゃしよ、ね?岡部……」
紅莉栖「おかべ……」
まゆり「オカリン、オカリン♪」
ムギュ
岡部「どうした?まゆり」ナデナデ
まゆり「えへへ、何でもないのです♪」
岡部「そうか、だが余りくっ付くでない。流石にこのソファーで5人はきつい」
フェイリス「フェイリスは凶真の膝の上だから問題ないニャン♪」
ルカ子「ぼ、僕は、おか、凶真さんの隣なら、多少窮屈でも、大丈夫です……」モジモジ
萌郁「問題、ない……」
ダル「オカリンマジ爆発しろ」
由季「なら私たちもくっ付けば問題ないじゃない♪」
ダル「ぐへへ、そうだね、由季たん♪」
岡部「なんだ?」
ダル「牧瀬氏とは最近どうなん?」
岡部「あ、ああ。向こうで相変わらず研究を頑張っているらしい。向こうは忙しくて中々連絡はできないがな」
ダル「ふ〜ん。でもオカリンも律儀だお」
岡部「な、なにがだ?」
ダル「だって牧瀬氏と別れても、連絡取ってるんだろ?」
岡部「え?あっ、」
まゆり「……」
ルカ子「……」
フェイリス「……」
萌郁「……」
岡部「そ、そうだな。あいつがラボメンという事実は変わらないからな!フゥーハハハ!」
ダル「さすがオカリン!そこに痺れるあこがれるぅ!」
岡部(右を見ればまゆりが期限よく鼻歌を歌いながら俺にもたれかかってる)
ルカ子「岡部さん……」
岡部(左を見ればルカ子が顔を赤くしながら俺の手を握っている)
萌郁「……」カシャ、カシャ
岡部(後ろを振り向けば指圧師がさっきから俺の写真を取りまくってる)
フェイリス「凶真の膝の座り心地は最高だニャン」
岡部(前を見ればフェイリスが俺の膝の上でニャンニャン言ってる)
岡部「……」
岡部(俺はどうしてこんな所にいるんだろう……)
岡部(何だかんだ言って、最後は俺が頭を下げて仲直りをするのだが……今回はタイミングが悪かった)
岡部(岡部の方は大学の課題があり、紅莉栖の方は実験で忙しくなる。お互いに気が立つような期間に仲直りなど無理だと判断した俺は一度時間を置いた)
岡部(……ちょうど3ヶ月経った時、まゆりやフェイリスに紅莉栖からメールがあったそうだ)
岡部(俺と、別れる……と)
岡部(別れる……別れるそうだ。誰が?俺と紅莉栖が……)
岡部(あばばばば)
岡部(……本人に直接確かめようと思い、アメリカまで行こうとしたが、残念ながら貯金がなかった)
岡部(何度か紅莉栖にメールや電話をしようとしたが、フェイリスたちに止められた。俺が傷付くだけだと)
岡部(別れの言葉なら電話やメールよりも直接言われた方が区切りが付くと……)
岡部(だから俺は紅莉栖から直接別れの話を聞くのを待った。だが……)
岡部(結局あいつは日本にも来なかった……)
岡部(……落ち込んでいる俺を支えてくれたのはまゆりたちだった)
背もたれに仁王立ち
想像したらワロタ
岡部(フェイリスやルカ子、あの無口な萌郁も俺を励ましてくれた……)
岡部(彼女たちに励まされ、俺はこの世界線に辿り着いた時の決意を思い出した)
岡部(紅莉栖とまゆりが生きている世界。それ以外は何も望んでいなかった筈だ)
岡部(紅莉栖がこの世界のどこかで生きて、何かを考え、何かを思っている。俺はそれだけで十分だったんだ)
岡部(お前が生きているのなら、俺はそれだけで……)
ガチャ
紅莉栖「………」
岡部「………えっ?」
紅莉栖「……やっと会えた」
まゆり「……」
ルカ子「……」
フェイリス「……」
萌郁「……」
岡部「……久しぶりだな、牧瀬紅莉栖」
紅莉栖「……!?」
岡部(助手とでも呼んで少しでも茶化してやろうかと思ったが……最後くらいは名前で呼んでやろう)
紅莉栖「ひ、久しぶりね……岡部」
岡部「ああ、半年ぶりだな」
紅莉栖(し、しかも岡部の周りにはまゆりたちもいるし!)
まゆり「……」
ルカ子「……」
フェイリス「……」
萌郁「……」
紅莉栖(も、もしかして既にこの中の誰かと付き合ってるとか……)
紅莉栖「……」
紅莉栖「おかべぇ」ジワッ
岡部(……少し、いやかなりへこむな)
紅莉栖「岡部……」
岡部(しかも目に若干涙が溜まっているではないか!)
岡部(……やはり俺は紅莉栖と居るべきではないのか)
岡部「……要件は分かってる」
紅莉栖「……!」
岡部(覚悟は、出来ている)
,...-====--..、
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|::::::|:/|ヽ ゞ::::::/ ヽ::::::/ / }::|/::|
|::::|:´::| につ¨ ¨につ |::::::::|
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|::/:| ヽ_Y_/′ ./:.:.:.:.:.ヽ,
|/:.:.} { } |:.:.:.:.:.:.:.:.}
{:.:.:.:} / ̄i´ |:.:.:.:.:.:.:/
岡部「どうした?……早くしてくれ」
紅莉栖(待ってくれるって事はゆ、許して貰えるの、かな……)
紅莉栖「………」ゴクリ
紅莉栖「お、岡部!……さん」
岡部「!?」
紅莉栖(あ、謝るなら誠意を込めて敬語の方がいいわよね)
岡部(つまり俺とは既に他人だと言いたいのか……な、なるほど。さすが紅莉栖。こちらが痛い言葉を的確に吐いてくる)
岡部「どうした?天才少女が俺なんぞに敬語を使いおって……らしくないな、牧瀬」
紅莉栖「……っ」
岡部(そちらの意図は理解した。ならばこちらも呼び方を合わせようではないか)
フェイリス「ニャに、マユシィ」ヒソヒソ
まゆり「なんだか二人とも今にも泣きそうな顔してるけど大丈夫かな」ヒソヒソ
ルカ子「牧瀬さんも岡部さんも無理してますね……」ヒソヒソ
フェイリス「心配ないニャン。あのツンデレカップルをいい加減素直にさせる為にフェイリスたちが半年を掛けたプロジェクト。必ず成功するに決まってるニャン!」ヒソヒソ
萌郁「でも、もし……仲直り、できなかったら……?」ヒソヒソ
フェイリス「……」
フェイリス「その時はフェイリスが責任を持って凶真を貰うニャン♪」
まゆり「ダメだよ〜」
ルカ子「ダメです」
萌郁「……却下」
フェイリス「……冗談だニャン」
そうじゃないならよかった
紅莉栖(いま、牧瀬って言われた……?)
紅莉栖「……」ジワッ
紅莉栖(や、やっぱり怒ってる……おかべ怒ってる)
紅莉栖(今まで名字で呼ばれた事なんて一度もなかったのに……!)
紅莉栖「おかべ……」ポロポロ
岡部「なっ!?」
岡部(そ、そんなに嫌われているのか?俺は!?)
岡部(い、今すぐにでも抱き締めてやりたいが俺が抱き締めたら紅莉栖はもっと……)
岡部「ええいっ、関係あるか!」
ぎゅ
紅莉栖「……!」
岡部「わ、我が右腕と左腕に取り憑いた悪霊が勝手にやったのだ!俺の意志では断じてない!……だから、嫌なら振り解いてくれ」
紅莉栖「……おかべ」
紅莉栖「えっ?」
岡部「お前がこんなにも傷付いているとは、知らなかった」
岡部「もう二度と会わないし、二度と話もしない、二度と見ない……だから泣き止んでくれ、紅莉栖」
紅莉栖「うぅ……」ポロポロ
岡部「くぅっ!なら今後一切お前には関わらない!お前に関わる全ての者に対してもだ!だから泣き止んで」
紅莉栖「そんなああっ……いやああ」ポロポロ
岡部「な、ならこれ以上どうすればいいと言うのだ!?」
ダル「うわっ〜さすがオカリン。さらに悪化させてるお……」
由季「牧瀬さん、涙腺崩壊してるね」
紅莉栖「っ」ビクッ
岡部「お前が俺に望む事を何でもしてやろう!」
まゆり「えっ?」
ルカ子「いま……」
フェイリス「何でもするって言ったかニャ?」
萌郁「なんでも……」
ダル「ぐふふ、今何でもするって言ったよね」
由季「……ダルくん、気持ち悪い」
ダル「……サーセン」
岡部「ああ、何でもだ。男に二言はない。どんな無理難題でも叶えてみせよう。この鳳凰院の名に掛けてな!」
紅莉栖「ならっ!」
ちゅっ
岡部「んむっ!?」
紅莉栖「んっ、あむ、んっ……」
まゆり「わあ〜」
ルカ子「あ、あわわ」
フェイリス「大胆だニャン」
萌郁「スクープ」カシャ、カシャ
ダル「Oh……」
由季「ヒューやるね〜」
紅莉栖「………さい」
岡部「なに?」
紅莉栖「ごめんなさいごめんなさい岡部ごめんなさい岡部、見捨てないで、もうパパの時みたいなのはイヤなの、岡部、見捨てないで、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
岡部「く、紅莉栖!?何を言って……」
紅莉栖「おかべ、お願い……ずっと私の側にいて」
岡部「は、はあ!?」
紅莉栖「……や、やっぱり駄目、だよね、ごめんなさい、岡部、我が儘で、可愛くなくて、ごめんなさい」
岡部「な、何を言っておるのだ。別れると言い出したのはお前の方だろうが!」
紅莉栖「……」
紅莉栖「………へっ?」
岡部「なに?違うのか?」
紅莉栖「わ、私から岡部に別れようなんて言う訳ないじゃない!有り得ない!絶対に有り得ない!それに岡部の方が私に愛想を尽かして」
岡部「……紅莉栖、もう一度言ってみろ」
紅莉栖「なっ、だから、岡部が私に愛想を尽かして」
岡部「ふざけるな!」
紅莉栖「っ」ビクッ
岡部「俺がお前に愛想を尽かしただと?馬鹿を言え!」
紅莉栖「で、でも……」
岡部「二度は言わん!俺がお前に愛想を尽くすなどあり得ん!断じてな!」
紅莉栖「お、岡部……」ポッ
岡部「だいたい俺がまゆり達から聞いたのはお前が俺と別れると言って……」
紅莉栖「わ、私はまゆり達に岡部から連絡が来ないから相談しただけよ!」
岡部「……」
紅莉栖「………」
岡部・紅莉栖「あれ?」
紅莉栖「……」ジー
まゆり「あはは……」
ルカ子「あの、えっと……」オロオロ
岡部「……俺だ。機関から攻撃があった」
紅莉栖「私よ、ええ。こちらも被害を受けているわ」
岡部「機関め、どうやら俺たちの情報を攪乱させ、陥れようとしたようだ」
紅莉栖「みたいね。危うく壊滅的被害を受ける所だったわ」
岡部「だが……」
紅莉栖「ふふっ、私たちも甘く見られたものね。この程度の脅威」
岡部「この程度、この鳳凰院凶真と」
紅莉栖「鳳凰院紅莉栖の前では無意味よ」
紅莉栖「こちらからも確認した」
フェイリス「ニャニャ……」
萌郁「……逃げ、なきゃ」
岡部「どうやら機関の手は我がラボにまで及んでいるようだ、嘆かわしいな」
紅莉栖「でも裏切り者には制裁を与えないとね」
岡部「無論だ。ではお互い健闘を祈る。エル・プサイ……」
紅莉栖「……コングルゥ」
岡部「……さて、お前たち」
紅莉栖「何か言い訳はある?30文字以内で論破してあげる」
紅莉栖「残念。私たち元々人前でイチャつかないだけで十分ラブラブなの」
岡部「ラボでキスした回数は既に三桁にいく」
ダル「ふ、ふざっけんなし!ラボはラブホじゃねーぞ!」
紅莉栖「あっ?」
岡部「ダルぅ、お前も裏切り者だと言う事を忘れてないか?」
ダル「あ、いや、僕はフェイリスたんに頼まれたから断れなかっただけでありまして……」
由季「ダルくん、どんまい」
紅莉栖「阿万音さん、あなたも同罪よ」
由季「えっ」
ダル「ひぃ」
岡部「まて紅莉栖。サンプルは4個だ」
紅莉栖「……どういう事?」
岡部「まゆりとルカ子は除いてやれ」
まゆり「オカリン……」
ルカ子「岡部さん……」
紅莉栖「……理由は?」
岡部「なに、弟子と人質の不始末は俺がすべき事だからな」
まゆり・ルカ子「「ふぇ?」」
紅莉栖「なるほど」
フェイリス「ま、待つニャン!フェイリスはクーニャンと凶真の為を思って」
紅莉栖「その割には岡部の膝の上に座って楽しんでたわよね」
フェイリス「うニャ、それは……」
ダル「オワタ……」
由季「オワタね…」
萌郁「……詰み」
岡部「安心しろ。まゆり、ルカ子痛くないからな?ちょっと躾るだけだ」
まゆり「お、オカリン、笑顔が怖いのです」
ルカ子「きょ、凶真さん……」
岡部「鳳凰院凶真」
紅莉栖「鳳凰院紅莉栖」
岡部・紅莉栖「「目標を駆逐する!」」
紅莉栖「なに?岡部」
岡部「これからは二人きりの時以外でもイチャイチャした方がいいと思わないか?」
紅莉栖「奇遇ね。私も今同じ事を考えてたわ」
岡部「やり方をどうあれ、あいつらは俺たちの関係を一応は心配して今回の事が起きたのだ」
紅莉栖「そうね、だからまゆり達を安心させるよう、普段から心掛けないと、ね、倫太郎……」
岡部「そうだな紅莉栖。奴らに見せ付けてやろうではないか。俺たちの仲を」
岡部・紅莉栖「「フゥーハハハ!」」
おわり
読んでくれた人、ありがとニャンニャン
乙・プサイ・コングルゥ!
Entry ⇒ 2012.05.15 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
俺「もしや、貴様!……『内定者』か!?」
俺「そろそろ夏休みだなあ」
友「そうだな……」
俺「おいおい、浮かない顔してどうしたんだよ?夏休みだぞ、夏休み!」
友「いやさ、夏休みが終わったら、本格的に就活開始なんだよな……」
俺「ああ、就活ねwwwんなもん楽勝でしょwwwwww」
友「そうかな……そうだ!夏休み中にビジネスマナー講座とか就活に役立ちそうなイベントがあるんだけどいかない?」
俺「えー、だっりいよwwww」
友「でもさ……」
俺「面倒くさいし俺はいかねえよ?」
友「そうか……」
俺「よっしゃ、夏休み始まったwwwww」
俺「遊ぶぞwwwwww」
俺「あ、でも金無いな」
俺「そうだ、たまには登録してある派遣のバイトに行くか!」
俺「金稼いだるwwwwwww」
俺「うはwwww金貯まったwwwwww」
俺「これで色んなもの買ったり、遊んだりできるwwwww」
俺「友が就活のイベント行ったらしいけど、気が早すぎるんだよwwwwww」
俺「もっと気楽に考えないとダメだぞ、友wwwwww」
俺「うぃーす、後期始まっちゃったな!マジだるいわー」
友「そうだな」
俺「おっ、何の本読んでるの?」
友「就活関係の……SPIの本だよ」
俺「SPI?え、何々HTTみたいな?wwwwww」
友「そうじゃないよ……、なあ、お前も真面目に就活について考えた方が良いと思うぞ?」
俺「まだ良いって良いって!大体お前が真面目すぎなんだよwwwww」パンパン
友「痛っ!全く……」
友「そう言えば、来月、会社の学内説明会があるらしいぞ!」
俺「へえ、そんなのあんの?」
友「そうそう!学校でやるんだよ!」
俺「へえー」
友「なあ、せっかく学校でやるんだし、お前も出てみようぜ?」
俺「あー、まあ、遠出しなくてもいいし俺も参加しようかねえ」
友「おっ、本当か!ついにやる気が出てきたみたいだな!」
俺「んー、まーね」
俺「起きたと思ったら、もう昼過ぎか〜」
俺「ん?留守電が入ってるな……友から?」
俺「ああ、そう言えば今日は学内説明会だったっけか?」
俺「今更行くのも面倒くさいなあ」
俺「いーかないっと!」
俺「でも一応友には『風邪ひいたから行けない』ってメールしーとこ」
就活担当教授「君達、もう合同説明会には行ったよね?」
俺「(あー、あんなの行くだけ無駄っしょ)」
就活担当教授「まあ、就活は大変だと思うけど、頑張ってね」
俺「うぃ」
就活担当教授「まあまあ、そう気負わなくてもいいよ、みんな」
就活担当教授「毎年、卒業するまでにはみんな進路決まってるから!」
俺「(教授も言ってるんだ、全然焦る事ないやwwwwwww)」
友「え!?お前まだ1社もエントリーしてないの!?」
俺「そうだけど」
友「さすがにやばいって!」
俺「そうなん?」
友「今日家帰ったら、早速エントリーした方がいいぞ!」
俺「えー、めんどくさい」
友「いいから!エントリーするんだ!」クワッ
俺「ふ、ふぇ!?」ビクッ
俺「あんな顔した友、初めて見たよ……」
俺「仕方ない、エントリーするか」
俺「まずは就職サイトに登録して……」
俺「えー、じゃあ……」
――――――――――
―――――
俺「よーし、エントリー完了!」
俺「15社くらいエントリーしてればどこかに入れるっしょ!」
俺「さて、アニメ見ようwwwwwwww」
俺「エントリーした企業からのメール、うっぜええええええええ」
俺「メール着すぎだろ!」
俺「えー何々?説明会?」
俺「まあ、そろそろ行ってみるか」
俺「じゃあ、この企業とこの企業と……」
俺「このくらいでいいか、説明会予約」
俺「やっべ、俺、就活してるwwwwwwww」
俺「あっ、そう言えば明日説明会か」
俺「うわ、履歴書持参かよ!書くのめんどくせえ」
俺「行かなくてもいいや、他の企業がまだあるし」
俺「確か明日説明会だよな?」
俺「うわっ、この会社、行くまでの道のりが面倒くさい!」
俺「どんだけ、僻地にあるんだよ!」
俺「まー、行かなくてもいいや!」
俺「金もかかるしな!」
俺「俺、マジ倹約家wwwwwwww」
俺「へえ、もう面接やってる奴もいるんだ」
男A「ああ、男Bが昨日1次面接受けたって言ってたぞ」
俺「へえ、お早いこった」
男A「俺も今、SPIの結果待ちなんだよな〜少し出遅れた感があるなあ」
俺「なーに、まだまだ余裕っしょ!」
俺「たまたま男Bの会社の選考が早かっただけだよwwwww」
男A「うーん」
俺「今日は初説明会!電車に乗ったったwwwwww」
男C「お、俺!久しぶり!」
俺「男Cじゃん!久しぶり、何々?就活?」
男C「うん、今日、2次面接なんだ!そっちは?」
俺「俺?俺は説明会だけど」
男C「え?……へえ、そうなんだ」
俺「俺の学部だけ男Cやその他の学部とキャンパス違うけどさ、男Cの学部の奴らは就活どんな感じ?」
男C「女Aいるじゃん?次、最終面接らしいよ」
俺「マジで!?はっやwwwww」
男C「後は―――」
―――――
男C「―――とまあこんな感じかな」
俺「へ、へえ……」
男C「どうした?」
俺「お前の学部、選考早いなあ」
男C「そうなのかな?」
俺「俺の学部の職種は結構選考時期遅いんだー」
男C「へえ、そんな事もあるのか」
俺「(そうだよな?そうに決まってるよな?)」
俺「久しぶりに就活サイト見たら、エントリーした企業のほとんどが選考締め切ってる!?」
俺「え?何これ?やばいんじゃないの?」
俺「……あ、この会社はまだ大丈夫だ」
俺「……ちょっとエントリーしなおすか」
――――――――――
―――――
俺「何かGW明けから選考始める企業も多いな!」
俺「よーし、GWは遊び呆けるぞwwwwwwwww」
俺「うぇーいwwwwww」
男D「うぇーいwwwwww」
女B「ちょっと、飲みすぎじゃない?」
俺「いいんだよwwww久しぶりの飲み会だしwwwww」
男D「それにしてもお前、就活中だろ?余裕だなwwwwwww」
俺「まーねwwwwwwww」
女B「私と男Dは推薦で院に行くつもりだけど、俺君は院に行くつもりはないの?」
俺「もう勉強したくないっすwwwwwww」
男D「そんな事は気にせず、今日は飲みに飲もうぜwwwwwwww」
俺「そうそう!うぇーいwwwwwwwww」
俺「さーて、エントリーシートでも書くかな!」
俺「こんなのありきたりなこと書けば余裕で通過するっしょ!」
俺「マジヌルゲーすぎwwwwww」
俺「でも1つの項目400文字とかめんどくせえwwwwww」
俺「まあ、適当に書きますかwwwwwwww」
俺「おい!何でだよ!何でなんだよ!」
俺「どうして俺の書いたエントリーシートが通過しないんだよ!」
俺「人事部見る目ないんじゃねーの?」
俺「全くよ、クソが!」ドンッ
俺「いってえ!壁ドンしたら手がいってえ!!」
俺「……痛いよぉ」グスッ
???「君は実に滑稽だね」
???「これこそが自分の実力だというのにその現実から目を背けて逃げてばかりだ」
俺「おい、姿を見せろ!」
???「……」スッ
俺「女の子!?」
???「挨拶が遅れたね、こんにちは」
俺「こ、こんにちは(うわ、めちゃくちゃ可愛い)」ニマァ
俺「(も、もしかしてこれは!やった、ついに彼女いない歴=年齢じゃなくなる!!)」
???「ねえ……」
俺「いいよ!じゃあ、早速遊びに行こうか!」
???「え?そうじゃなくて……」
俺「(何々?テレてるの?こいつぅ〜、かわうぃ〜!)」
???「君って、友君の知り合いだよね?」
俺「え?あ、うん、そうだけど?」
???「……」
俺「(あれ?)」
俺「おっ、友!久しぶりじゃん!」
???「あっ、友君!遅いよ!」
友「ごめん、ごめん」
俺「ん?えー、2人は知り合いなの?」
友「あー、そう言えば最近お前と会ってなかったからなあ」
俺「まーな」
友「紹介するよ、俺の彼女だよ」
俺「へえ、その子友の彼女なんだ……ええええええええええ!?」
友「おいおい、驚きすぎだろ」
俺「俺と同じく彼女いない暦=年齢の友に彼女だとおおおおおお!?」
友「いや、これが本当なんだよな!」
俺「う、裏切り者おおおお!」
友「彼女も出来たし、内定も貰ったし、今が人生で1番幸せかもな!」
友彼女「ふふっ、これから2人でもっともっと幸せになっていこうよ!」
俺「ちょ、待て……お前、内定もらったのか!?」
友「そうだけど?」
俺「(この感覚、まさか!内定を勝ち得た者だけが放つと言われる……)」ゾクッ
友「ん?萎縮してどうした?」ゴワゴワゴワ
俺「(しかし、友だけで俺がここまで萎縮してしまうくらいのオーラを放っていられるのか?)」
友彼女「……」ニコッ
俺「!!もしや、貴様!!……『内定者』か!?」
俺「2人揃って『内定者』なのか!?」
友彼女「ふふふっ、そうだよ」
友彼女「友君はその企業落ちちゃったけどね」
友「おいおい、でもJR東海に内定もらったし俺は結構満足してるんだけどな」
俺「なん……だと!?」
友「友彼女は某メガバンクに受かるなんて、やっぱり凄いや」
俺「!?」
友彼女「ねえねえ、そろそろ見ようって言ってた映画が始まる時間だよ?」
友「そうだな、またな、俺!」
俺「」
俺「」
俺「」
俺「うう、うわあああああああああああああああああああああああああああああ」
俺「エントリーシ−ト」
俺「履歴書」
俺「エントリーシート」
俺「履歴書」
俺「エントリーシ−ト」
俺「履歴書」
俺「アニメ視聴」
俺「エントリーシート」
俺「履歴書」
俺「エントリーシート」
俺「履歴書」
俺「エントリーシ−ト」
俺「履歴書」
俺「エントリーシート」
俺「履歴書」
俺「エントリーシート」
俺「履歴書」
俺「WEBテスト」
俺「エントリーシ−ト」
俺「アニメ視聴」
俺「エントリーシート」
俺「履歴書」
俺「エントリーシ−ト」
俺「履歴書」
俺「アニメ視聴」
俺「テストセンター」
俺「やった!やったぞ!ついに1社面接が決まったぞ!」
俺「よーし、内定とったるたるたるwwwwwwww」
面接官「それでは当社を志望した動機をお願いします」
俺「ぴゃ、ぴゃい!」ガタガタ
面接官「緊張しなくても大丈夫ですよ」
俺「……へへへへ弊社を希望したどどど動機はは」
面接官「……」チョンッ
俺「―――でありまする!」
面接官「はーい、分かりました、お疲れさまでした」
「誠に残念ながら、今回は採用を見送らせていただくことになり、 貴意に添えぬ結果となりました。」
「末筆ながら13卒皆様のこれからのご健闘をお祈りいたします。」
俺「クソが!クソが!クソが!クソ企業があああああああああああああああ!」ドンガラガッシャン
俺「うわああああああああああああああああああああああ!!」
俺「……」プツン
俺「よっしゃ、就職先見つかったったwwwww」
職場の子「ねえ、ハニー!ミキ、もっとキラキラしたいの!」
俺「トップアイドルに導いたるwwwwww」
俺「彼女もできたったwwwwww」
彼女「絢辻さんは裏表のない素敵な人です、はい復唱」
俺「絢辻さんは裏表のない素敵な人です!」キリッ
俺「うっはwwww俺マジリア充wwwwwwww」
J( 'ー`)し「アンタ、就職決まったのかい?」
俺「余裕!じゃないと、実家になんて帰って来ないよ!」
J( 'ー`)し「良かった、お母さん安心したわ……」
俺「しかも結構いいところに決まったぜ!」
J( 'ー`)し「まあ!やるわね!」
俺「へへっ!」
俺「あん?なんだ、中学時代はヤンキーで中卒、今は土方の土方じゃねーか」
土方「お前、今何やってんの?」
俺「あん?結構いいところに就職決まって、来年の春まで自由に遊んでるけど?」
土方「へえ、そうなのか」
俺「中卒なんかじゃ入れない企業に入ってやったぜ!この底辺が!!」ペッ
土方「確かにお前は勉強できたからな」
俺「へっ」
土方「でもこんな肉体労働で辛くて、給料の低い仕事でも俺は幸せさ」
土方「家に帰ると嫁さんと1歳になる娘が俺を出迎えてくれる」
土方「それでまた明日も頑張ろうって気持ちになれるんだよな」
俺「へえ、負け組乙!」ペッ
俺「いやあwwww卒業まで遊んでられるって最高だねえwwwww」
友「俺も内定もらえてよかったよ!おめでとう!」
俺「いやいや!」
友「しかも彼女も出来たんだって?やるなあ!」
俺「お前ほどやり手じゃねえよ!」ベシッ
友「はっ!まだ、手出してねえよwwwwww」
俺「童貞乙wwwwww」
友「いや、アイツのことは大切にしたいからさ」
俺「真面目、いや、チキン乙wwwww」
友「どうやら、彼女も初めて付き合ったのが俺らしくてさ」
俺「処女乙wwwwww」
友「か、彼女の事は馬鹿にするなよ!」
俺「すまんこすまんこwwwww」
俺「今日は電車に乗って遊びに行こう!」
男E「……」ハァ
俺「おっと、そこでため息をしながら歩いているのは同じ学科の男E」
俺「男Eとは俺が消しゴム落とした時に拾ってもらったくらいしか関わりはない」
俺「しかし、今は気分が良い!話しかけてみよう!」
俺「よう、男E!」
男E「えーと……俺くんだっけ?」
俺「ひっどいなあ!同じ学科なんだから名前覚えてくれよぉ!」パンパン
男E「わ、悪いな……」
俺「それでぇ、男Eはなーんでスーツ着てるの?」
男E「!!」
男E「そ、それは……」
俺「ああ、そうか!友達や親戚の結婚式か!」ニマニマ
俺「そうかそうか!おめでとう!」ニマニマ
男E「……活」
俺「え?なんだって?」ニマニマ
男E「就活だよ!」
俺「うえぇ!就活ぅ!?」ギョギョツ
男E「そうだよ、まだ内定もらってないんだよ!」
俺「NNTが許されるのは夏休み前だよねえ〜」ニマニマ
男E「くっ……」
男E「……」
俺「俺は結構いいところに内定もらったし、彼女もいるんだ〜」
男E「……」
俺「男Eってさ友達あんまいないし、頭も悪いし、もちろん彼女もいないよね〜?」
男E「……」
俺「俺と同じ大学の人間とはおもえないwwwwwww」
男E「……」
俺「ねえ、今どんな気持ち?ねえねえ、今どんな気持ち?wwwwww」
男E「うわあああ!」シュッ
俺「うぐっ!」メキッ
男E「うわあああああああああ!」ダダッ
俺「」
俺「クソがクソがクソがあああああああああああああああ!」
俺「……」
俺「まあ、底辺の人間に怒りを感じたってしょうがない」
俺「さて、出かけるか!」
俺「よお、友!」
友「おっ、来たか俺!」
友彼女「こんにちは、俺君」
俺「ういーっす、友彼女ちゃんおひさ!」
友彼女「ねえ……」コソコソ
友「何?」
俺「あれ?いきなり2人で内緒話?俺、友彼女ちゃんに嫌われちゃってる?wwwww」
友彼女「嫌ってはないよ?」
俺「良かったwwwww」
友彼女「別に好きでもないけど」
俺「おっふ、正直すぎwwwwワロタwwwwww」
友「それじゃあ出かけるか!」
友「しょうがないさ、お前の彼女、忙しい人なんだろ?」
俺「ああ、来月に一大イベントがあってな、その準備で忙しくしてるよ」
友「でも、今度は会わせてくれよ?お前の彼女、1度も見たことないしさ」
俺「OK!OK!」
友彼女「……」ジー
俺「友彼女ちゃん、さっきから俺の事ずっと見てるけど……」
俺「まさか、俺に惚れた!?」
友彼女「そんな事は……」
俺「ああ!俺がずっと友と話していて俺に嫉妬した?」
友彼女「いや、そうじゃなくて……」
俺「ごめんごめん、彼氏さんちょっと借りちゃった!」
友「ははっ、その言い方へたすりゃ誤解されるからやめろ」
俺「めんごめんご!」
友彼女「……」
俺「はあ、師走だなあ」
俺「……」
俺「仕事も結構順調」
俺「クリスマスも彼女と過ごせる」
俺「何だか俺幸せすぎる!」
俺「まるで夢みたいだ!」
俺「聖夜に頑張ろうかな、って言ってたな」
俺「友もついに卒業する決心がついたかwwwwww」
俺「夜10時から朝4時までの6時間は本当に性なる6時間ですねwwwwww」
友「ようやく彼女を紹介してくれる気になったか!」
俺「早く紹介したかったんだけどさ、彼女忙しくてさ!」
友「それで今からお前の家に行くんだよな?」
俺「おう、彼女俺んちにいるからな」
友「それじゃあ待たせるのも悪いし、急いでいこうぜ!」
友「おじゃましまーす!……あれ?彼女は?」
俺「ああ、ちょっと待っててくれ」
友「隠れてるの?茶目っ気のある彼女だな!」
俺「茶目っ気……多少はあるかも」
友「?……それとも恥ずかしがり屋なのかな?」
俺「うーん、でも仮面の下の素顔は俺にしか見せないよ」
友「仮面?え?仮面してるの?」
俺「ああ、本当の自分はって意味さ」
友「ああ、そういう意味か」
俺「……よし!」
俺「……」ニヤニヤ
「あなたを私のものにします!」
友「……」
「あたし……ううん。わたし、あなたのことが好き」
俺「デュフッデュフフフフフwwwwww」
友「お、おい……俺」
俺「どう?俺の彼女?」
友「その手に持っているのはPSPじゃないか……」
俺「PSP?違うよ、彼女だよ?」
俺「お前こそ、冗談はよしてくれよ」
友「……」
俺「……」
友「なあ、いくら彼女できないからってさ……」
俺「は?だから何言ってるの?」
友「俺達、この春から社会人だぜ?もっとちゃんと現実みようよ」
俺「いやいや、むしろ現実しか見てないよ」
俺「それと俺、友より先にすでに社会人として仕事もこなしてるんだぞ?」
友「は、はい?俺達はまだ学生だぞ?どういう事だ?」
俺「しょうがない、俺の仕事も見せてやろう」
俺「……」
「またねーって言ってー♪」
友「……」
「私のものーにならなくていい♪」
俺「さすがは俺がプロデュースしたユニットだ!」
友「お、おいおいおい……俺……いや、俺P」
俺P「何?もしかしてプロデュースして欲しいの?」
友「PS3を起動して、君は一体何をやっているんだい?」
俺P「仕事だけど、それが何か問題でも?」
俺「ああ、社長に『ティンときた』と言われてね!」
友「それ以外は?」
俺「え?同時に別の会社でも働くわけにはいかないだろ?」
友「俺……」
俺「何だよ?泣きそうな顔してどしたんだよ?」
友「……」
俺「なあなあ、俺の彼女、可愛いだろ?」
友「……」
俺「なあなあ、俺の仕事、立派なもんだろ?」
友「……」
俺「なあなあ?」
俺「なあなあ?」
友「……」
俺「なあなあ?」
友「……」
俺「なあなあ?」
友「……」
俺「なあなあ?」
友「……」
俺「何か答えろよおおおおおおおおおお!!!」
友「ぐっ……」
俺「なあなあ!俺の彼女はどうだった!?」
友「……俺」
俺「なあなあ!俺の仕事っぷりはどうだった!?」
友「……俺!」
俺「どうだったか、聞いてんだろうがああああああああああああ!!」バゴッ
友「うがっ!」
俺「はあ……はあ……」
友「……俺、目を覚ましてくれよ」
友「ぐっ!」
俺「友!!」ベキッ
友「ぐあっ!」
俺「友ぉ!!」メキッ
友「ぐはっ!」
俺「友ぉぉぉぉおおおおおお!!!」メキャッ
友「あ……ぐ……」
友彼女「そこまでだよ!!」
友彼女「今助けるからね!」
俺「友彼女ちゅわ〜ん?どうしてここに〜?」
友彼女「邪悪なNNTオーラの凄まじい乱れを感じたの」
俺「はぁ?」
友彼女「やはり、君だったんだね、俺君」
友「……」
友彼女「去年の11月、俺君と一緒に遊んだあの日に感じたNNTオーラは気のせいじゃなかったんだね……」
友「!!……だから、あの時にこいつは本当に内定を貰っているのか俺にきてきたのか」
俺「満身創痍の男とか弱い女の子に俺を止められるとは思わないがなあ!!!」
友「俺は大丈夫だから……こいつには支えがいないとダメだからさ」
友彼女「ダメだよ!友君、顔が腫れ上がっているし、血も出てる!」
友彼女「それに私だって大切な人は守りたいよ!」
友「友彼女……」
友彼女「それにクリスマスだって、あまりに大事にしすぎてキスまでだったし……///」
友「お、おい!今ここで言うことじゃないだろ///」
友「ま、まあな///」
友彼女「///」
俺「ういっひぃ!」スタッ
友彼女「?」
俺「ならばその純潔……」
友「まさか!!」
俺「いただきまああああああああああああす!!」
友彼女「い、いやああああああああああ!!!」
友彼女「や、やめて!」ジタバタ
俺「フッヒイイイイイイイイイイ!!」
友「動け!動いてくれ!俺の体!」
俺「ぶっひいいいいいいいいいいい!!」
友彼女「やあ……いやああ!!」グスッ
友「うおおおおおおおおおおおおお!!」キュピーン
俺「!?」
俺「な、なんだ、これは!?」
友「……」シュンッ
俺「消えた!?……マウントポジションで下にいたはずの友彼女ちゃんも消えた!?」
友「後ろだよ」キラキラ
俺「!?」
友彼女「うぅ……」グスッ
友「怖かったね?だけど、安心して、俺がついてるから」ギュッ
友彼女「友君……」ギュウッ
俺「何だよ!何なんだよ!これはよぉ!!」
友「さて、俺は彼を正気に戻してくるよ」キラキラ
俺「あぐっ!(これはSONYの採用試験!?)」
友「ていやっ!」
俺「ぬおっ!(今度はりそな銀行!?)」
友「ふんぬっ!」
俺「ぎやっ!(グ、グーグルだと!?)」
友「さいっ!」
俺「うぐぁ!(ほ、他にも沢山!?)」
友「うおおおおおおおおおお!!」
俺「(こ、こいつ!多種多様な業界の様々な企業の採用試験を受けてやがる!!)」
就活担当教授「ついにたどり着いたね」
友彼女「あ、あなたは?」
就活担当教授「何、通りすがりの教授だよ」
友彼女「この顔、どこかで……あっ!」
友彼女「就職氷河期時代、108社もの企業の選考試験を受け、その全てに合格したのにも拘らず、全て内定辞退をし博士の道へと進んだ……」
就活担当教授「ああ、そう言えばそんな事もあったね」
友彼女「どうしてあなたがここに!?」
就活担当教授「僕の事はどうでもいいさ、さて、友君をみてごらん?」
友彼女「!!……何という輝くばかり笑顔!!眩しい!!」
就活担当教授「彼はたどり着いたんだよ」
就活担当教授「天衣無縫の内定にね」
友彼女「ちょっと、訳が分かりませんね」
俺「俺は、俺は……!!」
友「就活って楽しいじゃん!」
俺「あああああああああああ!!!!」
友「そして、内定って喜ばしいじゃん!!!」
俺「うわあああああああああああああああああ!!!」
――――――――――
―――――
俺「心を入れ替えて、就職活動に励もう!」
俺「と言っても既に時遅しかもしれないけど……」
俺「お!あいつは講義でいつも前に座っていたぼっち!」
俺「確か必修を何度も落としたり、コミュ障だったりできっと内定をもらっていないはず!」
俺「よお、ぼっち!就活頑張ろうな!!」
ぼっち「え?僕、去年の4月に内定もらってるんだけど」
俺「」
男E「何やかんやで俺は内定もらったよ」ニマニマ
俺「……」
男E「ねえ、今どんな気持ち?ねえねえ、今どんな気持ち?wwwwww」ニマニマ
俺「ぐぬぬ……」
面接官「うーん、君、何か見込み無いね?」
俺「え!?」
面接官「ダメだね、どうせ不採用だから、さっさと帰っちゃって」
俺「(こんな時期にまで選考、こんなブラック臭しかしない企業に落とされただと!?)」
友「なあ、大丈夫か?」
俺「あ、ああ……大丈夫だよ」
友「そうは見えないけどな……」
友彼女「友君……!!」
俺「あ……」
友彼女「友君!もうこの人に近づいちゃダメって言ったよね!」
友「だけど、俺が支えてやらないと……」
俺「いいさ、行けよ、友……」
友彼女「さあ、行こうよ!」
友「う、うん……」
友彼女「ふふふっ、今日の夜も友君大事にしてくれるんだよね?」
友「お、おい!こんな場所で何言ってるんだ!?」
友彼女「ふふふっ///」
俺「……」
俺「はぁ、卒業式も終わったな……」
俺「でも、内定は未だ無し……ははっ」
後輩「あっ、先輩!お久しぶりっす!」
俺「よ、よお」
後輩「先輩!聞いてくださいよ!俺、内定もらっちゃいましたよ!」
俺「え?」
後輩「いやあ、就活ってちょろいっすねwwwww後1年ちょっとは遊び放題っすwwwwwww」
俺「あ、あ……」
後輩「そう言えば!先輩はどんな企業に内定もらったんですか?」
俺「あ、あ……あうあう」
私だけのとっておきおじぎ 45度&1秒♪
私だけが持っている動機 届いているのかな♪
私だけの自己PR 感動させられるかな♪
めざせ内定まず1社 がんばるよ♪
就職活動シンドイです♪
だって毎回お祈りされるし内定未定だし♪
イツイツまでに書類出さないと♪
間に合わないからヨロシクちゃんって♪
履歴書もESもSPIも面接も♪
全然通らないっ♪
「オトナノジジョー」で決まった♪
内定でも乗り越えられるよ ファイト♪
俺「はぁ〜、久しぶりにカラオケで歌ったらすっきりした」
俺「1人だけど……」
俺「そう言えば、卒業旅行に行ってなかったな……」
俺「卒業旅行、今から行こうかな?」
俺「どこか、遠いところへ……」
???「しかし、奴は我々の中でも最弱!」
???「四天王の面汚しよ!」
11年既卒「ほう、貴様も言うようになったのう」
10年既卒「ふん、どの道我々についてこれなかっただろう」
09年既卒「まあ、僕から見たら君達もまだまだだけどね!」
09年既卒「だって、君たちは新卒3年以内の期間ないじゃん?」
12年既卒「あー、そこつかれると痛いっすねwwwwww」
11年既卒「もぉ、勘弁してくださいよぉwwwwwww」
10年既卒「積もるあるんでとりあえず飲みに行きませんかwwwwww」
09年既卒「飲みに行く?誰の金で?」
10年既卒「それはもちろん!」
12、11、10年既卒「「「親の金で!!!」」」
09年既卒「だよねwwwww」
09年既卒「親の金で飲む酒は!」
4人「「「「美味い!!!!」」」」
THE END
6時間かかりました、6時間あればエントリーシート1枚くらい書けますね
それでは今からPS3をやりたいと思います
面白かったぞ
怖い
慶応卒でうちに来るのとかかわいそうで雇えなかったけど雇うべきだったの……?
将来怖すぎワロエナイ
やめろ やめてくれ
Entry ⇒ 2012.05.14 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
執事「お嬢様に婚約者?」
執事「相手はどんな方なんです?」
メイド「それがまだ決まってないとかで…」
執事「ほう…」
メイド「なぜです?」
執事「だってうちのお嬢様はあんなですよ?」
お嬢様「ちょっとそれどーいう意味よ」
執事「おやお嬢様、聞いてたんですか」
お嬢様「ここ私の部屋よ」
お嬢様「あんたに世話されてる私の方が大変だわ」
執事「そんなお嬢様を世話してる僕も大変ですよ」
お嬢様「それがあなたの仕事でしょう?」
執事「まぁ、なんだかんだで楽しく仕事させてもらってます」
メイド「…」
執事「お嬢様、なんだか顔が赤いですよ?」
お嬢様「えっ、そ、そんなことないわよ!」
執事「そうですか?熱でもあるんじゃ…」
メイド「執事くん、お嬢様の周りのことは私がやりますので」
執事「そうですね、じゃあ僕はもうさがります」
お嬢様「あ…」
執事「では、おやすみなさいお嬢様」
パタン
執事「さて、見回り見回りっと」
テクテク
執事「この屋敷は無駄に広すぎる…」
テクテク
執事「…ん?お嬢様の部屋に明かりが…」
執事「えい」ガチャ
お嬢様「っだれ!?」
執事「こんばんは」
お嬢様「ななな、なにやってんのよ執事…!」
執事「見回りです、お仕事ですよお仕事」
お嬢様「だからっていきなりドアあけるなんて失礼じゃない…!」
執事「たしかに」
お嬢様「ど、読書よ…」
執事「こんな夜中に本を?」
お嬢様「悪い?」
執事「まあお嬢様がいつ本を読んでいようが構いませんけど」
執事「昨日まではこの時間には寝てたはず」
お嬢様「」ギクッ
執事「へえ…何読んでるんですか?」
お嬢様「え、えーと…」ゴニョゴニョ
執事「どうかしました?」
お嬢様「な、なにを読んでようと私の勝手でしょ!」
執事「僕に言えないようなものなんですね」
お嬢様「違うわよ!」
お嬢様「うぅ…」
執事「さ、早く」
お嬢様「…これ」スッ
執事「…『好きな相手を1週間で落とす方法』?」
お嬢様「…」
執事「なんつーもの読んでるんですかwww」
お嬢様「わ、笑わなくてもいいでしょ!?」
お嬢様「うぅぅ…」
執事「はー、笑った笑った」
お嬢様「最低だわ…」
執事「お嬢様に好きな人がいたとは驚きです」
お嬢様「私だって…こ、恋くらいするわ…」
お嬢様「なんでそんなことあんたに言わなきゃいけないのよ」
執事「まぁいいじゃないですか」
お嬢様「言いたくないわ」
執事「僕に言えないような相手なんですね…!」
お嬢様「そ、そういうわけじゃないけど…」
お嬢様「いや」
執事「いいじゃないですかー僕だって恋バナしたいですー」
お嬢様「恋バナ…?」
執事「恋の話ですよ」
お嬢様「ふーん…」
執事「さっ、早く吐いちゃってください」
お嬢様「い!や!」
執事「お嬢様のケチー」ブー
お嬢様「なにが?」
執事「その相手、1週間で落とさなきゃなんでしょう?」
お嬢様「ま、まぁ…」
執事「恋ってそんな慌ただしいものでしたっけ」
お嬢様「…よくわからないわ」
執事「まさか初恋ですか?」ニヤニヤ
お嬢様「い、いいじゃない別に!」
執事「いいですねー青春ですねー」
お嬢様「冷やかすのなら出てって頂戴」
お嬢様「なんでよ」
執事「僕、恋なんてしたことないので」
お嬢様「え…」
執事「だから、これでも純粋に応援してるんですよ?」
お嬢様「応援…」
執事「僕じゃなんの役にも立たないと思いますけど、よかったら相談とか聞きますよ」
お嬢様「そ、そう…」
執事「はい、なんですか?」
お嬢様「あなたもさっき言っていたけれど、私、婚約しなきゃいけないの」
執事「はい」
お嬢様「お父様がまだ相手を決めていないからいいけれど、決まってしまったら私は恋なんて出来なくなってしまうのよ」
執事「まあ、たしかに」
お嬢様「そうなる前に、一度だけでも、自分が好きになった相手と結ばれてみたいと思ったの」
執事「なるほど」
お嬢様「…可哀想?」
執事「その本のおかげで、あなたと結ばれたとします」
執事「けどあなたはいずれ婚約者と結婚してしまう」
執事「残された相手の方はどうすればいいんです?」
お嬢様「そ、れは…」
執事「まぁ相手がどんな方かは知らないのでなんとも言えませんが」
お嬢様「…あなたは、いや?」
執事「え?」
お嬢様「あなただったら…どうするの?」
執事「僕は"執事"ですから」
お嬢様「…」
お嬢様「……そう、よね」
執事「そうですよー、変な質問しないでください」
お嬢様「そうね…」
執事「…お嬢様?」
お嬢様「もう寝るわ、出ていって」
お嬢様「あと、この本はもう捨てて」
執事「え」
お嬢様「早く出ていきなさい」
執事「あ、はい…おやすみなさい」
お嬢様「…おやすみ」
バタン
執事「……」
執事「…なにかまずいこと言ったかな…」
執事「この本、どうしようか」
執事「…僕が読んで、あとで内容を教えてあげますかね」
執事「おはようございます、お嬢様」
お嬢様「…おはよう」
メイド「お嬢様、なんだか顔色が良くないですよ?」
お嬢様「そうかしら」
メイド「大丈夫ですか?」
お嬢様「平気よ、問題ないわ」
メイド「ならいいですけど…」
執事「大丈夫ですよメイドさん、学校でも僕がちゃーんと見てますから」
メイド「そう、ですね、じゃあお願いします」
執事「はい」
お嬢様「……」
執事「お嬢様、今日はやけに静かですね」
お嬢様「別にいいでしょう」
執事「張り合いがなくてつまらないです」
お嬢様「あなたの楽しみなんて知らないわ」
執事「…なにかまずいこと言っちゃいました?」
お嬢様「…別に」
執事「やっぱり地雷踏んだか」
お嬢様「学校で、余計なこと言わないでよね」
執事「余計なこととは?」
お嬢様「夜中のこととか、婚約のこと」
執事「わかりました」
運転手「到着しました、いってらっしゃいませ」
女「おはよー執事くん」
執事「おはようございます、女さん」
男「おーっす執事」
執事「ああ、おはよう男」
男「お嬢様さんも、おはようございます」
お嬢様「…おはようございます、では」
執事「あ、お嬢様…」
お嬢様「ついてこないで」
執事「…かしこまりました」
「"お嬢様"だからって調子に乗りすぎじゃない?」ヒソヒソ
「執事くんも、あんなのに付き合わされててかわいそー…」ヒソヒソ
男「はーあ、またかよ」
執事「まったく飽きない人たちだ…」
男「まぁお嬢様さんもお嬢様さんだけどな」
男「あーんなツンケンしてたらそりゃあ女子から嫌われるよなぁ」
男「男連中にはモテまくりだけどな」
執事「……」
男「は?」
執事「あんな女たちなんて放っておけばいい、いざとなったら僕がどうにかする」
男「…相変わらずかっけーなぁ執事」
執事「お嬢様を守るのが僕の仕事なんでね」
男「こりゃあ女子たちもお嬢様さんを叩きたくなるってもんだ」
執事「は?」
男「モテる男はつらいねえ」
執事「なんだよ」
男「なんでもねーよ」
執事「お嬢様、今日のお昼はどちらで?」
お嬢様「屋上で食べるわ」
執事「そうですか、では早速準備を」
お嬢様「けっこうよ」
執事「しかし…」
お嬢様「一人で行くわ、ついて来ないで」
執事「…かしこまりました」
男「なにが?」
執事「お嬢様の様子がだよ」
男「そうかー?」
執事「これじゃただの"お嬢様"だ」
男「なに言ってるかわかんねえぞ」
執事「さ、帰りましょうか」
お嬢様「…車は来ないの?」
執事「はい、なんでもタイヤがパンクしてしまったようで」
お嬢様「…そう」スタスタ
執事「ちょっと待ってくださいよお嬢様」
お嬢様「なによ?」
執事「どうしたんですか?なんだか今日、変ですよ」
お嬢様「いつも通りよ」
執事「違いますよ」
お嬢様「しつこいわね、いつも通りって言ってるでしょ!」
お嬢様「あ…」
執事「…失礼しました」
お嬢様「あの…」
執事「帰りましょう、お嬢様」
お嬢様「…」
執事「……」
執事「……本、読むか」
パラッ
『はじめに』
『好きってどんなことでしょう?あなたの好きはどんな好きですか?あなたの好きな相手はどんな人ですか?今のその人との距離は?"仲良くなりたい""付き合いたい""少しでも距離を縮めたい"…そんなあなたの願いを1週間で叶えます。さあ、早速読んでみましょう』
執事「…ほう」
『1日目』
『相手の好みを知りましょう』
『相手の好きな食べ物、音楽、テレビ番組、そして異性のタイプ。これらを知らなくては話になりません。とにかく相手に好きなものを聞いてみましょう。人づてでは意味がありません!あなたから直接聞いてみましょう』
執事「…なるほど」
執事「ちょっと実践してみますか」
執事「…『距離を縮めたい』…お嬢様でいくか」
執事「お嬢様ー」コンコン
お嬢様「なにか用かしら?」
執事「入ってもいいですか?」
お嬢様「…どうぞ」
執事「失礼します」
お嬢様「なにかしら」
執事「お嬢様の好きな食べ物はなんですか?」
お嬢様「…はあ?」
執事「あと、好きな音楽と好きなテレビ番組も」
執事「まあ一応は」
お嬢様「…食べ物は甘いもの、音楽はクラッシック、テレビなんて見ないわ」
執事「なるほど…あ、あともう1つ」
執事「好みの異性のタイプは?」
お嬢様「……」
執事「…えーと」
お嬢様「黙秘」
執事「だめです」
執事「別にいいじゃないですか」
お嬢様「いやよ」
執事「お願いします」
お嬢様「いや」
執事「なぜそんな頑なに嫌がるんですか」
お嬢様「それは…」
執事「いいでしょう、減るものでもありませんし」
お嬢様「…わかったわ」
執事「…なるほど」
執事「お嬢様の好きな方は、お嬢様のことをちゃんと理解されている方なんですね」
お嬢様「…どうかしらね」
執事「?」
お嬢様「理解してくれていると思っていたけれど、そうでもなかったみたい」
執事「え?」
お嬢様「…もういいでしょう、出ていって頂戴」
パタン
執事「どういうことだ…?」
メイド「あ、執事くん」
執事「メイドさん」
メイド「ちょうどよかった、頼みたいことがあるんです」
執事「なんですか?」
メイド「明後日旦那様が帰ってこられるそうなので、旦那様の部屋の掃除をしてもらいたいんですけど」
執事「旦那様、帰ってくるんですか」
メイド「ええ、…多分、婚約者が決まったんだと思います」
執事「そう、ですか」
メイド「じゃあ頼みますね」
執事「やっぱこの部屋は緊張するなあ」
執事「…明後日か」
執事「僕が今日中にあの本を読み終えて、お嬢様に内容を教えて、お嬢様が明日それを実行すれば…間に合うか」
執事「よし…やってやる!」
執事「時間がない…一気に読むか」
『2日目』
『自分のことを知ってもらいましょう』
『昨日相手に質問したことを、今度は自分で話してみましょう。自分のことを知ってもらうことはとても重要です。』
『3日目』
『相手と約束をしましょう』
『どんな約束でも構いませんがデートの約束がベストです。約束は、あなたと相手を繋げる貴重な糸です。』
『4日目』
『素っ気なくしてみましょう』
『突然のことで、相手はきっと驚くでしょう。それでよいのです。相手があなたのことを気にしてくれることが重要です。』
『5日目』
『なにか相談してみましょう』
『どんなことでも構いません。恋愛の悩みなんかだと効果的です。』
『6日目』
『ボディタッチしてみましょう』
『さあ、もうすぐです。今回は少しハードルが高いかもしれません。とにかく相手に触りまくりましょう。ただし、大げさではいけません。あくまで自然に!』
『7日目』
『自分の想いを伝えましょう』
『いよいよ最終日です。思い切り相手に告白しましょう。シンプルで構いません。大袈裟でも構いません。とにかく“好きだ”と相手に伝えましょう!』
執事「お嬢様に教えてあげなくては」
執事「…の前に、まず実践実践」
執事「お嬢様ー!」バァンッ
お嬢様「!?」
執事「お嬢様!聞いてください!」
お嬢様「か、勝手に入ってこないでよ…!」
執事「すみません!とにかく聞いてください!」
お嬢様「な、なにを?」
執事「僕は、カレーが好きです!あとJAZZ!テレビは見ません!」
お嬢様「…は?」
執事「えーと、あと…お嬢様!今度デートしましょう!」
お嬢様「えぇっ!?」
執事「デートですよ、デート!約束です!」
お嬢様「え、な、なんで…」
お嬢様「で、でででデートなんて…!」
執事「あ、そんな大袈裟なことじゃないんで」
お嬢様「え?」
執事「全然大したことじゃないんで、お気になさらず」
お嬢様「え?は?」
執事「あ、じゃ、そういうことで」
パタン
バァン
執事「お嬢様…」
お嬢様「え、なんでまた…!」
執事「お嬢様、相談に乗ってもらえますか…」
お嬢様「は?相談?」
執事「実は僕、守りたい人がいるんです」
お嬢様「え…」
執事「けど、その人は僕から離れていこうとしていて…どうしたらいいんでしょうか?」
お嬢様「守りたい…人…」
執事「お嬢様お嬢様」トントン
お嬢様「な、なによ…」
執事「あれ?なんかちょっと涙目じゃないですか」
お嬢様「そ、そんなわけ…」
執事「どうしたんですか?」ナデナデ
お嬢様「…っ!!」
執事「あ、今度は顔が真っ赤に…まさか熱でも」コツン
お嬢様「っ!!!!!」
執事「ふむ、熱いですね」
お嬢様「だ、大丈夫よ!いいから、離れて…っ」
執事「おっと、失礼しました」パッ
執事「お嬢様!僕はあなたを守りたい!」
お嬢様「な…っ!」
執事「僕はお嬢様のことが好きです」
お嬢様「な、なななななな…」
執事「…というのが、あの本に書いてあったことです」
お嬢様「ななな」
お嬢様「なな……は?」
執事「だから、お嬢様が捨てろと言ったあの本ですよ」
お嬢様「は?!」
執事「いいえ、純粋に応援しているだけです」
お嬢様「だったら…!」
執事「とにかく、急いでくださいお嬢様」
執事「明後日には旦那様が帰ってこられます」
お嬢様「お父様が…?」
執事「きっと婚約者様が決まったのでしょう」
お嬢様「もう、決まったのね…」
執事「だから明日、私がしたことをお嬢様の好きな方にしてください」
お嬢様「…わかったわ」
執事「はい」
執事「まず、相手の好みを知る」
お嬢様「えぇ」
執事「次に、自分の好みを知ってもらう」
お嬢様「えぇ」
執事「次に、なにか約束をする」
お嬢様「えぇ」
執事「で、素っ気なくする」
お嬢様「で?」
執事「次に、なにか相談をする」
お嬢様「なるほどね」
執事「で、ボディタッチをする」
お嬢様「最後は?」
執事「告白です」
執事「いえ、頑張ってくださいお嬢様」
お嬢様「えぇ…早速だけど執事、好きなものは?」
執事「え?」
お嬢様「たしか…カレーとJAZZと言ったかしら」
執事「は、はい」
お嬢様「私の好きなものは…もう言ったからいいわね」
お嬢様「さっき言ってたデート、約束よ」
執事「え?はい…」
お嬢様「じゃ、出ていきなさい」
執事「は?」
お嬢様「出ていけって言ってるの」
執事「は、はい」
バタン
お嬢様「執事、入ってきて!」
執事「は、はい」ガチャ
お嬢様「相談…してもいいかしら?」
執事「どうぞ…」
お嬢様「私ね、好きな人がいるの」
執事「知ってますが」
お嬢様「すごく性格が悪くて、いつも喧嘩してしまうの」
執事「はぁ」
お嬢様「おまけに鈍感だしデリカシーないし」
執事「はぁ…」
お嬢様「けど…私のために必死になってくれる人なの」
お嬢様「えぇ、とっても」スッ
執事「お嬢様…?」
お嬢様「執事…」ギュッ
執事「えっ、お、お嬢様!?」
お嬢様「あなたのことよ、執事」ボソッ
執事「え?な、なにが…」
お嬢様「今言ったこと、全部」
執事「は?…え?」
お嬢様「…」イラッ
執事「…え」
お嬢様「ほんっと鈍感ね!いつもは人の嫌なところばかり突いてくるくせに!」
執事「え、えーと…」
お嬢様「本の効果はあったのかしら?」
執事「…!」
お嬢様「私はあなたが好きよ、…あなたは?」
執事「は、はい…」
お嬢様「なに?」
執事「お嬢様のことが、好きです…」
執事「…は、ははは」
お嬢様「素晴らしい本ね、感動したわ」
執事「まったく同感です、お嬢様」
お嬢様「そういえば、お父様が私の婚約者を見つけたみたいよ」
執事「おや…めでたいですね」
お嬢様「そうかしら?」
執事「…残念ですが、その婚約、なかったことにさせていただきます」
お嬢様「あなたにできるのかしら?」
執事「やってみせますよ、必ず」
お嬢様「…頼んだわよ、執事」
執事「かしこまりました」
お嬢様「お帰りなさい、お父様」
執事「お帰りなさいませ、旦那様」
メイド「お帰りなさいませ」
旦那様「うむ」
お嬢様「お父様にお話しがありますの」
旦那様「なんだね」
執事「お嬢様の婚約の件ですが」
旦那様「婚約?」
執事「申し訳ございませんが、婚約は私が認めません」
旦那様「なにを…」
お嬢様「そういうことなの、お父様」
旦那様「お前たち、なにを言っている」
執事「だから、婚約は…」
旦那様「婚約とは、なんのことだ」
お嬢様「え?」
執事「え?」
旦那様「え?」
旦那様「いや、普通に仕事が一段落ついたから帰ってきただけだが…」
お嬢様「え?」
旦那様「え?」
執事「……メイドさん」
メイド「な、なんですか」プルプル
執事「肩が笑ってますよ」
メイド「うふふ、ごめんなさいお嬢様、執事くん」
メイド「だってー、お嬢様があーんなに悩んでたのに、執事くんたら全然気が付かないんですものー」
お嬢様「なっ」
メイド「お嬢様が可哀想になってきたので、私が一肌脱いだんですよ☆」
メイド「…て、あれ?」
執事「…」
お嬢様「…」
旦那様「…」
旦那様「執事くん!娘を恋人にするとはいい度胸じゃないか!」
執事「い、いや、これはなんというかその」
メイド「え?え?」
旦那様「こうなったら本当に婚約者を連れてくるしか…!」
お嬢様「だ、だめよお父様!」
旦那様「お前がそういうならやめておこう」
執事「軽いな!」
旦那様「なにか言ったか執事くん」
執事「い、いえなにも」ハハハハ
執事「お嬢様ー朝ですよー」コンコン ガチャ
お嬢様「…」スースー
執事「お嬢様ーいい加減起きやがってくださーい」ユッサユッサ
お嬢様「うぅん……」
お嬢様「って執事!?」
執事「おはようございます、お嬢様」
お嬢様「お、おおおはよう…」
執事「さ、早く支度をしてください、遅刻しますよ」
お嬢様「ま、待って!」
お嬢様「そ、その…えっと…」ゴニョゴニョ
執事「早く言ってください」
お嬢様「う、うるさい!…す、好き、って…い、いいなさいよ!」
執事「好きですよ、お嬢様」ニッコリ
お嬢様「っ…!」
執事「さ、早く支度を」
お嬢様「わ、私も好きよ…執事」
執事「はい、お嬢様」
おわり
付き合ってくれてありがとう
そしておやすみすぐおはよう
みんないい夢みろ
Entry ⇒ 2012.05.11 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔法使い「神様ってのは、意地悪だな」マッチョ「うん……」
賢者「火炎竜に有効な魔法は?」
魔法使い「えぇ〜と、“ファイア”……っすかね?」
賢者「バカかね、君は!?」
魔法使い「!」ビクッ
賢者「火炎竜に炎で攻撃してどうするんだい! 餌を与えるようなものだ!」
賢者「まったく……君は魔力を申し分ないが、本当にセンスがないねぇ」
魔法使い「すんません……」
師範「突きを100本、始めっ!」
マッチョ「えぇ〜い」ヒョロッ
マッチョ「やぁ〜」ヒョロッ
師範「なんだそりゃ! オカマか、おまえは!?」
マッチョ「ご、ごめんなさい……」
師範「恵まれたガタイが泣いてっぞ、あァ!?」
マッチョ「うぅっ……ごめんなさい……」シクシク
マッチョ「うん……」
魔法使い「なんで、こういうことするんだろうな」
マッチョ「うん……」
魔法使い「なぁ、探してみるか? 神に抗う方法を」
マッチョ「えっ?」
………
……
…
武術家「ンだよ、これだけかよ! シケてやがんなァ!」
村長「村中からかき集めたのですが、もうお金がなくて……」
武術家「──だとよ? どうするゥ?」
魔術師「ボクたち、キレると何するか分からないんですよねェ」
魔術師「村の人で武術家さんの技を試したり」
魔術師「うっかり炎魔法で、家を焼き払ったりしたくなっちゃうかもしれませんねェ」
村長「や、やめて下され!」
武術家「やめて欲しかったらよォ、態度で示してくれよ、な?」
武術家「俺たちがいるおかげだろうがよ!」
武術家「そうだろォ!? ──なァ?」
魔術師「えぇ、これっぽっちのお金で安全を買おうというのは」
魔術師「いささかムシがよすぎる気がしますねェ」
村長「しかし……もう本当にこの村にはお金がないのです……!」
魔術師「だったら、他の村から奪うなりなんなりすればいいじゃありませんか」
魔術師「村の安全を守るためには何でもするのが、村長ってモノでしょうが」
村長「そ、そんな……」
武術家「え〜と……今日は四本ボトルを空けたのか」
武術家「よぉ〜し、んじゃ四日だけ待ってやる」
武術家「もし四日後までに、俺たちが望む金額を集められなかったら──」
武術家「マジで俺ら何すっか分からねェぞ」
魔術師「えぇ、村が火の海に包まれるかもしれませんねェ」
武術家「ほら、村を守りたいんなら、さっさと金策してこいや」シッシッ
村長(くそっ……コイツらめ……)
村長「……すまん。あんな連中を用心棒として村に引き入れた、ワシの責任じゃ」
青年「村長のせいじゃありませんよ! みんなで決めたことなんですから!」
村人「しかし……どうする?」
村人「この四日間で金を集められなきゃ、この村は終わりだ」
村人「アイツらは本当に村を滅ぼすつもりだろう」
村娘「きっとあの人たち……今までも用心棒を装って村に入り込み──」
村娘「色んな村を食いつぶしてきたのよ……!」
木こり「こうなったら戦おうぜ! やられる前にやれ、だ!」
村長「ムチャをいうでない、殺されるだけじゃ!」
村長「悔しいが、ヤツらが二人とも腕が立つということは紛れもない事実なのじゃ」
村長「村人総出でかかっても、まるで歯が立たんだろう」
村長「ワシに考えがある」
木こり「え?」
村長「まだワシはほんのわずかだが……金を残してある」ジャラ…
村長「この金を持って町へ出て、強い戦士を雇うのじゃ」
村長「そしてこの役目は……村娘、おぬしに託したい」
村長「おそらく女性の方が同情も引けるだろうし……」
村長「頼む、やってくれぬか?」
村娘「…………」
村娘「分かりました……頑張ります!」
魔術師「集会所がざわついてますが、なにやら企んでいるようですねェ」
武術家「ケッ、村を捨てて逃げるか、あるいは俺たちに立ち向かうか」
武術家「相談してやがるんだろうよォ」
武術家「どっちにしろ皆殺しだがな」グビッ
魔術師「もうこの村には金がありそうもないですしねェ」
魔術師「ボクらも、そろそろ他の村に移る時期が来たのかもしれません」
魔術師「──となれば、もうこの村は用済みですねェ」
魔術師「四日後には、村人ごと地図から消えてもらいましょうか」
武術家「よっしゃ、そうと決まれば飲むか!」
武術家「おい、酒が足りねェぞ! ジャンジャン持ってこいや!」ブンッ
パリィン!
マスター「ひっ、ひぃぃぃっ!」
村娘「じゃあ行ってくるね、みんな」
村長「うむ……頼んだぞ。村の命運がかかっておるのじゃ」
青年「すまない、村娘ちゃん。ホントはついてってあげたいんだけど……」
村娘「ううん、アイツらなんだかんだいって村人の反乱を警戒してるから」
村娘「男の人が目の届かないところにいなくなったら刺激しちゃうと思う」
村娘「任せて。私一人でも、必ず強い人を探してくるから!」
青年「くれぐれも気をつけてくれよ」
村娘(町まではおよそ一日かかる……往復で二日……)
村娘(アイツらが定めた期限が、四日後……)
村娘(つまり町に滞在できるのはたった一日……)
村娘(村を救うために、絶対に強い人を見つけてこないと!)
<町>
村娘(初めて来たけど……やっぱり広いなぁ)キョロキョロ
村娘(帰る時間を考えると、この町にいられるのは今日だけ)
村娘(──急がないと!)
村娘はこの町で強い人を探すにはどうすればいいかを、町民たちに尋ねた。
「強い人を探してる? だったら、酒場だろうなぁ」
「そういう話は酒場がいいんじゃないか?」
「う〜ん、酒場かな。もっとも、協力してくれるかは知らないけどよ」
「酒場にゃ、金と戦闘に飢えてるゴロツキがうようよしてるぜ」
「酒場ならあっちだ。でも、やめといた方が……」
ガヤガヤ……
村娘(うわ……村の酒場よりずっと広いや)
村娘(しかもまだ昼間なのに、男の人がいっぱい……)
村娘(ええい、ビビったら負け! 村の運命がかかってるんだから!)
村娘「あ、あのぉ……」
戦士「なんでぇ、テメーは?」
村娘「実は、私の村が悪党に占拠されてまして……退治してくれる人を探してるんです」
戦士「へぇ……で、いくら出せるんだ?」
村娘「予算はこれです……」ジャラ…
戦士「…………」
戦士「他を当たりな!」
村娘「……はい」
村娘(どうしよう……。やっぱりこれじゃ少ないんだ……)
スキンヘッド「よう、姉ちゃん」
村娘「はいっ!?」ビクッ
スキンヘッド「金くれるってんなら、ハナシ聞いてやってもいいぜ」
村娘「え、ありがとうございますっ!」
スキンヘッド「ふうん、悪いヤツがいたもんだなぁ」
村娘「お願いできますでしょうか?」
スキンヘッド「早く金をよこせよ」
村娘「あ、はい」ジャラ…
スキンヘッド「へへへ、サンキュー」パシッ
スキンヘッド「じゃあな」スッ
村娘「!?」
村娘「ちょっと待って下さい! 悪党退治の話は!?」
スキンヘッド「あぁ? ちゃんとハナシは聞いてやっただろ?」
スキンヘッド「いったはずだぜ? 金くれるんなら、ハナシ聞いてやるって」
スキンヘッド「うるせぇっ!」ドンッ
村娘「きゃっ!」
スキンヘッド「そういや、そんな田舎の村の辛気臭いハナシを聞いてやったんだ」
スキンヘッド「おかげで酒がマズくなっちまった」
スキンヘッド「慰謝料が欲しいよなぁ……」ニヤッ
村娘「慰謝料……?」
スキンヘッド「姉ちゃん、体で慰謝料を払ってくれよぉ!」ガシッ
村娘「いやっ! ……やめてっ! ──誰かぁっ!」
「アイツまたやってるぜ」 「あの女の子も可哀想に」 「酒場なんかに来るから……」
マッチョ「やめましょうよ……そういうこと」
スキンヘッド「あぁ? なんだテメェら──」
スキンヘッド「……あ」
スキンヘッド(コイツら……知ってるぞ)
スキンヘッド(魔法とパワーのコンビネーションで、数々の修羅場をくぐり抜けたという)
スキンヘッド(──傭兵兄弟!)
魔法使い「さっさと女の子の手を離して、金を返してやらねぇと──」スッ
スキンヘッド(ゲッ、こんなところで魔法ぶっ放す気か!?)
スキンヘッド「すいませんっ! 許して下さいっ!」ペコペコ
マッチョ「じゃあ、早くお金を返してあげて下さい」
スキンヘッド「はいっ! 悪かったな、姉ちゃん」ジャラ…
村娘「…………」ハァハァ
村娘「ありがとうございました! おかげで助かりました!」
魔法使い「なァに、気にすんなって」
マッチョ「気をつけた方がいいよ、酒場にはああいう人も多いから」
魔法使い「ところでアンタ、なんであんなハゲに絡まれてたんだ?」
魔法使い「少し前から見てたけど、あのハゲに長々となんか話してたし」
村娘「あ、はい実は──」
マッチョ「ひどいことをするなぁ……!」
魔法使い「そいつらはおそらく──“M&M”だな」
村娘「エムアンドエム?」
マッチョ「マーシャルアーティスト(武術家)とマジシャン(魔術師)」
マッチョ「“M&M”の通り名で恐れられた二人組なんだ」
マッチョ「かつては凄腕の傭兵コンビとして大活躍してたけど」
マッチョ「ある仕事で失敗したのをきっかけに信用を失い、姿を消しちゃってたんだ」
魔法使い「まったくどうしようもないヤツらだ」
魔法使い「だが、もし腕が衰えてないとするなら──」
魔法使い「村人はもちろん、この酒場にいる連中でもどうしようもないぜ」
魔法使い「兵隊の小部隊くらいなら楽々返り討ちにするようなヤツらだ」
村娘「そんな……」
村娘「え、だれですか!?」
魔法使い「オイオイ、話の流れで分かるだろ?」
村娘「いえ……全然分からないです。ごめんなさい……」
魔法使い「…………」
魔法使い「俺たち」ボソッ
村娘「あ……!(そういうことだったのか……気づかなかった)」
村娘「や、やっぱりそうだと思ってました!」
魔法使い(ウソつけ……)
マッチョ(うわぁ〜かっこ悪いよ、兄ちゃん)
魔法使い「さて、こっからはビジネスの話だ」
魔法使い「アンタ、いくら出せる?」
村娘「これが精一杯です……」ジャラ…
魔法使い「ふ〜ん、この金額で“M&M”とやり合うってヤツはまずいねぇだろうな」
魔法使い「ハッキリいって、俺でもイヤだ」
村娘(やっぱりダメか……)
魔法使い「ただし、一つ条件を飲んでくれるなら、この依頼を引き受けてもいい」
村娘「えっ、なんですか!?」
魔法使い「アンタ、けっこう可愛いじゃん。俺のモノになってくれ」
魔法使い「俺たちだってこれでもプロだ。報酬に見合わない仕事はしたくない」
魔法使い「アンタの予算じゃ、俺たちを動かすには少し足りない」
魔法使い「……が、アンタが俺のモンになるってんなら、引き受けてやってもいい」
魔法使い「どうする?」
マッチョ「兄ちゃん、そんなの──」
魔法使い「テメェは黙ってろっ!」
魔法使い「──さぁ、どうする?」
村娘「…………」グッ
村娘「……分かりました」
村娘「私、あなたの女になります! だから……村を救って下さい!」
村娘「お願いしますっ!」
魔法使い「商談成立……だな」ニヤッ
魔法使い「おっ、急に強気になったな」
魔法使い「まぁ雇われの身としては、雇い主の質問には答えてやらないとな」
魔法使い「俺たちの魔法と体術にかかりゃ、大抵の敵はペシャンコだぜ」
マッチョ「ペシャンコにはならないよ、兄ちゃん」
魔法使い「例えだ、バカ!」
村娘「つまり、あなたたちも“M&M”のようなコンビってことなんですか?」
魔法使い「……ん、まぁな。でも、少しちがうかもな」
マッチョ「うん、少しちがうね」
村娘「?」
魔法使い「あとはもう、俺たちもプロとして仕事をこなすだけだ」
魔法使い「もう町を出るには中途半端な時間だし、今日のところは宿に泊まろう」
魔法使い「明朝一番に出発ってことで、いいか?」
魔法使い「アンタのいう四日後の期限ってのには間に合うだろ」
村娘「分かりました」
村娘(これで……私はあの魔法使いさんのモノになるんだ)
村娘(いったいどうされるんだろ、どこかに売られたりするのかな……)
村娘(色々悪いこととかされちゃうのかな……)
村娘(怖いよ……!)
村娘(でも、これで村が救われるのなら──!)
村娘(青年君……)ウルッ
村長「こんな時間まで、外で何をやっておる」
青年「…………」
村長「村娘が心配か?」
青年「えぇ、ぼくも町に行ったことがないですし、心配です……」
村長「うむ、しかし今は村娘を信じるしかない」
村長「明後日までに、村娘が強い戦士を連れてくるのを……」
青年「はい……」
青年(村娘ちゃん、とにかく無事に帰ってきてくれ……)
青年(たとえこの村が滅ぶことになっても、君だけは逃がしてみせる!)
武術家「──クソがっ!」
ドガシャァン!
魔術師「どうしましたか?」
武術家「久々に夢を見ちまったんだよ、あの時の夢を……!」
武術家「アイツらさえいなきゃ、俺たちは今でも傭兵でいられたんだ!」
魔術師「奇遇ですね、ボクも同じ夢を見てしまいましたよ」
魔術師「まァ、今はこうやって村々から搾り取って力を蓄える時期です」
魔術師「いずれ、借りを返すチャンスも来るでしょう」
武術家「ああ……ヤツらだけは許さねェ。いつか必ずブッ殺してやる……!」
<町>
魔法使い「さァ〜て、出発するか!」
マッチョ「オッケー、兄ちゃん」
村娘「はいっ!」
魔法使い「お、やけに元気になったじゃんか」
魔法使い「俺のモンになるのがそんなに嬉しいか?」ニヤッ
村娘「そんなんじゃないです……!」
村娘「でも、これであの村の人々がやっと救われると思うと──」
村娘「私がどうなるかなんてのは、些細なことです」
魔法使い「ふぅん、アンタいい女だな。ますます気に入ったぜ」
村娘「でも、あなたたちって不思議な兄弟ですよね」
村娘「魔法使いさんはいかにも大人しそうな魔法使いって感じの外見なのに」
村娘「実際はすごくエネルギッシュな性格ですし……」
村娘「弟さんは体が大きいけれど無口で、とても優しいし……」
マッチョ「優しいだなんて、そんなことないよ……」テレッ
魔法使い「なに顔赤くしてんだよ」
魔法使い「俺なんて黙ってりゃ、いかにもインテリ魔法使いって感じだろうし」
魔法使い「コイツは熊にだって勝てそうなガタイしてるだろ」
村娘「えぇ、まぁ」
魔法使い「弟は普段は虫も殺せないヘタレだが……」
魔法使い「仕事が始まればキッチリ殺れるヤツだからその点は安心してくれ」
村娘「は、はい……」
魔法使い「神様ってのはそういう意地悪をするんだよ」
魔法使い「血を見るのが苦手なヤツに剣の才能を与えたり」
魔法使い「血に飢えてるようなヤツに医者の才能を与えたり」
魔法使い「性質と才能が完璧に合致してるヤツなんざ、めったにいねぇ」
魔法使い「だからこそ“M&M”みたいに才能を悪用してるヤツが、俺は嫌いなんだ」ギリッ
マッチョ「兄ちゃん……」
村娘「私、なにかいっちゃいけないことをいっちゃいましたか? ……ゴメンなさい」
魔法使い「いやなに、気にすんな」
魔法使い「話し込んだせいで歩くペースが少し落ちちまった。ちょっと急ぐぞ」
<集会所>
村長「いよいよ今日じゃ……」
村長「もし村娘が強い戦士を連れて来れなければ……この村は終わりじゃ」
村人「果たして間に合うじゃろうか……」
木こり「もし間に合わなきゃ、その時は戦ってもかまわないですよね?」
村長「ああ、もう好きにするといい」
村長「だが、もう少し時間はあるはず。ギリギリまで村娘を信じるのじゃ」
青年(村娘ちゃん……)
集会所の壁が壊れた。
村長「なんじゃ!?」
木こり「うおっ!?」
村人「うわぁっ!」
青年「壁が!」
パラパラ……
武術家「もろい壁だなァ、オイ。蹴り一発でこのザマだ」
武術家「おやおやおやァ〜……村の男どもが雁首そろえてなにやってんだァ?」
魔術師「村長さん、金は用意できましたか?」
村長(くっ……まさかもう来るとは……!)
村人「わ、うわわっ! やめてくれぇっ!」
武術家「へっへっへ、ほっそい首だぜ。早くしないと折れちまうぞ、オイ」グググ…
村人「く、苦し……!」
村長(村娘は……どうやら間に合いそうもないのう……)
木こり「くっ……いい加減にしろ!」
木こり「おまえらに払う金なんざ、ビタ一文もねぇよ!」ゴトッ
斧を持ち出す木こり。
村長「よ、よさんか!」
木こり「うおりゃあああああっ!」ブオンッ
魔術師が指から放った魔力で、斧が粉々に砕け散った。
木こり「なっ……!」
武術家「オマケだ!」
バギィッ!
武術家の蹴りが、大柄な木こりを数メートル吹っ飛ばした。
木こり「──ぐはァッ!」ドカッ
木こり「あ、あぐぅ……」ズル…
青年(村で一番体力のある木こりさんが、一撃で……!)
村長(やはりこの二人は、ワシらが敵う相手ではなかった……)
魔術師「いやはや、裏切られた気分ですよ」
魔術師「村の安全を守るボクたちに、奉仕する心がないということですから」
武術家「そういうこった!」
武術家「こっちもろくな金もよこさず村を守れ、なんてヤツら許せねェからよ!」
武術家「テメェらみたいな卑劣なヤツは、一人残らずブチ殺してやる!」
村長(もうダメじゃ……!)
武術家「年功序列だ。まずジジィ、テメェからあの世に行けや!」
青年「やめろぉっ!」
ボコッ!
武術家「それでパンチのつもりかァ? パンチってのはこう打つんだよォ!」
ゴガァッ!
青年「ぐあぁ……っ!」ヨロッ
武術家「オラッ、トドメだ! 死ねやァッ!」ブオッ
青年(死──!)
──その時だった。
グオアアアッ!
武術家「──うわっちィ! な、なんだ!?」
青年「うぅ……」ドサッ
巨大な炎が青年と武術家の間を横切り、青年をトドメの一撃から救った。
村長「なにが起こったんじゃ……?」
魔術師「あれは──!」
魔法使い「ヒーロー登場、なんてな」
マッチョ「ふぅ、危ないとこだったね。兄ちゃん」
村娘(あれ、なんで今……? 見間違いだったのかな……?)ハッ
村娘「青年君、大丈夫っ!?」
青年「うぅっ……村娘ちゃん……? よかった、無事に戻って来てくれたんだね」
村娘「うんっ……もう大丈夫だから……!」
魔法使い「……ふん」
魔術師「なぜここに……!?」
魔法使い「久しぶりだな」
魔法使い「少し会わないうちに、ずいぶん落ちぶれちまったじゃねぇか」
武術家「テメェらのせいで、俺たちは……俺たちは……っ!」ギリッ
魔法使い「そう怒るなよ、ブサイクが台無しだぞ」
武術家「ンだと!?」
村娘「えっ、あなたたちアイツらを知ってるの!?」
マッチョ「うん、昔ちょっとね」
魔法使い「なに、本当に下らないことだ」
魔法使い「むろん、俺たちの方が活躍したワケだが」
魔法使い「コイツらときたら、俺たちの手柄を自分のものだといって」
魔法使い「報酬を水増し請求しようとしたんだが──」
魔法使い「他の傭兵の証言とかでそれが全部バレちまってな」
魔法使い「しかも、それがきっかけで過去に依頼金の持ち逃げとかしてたのも色々バレて」
魔法使い「傭兵としての信頼を完全に失っちまった、世界一アホな二人組だよ」
村娘(もっとドラマチックな因縁かと思いきや……予想以上にひどい話だわ……)
武術家「マグレで名を上げた分際でよォ!」
魔術師「あなたたちのおかげで、我々は傭兵としてやっていけなくなりましてねェ」
魔術師「こんな田舎の村で、用心棒をせざるをえなくなったのです」
魔術師「あの時の恨みを忘れたことはありませんよ」
魔法使い「そういうのを逆恨みっつうんだよ、な?」
マッチョ「うん、兄ちゃん」
魔法使い「つーか、おまえら用心棒だったんだ」
魔法使い「どこの山賊かと思っちまったよ。いや、それは山賊に失礼か」
魔法使い「おまえらはただの寄生虫だもんな」
武術家「…………!」ブチッ
魔術師「しかしボクらとしても、あなたがた兄弟とは是非戦いたかった」
魔術師「助っ人を雇うなど、本来は村を焼き払っても足らない裏切りですが」
魔術師「今回ばかりは、村人たちには感謝しなければなりませんねェ」
魔術師「お二人と直接戦ったことはありませんが……戦えば勝つのはボクたちです」
武術家「そういうこった」
武術家「テメェら兄弟も、村の連中も、全部ブッ殺してやる!」
村娘「魔法使いさん……」
村長「ワシらはどうすれば……」
魔法使い「素人どもは下がってな」
魔法使い「なぁに、心配すんな」
魔法使い「俺らとコイツらの力量はほぼ互角……が、すぐ終わる」
村娘「えっ?」
魔法使い「二対二、か」
魔法使い「こういうのはよ、やっぱ分かりやすく」
魔法使い「俺と魔術師、弟と武術家で対決するのがいいんじゃね?」
武術家「ふん、いいぜ」
魔術師「かまいませんよ」
魔法使い「よし、決まりだな」
魔術師「あなたは一直線に魔法使いを狙って下さい」ボソッ
魔術師「速攻で一人を倒せば、ボクたちが数的有利に立てます」ボソッ
武術家「オッケェ……一撃で仕留めてみせるぜ」ボソッ
魔術師「ボクは開始早々マッチョに特大の魔法をぶつけ、弱らせます」ボソッ
魔術師「あの大きい体の通りタフでしょうが、魔法耐性は低いハズ」ボソッ
魔術師「魔法で弱ったところを、二人がかりで一気に倒してしまいましょう」ボソッ
武術家「へへへ、分かったぜ」ボソッ
マッチョ「うん、兄ちゃん」
すると──
ダッ!
武術家(一撃で殴り殺してやるよ、このヒョロヒョロ野郎ォ!)
武術家「オラァァァッ!」
魔法使い「なっ──!」
武術家が魔法使いに襲いかかった。
メキメキィ……
ベキボキベキベキバキ……!
魔法使いの拳が武術家の腹にめり込み、骨と内臓を一気に破壊した。
魔法使い「おまえらのやることなんざ、お見通しなんだよ」
武術家「ごぼぉっ……!?」
武術家(な、なんだこのパンチは……!?)
武術家(この小さな体のどこに、こんなパワーが──!?)
武術家は上空に吹っ飛び、受け身も取れぬまま地面に落下した。
ズドォン!
マッチョなのに魔法が強いってこと?
ゴォォアアッ!
上級炎魔法が、マッチョめがけて飛んでいく。
マッチョ「“プロミネンス”」
グオォォォォアアッ!
しかし、マッチョの手から放たれたさらに大きい炎によって飲み込まれ──
魔術師「へ?」
──魔術師は一瞬にして、地獄の火炎の中に包み込まれた。
魔術師「ぐあああああっ!?」
武術家「がっ! ごほっ、ゲボォッ! ──あ、あ……ががっ……!?」
武術家「どっ……どうし……て……ゴボォッ!」
魔法使い「ハハハ、キツネにバカされたってツラだな」
魔法使い「脇腹ががら空きだったもんで、思いきり入れちまったよ」
魔術師「あ、あがが……あが、が……」プスプス…
魔術師(ど、どういうこと、だ……!?)プスプス…
魔法使い「お、弟よ。おまえも終わったか」
マッチョ「うん、兄ちゃん」
マッチョ「この村に来るまでずっと魔力を練り上げてたから、楽勝だったよ」
村娘(やっぱりだ! 見間違いじゃなかった!)
村娘(最初青年君を助けるために、炎を放ったのはマッチョさんだったんだ!)
魔法使い「お〜お〜、まだ立つか? けっこう根性あるじゃねぇか」
魔法使い「その根性に免じて、タネ明かしをしてやるよ」
武術家「タネ、だとォ……」ゴフッ
魔法使い「まぁ聞いてくれよ。おまえも少し休みたいだろうし」
魔法使い「俺たち兄弟は、神様に意地悪をされていた」
魔法使い『なんで格闘の才能がある俺の体はこんなに小さくて貧弱で──』
魔法使い『こんなに無駄な魔力を宿しちまってるんだ!』
魔法使い『魔法学校の授業なんか、全然ついていけてねぇってのによ!』
マッチョ『ぼくもだよ、兄ちゃん……』
マッチョ『ぼくも本当は魔法の方が面白いし、覚えが早いけど……』
マッチョ『体ばかり大きくなって、魔力は全然増えないんだ……』グスッ
マッチョ『体が大きいから道場に通ったけど、デクノボウってバカにされるし……』シクシク
魔法使い『いくらセンスがあったって、しょせん魔法は魔力、格闘は体力がモノをいう』
魔法使い『魔力がなきゃ強い魔法は撃てねぇし』
魔法使い『武術の世界も、体がしっかりしてなきゃどこかで頭打ちだ』
魔法使い『逆も同じだ。センスがなきゃいくら体力や魔力があったってどうしようもねぇ』
マッチョ『うん……』
魔法使い『なんで、こういうことするんだろうな』
マッチョ『うん……』
魔法使い『なぁ、探してみるか? 神に抗う方法を』
マッチョ『えっ?』
………
……
…
魔法使いは棒切れで、地面に文字を書く。
おれ
格闘センス A
魔法センス E
体力 E
魔力 A
おとうと
格闘センス E
魔法センス A
体力 A
魔力 E
魔法使い「そしてついに見つけたんだ!」
魔法使い「体はそのままに、能力を入れ替えることができる秘術を!」
魔法使い「今俺の小さな体には、弟の熊みてぇなパワーが宿ってるし」
魔法使い「弟はパワーを失ったが、俺が持て余してた膨大な魔力を宿している」
魔法使い「こうして俺たちは、自分の才能に見合う能力を手に入れられた」
魔法使い「適材適所ってヤツだ」
魔法使い「俺たちは、神に抗えたんだ……!」
魔法使い「──とまぁ、タネ明かししてやったけど、少しは回復したか?」
武術家「!」ギクッ
魔法使い「殺し合いってのは、結局は最初の一撃でほとんど決まっちまう」
魔法使い「スポーツじゃねぇんだ、一度大きな差がついたらもう逆転は無理だ」
魔法使い「だが、俺たち兄弟はこの最初の一撃を入れるのが得意なんだ」
魔法使い「俺が魔法タイプ、弟を格闘タイプ、だと思い込んでかかってきたヤツらに」
魔法使い「ズドン! ってやっちまえばいいワケだからな……まさに出オチだな」
魔法使い「もっとも普通に戦っても、おまえらくらいは戦えるがな」
武術家(コイツら……こうやって修羅場をくぐってきたワケか……)
武術家(油断してるところに、あんな一撃喰らわされちゃ一たまりもねェ……!)
武術家(俺は……こんなところで死ぬべき人間じゃないんだ……!)
武術家(死にたくない……!)
武術家「な、なぁ……俺を手下に、してくれないか……?」ゴホッ
武術家「た、頼むよ……! きっと、役に立てるぜ……?」
魔法使い「おまえとしても、俺みたいな華奢なヤツにやられたなんてのはイヤだろうしな」
武術家「ああ! だから……アンタたちの下で汚名を返上するチャンスを──」
魔法使い「弟よ、コイツのトドメは譲るよ」
魔法使い「コイツ、俺に倒されたくないみたいだからよ」
武術家「えっ!?」
マッチョ「うん、兄ちゃん」
武術家「ま、待っ──!」
マッチョ「“ウインドカッター”」ビュオン
武術家「やだぁぁぁぁっ!」
ズバシュッ!
マッチョが放った風の刃で、武術家の首と胴体が離れた。
魔術師「ぐぅ……っ!」
魔術師(くそっ……全身大火傷で、体が動かん……! 魔力も練れない……!)
魔法使い「こんがり焼けちゃってるな〜……ミディアムってとこか」
魔法使い「魔術師は、やっぱ魔法使いの格好しているヤツにやられたいだろ?」
魔術師「ひぃっ! 動けぬ相手を……攻撃するの、ですか!?」
魔法使い「戦えぬ村人たちを脅すよりは、多少マシだと思うぜ?」ニヤッ
魔術師「!」ビクッ
ゴキッ!
魔法使いは魔術師の首を折り曲げた。
魔法使い「バカどもが……」
魔法使い「生まれつき、恵まれたセンスとそれに見合う能力を持ちながら」
魔法使い「クソみたいな人間に落ちぶれやがって……」
マッチョ(兄ちゃん……)
魔法使い『ああヤツら、俺が肉弾戦を始めた時、メチャクチャ驚いてたぜ』
魔法使い『俺とおまえの能力を入れ替えて、大成功だったな!』
魔法使い『ハハハハハ』
魔法使い『ハ……ハハ……ハ……』
ガンッ!
魔法使い『クソッ!』
魔法使い『こんな不意打ちみたいな戦法で、なに満足してんだ俺はっ!』
魔法使い『俺は神に抗ったんじゃねぇ……逃げたんだ!』
魔法使い『生まれ持った体と才能でやってく自信がないから……逃げたんだ!』
魔法使い『おまえを巻き込んで……逃げたんだ……』
魔法使い『あの秘術は、一度やったらもう元には戻せねぇ……』
魔法使い『ちくしょうっ……!』ギリッ
マッチョ『兄ちゃん……』
村長「ありがとうございました!」
村長「あなたたちのおかげで、村は救われました……!」
魔法使い「なに、いいってことよ」
マッチョ「アイツらがここまでのさばったのは、ぼくらが原因でもあるしね」
村娘「ところで私は……」
魔法使い「ん、ああ、これでおまえは俺のモンになった」
魔法使い「町で見た時、アンタはまさに俺の好みだったからな」
村娘「…………」
魔法使い「だから、いらねえ。もう好きにしなよ」
村娘「えっ……」
魔法使い「おまえみたいな田舎娘は、あの野暮ったい兄ちゃんがお似合いだよ」
魔法使い「これもまた、一つの適材適所だな」
村娘(魔法使いさん……)
魔法使い「あ、あと俺らって忘れ物しやすいタイプだけど、別に届けなくていいぜ」
村娘「忘れ物?」
村長「これは……あの二人に渡すハズの報酬では──」
魔法使い(ゲッ!?)
魔法使い「逃げるぞ!」ダッ
マッチョ「え!? ……あ、うん!」ダッ
駆け出す魔法使いとマッチョ。
木こり「あ、逃げちまった!」
村長「そうか……報酬はいらないということか……」
村娘「あ、ありがとうございますっ! 魔法使いさん、マッチョさん!」
青年「ありがとうございましたっ!」
次々と村民たちが二人に叫ぶ。
「ありがとう!」 「どうもありがとうっ!」 「また来てくれよっ!」
スタタタタ……
魔法使い「くっそ〜、俺たちがいなくなった後でだれかが金貨袋を発見して」
魔法使い「“貧しい村のために報酬を取らないなんて、なんてステキな人たちだ”」
魔法使い「──ってなる予定だったのに……」
魔法使い「恥ずかしすぎる……! ダサすぎる……!」
マッチョ「兄ちゃんはそんなキザなマネができるほど、器用じゃないもんね」
マッチョ「最初から素直に金も村娘さんはいらないっていっておいた方がよかったね」
マッチョ「やっぱり人間、能力に見合わないことはしちゃいけないね」クスッ
魔法使い「うるせぇっ!」
<END>
乙
ちょっと考えさせられた
Entry ⇒ 2012.05.09 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
女賢者「さ、おしおきを始めよっか」少年賢者「やめてぇ……っ!」
女賢者「史上最年少じゃないんですか? そんな歳で賢者だなんて……」
商人「えぇ、ですが一つ問題がありまして」
女賢者「問題?」
商人「能力はあるのですが、これでは賢者となった意味がありません」
商人「なので、一つお灸をすえていただきたいと思いまして……」
商人「──で、やはりこういうのは女性の方がいいのかなぁ、と……」
女賢者「分かりました」
女賢者「商人さんには私の魔法道具をたくさん扱ってもらってますし……」
女賢者「息子さんの教育、引き受けましょう」
商人「ありがとうございます!」
魔法道具の精製や学校の講師などで、生計を立てているという。
女賢者「──ここね」
女賢者(大きい家……。きっと魔法を実験するスペースとかもあるんだろうなぁ)
女賢者(子供のくせに……まったくもって羨ましい)
女賢者「こんにちはぁ〜」
シ〜ン……
女賢者「こんにちはぁ〜」
シ〜ン……
女賢者「…………」
女賢者(どこかに出かけてるのかな?)
女賢者(えぇとドアは──)
ガチャッ
女賢者(開いてる)
女賢者(いいや、勝手に入っちゃお)
女賢者「おジャマしま〜す」
女賢者「あ、いたいた」
女賢者(なんだ、案外可愛い顔してるじゃない)
女賢者「こんにちは」
少年賢者「…………」チラッ
女賢者「あのぉ……」
少年賢者「ねぇ」
女賢者「え?」
少年賢者「お姉さんも服装から判断すると賢者のようだけど」
少年賢者「他人の家に勝手に入るような非常識さで、よく賢者を名乗れるね」
女賢者「あ……」
女賢者「ゴメンね、ハハ……」
少年賢者「へぇ、返事がなかったら入るんだ」
少年賢者「悪気がない分、泥棒よりタチが悪いね」
女賢者「……面目ないです」
少年賢者「で、なんの用?」
少年賢者「おそらくボクが休みだって知ってて来たんだろうけど」
少年賢者「ご覧の通り、ボク忙しいんだよね」
少年賢者「ヒマそうなあなたとちがって、休日も魔法の研究に余念がないからさ」
女賢者(うぅむ、聞きしに勝るナマイキっぷりね)
女賢者「あなた、近所の学校で魔法を教えてるでしょ?」
少年賢者「うん」
女賢者「同じくらいの年齢の子たちにも、ずいぶん厳しいみたいじゃない」
女賢者「ついていけない子もずいぶん出てるみたいよ?」
少年賢者「厳しいことのどこがいけないの?」
少年賢者「甘やかす方が百害あって一利なし、だよ」
少年賢者「魔法なんて、しょせん才能の世界だしね」
少年賢者「ボクの授業についてこられず魔法が使えなくても」
少年賢者「別に生きていけないワケじゃないし」
少年賢者「無理に足並み揃えさせる方が、非効率的だよ」
女賢者「先輩の魔法使いたちにも、ずいぶん高圧的に接してるらしいじゃないの?」
女賢者「あなたの才能は認めるけど、年上を敬うってことも大切だよ?」
少年賢者「……やれやれ」フゥ…
女賢者(ため息つかれた!)
少年賢者「年功序列ってヤツ?」
少年賢者「無能な人ほど好むんだよね、そういうの」
少年賢者「なんでボクより劣ってる人に、ヘコヘコしないといけないんだよ」
女賢者「どんな相手にも余裕を持って、優しく接することができるものだよ」
少年賢者「賢者になる必要要件にそんなものなかったけど?」
少年賢者「回復、補助、攻撃魔法の全てを一定のレベル以上で扱えて──」
少年賢者「筆記試験と実技試験をクリアすれば賢者を名乗っていいはずだけど」
少年賢者「どんな相手にも優しく接せられるってだけで賢者になれるなら」
少年賢者「きっと魔法学のレベルはガタ落ちするだろうね」
女賢者「むぅ……」
女賢者(さっきは私に“非常識なくせに賢者なんだ”っていったくせに……!)
少年賢者「お姉さん」
少年賢者「さっきもいったよね?」
少年賢者「ボク忙しいんだよ。お姉さんとちがって」
少年賢者「無駄話がしたいだけなら、さっさと帰ってくれない?」
少年賢者「ジャマなんだよね、ハッキリいって」
女賢者「…………」
少年賢者「?」
女賢者「君は、ホントに自分が一番だと思ってるんだね」
少年賢者「さすがにそれはないよ」
少年賢者「ボクにだって尊敬する賢者や大魔法使いくらいいるよ」
少年賢者「もちろん、将来は彼らを超えるつもりでいるけどね」
女賢者「じゃあ私と君なら、どっちが上だと思う?」
少年賢者「…………」
女賢者「いいよ、正直にいって」
少年賢者「ボク」
少年賢者「少なくとも、お姉さんには負ける気がしないね」
少年賢者「!」
女賢者「じゃあ、勝負してみる?」
少年賢者「勝負って……どうやって?」
少年賢者「魔法道具の精製で? 魔法学の知識で? 扱える魔法の種類で?」
女賢者「ううん、もっと分かりやすい方法があるじゃない」
少年賢者「?」
女賢者「戦うんだよ。私と君で」
少年賢者「!」
少年賢者「それに何回もいってるけど、ボク忙しい──」
女賢者「怖いんだ?」
少年賢者「!」カチン
女賢者「史上最年少で賢者になるほどの才能の持ち主である君が」
女賢者「賢者としてはせいぜい中の上くらいの私を恐れてるんだ?」
少年賢者「だ、だれがっ!」
少年賢者「いいよ、やってあげるよ!」
少年賢者「その代わり、怪我しても知らないからね!」
女賢者(ふふっ……案外可愛いとこもあるじゃない)
少年賢者「向こうに魔法の実験室がある」
少年賢者「広いし、魔法を吸収する壁でできてるから、ボクらが戦うには持ってこいだ」
女賢者「へぇ〜」
女賢者「それにしてもこんなに大きい家、よく建てられたね」
少年賢者「ボクのお父さん、けっこう儲けてる商人だからね」
少年賢者「一人暮らししたいっていったら、お父さんが建ててくれたんだよ」
少年賢者「お父さんは才能がなくて賢者になれなかった人だから」
少年賢者「ボクに夢を託してるつもりなんだろうね」
少年賢者「可哀想な人だよ、まったく」
女賢者「ふぅ〜ん」
女賢者「おぉ、けっこう広いねぇ」
女賢者(これなら多少魔法を撃ち合っても、まったく問題はないね)
少年賢者「なにを物珍しそうに見てるのさ。みっともない」
少年賢者「いったろう? ボクは忙しいんだって」
少年賢者「さっそく始めようか」シュウウ…
女賢者「せっかちは、女の子に嫌われるよ」シュウウ…
魔力を開放し、二人とも臨戦態勢に入る。
女賢者(まだ子供のくせに、私より魔力は完全に上だよ)
女賢者(これはちょっとマズイかも……)
少年賢者(ふん、偉そうなこといったわりに大した魔力じゃないじゃん)
少年賢者(魔法ってのは、結局は才能なんだよ)
少年賢者(悪いけど、すぐ終わらせてもらうよ、お姉さん)
女賢者「!」
ガチャッ!
女賢者の胸に、巨大な鍵が差し込まれた。
この魔法を受けてしまうと、術者が鍵を抜くまで動けなくなってしまう。
女賢者(おおっ、停止系呪文でもかなり高度な部類なのに……さすがだね)
少年賢者「さ、これでもうお姉さんは動けないよ」
少年賢者「さっさと降参して、家から出てってもらおうか」
女賢者「……くすっ」
パキィィン!
女賢者の胸に刺さった鍵が、砕け散った。
女賢者「ふふっ、失敗しちゃったんじゃない?」
女賢者「まぁいくら才能があるといっても、まだ子供だもんね。しょうがないよ」
女賢者「ドンマイ♪」
少年賢者「──くっ!」
少年賢者『施錠(ロック)!』
ガチャッ!
女賢者「ふふっ」
パキィィン!
少年賢者「!?」
ガチャッ! パキィィン!
少年賢者『施錠(ロック)!』
ガチャッ! パキィィン!
少年賢者『施錠(ロック)!』
ガチャッ! パキィィン!
少年賢者(おかしい! こんなことありえない!)
女賢者「ふんふ〜ん」チラッ
少年賢者(あ、あの腕輪は!?)
少年賢者(アレをつけてれば、大抵の補助呪文は無効化できる!)
少年賢者(どうりで効かないワケだ……!)
少年賢者「ずるいよっ!」
女賢者「え、なにが?」
少年賢者「その腕輪だよ!」
少年賢者「呪い封じの腕輪をつけて、魔法勝負を挑むなんて!」
女賢者「どうしてずるいの?」
少年賢者「だ、だって──」
女賢者「魔法勝負を挑まれた時点で、敵にこれくらいの準備があることくらい」
女賢者「想定するのがフツーじゃない?」
少年賢者「!」
女賢者「まさか、ずるいなんて言葉が出てくるとは思わなかったよ」
女賢者「ま、でも賢者とはいうけど、別に賢くなくてもなれるからね」
女賢者「あくまで定められた試験をパスすればいいんだもんね?」
少年賢者「くぅっ……!」
女賢者「さっきの『施錠(ロック)』連発でだいぶ魔力を消費しちゃったでしょ」
女賢者「今ならお姉さんにごめんなさいすれば、許してあげるよ?」
少年賢者「だ、だれが!」
少年賢者「勝負はこれからだよっ!」
女賢者(あらあら、可愛いなぁ)
少年賢者「怪我しても知らないって!」
少年賢者「…………」ブツブツ
少年賢者『炎呪文(ファイア)!』
ボウッ!
女賢者(おおっ、けっこう大きい炎を出すじゃない)
少年賢者「あ〜あ、まともに喰らったね」
少年賢者「ま、安心してよ。出力は抑えたし、すぐ回復してあげるからさ」
少年賢者「やっぱり魔法は才能──」
女賢者「ふふっ……」
少年賢者「え」ビクッ
シュウウウ……
女賢者は無傷だった。
女賢者「君の実力は、こんなものなのかな?」
少年賢者(な……なんで……?)
少年賢者(いや……そんな様子はない……)
少年賢者(いったいどうして──!)
女賢者「どうしたの? やけに汗をかいてるけど」
女賢者「お姉さんが怖い?」
少年賢者「……あ」ギクッ
少年賢者「じ、自分の呪文が熱かっただけだよっ!」
少年賢者「今度はもっとすごい呪文でやるからね!」
女賢者(ふふっ、分かりやすい子だね)
少年賢者『土呪文(クレイ)!』
少年賢者『雷呪文(サンダー)!』
少年賢者『水呪文(ウォーター)!』
少年賢者『風呪文(ウインド)!』
………
……
…
次々に魔法を繰り出す少年賢者。
しかし、女賢者に傷一つ負わせることはできなかった。
女賢者「怪我しても知らない、だっけ?」
女賢者「早く怪我させて欲しいなぁ〜」クスクス
少年賢者(ど、どうして……?)ハァハァ
少年賢者(どうしてなの……!?)ハァハァ
女賢者(お、ようやく魔力が切れてきたみたいだね)
女賢者(まだ子供なのにこれだけ魔法を連発できるなんて)
女賢者(大したもんだよ、まったく)
女賢者「どうしたの? 息が上がってるけど、もうごめんなさいする?」
少年賢者「うぅ……」
魔法を放つ時には、呪文の詠唱や身振りが必要となるが、
熟練した魔法使いであれば相手にどんな魔法を使うかを悟らせない。
しかし、経験の浅い少年賢者は基本に忠実な魔法の撃ち方をしているので、
見る人が見ればなんの魔法を使うかがバレバレなのである。
女賢者は少年賢者が放つ魔法を、相性のよい属性の魔法で相殺していた。
ようするに、後出しジャンケンをしていたのだ。
相性がよければ威力は低めでも相殺は可能なので、
女賢者の魔力消費量は少年賢者より遥かに少なくて済む。
少年賢者(負けたくない! 絶対に降参なんかしない! こうなったら──)
少年賢者(多少の小細工は吹き飛ばす、大きい魔法で一気にケリをつけるしかない!)
女賢者(だいぶ焦ってるみたいね)
女賢者(さてと、そろそろ勝負に出てくる頃かな)
女賢者(タイミングがシビアだから、ミスらないようにしないと)
少年賢者「…………」ブツブツ
少年賢者『爆発呪(エクスプロージョ──!』ズオッ
女賢者『空気呪文(エアー)』ボシュッ
爆発が起こる寸前、空気の塊が少年賢者にぶつかった。
ガンッ!
少年賢者「あうっ!」
女賢者「残念だったね」
女賢者「発動する瞬間に、私が君に魔法をぶつけたから」
女賢者「不発になっちゃったみたいだね」
女賢者「しかも君は、不発だったのに魔力を消費してしまったみたい」クスッ
女賢者「『空気魔法(エアー)』は最下級魔法だけど」
女賢者「ノータイムで撃てるから、魔法の詠唱をジャマするのには持ってこいなんだよね」
女賢者「いい勉強になったでしょ?」
少年賢者「あ……あぁ……」ハァハァ
少年賢者(でもこの家からテレポートするくらいの魔力はある!)
少年賢者(悔しいけど……逃げよう!)
少年賢者(降参するくらいなら、逃げた方がマシだ!)
女賢者『吸収呪文(ドレイン)』
ズオッ!
少年賢者「あ」
これで、少年賢者の残り魔力は完全にゼロになった。
女賢者「あれ、あまり吸収できなかったなぁ」
女賢者「私の魔法が失敗したのか、それとも──」
女賢者「君の魔力がもう底をついたからなのか……」チラッ
少年賢者「ボ、ボクの魔力はまだまだ残ってるよっ!」ハァハァ
少年賢者「降参するなら……い、今のうちだよっ……!」ハァハァ
女賢者(ウソがヘタだなぁ)クスッ
女賢者「私じゃ君には敵わないのかもしれない……」
少年賢者「そうだよ、だからもう帰ってよ! 見逃してあげるから!」ハァハァ
女賢者「いえ……たとえ勝てなくても私は最後まで頑張るよ」
女賢者「君だって、けっこう魔力を消費してるハズだしね」
少年賢者「!」ギクッ
女賢者「君の防御呪文がどれほどのものか知りたいから──」
女賢者「今度は私から攻撃させてもらうね?」
少年賢者「や……やめ……!」ハァハァ
少年賢者「え、あ……」ハァハァ
女賢者「魔力はまだまだあるんでしょ?」ザッ
少年賢者「ひっ……!」ビクッ
女賢者「あれ、どうして後ずさりするの? 私が怖い?」
少年賢者「こ……怖くないよっ!」
女賢者(さてと、そろそろ仕上げといくか)
ビシッ!
少年賢者(う、動けない……!)
少年賢者(この程度の呪縛、少しでも魔力が残ってたらハネのけられるのに!)
少年賢者(うぅ……っ! ちくしょう……っ!)
女賢者「まだ、参ったする気はないの?」
少年賢者「──だれがっ!」
女賢者「そりゃそうだよね。だってまだ魔力は残ってるんだもんね」
女賢者「きっと私にも花を持たせようと、呪縛にかかったフリをしてくれてるんだよね」
女賢者「演技がうまいなぁ、上手上手」パチパチ
少年賢者「う……うぅっ……」
女賢者「本当に降参する気はないワケね?」
少年賢者「しつこいな……! ないよっ!」
女賢者「了解」
女賢者「じゃあこれ以降は、君がどんなに頼んでも私は攻撃をやめないからね」
女賢者「魔力すっからかんの坊や?」
少年賢者「!」
少年賢者「卑怯だぞっ!」
女賢者「どこが卑怯なの? 君が勝手に使いきっただけじゃない」
女賢者「これだけ降参するチャンスもあげたのに」
少年賢者「で、でも──!」
女賢者「ま、どうでもいいけどね。君はもう動けないワケだし」
女賢者「魔力が尽きた賢者なんて、下手すりゃ普通の人より弱いもん」クスッ
少年賢者「や、やめ……」
女賢者「さ、おしおきを始めよっか」
少年賢者「やめてぇ……っ!」
女賢者の手が、微量の電気を帯びる。
少年賢者「なにをする気!?」
女賢者「これで、君の体の色んなところに触れてあげる」クスクス
女賢者「どうなるかなぁ〜?」
少年賢者「やだぁっ……!」
バチバチバチバチ……
少年賢者「ああぁう、あぁぁぁっ!」
バチバチバチバチ……
少年賢者「あ、あ、あ、ううぅっ……シビれるよぉ……っ!」
バチバチバチバチ……
少年賢者「うあぁぁぁぁぁっ!」
少年賢者「あ……あぅ……うぅぅ……」ハァハァ
少年賢者「あぅぅ……」ガクッ
女賢者「ふふ、だいぶ効いたみたいだね」
女賢者「どう? お姉さんの方が強かったでしょ?」
女賢者(やったことは、ただの電気でのツボ刺激だけどね)
女賢者(むしろ健康にしてあげたくらいだよ)
少年賢者「こんなの……認めない!」
少年賢者「ボクは……ボクは、負けてない……!」グスッ
女賢者(驚いたな、スゴイ精神力だねぇ)
女賢者(ナマイキもここまで来ると、無理に直さない方がいいかもしれないけど……)
女賢者(これも依頼だからね……ゴメンね)
ボゥ……
女賢者は右手に巨大な球を作り出した。
少年賢者「!」
女賢者「なんの変哲もない魔力のボール」
女賢者「これを今から君にぶつける」
女賢者「魔力がなく動けない君がこれを喰らったら、どうなるかは分かるよね?」
少年賢者「あ、あぁ、あ……」ドクンドクン
女賢者「少しは心を入れ替えるのなら、助けてあげようと思ったけど」
女賢者「どうやら君の心は直りそうもないからね」
女賢者「さよなら……坊や」
女賢者の冷たい目が、少年賢者を射抜いた。
女賢者「?」
少年賢者「ごめん、なさい……」ヒック
女賢者「!」
少年賢者「ボクの、負け、です……」ポロポロ
少年賢者「ごめん、なさい……」ポロポロ
少年賢者「だから、殺さないで……下さい……」グスッ
女賢者「…………」
女賢者は少年賢者の呪縛を解いた。
少年賢者「!」
女賢者「こっちこそ、ゴメンね」
少年賢者「え……?」
女賢者「やりすぎちゃったね。でもいい勉強にはなったでしょ?」
少年賢者「ボクを……ころさないの?」グスッ
女賢者「最初からそんなつもりはないって。ほら、私につかまって」
少年賢者「うぅっ……!」ギュッ
女賢者「あらあら、甘えんぼさんだね」
女賢者「ほぉ〜ら」ギュウッ
女賢者(こ、この生温かい、湿った感触は……まさか……!)
女賢者「ねぇ、君もしかして──」
少年賢者「少し、出ちゃった……怖くて……」ポロッ
女賢者「ほらほら、いちいち泣かないの! 大丈夫だから!」
女賢者「とりあえず、先にお風呂だね! うん!」
女賢者(やりすぎたなぁ……ホントにゴメンね……)
女賢者「ほら、前も洗ってあげる」ゴシゴシ
少年賢者「ま、前は、いいよ」
女賢者「子供が恥ずかしがるんじゃないの、ほらっ」ゴシゴシ
少年賢者「あぅぅ……」
少年賢者「あっ……」ピクン
女賢者「あ、ちょっと力が強かった? ゴメンね」ゴシゴシ
少年賢者「お姉さん……今日のことは誰にもいわないで……」
少年賢者「お願い……!」
少年賢者「ありがとう」ホッ
女賢者(もしこれがバレたら──)ゴシゴシ
女賢者(子供をそこまで追い詰めたってことで、私の方がヤバイことになるよ)ゴシゴシ
少年賢者「お姉さん……」
女賢者「ん?」ゴシゴシ
少年賢者「お姉さんのおっぱい、お母さんよりおっきい……」
女賢者(マセてるなぁ)ゴシゴシ
グビグビ……
女賢者「ふぅ〜、風呂上がりの魔力ドリンクは最高だね!」
少年賢者(お姉さん、おっさん臭い……)
女賢者「君も早く飲んじゃいなよ。魔力すっからかんなんだから」
少年賢者「う、うん……」チビチビ
女賢者「君の才能は、私よりずっと上だよ」
女賢者「もし一年後、また勝負したらもう私は勝てないだろうね」
女賢者「でも、魔法は才能だけじゃなく、経験や策略も重要だって分かったでしょ?」
少年賢者「うん……」チビチビ
女賢者「君も案外素直なところあるんじゃない」
女賢者「まだ子供なんだから、下手に大人に食い下がるより」
女賢者「子供という特権を利用して、甘えたりした方が利口だよ?」
女賢者「自分より劣ってる人になんで、って気持ちは私も分からないでもないけどさ」
少年賢者「…………」
少年賢者「……戻れなくなってたんだ」
女賢者「え?」
少年賢者「ボクに魔法の才能があるって分かった時はすごく喜んでた」
少年賢者「だからボクも期待に応えようと一生懸命勉強して、賢者になった」
少年賢者「でも、そこからは地獄だった……」
少年賢者「みんなに賢者様って崇められて、すごく苦しかった」
少年賢者「ボクはたしかに魔法の才能があるのかもしれない」
少年賢者「でも逆にいえばそれしか取り柄がないんだ……」
少年賢者「ホントはボク、一人暮らしなんかしたくなかった」
少年賢者「一人暮らししたいっていったら、引き止めてくれると思ったんだ」
少年賢者「賢者になったとはいえおまえはまだ子供だろう、って……」
少年賢者「でも、お父さんはすごく喜んで、こんな立派な家まで建ててくれて……」
少年賢者「もう、後に引けなくなってしまっていた」
少年賢者「自分の中にある弱い部分は、全て隠してしまおうと決心した」
少年賢者「だからボクは──」ウルッ
少年賢者「ボクは……」ポロッ
少年賢者「!」
女賢者「君と私は同業者。つまりライバルともいえるワケだけど──」
女賢者「とりあえず、今は甘えさせてあげる。大サービスだよ」
少年賢者「うん……」ギュッ
少年賢者(あ……柔らかくて気持ちいい……)
少年賢者(お姉さんの心臓の音が聞こえる……)
少年賢者(トクントクン、って優しい音……)
女賢者「よしよし、いい子だね」ナデナデ
少年賢者「あ、もっと撫でて」
女賢者「はいはい」ナデナデ
女賢者「私も君のお父さんは知ってるから、力になれると思うよ」
女賢者「なんだったら、また一緒に暮らせるようにしてあげてもいいし」
少年賢者「……ううん。ボクはここで暮らすよ」
少年賢者「せっかくお父さんが建ててくれたんだもん」
女賢者「そっか……。まぁこの辺りは治安はいいけど、悪いヤツにだけは気をつけなよ」
少年賢者「うん」コクッ
少年賢者「それに、お姉さんに色々しゃべったおかげでなんか楽になったよ」
少年賢者「ありがと、お姉さん」
女賢者「…………」キュン
少年賢者「う、うん」シュン
女賢者「そんなにガッカリしないの」
女賢者「また時々遊びに来てあげるから」
少年賢者「うんっ!」
少年賢者「ま、また……一緒にお風呂入ったり……ギュッとしたりしてくれる?」
女賢者「ふふっ、気持ちよかった?」
少年賢者「いや、そういうワケじゃ……」モジモジ
女賢者「いいよ。あれくらい、いつでもやってあげるよ」
少年賢者「……ありがとう!」
女賢者「じゃあまたね、未来の大賢者君」
少年賢者「うん、またね! お姉さん!」
商人「おお、女賢者様」
商人「息子は……どうでしたかな? やはり苦労されたのでは……」
女賢者「これからも時々様子を見るつもりですが、多分もう大丈夫だと思います」
商人「おお! よかった……」
商人「これで私もあの子を賢者にした甲斐があるというものです」
商人「人々に慕われるような賢者になってもらわないと……」
商人「どうも息子は大人びすぎていて、少し心配だったのですよ」
商人「はい?」
女賢者「あの子はまだ子供ですよ」
女賢者「たしかに魔力や知識はもう大人並、いえ大人以上ですが──」
女賢者「まだまだ甘えたいんです。だれかに頼りたいんです。助けてもらいたいんです」
女賢者「商人さんがお忙しいことは重々承知しておりますが、時々でいいんです」
女賢者「たった一人で賢者として頑張ってる息子さんに、会ってあげて下さい」
女賢者「甘えさせてあげて下さい」
女賢者「お願いします……」
商人「たしかに私も妻も、あの子を立派な賢者にすることだけを考えて」
商人「親としての愛情、というものはほとんど注げていなかったような気がいたします」
女賢者「……えぇ」
女賢者「それに気づいていただけたのであれば、まだ間に合います」
女賢者「彼にたっぷり愛情を注いであげて下さい」
女賢者「そうすれば──」
女賢者「きっと彼は歴史に残るような、素晴らしい賢者になれると思います」
商人「はい……!」
商人「やはりあなたにお願いしたのは、正しかったようです」
商人「ありがとうございました、女賢者様」
女賢者は再び少年賢者の家を訪れた。
女賢者「こんにちはぁ〜」
少年賢者「あっ、お姉さん!」ダッ
少年賢者「時々来るっていっておいて、全然来なかったじゃないか!」
女賢者「ゴメンゴメン。でも、しっかりやってるみたいじゃない」
女賢者「このわずかな期間で、ずいぶん評判もよくなってるみたいだし」
少年賢者「うん、ボクもう強がるのは止めにしたんだ」
少年賢者「今までの分を取り返すためにも、もっとすごい賢者にならないとね」
少年賢者「それについこの前、お父さんとお母さんと遊園地に行ったんだ!」
少年賢者「楽しかったぁ〜」
女賢者(よかった……商人さんもちゃんとやってくれてるみたい)
少年賢者「どうだった、お姉さん?」
女賢者(すごい……!)
女賢者(心の枷が外れたからなのか、二週間前よりずっとレベルアップしてる!)
少年賢者「あんまり、よくなかった……?」チラッ
女賢者「…………」ハッ
女賢者「ううん、スゴイよ。私もうかうかしてられないな」
少年賢者「へへ、これもお姉さんのおかげだよ」
女賢者「ったく、しょうがない子ね」ナデナデ
少年賢者「ありがと」
少年賢者「ボクね、もう少し大きくなったらお姉さんに──」
女賢者「え、なに?」
少年賢者「あっ! ううん、なんでもない」
少年賢者「せっかくだから、なんかして遊ぼうよ」
女賢者「うん。じゃあボードゲームでもやろうか?」
少年賢者「やろうやろう!」
この少年賢者は、後に若き天才として頭角を現し、
やがて世界的な偉業をいくつも成し遂げる大賢者へと成長する。
そんな彼が伴侶としたのは、彼よりも少し年上の女性であった。
その女性はいつも大賢者の傍らで彼を支え、優しい微笑みを浮かべていた。
大賢者は人々から功績を称えられると、決まって
「妻がいたから、今の私があるんです」と笑ったという。
おわり
濡れ場は?
エロがあったら俺はここにホモ画像をたくさん張り付けていただろう
凶悪すぎワロタ
Entry ⇒ 2012.05.05 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
不良「俺たちが」秀才「事件を」オタク「解決しよう!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335002963/
昼休み──
不良「あ~……メシ食ったら眠くなっちまった」ファ~
不良(五限は数学か……かったりーな)
不良「おい」
不良仲間A「あ?」
不良「俺、午後サボるわ」
不良仲間A「またサボりかよ。ホントどうしようもねぇな、オメェは」
不良仲間B「まぁコイツは授業出たって、なんも分からねぇからな!
ヒャハハハッ!」
不良「うっせぇ」
この学校の校舎裏には、知られざるサボりスポットがある。
絶妙な広さの空きスペースがあり、昼寝をするのに持ってこいなのである。
不良(まったく我ながら、いい場所を見つけたもんだぜ)スタスタ
不良(夏は涼しく、冬は暖かいんだよな~あそこは)スタスタ
しかし──
不良「!?」ビクッ
不良「な、なんだ、お前ら!?」
秀才「ん?」カリカリ
オタク「うん?」ヌリヌリ
不良(たしか同じ学年の他のクラスのヤツらだったよな……なんでここに……)
不良「お前らここで何してんだよ!」
秀才「勉強だけど」
オタク「ボク、フィギュアを作ってるんだ」
不良(ちっ、ジャマくせぇな。どかすか……)
秀才「なんだい?」
オタク「なにかな?」
不良「ここは俺の昼寝場所なんだ。お前ら、どけや」
秀才「イヤだ」
オタク「今いいところなんだよねぇ~」グフフッ
不良「…………」イラッ
不良「さっさとどかねえと、ブチ殺すぞ! あぁ!?」
不良「ンだと!?」
秀才「ただし」
秀才「ただでさえ少年犯罪に対する風当たりが強くなっている昨今、
君の処分も今までのような軽いものではすまないだろうね」
秀才「両親は悲しむだろうし、殺人者の親という汚名を着ることになるだろう。
その覚悟があるなら、殺してみるがいいさ」
不良「(よく分からねえけど、反論できねえ……!)うぐぐ……!」
不良「だったらそっちのテメェ! 作ってる人形壊されたくなかったら、どけや!」
オタク「ボクをナメてもらっては困る!」
不良「!?」
オタク「たとえフィギュアが壊されても、ボクの魂までは壊せない!
すぐ作り直してみせるさ!」キリッ
不良「(コイツ、なんてガンを飛ばしやがる……!)う、ぐぅ……!」
不良「今は授業中だろうが!」
オタク「今の発言、すごいブーメランだね! 釣り針デカすぎ!」グフッ
不良「(ブ、ブーメラン……?)俺は釣りなんかやったことねえよ!」
秀才「いいだろう、答えてあげよう」
秀才「ぼくにとってはね、学校の授業なんか出るだけ無駄なんだよ。
予備校でもっと難しいことをやっているからね」
秀才「ホントは授業なんか休んで受験勉強だけしていたいんだけどね。
さすがにそうもいかないから、時折ここで勉強してるんだよ」
不良「(くっ、ムカつくヤツ……)──で、お前は?」
オタク「ここでフィギュアやプラモ作ってると、捗るんだよねぇ~」グフフ
不良「え、お前らってツルんでるんじゃねえのか?」
秀才&オタク「全然」
勉強してたらオタク君が来たんだ」
オタク「ボクも、ここを知ってるのはボクだけだと思ってたんだよね。
そしたら、秀才君が勉強しててビックリしたよぉ~」
不良「…………」
不良「なるほど、つまりここを自分だけのスペースだと思ってた三人が
偶然にも今日ここに集まったってワケか」
秀才「そういうことだね」
秀才「君、バカっぽそうだけど、意外と頭いいんじゃないの?」
不良「うるせえ!」
オタク「仲間が増えて嬉しいよぉ~」グフフ
不良「仲間じゃねえ!」
不良「じゃあ俺はここで寝るけど、ジャマすんじゃねーぞ!
したらブン殴るからな!」
秀才「するわけないだろ。君こそ、イビキとかはやめてくれよ」
オタク「いい夢が見られるといいねぇ~」グフフ
不良「うるせえ!」
不良「…………」ゴロン
不良「…………」スースー
秀才(……あれだけわめいてたのに、寝息は静かなんだな)
オタク「じゃあボクらも作業を再開しようか」ヌリヌリ
秀才「そうだね」カキカキ
不良「ふあぁ~あ、よく寝た……」ムクッ
オタク「いい夢見れたかい?」ヌッ
不良「のわっ!?」ビクッ
オタク「おっと失敬」
秀才「さて、ぼくはそろそろ帰ろうかな。予備校があるんでね」
オタク「ボクも、仲間とアニメショップに寄りたいから帰るよぉ~」
不良「──ったく、てめぇらのせいでよく眠れなかったぜ」
秀才&オタク(嘘をつけ)
不良「もう二度とここで出会いたくないもんだな、ケッ」
秀才(それはこっちのセリフだよ)
オタク「また会う日を楽しみしてるよぉ~」
<校舎裏>
不良(昨日は午後に出会っちまったから、今日は午前中少しサボろう)スタスタ
不良(昨日の今日で、ヤツらもいないだろうし……)スタスタ
不良「!?」
秀才「また君か」カキカキ
オタク「やぁ~仲間よ!」グフッ
不良「なんでお前ら、またいるんだよ! せっかく午前中にしてやったのに!
あと仲間じゃねえし!」
秀才「君の都合なんか知らないよ」
オタク「ボクたちは引力で引かれあってるのかもねぇ~」グフフッ
不良(くっ、俺コイツら苦手だ……)
秀才「なんだい?」
不良「なんでお前ってそんなに一生懸命勉強してるワケ?
やっぱり政治家とかになって、日本を変えたいとか思ってんの?」
秀才「ぼくにそんな高尚な目的はないよ」
不良「えっ?(コショウ? え、料理の話?)」
秀才「勉強しとけばいい大学に入れる……。
いい大学に入ればそれだけ将来の選択も広がるだろ?」
秀才「なにか壮大な動機を期待してたところ悪いけど、そんなものだよ。
ぼくが勉強している理由なんて」
不良「ふうん」
秀才「逆に聞くけど、君はなんで不良をやってるんだ?
いつも教師に逆らってるし、この通り授業もサボるし、
たしかこの間も、他校の人と喧嘩をして停学になってたよね」
不良「俺、出来ちゃった婚で生まれたガキらしくてよ。
親父にもお袋にも『お前ができなきゃ』ってしょっちゅういわれててよ」
不良「とりあえずメシ食わせとけ、みたいな感じでろくに相手もしてくれなかった……」
不良「ンな時に色々俺を可愛がってくれた先輩がいてよ。
その人の真似をしてたら……こうなってた、って感じかな」
不良「っつっても、いつまでもこんなんじゃヤベェよなぁ……。
卒業した後のことなんか、なぁ~んも考えてねぇし……」
不良(──って、俺はなんでこんなことコイツらに話してんだ!)
秀才「なるほど。単なるバカというワケではなさそうだ」
不良「だろ? ……って結局バカにしてんじゃねえか!」
オタク「泣けるぅ~」グスッ
オタク「ボクが前ハマってたアニメのキャラにも、君みたいな境遇の子がいてさぁ~」グスッ
不良「アニメと一緒にすんな!」
秀才「えっ」
不良「えっ」
オタク「ボクはやっぱり将来的にはアニメ業界に進みたいと考えててね。
世界のオタク、っていわれるようなアニメを作りたいんだぁ~」グフフッ
秀才(まったく聞いてないのに語り始めた!)
不良(コイツ……ホント恐ろしいヤツだぜ!)
オタク「──とまぁ、こんなとこかなぁ」コフゥ
秀才(途中から自分の話じゃなく、ほとんどアニメの授業みたいになってたぞ。
しかもすごく分かりやすかったし……。
彼、もしかしてぼくより頭いいんじゃなかろうか……)
不良(悔しいけど、コイツの話聞いてたらちょっとアニメ見たくなっちまった)
オタク「お? 不良君、俺もアニメ見たいって顔してるねぇ~」
不良「し、してねぇよ!」
オタク「まぁまぁ、さっきボクがいった君っぽいキャラが出るアニメのDVD、
……あげるよ!」スッ
不良「あげるって……もらえるワケねーだろ! 高けぇだろ、コレ!」
オタク「いいから、いいから。ほらっ」グイッ
不良(くっ……!)
「すぐ売って金にしちまうからな!」
<不良の家>
不良(暇だ……)
不良「せっかくだから、さっきオタクがくれたアニメでも見るか……。
面白くなかったら、マジで売っちまおう」
テレビ『妹よ、愛してるぞぉ~!』
テレビ『なにぃ、ヤツは炎を操るというのか!?』
不良(くっだらねー……)
テレビ『アンタみたいなクソガキ、産まなきゃよかったよっ!』
テレビ『誰が産んでくれって頼んだよっ!』
不良(お、これが俺っぽいキャラってヤツか?)
不良「…………」ウルッ
不良(ゲ、俺なんでちょっと涙ぐんじまってんだ!?)
<学校>
不良(やべぇ、結局徹夜して全部見ちまった……。何やってんだ、俺……)
不良仲間A「オメェ、今日はずいぶん眠たそうじゃんか。
遅くまでシコってやがったのか?」
不良「ちげぇよ、アニ──」
不良仲間A「兄?」
不良「あ、兄貴と喧嘩しちまったんだよ」
不良仲間A「オメェ、兄貴なんかいたっけ?」
不良「いねぇよ!」
不良仲間A(ワケが分からん……)
不良「──ってワケで、眠いからサボるわ。じゃあな」
不良仲間A「お、おい……!」
不良「ちっ、今日は二人ともいねぇのか」
不良「よっしゃ、久々にここを独占できるぜ」
不良「…………」
不良「いっつもサボるワケにもいかねーしな」
不良「やっぱ今日はサボるのやーめたっと」スタスタ
二人との出会いは、不良の心に変化をもたらせていた。
ある時、不良と秀才は二人きりになった。
不良「いくらいい大学に入りたいっていってもよぉ……。
いつもいつもそうやって勉強してて、楽しいか?」
秀才「楽しいよ」
不良「やっぱり成績いいとチヤホヤされるからか?」
秀才「そんなワケがないだろう。やっぱり君は頭が悪いな」
不良「ンだとぉ!?」
秀才「勉強をすることで、今まで解けなかった問題が解ける。
読めなかった文章が読める。書けなかった文字が書ける……。
こう考えるとけっこう楽しいと思うけど、勉強って」
不良「そういわれると……たしかに面白そうだ……」
秀才(ずいぶん単純だな)
不良「もしよかったら……俺に勉強を教えてくれねーか?
授業聞いててもサッパリだしよ、俺の仲間バカばっかだし……」
不良「なぁ~んてな、冗談だよ冗談」
不良「俺みたいなバカの相手してると、お前までバカになっちまうよ」
秀才「別にいいよ」
不良「へ?」
秀才「ここで君と知り合って分かったけど、君はバカだけど単なるバカじゃない。
磨けば光るバカって感じがするからね。やる気があるんなら、教えるよ」
不良「マ、マジか!? ……でも、バカバカいいすぎ」
秀才「ゴメン」
不良「なんだよ?」
秀才「喧嘩のやり方を……教えてくれないか?」
不良「え、お前だれかブン殴りたいのか?」
秀才「ち、ちがうよ。自分とベクトルの違う生き方をしている人から
何かを教わるってのも悪くないなと思ってさ。
さっきもいっただろ? こういうことも勉強のうちさ」
不良「ふぅ~ん……。そんなんでいいなら、お安いご用だ」
またある時、不良はオタクと二人きりになった。
オタク「やぁ、久しぶりだねぇ~」
不良「お、おう」
オタク「こないだ渡したアニメ、見てくれたかい?」
不良「……一応な。あとで返すよ」
オタク「律儀だなぁ、君も。で、どうだった?」
不良「別に、フツーだったよ」
オタク「よかったぁ~」
オタク「で、ボクがいった通り、君に似たキャラが出てきたろう?」
喧嘩強い
オタク
最強じゃねーか
オタク「……え?」
不良「たしかに親が望んでない子で、全然可愛がってもらえず、
グレちまったヤツだったがよ」
不良「最終的にはきっちりスジ通して、仲間と一緒に化け物相手に大活躍して、
親とも和解しやがった」
不良「俺があんな風になれるワケねえよ……」
オタク「…………」
不良「おわっ!?」
オタク「君はあのキャラよりずっとスゴイよ! ボクが保証するよ!」
不良「…………」
不良「お前に保障されても嬉しくもなんともねえよ。むしろ不安になるくらいだ」
オタク「たしかにそうだ! 常識的に考えて!」グフフッ
不良「……ホント変なヤツだな、お前って」
不良仲間A「おう」
不良「あ?」
不良仲間A「オメェさ、最近変わったよな」
不良「なにも変わってねぇよ」
不良仲間A「いいや、変わった。なぁ?」
不良仲間B「お~たしかに変わったかもしれねえな」
不良「どこがだよ」
なんつうか、まともになったよな」
不良仲間B「停学喰らって、牙がなくなったんじゃねえのか?
ヒャハハハッ!」
不良「うるせぇ、ブン殴るぞ!」
不良仲間B「わ、悪かったよ」
不良「……ふん」
不良仲間A「──ん、アレは予備校じゃねえか」
不良(予備校……)
不良仲間A「知り合いのハナシじゃ、あそこすげぇ厳しいトコらしくてよ。
成績の良し悪しに応じて、露骨に対応が変わるらしいぜ」
不良仲間B「俺たちにゃ全く縁がないところだな」
不良「……なんか音が聞こえないか?」
ドスッ…… ドカッ…… ドゴッ……
ドカッ! ドゴッ! バキッ!
暗がりで、数人が一人に対して寄ってたかって暴力を振るっていた。
不良仲間A「おぉ、すげぇ」
不良仲間A「ガリ勉どももやるこたァやってんだな。ちょっと見直したぜ」
不良仲間B「受験勉強のストレス発散ってヤツだろ?
ああいうヤツらって手加減知らないっぽいから、俺らよりヤバイかもよ」
不良「どこにでもあるんだな、イジメってのは」
不良「…………」
不良「!」
予備校生B「こないだの校内模試でトップだったからっていい気になりやがって……」ハァハァ
秀才「なるほど、勉強で勝てないからって暴力ってワケかい……。
まぁ、そろそろこう来るだろうと思ってたけどね……」
秀才「こんなことしてる暇があったら、公式の一つでも覚えなよ。
そんなんだから、いつまでも上のクラスに上がれないんだよ」
予備校生A「うるさいっ!」
ドボォッ!
秀才「ごふっ!」
少なくとも学校じゃ、わりかし人気者だってのに……)
不良「俺、ちょっと行ってくる」
不良仲間A「はぁ? あんなのほっとけって」
不良仲間B「ヒャハハッ! 正義の味方ってか?」
不良「ちげぇよ、ガリ勉どもに本当の喧嘩ってヤツを拝ませてやるんだよ。
停学明けてから、すっかりご無沙汰だったしな」
不良仲間A「な~る、お前も鬼だねぇ。
ここらのワルでさえ、お前の相手にゃならないってのに」
不良「ふん」
不良(アイツにゃ勉強教えてもらってる借りがあるからな。
あのクソバカども、全員ブチのめしてやる!)
予備校生A「ふん、この人数相手に──」
バキィッ!
秀才の右ストレートが、キレイに顔面に入った。
予備校生A「ギャッ! ──ひぃぃっ!」
予備校生B「なんてことを!」
秀才「さぁ、次はだれが殴られたい……?」ゲホッ
予備校生A「うわぁぁぁっ!」ダッ
予備校生B「ま、待ってくれよぉっ!」ダッ
思わぬ反撃に面食らったのか、秀才を囲んでいた集団はあっさり逃げ出してしまった。
秀才「……げほっ、げほっ」
秀才(ふぅ、我ながらけっこういいパンチだったな。これも不良君のおかげ、か。
やれやれ、彼に借りができてしまったな)
不良(……やるじゃねーかよ、秀才。
ったく、勉強できる上に喧嘩もできるようになるとはな。ホント尊敬するぜ)
不良「やっぱやめた。よそ行こうぜ、よそ」クルッ
不良仲間A「なんだよ、つまんねーの」
不良仲間B「ガリ勉相手に無双するとこ見たかったのによ、ヒャハハッ!」
不良「やっぱ喧嘩は同じ不良(バカ)相手に限るってもんよ」
勉強仲間A(うわっ、不良だ。人間こうなったら終わりだよな~)
秀才「…………」
不良仲間A(ちっ、ガリ勉どもか。ビビった目でこっち見やがって)
不良「…………」
ちなみに、彼ら三人は校舎裏での交流を、仲間には秘密にしている。
しかし──
秀才「どうもありがとう」ボソッ
不良「こっちこそ」ボソッ
不良仲間B「え、今お前、あのガリ勉どもになんかいわなかったか?」
不良「さぁな」
勉強仲間B「秀才君、あの不良たちになにかつぶやかなかった?」
秀才「さぁね」
不良と秀才とオタク。三人の密かな交流は続いた。
オタク「これはねぇ~超オススメ!」
オタク「かっこいいヤンキーがいっぱい出てくるんだよ!」
不良「ふーん、よし貸してくれよ」
秀才「……アニメもいいけど、勉強もしなよ。二人とも」
オタク「あ、君にもお勧めのアニメがあるんだ!」グフフッ
オタク「大学受験をテーマにしたアニメなんだけどねぇ。
アニメなのにけっこうシビアで、泣けるんだよねぇ~」
秀才「わ、分かった、見てみるよ」
不良(さすがの秀才も、オタクのマイペースぶりには敵わないらしいな)
不良「なるほど……」
オタク「なるほどねぇ~」ニィッ
秀才「…………」
秀才「君たちは理解が早くて、教えがいがあるよ。
もし君らがぼくくらい勉強してたら、
多分ぼくより成績がよかったんじゃないかな……」
不良「…………」
不良「バ~カ、おまえなにいってんだよ」
不良「俺は勉強してなかったからバカ、おまえは勉強してたから頭いい。
勉強してた俺、なんてのはハナから存在しないんだよ。
──なぁ、オタク?」
オタク「うんうん、アニメにハマってないボクなんて考えられないね!」グフフッ
不良「どうしたんだ、らしくないじゃねぇか? 秀才」
秀才「こないだ、ぼくなんか及びもつかないくらい頭いい人を知っちゃってね。
少し自信を失いかけていたんだ」
不良「ふぅ~ん……」
不良「まぁ、分からんでもないな。
俺たちの世界にも、絶対手を出しちゃダメなヤツってのがいるからな」
オタク「うんうん、どこにでもいるんだよねぇ~スゴイ人って」
不良「上を見てもキリねぇし、下を見てもしょうがねぇ。
俺は俺って、気楽にやるのがイチバンだぜ」
秀才「フッ……まさか、君なんかに励まされるとはね」
不良「なんかは余計だろ、ボケ」
オタク「アニメだったらそういう強敵を倒せるようになるんだけどねぇ~」グフフッ
不良「現実はアニメのようにはいかねーんだよ、オタク」
<学校>
教師「えぇ~ここ最近、この地域の中高生をターゲットにした暴行事件が多発している。
警察も動いているようだが、まだ捕まっておらん」
教師「みんなも気をつけるようにな!」
ザワザワ…… ガヤガヤ……
不良仲間A「オメェじゃねえの? 犯人」
不良「ンなわけねーだろ、ぶっ飛ばすぞ」
不良仲間A「ったく俺らを狙ってくれりゃ、返り討ちにしてやるんだけどな。
だけど、ヤンキー連中にもけっこうやられたヤツがいるらしいぞ」
不良仲間B「ヒャハハッ! 犯人探しでもやってみっか?」
不良「くっだらねぇ……興味ねえや」
<学校>
不良「!?」
不良仲間A「よ、よう……」ボロッ
不良「ひでぇケガじゃねえか! どうしたんだよ!」
不良仲間A「昨日、バイト帰りの夜道によ、いきなり襲われて
ボッコボコにされちまった……」
不良「どんなヤツだったんだよ!?」
不良仲間A「だが、すげぇパンチとキックだった。
多分フツーにやっても、やられてただろう……ありゃ強いぜ」
不良「……カタキは絶対取ってやるぜ!」
不良仲間A「すまねぇ……が、ムチャすんなよ」
不良「ムチャしねえ不良なんかいねえよ」
不良(そういや今日、不良仲間Bが休んでるな……)
不良(まさか、アイツも──)
不良の予感は当たっていた。
不良仲間Bも、夜道で何者かに襲われ病院送りにされてしまっていた。
一番キライなんだ!)
不良(どこのどいつか知らねーが、ふざけやがって……!)ギリッ
不良(絶対許さねぇ!)
不良(俺がブチのめしてやる!)
それから数日間、不良は夜道を当てもなくさまよったが、
結局犯人と遭遇することはなかった。
<予備校>
講師「この地域で発生してる暴行事件に、ウチの生徒も巻き込まれています。
受験を控える大事な時期、くれぐれも気をつけるようにしましょう!」
秀才「…………」
秀才(手当たり次第、って感じだな)
<アニメショップ>
オタク「なんだってぇ!?」
オタク仲間A「あぁ、ひどいことするヤツがいたもんだよ。
散々殴られた上に、金とか全部奪われたんだってさ」
オタク仲間B「我々も気をつけましょうぞ」
オタク「うん……」
不良、秀才、オタク。
三人は、自然と校舎裏に集結していた。
ザッ
不良「よう」
ザッ
秀才「やぁ」
ザッ
オタク「久しぶり~」グフフッ
だが、俺一人じゃ犯人にはたどり着けない。お前らの力を借りてぇ」
秀才「ぼくの予備校もだいぶ被害に遭っているよ。
落ち着いて勉強するためにも、犯人の蛮行を放っとくわけにはいかないね」
オタク「ボクもさ。アニメ好きな仲間が何人かやられてしまったよ……。
絶対許せないよ、こんなの!」
不良「俺たちが」
秀才「事件を」
オタク「解決しよう!」
三人の志が一つとなった。
ついに
警察のパトロールすらかいくぐるようなヤツなんだぜ?
聞いた話じゃ、他校のヤンキーどもも餌食になってるらしい」
秀才「ああ、犯人はかなりの知能犯のハズだ。
しかも腕っぷしも強く、武器を使うこともあるらしい……」
オタク「ハイスペックだねぇ」
秀才「でも優秀な犯人だからこそ、
事件を起こす日時や場所に法則性を持たせている可能性が高い」
オタク「どうして?」
秀才「捜査している人たちを心の中であざ笑うためさ。
法則性に気づけば防げるのにバカじゃないの、ってね」
秀才「とりあえず、この町の地図が欲しいな。
今までの事件の情報を整理すれば、なにか分かるかもしれない」
不良「地図帳持ってくるか?」
秀才「地図帳にはこの町の地図はないよ。仕方ない、買って──」
オタク「よぉし、ボクに任せてくれよ!」
オタク「ネットに接続して、と……縮尺はこんなものでいいかな?」
秀才「う、うん」
オタク「よぉ~し、この辺の地図を印刷しちゃうよ、少し待っててねぇ~」カチャカチャ
不良(コイツ、こんなもん学校に持ってきてるのか……!)
秀才(う~む、恐ろしいほどの手際のよさだ)
まもなく地図が出てきた。
オタク「はい、オッケー」
秀才「ありがとう、オタク君。事件のことは先生に聞いてきたから、
地図に覚えてる限りの犯行場所と時間を埋めていこう」
不良「う~ん、法則性なんてないぜ? 日時も場所もバラバラだ」
オタク「うん、とにかく色んな場所でやってるってことは分かったけどねぇ~」
秀才「…………」
秀才「不良君」
不良「なんだ?」
それを警察や教師にいうかい?」
不良「アホな質問するなよ、いうワケねーだろ。んな情けないこと……。
俺のダチも転んだ、とかバレバレの嘘ついたみたいだし」
秀才「うん、つまりこの地図には重要な情報が欠けている。
君たちのような不良がやられた時の情報が……」
秀才「この地図は、あくまでぼくが先生から得た情報を書き込んだだけだから、
ボコボコにされたことを恥じるような人たちの被害情報は欠けているハズだ」
不良「あ、そうか!」
不良「ようし、この辺の不良の連絡先はだいたい知ってるからな。
すぐに聞いてやるよ」
不良「完璧じゃねーけど、不良どもの被害状況が分かったぜ」
秀才「……ありがとう。じゃあ、それを書き込んでみよう」
秀才は地図の中に、不良が得た情報を書き加えていく。
すると──
不良「あ……!」
オタク「おおお~っ! これはスゴイねぇ。
三日おきに、この町をグルグル回るように犯行場所を変えているよ!」
秀才「やはり法則性を持たせていたね。
おそらく犯人は、情報が欠けてしまうことも計算に入れてたんだろう。
恐ろしいヤツだよ、まったく」
秀才「次に事件を起こすのは、明日の夜だ。場所はこの辺りだ。
近くに大きい雑木林があるから、ここに連れ込む可能性が高い」
オタク「で、どうするんだい?」
不良「決まってんだろ。こんなクソヤロウは俺がこの手でブチのめす!
警察なんかに任せてられっかよ!」
秀才「あまり気は進まないけど、ぼくも手伝うよ。
君の強さを疑うワケじゃないけど、フォロー役がいた方がいいだろ?」
不良「なにぃ?」
オタク「ボクもやるよぉ~。なんだかワクワクしてきた」グフフッ
不良「……ちっ、お前ら足手まといになるなよな」
不良「わりぃ、遅れた」タタタッ
秀才「やれやれ、遅刻だ」
オタク「遅刻だよぉ~」コフゥ
不良「まぁ、多目に見てくれよ。で、オタク、お前なに持ってきてんだ」
オタク「エアガンと、犯人を捕まえるためのロープだよぉ~。
あと張り込み中は暇だろうから、漫画も数冊持ってきてあるよ」
不良「──ったく、しょうもないモン持ってきやがって……。
ま、俺だけでカタはつくと思うけどな」
秀才「この辺りだね……」ビクビク
オタク「どっからでも来い!」オドオド
不良「お前ら不自然すぎだぜ、犯人に警戒されたらオトリ捜査にならねーぞ」
すると──
青年「あの~君たち、向こうに可愛い女の子がいるんだけど、興味ない?」
あからさまに怪しい青年が現れた。
不良「うわ、怪しい……コイツが犯人か?」ボソッ
秀才「仲間かもしれないね。とにかく従ってみよう」ボソッ
オタク「ボクは二次元にしか興味ないなぁ~」
青年「へ?」
不良「なんでもない、なんでもない! スッゲー興味あるから、連れてってくれ!」
不良「おいおい、こんなところに女の子がいるのかよ?」
青年「変わり者の女の子でね。こういう中で楽しみたいんだってさ」
不良「ふぅ~ん」
オタク「野外プレイかぁ、マニアックだね!」グフフッ
しばらく歩くと、覆面をつけた男が立っていた。
青年「獲物を連れてきました!」
覆面「おう、ご苦労」
青年「こ、これで俺は見逃してもらえ──」
バキィッ!
覆面のハイキックで、青年は倒された。
オタク「うわぁっ!?」
秀才「なっ……!」
不良(なんて蹴りだ……! コイツ……とてつもなく強いぞ!)
覆面「さぁ~て、テメェら三人ともボコらせてもらうぜ。
なんも恨みはねぇが、俺っていわゆる暴力中毒者なもんだからさ」
覆面「人をボコるのが三度の飯より好きなんだよなァ、俺って」
秀才「なるほど……君が犯人か」
秀才「無関係な人を脅して誘い役にして、
人目につかないところに獲物をおびき寄せてから暴行を楽しむってワケか」
秀才「どんどん犯行が巧妙化しているようだね」
覆面「!?」
覆面「もしかしてお前ら、ここに来たのは偶然じゃないな?
犯行の法則性に気づいたってのか!?」
オタク「そうさ! ボクらが成敗してあげるから、覚悟するんだねぇ!
この悪党め!」キリッ
覆面「クックック、いいだろう」バッ
覆面の下には、ピアスまみれの凶悪な人相が潜んでいた。
DQN「ジャ~ン、イケメンだろ?」
秀才(なんて顔だ……いかにもワルって感じだ!)
オタク(ひぃぃぃぃっ!)
不良の世界に免疫のない二人が怯えるのも無理はなかった。
しかし、DQNに対してもっとも恐れを抱いていたのは不良だった。
不良(コイツ……もしかしてDQNじゃねえのか!?
やべぇ、コイツの噂は色々聞いてるが、俺なんかじゃとても敵わねぇ!)
不良(だが……喧嘩で勝てなくても逃げることはできるはず!)
不良「オイ、お前ら二人とも逃げ──」
DQN「お~い、一人で三人相手すんのはメンドイから、頼むわ」
不良「なっ!?」
キモオタ「ぐしゅしゅしゅ……こりゃあ面白そうな獲物でござるなぁ」ガサッ
不良(仲間がいたのか!? 俺たちと同じ三人組か……!)
秀才(彼は……エリート!?
勉強しなくとも一流大学に余裕で受かるといわれる彼が、なぜこんなことを!?)
オタク(おおっ、あれはキモオタ君だねぇ。
全国のオタクのカリスマ的存在にこんなところで会えるとはぁ~)グフフッ
DQN「コイツらけっこう頭がキレるぜ。
エリート、お前の作った法則性に警察より先に気づきやがった」
エリート「ふうん、凡人にしてはけっこうやるみたいだね。
ま、気づいたところで、この場をどうにかできなきゃ無意味だけどさ」
秀才「なるほど、君が裏で手を引いてたってワケかい。
どうりで、なかなか警察に尻尾をつかまれないワケだよ」
秀才「でも、顔を晒したのは失敗だったね。
ぼくらに警察に駆け込まれる前に、自首することを勧めるよ」
秀才「!?」
秀才「だ、だって、ぼくらは君らの顔を覚えたぞ!?」
エリート「おお、さすが凡人だ。なんて当たり前でつまらない答えなのだろうか。
──だったらさ、殺しちゃえばいいよね」
秀才「バカか!? 暴行するだけならともかく、殺したりしたら──」
エリート「うん、たしかにいくらぼくでも殺人の隠ぺいをするのは面倒だ。
でもさ、行方不明にするのは簡単なんだよ。
今、この一瞬でぼくは君らを行方不明にする方法を72通り思いついた」
エリート「一方の君たちは、特に策を持ち合わせているワケでもなさそうだ」
エリート「君の中途半端な知能指数と正義感が、死を招く結果になったワケだ。
悲しいねぇ……」
秀才「うぅっ……」ゾクッ
キモオタ「ぐしゅしゅっ、君のせこいエアガンで、小生の相手がどこまで務まるか、
楽しみでござるなぁ~」
キモオタ「ボクはアニメやゲームだけでなく、武器マニアでもあるのでござる」
キモオタ「小生の改造エアガンはアルミ缶くらいなら軽く貫通するでござるよぉ~。
ぐしゅしゅしゅ……」
オタク「いやぁ~こんな強敵と戦えるなんて光栄だよぉ!」
オタク「まるでアニメの主人公になったみたいだ!」グフフッ
オタク「──ねぇ、二人とも!」
オタク「ん、どうしたんだい? 二人とも」
不良「ダメだ……勝てねぇ……」
秀才「うん……これはもう、どうしようもない……」
オタク「どうしてだい?」
不良「あのDQNってヤツは、とんでもないワルなんだ……。
プロボクサーに勝ったとか、族をたった一人で潰したとか、
それこそアニメみてーな武勇伝をいくつも持ってやがる……」
不良「俺ら不良の世界にも、手を出しちゃいけないヤツってのがいる。
アイツはまさにそれだ。俺たちなんかが敵う相手じゃねえんだよ」
秀才「あっちのエリートもそうだ。
いつだったかぼくがいった“ぼくなんかじゃ及びもつかない人”ってのが
彼なんだよ……」
秀才「ぼくのせいだ……! まさか彼が犯人だったなんて予測もしなかった……」
DQN「ほぉ~分かってんじゃんか、ザコども。
なんなら生かしておいてやって、舎弟にしてやってもいいぜ?」
エリート「それが凡人にできる、一番賢い選択だね」
(いざという時、証拠をでっちあげて身代わりにもできるしね)
オタクが不良と秀才を叩いた。
秀才「うぐっ……!?」
不良「なにしやがんだ、テメェッ!」
オタク「戦いもせず、諦めるのかい?」
不良「あぁ!?」
オタク「自分たちより格上と戦うチャンス、しかも悪党から、逃げるのかい!?」
不良「……ざけんな! 現実はアニメみたいにいかねぇんだよ!
現実とアニメの区別もつかねえテメェにゃあ、分からねぇかもしれねえけどよ!」
不良「あぁ?」
オタク「アニメはあくまでアニメだよ。
アニメキャラがボクらより優れてるハズないだろう?」
オタク「だったら──」
オタク「ボクらにアニメキャラのようなことができないハズがないっ!」
不良&秀才「…………」
「ケッ、まさかお前に目を覚ましてもらえるとはな!」
不良「やってやるぜ、クソども! ダチのカタキ討ちだ!」ザッ
DQN「死ぬルートを選択したワケね。あっそ」ザッ
不良「おりゃあっ!」
バキッ!
不良は腕力があり、喧嘩のセンスもある。
彼の拳をまともに喰らって、立っていられた者はいなかった。
──ただし今日までの話であるが。
不良「!?」
DQN「いいパンチだ。……でもまぁ、二流ってとこだな」
ガキィッ!
DQNのヒジ打ちが、不良の頭にヒットした。
不良「ぐぁっ……!」
ぼくだって不良君から、喧嘩のやり方を習ったんだ! やれるハズだ!)
エリート「なんだ結局そうくるの? 凡人未満だねぇ、君たちは」
秀才「うるさいっ!」
ブオンッ!
不良から習ったパンチで、エリートの顔面を狙う。
が、あっさりかわされる。
エリート「君もそこそこ頭はキレるようだけど、ま、そこそこだね。
そこいくとぼくなんかホラ、なにやっても一流だからさ」
バキィッ!
エリートの右拳が、秀才の頬をえぐる。
エリート「DQN君ほどじゃないけど、ぼくもけっこう強いんだよ。
いやぁ、才能ってのは恐ろしいねえ」
秀才(くっ、くそぉ……!)
キモオタ「ぐしゅっ、しゅしゅしゅっ……!」
キモオタ「じゃあ小生たちも始めようか?」
ズパンッ!
キモオタの改造エアガンから飛び出したBB弾が、オタクの耳をかすめた。
まともに当たれば耳たぶをふっ飛ばしかねない迫力であった。
キモオタ「うひょぉ~! さすが小生、目に当たれば失明確定でござるな!」
オタク「うおあああっ!」ダッ
エアガンで応戦するかと思いきや、オタクはキモオタめがけて突っ込んだ。
キモオタ「おおっ、まさかの肉弾戦でござるか!?」
オタク(コイツはエアガンなしじゃ、大したことないはずだ。
早くコイツをやっつけて、二人に加勢しないとぉ~!)
キモオタ「うっとうしい……仕方ないでござるな」
ドスッ!
キモオタは隠し持っていたナイフを、オタクの腹に突き刺した。
オタク「うっ……!」
キモオタ「小生、ガンマンでありながらナイフ使いでもあるのでござる。
ぐしゅしゅしゅ……」
キモオタ「今時、肉弾戦なんて流行らないでござるよ。
やっぱり今の時代は、チート武器でズドン! でござる」
オタク「あぐぅぅぅ……!」ドサッ
不良「オタクゥゥゥッ!」
DQN「さすがキモオタ!」
DQN「将来は、海外に行って死の商人をやりたいとかいってるだけあるわ!
ちゅうちょなく刺しやがった、ギャハハハハッ!」
不良「ざっけんじゃねえ、ブッ殺す!」
バキッ! ドカッ! ドゴッ!
怒りに燃える不良が、DQN相手に盛り返す──が。
ドゴォッ!
DQNのボディブローが、不良の腹にめり込む。やはり地力の差は大きい。
不良「ぐお……っ!」
DQN「ザコが、調子に乗りやがって……。
安心しろよ、すぐにテメェも送ってやるからよ」
秀才「君らは……そんなに恵まれた才能を持っていて、
なぜこんな下らない事件を起こしたんだっ!?」
大声で怒鳴りつける秀才。
エリート「お、キレたふりして叫んで、助けを呼ぼうって作戦かい?
無駄だよ、ここら辺は人通りがないからね」
秀才(バレたか……! しかし早く助けを呼ばないとオタク君が死ぬ!
──いや、みんな殺される!)
エリート「まぁせっかくだ、答えてあげよう」
エリート「ぼくのような一流にはねえ、やっぱり周囲の期待も大きいんだ。
だから重圧から生じるストレスを解消するため……
彼らと組んで人狩りをするようになったのさ」
秀才「天才ならではの悩みってヤツかい?」
エリート「…………」プッ
エリート「アハハハハハハハハハッ!」
なんでカスどもの期待なんかを気にする必要がある?」
エリート「というか、ぼくは適当にやってても周囲の期待以上になっちゃうんだよね」
秀才「!」
エリート「ぼくが人狩りをやったのはね、ヒマだったからだよ。
それ以上でも、それ以下でもないさ」
エリート「ぼくって何でもできちゃうから、いっつも退屈しててねぇ」
エリート「そんな時、暴力の権化みたいなDQN君と、
エアガンとかナイフが大好きなキモオタ君に出会ったのさ」
エリート「彼らもまた、ぼくとはちがう分野でのエリート。
引かれ合うところがあったのかもしれないね」
エリート「ぼくが計画を立て、DQN君の暴力とキモオタ君の武器で、
次々とカスどもを無差別に病院送りにしてやったよ」
エリート「君らもどうやらタイプのちがう三人がそろったトリオのようだが、
まさにぼくらの下位互換って感じだね、アハハハハッ!」
秀才「……ぐっ!」
オタク「ボクらが君らの下位互換……? とんでもない思い上がりだねぇ~」グフフッ
腹をナイフで刺されたはずのオタクが、起き上がった。
キモオタ「おぅわっ! バカな……おぬし生きてたでござるか!?」
オタク(腹の中に漫画を隠し持っててよかったよ……。
ちょっとだけ刺さったけど……これくらいなら平気だ)
オタク「ボクはね、あのサボりスポットで二人に会えたことを感謝してるよ。
勉強教えてもらったり、アニメの話をしたり……楽しかった。
今だって殺されかけてるけど、一緒に戦えて嬉しい」
オタク「ボクらはれっきとした仲間なんだ!
それに引きかえ、君たちはただ人を傷つけたいだけの三人組だ!」
オタク「君たちなんかボクらの上位互換どころか、下位互換ですらない」
オタク「ただのどうしようもないダメ人間が、三人集まっただけじゃないかぁ~!」
エリート「ほう、ぼくに向かってそんな口を叩いたのは君が初めてだよ」ピクッ
キモオタ「ぐしゅしゅっ、小生を愚弄するとは……!」イラッ
オタクの言葉は三人の自尊心をひどく傷つけた。
秀才「────!」ハッ
秀才「二人とも、ぼくのところに集まってくれ!」
不良「……お、おう!」ダッ
オタク「分かったよ!」ダッ
秀才の号令で、三人が一ヶ所に固まる。
DQN「逃がすかよ、テメェらまとめて殺してやる!」ダッ
キモオタ「今度は首をサクッと切ってやるでござるよ!」ダッ
秀才「しゃがめっ!」
バッ!
秀才のところに集まった三人が一斉にしゃがむ。
すると、DQNの拳の前にはエリートがいた。
エリート「え?」
DQN「あっ」
ガツンッ!
エリート「ぶげぇっ……!」ドサッ
DQNのパンチで前歯を折られ、エリートが崩れ落ちた。
秀才(や、やった……マグレっぽいけど、うまくいった!)
DQN「ちぃっ、しまった……!」
しかし、DQNの次はナイフを振りかざしたキモオタが迫ってきた。
オタクがエアガンを放つ。
BB弾が、キモオタの右手にヒットした。
その拍子にナイフが投げ出され、DQNの頬をかすめた。
DQN「!」
DQN「いってぇ……」
抑え役のエリートが退場したこともあり、ついにDQNがキレた。
DQN「…………!」ブチブチッ
ドゴッ!
キモオタ「ぐげ──っ!」
DQNの中段蹴りが、キモオタを吹っ飛ばした。
DQN「テメェら、殺してやる、殺してやるぜ!
腹かっさばいて、内臓引きずりだしてやっからよォォォッ!」
目を血走らせ、DQNがキモオタのナイフを拾おうとする。
だがそこに、猛然とオタクと秀才が突っ込んだ。
秀才&オタク「うわあぁぁぁっ!」
ドガッ!
DQN「うごぉっ!?」
オタク「うひぃっ!」
秀才「ぐうっ!」
あっけなく振りほどかれる二人。
ここでDQNは次の行動をどうするか、一瞬悩んだ。
ナイフを拾うのが先か、あるいは二人にトドメを刺すのが先か。
だが──
不良「うおらあぁぁぁぁっ!!!」
DQN「!?」
DQNが行動を選択するよりも、不良が飛びかかるのが早かった。
ガゴォンッ!
全体重を乗せた捨て身の右ストレートが、DQNの顎を射抜いた。
いかにDQNといえど、無防備な状態でこの一撃に耐えられるはずもなく──
DQN「あぐぁ……っ」グラッ
ドザァッ……!
──白目をむき、ぶっ倒れた。
それに対してスペックの低さを補うチームワーク
王道で好きです
不良「よっしゃ、よっしゃあああっ!」
オタク「やったぁ~!」
秀才「……さてと、通報しようか」
不良「──ったく、相変わらずクールなヤツだな。もっと喜べよ」
オタク「そうだよ、ボクの頭の中でファンファーレが鳴ってるよ。
きっと経験値がいっぱい手に入ったよ」
オタク「レベルアップしまくってるよ、きっと」
秀才「やれやれ、君たちは相変わらずだな」
不良「いてて……勝つには勝ったが、全身殴られまくっちまったぜ。
お前らは大丈夫か?」
秀才「ぼくもあちこち殴られたけど、なんとか……」
オタク「ボクも刺されたけど、漫画のおかげで助かったよぉ~」
不良「ふぅ~……ま、よくやったよ、俺たち」
オタク「だからいったろう?
アニメキャラにできることが、ボクらにできないハズがないって」グフフッ
不良「ハハ、どうせならもう少しかっこよく勝ちたかったがな」
ぼくらは勝てなかっただろうね」
不良「オイオイ、らしくねーな。
そこはぼくの頭脳があればこそ、とかいっとけよ」
オタク「うんうん、秀才君のおかげで彼らの仲間割れを誘えたんだからねぇ~」
秀才「オタク君が彼らに“ダメ人間”っていった時、
彼らは自分がいわれたことについてだけ、怒っていた」
秀才「あれでピンときたんだ。彼らの間にチームワークも信頼関係もないって」
秀才「あの三人は本当に強かったよ」
秀才「ぼくらは個々の力では完全に負けていた……。
でもなんていうのかな、ぼくらの結束の力が彼らを上回ったんだ」
不良「……だな!」
オタク「そうだねぇ~!」グフフッ
不良&秀才&オタク「ハッハッハッハッハ……!」
連続暴行犯である、DQN、エリート、キモオタは捕まった。
彼ら三人はいずれも、各々の分野においてトップクラスの逸材であった。
本来なら、不良、秀才、オタクが束になっても敵う相手ではなかった。
しかし、勝ち目のなかった三つの力が、結束することで輝きを増し、
三つの才能の暴走を食い止めたのである。
<学校>
彼らは一躍ヒーローとなっていた。
不良仲間A「さすがだぜ、まさかあのDQNを倒すなんてよ!
これでお前の名前も一気に全国レベルになったんじゃねえか!?」
不良仲間B「ありがとよ~、俺のカタキを取ってくれて!
お前はバカだけど最強だよ、ヒャハハハッ!」
不良「バ~カ、俺だけの力じゃねえよ。
他の二人がいなかったら、まちがいなく俺は今頃あの世だったぜ」
不良仲間A「まっさか、お前があの秀才やオタクとつるんでたとはな。
今までああいうヤツらをバカにしてたが、ヤツらもやるもんだな」
不良仲間B「ああ、今回ばかりはまいったよ」
不良(まったくだぜ……。こうしていられるのも、あの二人のおかげだ……)
今回の件ですっかり公になってしまった。
しかし、彼らはそれに後ろめたさを感じることもなく、
人がいるところでも堂々とコミュニケーションを取るようになった。
彼らはそれぞれ不良であり、秀才であり、オタクであり続けたが、
生き方はちがえど彼らが結んだ友情はたしかなものであった。
やがて、彼らが校舎裏でサボることはなくなっていった……。
不良「ようオタク、こないだ借りたアニメ、面白かったぜ!
やっぱ俺はああいう単純な話のがいいな」
オタク「いや~気に入ってもらえてよかったよ!」
不良「秀才、お前のおかげで中間テスト全部平均点以上だったぜ。
いっつも赤点の常連だったってのによ!」
秀才「まぁ、ぼくの教え方がヘタじゃなかったことで、よかったよ。
君こそ、すごい飛び蹴りを教えてくれるって約束忘れてないだろ?」
不良「おう、任せとけ! ただし、使うんじゃねえぞ」
オタク「おっとボクにも教えてくれよぉ~」
彼ら三人はこの学校の名物トリオとして、末永く語り継がれることになったという──
~おわり~
面白かった
乙
普通に面白かった
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
神父「僧侶の衣装は全身タイツとする!」女僧侶「えー……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334507167/
僧侶「いやいやいや、おかしいですって」
神父「どこが?」
僧侶「よーく考えてみて下さい? 例えば、神父様が街を歩いてて、全身タイツの女が
うろうろしてるの見たらどうします?」
神父「揉むわな。神の手<<ゴッドハンド>>で揉むわな」
僧侶「えー……」
神父「えー……」
僧侶「えーじゃねえよ。でですね、その時に全身タイツの人がいたらどうします?」
神父「揉むわな。雷の手<<ライデインハンド>>で揉むわな」
僧侶「死にますよねー。というか、普通なら変態だって思われますよねー」
神父「何の問題があるの」
僧侶「えー……」
僧侶「はあ」
神父「君は、女戦士の格好見たことはあるかね?」
僧侶「まあ……一応は」
神父「アレに比べればマシだとは思わないかね?」
僧侶「ビミョーですね。どっこいどっこいだと思います」
神父「いやいやいや、アレは浪漫がない。わかるかね? ルォマン?」
僧侶「全くわかんないっすね」
神父「ハァ……これだから……」
僧侶「むかつきますねー。師匠じゃなかったらザキっすよザキ」
触手を入れられ、卵を産み付けられて苗床にされるのが見たいわけではないのだ」
僧侶「うわぁ……」
神父「聞きなさい。いいかね? 青い帽子と前掛け、そしてそこから覗く黒タイツ。
これは神の与えたもうた財産なのだよ」
僧侶「じゃあ男僧侶さんでも」
神父「お前が女じゃなかったら殴ってるとこだわ。いやマジで」
僧侶「えー……」
神父「でだな、女戦士にはそういった色のギャップや見えそうで見えないチラリズム的なものが
無いのだよ。わかるかね?」
僧侶「師匠、なんで神父やってんスか?」
神父「全ての人に幸せを与えるために決まっているだろう」ニッコリ
僧侶「性癖以外は人格者って凄くめんどくさいなー……」
神父「悲しいことにな」
僧侶「話進まないんでスルーしますね。ですが、私はしばらくぼうけんしゃのふくとかぐらいしか
装備できないんで、足とか見えちゃうんですよ」
神父「素晴らしいことだな」ニッコリ
僧侶「でですね、私冷え性なんで、できればもっとこう温かいのがいいかなーとか」
神父「わかっているとも。だからほら、このタイツを見たまえ」
僧侶「わー……完全防寒だー……」
神父「さぁ」ざわざわ
僧侶「(考えろ……っ! ここが運命の分かれ目……っ! ひらめけ起死回生の一発……っ!!)」ざわざわ
そんなんじゃムレちゃって大変!」
神父「汗まみれになると」
僧侶「ですです! いやー、残念です! 着たかったなー! でもそういうことじゃ
無理ですよね!! と言うわけでこの普段着を」
神父「汗まみれ。実に素晴らしい」
僧侶「は?」
神父「長い砂漠の旅で汗をたっぷり吸収した黒タイツ。その姿を想像したまえ」
僧侶「気持ち悪そうです」
神父「ぴったりと肌に吸い付き、汗の水分によりいつもより黒さを増した黒タイツ。想像したまえ」
僧侶「気持ち悪いです」
神父「歩いている最中にほのかに香る汗の香り。恥ずかしげに染まる自分の頬。想像したまえ」
僧侶「近寄らないで下さい」
神父「えー……」
僧侶「もう寝ます。明日は酒場に行きますんで、早めに起きます。では」
神父「えー……」
翌日
僧侶「出てこいクソ神父!!」バンッ
神父「素晴らしい。実によく似合うよハニー」
僧侶「ハニーじゃねえですよクソ野郎。さっさと服返せコラ」
神父「知らんなぁ」
僧侶「セイッ!!」ズドォ
神父「んふぅっ!」ドサ
僧侶「よーし立て。もういっちょ行くぞオラ」
神父「ほんとかんべんしてくださいすんません」
神父「こちらが貴方様の服でございます」
僧侶「なんですかこの布の残骸」
神父「バギって便利だとは思わないかね? 脱衣プレイにも使える優れ物だ。
だが、力加減を誤ると皮膚を切りかねない諸刃の剣。素人にはおすすめできない」
僧侶「バギ」ゴォ
神父「ひぎぃっ!」ザクザクザク
僧侶「ホイミ」ペロリン
神父「ふえぇ……僧侶たんの癒しの力が全身を駆け巡るよぉ……」ツヤツヤ
僧侶「バギ」ゴォ
神父「らめえぇえええっ!!」ザクザクザク
神父「だからもう黒タイツでだね……おうふ、首から血が!! 血が!!」プシー
僧侶「ホイミ。せめて代わりの……そうだ! 神父様の服を貸して下さい!
いっつも着てるぞろっとしたやつ!」
神父「それは構わんが……」
しばらくして
僧侶「オラァ!!」ズドン
神父「ひどい!」ドサァ
僧侶「これはどういうことですか豚野郎」グリッ
神父「ああ……もっと罵って下さい……もっと!」
僧侶「なんで前掛けの下が素っ裸なんだって聞いてんですよコラァ!!」ゲシゲシゲシ
神父「もっと! もっと強く!! 情熱的にもっと!!」
神父「うむ」ペロンボロン
僧侶「見せんな!!」キン
神父「んふぅ!」ドサァ
僧侶「どうする……どうする私……っ!!」
神父「あ、諦めてこの黒タイツを……」ピクッ
僧侶「ちくしょう……ちくしょお……」ボロボロ
神父「涙キャッチ!! うっめえ!! なにこれ甘露? やっべうっめえ!!」
僧侶「うおおおおおおお!!」ズドズドズドズド
神父「ひぎぃいいいいいっ!!」
僧侶「はい」
魔法使い「あんたんとこも大変ねー」
僧侶「と言いますと、魔法使いさんも? ですが、そこまでおかしい格好ではないと思いますが」
魔法使い「……誰にも言わない?」
僧侶「は、はあ」
魔法使い「ちょい屈んで。うん、そのぐらい。誰も見てない? よし、じゃあ……ほら」チラッ
僧侶「なっ!?」
魔法使い「ね?」
僧侶「は、はんにゃのめんパンツ……」ゴクリ
魔法使い「外したら防御力が今以上にカスになるから外すに外せないという」
僧侶「oh……」
僧侶「あ、痴女」
魔法使い「よう痴女」
戦士「よーし、泣くぞ。もうわんわん泣くぞ」
僧侶「冗談です。で、やっぱり戦士さんも?」
戦士「ああ。このビキニアーマーかやくそう三枚か選べと言われてな」
僧侶「うわぁ……」
魔法使い「これはひどい」
戦士「少し迷った末、こちらにしたのだ」
僧侶「えっ」
魔法使い「えっ」
戦士「えっ」
魔法使い「旅に出てそれなりに強い装備手に入れて」
戦士「この格好を打開せねばな」
だが、彼女たちはまだ知らない。
魔法使い「いやぁああああっ!! みずのはごろもは嫌ああああああっ!!」
この先の冒険の過酷さを。
戦士「やいばのよろいを着ていたら寝れない。だが脱げば全裸。よし死のう」
先の見えぬ戦いを。
僧侶「拝啓お父様、お母様。私は魔法のビキニを着せられるよりメガンテを選びます。
先立つ不幸をお許し下さい」
おわり
しかし実際に他の装備を着せられるところも見たかった
乙乙
Entry ⇒ 2012.04.18 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
ローラ「ここが雛見沢かー!ひろーい☆」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334327576/
ローラ「ウフフ、そうなのー☆えっとねー今すっごく緊張してるんだけどーでもだいじょうぶ!おっけー☆」
ローラ「うそー!ほんとにー?」
レナ「髪もキラキラしててかぁいいよ~☆はう~」
ローラ「うれしい~ありがとー。ウフフ☆」
梨花「圭一の代わりに外国人が転校してくるなんて…こ、この世界はいったい…」
沙都子「なにブツブツ独り言言ってますの?梨花」
沙都子「負けませんわよ!をーほほほほ!」
ローラ「わー☆なんだかとっても楽しそー!」
レナ「はう~!とってもとっても楽しいんだよ?ローラちゃんにもいっしょに部活やろ?」
ローラ「ほんとにー?うれしいー!ありがとー☆」
梨花「かあいそかあいそなのですよ」
ローラ「ウフフー!負けちゃった!とっても悲しいー☆」
沙都子「なんだか全然悲しそうじゃありませんわねぇ…」
ローラ「そんなことないよー!プリプリしてるよ!」
魅音「とにかく敗者には罰ゲームってのがうちの部活の鉄則だからねぇ…ウシシ」
ローラ「わぁー!こわーい☆」
魅音「うんうん、よく似合ってるよ~w」
ローラ「ほんとにー?ありがとー☆」
沙都子「そんなにずっと笑顔でいられますとなんだか張り合いがないですわねぇ…」
梨花「きっとローラはいっつも笑っているのですよ!にぱー☆」
ローラ「うそー!そんなことないよー!ウフフ☆」
魅音「やれやれ、見てるこっちまで楽しくなってきちゃうね!」
沙都子「そうですわね、暗くなる前に帰らないと危ないですわ」
レナ「ローラちゃん、帰る方角同じだよね?レナ達といっしょに帰ろ?」
ローラ「いいよー!」
ローラ「そうなの!実はこれは染めててねー元は違う色なんだよー」
レナ「はう、全然わかんなかったよ~。でもきっとどっちも似合ってるんだろうなぁ~☆」
ローラ「ほんとー?ありがとー☆」
魅音「…あ、じゃあおじさんはここからはこっちの方だから!」
ローラ「そうなんだーとってもザンネン!」
レナ「魅ぃちゃんまた明日ね~」
ローラ「ばいばーい☆」
ローラ「おっけー☆だいじょうぶー!」
レナ「じゃあレナの宝探しに付き合ってほしいの!はう~」
ローラ「ほんとー?なんだかとっても楽しそうー!」
レナ「うん!とっても楽しいよ!」
ローラ「ウフフ☆」
ローラ「うそー!ほんとにー?とっても悲しいー☆」
レナ「どうしたらいいかな?かな?」
ローラ「んっとねー、そうだねーこういう時はね!」
レナ「うん!」
ローラ「この石とかゴミをどかせばいいと思うよー☆」
レナ「そっか!瓦礫を壊せそうな物持ってくるね!」
ローラ「おっけー☆」
パシャ
富竹「やあ、驚かせちゃったかい?ごめんごめん」
ローラ「いいよー☆」
富竹「可愛らしいお嬢さんがいたから、ついシャッターを切ってしまったよ」
ローラ「そんなことないよー!」
富竹「いやいや!まるで人形みたいだよ!」
ローラ「うそー☆ほんとにー?うれしー!」
富竹「ああ、申し遅れたね。僕は富竹、フリーのカメラマンさ」
ローラ「すごーい☆」
ローラ「えっとねー?わかんなーい!ウフフ☆」
富竹「ハハハ!」
ローラ「あっ!思い出したー!あのねー人形を掘り出すためにがんばってるのー☆」
富竹「そうなのかい?僕はてっきりバラバラ死体でも捜してるのかと思ったよ」
ローラ「うそー☆それってとってもこわーい!」
富竹「冗談だよ、ハハハ」
ローラ「ウフフ☆」
ローラ「ありがとー☆」
レナ「ローラちゃーん!待たせてごめんねー!」
ローラ「わー!なにそれ!とってもこわーい☆」
レナ「えへへ、鉈持ってきちゃった。これならケンタくん取り出せるかな?かな?」
ローラ「だいじょうぶだよー!」
ガシャン ガシャン ボキッ
ローラ「あ!首とれちゃったー!」
レナ「はう~!強く叩きすぎちゃったみたいだね…」
ローラ「ごめんねー☆」
レナ「ううん、くっつければ平気だよ。ありがとう!」
レナ「はう?なにをかな?かな?」
ローラ「あのねーレナちゃん、バラバラ死体って知ってるー?」
レナ「知らない」
ローラ「そっかー☆知らないんだー!とってもザンネンー☆」
レナ「うん、じゃあそろそろ帰ろっか」
ローラ「おっけー☆」
レナ「おはよ~魅ぃちゃん!」
ローラ「私の家から学校まですっごく遠いんだねー!今おどろいちゃった!ウフフ☆」
魅音「って昨日もこの道通ったんじゃないの?」
ローラ「あ!ほんとだー!間違えちゃったー!」
ローラ「そうだー☆魅音ちゃんはバラバラ死体のこと知ってるー?」
魅音「なかった」
ローラ「うそー☆ほんとにー!」
魅音「ほんとだよ、おじさんは嘘なんてついちゃいないよ」
ローラ「体の部分が一つ見つかってないんだって!とってもこわーい!」
ローラ「えっとねー。忘れちゃった!ウフフ☆」
魅音「そっか…じゃあその話は忘れて。あたしたち、ローラを怖がらせたくないだけだから」
ローラ「おっけー☆」
沙都子「をーほほほ!おはようございますですわ!」
梨花「おはようなのですよ、ローラ、レナ、魅ぃ」
ローラ「おはよー☆」
レナ「おはよう!はぅ、そういえばもうすぐ綿流しだね~!はう~!」
魅音「おじさんは今から腕が鳴るよ!」
ローラ「それってとっても楽しそー☆」
レナ「綿流しっていうのはね、雛見沢のみんなでやるお祭りなんだよ~」
レナ「はう~!ヘンじゃないよぅ」
ローラ「ウフフ☆ごめんねー」
魅音「まあ確かに変わった風習かもしれないけどね。でもあんまり他の人にそういうことは言わない方がいいよ」
ローラ「ほんとにー?おっけー☆わかったー!」
梨花「実は綿流しは明日なのですよ」
ローラ「うそー☆はやーい!」
梨花「本当に早い……こんなに時間がない上に、圭一もいない。絶望的だわ」
ローラ「うーん、えっとねー。よくわかんなーい☆」
梨花「そうよね、急にこんなこと言われても理解出来る筈がないわ…」
レナ「ローラちゃん、明日はお祭りの前におうちに迎えに行くね!」
ローラ「ありがとー!うれしー☆」
レナ「ローラちゃん、迎えに来たよー!」
ローラ「ありがとー☆」
レナ「わぁ!ローラちゃん、おめかししててかぁいいよ~☆」
ローラ「うそー☆ほんとにー?とってもうれしー」
レナ「モデルさんみたいだよ、はう~!」
魅音「おーい!こっちこっちー!」
沙都子「二人とも遅いですわよ!」
ローラ「ウフフ☆ごめんねー」
梨花「それじゃあぼくは準備をしてきますです、みんなあんまりはしゃぎすぎちゃだめなのですよ~にぱー☆」
魅音「アッハッハ、それは約束できないねぇ」
ローラ「おっけー☆」
沙都子「約束しちゃダメですわ!」
ローラ「あ!ごめんねー☆」
レナ「はぅ、りんご飴売ってるよ?」
ローラ「ほんとー?うれしー☆ウフフ」
魅音「焼きそばもあるけど、どっちにする?」
ローラ「どうしようかなー。こまっちゃったーウフフ☆」
沙都子「どっちも買えばよろしいんじゃありませんの?」
ローラ「ほんとー?えっとねーじゃあそうしよっと☆」
鷹野「あら……あなた、もしかしてローラちゃん?」
ローラ「ローラだよー☆」
レナ「あ、鷹野さん!」
鷹野「こんにちは。噂は聞いてるわよ、可愛い転校生が来たって…クスクス」
ローラ「そんなことないよー☆ウフフ」
富竹「やぁ、ローラちゃん。先日はどうも!おかげで可愛らしい写真が撮れたよ」
ローラ「いいよー!」
レナ「はう~!楽しみ楽しみ☆」
沙都子「をーほほ!早く行きますわよ!」
ローラ「あ!おいてかれちゃったー!とっても悲しいー☆」
鷹野「あらあら、じゃあ私達が連れていってあげるわ。クスクス」
ローラ「ほんとにー?ありがとー☆」
富竹「え。鷹野さん、でも僕達はこれから……」
鷹野「あら、いいじゃない。この子にも見せてあげましょうよ。雛見沢の真実の姿を……」
ローラ「えっとねー?わかんなーい☆ウフフ」
富竹「鷹野さん、やっぱりローラちゃんにはちょっと刺激が強すぎるんじゃないかい…?」
鷹野「あらぁ、いいじゃないの。この年頃の子は世の中には怖い物がたぁ~くさんあるってことを知っておくべきよ?クスクス」
富竹「うーん……」
鷹野「クスクス…。……?誰かそこにいるの?」
詩音「…あちゃ。バレちゃいました」
富竹「し、詩音ちゃんじゃないか。ど、どうしたんだい?こんなとこで」
詩音「いえいえ、大人二人が女の子連れてこそこそしてたもんですから」
鷹野「あらあらぁ…」
ローラ「魅音ちゃんそこにいたんだー!」
詩音「あっ、私魅音じゃなくて双子の妹の詩音といいます。初めまして」
ローラ「うそー☆そうなんだー!わかんなかったー☆」
鷹野「そのつもりよ、詩音ちゃんも一緒にどう?」
ローラ「きっととっても楽しいよー☆ウフフ」
鷹野「楽しいわよ、クスクス」
詩音「ん~、まあ私を気にならないわけじゃないんで……見張りとしてご一緒します」
鷹野「クス、決まりね」
ガチャ ギギギギ…………
鷹野「鍵が開いたわね、ありがとうジロウさん」
富竹「じゃあ僕はここで外を見張っているよ」
ローラ「ありがとー☆」
詩音「うわ…中真っ暗」
ローラ「ほんとだー!とってもこわーい!」
詩音「そ、それって…まさか」
ローラ「えっとねー。うーん、わかんなーい☆ごめんねー」
鷹野「……そう、拷問器具よ。ローラちゃん、少し静かにしてもらえるかしら?」
ローラ「おっけー☆」
ローラ「聞いたよー!綿を流すんだよね?とってもヘンなのー☆ウフフ!」
鷹野「そう、お布団の綿ね。……けど、昔は違ったの。何を流してたのか知りたい?」
ローラ「そうなんだー!とっても知りたーい☆」
鷹野「……人間の、"わた"。そう、つまり腸を流していたのよ」
ローラ「うそー!それってとってもこわーい☆痛そー!」
詩音「…えっと、ローラさん。怖くないんですか?」
ローラ「ううん!とってもこわーい☆みてみて、トリハダ!ウフフ☆」
鷹野「…ま、まあいいわ。とにかく雛見沢には、"暗部"……隠された部分があるの。私はそれを探ってるの」
ローラ「ほんとにー!すごーい!がんばってー☆」
詩音「そ、そうですね」
ローラ「おっけー☆」
詩音「……!?い、今……」
ローラ「なにー?」
詩音「足音が一つ……多かった……」
ローラ「うそー☆とってもこわーい!ウフフ☆」
詩音「じ、冗談じゃなくて本気で言ってるんですけど!?」
ローラ「あ!でもねー私もさっき思ったの!足音一つ多いなーって!」
詩音「ですよね!って、えぇ!?なんでその時に言ってくれないんですか!」
ローラ「うーん、まいっかー☆って思っちゃったの!ウフフ!」
詩音「よくないですよ…!ずっとひたひた付いてきて…私、怖くて…!」
ローラ「ほんとにー!ごめんねー☆」
ローラ「うそー!いないよ誰もー☆」
詩音「なんで普通に振り向いちゃってるんですか!?ちょっとは怖がって下さいよッ!!」
ローラ「怖がってるよー☆ほんとほんとー!」
詩音「……なんか、私だけ怖がっててバカみたいじゃないですか」
ローラ「そんなことないよー!」
詩音「バカですよ、あー私ただのバカです!」
ローラ「ダメだよ、自分のことバカって言ったら」
詩音「え……あ、ごめんなさい」
ローラ「おっけー☆」
ローラ「ほんとにー?よかったー!また怖くなったら電話してねー!」
詩音「はい、それじゃ私は帰りますね。お姉達と早く合流した方がいいですよ!」
ローラ「あ!そうだねー☆」
魅音「あ~!あんなとこにいた!お~い!」
レナ「ローラちゃ~ん!」
沙都子「捜しましたわよ~っ!」
ローラ「魅音ちゃんだー!あ!レナちゃんとかみんなもいるー!」
鷹野「……ローラちゃん、私達がアソコに入ったことは絶対に秘密よ?」
ローラ「そうなんだー!どうしてー☆」
鷹野「雛見沢の禁忌を犯したなんて知られたら、私消されちゃうかもしれないもの。クスクス」
ローラ「それってとってもこわーい!ウフフ☆わかったー!おっけー☆」
鷹野「ねえ、本当に分かった?」
ローラ「ぜったいナイショねー!ウフフ☆」
ローラ「いいよー☆」
魅音「……そういえばさ、ローラ、あんなとこで鷹野さん達と何してたの」
ローラ「えっとねー!あ!ごめんねーナイショだったー!ウフフ☆」
魅音「へえ……内緒にするようなこと、してたって意味?」
ローラ「そんなことないよー☆」
魅音「……まあいいや。どうせおじさんにはお見通しだからね」
ローラ「ほんとー?すごーい☆」
レナ「もう遅いから気をつけてね~!」
ローラ「ばいばーい☆」
梨花「さよならなのです。……なるほど、今回は詩音が狂う世界なのね。ということは、ローラは詩音に……」
魅音「じゃあ、おじさんはこっち。二人共明日ねー!」
レナ「うん、魅ぃちゃんまた明日ね~」
ローラ「ばいばーい☆」
レナ「はう~。そ、そんなこと…あるかな、かなぁ…」
ローラ「私もねーちょっと疲れちゃったー!」
沙都子「おはようございますですわ~!そしてローラさん、これをお喰らいあそばせ~ッ!!」
レナ「粉いっぱいの黒板消し!?ロ、ローラちゃん避けて~!」
ローラ「あ!いたーい☆ひどーい!ウフフ!」
沙都子「をーほほほほ!見事命中ですわ~!!」
ローラ「人に向かって物を投げたら危ないよ」
沙都子「……え…あっ…」
魅音「ロ、ローラ?」
沙都子「ご……ごめんなさいですわ」
ローラ「おっけー☆」
レナ「か、片付けよっか!先生きちゃうよ、はう~!」
魅音「そ、そうだね!ほら沙都子っ!」
沙都子「え…えぇ、そうですわね」
梨花「今のは……?」
ざわ……ざわ……
ローラ「うそー!とっても悲しいー!」
知恵「皆さん静かに。ローラさんはもっと静かに」
ローラ「あ!ごめんねー☆あのねーとってもびっくりしちゃったの!ウフフ!」
知恵「…それでは授業を始めます。ほら、静かに!授業に集中なさい!」
ローラ「おっけー☆」
魅音「終わった終わった~…!」
少女A「……あ、ローラちゃん」
ローラ「なにー?」
少女A「あのね、ローラちゃんを呼んできてって言われたんだけど。校庭に車がとまってて…」
ローラ「よくわかんないけどわかったー!おっけー☆行ってくるねー!」
魅音「ゆっくりブリブリしておいでー!」
ローラ「女の子がそういうこと言ったらだめだよ」
魅音「あ…ごめん…」
ローラ「いいよー☆」
ローラ「すごーい!刑事さんなんだー!」
大石「ええ、ええ。まあ立ち話もなんですから車の中にどうぞ」
ローラ「ほんとー☆ありがとー!」
大石「寒くないですか~?私クーラーガンガンかけちゃいますから」
ローラ「えっとねー、とってもさむーい!」
大石「おやおや、温度上げますか?」
ローラ「こんなにサムイと思わなくってびっくりしちゃったー☆ウフフ!」
大石「そうですか、ハハハ。で、温度上げます?」
ローラ「ウフフ☆え?」
大石「いや、もういいですよ」
ローラ「あ!えっとね、今よく聞こえなかったのー!ウフフ!ごめんねー☆」
ローラ「おっけー☆」
大石「ローラさん。あなた昨日富竹ジロウさんとお会いしてますよね?」
ローラ「えっとねー。あ!会ってるよー☆」
大石「何か変わったこととかありませんでしたかねぇ…?」
ローラ「あったんだけどー、ウフフ☆ナイショだから話せないのー!ごめんねー!」
ローラ「そうなのー☆ごめんねー!」
大石「それじゃあ次は鷹野三四さんについてお聞きしましょうか。あなた、この人とも昨晩一緒にいましたねえ…?」
ローラ「いたよー!」
大石「それじゃあ鷹野三四さんについては、何か変わったことありませんでしたかあ~?」
ローラ「あったんだけどー、ウフフ☆ナイショだから話せないのー!ごめんねー!」」
大石「あのねえ、お嬢ちゃん警察舐めちゃいけねえよ」
ローラ「なめてないよー!そんなのとってもきたなーい☆」
大石「アンタが富竹ジロウと鷹野三四、そして園崎詩音と四人でいたことぐらいこっちは掴んでんだよ!」
ローラ「うそー!すごーい☆」
大石「どうしようじゃないんだよなあ、おじさんは警察なんだよ。吐いてもらわないと困っちゃうんだよなあ~」
ローラ「おっけー☆それじゃあぜったいナイショにしてねー!」
大石「ふむ、その蔵に四人で入った…と」
ローラ「そうなのー!中はねーとっても暗くて危なかったんだよー!」
大石「…なるほど。ローラさん、他にもう隠してることありませんねえ?んっふっふ」
ローラ「ないよー☆」
大石「それじゃあもういいですよ、どうぞ教室に戻って下さい。ご協力感謝します」
ローラ「いいよー!ばいばーい☆」
ローラ「あ!詩音ちゃんから電話があったこと言うの忘れちゃったー!まいっかー☆ウフフ!」
レナ「あ、ローラちゃん、おかえり~」
沙都子「なんだったんですの?」
ローラ「えっとねー!刑事さんといろいろお話してたの!ウフフ☆」
レナ「えっ…それってローラちゃんが疑われてる…ってことかな?」
ローラ「そうなのかなー?うーんよくわかんなーい☆」
魅音「大石の野郎…余計なことしやがって」
ローラ「あ!それとねー!昨日詩音ちゃんから電話があったんだけどー」
梨花「詩ぃから、なのですか?」
ローラ「そうなのー!富竹さんと鷹野さんがいなくなった、って言われてびっくりしちゃったー!」
沙都子「今朝先生から聞かされて驚きましたわよね。まさか二人が…」
ローラ「とっても悲しいー!」
レナ「大丈夫だよ、ローラちゃんは消えたりしない。転校なんて……しない」
ローラ「ほんとー☆ありがとー!」
魅音「……………」
沙都子「魅音さん?どうかなさいましたの?」
魅音「え?あ、いや…なんでもないよ」
梨花「……………」
詩音「なんであの子、昨日のことみんなに話しちゃうの!?しかもちっとも気にしてないッ!!鬼婆も死んでお姉も閉じ込めた今、後には引けないし…!」
ローラ「あ!帰ったら詩音ちゃんに電話してみよーっと☆」
レナ「まだ怖がってるかもしれないよね、ローラちゃんが元気づけてあげて」
ローラ「おっけー☆」
沙都子「ローラさんと話していると自然と元気が湧いてきますものね!をほほほ!」
ローラ「ほんとー?うれしー☆」
梨花(……今夜、一升瓶と注射器持って攻め込むとしようかしら。どうせこのままじゃ何も変わらない世界だわ)
ローラ「そうだねー☆とっても悲しいー!」
レナ「……ローラちゃん、誰かに聞かされる前にレナから話しておきたいことがあるの」
ローラ「ほんとー?聞きたーい!」
レナ「今回富竹さんと鷹野さんがいなくなったのはね、……"オヤシロさまの祟り"なの」
ローラ「そうなんだー☆それってとっても怖い話だねー!」
レナ「オヤシロさまはね、信じてる人だけは助けてくれる…。だからローラちゃんも、絶対にオヤシロさまを信じて…ね?」
ローラ「おっけー☆わかったー!」
レナ「おはよ~。今日もいい天気だね~はう!」
ローラ「私もとってもうれしー☆」
詩音(あんた昨日電話するって言ったくせになんでしてこないの!?わざわざ電話の前でスタンバってたのに!!)
ローラ「あ!詩音ちゃんに電話するの忘れてたー☆」
レナ「はう~。ローラちゃんったらうっかりさんだよぅ」
ローラ「ごめんねー!ウフフ☆」
詩音(そしてなんで今思い出すの!?イライラする…!イライラして喉が痒い…ッ!!)
知恵「皆さん、授業の前に大事なお話があります。……実は、古手さんと北条さんが昨夜からお家に戻っていないそうなんです」
ローラ「うそー!とってもびっくりしちゃったー!」
知恵「静かに。皆さん、二人を見かけたという方がいたら、すぐ先生に教えて下さいね」
ローラ「おっけー☆」
魅音「心配だね…」
ローラ「私もとっても心配ー☆二人に会えないなんてそんなの悲しいー!」
魅音「今夜みんなで二人を捜さない?少年団の方にも声掛けしとくからさ」
レナ「そうだね、そうするべきだよ」
ローラ「おっけー☆」
魅音「家の中にはいないみたいだね…」
ローラ「えっとねー!それならね、一応開けて入ってみようよー!」
レナ「そうだね、じゃあ私家の鍵借りてくるから」
ローラ「おっけー☆」
魅音「やっぱりもぬけの殻…だね。って、レナ?冷蔵庫の中に二人はいないよ」
レナ「うん…分かってる。……そっか、なるほど」
魅音「…とにかく、今夜のところは解散だね。仕方ないけどさ」
レナ「……うん」
魅音「へ?な、なにさ、唐突に」
ローラ「ウフフ☆えっとねー!こういう寂しい時は一人になったら暗くなっちゃうんだよ」
レナ「みんなでいた方が、悪いように考えないでいい…って意味かな?かな?」
ローラ「そうなの!それでねー、私魅音ちゃんのおうちがとってもとっても見たくなっちゃったー☆」
魅音「ってことは、今からうちに?いや、それはちょっと無理だよ。ばっちゃも怒るだろうしさ」
ローラ「うそー!とってもザンネン!」
魅音「それに私もお泊まりって気分じゃないんだよ…。悪いね」
ローラ「おっけー☆」
レナ「じゃあ今日は帰ろっか。……みんなまた明日ね」
魅音「じゃあね」
ローラ「ばいばーい☆」
ピンポーン
詩音「…!?こんな時間に、誰…?」
魅音「えっと、どうしたの?なんか忘れ物?」
ローラ「そうだよー☆魅音ちゃんにお話するの忘れてたのー!ウフフ☆」
ローラ「ほんとにー☆ありがとー!うれしー☆」
魅音「ちょうど今みんな寝てるからさ」
魅音「で、話って何?」
ローラ「えっとねー、どこから話せばいいのかなー?ウフフ☆わかんなくなっちゃったー!」
魅音「アハハ。いいよ、ゆっくり話してくれれば、さ」
ローラ「ありがとー☆あのねー!」
魅音「うん?」
ローラ「沙都子ちゃんと梨花ちゃんはこのおうちのどこにいるのー?」
魅音「……は?」
魅音「いや、……聞こえたよ。ただ意味が分かんないだけどさ。なんで沙都子と梨花ちゃんがウチにいると思うの?」
ローラ「えっとねー☆わかんないのー!考えたんだけどよくわかんなくなっちゃったー!」
魅音「あははは、じゃあ完璧に勘違いだね。ここにはいないよ、以上。話ってそれだけ?」
ローラ「違うよー☆まだあるよー!あのねー」
魅音「おじさんも疲れたからそろそろ眠いんだけどなぁ~…」
ローラ「電話するの忘れちゃって、とってもごめんねー☆」
魅音「それは……詩音に言ったげなよ。おじさんは」
ローラ「言ってるよー」
魅音「…いや、だから」
ローラ「詩音ちゃん、ほんとにごめんねー!うっかりしてたのー☆」
魅音「……ローラ、あんたまさか……私が……」
ローラ「えっとねー!さっき何となく思ったのー!ウフフ☆当たっちゃったー!」
ローラ「うそー!ひどーい☆ずっと正直に言ってるよー!」
詩音「どこからどこまで気づいてるの?」
ローラ「えっとねー。よくわかんない☆」
詩音「じゃあアンタが今考えてること、全部話しなよ」
ローラ「おっけー☆」
ローラ「沙都子ちゃんと梨花ちゃんのおうちの冷蔵庫の中に、とってもおいしそうな冷や奴が入ってたのー」
詩音「ああ、レナが開けて確認してたっけ?」
ローラ「冷や奴にはお醤油とかかけてパクッと食べたらとってもおいしー☆」
詩音「だろうね」
ローラ「でもねーなかったの、あのおうちの中にお醤油」
詩音「……………」
ローラ「それで私思い出しちゃったのー!おうちにきた回覧板に、」
詩音「…『醤油、お裾分けします。』ってうちの名前と住所が書いてあったんでしょ」
ローラ「そうなのー☆私とってもびっくりしちゃったー!あ、わかったー!って☆ウフフ☆」
詩音「だから、二人がウチにきた。そして、その後姿を消した。そう言いたいわけ?」
ローラ「そうだよー!当たっちゃったー☆すごーい!」
ローラ「ウフフ☆」
詩音「アッハッハッハ!とんだ名探偵がいたもんだっ!参った参った、降参だよ!アハハハ……」
ローラ「ありがとー☆でもなんだかとっても悲しいー」
詩音「……そうだよ。私が、二人を殺した」
ローラ「あのねー!なんでそんなことしちゃったのかとっても気になるのー☆」
詩音「言ってもアンタにはわかんないよ」
ローラ「でも、どんな理由があっても人に酷いことをしちゃだめなんだよ」
詩音「っ………」
詩音「…行くってどこに?」
ローラ「きてー!おいでおいでー☆」
詩音「……外?」
大石「んっふっふ。ど~もぉ。ローラさん、ご無事で何よりです」
ローラ「おまたせー!ごめんねー☆」
レナ「ローラちゃん!……それと詩ぃちゃん、だよね?」
詩音「レナ……大石、これってどういうこと?」
大石「ローラさんから連絡を受けたんですよぉ。詩音さんと話をするから大石さんにも来てほしい、ってね」
レナ「私は明日お話しに行こうと思ってたの。でも、ローラちゃんが…」
ローラ「早くお話したいなーって思って、そしたら大石さんにもえいって電話しちゃったのー!ウフフ☆」
詩音「…なるほど。私が逃げ出さないように、根回しは完璧ってわけか」
ローラ「えっとーよくわかんないけどー、うーん、そうかもね☆」
詩音「……待って」
レナ「詩ぃちゃん…?」
詩音「ローラ、一つ聞き忘れたことがあったね」
ローラ「なにー?」
詩音「なんで、私が詩音だって気づいたの?」
ローラ「えっとねー!うーん、なんだっけー?あ、わかったー☆」
詩音「……………」
ローラ「魅音ちゃんは沙都子ちゃんと梨花ちゃんの友達だからだよー!」
詩音「……?どういう意味?」
ローラ「あのねー!友達はねー、なにがあってもぜったい友達にひどいことはしないんだよー!ウフフ☆」
レナ「…ローラちゃんは、ただ魅ぃちゃんを信じたんだよ。推理なんかじゃなくて、純粋に心から」
ローラ「そうかなー☆」
詩音「……そう、だね」
ローラ「ほんとー?ウフフ☆ありがとー!」
ローラ「おっけー☆」
詩音「……ごめんね、魅音を汚して……。私なんて、生まれてこなければ……」
ローラ「詩音ちゃん、そんなこと言ったらだめだよ」
詩音「…ローラ…」
ローラ「またお話しようねー!今度はちゃんと忘れないで電話しなきゃって思ったのー☆」
詩音「……ありがとう。待ってる」
ローラ「待っててねー☆」
ローラ「よしよし、よしよーし!」
レナ「……っ、う…沙都子ちゃん…梨花ちゃん……こんな結末、悲しすぎるよ……っ」
ローラ「ねー!私もとっても悲しいー☆」
レナ「もしも……もしもやり直せるなら、次はきっと……」
詩音「……次はきっと、間違えないよ……」
ローラ「おっけー☆私もがんばろっと☆」
だからねー!うーんと今日はもう寝ちゃおっかなー!
おやすみー☆明日また会えたらいいねー!
あ!でも落ちてたら会えないかもね!ウフフ☆
みんな夜更かしばかりしたらだめだよ。
これは続きが気になるな
ローラ「おっけー☆」
ほんとにおやすみー!
ローラ「なにそれー☆すごーい!聞きたーい☆」
ローラ「おっけー☆」
沙都子「あらあら私に勝てるとお思いですの?をーほほほ!」
梨花「みー☆ぼくだって負けないのですよ~」
レナ「あっ、ごめんね。今日おうちの手伝いがあって、すぐ帰らないといけないの」
ローラ「うそー!そうなんだ☆それってとっても悲しいー☆」
レナ「みんなまた明日ね、はぅ」
梨花「こんどはレナの番なのね…。……でもローラ、貴方ならもしかしたらこの惨劇を……?」
沙都子「仕方ありませんわよ、おうちの都合なんですもの」
ローラ「あのねー私もたまーにパパとママのお手伝いすることあるからすごいわかるよー!」
魅音「とにかく今日の部活はどうしよっかな~…。う~ん…。……おっ!おじさん閃いたよ!」
ローラ「うそー!ほんとにー☆聞きたーい」
沙都子「あらあら~なんだか面白そうじゃありませんこと?」
梨花「あそこにはオバケが出ますですよ、行かない方がいいのです」
ローラ「うそー☆それってとってもこわーい!じゃあやめとこっと☆」
魅音「ぶーぶー。いいじゃん行こうよ~。このままじゃ不完全燃焼でおじさん夜も眠れないよ!」
ローラ「夜眠れないのはだめだねー!じゃあ、うーん、そうだねー。おっけー☆」
沙都子「お、オバケなんて怖くないですわよね、ローラさん!」
ローラ「そんなことないよー!とってもこわーい☆」
沙都子「こっ、怖くなんかないですわよっ!」
梨花「……………」
沙都子「おー!」
梨花「……ローラ」
ローラ「なにー?」
梨花「少し二人でお話がしたいのですよ」
ローラ「おっけー☆」
梨花「ローラ。貴方は……友達を大事にしているのね」
ローラ「ウフフ☆そうかなー?ありがとー」
梨花「その気持ちがあったから、前の世界では最悪の結末だけは防ぐことが出来た」
ローラ「よくわかんないけど、うーん、だったらうれしー☆」
梨花「詩音が狂ってしまったら、魅音は殺される。その結末を防ぐなんて、あの世界ではありえないことだったから」
ローラ「ほんとー!やったね!ウフフ☆」
ローラ「そうなんだー!よーし、がんばろっと☆」
梨花「私も……貴方みたいにいつも笑っていられたら、一人でも運命に勇敢に立ち迎えるのに」
ローラ「そんなことないよー☆みんないっしょだから楽しくなっちゃうだけだよー!ウフフ☆」
梨花「ふふっ…そうね、多分貴方はそういう人間だわ。……さぁ、そろそろ行きましょうです。二人が待ちくたびれてぶーぶー☆なのですよ」
ローラ「おっけー☆」
レナ「――これで、お話はおしまい。後はこの死体を隠せば、全部終わるはずだったのに」
沙都子「レ、レナ…さん…」
梨花「……………」
ローラ「うーん!どうしよーどうすればいいのかな?ウフフ☆わかんなーい!」
レナ「分からなくていいよ。どうせ、もう"楽しい毎日"には戻れないんだから」
沙都子「レ、レナさん!」
魅音「待っ……!?」
梨花「……ローラ」
ローラ「レナちゃん、一人でどっか行ったらだめだよー!」
レナ「…っ!は、離してよ!私は、私は人殺しなんだよ!?私の手は…汚れてるの…!」
ローラ「あのねー!よくわかんないだけど、私今とってもとってもうーんってたくさん考えたのね☆」
魅音「か、考えるって何を…?」
ローラ「わかんなーい!なんだっけー忘れちゃったー!ウフフ☆」
ローラ「あ!そーだわかったー☆あのねーレナちゃん!」
レナ「ほっといてよ、私は……」
ローラ「悪いことした時はねー、ごめんなさいって言うんだよー!」
レナ「…………あ」
ローラ「レナちゃんはとってもわるいことしちゃったから、たくさんごめんなさいって言わなきゃいけないよ」
沙都子「ローラさん……」
ローラ「そしたらねーそのあとはみんなでまた部活するのー!ウフフ☆たのしー!」
魅音「…そうだよ。レナは罪を償わなきゃいけない。でも、それが終わったらさ、」
レナ「魅ぃちゃん…」
沙都子「…私達のところに、また戻ってきて下さいませね」
レナ「沙都子ちゃん…」
梨花「レナ、ぼくたちはいつまでもここにいるのですよ」
レナ「梨花ちゃん…」
ローラ「あのねー、とってもつらいときはね、友達に相談していいんだよー☆」
レナ「っ…そうだよね……、そうなんだよね…っ!」
ローラ「そうだよー!おっけー☆」
レナ「う…っ、…っ…ぅわああぁぁん…!!」
沙都子「大石さんも、レナさんの事情についてはなんだか分かってらっしゃるようでしたわね」
梨花「警察もそこまでおバカじゃないですよ。きっとレナに目星を付けていたと思いますです」
ローラ「うそー!それってとってもすごーい☆」
魅音「……あ、でもローラがいてくれて助かったよ」
ローラ「ほんとー☆ありがとー!どうしてー?」
魅音「もしローラがいなかったら、おじさんは『みんなで死体を隠そう』なんて言っちゃったかもしれない」
沙都子「そうですわね。私もそれに賛同していたと思いますわ」
ローラ「あ!それはね、とってもわるいことだからだめなんだよー!」
魅音「うん、分かってる。でも、そんなことしても結局何も変わらないのにね」
沙都子「そうですわね…」
ローラ「ほんとー!よかったーうれしー☆」
梨花「正直私も驚いているわ…。まさかこの段階でレナを救うことが出来るだなんて」
ローラ「そうなんだー!すごーい!ウフフ☆」
梨花「でも、この世界はきっとすぐに終わりを告げる。私が死ぬことで」
ローラ「しぬとか簡単に言ったらダメだよ」
梨花「ご…ごめんなさい。でも、これはもう決まっていることなのよ」
ローラ「決まっちゃってるんだー!それってとってもかなしー☆」
梨花「…私は、死にたくない。ローラ、貴方なら私の運命を変えられるかもしれない」
ローラ「ほんとー!よーし、それじゃあがんばろっと☆」
梨花「…ありがとう。次の世界でも、また仲良くしてちょうだい。貴方に会えるのを楽しみにしているわ」
ローラ「えっとねー!よくわかんないけど、うーん、おっけー☆」
梨花「う……、ん…ここは…」
羽入「梨花!あうあう…!起きて下さいです!」
梨花「…羽入、おはよう。私、やっぱりまた死んだのね」
羽入「…はい。今はみんなで裏山に遊びにきているところなのです」
梨花「私は……なんで倒れているのかしら」
羽入「あそこから落ちてしまいましたのです…あうあう」
梨花「ああ、そう。頭がズキズキする理由はソレね」
レナ「あっ!梨花ちゃーん!みんなー、梨花ちゃん見つけたよーっ!」
ローラ「ほんとー!よかったうれしー☆」
魅音「いやー捜したよ梨花ちゃん、大丈夫?」
沙都子「もぉ!梨花ったら、心配させますわね…!私心臓が止まりそうになりましたわ!」
梨花「みー…ごめんなさいなのですよ」
梨花「ええ。しかもそれが今のところ、この世界で三回目」
羽入「でも、梨花……他の人が来ても、きっと今回も無理なのですよ……」
梨花「いいえ、私はもう諦めないわ。これまでのローラのように、運命なんて軽く打ち破ってみせる」
羽入「…あうあう…あうあうあうっ」
梨花「ローラ、少し二人でお話がしたいのですよ」
ローラ「そうなんだー!おっけー☆」
ローラ「そうなんだー!よくわかんないけどそれってとってもすごいことだね☆」
梨花「今回も、何もしなければ私は誰かに殺されて終わる。……でも、私は諦めない。無限の六月を越える為、その為に貴方の力を貸して欲しい」
ローラ「おっけー☆わかったー!」
ローラ「うそー!それってなんだかとっても大変ー!」
梨花「途方もない苦労でしょうね。でも、お願い……私は、みんなと一緒にこの六月を越えたいの」
ローラ「そっかー!うーん、どうしよっかなー!じゃあおっけー☆」
梨花「ローラ、ありがとう…」
ローラ「いいよー☆」
羽入「あうあう、圭一は今都会で幸せに暮らしていますです」
梨花「そう…寂しいけど、良かったわ。次に、詩音が私達を殺す世界、この可能性は……無いとは言えないわね、残念ながら」
ローラ「そっかー!それってとってもかなしー☆」
梨花「そして、レナが間宮リナと北条鉄平を殺す世界。残念だけど、二人が殺されるとそれで全てが終わる。誰かが罪を犯してしまったら手遅れなのよ」
ローラ「えっとねーそれならみんながわるいことしないように、よーしって気をつければいいと思うよー!ウフフ☆」
ローラ「おっけー☆」
梨花「まずは惨劇の発生を未然に防ぐことが重要なの。私のことは、その後でも間に合うはずよ」
ローラ「わかったー!よーしがんばろっと☆」
レナ「ローラちゃん、あのね、レナもローラちゃんと二人でお話したいんだけど…いいかな?かな?」
ローラ「いいよー☆」
ローラ「えっとねー、うーん、そうだねー!パパとちゃんとお話したらいいと思うよー☆」
レナ「あっ……そっか、ちゃんと話せばきっと分かってくれる、かな?」
ローラ「だいじょうぶだよー!おっけー☆」
レナ「えへへ…そ、そうだよね。なぁんだ、簡単なことだったんだよね」
ローラ「ウフフ☆」
レナ「私ね、あんまり思い詰めすぎちゃって、…もうその女の人を殺すしかないかも…って考えちゃってたの」
ローラ「それはぜったいにダメだよ」
ローラ「おっけー☆ファイトファイトだよー!」
魅音「話は聞かせてもらったよ!」
レナ「あ、魅ぃちゃん!」
魅音「そういうことなら、この園崎家も一肌脱ごうじゃない!くっくっく!」
ローラ「ほんとー!すごーい☆」
魅音「その女がどういうヤツか、おじさんの方で調べてみるよ。レナはとにかくお父さんを説得しといて」
レナ「うん、ありがとう。魅ぃちゃん…」
ローラ「よかったねー!やったーウフフ☆」
レナ「ローラちゃんも本当にありがとう。困った時やつらい時は、友達に相談しなきゃだめだよね」
ローラ「そうだよー☆」
梨花「やっぱり……彼女なら運命を変えられる、間違いないわ」
羽入「あっ…で、でも期待しちゃだめですよ」
梨花「羽入、アンタまだそんなこと言ってるの?」
羽入「…あうあう」
梨花「分かってるのよ、アンタも感じてるんでしょう。これまでとは何かが違う、そう実感させてくれる不思議な高揚感を」
羽入「ぁ、あうあう!そ、そんなの感じてないのです!ないのですよ!あうあうあうあう!」
梨花「ふふ…素直じゃないわね。いいわ、直に嫌でも分かるでしょうから」
ローラ「うそー!ほんとにー?」
梨花「ええ。これで少なくとも一つ心配が減ったわ。後は詩音のことだけど…。あぁ、そういえば貴方はこの世界では詩音とはまだ……」
ローラ「あ!あのねー詩音ちゃん知ってるの!さっき言い忘れちゃったー!ウフフ☆ごめんねー!」
梨花「…?もしかして、前の世界の記憶が?」
ローラ「えっとー、うーん!よくわかんないけど、そうかもね☆」
梨花「やっぱり…これまでの世界とは確実に違う…!違っている…!」
ローラ「あ!思い出したー!あのねー最近お友達になったのー☆」
梨花「え。そ、そうなの…?」
ローラ「そうなのー!すごいいい子で楽しいよー☆ウフフ!」
梨花「そ、そう…。う、うん、まあいいわ」
羽入「圭一がいた世界では『人形』が鍵になっていましたですよ?」
梨花「けど、この世界ではそれがない。……そういえば、前の世界では何故詩音は……」
羽入「……梨花、それが分からないとぼくたちにはどうしようもないのですよ」
梨花「じゃあそれを調べればいいだけでしょう?いつまでもウジウジしてないで、彼女を見習ったらどうなのよ」
ローラ「なにー?ウフフ☆」
羽入「あうあう…そんな言い方酷いのですよ~…」
ローラ「おっけー☆わかった!まかせてー!」
詩音「わざわざお店に来てもらってすみません、今日突然シフト変更入っちゃって」
ローラ「いいよー!エンジェルモートのケーキとってもおいしー☆」
詩音「って、まだ食べてないじゃないですか!」
ローラ「あ!ほんとだー!間違えちゃったー!あのねーおいしいって思ったら、つい言っちゃったのー!ウフフ☆」
ローラ「うーうん、ちがうの!えっとねー詩音ちゃんって毎日楽しいー?私はとっても楽しいよー☆」
詩音「ふふふ、なんです?それ。妙な質問ですねぇ」
ローラ「うそー☆そんなことないよー!」
詩音「ん~……そう、ですね。いろんなことありましたけど、今は…うん、元気いっぱいで楽しい毎日ですよ」
ローラ「ほんとー!よかったー!うれしー☆」
詩音「あっ、そうそう、この前話したじゃないですか?私がいた学校のこと、それに私とお姉のこと」
ローラ「えっとねーうん、聞いたよー!とってもかなしくって私泣いちゃったー☆」
詩音「悟史くんのこととかも、結構洗いざらい話しちゃいましたよね。…でも、ローラさんなら話して良いかなって」
ローラ「ほんとにー!うれしー☆」
詩音「どうしてでしょうね?不思議と初対面な気がしなくて、ついつい話が弾んじゃって」
ローラ「あ!そうなのー!私もお話はじめちゃったらとまらないのー!ウフフ☆」
詩音「あぁ、分かります!それで、一人で抱えこむのを止めたら……少しだけスッキリしたんですよ」
ローラ「ほんとー!それってとってもいいことだよー☆」
詩音「そうですね。……もしかしたら私、こういう同年代の女友達が欲しかったのかもしれません」
不良A「おんだらあああああ!!!ごるあああ!!うぼああああああ!!!」
不良B「しゃあしたあああ!さあああ!!ほんじゃらああああ!!」
不良C「けえええええええいっ!!!」
詩音「ちょ…うるさ、ウザッ」
不良A「あああああああっっ!?テメエエェのされてえええんかああい!?」
ローラ「そういうことしたらダメだよ」
詩音「……え?」
ローラ「ほんとー!ウフフ☆あ!でもねーとってもこわかったのー!」
詩音「あの時、助けてもらって……『そっか、私は一人じゃないんだ』って不思議と思ったんです」
ローラ「ほんとー!うれしー☆」
詩音「ふふ、すみません。初対面でそんなこと考えちゃうなんてなんか変ですよねぇ」
ローラ「そんなことないよー!あ!でもねー、うーん、そうだね!ウフフ☆」
店員A「園崎さーん、レジおねがーい!」
詩音「あっ、は~い!今行きます!すみません、私そろそろ仕事に戻らないと」
ローラ「そうなんだー!とってもザンネンー」
詩音「私もです。今度はじっくりガールズトークしましょうね?」
ローラ「おっけー☆」
詩音「それじゃあごゆっくり!」
ローラ「うーん、よくわかんないけどそうかもね☆」
梨花「……フ、フフフ…。あはははっ!」
羽入「り、梨花…!?」
梨花「っ…すごい!すごいわ…!ねえ、羽入!運命ってこんなに簡単な物だったかしら!あはは……っ!」
羽入「り、梨花……でも、」
梨花「良いわ、分かってる。でも止めて、今とっても良い気分だから水を差さないでちょうだい?」
羽入「……………」
梨花「さあ、ほら!次は何!?どんな困難な運命だってかかってくるがいいわ!あははははっ!」
ローラ「ウフフ☆私もがんばろっと!」
羽入「あうあう…売り切れてしまっていて、遠くのお店まで買いに行ったのかもしれないのですよ」
梨花「そう……ね。そうよね、私の考えすぎよね」
レナ「梨花ちゃん…それ、本当なの?」
梨花「…はい…。昨日、沙都子は買い物に出たまま、ちっとも帰ってきませんでした。…それで、気になって北条家に行ってみましたです」
魅音「そしたらヤツがいた…ってわけだね」
レナ「……沙都子ちゃん、心配だね」
ローラ「うーん、どうしよっかなー☆」
梨花「…………沙都子が鉄平に捕まったら、おしまいよ」
レナ「梨花ちゃん、『おしまい』なんてそんな言い方間違ってるよ?」
魅音「そうだよ、私達で沙都子の為に何が出来るか考えよう」
梨花「無理よッ!無理なのよ!!沙都子は鉄平に身も心もズタズタにされてそれで終わり!!この世界じゃ、何度試しても沙都子は絶対に救えないッッ!!」
魅音「り……梨花ちゃん…?」
梨花「…油断してた、舞い上がってた、今度こそ越えられるって愉悦に浸ってた…ッ!!……何をッ…なにをやってるのよわたしは……ッ」
梨花「……ローラ……」
ローラ「よーし!沙都子ちゃんのためにみんなといっしょにがんばろっと☆」
梨花「だからッ…何をしても無理なのよ、北条鉄平を殺さない限りは…」
ローラ「なんでも無理って言ってあきらめるのはよくないよ」
梨花「…………」
レナ「ローラちゃんの言う通りだよ。私達の力で、かけがえのない友達を守ろう?」
魅音「梨花ちゃんが私達の知らない何かを背負ってるのは分かったよ…。でも、だからって私達が沙都子を救えないってことにはならないでしょ?」
梨花「……みんな……」
ローラ「そうだよー!みんなでいっぱいいーっぱい考えよー☆」
梨花「…うん……ありがとう…」
ローラ「おっけー☆」
レナ「沙都子ちゃんをおうちから連れ出すことは出来ないかな?少しでもどこかに匿えれば…」
魅音「いや、一応あっちは親の立場ってもんがあるからねぇ。誘拐騒ぎにでもされたらアウト、それこそ本当におしまいだよ」
ローラ「ほんとー!だめだねー☆こまっちゃったー!ウフフ!」
梨花「……確か鉄平は、間宮リナが失踪したら雛見沢に戻ってくるようになっているのです」
レナ「間宮リナ…って、もしかしてリナさん?」
魅音「あぁ、レナの親父さんに言い寄ってたタチの悪いヤツでしょ?」
ローラ「あ!それって確かとってもわるい人だねー☆」
レナ「ついでに沙都子ちゃんに家事をやらせれば自分は楽が出来るもんね。卑劣なヤツ…」
魅音「ったく…どうにか警察を動かすことが出来れば、鉄平にその罪をなすりつけてやんのにね!」
ローラ「そういうことするのはだめだよ」
梨花「冤罪なのですか…?」
レナ「ううん、そっちじゃなくて警察。私達は、結局何をしても子供だよね?大した力はないよ」
魅音「そう…だね。悔しいけど」
レナ「だから、大人の力を借りるって考えは間違ってないんじゃないかな、ってそういう意味」
ローラ「そっかー!それじゃあえらい人におねがいしてみよっと☆」
魅音「って言っても……そんなツテある?」
レナ「うん……そう、なんだよね……」
ローラ「あるよー☆」
魅音「えぇっ!?あ、あるの!?」
ローラ「えっとねー☆警察の人でいいのかなー?」
梨花「…?まさか……大石なのですか!?」
ローラ「そうだよー!なんとお友達なのー!ウフフ☆びっくりしちゃったー!」
ローラ「えっとねー!わるい人からたすけてもらったの!ウフフ☆」
レナ「はぅ?悪い人?」
ローラ「そーなの!髪の毛がミサイルみたいになってる人たちなんだよ!びっくりしちゃったー☆」
魅音「あれ…?そういえば詩音もそういう変な髪の不良に絡まれたって言ってたような」
ローラ「あ!そうなのー!じゃあよくわかんないけど、たぶんおんなじ人だね!」
魅音「え?じゃあ不良から詩音を守ったのってローラだったの!?」
ローラ「あ!ほんとだー!そうかもね!ウフフ☆」
梨花「その時に大石に助けられたのですか?」
ローラ「そうなのー!ぐーぜん通りかかったんだってー!すごーい☆」
羽入「過去の二つ、どちらの世界でもローラは事件解決の為に一役買っていますです」
梨花「つまり、大石が記憶継承まではしていなくても、」
羽入「無意識の内にローラに対して信頼を置いていても、おかしくはないことなのです」
梨花「やっぱりそうとしか思えないわよね…。彼女の可能性に関しては、私達には計り知れない物があるみたいだし」
羽入「梨花、だからといってあまり期待するのは…」
梨花「分かってるわよ。今回のことは、バカみたいに舞い上がっていた私にも責任がある。……でも、諦めるつもりはないわよ」
ローラ「おっけー☆だいじょうぶー!」
魅音「梨花ちゃん?何か良い策でも思いついたの?」
梨花「良い策とまでは言えませんが、警察が味方につくなら、これが一番手っ取り早い方法なのですよ」
レナ「…自信はあるんだね、梨花ちゃん」
梨花「ありますですよ、ぼくにお任せなのです。にぱー☆」
鉄平「なんべん同じこと言わすんじゃ!このダラズ!!」
沙都子「きゃあぁぁ!!…ごっ…、ごめんなさい…ごめんなさいっ、ごめんなさい……っ!」
鉄平「沙都子ぉ、お前がそういう態度ならあの部屋メッチャクチャにして二度と悟史が帰ってこれんように……」
沙都子「に…っ、にーにーのお部屋には手出しは無用ですわ…!」
鉄平「………ケッ!その臭い頭でも洗ってこんかい!」
沙都子「っ…は、はい…」
ピンポーン
鉄平「あ?ったく、どこのどいつじゃ!こんな時間に…」
ローラ「ハーイ☆ローラだよー!」
鉄平「………なんね、お前。ガイジンさんかい」
ローラ「あのねー!私は沙都子ちゃんのお友達なのー!ウフフ☆」
鉄平「…沙都子は風邪で寝込んどる」
ローラ「あ!うそー!ほんとー☆そうなんだー!」
鉄平「分かったらとっとと帰r」
ローラ「そっかー☆うーん、そうだねー。じゃあどうしよっかなー」
鉄平「だかr」
ローラ「ウフフ☆こまっちゃったー!あ!じゃあねー私が」
鉄平「ァァアアア!!じゃかあしい!!ピーピー騒がんねえッ!!」
ローラ「あー!いきなり大声でびっくりしちゃったー!ウフフ☆だめだよーそんなことしたらー!」
鉄平「チッ!……ガイジンさんよぉ、そのイラつく口……いっぺん塞いだらああああ!!」
ドガッ
梨花「つ…っ!」
鉄平「…あ?なんじゃい、このガキゃあ。いきなり前出てきよって」
大石「はいはいストップストップー。警察ですよー」
鉄平「なっ…!?」
鉄平「ち、ちが…こいつらが人ん家に押し入ろうとしてピーピー騒いでッ…」
魅音「あれれ~?私達は沙都子ちゃんが心配で来ただけなんだけど~」
レナ「それに北条さん、貴方今どこに立ってますか?」
鉄平「ど…どこって外に」
レナ「へぇ、それじゃあわざわざ外に出てまでして殴り掛かってきたってことですよね?」
鉄平「ッッ……!!」
魅音「つまり、私達は一歩も北条家に押し入ったりしてないってことさ。ローラ、O.K?」
ローラ「おっけー☆」
大石「さぁて、詳しいことは署でじっくりと」
鉄平「ちょ、まっ…!!待たんかいッ!!」
大石「皆さんもご協力感謝しますよぉ。私が"たまたま"通りかかって良かったですねぇ~。んっふっふ」
ローラ「ほんとー!びっくりしちゃったー☆ウフフ!」
魅音「あっはっは!二人共、とんだタヌキだねえ!」
ローラ「ひどーい!タヌキじゃないよー!あ、でもいっかー☆」
梨花「みー…一番にぼくを助け起こしてほしかったのですよ」
レナ「はう~…ご、ごめんね梨花ちゃん」
梨花「…冗談なのですよ、にぱー☆それに、ローラには怖い思いをさせてしまいました。ごめんなさいなのです」
ローラ「そうだねー☆とっても怖かったよー!でもねー、まあいいやー!おっけー☆」
レナ「ローラちゃん、これは冤罪じゃないからいいよね?」
魅音「だね。アイツが殴り掛かってきたりしなけりゃ、しょっぴかれることもなかっただろうしさ!」
梨花「一番悪いのは鉄平なのですよ、にぱー☆」
ローラ「よくわかんないけど、うーん、そうだね☆」
梨花「つまり、沙都子は……」
レナ「もう苦しまなくていい、ってことだね」
ローラ「うそー☆ほんとー!やったねー」
沙都子「…っ!?み、皆さん…どうしてここにいらっしゃるんですの…?」
梨花「沙都子……みんなが助けてくれましたです。もう鉄平に怯える必要はないのですよ」
沙都子「な、何言ってるんですの?わ…私は別におじさんのことを…」
魅音「もう、いいんだよ。沙都子、全部終わったんだ」
レナ「もう沙都子ちゃんをいじめる人は、この家にはいないんだよ」
沙都子「で…でも私はにーにーの為に頑張らなきゃ、しっかりしなくちゃって…思ってますの…!だから…っ」
ローラ「あ!そうだったんだー!沙都子ちゃんすごーい、がんばったよー!ウフフ☆」
沙都子「…だから…っ、わたくしは……」
ローラ「えらいよー沙都子ちゃん!私も負けないようにがんばろっと☆」
沙都子「…っ……ふ、ふわあああん…!!えっ、えらくなんか…っ、えらくなんかないですわあぁっ……っ」
ローラ「うそー☆そんなことないよー!ウフフ☆」
魅音「もし辛いなら、もう二~三日は学校休んでも…」
沙都子「いいえ、明日はぜったいぜぇーったい登校しますわよ!皆さん私がいなくて寂しいでございましょう?をーほほほほ!」
ローラ「そうなのー!とってもさみしー!あ、でもうれしー☆」
梨花「ひとまずはこれで一息つける…ってことでいいのかしらね」
羽入「あうあう……惨劇が起こる可能性は、多分少ないと思います」
梨花「少ないというか、ゼロよ…ゼロ。……後は私が、殺されなければ……」
羽入「……………」
梨花「…今度こそこの六月を越えられる…。いけるわ、今の私達ならきっと」
たこ焼き食べようかな!あ!買ってなかったー!かなしー☆
またねー!
あのねーたこ焼き作ろうと粉をたーくさん練ってたのー!
そしたらねー!なんと、ホットケーキになっちゃったー!
とってもかなしー!あ、でもおいしー!ウフフ☆
沙都子「おはようございますですわ、をほほほ!」
梨花「おはようなのです、にぱー☆」
レナ「はう~!今日も二人共かぁいいよお~☆」
ローラ「ほんとだー!すっごくカワイイー私もがんばろっと☆」
魅音「おっと、そういえば明日は綿流しだね!」
レナ「あっ、そうだったね~!すっかり忘れてたよ、はう」
沙都子「あらぁ~私はバッチリ頭に焼きつけておりましたわよ?」
魅音「今年も部活メンバーが暴れ回るよー!」
レナ「おー!」
沙都子「おーですわ!」
梨花「おーなのです!」
ローラ「おっけー☆」
レナ「梨花ちゃんの演舞も楽しみ楽しみ~っ」
梨花「そうね……そして綿流しの夜に、鷹野と富竹が死ぬ」
羽入「こればかりは避けようがない運命なのです…」
梨花「…本当に、そうなのかしら」
羽入「ど、どういう意味なのですか?梨花」
梨花「私は、ただ私の大事な人達さえ救えればそれで良いと思っていたわ。……でも、」
羽入「……?梨花、まさか貴方は…」
梨花「ええ、そのまさかよ。……鷹野と富竹の死を、止める」
羽入「梨花、落ち着いて下さいっ!いくらなんでも、それは出来るはずがないのですよ!」
梨花「そんなのやってみないと分からないじゃない。そもそも二人の死から、私達の世界は歪み始めるのよ?」
羽入「そ…それは……でも…あう、あうあう」
梨花「だったら二人が死ななければ、惨劇そのものが始まらない…。そう考えても良いんじゃないかしら」
羽入「あうあう……あうあうあう。梨花、全てを求めるのはあまりに無謀過ぎますです」
梨花「分かってるわ。でも、救えるかもしれない命を見捨てて六月を越えても、なんだか夢見が悪いじゃない」
羽入「…梨花…ぼくは、ただ梨花が悲しむ姿はもう見たくないだけなのですよ…」
梨花「そう。じゃあアンタは黙って目を閉じてなさいよ、私は仲間達と一緒に考えるから」
沙都子「な…なんだか物騒な話ですわねぇ~…」
レナ「ほ、本当なの?梨花ちゃん」
梨花「説明をするのは難しいですが、これは間違いないのです」
ローラ「うそー☆それってとってもこわーい!」
魅音「…だけどさ、私達子供の言うことをおとなしく聞き入れてくれるかねぇ」
沙都子「それは確かに難しいですわね…」
魅音「四六時中張り付いて守るってわけにもいかないしね」
ローラ「あ!そうだねー☆うーん!とってもむずかしいー!」
レナ「それこそ聞き入れてもらえないんじゃないかな。沙都子ちゃんの時とは違って、状況証拠すらないからね」
魅音「…まあこうしてたってラチがあかない!とにかく明日の綿流しの日は、極力二人から目を離さないようにしよう」
ローラ「おっけー☆がんばろっと!」
梨花「みんな…ぼくを信じてくれてありがとうなのですよ」
魅音「なーに言ってんの、当然じゃん!」
レナ「私達はみんな大事な友達だもん」
沙都子「お互いを信じなくてどうしますの?をーほほほ!」
ローラ「そうだよー!よかったねー☆私もうれしー!ウフフ☆」
梨花「こんにちはなのです」
魅音「やぁ~悪い悪い、準備に手間取っちゃってさぁ」
レナ「はう~!遅れてごめん~」
ローラ「綿流しとっても楽しみだねー!ウフフ☆」
詩音「あら?ローラさんじゃないですか、はろろ~ん☆」
ローラ「ハーイ☆ローラだよー!」
魅音「げっ!し、詩音!」
詩音「げっ、ってなんですか?失礼な…。みんなで遊ぶなら私も誘ってくれたって良いじゃないですか~」
沙都子「あら、詩音さん!なんだかご無沙汰してましたわねぇ」
詩音「まっ、いろいろバイトとか忙しくって。その分今日は遊びますよ!私も仲間に入れて下さいねっ」
ローラ「おっけー☆」
レナ「はう~!詩ぃちゃんも一緒だね、だね♪」
魅音「ぶーぶー!イジワル詩音はあっちいけーっ!」
詩音「べーっだ!」
ローラ「そうなんだー!とってもザンネンー!でもたのしみー☆」
詩音「期待してますよ、梨花ちゃま~!」
魅音「…さて、そんじゃ鷹野さんと富竹さんを捜すとしようか」
詩音「え?お祭りに繰り出すんじゃないんですか?」
沙都子「それが少し事情がありまして、二人を監視しないといけないんですのよ」
詩音「あらあら~。なんだかお祭りより面白そうな話ですね、ふふふ♪」
ローラ「えっとーそれはどうかなー?あっ、でももしかしたらそうかもね☆」
ローラ「うそー!それってとってもたのしそー!」
レナ「二人で写真…。はう~ラブラブだねえ~…」
ローラ「なんだかちょっとやらしーね!ウフフ☆」
魅音「じゃあ全員で手分けして捜して、見つからなかった者はここに集合。そして戻ってきてない者のところに全員で向かって合流、ってことでいい?」
ローラ「おっけー☆バッチリー」
沙都子「ええ。では私は早速行きますわよ!」
レナ「レナはこっちの方を捜してみるね」
魅音「みんな、健闘を祈るよ!じゃー解散っ!!」
鷹野「…あら、ローラちゃん。一人ぼっちでどうしたの?」
ローラ「うそー!あ!見つけちゃったー☆」
鷹野「あら、もしかして私とジロウさんを捜してたのかしら?」
ローラ「そうだよー!みんなで捜してたのー」
鷹野「……ふぅん、そうなの」
ローラ「ほんとー!ありがとーとってもうれしー☆」
鷹野「いいのよ。……クスクス」
ローラ「あ、そうなんだー!それじゃおじゃましちゃおー☆」
富竹「…!?ローラちゃん、どうしてここに……す、すぐに逃げるんだ!」
ローラ「わー!すごーい!富竹さんたくさん手錠付いてるー!かわいそー☆」
鷹野「あらぁ、逃げる必要なんてないわよぉ……私達みんなで仲良くしましょ?」
鷹野「あら、嫌よぉ…。私は"この日の為"に今日まで生きてきたんだから…」
ローラ「そうなんだー!よくわかんないけどすごいねー☆」
鷹野「今日が雛見沢の終わりの始まり…!私達の死は引き金に過ぎない…!!」
ローラ「ウフフ☆え?あ、ごめんねー!よく聞こえなかったのー」
鷹野「古手梨花の死によってもたらされる雛見沢の死…。そして、私は全く新しい伝説の神となって生き続ける!そう…"オヤシロさま"としてッ!!」
ローラ「うそー!ほんとー?がんばってー☆」
鷹野「…………貴方、今の状況分かってるのよね?」
ローラ「わかってるよーとってもこわーい☆ウフフ!」
ローラ「えー!そんなのひどーい!だめだよそんなこと言ったらー!ウフフ☆」
鷹野「…………ジロウさんの前に貴方から片付けてあげようかしら。死体は二つあればいいけど、隠せば問題ないものねぇ」
ローラ「そういうことは言ったらだめだよ」
鷹野「っ…!あ…、あらあら、何よ。凄んだって無駄よ、こっちには銃があるんだから。クスクス…」
富竹「や…やめろ、その子は何も関係ないッ!!」
鷹野「関係ならあるわよぉ…?貴方なのよねぇ、私が蒔いた絶望の種をことごとく踏み潰して邪魔してくれたのは…」
ローラ「えっとねー!よくわかんないけどそうかもね!ウフフ☆」
鷹野「おかげで台無し…。いったいどんな手を使ったのかしらぁ、最期に教えてくれない?」
ローラ「そうだねー!どうしよっかなー、うーん、おっけー☆」
鷹野「ッ…この!私のことを馬鹿にして…ッ!!」
富竹「…!!や、やめ……」
魅音「そこまでだよ」
鷹野「…!?」
レナ「あっ、動かないで下さいね。私の鉈が鷹野さんの首を狙ってますから」
詩音「ちなみに私のスタンガンも、鷹野さんの大事なとこに当たってますからお忘れなくです☆」
沙都子「ローラさん!お怪我はありませんこと!?」
ローラ「うん!おっけー☆だいじょうぶー!」
富竹「き…君達っ…」
梨花「富竹が手錠プレイをされているのです、かあいそかあいそなのですよ。にぱー☆」
鷹野「どっ…どうしてここが…?や、山狗は何をしているのよ…っ!?」
魅音「はーい、傾注傾注ー!鷹野さーん、山狗ってのはこいつらのことー?」
詩音「車のまわりを固めてらしたんで、軽くのしておきました♪」
沙都子「よわよわのへぼへぼでしたわね~!をーほほほほ!」
山狗A「す…すんません、こいつらガキのくせになんか妙に強くって…っ」
ローラ「そんなことないよー!ウフフ☆あ、でもそうかもね!」
魅音「レナ、富竹さんの手錠を切ってあげて」
レナ「うん。……少しじっとしてて下さいね?」
富竹「あ、ああ…くれぐれも慎重に頼むよ」
鷹野「けど居場所を知らせる暇はなかったはず…。この子の後を追ってきたとでもいうの?」
沙都子「おあいにく様ですわね、それは鷹野さんの運が悪かっただけですのよ」
詩音「梨花ちゃまが突然駆けてきたんですよ、演舞の準備もほったらかして」
レナ「『ローラが鷹野に捕まったのです』、って梨花ちゃんが偶然見かけたみたいで、私達に教えに来たんです」
梨花「にぱー☆ぼくはオヤシロさまの巫女ですよ、ぼくの目はごまかせないのです」
梨花「ああもう、うるさいわね。あの場でそんな説明する時間なかったでしょう?」
羽入「あうあう!あうあうあう~!!」
梨花「ていうかさっきのアンタ、鷹野が犯人だって分かってたような口振りだったじゃないの」
羽入「そそっ、それは、えとあのその~…っ」
梨花「その辺は後でじっくり聞かせてもらうわよ、激辛キムチのおかずにね」
羽入「あう!?あうあうあう…!!」
梨花「……でも、ありがとう。羽入。あなたがいなかったら、多分ローラを助けられなかった」
羽入「……り、梨花…」
梨花「信じてくれたんでしょう?私達を。そして、誰よりもローラのことを。だから力を貸してくれたのよね?」
羽入「……そうかもしれないし、そうじゃないかもしれません」
梨花「何よ、煮え切らないわね?」
羽入「……確かに、ぼくも今回の世界に全てをかけてみたくなったのかもしれません」
梨花「そう、じゃあ私と一緒ね」
羽入「……いいえ、梨花。ぼくと貴方は違います」
梨花「はぁ…。アンタね、さっきから何が言いたいのよ?」
羽入「……直に分かりますですよ」
鷹野「…………ジロウ、さん」
富竹「さあ、もう行こう。…君はまだ何もしていない。今なら、やり直せるんだ」
鷹野「…………ジロウさん、そんな言葉はやめて。惨めなだけだわ…」
富竹「…………」
鷹野「一人で、歩けるから」
魅音「よっしゃ!部活メンバーの大勝利~っ!」
レナ「はう~…なんとかなったねぇ」
沙都子「はぁ…なんだか力が抜けましたわ…」
詩音「私もです…。実際かなーり危ないとこでしたよね、これって…」
ローラ「うそー!ほんとー?あ、でもね、私もとってもこわかったー!ウフフ☆」
魅音「でも、びっくりだね。鷹野さんがあんなことするなんて…」
レナ「梨花ちゃんを殺す…とか、そういう話もしていたんだよね?」
梨花「はいですよ、この耳でしっかり聞いたのです」
沙都子「でもそんなのどうやって聞いたんですの?」
梨花「にぱー☆」
ローラ「よくわかんないけどすごーい!あ、そういえば私もそういう話を聞いたかもしれなーい☆」
詩音「梨花ちゃまはともかく、ローラさんは絶対に嘘つきませんしね。ふふふっ」
ローラ「そうかなー!そんなことないよー☆」
梨花「みー、ぼくはいつも正直者なのですよ~?」
レナ「…?ローラちゃん、どうしたの?」
ローラ「鷹野さーん!富竹さーん!」
鷹野「……?何かしら。負け犬をあざ笑いに来たの?」
富竹「ローラちゃん…。今はそっとしておいてあげて欲しいんだ…」
ローラ「あのねー。さっき屋台で買ったのー!とってもおいしいから二人で食べてねー!ウフフ☆」
富竹「……た、」
鷹野「……たこ焼き?」
ローラ「そうなのー!たこ焼きって知ってるー?笑っちゃうくらいとってもおいしいんだよー☆すごーい!ウフフ!」
富竹「……えっと。一緒に食べるかい?」
鷹野「……そう、ね。冷めない内に」
鷹野「…おいしい」
富竹「うん、そうだね」
鷹野「……あら、ジロウさんったら口元にソースが付いてるわよ」
富竹「えぇ?ほ、本当かい?ははは」
鷹野「取ってあげるわ……じっとしていて。……クスクス」
ローラ最強www
梨花「そうね。村中の人間が全滅する雛見沢大災害が起こる日だったわね。21日は」
羽入「はい…」
梨花「でも、もうそんなことも起こったりしない。ふふふっ…今日はみんなで何をして過ごそうかしらね」
羽入「…梨花、今日は学校をお休みしてはどうですか?」
梨花「何言ってるのよ、這ってでも行くわよ!みんなが待ってる学校に」
沙都子「梨花ーっ?早く行かないと遅刻してしまいますわよー!」
梨花「みー!わかりましたのです~っ。…ほら、行くわよ、羽入!」
羽入「…梨花。"みんな"では、ないのですよ」
梨花「みー☆ちょっぴり遅刻してしまいましたのですー!」
沙都子「んもーっ!梨花のせいですわよ~!」
魅音「あっ、梨花ちゃん、沙都子おはよう!今日は遅かったじゃん」
レナ「はう~。危なかったねぇ。おはよう、二人共!」
梨花「にぱー☆おはようございます、なのですよー♪」
魅音「あれれ?梨花ちゃんってばなんかご機嫌じゃない?」
沙都子「全くもう…、そうですの、朝からずーっとニヤニヤしていましてよ。おかげで危うく大遅刻しそうに…」
レナ「あはは、そんな梨花ちゃんもかぁいいよ~☆」
魅音「こらこら、レナおちつきなってば~。そろそろ先生来るよ?」
魅音「あぁ、いや、それがさ…ねぇ?レナ」
レナ「うん、ローラちゃんね。今日待ち合わせ場所に来なかったの」
魅音「だから、二人でローラの家の方まで行ってみたんだよ。でも、いくら待っても誰も出てこなくて」
レナ「どうしちゃったのかな?かな?」
沙都子「あら…それはなんだか心配ですわね」
梨花「…き、きっと風邪でもひいてしまったのですよ!放課後に、みんなでお見舞いに行きましょうです!」
魅音「おっ、それいいね~!」
魅音「おっと。じゃ、お見舞いの話はまた後でねっ」
レナ「はう~!ローラちゃんのおうち、きっとかぁいいよ~☆」
沙都子「ご両親がどんな方なのかも見てみたいですわね、をほほほ」
梨花「……大丈夫よ。何も起こるはずがない、何も……」
魅音「…ん、なんだろ?」
梨花「…っ!?」
知恵「今日までこのクラスの一員として、みんなのお友達として一緒に過ごしたローラさんが……」
知恵「ご両親のお仕事の都合で、転校することになりました」
梨花「……え…っ」
レナ「ほ、本当なんですか?知恵先生」
知恵「…先生も驚きました、突然のお話でしたから。貴方達は何か聞いていませんでしたか?」
魅音「いや……私達も、な、何が何だか……」
沙都子「じ、じゃあ今日レナさんと魅音さんが、おうちに行っても誰もいなかったのは……」
知恵「…ええ。もうあの家には、ローラさんもご家族もいないんですよ」
ローラカッコ良すぎワロタ
羽入「……………」
梨花「……嘘でしょ、なんで。…そ、そうだわ!きっと山狗か何かが手を回してあの子を…」
羽入「梨花…」
梨花「は…羽入、今すぐ戻るわよ!今度はローラの運命を変えるために私は」
羽入「……梨花っ!!」
梨花「っ……!」
羽入「……これは、決まっていることなのですよ」
梨花「決まってる…?何よ、それ!!運命だなんて言わないでよ!?」
羽入「…あるいは、これこそが"運命"と呼ぶに相応しい物なのかもしれませんね」
梨花「…どうしてよ…。アンタ、なんでそんなことが分かるのよッ…!」
羽入「梨花……これまでのローラがいた世界を、ぼくは見ていたのですよ?」
梨花「……知ってた、ってこと?」
羽入「……はい。梨花は死んでしまっているから、知らなくても無理はないのです」
梨花「っ…!!なんで、さっさと言わないのよ…!なんでそうやって大事なこと…っ、すぐ言わないのよ!?」
羽入「言ったら、貴方はどうしましたか。笑顔で彼女に別れを告げられましたか?」
梨花「それは…っ、でも……」
羽入「貴方にとっては歴戦を駆け抜けたかけがえのない友でしょう。けど、彼女にとっては貴方は……」
梨花「……ローラにとっては、私はただの友達って言いたいの……?」
梨花「………う、っ……うぐっ、ぅぅ…っ」
羽入「…でも、ローラはこれまでの世界とは違う方法で、梨花達と別れました」
梨花「っ…、……?」
羽入「今日、ローラはみんなの前で、いつもと変わらない笑顔を見せて言ったのですよ」
ごめんねー!ばいばーい☆
梨花「っ、……ローラらしいわね…」
羽入「でも、この世界では何も言わずにみんなに内緒で去ってゆきました。その理由はぼくには分かりません」
羽入「…でも、もしかしたらローラは、こう思ったのかもしれません」
羽入「『みんなと笑顔でさよならができない、だからこっそり出て行こう』と」
梨花「……それは、ただのアンタの期待でしょ?」
羽入「ぼくはこれからの世界は、何事も期待をして生きていくことに決めましたですよ?あうっ♪」
梨花「そう、か。でも、そうね…。もしも、そうだったら…」
梨花「…私達はローラにとって、友達以上の関係と思ってもらえたってことになるわよね…?」
羽入「はい。なりますです」
梨花「……うん」
梨花「あっ」
羽入「…?どうしましたか、梨花」
梨花「…ふふ、今聞こえたわ」
羽入「何が聞こえたのですか??」
梨花「……………」
羽入「……………」
梨花「えっとねー、ナイショー」
羽入「あうあう!?ご、ごまかしましたです~っ!!」
梨花「ふふふ。私とローラだけの秘密よ」
いつか、みんなでローラに会いに行こう。
焦る必要なんかないわ。
私には、私達には、時間は有り余るほどあるんだから。
だから、その時が来たら、貴方は変わらない笑顔で私達を迎えてちょうだいね。
うれしいけどなんだかとってもさみしいー!ウフフ☆
乙☆
とてもよかったよー
おっつー☆
すごくよかったよ~!☆
ハーイ!おっつー☆
圭一「おわっ!?す、すいません、前見て歩いてなくて。大丈夫ですか?」
ローラ「あ!うん、ぜんぜんおっけー☆だいじょうぶー!」
圭一「…妙に明るいですね」
ローラ「そうかなー?でも、そうかもねー☆」
圭一「あ、はい、確かそういう名前の村だったかな…。家族でそこに引っ越しなんですよ」
ローラ「うそー!そうなんだー☆よかったねー!とってもいいとこだよー」
圭一「そうなんですか?」
ローラ「そうなの!楽しいー☆」
圭一「あっ、ってことはもしかしてあなたも雛見沢の……」
ローラ「あー!そろそろ時間だー!行かなきゃー☆」
圭一「え!?あ、はぁ。すいません、引き止めちゃって」
ローラ「おっけー☆じゃあねー、ばいばーい☆」
圭一「…雛見沢、か。あの人のおかげで、ちょっと楽しみになってきたな…」
とっても感動してちょっと泣いちゃった!ウフフ☆
ホントにおっつー☆
うーん、忘れちゃった☆
あ!思い出した!お疲れさまー☆オッケー☆たこやきー、ウフフっ☆
>>1乙ー!ウフフ☆
Entry ⇒ 2012.04.15 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
エルフ「ふう、やりすごせたかしら」少年「ん、何か動いたような」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333351368/
少年「うわっ!?」
エルフ「――な、なんだ、子供かぁ」フゥ
少年「ご、ごめん。驚かせちゃったみたいで」アセアセ
エルフ「べ、別にいいわ。それと、驚いてなんてないし」プィ
少年「お姉さん、見ない顔だけどこの辺りの人なの?」
少年(……耳長いな。それに、銀色の髪なんて初めて見た。僕よりは年上っぽいけど)
少年(服も体も泥だらけだし、お風呂入ってないのかな――って)
少年「その手と足……どうしたの?」
エルフ「……これ、は」
少年(……鉄の鎖。……このお姉さん、一体?)
エルフ「……っ!」ビクン
少年「ん、誰だろ?」
エルフ「……ぁ……ぁ」ガチガチ
???「今のうちに大人しく出てきた方が身のためだぞ! ひどい目に遭いたくなければ早く出てこい!」
少年「……ねぇ、あの人たち知り合いなの?」ヒソヒソ
エルフ「……行って」
少年「……え」
エルフ「早くここから離れなさい。厄介事に巻き込まれたくないでしょ」
少年「……もしかして、追われてるの?」
エルフ「……子供には関係ないわ」
エルフ「……くっ」
少年(……うるさいなぁ)ムカ
少年「さっきからなんなんだろうね、あいつら。いい大人が怒鳴り散らして――って」
エルフ「……」ブルブル
少年(……完全に怯えちゃってる。気、強そうなのに、よっぽど怖い思いをしたのかな)
???「どこにいるんだぁ? 早く出てくればそれだけお仕置きが軽くてすむぞぉ?」
エルフ「……や。こ、声、少しずつ近づいてくる」カタカタ
少年「……お姉さん、こっちきて」ギュ
エルフ「……ちょ、ちょっと!?」ヒソ
少年「大丈夫、隠れるのに絶好の場所があるから」
男1「焦るな。あの状態でそう遠くまでいけるはずは――」
男2「……しっ!」バッ
――ガサ
男1「……木の上だ! ――って、なんだ、子供かよ」
少年「……よいっしょ! ふぅ、やっと届いた」モギモギ
男2「大方近くの村民だろう。一応見かけたか聞いておくか?」
男1「そうだな。――おい、そこの木登り小僧!」
少年「……ん、それって僕のことー!?」ガサ
男2「おまえ以外に誰がいる! この辺りでおまえより少し歳上くらいのガキを見なかったか!? 銀髪の女だ!」
少年(……やっぱり、あの子を探してるのか)
男1「……ち、本当に知らなそうだな」
男2「おい、そこからどこかに女が隠れているのが見えないか!?」
少年「めんどいなー、ちょっと待ってね。――うーん、この辺りにはいないみたいだけど?」
男1(こっちには来ていないか)
男2(そのようだな、もう少し山側の方へ迂回するか)
男2「知らんならいい、邪魔したな!」クルリ
少年「――行ったか」ヨジヨジ
少年(これだけ離れていれば平気かな)スタッ
――さて、早速捥ぎ立ての>>10を持っていこう
①水分補給には蜜柑だよね
②ここはワイルドに林檎でしょ
③バナナンバナナンバ・ナ・ナ♪
過ぎたら次番
エルフ「……っ!」ビクン
少年「あ、僕だよ」
エルフ「……み、見ればわかるわよ! それより、連中は?」
少年「今は見当違いの方を探してるけど、まだしばらくは探し回る気みたいだね」
エルフ「……でしょうね、手足がこの状態では、そう遠くには逃げられないことがバレてるもの」
少年「ま、ここで大人しくしていればそのうち諦めるでしょ」
エルフ「……だといいけど」
少年「その手の板は、道具なしで壊すのは難しそうだね」
エルフ「……そうね」
少年(でも、材質はほとんどが木で出来ているみたいだし、村に戻ればどうにでもなるかな)
少年「――あ、そうだ。お姉さん、お腹空いてない?」
エルフ「お腹? そ、そうね。空いてないこともないわね」
少年「ならちょうどよかった。バナナ見つけたから捥いできたんだ――ほら」ボロン
エルフ「……う、その」チラ
少年「――っあ、ごめん、気が利かなくて。その手じゃ食べられないよね」ムンズ
エルフ「……」ゴクリ
少年(と、とても食べたそうだ)
少年「ちょ、ちょっと待ってね。皮剥くから」ムキムキ
エルフ「……わ、悪いわね」
少年「ううん、じゃあ口開けて。はい、アーン」
エルフ「……ぁー」アーン
少年「どぉ? 美味しい?」
エルフ「……ええ。ちょっと大きいけど、甘くておいしいわ」
少年「ほんと? よかった!」
エルフ「……ぁー」アーン
少年「あ、ごめんね。――はい」グイ
エルフ「……あむ」ムグムグ
少年(えへへ、よかった。美味しそうに頬張って――)
エルフ「……う」ブワァ
少年「え、あ、あれ……?」アセアセ
エルフ「ごめんね、取り乱したりして。四日ぶりの食事だったから」
少年「よ、四日ぶり!?」
エルフ「……ええ」クス
少年「な、なんでそんな酷い扱いを受けてるのさ」
エルフ「……奴隷、だから」
少年「ドレイって、なんなの?」
エルフ「家畜や愛玩動物と一緒。労働力だったり、慰みものだったりね」
少年「……ナグサミモノって?」
エルフ「そ、それは……その///」ボッ
少年「うん」マジマジ
エルフ「わ、私も詳しくは知らないから、自分で辞書引いて調べなさい」プィ
エルフ「……そう」ホッ
少年「ただ、少し雲行きが怪しくなってきたから」
エルフ「移動した方がよさそう?」
少年「うん、とりあえずその手枷とかは外した方がいいでしょ?」チラ
エルフ「そ、それはもちろんだけど」チラ
少年「じゃあ、そろそろ行こう」
――歩きにくそうだから、僕が>>25で手伝ってあげなきゃ。
①背はお姉さんの方が高いし、無難に肩を貸そう
②体力には自信があるから、オンブかな
③いっそ、お姫様だっこっていうのもあり?
過ぎたら次番
少年「背中に乗ってよ。おんぶしていくから」
エルフ「……じょ、冗談でしょ?」モジ
少年「村まで結構あるし、その足でいくのは大変だから、ね?」
エルフ「……おぶっていく方が大変でしょ!」
少年「遠慮しないでよ。こう見えても毎日のように川まで水汲み行かされてるから」
エルフ「……だ、だって」クンクン
少年(ん、そっか、自分の臭いが気になるんだ)
少年「大丈夫、全然臭わないよ」ニコ
エルフ「……べ、別にそういうことを言いたいんじゃなくて!///」
少年(あは、耳まで真っ赤になっちゃった)
少年「ほら、雨降りそうだし早くいこ?」
エルフ「……ご、強引ねぇ。子供のくせに」
少年「じゃあ、持ち上げるよ」
エルフ「わ、わかったわ。……ん、これでいい?」ピト
少年「うん、よいしょ」グッ
少年(――うわ、痩せてるとは思ってたけど、すごく軽いや)
エルフ「……お、重くない? もし無理そうだったら」
少年「大丈夫だよ。じゃあ、しっかり掴まっててね」グイ
エルフ「……え、ええ」ギュウ
少年(ちょ、ちょっと胸押しつけすぎかな///)アセアセ
エルフ「……この川、流れが速いわね」
少年「ここさえ超えればすぐ村だよ。飛び石に乗ってくから、しっかり掴まってて」
エルフ「……ぅ」ブル
少年「よし、一気にいくよ――うわ!」ギュウ
エルフ「……ちょ、ちょっと待って!」アタフタ
少年「きゅ、急にどうしたの、お姉さん?」
エルフ「……ぅ、その」モジモジ
――足を擦り合わせてる。これは>>38?
①まあトイレだよね、常識的に考えて
②服がボロボロで寒いのか、僕のを貸そう
③落ちちゃわないか心配なんだ、安心させる言葉を
3で
エルフ「へ、へえ。そう、なんだ」モジモジ
少年「じゃあ、今度こそいくよ」
エルフ「……わ、わかった――きゃっ!」
少年「ふっ――ほっ、よっ、とりゃっ」ピョンピョンピョン
エルフ「ぁっ! んっ、くぅ!」ガクガク
少年「はい、到着っと。もうすぐ着くから――ん?」
少年(なんだ、背中が少し温かいけど)
エルフ「……う、うぅ///」
エルフ「……そ、そうなんだ」フィ
少年(なぜか少しよそよそしくなってしまった)
少年「後で聞きたいことがあるんだけど、訊いていい?」
エルフ「……ええ」
少年「よかった。じゃあ、行こうか」
少年(まずは匿っておく場所を決めよう。これは重要だ)
①家の納屋
②村はずれの廃屋
③近くの洞くつ
>>50で
少年「少し不便だけど、誰も近寄らないから見つかる心配はないと思う」
エルフ「ええ、そうみたいね」
少年「僕は一旦大工道具を取ってくるから」
エルフ「あの、本当にありがとう」
少年「ううん。じゃあ、行ってくるね」ニコ
エルフ「……ええ、待ってるわ」ニコ
叔父「糞ガキが、今までどこをほっつき歩いていやがった。日課の山菜採りは済んだのか? ええ?」
少年「あ、いや、その――ぐっ!」バシィ
叔父「ただ飯食らいを置いておく余裕はここにはねぇ」
少年「……は、はい、ごめんなさい」ズキズキ
少年(……酒臭い。……また飲んでるみたいだ)
叔父「ふん、今度同じことを言わせたらこの家を出て行ってもらうぞ。覚えとけ」バタン
少年「……ま、今回ばかりは僕が悪いか」グイ
――さてと、必要なもの。タオルとノコギリと、>>60だな
①濡れちゃった服を乾かす薪が欲しい
②ボロボロの服を着てたら可哀想だから着替えにしよう
③なにか起きたときのために、武器を持っていこう
少年「ただいま。誰も来なかった?」
エルフ「ええ、大丈夫よ――っ」
少年「ノコギリと薪持ってきたんだ。まずは火起こすからちょっと待ってて」
エルフ「……顔、腫れてる。一体どうしたの?」
少年「え、ああ、これ? 大したことないよ」カッカッ
エルフ「……そ、そう」
――パチパチパチ
少年「よし、点いた。濡れて体冷えてるでしょ? 一緒に温まろう」
エルフ「うん……ありがと」チョコン
エルフ「ええ、お願いね」
――ゴリゴリゴリ
少年「よし、これくらいでいいかな――ふんっ」パキン
エルフ「……っ!」
少年「やった、外れた! よかったね、お姉さ――うわっ!?」ドサッ
少年(お、お姉さん!? い、いきなり抱きついてくるなんて!)
エルフ「……あり……ひっく……ありが……とっ」ボロボロ
少年(……泣いてる。……でも、すごくうれしそうだ)
――泣き止んだら何を聞こう、>>70かな
①あの男たちは何者なのか
②これからどうしたいか
③スリーサイズ
過ぎたら以降次番
少年「服、大分乾いたみたい。もう少しで着れそうだよ」
エルフ「……うん」
少年「お姉さんは、これからどうしたい?」
エルフ「……よく、わからないわ」
少年「え、でも、今まではどうしてたの?」
エルフ「二年前までは、里で暮らしてた。今は、帰る場所がないの。だから」
少年「じゃあ、村長さんに頼んでみようか? きっと力に――」
エルフ「ダメっ! 誰かに話せばあなたにまでとばっちりが及ぶわ」
少年「え、とばっちり?」
エルフ「私は、買われてきたの。この国の貴族に」
エルフ「文字通りよ。長寿で容姿が整っているとなれば、長く遊べるってわけ」
少年「遊ぶ?」
エルフ「私を玩具にするってこと」
少年「オモチャにする?」
エルフ「……その辺は、あまり深くは考えないでくれると助かるわ///」
少年(耳まで真っ赤に。やはりあまりよくない意味みたいだ)
少年「じゃあ、この辺に留まるのもよくないんだね」
エルフ「ええ。でも、あなたには十分助けられたわ。あとは自分で何とかする」
少年「え、お姉さん?」
エルフ「これ以上、恩人に危険な橋を渡らせるわけにはいかない。もう私のことは忘れなさい」
――僕は、>>80しよう
①なにがなんでも協力すると言い張る
②お姉さんの頬をぐにぐに抓る
③危険だから、手を引いた方が
過ぎたら以降次番
エルフ「……早く行きなさ――ひゃっ!?」
――ぐにぐにぐに
エルフ「い、いひゃい! 痛たたたた!」
少年「よっと」ピッ
エルフ「い゛――たぁ、なにするのよ!」ジンジン
少年「今更そんなツレないこと言うなんてひどくない?」
エルフ「だ、だから、これ以上関わったらあなたの身にまで……」
少年「……いいよーだ、だったら勝手に傍にいるもん」プィ
エルフ「……も、もう。本当に知らないから///」ツン
エルフ「あなた、年の割にはしっかりしているって言われない?」
少年「まぁ、ときどき」
エルフ「いくつなの?」
少年「15」
エルフ「嘘っ、同い年!?」タジ
少年「うん、嘘。ほんとは12歳」
エルフ「そ、そうよねぇ」ホッ
少年(……年齢なんて関係ないじゃないか)プンプン
エルフ「あら、ふふ。そんなむくれることはないじゃない」
少年「むくれてないです」ムスッ
――とはいえ、これからどうしよう。協力者が必要かな? >>125
①いや、むしろ単独の方が動きやすいか
②いつも相談に乗ってくれる女教師に頼んでみよう
③こういうときくらいは、叔父さんを頼ってもいいか
少年「よし、僕はいったん家に戻るね」
エルフ「え――あ、そ、そうね」
少年「明日の昼になったらまた来るから」
エルフ「べ、別に気を遣わなくてもいいのに……」
少年「火の後始末は大丈夫?」
エルフ「あ、当たり前でしょ? あなたこそ子供扱いしないで」
少年「あは、そうだね。ノコギリ以外の荷物は全部置いていくから。それと、寒くなったら薪継ぎ足してね」
エルフ「わかったわ、そうする」
少年(今日はもう遅いから、明日になったら図書館へ行ってお姉さんが身を寄せられそうな場所を探そう)
従兄「なんだおまえ、ずいぶん遅かったじゃないか」
少年「う、うん。ちょっとね」
従兄「親父が超カンカンだったぜぇ? 今日は金入れてないんだってな」
少年「……ごめん、少し疲れてて――ぐっ」グイ
従兄「疲れてるだぁ? 甘ったれてんじゃねよ。誰のおかげで生活していけると思ってんだ? あぁ?」グイグイ
少年(少なくとも、君のおかげじゃないことは確かだよ)ジィ
従兄「んだその目つきは? ガキが、気に入らねえなぁ。――プッ」
――ピチャ
少年「……っ!」ググ
従兄「ま、俺は優しいからこんくらいにしといてやるよ。ちゃんと洗っとけよ?」
――このままで、済ますのか?
①我慢、我慢だ。今はやるべきことがある
②唾吐きかけられて我慢してられるか、ぶん殴ってやる
③賢いやつは後でこっそりと仕返しだな、罠に嵌めてやろう
アンカつけ忘れ
従兄「はぁ? マジなっさけねえ。男が唾吐きかけられて、よく笑えるな」
少年(スープに入れるの、ハエにしようかな。それとも蛾がいいかな)ニコニコ
従兄「あーやだやだ、卑屈なやつ見てるとこっちにまで伝染っちまうぜ」テクテク
少年「……汚いな」ゴシゴシ
少年(さてと、どうせご飯も用意されてないだろうし、今日は早めに寝よう)
少年(明日以降は忙しくなるぞ……もしかしたら、この先もずっと)
少年(学校やめてから、もう一年になるのか)
少年「このカビ臭さが溜まらないなぁ」クンクン
少年「って、アホなことやってる場合じゃないね」
少年「よし、早速文献を片っ端から当たろう」
・・・・・・・・・・・・3時間後
少年「とりあえず一通り見てみたけど、候補は三箇所かな」
――どこに向かうのを検討しようか >>148
①国内にある未開の森
②隣国の高山地帯
③海の向こうにあるというエルフの島国
少年「ただ、問題はお金だよね。港町まではなんとかなると思うけど、船に乗るとなると」
少年「お姉さん、ちゃんといるかな?」
エルフ「……すぅ……すぅ」
少年「あれ、寝ちゃってるか」
少年(よっぽど疲れてたみたいだな)
エルフ「……ぅ……ぃゃ」モゾ
少年「……お姉さん?」
エルフ「……やめ、……誰か……助……て」ポロポロ
少年(うなされてる。こ、こういう時はどうしたらいいだろう)
――どう行動するのがお姉さんのためかな? >>154
①疲れているみたいだし、そっとしておこう
②気休めかもしれないけど、手を握ってあげようか
③悪夢にうなされてるんだから、起こすべきだ
エルフ「……う……や……だ」グイ
少年「……嫌がってる。……失敗したかな。……いや、手の力を緩めれば」
エルフ「……う……ん」ニギ
少年(……うん、よかった。握り返してきた)
エルフ「……ぐす……ん」
少年「落ち着いたみたいだ。涙、拭っても大丈夫かな」スッ
エルフ「……すぅ……すぅ」
少年(……お姉さん、もっともっと笑えるようになってくれればいいな)
少年「あ、おはよう?」
エルフ「あれ、私、寝てた?」
少年「うん、もう夕方だよ」
エルフ「ええっ!? どうして起こしてくれなかったの!?」
少年「え――でも、相当疲れているみたいだったし」
エルフ「だって、あなたずっと待ってたんでしょ?」
少年「別に、気にしないでいいよ。大してやることなんてないから」
少年(さてと、やっと本題だな)
エルフ「あ、うん」
少年「西海の向こうに、エルフの国があるみたいなんだ」
エルフ「エルフの、国ですって? 集落とか村じゃなく?」
少年「うん、それくらいならこの近くにもあるみたいなんだけど」
少年「折角ついた場所がまた誰かの目につけられたら元も子もないでしょ?」
エルフ「それは……。うん、そうかも」
少年「だから、なるべく人が多いところに行こうと思うんだ」
エルフ「行こうと思うって……まさか、あなたもついてくる気なの!?」
少年「当然でしょ」
少年「今さらなしだよ」ニコ
エルフ「そう、よね。助けられた私が言う資格もないものね」
少年「……僕が足手纏いだっていうなら、別だけど?」
エルフ「……ううん。……頼りにできる人だって、思ってるわ」
少年「あ、え、ありがとう?」
エルフ「ええと……どういたしまして、かしら?」
少年(年上のお姉さんに頼られるなんて、ちょっと嬉しいかも)
エルフ「でも、あなただって今の生活があるでしょ?」
少年「あー、それは……」
――現在の状況を話す? >>162
①話す必要はないのできっぱり断ろう
②適当に誤魔化してみよう
③掻い摘んで話すくらいなら
エルフ「なにか事情があるの?」
少年「一年前、伝染病で僕の両親たちが揃ってなくなったんだけど」
エルフ「……え」
少年「保護者が必要だってんで、村はずれに住んでいた叔父さん一家が、僕たちの住んでいた家に来たんだ」
エルフ「……あまり、うまくいってないの? ……もしかして、昨日の殴られた痕も」
少年「別に、それは気にしないでいいんだけど」
エルフ「ダメよ! わけもなく暴力をふるうなんて許されていいはずがないもの!」
少年「……うん、怒ってくれるだけで嬉しいよ」
エルフ「……ごめんね、私が人間なら、文句の一つも言ってやれるのに」ショボン
少年「そ、そんなこと」
――落ち込んでる彼女にかけて上げる言葉は >>168
①人間とかエルフとか、そんなの関係ない
②お姉さんが気に病む必要はないよ
③痛いのはむしろ好きなんだ
エルフ「……少年、君」
少年「なんて、人間にひどい目に遭わされたお姉さんにこんなことを言うこと自体、おこがましいか」
エルフ「う、ううん。そんなことない」
少年「今の家は、いずれ出て行こうと思ってたんだ」
エルフ「……本当に?」
少年「うん、父さんのお陰で野外での生活技術は一通り身についてるし」
エルフ「でも、なら、なんで今まで?」
少年「……小さなことなんだ。両親との思い出の家が、あんな連中の手に渡るのが悔しくてさ。――でも」
エルフ「……でも?」
少年「今の家に留まるよりは、素敵なお姉さんと一緒に旅をする方が断然楽しそうだから」テヘヘ
エルフ「……な///」ボッ
エルフ「ごめんなさい、なにからなにまで」
少年「謝るよりは、ありがとうの方が嬉しいかな」
エルフ「ああ、ごめ――じゃない、あ、ありがとう」
少年「うん、じゃあ、また明日ね――え」グイ
エルフ「……っ」
少年(お、お姉さんの胸が背中に当たって)
――お姉さんの胸の大きさは >>176
①うん、貧乳だ
②中、くらいかな?
③と、年の割に大きい
よくやった
少年「お、お姉さん……あの」
エルフ「――ふぅ」バッ
少年「……あ」ギギギ
エルフ「……気に、しないで。急にそういう気分になっちゃっただけだから///」
少年「あ、そ、そうなの。じゃあ、僕、帰るね」タッタッタ
エルフ「う、うん、気をつけてね」
少年(び、びっくりした)
――今日はさすがにお金を入れないとただじゃ済まないな >>182
①緊急時にストックしておいた干しイチジクを売ろう
②今からでも森に行って山の幸を取ってこよう
③どうせ明日には家出するんだ。今日くらいは平気だろう
少年「高く売れそう?」
商人「ま、最低でもこれくらいは出さなきゃな」
少年「うん、十分だよ。いつもありがとう」
少年(銅貨25枚を手に入れたぞ)
少年「よし、せっかく市場に来たんだし必要な物があれば買っていこう」
――さて、何を買おうか。10枚は叔父に渡さなきゃ >>193
①銅貨5枚で携帯食料を
②銅貨10枚で革製の水入れを
③銅貨15枚でナイフを
少年「やっぱり、旅に水は必需品だからね」
少年(さて、家に戻ろう)
――自宅前
少年(水入れは取り上げられないように屋根の軒の上に隠して、と)
少年「――ただいま」
叔父「今日は早く、帰ってきたか。家に入るのは稼ぎを渡してから、……わかるな?」
少年「うん、わかってる」スッ
叔父「おっと、ほぅ――へへっ。いいだろ、上がれ」
少年(満足してくれたみたい。イチジク様様だ)
叔母「そういや、村に変な連中が来ているらしいわね」
叔父「変な連中?」
叔母「ああ、なんでも銀髪の女の子を探しているらしいよ。見つけたら銀貨5枚渡すとさ」
叔父「銀貨5枚だって!? 見つけただけで!? そりゃあなんとも剛毅だな」
叔母「まったくだねぇ。どこか高貴の出の方なのかねぇ」
叔父「おい、おまえらも見つけたらちゃんと俺に報告するんだぞ」
従兄「わかってるよ、パパ。でも見つけたらお小遣いあげてくれよ?」
少年(……こ、これは重要だ。どう判断するべきだ)ズズ
――村を離れるタイミングは? >>210
①動くのは早い方がいい、夜のうちに出かけよう
②焦りは禁物だな。いつも通りに朝、出かけるフリをして行こう
③今の場所なら見つかる心配はない、明日は洞窟に近づかない方が
少年「う、うん。ちゃんと聞いてるよ。大丈夫、見つけたら伝えるから」
叔父「絶対だぞ。そうすりゃしばらくは遊んで暮らせる」
少年(っと、忘れるところだった)
少年「あれ、なんだろう、あそこにいるの」ジィ
従兄「ん、なにかいたのか?」クルリ
少年(今だ)ポーイ
少年「あ、ごめん。虫かと思ったら壁の染みだったみたい」
従兄「ふーん、まあいいけど」ズズ
少年(あ、他の具と一緒に飲んじゃった。まあ、気は晴れたしいいか)
少年「朝か。昨日に限って、そんなに扱いひどくなかったな」
少年(……もう、ここに戻ってくることはない)
少年「さてと、行くか――っと」
叔母「あら、おはよう」
少年「おはようございます。――あれ、どうしたんですか?」
叔母「従兄がお腹壊しちゃったのよ。あんたと違ってあの子は繊細だから」
少年(どうやら笑わせようとしているみたいだ)
少年「早くよくなるといいですね」
叔母「まったくだわ」ハァ
少年「じゃあ、出かけてきます」
少年「朝っぱらなのに、妙に人手が多い気がするけど」
少年(投げ縄まで持っている人がいるとなると、やっぱりあの子を探しているのかな)
少年「洞窟までの行き方は3通りあるけど」
――どうやっていこう >>223
①人通りが多い方が返って目立たないかも、大通りを進もう
②人気のない道を選んで慎重に進んだ方がいいかもしれない
②時間はかかるけどひとまず森に入ってから迂回していくか
少年「……ん、あれは」
男1「やはり、どこにもいないみたいだな」
男2「どうする、これ以上引き延ばしてると俺たちの命が危ういぞ?」
少年(……二人しかいない。今引き返すのはまずいな)
少年(仕方がない、堂々と行こう)
男1「……ん、あいつは」
男2「おぅ、いつかの木のぼり坊主じゃねえか」
少年「あ、こんにちわ。おじさんたち、この村の人だったんだ?」
男1「おいガキ、俺たちのような年齢の人間はお兄さんだろ?」
男2(ん? ……子どもにしちゃずいぶんといい水筒持ってるな)
男2「どっかに出かけるのか?」
少年「うん、後でまた森に行くつもりなんだ」
男1「そうだ、おまえあれから女の子見なかったか?」
少年「女の子……あぁ、銀髪とかいうあれ?」
男2「ああ、見つけたら俺たちにすぐ知らせて欲しい。そしたらうまいもんたんと食わしてやる」
少年「ほんとに!? うん、わかった。おじさんたち、いつもどこにいるの?」
男1「あー、村外れの旅館を借りてるよ」
少年「そうなんだ。じゃあ、見つけたらそこに行けばいい?」
男2「外出中のことも多いが、待っていりゃ戻ってくる」
少年「了解、じゃあね」タッタッタ
男2(…………)
――怪しまれなかっただろうか >>230
①コンマ80以上 怪しまれる
②コンマ80以下 怪しまれない
少年「ふぅ、なんとかやり過ごせたみたいだ」
少年(よし、意外と早くつきそうだ)
――洞窟
エルフ「……あ、少年君!」
少年「お待たせ」
エルフ「よかった、約束の時間より遅かったから、もう少しで様子を見にいちゃうところだった」
少年「それは、いくらなんでもまずいよ。今村にあの男たちが来てるんだ」
エルフ「……えっ!」
少年「急いで森に入って街道に出よう。先に僕が様子を見てくるから、合図があったら来て」
エルフ「わ、わかったわ」ゴク
エルフ「今いくわ!」タッタッタ
少年「こっちの木の陰に、早く――よし」
エルフ「はっ、はっ、はぁっ」
少年(よし、誰にも見つからなかったみたいだ)
少年「おなか、空いてるよね。はい、これ。朝食の残りだけど」サッ
エルフ「あ、ありがと」
少年「水は後で川で汲むから、それまで我慢してね」
エルフ「心配しなくても大丈夫よ、森での暮らしは慣れてるから」
少年「あ、それもそうだね」ポリポリ
エルフ「ふふ。で、どこに行くの?」
少年「西側の街道に出て、港町に向かおうと思ってるんだ。歩いて一週間ほどの距離かな」
エルフ「一週間、か」
少年「大丈夫だよ。水さえ確保できてればなんとか、ね」
少年(よし、まだ時間に余裕はあるし焦らずに進もう)
少年「大丈夫? 少しの間おぶろうか?」
エルフ「へ、平気よ。心配しないで」
少年「でも、相当辛そうだよ?」
エルフ「しばらくの間動いてなかったから、すっかり鈍っちゃったみたい」
少年(思ったよりお姉さんの体力の消耗が激しいみたいだ)
――少し早いけれど、ここで野営の準備をしようか >>245
①そうだな、無理したら元も子もないし
②いや、今は無理してでも前に進むべきだ
③お姉さんに選択肢を委ねるというのも、ありかも
少年「本当に辛かったら、ちゃんと教えてね」
エルフ「ええ、約束するわ」ニコ
少年(ついて来やすいよう、歩調を少し緩めて進もう)
エルフ「……もうそろそろ夕方か」
少年「森の中だと、時間間隔がわかりずらいや」
エルフ「ねぇ、あなたの叔父さんたち、心配してないのかしら」
少年「仮に心配してるものがあったとして、それは自分たちのおかずが一品減りはしないかってところだね」
エルフ「そう……あなたも、一人で頑張ってきたのね」
少年「それでも、お姉さんほど過酷な戦いを強いられたわけじゃないから」
叔父「夜になっても帰ってこない。やつはどこをほっつき歩いてやがる!」
叔母「どうする? 憲兵に連絡でもするかい?」
叔父「ばかをいえ! 子どもを金づる代わりにしていることを嗅ぎつけられるのはまずいだろ」
叔母「じゃあ、どうするってんだい」
叔父「しらん! 明日の朝まで戻ってこなかったら、その時考える」
エルフ「いたた、明日は筋肉痛になりそうだわ」
少年「挫いたりはしてない?」
エルフ「ええ、大丈夫よ」
少年「ならよかった。それと、はいこれ」サッ
エルフ「ああ、さっき水を汲んでいたわね」ギュ
少年「うん、僕はもう飲んだから、残りは全部飲んでいいよ」
エルフ「え……そ、そうなの」ジィ
少年「うん、遠慮しないでどうぞ」
エルフ「え、遠慮とかそういうのとは違うんだけど――い、いただきます///」ゴク
少年(なぜか、お姉さん照れているみたいだ)
エルフ「ええ、……うぅ」ブル
――ヒュウウウウウウ
少年「寒、……今日は夜風が冷たいね」
エルフ「そうね、この恰好じゃしょうがないけど」
少年(持ってこれた毛布は一枚だけだ)
――さて、どうしようか >>257
①二人で一緒に包まるのも、いいんじゃないかな
②紳士なら、当然お姉さんに渡すべきだ
それ以外の選択肢がみつからない
少年「毛布、一枚しかないんだけど」
エルフ「ええ、一緒に使いましょう」
少年「そ、そうだね」
少年(ごく自然に言われたぞ///)
エルフ「じゃあ、その、お邪魔します///」テレテレ
少年「い、いらっしゃいませ」モジモジ
エルフ「ぷっ……なによそれ」クスクス
少年「ご、ごめんなさい。女の子と一緒に寝るのって、初めてだから」
エルフ「……私、私……は」
少年「……お姉さん?」
エルフ「……ううん、なんでもない。……ね、もう少しそっちに寄ってもいい?」
少年「うん、もちろん――わっ」ムニュ
少年(完全に密着してしまった。豊かな胸が、彼女と僕との間で形を変えてしまっている)
エルフ「……ふふ、温かい」
少年「お姉さん、寝ちゃったの?」
エルフ「……すぅ……すぅ」
少年「……完全にハグされてる。これじゃあ動きようがないな」ギュウ
少年「さて、僕も寝よう」
少年(明日以降は、追手が放たれる可能性もあるな)
エルフ「……ん……ぁ」モゾ
少年(なんとしても、お姉さんを守らなきゃ)
明日以降、追手が放たれるか否か >>268
コンマ>>70以上 確実に出ます
コンマ>>69以下40以上 今後の選択肢次第です
コンマ39以下0以上 回避します
こいよ
男1「その話は本当なのか?」
男2「ああ、間違いない。子どもが一人村から姿を消しているそうだ。保護者が探していたらしい」
男1「……俺たちが報奨金を出したタイミングで、となると」
男2「怪しまないバカはいないだろ」
男1「だな、今日一日はここにくる旅人から情報を収集しよう」
男2「わかった。銀髪を目撃した時点で追撃開始だ」
男1「もう二度と、逃げようなんて気が起こらないようにしてやらなきゃな」ギリギリ
男2「連れ出したガキも同罪だ。……死んだ方がマシだってくらい痛めつけてやる」
――今日中に補足できる可能性はどんなもんかな >>277
コンマ70以上 見つかる
コンマ69以下 見つからない
少年「うん、銀髪は目立つから少しでも隠せるようにって思ってさ」
エルフ「全部は隠れそうにないけど、ないよりはマシか」
少年「あと六日。なるべく人目を避けて港町に向かおう」
エルフ「あ、ねえ。こんな時に、あれなんだけど」
少年「うん? なに?」
エルフ「その、手、繋いでもいいかな」モジモジ
少年「あ、うん。はい」サッ
エルフ「えへへ、ありがと」ニギ
少年(……この笑顔をずっと見ていられたらいいな)
――人通りの少ない街道を一路西へ歩いていく。
エルフ「曇り空だけど、雨の心配はなさそうね」
少年「うん。お姉さんは、エルフの国に着いたら一番になにがしたい?」
エルフ「んー? そうね、……のんびりひなたぼっことか、いいかも」
少年「あは、それ最高だね」
エルフ「少年君も、もちろん付き合ってくれるわよね?」
少年「当たり前だよ。――ん、あれ」
エルフ「……ど、どうしたの?」オド
少年(今、お姉さんの後ろの岩の陰に人影が見えたような)
――確認しておくべきだろうか? >>330
①誰かにつけられていたとしたら厄介だ、違う方から慎重に近づいてみよう
②藪をつついて蛇を出すかもしれない、先を急ごう
③一旦街道から離れた方がいいかも、脇にある獣道を進もう
少年「お姉さん、こっち来て」グイ
エルフ「わっととっ! ど、どうしたのいきなり?」
少年「後で説明するから、早く」
エルフ「え、ええ、わかったわ」
――街道から外れ、獣道に進んだ
エルフ「そう、誰かの人影が……」
少年「気にしすぎだったかもしれないけど、万が一ってこともあるから」
エルフ「追われてる身だし、仕方ないわね」
少年(先日まで雨が降っていたせいか、ぬかるんで歩きにくい。少しペースが落ちそうだ)
少年「どう、お姉さん?」
エルフ「大丈夫、追手はいないみたいよ」
少年「そう、なら先を急ごう」
エルフ「……ん、なにか」ピク
少年「どうしたの?」
エルフ「近くに動物の気配を感じるわ」
少年「……なんだって?」
???「」ガサッ
――出てきたのはなんと >>337
コンマ80以上毒蛇
コンマ79以下60以上野犬
コンマ59以下野兎
コンマ00野良オーク
ないす
少年「や、野犬だ!」
エルフ「……厄介ね、犬相手じゃ絶対逃げきれないわ」
少年「ど、どうしようか」
エルフ「決まってるでしょ、やっつけるしかないわ!」
少年「う、うん」ビクビク
エルフ「首だけは噛まれないようにして。飛びかかってきたところを仕留めるわよ!」
少年(お、お姉さんがなんだか急に頼もしく見えるぞ)ジーン
――二人がかりならなんとかなるだろう >>342 >>343
①合計値129以下、撃破
②合計値130以上、負傷 偶数エルフ 奇数少年
少年「うわっ!」ズザッ
野犬「ガアァゥゥウウウッ!」ガブッ
エルフ「きゃあああっ!?」ダン
少年「お、お姉さん!? ――くっそぉっ!」ゴキィ
野犬「キャインッ!!」ドサ
少年「……や、やったか」ハァハァ
エルフ「……あぅっ……つぅ。……だ、大丈夫? 怪我は、ない?」ググ
少年「お姉さん! なんで僕を庇ったりしたの!?」
エルフ「バカね。……少しくらい恩返し、させなさいよ」クス
少年(太ももをかなり深く噛まれてしまったみたいだ)
少年「……どうしよう。放っておいたら破傷風になっちゃう」オロオロ
エルフ「……平気よ、薬草の知識はあるから。今からいう草を、取ってきてもらえるかしら」
エルフ「……う……くぅ」ブルブル
少年「大丈夫? 相当痛いんじゃ」クルクル
エルフ「へ、平気よ。血はそれほど出てない、から」
少年「わかった、もう少しで巻き終わるからね」
エルフ「少し強めに締めておいてね。歩くのに差し支えるから」
少年「そんな、この足で歩くなんて」キュッキュ
エルフ「大丈夫よ。今日はさすがに無理だけど、明日になれば痛みも引くわ」
少年「ごめん、僕の動きがトロかったせいで」ガックリ
エルフ「動物を殺すことに躊躇いがあるのは仕方ないことよ。そう自分を責めないで、今日はもう休みましょう」
(次回と次次回、追手成立のコンマが20加算されます)
明日には村でも気づかれているかもしれない >>353
コンマ50以上 エルフ発見者あり
コンマ49以下 エルフ発見者なし
男1「くそ、今日も発見者は現れずか」イライラ
男2「なんだっておまえと顔突き合わせながら酒飲まなきゃいけねえんだよ」グビグビ
男1「んだてめえ、喧嘩売ってるのか?」ガタ
男2「俺から売ったつもりはないが、吹っかける気なら覚悟してこい」ジロ
男1「……ち、やめだ。上で横になってくる」
男2「おまえわかってんのか? 下手したら俺たちが貴族の私兵に始末されちまうんだぜ?」
男1「……うっせーな、わかってんよ。そんくらい」
男2「村の者の話では近くに洞窟があるらしい。一応行ってみるぞ、準備しろ」
男1「へいへい」ギィ
少年(でも、この獣道でおんぶや抱っこは、短時間しかもたないだろう)
エルフ「……どう、したの?」ハァハァ
少年「ねえ、そろそろ休憩しようか」
エルフ「また? そう心配しなくても、昨日よりは大分楽になってるわよ?」
少年「でも、見ていて辛そうだよ?」
エルフ「耐えられる辛さよ。捕まっている頃と比べたら天国だわ」
少年「……わかったよ。お願いだから絶対に無理はしないでね」
エルフ「ええ。――あら?」
少年(ん――あれ、木立の先が明るい)
エルフ「また街道に合流するみたいね。良かった、少しは楽になりそうだわ」ニコ
エルフ「……ふぅ……ふぅ」
少年「お姉さん、道幅広くなったし、肩貸そうか?」
エルフ「杖があるから平気よ。それに、上り坂は怪我に関係なく誰だってきついでしょ」
少年「まあ、わかるけどさ」
少年「あ、腰かけられそうな岩があるよ」
エルフ「あら、ほんとね。少しだけ、休憩していきましょうか」
少年「うん、そうしよう」
少年「あれ、どこかで水音が?」
エルフ「近くに滝があるみたいね。……ねぇ」
少年「ん?」
エルフ「相当汗かいちゃったから、水浴びに寄ってもいいかしら」
少年「ああ、って――」
少年(まったく気づかなかった。ワンピースが汗に濡れて胸の谷間がくっきり)
エルフ「ん、なに見て――きゃあっ!?///」バッ
少年「あ、ご、ごめんなさい!」
エルフ「……べ、別にいいわよ。気にするほどのことじゃ」モジモジ
少年「み、水浴びしていこっか。新鮮な水も補給できるし」アタフタ
エルフ「な、なるべく覗いちゃ駄目だからね」
少年「う、うん……わかった」
少年(――うん? なんでなるべくなんだろ?)
エルフ「じゃあ、行ってくるから」
少年「はーい」
少年「渓流に魚もいるようだし、待っている間釣りでもしようかな」
少年(ここでしっかり腹ごしらえできれば、後がすごく楽になりそうだ)
――どれくらいで釣れるかな >>375
コンマ80以上 釣れなかった
コンマ79以下30以上 釣れた
コンマ29以下 すぐ釣れた
イワナ「」ビチビチ
少年「なんだここ! 針を投入するだけで魚がかかるぞ!」
少年(人の手が全然入っていないし、魚が警戒しないのかもね)
――十分後
少年「大漁大漁! これなら二人ともお腹一杯食べられるぞ!」テクテク
少年「あれ、お姉さん。まだ戻ってきてない」キョロキョロ
少年(早すぎたのかな、でも、一応心配だから行ってみよう)
――チャポン
少年(ん、左手の方で水音が聞こえたぞ)
エルフ「はぁ、気持ちいい……」チャポン
エルフ「こんなふうに泳げる日がくるなんて……思わなかったな」スイスイ
エルフ「まだ少年君も戻っていないだろうし、今のうちに体綺麗にしなきゃ」
少年(……って、やばっ! まだ水浴び中だった///!)
エルフ「さて、体を洗いましょう――ん」コスコス
少年(……こ、困ったな。目が離せないよ)ジィ
少年(お、お姉さんの肌、すごい白くて、綺麗だ)
少年(……背中にあるたくさんの青い筋は、叩かれた痕かな)
少年(――の、覗きなんて、男のやることじゃ……いや、でも。もう少しだけ)
エルフ「……」ゴシゴシ
少年(黙々と洗ってる。って、当たり前か。――うわ! こっち向いた反動でおっぱいが揺れ――)ガサッ
エルフ「誰っ!?」バッ
少年「――」
気づかれた!? ど、どうしよう! >>390
①猫の鳴き真似には、自信がある
②ひたすらに黙ってこの場に留まる
③緊急事態だ、撤退、撤退せよ
少年「にゃぉん、にゃぁあお」ドキドキ
エルフ「……なんだ、猫かぁ」ホッ
少年「にゃおぉぉん、なぁおぅ」
エルフ「……って、なんで人に慣れてない野生の猫がそう都合良いタイミングで鳴き出すのかしら?」ピキ
少年「」ビクン
エルフ「バレてるの、わかってるわよね?」
少年「……なぅ」ショボン
エルフ「……だったら、とっととさっきの場所に戻りなさぁいっ!」バシャン
少年「ひぃぃ、ご、ごめんなさぁい!」ズダダダ
少年「あ、あの」オズオズ
エルフ「……なにかしら」ギン
少年「……な、なんでもないです」ビクビク
エルフ「……そ」パク
少年(お、怒ってる。今までにないくらい怒ってる)
エルフ「……なんで覗きなんて。こっちはまったく無警戒なのに」ツン
少年「ご、ごめんなさい。すぐに立ち去るつもりだったけど……」
エルフ「けど、なに?」ジィ
少年「お姉さんの裸が、あまりに綺麗で目が離せなくて」
エルフ「……だっ///」ボッ
少年「だ、大丈夫ですか」
エルフ「い、いきなり変なこと言わないでよ、もぉ。唇噛んじゃったじゃない」
少年「ええ、と、すみません」
エルフ「……ねぇ」
少年「……?」
エルフ「……そんなに、綺麗だった? 私の裸」
少年「はい、とても。――あの、もうしませんから」
エルフ「……あのね少年君、そういうことは手続きを踏んでやるものよ?」
少年「手続き、ですか? 覗きの?」
エルフ「そうじゃなくって、きちんとお願いをするとか」
少年「見せてくださいって?」
エルフ「そ、そこまで直接的だとこっちも困るけど///」モジモジ
エルフ「ご馳走様。とても美味しかったわ。こんなにたくさん釣ってくるなんて、少年君は釣りが上手なのね」
少年「う、運が良かっただけですよ」テレテレ
エルフ「ふふ、謙遜しなくてもいいのに」
少年「じゃ、じゃあ、僕も水浴びしてきますね」
エルフ「……あの、さっきはごめんね? カッとなって、少しきつく言いすぎたわ」
少年「と、とんでもない、怒られて当然です」ブンブン
エルフ「それで、もしよかったらだけど」モジモジ
少年「……え? どうかしました?」
エルフ「あ、あなたの体。……私が洗ってあげましょうか?///」カァ
少年(――!? えええっ!?)
――これは(男として)重要な選択肢だ、心臓の鼓動はどうだろうか >>415
コンマ奇数 ダメだ、とても羞恥に耐えられそうにない
コンマ偶数 な、何事も経験だ、お願いしてみよう
きたーーー
少年「う、うん」ヌギヌギ
エルフ「……」ジー
少年「あの、見られてると僕も恥ずかしいんだけど」
エルフ「おあいこでしょう?」
少年「それは、まあ」
少年(……よし、これでパンツ一枚だ)
エルフ「じゃあ、そこから動いちゃだめよ」
少年「は、はい――うわっ?」
エルフ「こ、こぉら! 動いちゃダメだったら!」
少年「め、目隠しするなら先に言ってよ」
エルフ「わ、私だって裸になるんだから当たり前でしょ///」
少年「……は、はい。お姉さんは、もう?」
エルフ「ぬ、脱いでるわ。いちいち聞かないで///」スタスタ
少年(……あ、足首が水に浸かった)
エルフ「ゆっくり、膝の高さのところまでいくからね」
少年「う、うん」
少年(手の温かさが伝わってくる。見えないせいで、他の感覚に意識が集中してるのか)シズシズ
エルフ「じゃあ、まずは腕からよ。腕を水平に掲げて」
少年「はぁい」グ
エルフ「どう? 気持ちいい」ゴシゴシ
少年「は、はい。とても」
少年(なんだか、お母さんと一緒に入っていた頃を思い出すな)ホノボノ
エルフ「じゃあ、次は足ね。肩幅くらいに開いてくれるかしら?」
少年「わ、わかりました」バ
エルフ「じゃあ、膝の裏から洗っていくわよ」スッ
少年「うわっ、ちょ、ちょっとくすぐったい」モジモジ
エルフ「すぐ終わるから、我慢して」ゴシゴシ
少年(体がむずむずする。視覚を遮られてるだけで、こんなに反応違うんだ)ドキドキ
少年「え、でも目を瞑ったままで片足立ちは……」
エルフ「その間だけは私の肩を支えにしていいから――ほら」グイ
少年「わっ――あ」ピト
エルフ「これでいいわね、じゃあまずは左足から――ひゃぃんっ!?」バシャンッ
少年「あ、あれ、お姉さん、どこ?」キョロキョロ
エルフ「い、いきなり指動かさないでっ! びっくりするじゃないっ///!」ゾクゾク
少年「あ、ごめんなさい……気をつけます」
少年(無意識に撫でちゃった。お姉さんの肩、すごいすべすべだったな)
エルフ「……もぉ。今度は絶対に、絶対に動いちゃだめだからね」ジー
少年「わ、わかりました」
少年(さすがに、後は自分がやりますって言おうかな)
エルフ「じゃ、じゃあ……あとは」
少年「あ、はい。後は自分で……」
エルフ「パ、パンツ、下ろしなさい///」
少年「……ぇ」
エルフ「――あ、ご、ごめんなさい。や、やっぱ今のなしっ///!」カア
少年「えっと、どっちですか?」
エルフ「……あ、あなたは、ど、どうして欲しいの?」モジモジ
少年(さ、さすがにここを洗ってもらうのは……怖いな)
恥を忍んでお願いするか? >>537
コンマ25以上 踏み止まったほうが
コンマ24以下 恥など村に捨ててきた
おい
エルフ「そ、そうよね///」ホッ
少年「じゃ、じゃあ、タオル預かりますね」ササ
エルフ「あ、はい、これ――え」ポヨン
少年(あ、あれ? この柔らかいものは)フニフニ
エルフ「~~~っ!?//////」ババッ
少年「えーっと――うわぁっ!?」ドン
――バッシャーン
少年「……」ビッショリ
エルフ「……あとは自分で勝手にやりなさい! 私は先に着替えてるからね!」バシャバシャ
少年(……い、今触っちゃったののって)アワアワ
エルフ「服、乾いたみたいよ」チラ
少年「あ、うん。ありがとう」ガシ
少年(うん、きちんと垢を落としたせいで体が軽くなった気がする)バサ
エルフ「もう少しで、港町に着くのよね」
少年「あと三日ってところかな。もう、水と食料の心配はなさそうだね」
少年(釣りすぎた魚の一部は一夜干ししておこう、即席の保存食だ)
少年「足は、大丈夫そう?」
エルフ「ええ、薬草が効いてるのか熱も出ていないし」
少年「わかった、そろそろここを発とう」
少年(街道を歩いてからそれなりに時間が経ってる。足取りを掴まれていてもおかしくはないな)
港町を目指していること、まだバレていないだろうか? >>575
コンマ30以上 バレてる
コンマ29以下 バレてない
旅人「ええ、見たこともない髪色だから覚えていますよ。妙にボロっちい服を着てたから覚えてます」
男1「情報提供感謝する。これは路銀の足しにしろ」チャリンチャリン
旅人「うわ、こんなに!? ありがとうございます!」ホクホク
男1「……しかし、西の街道とはな」
男2「船を使うつもりか、厄介だな。海に出られたらもう手が出せなくなる」
男1「いや、今からでも遅くない。馬を手配して後を追うぞ」
男2「わかった、明朝にここを引き払おう」
――ヒュウウウウウ
少年「今日は妙に風が強いね」
少年(なんとなく潮気が混じってる気がする。海に近づいているんだ)
エルフ「うう。さっきから顔に砂がピシピシ当たって痛いんだけど」
少年「僕もだよ。目に入らないように進もう」
エルフ「もうやだ、この風。スカートがめくれちゃいそう」ギュウッ
少年「ちゃ、ちゃんと押さえてないとね」ドキマギ
――ん、また風が吹いてきたぞ? これは>>587
①横殴りの突風
②下から突き上げるような突風
③竜巻発生
エルフ「身を縮めないとダメね、これ!」
少年(体制を低くしてなんとかやり過ごしたぞ)
エルフ「ふう、危うく帽子が飛んじゃうところだったわ」スク
少年「ないよりはあった方がいいもんね」
エルフ「ええ、先を急ぎましょうか」
少年「うん、行こう」
男2「大枚をはたいたからな。こいつなら2日で追いつけるだろう」
男1「やつらを捕まえたらどうする」
男2「連れ去ったっていうガキは絶対に殺す」
男1「はは、穏やかじゃないな」
男2「あのエルフは俺たちの所有物。そして、窃盗は大罪だ」
男1「じゃあ、エルフの扱いはどうするんだ?」
男2「……そうだな」
もし捕まえたら―― >>595
コンマ90以上 両足を――
コンマ89以下50以上 鞭打ち50回
コンマ49以下 商品にこれ以上傷はつけられない
男2「無駄口を叩いてないで、後を追うぞ」
男1「わかった、武器を持っていくか」
男2「当然だ、ここまで足取りを追わせなかったんだ。ガキだと舐めてかかったら足元をすくわれかねん」
男1「ごもっとも。この護身用の短刀が一振りあれば十分だろう」
男2「よし、行くぞ」
――ギィ――バタンッ
――追手が追跡を開始しました
少年「うわぁ、見て! お姉さん!」
エルフ「海だわ! ようやく着いたのね!」
少年「この先は海岸線に沿って南下すれば目的の町があるはずだよ」
エルフ「あと二日か。ここまでくればなんとか逃げきれそうね」
少年「うん、まだ気づかれていないかもしれないよ」
エルフ「そうね……さぁ、いきましょう!」
少年(油断は禁物とはいえ、よっぽどのことがない限りは大丈夫だろう)
追手の馬の質は>>613
コンマ80以上 駿馬
コンマ79以下50以上 並
コンマ49以下 駄馬
男1「ぐはぁっ!」ドッ
男2「くそっ、落ち着け! どうどう!」パカッパカッ
男1「なんなんだこの馬は! ただの暴れ馬じゃねえか!」ググ
男2「話にならんな。馬体の大きさに騙された」
男1「どうすんだ! これじゃあとても間に合わねえぞ!」
男2「こうなっては仕方ない、伝書鳩を送ろう」
男1「……どこにだ?」
男2「あの貴族にだ。どの町にだって駒くらいはいるだろうし、足止めできるかもしれん」
男1「……待て、やつが俺たちの不始末を見逃してくれると思うか?」
男2「……命の危機を感じるようなら、無料で引き渡すしかないだろうな」ハァ
男1「なんだそりゃ、俺たちの大事な金づるが……最悪の結末じゃねえか」ガシッ
少年「明日の夕方には、港町に着きそうだね」
エルフ「ええ、……エルフの国までいければ、きっと平凡な幸せが待っているのよね」
少年「うん、きっとそうだよ!」
少年(ひとつだけ、大きな関門が残っているけど)
エルフ「……不思議ね」
少年「ん、なにが?」
エルフ「あなたと会ってから、まだ二週間も経ってないなんて」クス
少年「あはは、確かにね。あのときは自分が村を離れてこんなところにいるなんて想像してもみなかったよ」
エルフ「……私、私ね」
少年「うん」
エルフ「……あなたに初めて会う直前、いっそ死のうかと考えてたの」ギュウ
少年「う、うん。聞いてないけど」
エルフ「あのとき私が逃げられたのは、崖から飛び降りたからなの。半ば死んでもいいって感じで」
少年「飛び降りた。……って、現にお姉さんはこうやって」
エルフ「たまたま梢がクッションになって、溜まっていた落ち葉の上に落ちたから助かったのよ」
少年「……な、なんで、そんな危険な真似を?」
エルフ「エルフは、他種族と交わるのは例外を除いて不徳とされてる。年頃のエルフならみんなそう教えられてるわ」
少年「そう、なんだ」
エルフ「私があのまま買い主に引き渡されていれば、一生地獄を味わうことになったはず。それよりは……そう思った」
少年「今でも、そう思ってる?」
エルフ「――ううん。あなたに出会ってから、そう思えなくなっちゃった」ニコ
少年「え、縁起でもないこと言わないでよ!」
エルフ「少年君。私が言いたいのは、あなたが無事でいてくれれば私も希望が持てるってことなの」
少年「僕だって、今さらお姉さんが目の前から消えちゃったら、どうしていいか」
エルフ「私、あなたさえよければ、ずっと傍にいて欲しい」
少年「お、お姉さん」
エルフ「……って、や、やだ、私ったら///。……なに言ってるんだろ」
少年(お姉さんの目が潤んでる)
――ここは重要な選択肢だ。どう対応するべきか >>645
①無事にエルフの国までついたら、堂々と告白しよう
②黙って抱き締める
③僕もお姉さんと、ずっと一緒にいたいと言う
2
エルフ「……少年君? ――あっ」ギュウ
少年(……温かい。嬉しい、お姉さんの命を感じる)ヌクヌク
少年「――僕、お姉さんに相応しい男になりたい」キッパリ
エルフ「少年君……あなたはもう十分に」
少年「それを証明するためにも、絶対に安全な場所に連れていってみせるから」
エルフ「バ、バカねぇ。……いくらなんでも格好つけすぎよ、子どもなのに」
少年「じゃあ、何歳ならお姉さんの恋愛対象になれる?」
エルフ「え、ええ? そ、そうね。あと二年くらい経てばちょうどいい……って、何言わせるの!///」ボッ
少年「ほんとだね? 約束だよ?」キラキラ
エルフ「……どこまでも真っ直ぐなのね、あなたって。……眩しすぎるくらい」クス
――バサバサバサ
暴漢「……お、伝書鳩か? なになに?」
手紙「私の玩具をどこかへ隠そうという不届き者がいるそうです。不届き者を始末し、玩具を回収しなさい」
暴漢「かぁ、またあの貴族様からかよ」
暴漢(面倒だが、食い扶持の分くらいは働かなきゃな)
暴漢「――ふん、これが奴隷の特徴か。エルフの少女たぁなかなか興味深い」
暴漢(久しく女日照りだったし、捕まえたらたっぷり楽しませてもらうか)クク
――町の三箇所の門のうち、どこかで見張ろう、見つけられる確率はどんなもんか
コンマ67以上 見つかる
コンマ66以下 見つからない
少年「うん、人通りも村とは段違いだ。あ、あそこの門でチェックしてるみたいだね」
エルフ「通行証とか、必要ないのかしら」
少年「その辺りは確認済み。刃物とか持ってたら没収されるかもしれないけど」
エルフ「なら安心ね、行きましょうか」ニギ
門兵1「待たせたな、滞在理由を聞かえていただこう」
少年「観光です。風光明美な街って聞いたので」
門兵2「お、下調べとは感心だな。確かにこの街は色々見所が多いぞ」
門兵1「荷物は……特に問題ないな。よし、通れ」
少年&エルフ「やった!」ダキ
エルフ「……ねえ、少年君。今さらなんだけど船代……」
少年「うん、問題はそこなんだよね……」
少年(短時間で、なんとか二人分の船代。最低でも一人分の船代を確保しなきゃいけない)
エルフ「アルバイト、するしかないかしら」
少年「でも、子どもに出来るアルバイトなんて限られてるよね」
どうやってお金を稼げばいいだろう? >>705
①地道にアルバイトを探そう
②闘鶏の目利きには自信があるんだ
③あれ、エルフの髪って意外と高く売れるかな?
④人命がかかってるんだ、誰かから盗んででも
少年「うん、手持ちの銅貨があと5枚あるから」
エルフ「……本当に勝てるの?」
少年「村育ちだから、どういう鶏が強いかはわかるよ」
エルフ「わかったわ、まかせる」
少年「もしだめだったら」
エルフ「地道に働きましょ」
少年「よし、そう考えれば気楽にいけるぞ」
――早速闘鶏場を見つけたぞ >>716でGO
コンマ70以上 敗北
コンマ69以下 勝利
少年「えっへん、もっと褒めていいよ!」
エルフ「……こういうところは、まだまだ子供ね」
少年「ぶーぶー」
エルフ「あら、闘鶏屋さんの目つきが変わったみたい。これ以上はちょっと危険かもしれないわよ」
少年「ま、まだまだ行けるさ!」
――ここで勝てば一人分の運賃は確保だ! >>740
コンマ50以上 失敗
コンマ49以下 成功
余裕だな
gj
少年「……神が舞い降りたよ!」グッ
闘鶏屋のおっちゃん「ぐぬぬ」ギリギリ
少年(うわ、睨まれただけで殺されそう)ブルブル
エルフ「さすがにこれ以上続けても勝たせてくれるとは思えないわ」
少年「だね。でも、これならお姉さん一人は船に乗れるよ!」
エルフ「……私は、あなたと一緒じゃないと乗らないから」
少年「え、でも、万が一のときは」
エルフ「万が一のときもなにもないの! この我儘だけは、絶対に通すからね!」ツン
暴漢(もう町に入り込んでると考えた方がよさそうだな)
暴漢「へたすっと、もうこの町から出航してる可能性も」
暴漢(幸運にすがって心当たりを片っ端から当たってみるか?)
正直、発見できる可能性は少なそうだ >>766
コンマ75以上 発見
コンマ74以下 未発見
少年「こ、こんなに!? ……い、いいんですか?」オズオズ
宿の主人「働き振りと年齢は関係ねえよ。正当な報酬だ」ニヤ
エルフ「あ、ありがとうございます! 住み込みまでさせていただいて……」
宿の主人「いいってことよ。困ったときはお互い様ってもんだ。そうだろ」ギュ
少年(こんなにウィンクが似合う男の人、いるんだな)
宿の主人「男が土下座までして頼み込んだんだ。よっぽどの事情があんだろ?」
少年「あ、ええと、その」モジモジ
宿の主人「職業柄、人を見る目は持ってるつもりだ。いろんな客を見てきたからな」
宿の主人「お二人さんだったら、この先もうまくいくと思うぜ?」ニヤ
少年&エルフ「……あ……ども///」カア
少年「チケット、買ってきたよ。二人分」
エルフ「……うん、ありがと」
少年「やっとこの国から出られるんだね」
エルフ「……ええ、そうね」グス
少年(船の上なら警備兵さんたちもいるし安心かな)
エルフ「ねぇ、腕組んでも、いいかな?」
少年「うん――って、あの、胸当たって///」ムニュ
エルフ「そ、それくらい、あ、あなたなら平気だし///」
少年「……えへへ」テレテレ
エルフ「も、もう、そんな顔されたらこっちまで照れちゃうじゃない///。さ、行きま――っ」ビクッ
少年「……お姉さん、どうかした? ――あれはっ!?」ザッ
男1「そう簡単にいかれてたまるかってんだ!」ゼエゼエ
男1「てめえ、探したぜ。遠くに逃げようったってそうはいかねえ!」
エルフ「もう追ってこないでよ! 私は少年君と一緒に自由になるの!」
男1「なに履き違えてんだ? てめえは俺の所有物だっつってんだろぉ!?」
エルフ「……違う、違うわ! ――って、少年君!?」
少年「……ほんと執念深いね。こんなところまで追ってくるなんて思わなかった」ズイ
男1「あんときの木登り小僧か。てめえには一杯食わされた。人を騙したら天罰が下るんだぜ?」ゼエゼエ
少年「足、震えてるよ。筋肉痛? ずいぶん無理してきたみたいだね」
男1「……だからどうした? ガキ一人バラすくらいワケねえんだよ」シャラン
エルフ「……ほ、本当にこんなところで大立ち回りをやるつもりなの?」ジリ
少年「僕らを巻き込むつもりなんでしょ。多分、自分が捕まってでも、お姉さんをここに留まらせたいんだ」
エルフ「……少年、君?」
少年「お姉さん、足怪我してるでしょ。避けきれなかったら困るから」ニコ
エルフ「……ね、ねえ。冗談やめて?」ブルブル
少年「大丈夫、相手は全身筋肉痛みたいだし。もうすぐ衛兵がかけつけるから、その間くらいは」
エルフ「……や、やだ。そんなの」ボロボロ
少年「――早く行けよっ!」
エルフ「……っ!」ビクッ
少年「ここで最悪の結末を迎えるのだけは絶対にごめんだ。必ず後から行くから」
男1「てめえら、ごちゃごちゃうるせえんだよぉーっ!」ダッ
少年「早くっ!」
エルフ「……くっ!」クルリ
――お父さん、お母さん、どうか幸せな結末を迎えさせて! >>865 >>866
合計コンマ150以上 ――
合計コンマ149以下100以上 負傷
合計コンマ99以下 回避成功
GJ
少年「――心臓狙いだ!」サッ
男1「て、てめえちょこまかとっ!」
少年「足が隙だらけだよ!」ガッ
男1「ぐあっ――こ、このガキああああ――ぐっっ!!?」ズタン
衛兵1「なんだこいつは! 白昼堂々と、気ちがいが!」グググ
男1「がっ、てめっ! 離せ、離せよくそがぁっ!」
衛兵2「早く手錠をかけろっ!」
衛兵1「わかってる! ――現行犯だっ!」ガチャ
衛兵3「君、大丈夫か! 怪我はないかねっ!?」
少年「……はぁ……はぁ。……ええ、なんとか」グイ
少年(……無事に船乗れそうだ。……助けてくれた人たちみんなに感謝だな)
――ズダダンッ!
少年「痛たたた! ちょ、ちょっと! いきなりこれはひどいんじゃ」
エルフ「…………か」ギュウ
少年「……え」
エルフ「バカぁ! ひどいのはどっちよ! ……なんで? なんで、私だけ、安全な場所に……っ!」ボロボロ
少年「……お、お姉さん」オロオロ
エルフ「……ううぅ……うわああぁぁんんっ!」ボロボロ
――アラヤダ、ヒルマッカラオアツイワネ、ワカサジャノウ、リアジュウクタバレ
少年(み、みんなが見てるのに。……まいった、泣き止んでくれそうにないぞ)アセアセ
少年「あ、ほら、お姉さん! 出航の笛だよ!」
エルフ「……う、うう」グスグス
少年「ねえ、さっきから胸が当たってるんだけど」プルルン
エルフ「……だから、なによ」グイ
少年(うう、ダメだ。前なら指摘すればすぐに離れたのに)モゾ
少年「頼むよ、そろそろ泣き止んで。お姉さん、やっと自由の身になれるんだよ?」
エルフ「……嬉しいときくらい、泣いたっていいじゃない……」グイ
少年「それは、わかるけどさ。みんなの目が、痛いというか」キョロキョロ
エルフ「……じゃあ、黙らせてみせなさいよ」ジィ
少年「黙らせるって、どうやって?」
エルフ「……言わなくたって、わかるでしょ?」
まあ、それくらいは僕にもわかるけど―― やっぱり、最後の締めは>>920
コンマ99以下 唇を塞ぐ
コンマ00 クラーケン出現
おっしいなwww
あぶねーよww
エルフ「……いいわ、あなたになら、あなたにだけなら」
陽光に輝く銀色の髪を拭いながら、美しい少女が微かに膝を曲げた
潤んだ、それでいて強気の瞳を受けとめながら
僕は前に大きく一歩を踏み出し同時に細い肩と腰を強く抱き寄せた
少年「――ん」チュ
エルフ「――あむ」チュ
少年「――――ぷはっ。ど、どうだったかな///」モジモジ
エルフ「――べ、別に、悪くなかったんじゃないかな///」モジモジ
少年「ホント? よかった。初めてだったからちょっと不安だった」
エルフ「私は――ううん、私も今のが初めてだと思うことにしたわ」
少年「うん、これからもお姉さんにいっぱいキスしてあげるからね」
エルフ「ふふ、そうね。……あの、少年君」
少年「ん、なに? お姉さん」
――キス以上のことも、いっぱい私に教えて? end
色々と不手際失礼しました
@荒らしに対しての放置感謝します
>>920
ちょっぴり肝を冷やしましたwww
触手もあったんだけど、きっと大ブーイングだったね!
また今度後日談とか書いてくれると捗ります
Entry ⇒ 2012.04.08 | Category ⇒ その他 | Comments (2) | Trackbacks (0)
先輩「後輩ちゃん後輩ちゃん!」 後輩「何ですか先輩」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333236093/
後輩「えーっと」
先輩(ふっふっふ……)
嫌いです→今日はエイプリルフールだよー→本当は好きだったのね嬉しい→百合ファック
好きです→やったあ嬉しい→百合ファック
先輩「さあ!」
後輩「普通です」
後輩「はぁ」
先輩「むふー」ボイーン
後輩「はぁ、何ですそのおっぱい……」
先輩「どやー」ボイーン
後輩「偽乳ですか」
先輩「エイプリルおっぱい」
後輩「そんな風習はない」
先輩「後輩ちゃんのよりメガおっきい」
後輩「……」
先輩「あんっ」
後輩「……」モギッ
先輩「ぎゃー!」
後輩「もげた!」
先輩「もぐなー!」
後輩「……」モギッ
先輩「ぎゃーー!!」
後輩「左ももげた!」
先輩「もうお嫁にいけない……」シクシク
先輩「エイプリルおっぱい」
後輩「それはもういいですけど。材質っていうか……」
先輩「シリコンかなぁ?」
後輩「……」プニュ
先輩「使ってみたいんでしょ」
後輩「別に……」
先輩「いいのよぉ?正直になってもいいのよぉ?」
後輩「つけなくても、先輩よりはありますし」
先輩「喧嘩なら買わざるを得ない」
後輩「大平原、って呼んでいいですか?」
先輩「うわあああん!!」
後輩「また詰めるんですか、それ……」
先輩「今日くらい、夢見させてほしいな……」
後輩「はぁ」
先輩「よいしょ」ムニュ
後輩「……」
先輩「どやぁー」
後輩「……えいっ」モギッ
先輩「なーんーでーもーぐーのー!!」
後輩「すみません……、何かドヤ顔ウザくて……」
先輩「正直者だなーもうー君はーエイプリルフールなのにー」
後輩「……」
先輩「おっぱいおっきくなりたいなぁ……」
後輩「そういうのは、心の中だけで言って、口に出さないでください」
先輩「いや、別に巨乳とまではいいませんよ、はい。でも、でもね」
後輩「誰と会話してるんですか……」
先輩「この小娘より小さいのは許せないと、魂が訴える」
後輩「大平原」
先輩「うるさーい!」
後輩「はぁ」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「揉んでもらったらおっきくなるらしいけど」
後輩(二回言った)
先輩「……」チラッチラッ
後輩(何かチラチラ見とる)
先輩「はぁ……、なんか暑いわぁ……」ヌギヌギ
後輩(脱ぎ始めた……)
先輩(後輩ちゃん、何かこっち見てる……)
後輩(薄着になると、いっそう可哀想な絶壁だな……)
先輩「……」モジモジ
後輩「……」ジー
先輩(も、もしかして、これはエッチな雰囲気というやつ!?)
後輩(アイガー北壁と名づけよう)
先輩「……」モジモジ
後輩「……」ジー
先輩「な、なにかな?」
後輩「揉んでほしいんですか?」
先輩「え……」
後輩「……」
先輩「こ、後輩ちゃん!それって!」
後輩「やっぱ今のナシ」
先輩「だーめーでーすー!今のナシはナシー!」
後輩「あ、じゃあエイプリルフールなので、嘘ということに……」
先輩「嘘もなしー!はい、揉ーめ!揉ーめ!」
後輩「何なんだこの人……」
先輩「わぁい」
後輩「服の上からでいいんですか」
先輩「いいわけねーだろー!」ヌギッ
後輩「はぁ。……っていうか、ブラいらなくないですか」
先輩「ううう、うるせー!」ヌギッ
後輩「……」
先輩「……」
後輩「……うわぁ」
先輩「引くなー!」
先輩「病気でも障害でもねぇー!」
後輩「ちょっとした地動説に対する挑戦とも取れる」
先輩「取れませんよ馬鹿」
後輩「……っていうか」
先輩「はよはよ」
後輩「ないものは揉めない」
先輩「うわあああん」
先輩「超真顔で悩むのやめてよ、傷つくから」
後輩(とりあえず、触ってみよう)
後輩「……」ペタッ
先輩「あんっ」
後輩「……」ペタッ ペタッ
先輩「んっ…、んっ」
後輩「……」
先輩「触ってないで揉んでよ!」
後輩「どうやってですか! IQ120の難問ですか! 馬鹿ですか!」
後輩「なるほどですね」モミモミ
先輩「ぁ……っ」
後輩「こうでいいですか?」モミモミ
先輩「ん……、ちょっと痛い……」
後輩「あ、ごめんなさい……」モミ
先輩「あぁ…、そう、それ気持ちい……」
後輩「……」
先輩「……」
後輩(何だこれ)
先輩(百合ファック)
後輩「何です?」モミモミ
先輩「ち……乳首も、触って……」
後輩「……」
先輩「お願いぃ……」
後輩「……」コリコリ
先輩「んんっ!」ビクン
後輩「かたっ……」
先輩「ふぁぁ……」
先輩「やっ、引っかくのだめぇ……、ジンジンするぅ」
後輩(何やってんだ私)
先輩「んっ、ぅん」
後輩(でも先輩……)
先輩「はぁぁ……」
後輩(先輩の表情、可愛いなぁ)
先輩「後輩ちゃん……?」
後輩(何かもう、どうでもいいやぁ)キュッ
先輩「ふぅ……ぅん!」ビクッ
先輩「う、うん……」
後輩「胸の薄い人は、感度が高いというのは本当なんですね」ツンツン
先輩「やんっ、やっ……、それくすぐったい……」
後輩「じゃ、ちゅーしますよ」
先輩「うん……、んっ…む……」
後輩「んー……、ぷは……」
先輩「後輩ちゃん……」
後輩「先輩……」
先輩「来て……」
(時間経過を表現する空白レス)
先輩「はぁ……ふぅ」
後輩「……先輩」
先輩「どうだった……?」
後輩「……あの、すごく……」
先輩「うん」
後輩「気持ちよかったです」カァァ
先輩「んふふ、良かったぁ」
後輩「先輩は、どうでした?」
先輩「……殺されるかと思った」
後輩「……もう」
先輩「今夜、彼女にされたことは、法に触れるであろうぅー」
後輩「やめてくださいって!」
おい
先輩「んー?」
後輩「私、先輩のおっぱい好きですよ」
先輩「ありがと」
後輩「……」
先輩「……あっ、エイプリルフールか!ちくしょう!」
後輩「ほんとですって」
先輩「……じゃ、キスして」
後輩「おっぱいに?」
先輩「おっぱいに」
先輩「んっ」
後輩「……」チュウチュウ
先輩「やだ……もう、吸ったら駄目」
後輩「……先輩」
先輩「もう一戦、やろうか」
後輩「……はい」
こうして世界は百合ファックに満たされた
おしまい
乙乙
Entry ⇒ 2012.04.03 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
従妹「兄さん。」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1331999334/
このSSはSS深夜VIPのSSです
従妹「お久しぶりです。」
兄「どうした?」
従妹「遊びに来ました。」
兄「それは分かるけど。」
兄「まぁ、良いや。何して遊ぶ?」
従妹「山に行きたいです。」
兄「ん。わかった。ちょっと支度するから外で待ってな。」
兄「ん?」
従妹「帽子、ありますか?」
兄「麦わら帽子なら。」
従妹「今は春ですけど……」
兄「だって俺帽子好きじゃないし。」
兄「持ってないよ。」
妹「そうですか。」
従妹「母さん曰く、お昼からお日様が強くなるそうなので。」
従妹「なのに持ってくるの忘れてしまって……」
兄「そう。探そうか?」
従妹「いえ。もう麦わら帽子で良いです。」
兄「良い?」
従妹「良いです。」
兄「俺はまぁ、なくても大丈夫かな。」
兄「でも帽子ないし……」
従妹「でも……」
兄「……」
従妹「……」
兄「あっ、これじゃ駄目? タオル。」
従妹「ふざけないでください。タオルでどうやって頭を。」
兄「ほれ。」
従妹「兄さんすごいです。タオルが帽子に。」
兄「ふふふっ。」
従妹「海賊みたいです。」
兄「これで良いな?」
従妹「はい。」
兄「じゃあ用意してくるな。」
従妹「はい。」
兄「この山に来るのも結構、久しぶりだな。」
従妹「昔はお祭りとかでよく来ましたからね。」
兄「悪いな。受験と部活が忙しくて。」
従妹「……」
従妹「……東京に行くんですよね。」
兄「……」
兄「……この町は静かで自然豊かで凄い好きだ。」
兄「誇れるようなことをしたいんだ。」
従妹「……」
兄「……」
従妹「兄さんは凄いです。」
兄「……」
兄「登ろうか。」
従妹「そうですね。」
従妹「はぁ……はぁ……ちかれました……」
兄「ははっ、早いな。荷物もないんだからもうちょい頑張れよ。」
従妹「はぁ……兄さんは……陸上部で体力もあるんでしょうけど……」
従妹「私は平均的な女の子なんです……」
兄「まぁ、そうだな。腕とか細いし。」
兄「……肌も白くて綺麗だよな。」
従妹「!?」
兄「うーん、それにしても。今日は確かに暑いな。」
従妹「そうでしょう……? 休憩しません……?」
兄「いや、しない。」
従妹「鬼ですね……」
兄「おんぶしてあげるから。ほら。」
従妹「!」
兄「よいしょ、っと。あれ?」
従妹「♪」
兄「聞いてねぇ……」
兄「おい。従妹。」
従妹「ちゃんと食べてますよ。」
兄「あ、ちゃんと聞いてたんだ。」
従妹「聞いてますよ。」
従妹「それより、早く行きましょう。兄さん号発進♪」
兄「よし、ここら辺で休むか。」
兄「ほら降りな。」
従妹「やです。」
兄「くっついてると暑いだろ?」
従妹「暑いけど、でも……」
兄「……」
兄「またおんぶはしてやるから、な?」
兄「おう。」
従妹「よいしょ、っと。」
従妹「木陰に行きましょう。あちいです。」
兄「おう。」
従妹「……はー、涼しいです。」
兄「だな。それに木漏れ日が綺麗だ。」
従妹「……」
従妹「……」
兄「……」
従妹「あっ、四葉のクローバーがあります。」
兄「おぉ、ラッキー。」
従妹「えへへっ。そうですね。」
兄「……」
従妹「? 何をそんな微笑んで、ひゃ!」
従妹「な、撫でるなんて卑怯です。や、やです。」
兄「さらさらしてる。」
従妹「お手入れは頑張ってるんですよ。えっへん。」
従妹「……よし、そろそろ遊びましょう?」
兄「ん。休憩はもう良いのか?」
従妹「はい。」
兄「わかった。じゃあ、何する?」
兄「またまたどうして。」
従妹「佐藤さんが鬼ごっこする小説を読みまして。」
兄「そうなのか。俺は読んだことないけど。」
兄「でもどうして佐藤さん限定?」
従妹「ネタばれになりますよ?」
従妹「佐藤さんは佐藤さんから生まれた佐藤さん殺害する為に佐藤さん達を皆殺しにしようとしたんです。」
兄「佐藤さんしかいないじゃん。」
兄「まぁ、良いや。じゃあ鬼ごっこね。」
従妹「はい。兄さんが鬼です。」
兄「ん。じゃあ、10秒数えるぞ。」
妹「きゃー♪」
兄「10……9……8……7……6……5……」
兄「4……3……2……1……」
兄「0!」
従妹「はぁ……はぁ……疲れました……」
兄「ふぅ、なかなか従妹も足速いね。」
従妹「はぁ……いえ……加速されないように兄さんの直線上に出なかっただけです……」
兄「おぉ、頭使ってたのか。捕まえられないわけだ。」
兄「従妹は凄いな。」
従妹「えへへっ。もっと褒めてください。」
兄「じゃあ途中から見つけらなくなったのも作戦?」
従妹「はい、兄さん。」
兄「これは、タンポポ……?」
従妹「えへへっ。なかなかみつからなかったんですよ。」
兄「ははっ、ありがとな。」
従妹「……もっと撫でてください。」
兄「うりうりー!」
従妹「えへへっ。」
兄「あ、お腹が鳴いた。」
従妹「兄さん可愛いで。」
兄「……」
従妹「……」
兄「従妹も可愛いお腹の音だね。にやにや。」
従妹「うがああああ!」
従妹「やめてください! からかわないでください!」
従妹「……もう良いです。お弁当あげませんから。」
兄「あっ、あの袋はお弁当の袋だったのね。」
従妹「そうです。私の手作りです。」
兄「兄さんは弁当になんか釣られな。」
兄「……」
従妹「ふふっ、可愛いお腹の音ですね。」
従妹「一緒に食べましょう?」
兄「取り敢えず頭に巻いてるのを外して、これで汗を拭いて、と。」
従妹「……」
兄「……? 何をまじまじと?」
従妹「! い、いや、兄さんってその、格好良いので絵になるなぁ、と。」
兄「そう? タオル付け替えてるだけだよ?」
従妹「なんか、こう、胸がきゅぅって締め付けられる感じです……」
兄「? そっか、大丈夫?」
兄「詳しいのな。まぁ、元気ならそれでいいよ。」
兄「よし、縛れた。」
従妹「それじゃあ、お昼ご飯食べましょう。」
兄「賛せ。」
従妹「ふふっ、お腹も賛成してますね。」
兄「くそぅ……」
従妹「兄さんは可愛いです。によによ。」
従妹「そ、そうですか。ありがとうございます。」
兄「従妹って料理得意だったんだな。」
従妹「は、はい。兄さんの為に練習を。」
兄「え? あ、そうなの?」
従妹「え、あ、ち、違います! 練習なんかしてません! も、もう撫でないでください!」
従妹「……むーっ!」
兄「ん?」
従妹「……本当に東京に行っちゃうんですか?」
兄「……」
従妹「……」
兄「……休みとかには帰ってくるよ。」
従妹「……兄さん。」
兄「……」
従妹「え、あ、兄さん。か、顔近いです、よ?」
兄「……」
従妹「に、兄さん……」
兄「ご飯粒ついてあべし!」
従妹「お約束ですよね。分かってましたよ。」
兄「殴られた……」
従妹「殴られて当然です。」
兄「ん?」
従妹「桜、見に行きませんか?」
兄「良いね。でも、咲いてるのか?」
従妹「はい。奥にある桜の木はもう咲いてるらしいです。」
兄「あぁ、あの木か。」
従妹「はい。」
兄「良く二人であの木の下で遊んだよな。」
兄「そうそう。いつも従妹、寝ちゃうから困ってたよ。」
従妹「そうなんですか?」
男「家まで抱っこかおんぶだった。」
従妹「えへへっ、何か恥ずかしいです。」
従妹「よし、じゃあ、今日も兄さんのお膝で寝ます。」
兄「ははっ、懐かしくて良いね。」
従妹「はいっ! 行きましょう。」
兄「……綺麗だな。」
従妹「……綺麗ですね。」
兄「……」
従妹「……」
兄「ほら、従妹。おいでおいで。」
従妹「私は猫ですか。まぁ、行きますけど。」
兄「……こうやってさ。この木の下で肩を並べて座るの。」
従妹「……私も。」
従妹「……私も兄さんのこと、好きです。」
兄「……」
兄「……俺もだよ。」
従妹「……」
兄「……」
従妹「……兄さん、お膝貸してください。寝ます。」
従妹「……へへっ。」
兄「……」
従妹「桜が綺麗です。」
兄「だな。」
従妹「お兄ちゃん……」
兄「どうした?」
従妹「あの……その……」
兄「……従妹。」
従妹「困らせるし、無理なこともわかってます、でも。」
従妹「お兄ちゃんとずっと一緒にいたいです……」
兄「従妹……!」
従妹「抱きしめないでください……」
従妹「そんな悲しそうな顔で……うっ……声で抱きしめないでください……」
従妹「行っちゃうって分かって……ひっく……ぐすっ……」
兄「……」
兄「今日から1人暮らしか……」
兄「気が楽だけど、家族と会えないのは辛いなぁ……」
兄「それに……」
兄「……」
兄「あいつ結局、見送りにこなかったな。」
兄「……」
兄「……嫌われたかな。」
兄「ここが、新しい家。」
兄「まぁ、大学生だし。そんなに良いところではないけど。」
兄「住めば都と言うし?」
兄「すぅ……はぁ……」
兄「……」
兄「よし。」
兄「ただいまー!」
Ture End
それではまた次回作で。
Entry ⇒ 2012.03.30 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
雪女「やめてぇっ……溶けるぅぅ……っ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1332774339/
雪女「くっ……こんなにあっさりと捕まってしまうなんて……!」
雪女「ここから出しなさいっ!」ガンガン
男「無駄だよ、ボクが作ったその箱はいかなる妖力も受けつけない」
男「もちろん純粋な腕力で壊せるほど脆くもない」
男「つまり、君はそこから出られない」
雪女「私をどうするつもりなの!?」
男「すぐに分かるさ」
男「これはストーブといってね」
男「人間にとっては暖を取るための機械だが、君にとってはどうだろう?」
男はストーブ5台のスイッチをつけた。
ブオオオ……
雪女「なんなの、この熱風は……」
雪女「あ、暑い……やめてぇっ!」
雪女「や、やめてぇ……!」
男「やめないよ」
雪女「なぜこんなことをするの……!?」
雪女「私に何か恨みでもあるの……!?」
男「ないよ」
男「ボクの行動は、全てボクの好奇心によるものだ」
雪女「お願い……なんでもするから……」
雪女「早くここから出してぇ……」
男「う~む、思ったより変化がないな」
男「よし、温度を上げよう」ピッ
雪女「!?」
雪女「いやっ、いやぁぁぁっ!」
雪女「ねぇ、お願い……私が悪かったのなら謝るわ」
雪女「だからもう、やめてぇっ!」
男「キミはまったく悪くないし、やめるつもりもない」
男「残念だけどね」
雪女「そ、そんなぁ……」
男「ダメ押しにもう少しだけ温度を上げよう」ピッ
雪女「やめてぇっ……溶けるぅぅ……!」
雪女「私の体がぁっ……!」
雪女「い、いやぁぁぁっ……こんなの、こんなのやだぁ……」
男「ようやく体が溶けてきたね」
男「一度溶け始めると、早いものだね」
雪女「あ、あぁぁっ……こ、こんな……なんでぇ……」
雪女「いやぁ……あぁっ……」
雪女「た、助け……」
雪女「うぁ……」
男「もう少しだな」
一時間後、箱の中は水だけになった。
もちろんこの水は、元々は雪女だったものだ。
男「完全に溶けたようだな」
男「では、さっそく……」ガラガラ…
箱の下はタイヤがついており、男は箱を注意深く運んだ。
男は箱の中の水を注意深く浴槽に入れる。
一滴残らず入れる。
ストーブでだいぶ温めたため、雪女だった水はぬるかった。
男(……本当は熱い湯の方が好きだけど)
男(沸かさない方がいいだろうな)
頭のてっぺんからつま先まで、念入りに洗った。
そして普通の水で体を洗い流し、いざ浴槽へ。
男「行くぞ……」チャプン
男は雪女だった水の中に入った。
男「悪くない……」チャプン
全身をくまなく、あの美しい雪女に抱き締められたような感覚が襲う。
男「気持ちいい……」
男「なんという気持ちよさだ」
男は水面を波立たせた。
男「………」ジャブジャブ
まるであの雪女のような美しい波紋ができた。
男(ようやく夢が叶った……)チャプ…
男は風呂が好きだった。
全国を巡り、あらゆる温泉に入った。
そんなある日、彼はある話を聞いた。
『雪女を溶かした水に入浴すると、とても気持ちいい』
ちょっと雪女さがしてくる
雪女を探し求めた。
──そして苦心の末、雪山で雪女を捕えることに成功し、今に至る。
男「この水が、雪女なんだよな」
男(自分でやっておいてなんだが、とても信じられないよ)チャプチャプ
男「ハハハ」チャプチャプ
男はしばし、水を弄ぶのを楽しんだ。
男(体が冷えてきたな)
男(そろそろ上がるか)ザバァ
男はなるべく雪女の水を減らさないよう、注意深く浴槽から上がった。
男「さてと……」
男「次の準備をするか」
風呂場がどんどん冷えていく。
そして、しばらくすると──
男「お久しぶり」
雪女「さっきはよくもやってくれたわね……!」
浴槽の水が雪女に戻った。
男「キミを捕え、ストーブで溶かし、あげくその中に裸で入った」
男「キミにとっては死にも勝る屈辱だったろう」
男「もちろん、ただで済むとは思っていない」
男「ボクの命一つでキミの怒りが収まるとはとても思えないけど──」
男「殺すなり、凍らすなり、キミの好きにしてくれ」
男「最初からこうすると心に決めていたからね」
雪女「つまり、アナタは私の思うがままってこと?」
男「そうだ。好きにするといい」
雪女「ふふふ……それじゃあ……」
男「………」
雪女「もう一回やって」
男「えっ」
雪女「だから、私を溶かしてもう一回さっきのやってよ」
男「いやいやいやいや、意味が分からない」
男「キミはあれだけの仕打ちを受けたんだぞ?」
雪女「えぇ、最高だったわ……」
男「えっ」
雪女「体の全てが液体となった」
雪女「アナタはそんな私に全身を委ね、私を存分にかき回したのよ」
雪女「まさか、あんなにキモチいいなんて……思わなかった……」
雪女「ほら、さっきまでのことを思い出すだけで……」
雪女「あ、あァッ……!」ビクッ
雪女「ハァ……ハァ……」
男「………!」
雪女「あら、逃げるの?」
雪女「うふふ……ダメよ。逃がさない」フワッ
男「あ……あ……」
雪女「さっきまでの威勢はどうしたの?」
雪女「こんなに顔を真っ赤にして……」
雪女「うふふ……」
雪女「アナタ、ずっとおっきくしてたじゃない。ちゃんと知ってるんだから」
雪女「キモチよかったんでしょ? ……私の中」
男「いや……あれは……」
雪女「あら、今もおっきいのね……どれどれ」スリスリ
男「や、やめっ──!」
雪女「うふふ……」スリスリ
男「あ、あ、あぁっ……!」ビュルッ
男「ああぁっ!」ビュルルルッ
雪女「うふふ、いい声ね……」
男「あ、あ、あ……」ビクッ ビクッ
雪女「あらあら汚れちゃった」
雪女「じゃあもう一回お風呂に入らないとね……」
雪女「今度は浸かりながら出してもいいのよ?」
雪女「アナタの分身だって、私の中を泳ぎ回りたいはずよ」
雪女「きっと私もさらなる快楽が得られると思うし……」
雪女「想像しただけでゾクゾクしちゃう」
雪女「ね?」
男「ハァ……ハァ……ハァ……」
雪女「なんだったら人のカタチのまま相手してあげてもいいし……」
雪女「これからアナタと二人、楽しくなりそうね……」
男(捕まったのは──)
男(ボクだった……!)
男(ボクはもう、身も心も彼女のモノ……)
男(ミモココロモ、カノジョノモノ……)
<おわり>
だがそれが良い
Entry ⇒ 2012.03.28 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
天使 「あなた死んだのですよ」 男 「なんと」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1331640427/
このSSはSS深夜VIPのSSです
天使 「ナニしてたらテクノブレイク」
男 「えっ!? 30回くらいしかしてないよ?」
天使 「十分過ぎる程に盛ってますよ」
男 「いつもはあと5回は行けるのにー!」
天使 「とにかく!」
男 「まだ童貞なのに…」
天使 「しかしあまりにも哀れなので慈悲深き主はあなたに救いの手を差し伸べることにして下さいました」
男 「マジですか?」
天使 「はい、あなたを生き返らせてあげます」
男 「ありがたやありがたや…」
天使 「しかしあなたをあなたとして生き返らせてあげるわけにはいきません」
男 「は?」
男 「まさか…」
天使 「はい、もうあなただったものは燃えっカスです」
男 「そんな…」ズーン
天使 「ちゃんと生き返れますから安心してくださいって」
天使 「あなたは今から死んでしまう人間の中に入ってもらいます」
男 「死んでしまう?」
天使 「もうあなた面倒なのでさっさっとやっちゃいますね」
男 「えぇ!?」
天使 「あなたが入った体で為すべきことを為せばあなたはそのままその体で生きていけます」
天使 「期限は一週間」
天使 「それまでに条件をクリアできなければまた死んでもらうことになりますから」
男 「え゛?」
天使 「じゃあ頑張って下さいねー」
男 「俺の話を聞けー!!」
妹 「お兄ちゃん…?」
兄 「あん…?」
妹 「お兄ちゃんっ!!」ダキッ
兄 「おうわっ!?」
兄 (なんだこれ、なんだこの状況)
兄 (見ず知らずの美少女から抱きつかれてる)
兄 (桃源郷かここ)
医者 「科学では説明できない…」
医者 「これは正に奇跡だ…!」
兄 (なんか言ってるし)
妹 「よかったよぉお兄ちゃんよかったよぉ…」
兄 「な、泣くなって…」
兄 (どないしよ…)
妹 「私を庇ってダンプに跳ねられたんだよ…」
医者 「目立った外傷は無かったのだけど脳に強い衝撃を受けたようでね」
医者 「つい先程まで死にかけていた、寧ろほとんど死んでいたような状態だったんだよ」
兄 「そっすか…」
兄 「わかったわかったって」ナデナデ
兄 (どういうことだ?)
兄 (まさかあの天使が言っていたことは本当に…)
妹 「お兄ちゃん?」
医者 「どうかしたのかな?」
兄 「あぁいや…」
兄 「俺ってその、兄っすよね?」
妹 「何言ってるのお兄ちゃんまさか衝撃で頭が…」オロオロ
兄 「あーもー違うって」
医者 「ふむ、どういう意味かな?」
医者 「ふむ…」
医者 「これは?」ヒョイッ
兄 「花もしくは花瓶もしくは両方」
医者 「これは?」ヒョイッ
兄 「ボールペン」
医者 「これは?」ヒョイッ
兄 「眼鏡」
医者 「ではこれは?」ズイッ
妹 「わたたっ」
兄 「…妹」
医者 「なるほどなるほど、少し検査があるから妹さん部屋出てくれる?」
妹 「はぁ…」
兄 「………」ゴクリ
医者 「率直に訊こう、記憶はあるかい?」
兄 「…無いっす」
医者 「全く?」
兄 「全く」
医者 「なるほどね…」
兄 「あの…」
医者 「いわゆる記憶障害なわけだけど、思いでが無くなっているみたいだね」
兄 「はい…」
妹 「フンフフーン♪」ルンルン
兄 (めっちゃご機嫌や…)
妹 「りんごもうちょっとで剥けるからねー♪」
兄 「おぅ」
医者 『色々不便だとは思うけど、妹さんには記憶に関しては言わない方がいいと思う』
兄 『なんでですか?』
医者 『彼女ほとんど寝てなくてね、これ以上精神を追い詰めるのは危険だ』
兄 『はぁ…』
兄 「おぅ、さんきゅ」シャクシャク
妹 「食え食え」
兄 (確かに隈が酷い)
兄 「隠し通せるのか…?」
妹 「うん?」
兄 「なんでもねーよ」ナデナデ
期限まで、あと7日。
兄 (問題無しということで家に帰らせて貰った)
兄 (あれが夢で無いのなら俺は何を為せばいいのだろう…)
兄 「むむ?」
兄 「日記か?」
兄 「マメな人間だったんだな、兄」
兄 『今日は妹の付き添いで買い物に行った』
兄 『妹にクレープを奢ってやったら喜んだ』
兄 「………」
兄 『妹の中学の文化祭に行った』
兄 『妹のクラスメイト達に何度も呼び止められた』
兄 「………」イライラ
兄 『妹と外食に行った』
兄 『余程美味かったのか終始上機嫌だった』
兄 「なんだてめぇただのシスコンじゃねぇか!」
兄 「妹以外の事書けやぁ!」
兄 「」ハァハァ
妹 「どうしたのー?」
兄 「」ギクゥ
兄 「な、なんでもない、なんでもない…」
妹 「そう?」
兄 「大丈夫だから入らないでくれ」
妹 「ははーん、どーせまたやらしいことしてたんでしょ?」
兄 「ばっ、違う!」
兄 「ままま任せとけ」
妹 「じゃ私下にいるから」トタトタ
兄 「ふぅ…」
兄 「変な墓穴掘りたくないしな…」
兄 「しかしこれだけのシスコン野郎ってことは為すべきことってのはやっぱ妹関連か?」
兄 「てか為すべきことって抽象的過ぎんだよなぁ」
兄 「上の下くらいのイケメンもしくはフツメンで」
兄 「成績はまあまあ優秀」
兄 「人が良く、頼まれると嫌とは言えない」
兄 「そして俺の一個下の高一か…」
兄 「割りと現実的な設定なのな」
兄 「まぁこのくらいならな…」
兄 (あとは対人関係か…)
期限まで、あと6日。
兄 「ども…」
モブ 「よく生きてたなー」
モブ 「三途の川見えた?」
兄 「あはは…」
兄 (どないしよ…)
モブ 「ちぇー」
モブ 「委員長は真面目だなー」
兄 (神かあなたは…)
委員長 「大丈夫?」
兄 「助かったよ…委員長」
委員長 「いいのよ兄君にはいつも助けて貰ってるから」
兄 「あはは…」
委員長 「休んでた分の授業内容分からなかったら言ってね。教えてあげるから」
兄 「うん、ありがとう」
兄 (どうやら委員長とは仲がよかったようだ)
兄 (口調も変では無いらしい)
兄 (今思えば高一の数学って簡単だったなー)カリカリ
教師 「はい兄この時の最小値は?」
兄 「さん」
教師 「はいよろしい」
委員長 「大丈夫そうね」
兄 「任せとけ」
女 「兄ごはんー」
兄 「あぁ、女か…」
女 「えぇえぇ女ちゃんですよ」
兄 「さいですか…」
兄 (この女とも仲が良かったらしい)
女 「ほら妹ちゃんの絶品弁当をパンの私にも分けておくれよ」
兄 「ほれ食え」
女 「ありがたやありがたや…」
兄 (変な奴だな…)
兄 「そっすねぇ」モグモグ
女 「というかダンプに轢かれたってのにピンピンしてるよね」
兄 「轢かれたってよりは跳ねられたもんでな、五体な満足わけよ」
女 「ほほうほう」
女 「つまり脳ミソがラリラリと」
兄 「なしてや」
兄 「まぁ、そうだよ」
女 「ラリラリ」
兄 「どっかの化け物みたいに呼ぶな」
女 「そのネタ分かりづらいよ」
兄 「うん」
兄 「あれ?」
女 「ほら、なんか言ってたじゃん。このゲームをやり終えないと死にきれねぇって」
兄 「あー、あれね。まだ終わってないや」
女 「ま、昏睡状態だったみたいだからね」
兄 (まさかそれが為すべきこと…?)
兄 「さて帰るか」
委員長 「あ、兄君」
兄 「おぅ」
委員長 「ちょっと手伝って貰える?」
兄 (兄は頼まれると断れない…)
兄 「任せろ」
兄 「いやいや全然大したことないよ」
委員長 「このプリントの束職員室に持ってくだけだから」
兄 「おぅ」
委員長 「あ…」
幼馴染 「あら、委員長さん」
委員長 「幼馴染先輩…」
兄 (幼馴染…)
委員長 「お友達の件は…」
幼馴染 「いいのよ、いつ死んでもおかしくない奴だったから」
委員長 「でも…」
兄 「行こうぜ委員長」
委員長 「兄君」
兄 「失礼しますね」
幼馴染 「えぇ、ありがとう」
兄 「あんまり掘り返しちゃ可哀想だろ」
委員長 「でも…」
兄 「いいからいいから、さっさと済ませて帰ろうぜ」
委員長 「うん…」
兄 (さて整理しよう)
兄 (仮に為すべきことというのが未練というやつだったりする)
兄 (だとすればそれを果たすのが当面の目標になるわけだが)
兄 (この場合未練は男のものになるのか、兄のものになるのか)
兄 (俺の未練と言えばおちゃらけて言うなら脱童貞)
兄 (真面目に言えばやっぱ幼馴染のことになるのか…)
兄 (だがこれは生前の未練の話ではないのか?)
兄 (ならばやはり答えは別の場所にある…?)
兄 (そして考えなければいけないのは兄の未練だ)
兄 (一週間と無い限られた時間の中で俺は兄という人格を理解する必要がある)
兄 (兄ならまずはこのゲームだろう)
兄 (どういったタイミングで為すべきことを為したかが主観では分からない以上思い当たることをしらみ潰しにしていくしか…)
妹 「お兄ちゃん?」
兄 「あ、んおぅ…?」
妹 「凄い剣幕でゲームしてたけど大丈夫?」
兄 「あぁ…大丈夫だよ」ニコ
妹 「なっ、違うよバカ! お兄ちゃんが買い物行こうって言ったんでしょ?」
兄 「あぁ、そうだったな。さっさと準備してこい」
妹 「終わってるよ!」
兄 「どう? ヅャスコ、賑わってる?」
妹 「見れば分かるでしょ…」
妹 「どっかの芸人みたいな台詞回しやめてよね」
兄 「気にしたら負けだぜ」
兄 「ほら、兄貴様が荷物持ちしてやるから好きなだけ見回りな」
妹 「それに関しては嬉しいけどさぁ…」
兄 「失礼な妹だな」
兄 「この兄が可愛い妹の為に買い物に付き合ってやろうと思ったのに」
妹 「なっ、この馬鹿!///」
兄 「はいはい落ち着けって」
兄 「お、この服可愛いじゃん」
妹 「高校生男子が女物の服物色しない方がいいと思うよ」
妹 「まだまだ行くよー!」
兄 「マジかこいつ…」
妹 「そりゃあ久しぶりの買い物ですから」
兄 「さいでげすか…」
妹 「げす」
兄 (兄の未練が妹と過ごすだったとしたら一週間もあればおそらく大丈夫だろう)
兄 (次はやはり、対人関係か…?)
妹 (また凄い顔してる…)
妹 「そういや女ちゃんどうしてた?」
兄 「どうしてたとはえらく抽象的だな」
妹 「なんかこう、最近の生態とかさ」
兄 「女は動物か何かなのか…?」
妹 「うそ!?」
兄 「あごめん泣きながらは嘘」
妹 「アホ!」
兄 「んまいんまい言いながらがっついてた」
妹 「そっか~」ニコニコ
兄 「なに、ゆりゆりな感じ?」
妹 「違うわボケ」
兄 「絶技ね、舌だけに」
妹 「下ネタの上親父ギャグとかマジ死ねよ」
兄 「最近妹が口悪すぎてつらい」
妹 「お兄ちゃんが変態過ぎてつらい」
兄 「世知辛い世の中やね」
妹 「せやな」
兄 「ふぃ~」
兄 「肩凝った~」
兄 (さてと、次だ)
兄 (話題にあがった女に関連させていこう)
兄 (女。成績は中の下程度で容姿は所謂可愛い系)
兄 (天然であり、テンションが常に高くノリがいい)
兄 (生前の兄とは悪友のような間柄だったようだ)
兄 (そして舌技が絶技だそうだ)
妹 「なにかお兄ちゃんがまた寒いことを考えているような気がする」
兄 「」
女 「銀河美少年、女ー!」
兄 「」
女 「」
兄 「」
女 「なにか反応してください」
兄 「ごめんなさい無理です」
女 「妹ちゃんにあげてもらったから」
兄 「そうけ…」
女 「いやいや妹ちゃんはいい女だよねぇ食べちゃいたい」
兄 「なんだ百合か」
女 「いや、本当に食べるの」
兄 「あ、もしもし110ですか? え、警察? 110じゃないの?」
女 「呼ぶのは警察でしょ! てか冗談だから呼ばないでよ!!」
女 「メンヘラじゃないし。帰らないし。用あるし」
兄 「じゃあ用済ませてさっさと帰れ」
女 「帰らないー」
兄 「あ、もしもし110? なんか不審者が…」
女 「もうそのネタやめれ」
女 「なにかな?」
兄 「もし今死んだとしてさ、なんか未練あるか?」
女 「心中とか無いわー」
兄 「真面目な話」
女 「………うーん」
女 「買い物行ったり美味しいもの食べたり気になる彼奴に告ったり…」
兄 「ひとつこれだけは絶対、ってのはあるか?」
女 「んー、やっぱ告白じゃないかなー」
兄 「誰に?」
女 「そりゃあもう…って何言わせようとしてんのよ」
兄 「」チッ
兄 「別に史上最強の弟子なんていないんだけど」
兄 「ちょっとヘッセの小説読んで感銘を受けてさ」
女 「で、未練の話と」
兄 「そゆこと」
兄 (告白か…)
兄 (流石に兄の好きな奴のことまでは妹も知らないだろうしなぁ…)
兄 (昔の日記でめ見つかればいいが…)
兄 (妹に訊いてみよう)
期限まで、あと5日。
兄 「やたー!」
兄 (これでゲームは終わった)
兄 「ちくしょう結構面白かったぜ」
妹 「終わったんだ」
兄 「人の部屋に入ってくるなよ」
妹 「呼んだのに出ないじゃん」
兄 「ヘッドフォンしてたし」
兄 「委員長?」
委員長 「やぁ」
兄 「おう、どうしたいきなり」
委員長 「どうしたって今日は勉強教える日じゃない」
兄 「あれ、今日だっけ?」
委員長 「もう、ずっと寝てたからは通用しないよ?」
兄 (もう俺爆ぜてもいいや)
委員長 「あれ、全部わかってるじゃない」
兄 「だって平方完成簡単だし」
委員長 「兄君数学苦手じゃなかった?」
兄 「………」
兄 (しまったぁぁぁぁぁ!)
兄 「べ、勉強したんだ俺なりに!」
委員長 「そうなの? 」
委員長 「それは良いことね」
委員長 「勉強嫌いの兄君がねぇ」
兄 (詰んだ)
委員長 「正直に話してくれてもいいんじゃない?」
兄 「あ、あのその…」
委員長 「んー?」ニコニコ
兄 (考えろ男! お前の余りある想像力とコミュ力を活かせ!)
委員長 「………」
兄 「………」
委員長 「ふぇ?」
兄 「!?」
兄 (ど、どうなるんだっ…!)
兄 「いや、でも委員長頭も良くて器量も良くて可愛いから…」
委員長 「かわっ!?」
兄 (これ、フラグ建ってる?)
委員長 「その…」
兄 「はい?」
委員長 「私、可愛い?」
兄 「うん」
委員長 「………///」
兄 「………///」
兄 「は、はい!」
委員長 「じゃあ次の問題ね」
兄 (か、顔が近いぃぃぃぃぁぁぁぁぁ!)
委員長 「兄君?」
兄 「ひゃいっ!!」
兄 (あぁぁぁぁぁ目の前に委員長がぁぁぁぁぁ)
委員長 (かかかかかか顔!)
委員長 (でももしかしてこれってチャンス!?)
兄 「なんでございましょうか?」
委員長 「女さんとは付き合ってるの?」
兄 「い、いえ全く!」
委員長 「じゃあ誰かと付き合ってる?」
兄 「彼女いない歴イコール年齢です!」
委員長 「そ、そうなんだ…」
兄 「毎日思ってます!」
委員長 「毎日なんだ…」
委員長 「じゃあさ…」
委員長 「付き合って、みる?」
兄 (うっひょぉぉぉ!?)
委員長 「あぁもう鈍いなぁ!」ガバッ
兄 「ぐはぁ!?」
兄 (おおお押し倒された!?)
委員長 「け、結構勇気だしたんだよ?」
兄 「え、えーっと…」
兄 「貞操危ない感じ?」
委員長 「兄君がいくとこまでいきたいなら」
兄 「めめ滅相もない!」
兄 「あの…」
委員長 「うん」
兄 「不束者ですが…」
委員長 「こ、こちらこそ…」
妹 「お菓子持ってきたy」
兄 「」
委員長 「」
妹 「」
兄 「逆だろ! それに今は限りなく合意してる状態だ!」
委員長 「合意…///」
兄 「あ、いやその///」
妹 「お、お兄ちゃんなんかぁ…」
妹 「爆発しちゃえーーーっ!」ウワーン
兄 「いっ、妹ーーー!」
兄 (兄の未練とかもうなくね?)
兄 (つかただのリア充だろ)
兄 「じゃあちょっと妹説得してくる」
委員長 「頑張れ」
妹 「うぇーんおにいちゃんの童貞がー」オヨヨ
兄 「うら若き乙女が童貞とか言っちゃいけません」
妹 「うるせばかー」
兄 (拗ねた妹には…)
兄 「あ、委員長それケーキ?」
妹 「」ピクッ
兄 「おーうまそーだなぁ。腹減ったし全部くっちまおう」
妹 「まてー!」バァン
兄 「ゲットだぜ!」ガシィ
妹 「!?」
兄 「ふむ、わしにしねというんだな?」
妹 「いってないー!」ジタバタ
兄 「あ、やせいのわしにしねだ!」
妹 「意味分かんないー!」ジタバタ
委員長 「離してあげなよ…」
委員長 「わ、分かってるわよ!」
兄 「人を押し倒しておきながら…」ボソッ
委員長 「それはもういいでしょ!」
兄 「俺の貞操の危険が危なかったぜ…」
妹 「まったくだよ」
兄 (1つ目標達成か…)
兄 (さて他には何をしたものか…)
期限まで、あと4日。
兄 「(°Д°)」
兄 「orz」
兄 「なんだよこれ…」
兄 「日記に書いてあった兄がやりたいゲーム…」
兄 「エロゲーと思ったらグロゲーじゃねぇか…」
兄 「まりもちゃん…」
兄 「なんで死んじまったんだよ…」
妹 「うわぁ…」
兄 「十八歳未満は見るんじゃありません!!」
兄 「高校生は背伸びしたがるお年頃だからいいの!」
妹 「えーずるーい!」
兄 「ハハハ! ならば受験をサッサと終わらせたまへ!!」
妹 「じゃあ勉強教えてよね」
兄 「おぅ、任せとけ」
妹 「はーい」
兄 (さて、丁度折り返し地点に立ったわけだが)
兄 (そろそろ、俺の方にも目を向けないとだな…)
兄 (どんな顔して話しかけりゃいいんだよ)
兄 「今日はお弁当が無いのです」
委員長 「じゃあ食堂行きましょ」
兄 「ですね」
兄 「あ…」
委員長 「うん?」
兄 「なんでもねっす」
委員長 「? 変なの」
兄 (あいついつも学食だったっけ…)
兄 「やっぱ多いなー」
委員長 「学食っていうのだけは漫画と大差ないわよね」
兄 「全力疾走したりパンを求めて長蛇の列が出来たりね」
委員長 「でも購買に群がったりはしないわよね」
兄 「漫画だからね」
委員長 「生徒会が絶対権力持ってる訳わいし」
兄 「漫画だからね」
委員長 「ただの中間管理職に決まってるじゃないってのよ」
兄 「自分が生徒会に出入りすること多いからって愚痴るなよ」
委員長 「あらごめん」
兄 「それはどうだろう…」
兄 (みんなの中心に立つことに憧れてた人はいるんじゃないかな…)
委員長 「でしょ?」
兄 「モノローグに入ってくんな」
委員長 「友達の学校の学食なんて食べられたものじゃなかったわ」モグモグ
兄 「あはは、あるある」モグモグ
兄 「お………?」
委員長 「あ、幼馴染先輩」
幼馴染 「あら、委員長さんと…」
兄 「兄っす」
委員長 「兄君ね、この前は気を使ってくれてありがとう」
兄 「いやいや、お気になさらずに」
兄 「よかったら一緒に食べませんか?」
幼馴染 「いいのかしら?」
委員長 「ホントなら嫌ですけど幼馴染先輩ならバッチコイです」
幼馴染 「そう」ウフフ
委員長 「幼馴染先輩生徒会役員でしょ」
委員長 「仕事柄よく会うのよ」
兄 「あぁ、副会長だったっけ?」
幼馴染 「えぇ、委員長さんよく頑張ってくれて助かります」
委員長 「いやいやそんな勿体ない御言葉…」
兄 「へりくだりすぎだ」
幼馴染 「仲がいいんですね」
兄 「そうですか?」
幼馴染 「よかったですね、委員長さん。上手くいったみたいで」フフッ
委員長 「せっ、先輩!?」
幼馴染 「うふふ」
兄 (でた、あの人をからかう時の顔)
幼馴染 「どうかしました?」
兄 「あ、いえ別に」
幼馴染 「あら、頑張ってね」
兄 「用事頑張れよ~」ニヤニヤ
委員長 「笑わないでよ!」タタタ
幼馴染 「分かりやすい子でしょう?」
兄 「まったくですね」
幼馴染 「なにかしら?」
兄 「男さんのこと、訊いてもいいですか?」
幼馴染 「………」
兄 「あぁいやその話しづらいだろうし別に」
幼馴染 「男はね…」
幼馴染 「人と話す時はいっても妹ちゃんの話しかしないし」
幼馴染 「行動理念はスケベなことだけで…」
幼馴染 「そのくせ私が困ってたら愚痴を言いながら助けてくれて…」
兄 「………」
兄 「まったくですね」
幼馴染 「同情したりしないんだ?」
兄 「分かるよその気持ちとか言って欲しいですか?」
幼馴染 「ううん、言って欲しくないかな」
幼馴染 「ふふ、君は男に似てるよ」
兄 「惚れました?」
幼馴染 「彼女がいなかったらね」
幼馴染 「それに私年下萌えじゃないの」
兄 「残念です」
幼馴染 「委員長さんが聞いたら怒るわよ?」
兄 「冗談ですから」
兄 「あと…」
兄 「男さん、どうして亡くなったんです?」
幼馴染 「…そうか、聞いてないんだね」
兄 「まぁ、亡くなったとしか…」
幼馴染 「交通事故。ちょっと不幸な、ね」
幼馴染 「なにか気になる?」
兄 「いえ…」
兄 (あの天使は俺が腹上死したと言った)
兄 (それではこの食い違いは何だ?)
兄 (何だ、この食い違いが指し示す答えはなんだ?)
兄 (これが為すべきことに繋がるのか?)
期限まで、あと3日。
兄 「ちょっと気になることがありまして…」
医者 「ほう、私で答えられることなら答えよう」
兄 「俺は事故以前の記憶が無い訳じゃないですか」
医者 「うん、そうだね」
兄 「それで、事故とかに遭ってその時の記憶だけが飛んじゃうみたいなことってあるんですか?」
医者 「ふむ…」
医者 「外的なショックや精神的なショックでなることがほとんどだ」
医者 「君の場合は前者なんだけど…」
医者 「本当は一部の記憶が飛んだりあやふやになる方が多いんだ」
兄 「そうなんですか…」
医者 「なにかあったかい?」
兄 「いえ…」
兄 「あと、俺が事故にあった日、亡くなった人っていますか?」
医者 「…それは個人のプライバシーや犯罪なんかに関わってくるから言えない決まりになってるんだ」
兄 「そうなんですか…」
医者 「うん、力になれなくてごめんね」
兄 「いえ、ありがとうございました」
兄 (だが幼馴染みは不幸な事故で死んだと言った)
兄 (この2つの事柄のうち、為すべきことに繋がるものは一体どちらなんだ?)
女 「あにー」
兄 (もしやテクノブレイクするほどにナニすることが俺の未練!?)
兄 (って為したら死ぬじゃねぇか)
女 「あっにーっ」
委員長 「あにくーん?」
兄 (しかし死んだ時の記憶が無いっていうのは辛いな)
兄 (走馬灯ってやつの中に未練があると思うんだが…)
女 「ちょーっぷ!」ズビシ
兄 「うわらば!?」
女 「お前が悪いんだー人の話を聞かないでスケベな妄想ばっかりしてるからー!!」
兄 「なんだとてめぇ俺は今哲学してたんだよ!」
女 「どーせ『なぜヒトはパンツを履くのだろう…』」キリッ
女 「とかでしょうが!」
兄 「アホか」
委員長 「落ち着きなさいよ」
兄 「そうかな?」
委員長 「まるで死を間近に控え自分の今までについて物思いにふける少年のような…」
兄 「そういう人って達観してそうじゃね?」
委員長 「だって私もイメージだし」
女 「パンツの事を必死に考えてたんだよね!」
兄 「黙れ」
兄 「なんでお前も混ざってるんだよ」
委員長 「人は多い方が楽しいじゃない」
兄 「2人きりでデートとかいう発想はないのな」
委員長 「でででっ!?///」
女 「爆ぜろ」
兄 「結局ここになるのね」
委員長 「無難だもの」
女 「エブリデイ ヤンライフj」
兄 「おっとそこまでだ」
委員長 「ここはヅャスコよ女ちゃん」
女 「おっと失敬私としたことが」
委員長 「どうかした?」
兄 「なんでチョコが安売り…?」
委員長 「あぁ、ホワイトデー商戦の売れ残りでしょ」
兄 「ホワイトデー…」
女 「あ、そういえば兄から返して貰ってないよ!」
委員長 「入院してたんだから無理言っちゃ駄目よ」
女 「うーん、流石にそれはからかいづらい…」
兄 (ホワイトデー…?)
期限まで、あと2日。
兄 (福岡の老舗菓子店が所謂販促として始めたマシュマロデーなるものが起こりと言われている)
兄 (バレンタインのお返しとしてマシュマロやクッキーを贈る東アジア特有の文化…)
兄 (最近流行りのステマみたいなもんだったのか)
兄 (この引っ掛かりはなんだ…?)
妹 「どうしたの今更ホワイトデーなんか調べて」
兄 「僕にプライベートは保証されてないんですね」
妹 「はいもちろん」
妹 「褒めてもなにも出ないよー?」
兄 「褒めて無いし期待もしてない」
妹 「うん知ってる」
兄 「なぁ妹よ」
妹 「なにかねお兄ちゃん君」
兄 「事故現場、連れてってくれないか?」
兄 (至って普遍的な踏み切り…)
兄 (献花やお菓子があるということは誰か最近しんだのか…)
妹 「つ、辛かったら無理しなくていいんだよ?」
兄 「大丈夫だ」
兄 (…なにか、思い出せそうな気がする)
兄 (答えは出ている)
兄 (後は記憶と感情を取り戻すだけ…)
兄 (ダンプが通るにはギリギリ)
兄 (そう、俺と兄はここで何かがあってダンプに轢かれて死んだんだ)
兄 (そうだ、そう)
兄 (確かあれは、夕暮れ時だった)
兄 (俺はいつものように幼馴染と一緒に家に帰っていたんだ)
妹 「お、お兄ちゃん?」
兄 (そう、ダンプが突っ込んで来たんだ、反対の歩道に)
兄 (そこには兄がいた)
兄 (俺はそれを助けようと咄嗟に走り出して…)
兄 (そして…)
妹 「お、おーい…」
幼馴染 『なんで男に勝てないのかしら』
男 『オツムの出来の違いだろ』
幼馴染 『悔しいけど負けてる以上否定できない…』
男 『ははは頑張りたまへ』
幼馴染 『三年の実力テストは見てなさいよぉ~』
男 『もちろん実力で受けろよ』
幼馴染 『う……』
幼馴染 『だよねぇ』
男 『ん…?』
幼馴染 『なに?』
男 『あのダンプの運転手…』
幼馴染 『嘘、あれ寝てる!?』
男 『あのままじゃ反対の歩道に…おいそこの人!』
兄 『――――♪』シャカシャカ
男 『イヤホンつけて…畜生!』ダッ
幼馴染 『ちょっと男!』
男 『おいお前早くこっちに…』
兄 『へ………?』
ドンッ
幼馴染 『いっ―――』
幼馴染 『いやぁ――――!!』
妹 「へ?」
兄 「そだったのか…」
妹 「だ、大丈夫…だよね?」
兄 「あぁ、大丈夫だよ」
兄 (なんとなくだけどわかったよ)
兄 (俺の未練と、あと兄の未練)
兄 (これは俺達が背負う罪なのかね)
兄 (それと、為すべきことっていったら、1つだけだよな)
期限まで、あと1日。
幼馴染 「あら、兄くん」
兄 「お話したいことがあるんですが、放課後お時間いただけますか」
幼馴染 「もしかして告白でもされちゃうのかしら」
兄 「えぇ」
幼馴染 「ふふ、じょうだ…へ?」
兄 「じゃあ放課後屋上にいてください。それじゃ」タタタ
幼馴染 「えー…?」
委員長 「なに?」
兄 「俺幼馴染さんに告白する」
委員長 「ふーん…」
委員長 「はい?」
女 「ついにトチ狂っちゃったのね…」
委員長 「あなたが彼女の前で浮気未遂を報告するような人だったなんて…」
兄 「勘違いすんな」
委員長 「誰かの代わりってこと?」
兄 「そんな感じ」
女 「最低ねそいつ」
兄 「…あぁ、そうだな」
委員長 「で、なんで私に報告?」
兄 「いやほら勘違いとかされないように…」
委員長 「そういうことね」
幼馴染 (言われたから来てみたものの…)
幼馴染 (告白って、ねぇ…?)
幼馴染 (兄くんは委員長さんと付き合ってるんでしょうに)
幼馴染 (いったいどうゆうつもりかしら)
幼馴染 「あぁ今来たところだからいいの」
幼馴染 「で、何の用かしら?」
兄 「お伝えした通り、告白しに来ました」
幼馴染 「彼女持ちの君が?」
兄 「えぇ」
幼馴染 「そう………」
幼馴染 (馬鹿にしてるのかしら?)
幼馴染 (それとも本当の馬鹿?)
幼馴染 「そうね」
兄 「友達にお返しをせがまれましたよ。まぁ入院してたんで仕方ないんですけど」
幼馴染 「……そうね」
兄 「バレンタインにチョコ、幼馴染さんも渡しましたよね?」
幼馴染 「っ――」
兄 「お返し貰えました?」
兄 「いいえ」
幼馴染 「人の触れられたくない領域にズカズカと入り込んで…」
幼馴染 「なに? 男が死んだ私ならちょっとすり寄ればすぐになびくとでも思った?」
兄 「いいえ」
幼馴染 「だったら…」
兄 「はい、これ」
幼馴染 「え……?」
兄 「男さんからの、お返しです」
兄 「実は男さんとはちょっとした知り合いだったんですよ」
兄 「男さんが本命のチョコを貰ったけれどお返しは何がいいかと悩んでいらしたのでお手伝いしたんです」
幼馴染 「でもあいつ毎年チロルチョコで…」
兄 「いい加減、誤魔化すのはよくないからって言ってました」
幼馴染 「……そっか」
幼馴染 「でもどうして君が?」
兄 「男さんと俺の家で作って、うちの冷蔵庫だと親にからかわれるからってうちに保管してたんです」
幼馴染 (まるで最初から言い訳を用意していたかのように)
幼馴染 (それに男はあの時彼を知らないような呼び方だった)
幼馴染 (きっと、つつけばボロがでる)
幼馴染 (でも……)
幼馴染 「そうだったんだ」
兄 「はい」
幼馴染 「あいつ、私のことなんか言ってた?」
兄 「いつも人にお節介ばっかりかけて」
兄 「なんでもそつなくこなして」
兄 「でも実は犬が苦手だったり」
兄 「小4まで夜中に一人でトイレにいけなかったりするけど」
兄 「めちゃくちゃいい女だ。って言ってました」
兄 「はい」
幼馴染 「君、やっぱり男にそっくりだよ」
兄 「そう思います」
幼馴染 「告白とか言ってからかうところとか」
兄 「からかってませんよ」
幼馴染 「じゃあ男のも天然だったのかな」
兄 「どうでしょうね」
幼馴染 「委員長さんが待ってるわよ?」
兄 「………そうですね」
兄 「それじゃさよなら、幼馴染……さん」
幼馴染 「えぇ、気を付けて帰りなさいよ」
兄 「あはは、お母さんみたいですね」スタスタ
幼馴染 「さようなら……男」
ちょっと風呂入ってくるんでそれから後日談的なもの書きます
乙、ゆっくりしておいで~
TV 「カゼーノーコーエー」
兄 「き、キタローお前ぇ…」
兄 「自分を犠牲にしてまでニュクスを倒して…」
兄 「必死に眠たいのを堪えてみんなを待ってたんやなぁ…」
妹 「なんでいまさら3?」
兄 「久しぶりにやりたくなってな」キリッ
兄 (俺は再び死ぬことは無く、無事に2年に進級)
兄 (今では兄が持っていたゲームややりたがっていたゲームにすっかりハマっていた)
兄 (きっと為すべきことは為せていたのだろう)
兄 「あいよー」
兄 (事故の記憶を取り戻してから、思い出した未練)
兄 (それは2つ)
兄 (1つは、幼馴染に返事ができなかったこと)
兄 (そしてもうひとつ)
兄 (兄を助けられなかったことだ)
兄 (俺を死なせてしまったこと)
兄 (これは正直賭けのようなものだった)
兄 (兄がもし事故中心的で自分を助けられなかった俺を逆恨みするような性格だったならば、まずそんなこと思わなかっただろう)
兄 (俺が助けられなかった兄として生き)
兄 (兄は死なせてしまった俺に体を渡す)
兄 (俺と兄の未練はなし崩し的かつ強引な方法で解消されていた)
兄 「いただきまーす」
妹 「めしあがれー」
兄 (妹を一人、残してしまったこと)
兄 (この兄妹には両親がいない)
妹 「うまうま」
兄 (兄妹が互いにベッタリだったのもそのせいのようだ)
兄 (それが兄への一番の手向けになるだろう)
妹 「今日は委員長さんとデート?」
兄 「部屋でギシアンするから出てっとけよ」
妹 「うわーさいてー」
兄 「冗談だよ」
ピンポーン
妹 「来たんじゃない?」
兄 「そうかもな。出てくる」
ガチャ
女 「よー!」
兄 「あ、間違えました」バタン
女 「間違ってないから寧ろ逆だから!」
委員長 「兄くん落ち着いて」
女 「お前に娘はやらん!」
兄 「間違えました」バタン
女 「あけろー!」ドンドン
委員長 「もう、ふふっ……」
兄 (なによりも、青春を楽しみたかっただけなのかもしれない)
おわり
(´;ω;`)ブワッ
乙…
Entry ⇒ 2012.03.25 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「そして誰もいなくなった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328612349/
妹「ッッ!?」
男「先生ッ!? クソ! おい先生を降ろすぞ! ボサッとすんな手伝え!!」
メガネ「わかってる! 僕が下から支えてるから男は早く縄を切れ! 茶髪は他のみんなを外に出せ!!」
茶髪「……ぁ,ああ……み,みんな外にでろ……こっちだ……」
チビ子「……な,んでッ……こんな…………ぅぷっ……」
幼馴染「……せん……せ,………い,ぃやぁあああ……」
男「……ッダメだ! 縄が切れない! 切るもの! メガネ! 何か切るもの持って来い!」
ツインテ「やだ……せんせい……こんなのやだぁ……」
──── 島での惨劇は先生の自殺から始まった
そもそもの話は2週間ほど前に遡る ────
ツインテ「夏合宿ぅ?」
男「ああ.ほらチビ子ってセレブだから別荘持ってんだってさ.そこ使わせてくれるって」
ツインテ「別荘って……漫画の世界のお嬢じゃんかチビ子」
チビ子「いやいや! 別荘ってもそんな大したもんじゃないですから.えへへ」
幼馴染「でも……迷惑じゃないの?」
チビ子「一応パパに話通さないといけませんけど,多分大丈夫だと思います」
男「まぁチビ子もこう言ってるし遠慮することないだろ.南方の島らしいしバカンスにもってこいじゃないか」
妹「兄さんは遠慮しなさすぎです」
チビ子「南といっても日本から少し南に行っただけの離島ですよぉ」
茶髪「んなの何でもいーじゃんか.文芸部だから……『ドキッ!? 南の島で朗読対決! ポロリもあるよ』とか?」
男「お前は黙ってろ」
ツインテ「あんたは黙ってなさい」
妹「茶髪さんは黙ってて」
幼馴染「……あの,こんなメンバーだけど本当に迷惑じゃない?」
チビ子「あはは……ちょっと不安になってきました」
男「まぁとりあえずここにいる7人が全員参加ってことでいいんだな」
メガネ「それに,引率として顧問の先生が1人だ」
我が文芸部のメンツは男子3名,女子4名の,計7名
ふだんから真面目に読書をしてるのは部長のメガネと,俺の幼馴染くらい
他の奴らはだいたい部室で茶でも飲みながらだらだらとダベっているだけだ
新入部員である俺の妹やチビ子(二人は同じクラスの友人らしい)はまだたまに読書してるが……
ツインテと茶髪にいたっては入部からこのかた読書をしている所なんぞ一度も見たことがない
何しにこの部活に入ったんだお前らは……
気が置けない仲というやつだろうか,部員間の関係は悪くはないと思う
今回の合宿の提案もなんだかんだでみんな乗り気らしい
仲のよい面々との四泊五日の合宿だ
それぞれ楽しみだったり若干不安だったりするのかもしれないが……
まぁ色々な意味で,いい思い出になればと思う
──男 Side:了
先生「はいみんな注目ぅ~.ちゃんと揃ってる~?」
ツインテ「はーい」
チビ子「みんないまーす」
幼馴染「ちゃんとそろっています」
茶髪「ちょっと男子ぃ~.あんたたちも返事しなさいよね!? もぉー,ぷんぷんだぞ!」
男「お前も男だろ」
妹「この人置いていきませんか?」
先生「はいはい元気があっていいわねぇ」
先生「若さあふれるパワーではしゃぎたい気持ちも分かるけど~,ハメ外しすぎちゃって合宿中に『ハメ』ちゃったりしたらダメよぅ?」
先生「さて,一応引率としての責任があるからね.確認のための点呼を取るわよ」
メガネ(♂,18才)「に!」
男(♂,18才)「……さん」
茶髪(♂,18才)「ガキじゃねーんだからハズカシーよせんせー…………はいはい,……よーん」
ツインテール娘(♀,18才)「ご!」
幼馴染(♀,18才)「ろ,ろく!」
妹(♀,16才)「なな」
チビ子(♀,16才)「はちです!」
先生「よろしい,みんな揃ってるわね.それじゃ行きましょうか! 島へは船で行くのよね」
チビ子「はい! 5日間よろしくおねがいしますね先生.えへへ」
というかスレタイ的にみんな死ぬっぽいっていう
茶髪「へー.いい感じじゃん別荘! チビ子ってマジで金持ちだったんだなぁ! ……あんまそんな風に見えないのに」
チビ子「だからお金を持ってるのはパパですってばぁ.私はお茶代のためにお昼を節約したりとか,……いろいろ大変なんですよ?」
妹「それにしたって予想以上だよ.うちの家の10倍……いえ15倍くらいあるかな」
幼馴染「うん正直びっくり.8人が泊まるには広すぎるくらいだよね.場所の提供ありがとうチビ子ちゃん」
チビ子「えへへ,どういたしまして.一応皆さん一人ずつの個室はご用意できますので,そこは安心してくださいね」
男「……おい.無駄話はいいから早く部屋に案内してくれ.荷物が重い」
ツインテ「あんたがジャンケンで負けたのが悪いんでしょー」
妹「男のくせにグチグチとうるさいですよ兄さん.文句言わずに運んで下さい」
チビ子「別荘の裏手は少し進むと崖になっているので気をつけて下さい.落っこちちゃうと危ないですから」
メガネ「ふむ.崖の淵に建っているというのは少々怖いが,景観は良さそうだな」
ツインテ「そんなこといいからお昼食べて早く泳ごうよ~!」
幼馴染「ふふ.じゃあ部屋に荷物を置いてきたら簡単なもの作っちゃうね」
妹「私も手伝います」
チビ子「私も手伝いますよ! 台所のどこに何があるか説明しないといけないし」
ツインテ「チビ子はお嬢のくせに料理できんの!? くそぅ……料理できない仲間だと思ったのに」
先生「人数が多すぎても邪魔だろうし私はパスするわ~.部屋にいるからできたら呼んでちょ~だい」
ツインテ「うわっ.その『女だから料理ができて当然』って考え方,場所が場所ならセクハラで訴えられるよ」
茶髪「言ってろバーカ.メガネや男だって料理ができる方がポイント高いって思うだろ?」
メガネ「僕は別に気にしないな」
男「まぁ別に男とか女に限ったことじゃなくて,料理できる方が印象はいいな」
茶髪「ほーら見ろ! 女は料理できた方がいいんだよ!」
ツインテ「うっさいバカ! 二人とも別にあんたの意見に全面的に賛成ってわけじゃないじゃない!」
ツインテ「………」
ツインテ「………………でも……そっか」
ツインテ「……男は,料理できる娘のほうがいいのか」ボソッ
──チビ子 side
女子の共同作である昼食をみんなでとった後,私たちは水着に着替えて浜辺に出た
実はこの離島は私のうちの所有物なのでこの島には私達以外に人がいない
島への出発前にそんなことを説明したら先生が,『プライベートビーチは初体験だわぁ~』とテンションを上げていた
素直に喜んでもらえてほっとしている
………
………私の家は,お金持ちだ
正確に言えばお金をもっているのは父だけれども
お家は住み込みの家政婦さんがいるほど大きいし,別荘どころか島まで持っている
当然,それを快く思わない人も少なくない
父が本邸でパーティーを開くときに父の知人達が撒き散らす粘ついた視線
────……嫉妬と,それを覆い隠す巧言
私の家が資産家であることは部員の間では周知されていたけど
さすがに,島をもっているとまでは思わなかったはずだ
今回の合宿のキッカケは,私が妹ちゃんにふとしたキッカケで別荘のことを話してしまい……
それを又聞きした男さんが夏合宿の話を持ちだしたことにある
でも……結局,私の心配事は杞憂に終わった
みんな,ただただ別荘での合宿を楽しみにしていて,嫉妬など微塵もない笑顔ばかり
そうだ
こんなに優しくて気持ちのいい人たちばかりだもんね
本当に素敵な親友と,素敵な先輩達ばかりで…………
……………──────なんだか,ふと,笑っちゃいそうになる
…………笑顔で,くすくすと
先生と幼馴染さんは胸おっきぃなぁ
…………くすくす,クスクス
妹ちゃんとツインテさんは……いや,本人の名誉のために感想は控えておこう
…………くすくすくすくすくす
そんなことをぽややんと考えていると,妹ちゃんが私の手を引っ張ってみんなの輪の中に連れていってくれた
みんな,みんな楽しそうで……笑顔で……
…………私も,楽しくて,クスクス,クスクスと笑う
そうだ,みんなあんなにも楽しんでるんだ
私も,…………─────楽しめるうちに思いっきり楽しまないと!
──チビ子 side:了
メガネ「なにをだ」
茶髪「なにって,あのおっぱいに決まってんだろうが!」
茶髪「先生のおっぱい! Fか……いや,Gカップくらいはあるんじゃねーか!?」
メガネ「……」
茶髪「いやー普段着の上からでも巨乳だ巨乳だとは思ってたが,水着になると迫力が違うよなマジで」
茶髪「それに,幼馴染もなかなかのモノをもってんぞ…………攻撃力1500……いや,2000は堅いな」
メガネ「単位がわからん」
男「……胸とか飾りだろ.むしろ尻だ尻」
茶髪「はぁ!? バカじゃねーの!? おっぱいに決まってんじゃん!! むしろケツとかひくわー」
男「あ? やんのかお前.尻のよさが分からねーとか人生の90%は損してるわ」
メガネ「……ふぅ.やれやれ」
ツインテ「どーせエッチなことでしょ.男三人でこそこそナイショ話とか,いやらしい」
幼馴染「そう,……なのかな」
妹「まぁ,メガネさんはともかく兄さんと茶髪さんはバカですから」
チビ子「で,でもしょうがないよ! うん! 男の子ってそういうものらしいし! えへへ」
先生「あらあらぁ.『男の子ってそういうもの』なんて,いかにも耳年増な女の子の発言ね~」
チビ子「えっ!? ぁあ,いやっ,妹ちゃんがいつも男さんのことそんな風に言ってるから,そ,そうなのかなぁって」
先生「ふふ.真っ赤になっちゃって~.かわいい」
妹「みみどしま~」
ツインテ「みみどしまちゃーん」
幼馴染「うふふ」
チビ子「もうッ!? 妹ちゃんやツインテさんまでからかわないでよぉ~! 幼馴染さんも笑わないでー!」
先生「おいしかったわ~.ごちそうさま」
幼馴染「ふふ.お粗末さまでした」
メガネ「いや,本当に素晴らしかった.幼馴染さんは料理が得意なんだな」
ツインテ「ちょっとー! 私や妹ちゃんやチビ子ちゃんも手伝ったっての!」
妹「ツインテさんはお皿を運んだだけですけどね」
ツインテ「なっ!? それはナイショって言ったじゃんかぁ~!?」
茶髪「いやでもマジでうまかったよ! 俺は料理できないから明日以降も頼むわー」
メガネ「む.すまないが僕も料理の心得はないんだ.洗い物くらいしか手伝えないと思う」
幼馴染「ううん.私は料理するの好きだから大丈夫だよ.ツインテちゃんや妹ちゃんやチビ子ちゃんも手伝ってくれるし」
チビ子「喜んでもらえて良かったですよぉ.私も微力ながら明日もお手伝いします! えへへ」
男「まだ20代でしょ先生」
妹「私も眠たいので部屋に行きますね」
茶髪「俺たち男集団はもう少し起きてるだろ?」
メガネ「ああ」
男「そうだな.もう少しダベってくか」
ツインテ「私は幼馴染とおしゃべりしたいから……幼馴染の部屋に行ってもいい?」
幼馴染「うんいいよ.それじゃ行こっか」
先生「じゃ,みんなおやすみ~.夜更ししすぎないようにねー」
妹「それじゃ私も行きます.おやすみなさい」
茶髪「ツインテ! 寝小便しないようにトイレ行って寝ろよ!」
ツインテ「死ね変態!」
幼馴染「あはは…….そ,それじゃ,また明日ね」
ツインテ「崖から落ちろバカ!」
──先生 Side
……唐突だが、私は、教師という職業に誇りをもっている
教師とは生徒を一方的に教え、諭し、従える存在ではない
教師も一人の人間であり、生徒たちと共に学び、成長すべき存在のはずだ
この合宿では立場上は監督役だが、私は「大人の視線」ではなく「彼らの視線」を忘れないようにしたい
勉強や恋愛や将来のことで悩んでいる彼らの力になりたい
そして、上から道を示すのではなく、彼らが自分で道を見つけ出すための僅かな助力が下からできるならば、それでいいのだ
ツインテちゃんや幼馴染ちゃんは恋愛関係の悩みだろうか
チビ子ちゃんは……身体の悩みかなぁ? ふふ
メガネくんは勉強や将来の悩みがありそうだ
茶髪くんは……あの子は性欲が旺盛すぎるわね……がっつき過ぎて女の子を傷つけないといいんだけど……
男くんと妹ちゃんは兄妹で似たもの同士と言うべきか、二人ともクールで分かりにくいけど……
あの2人の家庭事情は少し特殊だから、きっとそれなりに悩みをかかえているはずだ
ついでに言うと私の悩みは…………
なぜか、あまり生徒たちが相談事を持ちかけてくれないことかしら?
もぅ……そんなに頼りなく見えるのかな
間延びした口調が悪いのかしらぁ?
そう考えてベッドに入ろうとしたとき
ビー! ビー!
────…………ブザーが、なった
この別荘の個室には呼び出し用のブザーがついている
ノックや外からの呼びかけが他の部屋の住人の迷惑になることを懸念しての措置らしい
……こんな夜遅くに誰かしらぁ
ドアを開けた先にいた人物は、なんとも形容しがたい表情をしていた
どうしたの?
呼びかけても返答はない
相談かしらん?
私は深く考えずに、……「廊下は寒いわよぉ。何か温かいものでも飲む~?」
できる限り優しい声で話しかけて、その子を部屋に招き入れた
──先生 Side:了
妹「……ぃさん、兄さん、起きて下さい!」ユサユサ
男「ん、ぁ……まだ……眠い…………寝るの、遅かったから…………」
妹「兄さん! そんなこと言ってる場合じゃないんです! いいから起きて!」
男「……ッ!? 朝っぱらからなんなんだよ……妹……」
妹「もう昼すぎ……って! そんなことはいいんです! チビ子が……チビ子がッ!?」
男「はぁ? なんだ、チビ子がどうした」
妹「いいから来て! 早く! お願いですから!」
男「ッ!? おい! どうしたチビ子!?」
チビ子「……ぅッ……ッ……げぇぇッッ…………」ポロポロ
ツインテ「あ、男ッ!! それが、先生の部屋からチビ子が出てきて、そのッ……」
男「先生? ……ってここ先生の部屋の前だっけ」
男「先生の部屋で何かあったのかチビ子?」
チビ子「……ヒック…………ッグ……」
男「……」
男「……仕方ない、先生に直接聞くか」
チビ子「……だ、め」
男「なんだ?」
チビ子「見、ちゃ……ダ……メッッ!!!」ポロポロ
メガネ「……どうしたんだ大声出して。部屋の中にいても騒ぎが聞こえてきたぞ」
茶髪「ふわぁああ……。なんだようるせーなー。何かあったのかよ」
男「いや。……俺が来た時にはもうチビ子が泣いていたから、俺も事情がよく分かってない」
チビ子「……ヒック……ヒック……」ポロポロ
男「お前らは何か知らないのか?」
妹「すみません、私たちにも分からないんです」
妹「兄さんたちと先生がお昼になっても起きてこなかったので、みんなで手分けして起こそうってことになったんですが」
幼馴染「チビ子ちゃんは先生を起こそうとして部屋に入ったんだけど、すぐに出てきてドアを閉めて、それからはずっとこの状態で……」
ツインテ「ただ、さっきからずっと、チビ子が『部屋に入っちゃダメだ!』って言ってるの」
チビ子「……ヒック………」ポロポロ
茶髪「……」
茶髪「あーもう、埒があかねぇ! もう開けるぞ! いいな!」
チビ子「ダメ……それ、は………」ポロポロ
メガネ「……いや、何か変だ」
妹「え……?」
メガネ「これだけ騒がしくしてるのに、どうして先生が部屋から出てこないんだ。外出中ってわけじゃないんだろう?」
男「……そう言えば、そうだな」
幼馴染「う……うん」
メガネ「それじゃあ、……開けるぞ」
ガチャ
ギィィ……
メガネ「…………………………、な」
男「せ、…………せんせぇッ!?」
茶髪「…………はぁ?」
茶髪「……おいおいおい、冗談だろ……なんだよこれ、笑えねーよ、なんだよこれ……」
男「先生ッ!」ダダッ
妹「……えッ!?」
ツインテ「えっ、なに、……なにがあったの?」
幼馴染「ど、どうしたのかな……」
ダダッ
男「先生! メガネ手伝え! 早く!」
メガネ「あ、……ああ!」
ツインテ「……え? なにアレ…………え、え? なに?……なに……」
幼馴染「せ、せん……せい……ッ!?」
妹「ッッ!?」
男「先生ッ!? クソ! おい先生を降ろすぞ! ボサッとすんな手伝え!!」
メガネ「わかってる! 僕が下から支えてるから男は早く縄を切れ! 茶髪は他のみんなを外に出せ!!」
茶髪「……ぁ、ああ……み、みんな外にでろ……こっちだ……」
チビ子「……な、んでッ……こんな…………ぅぷっ……」
幼馴染「……せん……せ、………い、ぃやぁあああ……」
男「……ッダメだ! 縄が切れない! 切るもの! メガネ! 何か切るもの持って来い!」
ツインテ「やだ……せんせい……こんなのやだぁ……」
あれから茶髪が女子たちを部屋の外に出し、僕が台所から持ってきた包丁を使って男が縄を切った
先生は、カーテンレールに縄をくくって首吊り自殺をしていた
いや…………首吊り自殺をしていたかのように『見せかけられていた』
なぜ『見せかけられていた』と言えるのか
答えは簡単だ。首吊りの縄の跡とは違う、絞殺されたような縄の跡が首に残っていたからだった
それを無視したとしても、首吊り自殺としては不自然すぎる
カーテンレールはそこまで高い位置になく、先生のだらんと力の抜けた脚は床についていた
そう位置が低すぎるのだ
その気になればいつでも自分の脚で立って自殺を中止できるほどに
まるで、ここにいた先生以外の誰かが……
……『人ひとりを天井から吊るすのは大変なので、とりあえず吊しやすい所に吊るしました』という感じだった
これが自殺に見せかけた他殺ならばずいぶんと手抜かりの多いお粗末な犯行だ……そんな印象を受けた
混乱し、泣きわめいている女子たちに『自殺ではなく殺人だ』と話してパニックを助長するのは気が引けたし……
茶髪や男は……
いや、あんなバカ共でも友人だ
無闇に疑ったりするべきじゃない
……疑うべきじゃないと、分かってはいるんだけれど
『この島には僕達以外に人がいない』というチビ子の発言を信じるならば、僕らのうちの誰かが犯人だと考えるのが自然だ
……ダメだ。疑心暗鬼に因われるな
先入観でモノを見る目を捨てて、冷静に判断しないと……
──メガネ Side:了
男「ほら、ホットチョコレート。少し、落ち着いたか?」
妹「……うん、……ありがとうお兄ちゃん」
男「はは。久しぶりだな、『お兄ちゃん』なんて呼び方」
妹「なによ……悪い?」
男「いや、べつに悪くないさ」ナデナデ
妹「ん……」
メガネ「みんなほら。これでも飲んで温まろう」
幼馴染「…………あり……がと」
ツインテ「…………はぁ」
茶髪「チビ子ぉ……気にすんなってのも無理かもだけど、あんま落ち込みすぎんなよ」
チビ子「…………」
ツインテ「なにか、悩みでもあったのかな……」
幼馴染「うん、でもそれにしたって変、……だよね」
幼馴染「自殺するほど悩んでたなら、合宿の引率なんて引き受けてくれるとは思えないし……」
ツインテ「そう……だね……」
チビ子「…………」
チビ子「…………みんな、ごめんなさい」
男「ん? なんで謝るんだ」
チビ子「私が……別荘を合宿場として提供するなんて言わなければ、きっとこんなことには……」
妹「そんなッ! チビ子のせいじゃないよ!? チビ子に感謝することはあっても責める人なんていないんだから!!」
茶髪「先生にどんな事情があったのかは知らねーけど、今回の件はお前のせいじゃねーだろ」
メガネ「…………」
茶髪「だからあんま気に病むなよ。な?」
男「……誰もお前のことを悪く思ってるヤツなんていないから安心しろ」
チビ子「……はい。ありがとうございます」
男「それよりも、だ」
男「目下の大問題は電話がつながらないってことだ。これじゃ警察どころか、本島に帰るための船さえ呼べない」
茶髪「ああ、一体どうなってんだ? 携帯は元々通じねーからしょうがないとしても、なんで別荘内の電話が全部繋がらないんだよ」
メガネ「あれは内線しか通じないようなんだ」
男「チビ子によれば外部に通じる電話はこの別荘内に8つあるらしいが、その全部がなぜか通じない」
メガネ「パッと見で電話線が切れてたわけでもないんだが……」
メガネ(いずれにせよ、人為的なものであることは間違いない)
メガネ(間違いなく先生を殺した犯人が、電話本体か、電話線に細工をしたんだ)
ツインテ「この島には他に電話はないの?」
チビ子「……はい。そもそもこの島にはこの別荘以外の建物はないので」
チビ子「……ごめん、ね」
妹「あっ! ち、違うよ! 別にチビ子を責めてるわけじゃなくて!」
茶髪「まぁ……そのくらいの日数なら待ってもいいけどよぉ」
茶髪「でも、先生はどうすんだ? 夏だし、放っておいたら腐ったり……」
ツインテ「ひッ!?」
男「茶髪! 黙ってろ!」
メガネ「空気よめよなバカ」
茶髪「あ、わ、悪ぃ……」
茶髪「え? お前メシ作れんの?」
男「食事はいつも妹と交代制で作ってるからな」
妹「あ……お兄ちゃん、私も手伝うよ」
男「いや、お前は無理すんな。まだ顔色悪いし」
妹「ううん……今はお兄ちゃんのそばにいると安心するから……」
男「そっか……。じゃあ俺が仕切るからお前は簡単な作業を頼む」
妹「うん。わかった」ニコ
ツインテ「…………」
私の両親は2年前に死んだ
父は事業に失敗して背負った借金を苦に自殺し、母も父の後を追って1週間後に自殺した
両親の死後も私は住み慣れた我が家に執着したが、遺産相続は親の借金までも背負うことになるため、仕方なく諦めた
父親の借金の連帯保証人は父の姉、つまり私たちの叔母だった
本来ならば両親はおろか私たちを恨んでも当然なはずの叔母は、あろうことか私たちの保護者を買って出てくれた
叔母は未婚の女性で、私たちのことは実の子のように扱ってくれた
兄と私が両親の死から立ち直れたのは、叔母の優しさに依るところが大きかったように思う
……とは言え甘えてばかりもいられないので、料理・掃除・洗濯などの家事は私と兄に任せてもらっている
最近も少し勤務時間を増やしたらしく、妹としては無理しすぎではないのか気が気でない
高校卒業後もすぐに就職しようと考えているようで、叔母と私が大学進学を進めても聞かない
……わかっている
それもこれもぜんぶ私と叔母のため
兄さんは自分の人生を、両親から受け継いだ責任の清算と、私の将来の援助のために……使い捨てようとしているんだ
優しいから
優しい……人だからだ
一見クールな性格に見えるけど、単に不器用なだけで、実はとても情の深い人
さっきだって、動揺している私のことを察してか頭をなでてくれた
暖かくて大きな手……
今回の件は、やはり私の心を動揺させているのだろうか
何故だかいつもよりも素直に兄さんに甘えられる
──……トントントン
小気味のよいリズミカルな包丁の音
台所で調理をする兄さんの背中を、ふと見つめる
お父さんやお母さんの代わりに私を守ってくれる、大きな背中
……兄さんの、背中
……兄さんの、手
……兄さんの、……横顔
私のことを大切にしてくれる兄さん
私の大切な兄さん
兄さん、にいさん……
ニイサン、兄さん、…………ニイさん、にいさん,ニイサン,兄さん……………────────
お兄、……ちゃん
──妹 Side:了
メガネ「……で、夕飯を食べながらでいいんだが、これからのことを話し合わないか」
茶髪「これからって?」
メガネ「さすがにもう遊ぶ気にはなれないだろ。迎えが来る3日後の昼まで、別荘内で大人しくしてるってことでいいか」
幼馴染「そう……だね」
男「それでいいんじゃないか。先生は……あのまま部屋のベッドに寝かせておこう」
ツインテ「うん。私もそれに賛成」
妹「私もそれでいいと思います」
茶髪「チビ子もそれでいいか?」
チビ子「……はい」
茶髪「はぁ? なんでだよ」
メガネ「いや、その…………ほ、ほら、僕達はいいとしても、女子達は精神的に不安定な子も多いし」
茶髪「まぁ……そりゃそうか」
ツインテ「うん、そうしてもらえると私たち的にも……ありがたいかな」
ツインテ「ねえ幼馴染、今日、一緒の部屋で寝てもいいかな?」
幼馴染「うんいいよ。私もなんだか一人は心細いから」
幼馴染「チビ子ちゃんや妹ちゃんはどうする?」
妹「私は……お兄ちゃんの部屋で寝ようと思います」
ツインテ「えっ!?」
妹「なにかおかしいでしょうか? 兄妹ですし問題ないと思いますけど」
ツインテ「いや、でも……一応は男女だし」
男「ばーか。兄貴にとって妹は女じゃないって。俺は別に一緒に寝てもいいぞ。行くか」
妹「……う、うん」
茶髪「じゃあチビ子はどうする? なんなら、俺と一緒に寝るかぁ? へへ」
チビ子「いえ……。私は一人で寝ようと思います」
幼馴染「でも、一人で大丈夫? 心細くない?」
チビ子「大丈夫です。ちゃんと、鍵をかけて寝ますから」
メガネ「…………」
メガネ(鍵を……かけて?)
──ツインテ Side
あの後、私の発言は何だかうやむやな空気に溶かされたままとなり、結局どうしようもできず幼馴染と共に部屋に戻った
男は妹と一緒に、茶髪とメガネとチビ子はそれぞれ一人きりで寝ることに落ち着いたようだ
全ての部屋のベッドがダブルサイズであり、二人で寝るのに窮屈ということもない
冷暖房はもちろん、シャワールームやトイレやクローゼットも室内に完備している
生活するのに何の不自由もない環境
なに不自由なく
快適そのものだ……
…………なぜだろう。なんだか、胸の奥がチクチクとする
チクチクと、ちくちくと、チクチクと、ちくちくと…………
ベッドの中にもぐりこんで、ギュッと目をつぶる
ちくちくとした感じが、いつのまにかジクジクとした感じに変わる
それはとてもとても不快な感覚で
眠ってしまえばいい、イヤなことは考えない、忘れればいい
眠れ、眠れ、眠れ、忘れろ、忘れろ、忘れろ…………
隣からは、すぅすぅと幼馴染の規則正しい寝息が聞こえる
──…………廊下で物音がした、気がした
……なんだろう
……だれだろう
隣からは、幼馴染の規則正しい寝息が聞こえる
……すぅー、……すぅー、……すぅー、……
その規則正しい寝息に耳を傾けていると、心が落ち着いてきた
うとうとする
眠気が強くなってくる
うとうとと、ウトウトと、うとうとと、ウトウトと……
気持ちが……いい
このまま眠気に身を任せて寝てしまおう
廊下の物音はきっと気のせい
なにも問題なんてない、なにもイヤなことなんてない、なにも不快なことなんてない
そう、まだまだ…………───いくらでも『機会』はあるんだから
でも
でも?
でも……
ああ、でも、そうだ──
「………………………………………………寝る前に、トイレに行ってこなくちゃ」
ぼんやりとした意識で、
私は、ベッドから抜け出た
── ツインテ Side:了
男「…………」
妹「おにい、ちゃん…………こ、れ…………」
男「……あぁ、マズイ……な」
男「妹。部屋に入って鍵をかけろ。俺の声が聞こえるまで絶対に開けるな。誰か来ても無視しろ。いいな」
妹「う、うん……」
タタッ
男「…………」
男「…………メガネ」
茶髪「ふわぁ……あ? なに、なんで俺の部屋にいんの?」
男「鍵くらいかけろバカ」
茶髪「べつに鍵かけなくても危険なこととかねーじゃん」
男「……そうも言ってられなくなった」
茶髪「は?」
男「メガネがまずいことになったかもしれない」
茶髪「え? まずいことって……ってぇ、アイツは自殺するようなタマじゃねーだろ。はは」
男「…………自殺なら、まだマシな方かもな」
茶髪「なんだ、こりゃあ……」
男「俺はチビ子を起こす」スタスタ
ビー! ビー!
…………ガチャ
チビ子「……おはようございます、男さん」
男「チビ子、いきなりで悪いがマスターキーを貸してくれ」
チビ子「えっ。どうしたんですか」
男「待て。廊下には出ない方がいい」
男「落ち着いて聞け。メガネの部屋なんだが……ドアの下の隙間から血が流れ出ている」
男「部屋には鍵がかかっていて、ブザーを鳴らしても出てこない」
チビ子「……それ、……なんで…………」
男「分からない。それを確認するためにマスターキーが必要なんだ。貸してもらえるか」
チビ子「ぁ……は、……はい……ちょっと待ってください!」
ガサゴソ
チビ子「……あ、ありました。これです」チャリ……
男「分かった。俺が声をかけるまで外に出ない方がいい。少し時間がかかるかもしれないが待ってろ」
チビ子「は、はい……」
男「大きな声を出すな。幼馴染やツインテが起きてくる」
男「……開けるぞ」
ガチャ
ギィィ……
男「…………」
茶髪「…………お、い」
男「メガネ…………」
茶髪「冗談、だろ? なんだよこれ? おかしいじゃねーか……。なんで、こんな…………」
茶髪「え? あ……な、なんでだ?」
男「こんなとこに放置しとくのは可哀想だろ。ほら、足をもってくれ」
茶髪「お、お前……なんでそんなに冷静なんだよ……。ショックじゃねーのか?」
男「十分ショック受けてるよ」
男「ただ、少し慣れてるだけだ。こうやって死体を運ぶのは3回目だから」
茶髪「慣れてるって……おま、どこで」
男「俺の両親。二人とも自殺で、どちらも第一発見者は俺だった」
男「……まぁそんなことは今はどうでもいいだろ。とにかく運ぶの手伝え」
男「ベッドに移したら床の血の掃除……は、さすがに素人が勝手に片付けちまっちゃマズイか」
茶髪「……上から、なにか大きめの布か何かをかけて女子たちには見えないにすればいいんじゃねーか」
男「あぁ、そうだな」
ツインテ「ごめん。お昼まで寝ちゃったー」
幼馴染「私もごめんね。やっぱり……少し疲れてたみたい」
茶髪「…………」
チビ子「…………」
妹「…………」
ツインテ「あれ、どうしたの。何かあった?」
男「……ああ。……少し、いや、かなり大きな問題が起きた」
男「二人とも、きちんと心構えをして聞いてくれ」
ツインテ「な……なに? 脅かさないでよぉ」
幼馴染「…………どう、したの?」
男「メガネが…………死んだ」
ツインテ「…………うそ」
茶髪「男……言いにくいのはわかるけどよ、今後のこともあるし、ちゃんと事実を正確に伝えてやった方がいいと思うぜ俺は」
男「……」
男「……殺されていたんだ。眉間に矢が突き刺さっていた」
ツインテ「ひッ!?」
幼馴染「そ……そん、な…………なんで…………」
男「はっきりしたことは分からないけど……」
男「ドアには鍵がかかっていたから、たぶん、来客用の小窓を開けてドアの外を覗いたところを、ボウガンか何かで撃たれたのかもしれない」
ツインテ「……そ、それって、まさか」
男「ああ」
男「俺たちの中に────…………殺人犯がいる」
ツインテ「いやよぉ…………もう嫌ぁあああッッッ!!!」
ツインテ「なんで!? 昨日は先生が自殺して、今日はメガネが殺された!?」
ツインテ「もうわけわかんない! わけッわかんない! あああぁぁぁああああああああああぁ!!」ブンブン!!!
茶髪「ちょっ! 落ち着けツインテ!」
ツインテ「やだぁぁああ! 触んないでッッ! 放っといてよぉッ!」バシッ!!
茶髪「いいから冷静になれって!」
ツインテ「うるさいッ!! この中の誰かが殺人犯かもってことは、あんたがその犯人かもしんないんでしょ!?」
茶髪「なッ!? 俺がやったってのかよ!? ふざけんな!」
ツインテ「チビ子だって…………怪しいよ」
チビ子「……えっ?」
ツインテ「男は『ドアの外から殺した』みたいなこと言ってるけど……」
ツインテ「部屋の中で殺して、外から鍵をかけたっていう方がよっぽど自然じゃんか!!」
ツインテ「もしそれが真実だったら…………マスターキーをもってるあんたが一番怪しい」
チビ子「……そ、そんな…………わたし……ちがッ……」グス
妹「やめて下さい! チビ子がそんなことするはずないでしょう!?」
ツインテ「どうして言い切れるの!?」
ツインテ「もしかして、なにか……チビ子をかばう理由でもあるんじゃないの?」
茶髪「このッ……クソ女がッ!! くだらねーことばっかベラベラ言いやがってッッ!!」
茶髪「だってコイツがッ!!」
男「仲間割れして、バラバラになって行動して、犯人の思うツボか!?」
ツインテ「……ッ」
茶髪「……い、いや……そりゃあ……」
男「ツインテも、無闇に人を疑うようなことを言うな」
男「そんなことをして反感を買ってもお前に何の得もないだろうが」
ツインテ「……ヒック…………」ポロポロ
ツインテ「……ご、……ごめん、なざい………ヒッグ……ヒック………」ポロポロポロ
男「チビ子はこの島にいるのは俺達だけだって言ってるが、チビ子も知らないような誰かが島内にいる可能性だって否定できないと俺は思う」
チビ子「…………」
幼馴染「……でも、そうだとしても……どうしてこんなことを?」
チビ子「そう、ですよね……」
チビ子「先生もメガネさんも、誰かに殺されるほどの恨みを買っていたとは思えないですし……」
妹「……ちょっと待ってチビ子。『先生も』ってどういうこと? 先生は自殺でしょ?」
チビ子「あ……」
チビ子「…………」
男「チビ子、何か知ってるのか?」
ツインテ「まさか、やっぱり……あんたが先生とメガネ……を?」
チビ子「ち、違います! そ、その、実は昨日、先生の部屋に入って先生を見たときにすぐ気がついたんですが」
チビ子「首吊り跡とは別の…………誰かに首を絞められたような縄の跡があったので……」
幼馴染「部屋に入って先生を見て……すぐそんなことに気づいたの?」
チビ子「私……視力がかなり高いので……」
ツインテ「視力とか、………そういう問題じゃない気がするけど」
妹「チ、チビ子はふだんから洞察力の鋭い子なんです! 変な疑いを向けないでください!」
男「だーかーら、犯人探しはやめろっての!」
男「だいたい、犯人が誰かなんてどうでもいい」
茶髪「どうでもいいってお前……」
男「そんなことよりもよっぽど重要なことがあるってことだよ」
男「ああ。……俺達が、これ以上犠牲を出さずに生き残ることだ」
幼馴染「…………そう、だよね。……うん、そうだよね!」
男「だからとりあえず、俺達はこれから一時も離れない方がいい」
男「食事や就寝は全員が一箇所で行う。風呂やトイレなんかで離れるときも必ず3人一組で行動する。少し不便だけど、死ぬよりはマシだろ」
妹「3人一組?」
男「ああ。ここにいるのは6人だから。1人きりとか、2人きりって状況を作らないためにはそうするしかない」
男「……とにかく。可能な限り全員で一緒にいるのが最善策だろ」
ツインテ「うん、……わかった。私もそれでいいと思う」
幼馴染「そうだね。うん、少し希望が見えてきたかも……」
男「みんな、異論はないな」
男「朝食もとらなかったし、何か手早く作るよ」
妹「じゃあ、私も手伝います」
幼馴染「私も手伝わせてもらっていい?」
チビ子「…………私は、少し調子が悪いので休んでてもいいですか?」
茶髪「あー、じゃあ俺とチビ子とツインテの3人が待機ってことだな」
ツインテ「……ッ」
ツインテ「わ、私も手伝う!」
ツインテ「あ、あんた達2人と一緒にいたくないもん! 6人の中であんた達2人は怪しい気がするし……」
茶髪「……お前まだッ!」
チビ子「…………」
ツインテ「で、でもッ……」
男「やめろ!!」
茶髪「…………チッ」
ツインテ「…………」
男「全員で台所に行くぞ。チビ子と茶髪は何もしなくていい」
男「とにかく可能な限り全員で行動した方がいいのは間違いないんだしな」
妹「いただきます」
チビ子「……いただきます」
男「とりあえず飯を食ったら居間で過ごそう。明後日の昼までそうやって乗り切ればいい」
ツインテ「うん、そうだね」
茶髪「スパゲッティかぁ……ちょっと手抜きじゃね?」
男「凝ったもの作る精神的余裕なんてないだろ。文句言わずに食べなさい」
茶髪「はーいお母さーん」
妹「もう……こんなときまで、ほんとバカなことばっかり」
幼馴染「ふふ。でもこんなときだからこそ、少しありがたいかな……」
チビ子「そ、そんなことないですよ。パスタは……好きですから」ニコ
妹「チビ子は洋食を作るのが上手なんだよね。私は和食の方が得意だから、帰ったらチビ子に洋食を教えてほしいな」
チビ子「う、……うん。えへへ。わ、私は厳しいよぉ~?」
妹「ふふ、その代わり私は和食を厳しく教えてあげる!」
チビ子「うーん。妹ちゃんのご指導は遠慮しようかなぁ?」
妹「ちょっとぉ!? もー、それどういうことぉ?」
チビ子「え、えへへへ」ニコ
幼馴染「そうだね。手際がいいって言うか、作り慣れてる感じ」
男「そんなに褒めても……次からおかずが一品くらい増えるだけだぞ」ニヤ
ツインテ「あはは! それじゃ、もっとたくさん褒めないと!」
幼馴染「男くんの味は世界一だよ!」
妹「ふふ。お兄ちゃん頑張って!」
茶髪「ちぇー。モテモテじゃんか男ぉー。俺も料理がんばろっかなぁ」
男「ははっ。悔しかったらお前も………………って」
男「?」
男「…………どうした、チビ子?」
チビ子「…………」
妹「……チビ、子?」
チビ子「…………グッ……ゥッ……」
チビ子「……ァウグェェェァッッッ…………」ボトボトボトォッッ
茶髪「おい! どーしたんだよチビ子ッ!? しっかりしろッッ!!」
ツインテ「なんなの!? ……なんなのよ一体ッ!?」
チビ子「………グ………ル…シッ…イィィ…………」
幼馴染「な……なんで急に……?」
妹「チビ子ぉッ! しっかりして! ああぁ……どうしよう……」
妹「お、お兄ちゃん! どうしよぉお兄ちゃんッ!? チビ子が……チビ子がぁッ!?」
幼馴染「……まさ、か………………ど、……く?」
男「ッッ!?」
男「悪いチビ子! 口に指突っ込むぞ!!」
男「チビ子! 全部吐け! 胃の中にあるもん残らず吐け!」
チビ子「……ォエェッッ………カヒュー…………ゲェェッッ……」ボトボトッ
妹「いやあぁぁぁぁああああ!!! チビ子ぉッッ」ポロポロ
妹「お兄、ちゃッ……グス…………ぉ、お願いぃッ!! ……ヒック……お、お願いだから、チビ子を、助けてぇッッ!!!」ポロポロポロ
……チビ子が死んだ
散々苦しんでビクビクと痙攣した後、大人しくなった
動かないチビ子の口元に俺の手を当てると、…………息をしてないことが確認できた
食卓が静寂につつまれる
チビ子の死に顔を見ていると形容しがたい感情が胸を圧迫して…………ツラい
俺はコイツが好きだった
ちびっこくて、胸もなくて、色っぽさなんて皆無だったけど
……でも
俺はチビ子が好きだったんだ
コイツの優しさが好きだった
コイツの慌てる顔が、照れる顔が、拗ねる顔が、そのころころと変わる表情の全てが……好きだった
でも、死んだ
──……いや、殺されたんだ
食事に薬を盛る機会は全員にあった
男と妹と幼馴染は料理をしていたし、俺とツインテとチビ子はパスタの皿を運んだ
結局、誰が犯人なのかは誰にも分からないだろう
ただ一つ確実に言えることは……
男の言っていた『外部犯』の可能性が消えたってことだ
最初は男が運ぶことを名乗り出たが……
案の定ツインテが男と離れることを嫌がってまたヒステリーを起こしたから、こういう組分けになったわけだ
もちろんそれぞれの組に何の問題も起こることもなく、チビ子を運んだ後で速やかに合流した
今回の件は、さすがの男もキツかったらしいのか憔悴している
妹や幼馴染も涙で顔がぐしゃぐしゃだ
ツインテは悲しみよりも恐怖と混乱で頭がまいっているらしい
まぁ……目の前で死なれたんだ
ショックを受けない奴なんていない
男だろ
スレタイでわかった
とりあえず、動機を考えると別の人じゃないかなと思っている
そうだ、急な事態で感覚がマヒしていたが、俺もひどくショックを受けている
そう……チビ子は、もういないんだ
チビ子は、もうこの世界にいない
チビ子の身体はあるが、チビ子という人間はいなくなったんだ
アイツの笑顔を見ることはもうできない
アイツをからかって拗ねる顔を見ることは……もうできないんだ
チビ子……
あんなに明るく、常日頃、向日葵みたいな笑顔を振りまいていたアイツの最期の表情は……
苦痛に歪んでいた
……イタかったよな
……苦しかったよな
苦しい、苦しい、苦しい、苦しい、俺も…………俺も苦しいよチビ子
苦しい、苦しい、チビ子の歪んだ表情に心を痛めて、俺の表情も苦しげにグニャグニャと歪む
イタイ、イタイ、チビ子の痙攣する身体を思い出して、俺の表情も痛みをこらえてグニャグニャと歪む
助けて、助けて、チビ子の喘ぐ声に応じて、俺の表情も救いを求めるようにグニャグニャと歪む
歪む、歪む、世界が歪む、顔が歪む
グニャグニャと、…………ぐにゃぐにゃと…………
ぐにゃぐにゃ…………ぐにゃぐにゃ…………
──────…………知らず、頬の筋肉が釣り上がるくらいに、俺の顔はぐにゃぐにゃと歪んでいた
──茶髪 Side:了
男「認識が…………甘かった」
幼馴染「……」
妹「……」
男「まさか毒物まで使われるなんて想像もしてなかった。……すまん」
ツインテ「男のせいじゃ……ないよ」
ツインテ「悪いのは……」チラ
茶髪「…………」
茶髪「おい、いい加減にしろよテメェ……」
茶髪「温厚な俺でもそこまで挑発されりゃキレんぞオラ! んなに死にてーならマジで殺してやろうか!? ぁあッ!?」
ツインテ「ひぃッ!?」
男「やめろ茶髪ッ!! ……ツインテも、みんなの輪を乱すようなこと言うな」
妹「……なにがですか?」
ツインテ「メガネが殺されたのって、昨晩のうちでしょ」
ツインテ「私と幼馴染は二人とも一緒に寝てたからアリバイがあるし、男と妹ちゃんだって一緒だったんだからアリバイがあるでしょ!」
ツインテ「メガネ以外に一人きりだったのはチビ子と茶髪の二人だけだもん!」
茶髪「……」
ツインテ「だから、二人のうちのどっちかが怪しいって…………チビ子なんてマスターキー持ってるから特に疑ってたけど……」
ツインテ「チビ子は死んじゃったから……残るのは茶髪だけじゃんか!」
男「……」
ツインテ「さっき男は『私たち以外の誰かが島内にいるのかも』って言ってたけど、チビ子を殺したのは間違いなく私たちのうちの誰かなんだよ!?」
幼馴染「……」
妹「……」
ツインテ「そ、そうだ! そう言えば昨晩、廊下で何か物音を聞いたのよ」
ツインテ「アレあんたなんでしょ!? あの時にメガネを殺したんだ!! 白状しなさいよ!!」
茶髪「……ッ」
ツインテ「ひッ!?」
茶髪「…………」
茶髪「……チッ。…………確かに俺は昨晩、部屋を抜けだしたよ」
ツインテ「ほ、……ほら! やっぱり!」
茶髪「決めつけんな! ……先生のことがあって寝付けなかったから、別荘の外に出て軽く散歩してきただけだ」
ツインテ「……う、ウソなんでしょどうせ」
茶髪「はッ。……そうまで言うなら俺も言わせてもらうけどな、俺も昨晩、お前を廊下で見たぞ」
ツインテ「えっ?」
茶髪「散歩から帰ってきて部屋に戻ろうとしたとき、半分寝てるみたいなフラフラした足取りで廊下を歩いてるお前を見た」
茶髪「嘘でも何でもねーんだけど。寝ぼけてたのか何なのか知らんけど、……ってかお前、マジで夢遊病の気があるんじゃね?」
茶髪「案外お前が無自覚にフラフラさまよってて、その間にメガネを殺してたりしてな」
ツインテ「ぅ、うるさい! ウソつき! あんたの言うことなんて信じない!」
ツインテ「お、幼馴染! 私、昨晩は外に出なかったよね? ね?」
幼馴染「……それは…………」
ツインテ「……」
ツインテ「…………え、うそ…………ホントに?」
幼馴染「……う、うん。ツインテちゃんが夜遅くに部屋の外に出たとき、その物音で私も目が覚めたんだけど……」
幼馴染「きっと寝付けないから散歩したいのかなとか、台所で夜食でも作るのかなって…………あまり深く考えずにそのまま寝ちゃったから……」
ツインテ「な……なに?」
妹「あ、いえ……初日の夜、深夜に目が覚めて喉がかわいていたのでキッチンに行ったんですけど……」
妹「部屋に戻る私の目の前をツインテさんが横切ったので、声をかけたんですが……気づいてないようでした」
妹「そのときは『寝ぼけてるのかな』としか思わなかったんですが……」
茶髪「おいおいおい……人のこと危険人物扱いしておいて、お前の方がよっぽど危なくねぇか?」
ツインテ「ち……ちが……わ、わたし……は………………」ウルッ
男「そこまでにしとけ!」
男「何度も言ってるが、犯人探しの果てに待ってるのは分裂と孤立化だ」
男「そんなことになって喜ぶのは犯人だけなんだよ!」
妹「………」
男「…………」
男「……やっぱり基本的な方針は変わらない」
男「三人一組ってわけにはいかなくなったから、今後は常に五人全員で行動することにしよう」
男「食事は、缶詰類を食べるか…………最悪、何も食べなくても残り2日弱なら乗り切れると思う」
幼馴染「……うん……そうだね……」
男「寝るときもこの部屋で全員で寝よう。女子は男と一緒の部屋で寝るのが不安なら、包丁とか……身を守るための武器を携帯して寝てもいい」
茶髪「……はぁ。まぁそんな所だろうな」
茶髪「今後の方針はそれで行くとして……とりあえず、風呂に入りてーんだけど」
男「じゃあ、この部屋に備え付けのシャワールームを使おう。部屋の中だから目の届く範囲だし、1人ずつ入っても問題ないだろ」
男「俺は床に布団敷いて寝るから、女子はベッド使っていいぞ」
妹「私は……お兄ちゃんの布団で一緒に寝る」
ツインテ「私は男の隣に布団敷いて寝るわ」
男「それじゃあ、幼馴染はベッドで寝ていいぞ」
幼馴染「えっと……でも、いいのみんな?」
茶髪「他のメンツが床で寝たいってんならいーんじゃね? どうせ男組には選択権ねーしな。はは」
幼馴染「う、うん。ありがとうみんな。それじゃあ……ベッド借りるね」
妹「うん……」
妹「あのね……お兄ちゃん。眠るまで、手、握ってもらっててもいい?」
男「……」
男「……ああ。握っててやるから、安心して寝ろ」
ツインテ「……」
妹「うん……。なんか、今日はすごく疲れた……」
妹「おやすみ……、お兄ちゃん……」
男「おやすみ」
茶髪「お休みお兄ちゃーん……ちゅっ♪」
男「黙って寝ろ」
幼馴染「ふふ。お休みなさい、みんな」
ツインテ「……おやすみ」
──幼馴染 Side
────…………目が、覚めた
……いない
部屋の中に誰もいない
眠りにつく前は部屋に五人もいたのに、目覚めると私一人だけという異常
ベッドから降りて思案する
置いて………いかれた?
一瞬不安になったが、かぶりをふる
さすがにそんなことはない筈だ
「みんな、どこに行ったんだろう……」
広くぽっかりと空いた薄暗い空間に、私のつぶやきが冷たく響き渡った
みんなは別荘内のどこかにいるのだろうか
廊下は暗い…………暗いところは、怖い
闇への恐怖は本能的とも言えるもので……知らず、足早になってしまう
──はぁっ……はぁっ……
なぜだろう、なぜか息切れをしてしまう
──はぁっハぁッ……はぁっハぁっ……
何かに追い立てられるように、早足は小走りへと移り変わり
──はぁっハァッ……はぁっハァッ……はぁっハァッ……
いくつもの部屋を通り過ぎて、誰も見つからない不安が心臓を叩いて、小走りから次第に駆け出して
──はぁっハァッはぁっ……ハァッ……ハァッはぁっ…………ハァッはぁっはぁっ…………はぁっはぁっ……
あちこち探しても見つからなくて、泣き出しそうになって、躓きつつ、髪を振り乱して、身体を壁にぶつけながら、
────…………わたしは、いつしか、全速力で駆けていた
潮騒のざわめきが星空に吸い込まれる
……外に出た
どこをどう走ったのだろう
気がつけば、10メートルほど先に男くんが立っていた
その足元にはツインテちゃん
彼女はぐったりと倒れ伏して動かない
着衣には乱れが見られ、股のあたりから血が流れていた
ツインテちゃんは動かない
動かない
動、けない?
ひょっとして
もう……動けない?
ここにいるのはきけん? / にげたほうがいい?
おかしたのはだれ? / つぎはだれがおかされる?
混乱する頭が凍りついた心臓の拍動を強制的に速める
……ひッ
意図せずして肺から少量の空気が漏れでたかもしれない
蚊の鳴くようなほんの小さな悲鳴は、ひっきりなしの波の音の中でも…………何故か、よく響いた
男くんが振り返る
その顔には何の感情もなく、無機質で…………
──── オ カ サ レ ル / こ ろ さ れ る
錯綜する思考がそう判断した瞬間
「……──イヤあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!!」
ありったけの声を張り上げて叫んでいた
──幼馴染 Side:了
幼馴染「あ……、ぉ、お、男くん、が…………」
茶髪「男? いねーみたいだけど……」
幼馴染「私が叫んだら、どこかに走って行ってしまって……」
幼馴染「あっ! そ、それよりツインテさんは?」
茶髪「え? なっ……。こりゃひでーな……」
茶髪「あいつ……こんなことするクソ野郎だったのかよ」
茶髪「……」
茶髪「ダメだ。……息してない」
幼馴染「そん……な……」
妹「幼馴染さん!」
幼馴染「妹ちゃん! どこにいたの!?」
妹「皆さんを探して別荘の中にいたんですけど、外から幼馴染さんの悲鳴がしたので急いで出てきたんです!」
妹「それより……これは……」
茶髪「言いにくいんだけど……お前の兄貴がやったみたいだな」
妹「え……?」
妹「……そ、そんな。……嘘ですッ!! 兄さんがこんなことするはずない!」
茶髪「でも……幼馴染はあいつがツインテを襲ってるところを見て悲鳴をあげたわけだしなぁ……」
幼馴染「…………」
妹「嘘……ウソです、そんなの……」
茶髪「とりあえず、こんなところに放置してたら可哀想だし、ツインテを部屋の中に運んでやろうぜ」
幼馴染「う……うん……」
茶髪「……ふぅ。三人がかりとはいえ、けっこう疲れたな」
幼馴染「…………」
妹「…………」
茶髪「ん? なぁ妹ちゃん。なんで包丁なんて物騒なもん握りしめてんだ?」
妹「…………もう、誰が敵か分かりませんから」
幼馴染「妹ちゃん……」
妹「お二人には悪いですが、私は自分の部屋にこもります。明後日の昼まで部屋から出ません。それでは」
茶髪「……」
妹「…………最初から……こうしてればよかったのかもしれませんね」
妹「……」
妹「いえ。そうしていたらしていたで、やっぱり兄さんの言う通り犯人の思う壺だったのかも」
妹「いずれにせよ今更ですよね。……おやすみなさい。5日目のお昼まで、さようなら」
バタン
幼馴染「……」
茶髪「……妹ちゃんはあぁ言ってるけど、幼馴染ちゃんはどうする?」
茶髪「男が次に狙うとしたら、妹ちゃんよりは幼馴染ちゃんの方だろうし……俺といた方が安全だと思うけど」
幼馴染「……」
茶髪「……まぁ妹ちゃんみたいに部屋にこもるってのも一つの手だろうけどね」
茶髪「でも、あいつ実はさ、メガネの部屋の鍵を開けるときにチビ子からこの別荘のマスターキーを借りてたはずなんだよ」
幼馴染「えっ!?」
茶髪「あの鍵……チビ子に返してたようにも見えないから、今でもアイツが持ってるんじゃないかな」
茶髪「だとしたら、妹ちゃんみたいな籠城作戦は最悪だよ」
茶髪「むしろいざという時に逃げ場がなくなってアウトでしょ」
幼馴染「……」
幼馴染「う、……ん」
茶髪「うん……今日は疲れたからさ。もう寝ちゃおーよ」
茶髪「とりあえず俺の部屋に行こう」
幼馴染「……」
幼馴染「……妹ちゃんは、大丈夫かな」
茶髪「……まぁ、いくらアイツでも実の妹に手ぇ出すほど鬼畜でもないでしょ」
茶髪「だから、幼馴染ちゃんは妹ちゃんのことよりも自分の心配をした方がいいよ」
茶髪「…………自分の心配を、ね」ボソ
──男 Side
……昨夜のことだ
目が覚めると、茶髪とツインテが部屋にいなかった
ツインテの不在は想定の範囲内だった
ツインテは夢遊病の気があるとの話だったので、今日もフラフラと部屋を抜けだしたのかもしれない
しかし茶髪までいないとなると……ツインテの身が危険だ
知人が次々と死んでいく極限的な状況で、ツインテも茶髪もどこかおかしくなった
ツインテは過剰なまでにヒステリックになり、茶髪は目が血走ってキレやすくなってしまった
そして疑心暗鬼の中で、お互いに対立を深めていったんだ
……ぐっすりと眠っている妹と幼馴染を横目に、二人を起こすか否か逡巡する
──足手纏いになる可能性が高い
瞬時にそう判断して、俺は一人で部屋を抜けだした
───………ツインテの遺体を発見した
着衣の乱れ、股から流れる血、殴打の跡……
ここで起こった出来事はすぐに把握できたが、衝撃を受けたのは否定しようもなく、しばらく……呆然として立ち尽くしてしまっていた
だからだろうか
いつの間にか近くまで接近していた幼馴染の存在に気づけなかった
驚愕と恐怖
そして悲鳴
その瞬間、残りの生存者4名のうち、茶髪と幼馴染の2名は間違いなく俺の敵に回った
『みんなで生きて帰る』という御題目はこの一時に霧散し、『妹と二人で生き延びる』ことが至上命題となった
だから…………迷わずその場から逃げだした
……茶髪がいた
崖のあたりでウロウロして、悪態をつきながら地面を蹴り上げている
時折崖下を覗き込み、頭を掻きむしっている
そうやってしばらくのあいだ奇行を繰り返したのち、別荘の中に戻っていった
アイツが別荘内に入っていったのを確認して、崖の先端に歩み近づいて下方を覗き込む
────…………眼下で幼馴染が死んでいた
ピクリとも動いていない
崖から落ちたらしい……、あるいは落とされたのか
いずれにせよ、この高さからでは……
時間をかければ崖下に降りていって遺体を引き上げてやることもできないことはないが、今は妹の方が心配だ
一刻の猶予もない
俺は踵を返して別荘の方へと駆け出した
──男 Side:了
ガチャ……
茶髪「妹ちゃーん」
妹「なっ!?」
茶髪「おはよう! 妹ちゃん!」
妹「な、なんで……鍵をかけておいたはずなのに……」
茶髪「おいおい。朝なんだから挨拶しないと~。ほら。『おはよーございます』!」
妹「……あなた…………」
妹「そう……マスターキーってこと…………」
妹「ソレは兄さんがチビ子から借りていたはずだと記憶してましたが……盗んだんですね……」
茶髪「なーにボソボソ独り言いってんの~?」
茶髪「こんな狂った島だからかなぁ? 俺も自分の新しい一面に目覚めたって言うかさ、新しい性癖を発見したってゆーか……」
妹「……ギリッ…………」
茶髪「まぁでも~。俺だけが悪いわけじゃないじゃん、これって?」
茶髪「あの女もさぁ~、せっかく『仲良く』しようとしただけなのに、俺のことグーで殴りやがって…………クソが……」
妹「いけしゃあしゃあと…………人殺しのくせにッ!!」
妹「チビ子を返せ!! この殺人鬼ッッ!!!」
茶髪「ん……」
茶髪「んんぅ~……まぁいいかぁ…………面倒だし。それはともかく、俺と『仲良く』しようよ妹ちゃん♪」
茶髪「え~……近づかないと『仲良く』できないじゃん」
妹「それ以上、一歩でも近づいたら……」
茶髪「ん? なになに? そのプルプル震えてる両手で握った包丁で俺を刺す? いーよ試してみればぁ? できるもんなら」
妹「それ以上……近づいたら…………」
妹「…………自殺、します」
茶髪「えっ」
妹「あなたに好きなようにされて殺されるくらいなら、自ら死を選びます!!」
茶髪「…………」
茶髪「あはははっははははははっははははははは!!!!!!」
妹「……ッ!?」
茶髪「あははっはははは。あーあーあー。あーおかし~。え? なに? ひょっとして俺にレイプされるとでも思ってるぅ?」
茶髪「いやいやぁ、そんなことしないって! そんなことしたってなーんにも楽しくないじゃんか!!」
茶髪「お前の兄貴みたいなクズ野郎と一緒にするなって!!」
妹「ツインテさんをあんな風に弄んでから殺したのはあなたなんでしょう!?」
茶髪「………あぁ~」
茶髪「………なるほどねぇ。……やっぱりそういう勘違いしてるんだ。どいつもこいつも馬鹿ばっかりだなぁ……」
妹「……う、うるさい! この殺人鬼! お前の言うことになんて耳を貸さない!!」
茶髪「ふーん……。まあいいや。死にたきゃ死ねば?」
スタ……
茶髪「……ほら一歩近づいたよ。どうしたのかな?」クスクス
妹「……ッ」
茶髪「言っとくけど俺は妹ちゃんが死んでも1ミリも困らないんだ。いやマジで。今すぐ死んじゃっていいんだよ」
スタ……
茶髪「ほら! もう一歩。ははッ。どしたの? 威勢がいいのは言葉だけ?」
妹「……ギリリッ…………」
妹「…………お兄ちゃん、ごめんなさい……」
妹「お兄ちゃんのこと、大好きだった」
茶髪「…………へぇ」
妹「私がいなくなったらお兄ちゃん一人ぼっちになっちゃうから、死にたくなかったんだけど……」
妹「でも私、他の男にいいようにされるのは我慢できないから」
妹「ごめんねお兄ちゃん……」
妹「さよなら…………生まれ変わったら、また、私のお兄ちゃんになってね」スゥッ……
男「──────断る。お前をここで死なせるつもりはないからな」
ガンッッ!!!!
茶髪「ッァ…………!!!」
バタン!!! ガシャ!!!!
妹「お兄ちゃんッ!?」
男「ふぅッッ!!!」
ガンッガンッッガンッッッ!!!!!
茶髪「ぃがッッ…………グゥッ……いぎゃッッ……!!!」
男「ふッ! ふぅッ!!」ガンッッガンッッッガンッッッ!!!!
男「はぁー……はぁー…………」
男「……ふッ!」ガンッッッ!!!
男「…………………………ふぅ。とりあえずこんなもんか」
男「悪いけど感動の再会は後でな。とりあえずコイツを縛らないといけないから、手伝ってくれ」
妹「う……うん!」
男「落ち着いたか?」
妹「うん」
男「一人にして悪かったな……」
妹「本当だよ! なんで昨日の夜、私を置いて独りで行っちゃったの!?」
男「茶髪が部屋から消えてた時点で、アイツが今回の一連の事件の犯人だって気づいたんだよ」
男「そこに妹や幼馴染を連れて行ったんじゃ、場合によっては人質にとられたり…………まぁ、足手纏いになりかねないと思ってさ」
妹「でも、結局その気遣いが裏目に出たんじゃない!」
男「あぁ。…………判断ミスだったって思うよ。ごめんな」
男「結局そのせいで、幼馴染も死んじまったしな」
男「あぁ……崖から落ちたんだ」
男「茶髪に突き落とされたのか、追いつめられて自殺したのかは分からないけどな……」
妹「……そう、なんだ」
妹「それじゃ、この島にはもう……」
男「ああ。生きているのは俺と妹と茶髪の三人だけだ」
男「茶髪は何重にも縄をかけて縛ってるから、万が一にも縄が解けることはないし、さすがにもう安全だよ」
妹「うん……」
男「お前を守ることができて、本当によかった」
妹「お兄ちゃん……」
男「普段から、あまり兄貴らしいことしてやれてなかったからな」
男「たまには格好いいところを見せないと威厳がないだろ。はは」
妹「……ううん」
妹「お兄ちゃんは、いつも私を守ってくれてたよ」
妹「私は……お兄ちゃんに守ってもらってばかりで、少し……心苦しいくらい」
男「……馬鹿。そんなこと気にすんな」
男「兄貴が妹を守るのは……当然なんだからさ」
男「わりぃ……実は深夜に起きてから今まで一睡もしてなくてさ……」
男「夕方まで寝てていいか?」
妹「うん、いいよ」
妹「私がそばにいてあげるから、安心して眠ってね」
男「ああ……何かあったら起こしてくれ……」
男「……おや……すみ…………」
妹「おやすみお兄ちゃん」
妹「安心して、いい夢を見てね」
妹「…………」
妹「………………」チュッ
──男 Side
……目が覚めると、妹がそばにいなかった
夕飯の準備でもしてるのか、あるいは風呂にでも入っているのだろうか
随分長い間寝ていたおかげか、目覚めはすっきりとしている
さて
これから何をすべきだろう
妹の顔でも見に行くか……
……いや
とりあえず、一応茶髪の様子を確認しておこう
部屋を出ると、……静まり返った廊下がやけに寒々しかった
なんだろう、なんとなくイヤな雰囲気だ
ねばつく空気を振り払うように、茶髪を縛り上げて放り込んでいる部屋に向かった
なぜ?
俺が何度も強く殴りすぎたせいか?
…………まさか、違う
死因は一目瞭然だ
顔面を刃物でめった刺しにされている
誰がやった?
この問いも馬鹿げている
この島の生存者は残り2人
俺と…………妹だ
背筋が凍った
ちがう
それは違う。そんなことはありえない
ありえないさ
…………とにかく、妹と話をしないと
妹の自室にはいなかった
キッチンにはいなかった
大浴場にもいなかった
チビ子のところか?
2人は親友だ
親友の亡骸の前でその死を悼んでいるのかもしれない
なんだろう……先ほどまでのすっきりとした目覚めがウソみたいだ
目の前に霞がかかったようにぼんやりとしている
何が現実で、何が夢なのか
熱に浮かされたかのような朦朧とした意識で、チビ子の部屋に向かう
わからない
何が真実なのか分からない
わからないワカラナイわからない
チビ子はどこに消えたのだろう
誰がチビ子の遺体を動かしたのか
……いや
そもそも
チビ子は本当に死んでいたのか?
なんで死んでいると決めつけたんだっけ?
「息をしていなかったから」
そう、息をしていなかったんだから死んでいるに決まっている
でも、…………それは本当に?
もしかしてぜんぶ演技で、ただ『死んだフリをしていた』だけだったら?
ありえない………………だってそんなことをする意味が、ゼンゼンワカラナイじゃないか
いろいろな場所をさがした結果、とある一室で、湯をためた浴槽に頭をつっこんで死んでいた
なぜ?
いや、その問いはむいみだ
だれがやった?
いや、そのといもむいみだ
だって、事故しだろ?
だれかがころしたとか
誰かにころされたとか
そんなこともんだいにならないハズなんだ
いもうとはきっとじこでできしした
そうじゃないとわからない
だって このしまには
もう
おれ ひとりしか いないんだから …………
なぜここに来たんだろう
──自さつ
そんなことばが頭をよぎる
これが夢ならば、しねばめ覚めるんじゃないか
がけの下をのぞきこむ
────…………幼馴染の遺体が消えていた
……ほら、やっぱりこれは夢だ
わけのわからないことばかりが起こる
だって、だれが彼女の遺体をうごかしたっていうんだ
…………ばかばかしい
ばかばかしいばかばかしい
ばかばかしいバカバカしいばかばかしいばかばかしいバカバカしい!!!!!!!!
ちがう、違う!! それはちがう!!!
このしまには、もう、…………おれひとりしか
おれはやってない おれはヤってない おれは犯ってない おれは殺ってない
おれはまともだ オレはマトモだ おれはまともだ……────
────…………あれ?
『おれはまともだ』なんて、なんだかくるってるヤツがいいそうなセリフだ
ちがう
そうじゃない
くるっているのはこのせかいのほう
くるってるんだ
くるくるくるってる
くるくる
くるくる
くるくるとまわって
がけのしたにすいこまれそうだ ──────
つよい風がふいて────バランスをくずした
かぜにせなかを押されて…………崖のさきに足をふみだしてしまった
おちる?
あぁ、おちる……
さいごのいきのこりが事故死だなんて
みえないかぜにおされて死ぬだなんて
おれのせなかを後押ししたその風は…………まるで、だれかが背後からつき飛ばしたかのような感触だったけど
きっと気のせいだしそれにもうどうでもいい
ほら、あっというまに 地面が/死が ちかづいてくるから
ああ…………────ごめん
ごめんな妹
ごめん…………まもって………………やれなくt
──男 Side:了
────…………
──……
─…
男「……ぁ」
看護師「!! 男さん!?」
男「……ここ、……は?」
看護師「目が、……覚めたんですね」
看護師「……ここは○○病院です。安心してください。何も心配はいりませんよ」ニコ
看護師「男さんは10日間ほど昏睡状態が続いていたんです」
看護師「詳しい説明は担当の医師から致しますので、少々お待ちくださいね」
カチャ……
看護師「こちら208号室です。患者さんの意識が戻りました。至急担当の先生にご連絡願います」
男「……ぅ…………」
しかし叔母との面会で、アレが夢でもなんでもなかったことが分かった
妹は…………やはり死んでいたらしい
泣き腫らし、憔悴しきった顔でそう教えてくれた
いや、妹だけではない
あの島にいた俺以外の人間全員の死体が確認されたというのだ
叔母は言ってくれた
────あなたは何も心配することはない。私が守ってあげるから、と
両親の死のときもそうだった
この人は、本当に優しい人だ
しかし、2度の精密検査が終わり、右腕の骨折以外には脳にも身体にも問題がないことが確かめられて……
ついに面会謝絶が解かれ、叔母以外に初めて面会にやってきた人たちがいた
────警察だ
俺はあの島の唯一の生き残りだ
きっと、あの事件の犯人として疑われているのだろう
……そう考えて身構えていたのだが、やってきた刑事達の向けてきた視線は厳しいものではなかった
「あの島で起こったことを、できるだけ詳しく聞きたい」
穏やかな声で頼まれ、俺は覚えている限りのことを全て話した
刑事B「……ええ。手記の内容と完全に一致しています」
刑事A「ああ」
男「あの……『手記』って?」
刑事A「あぁすまんな。言いそびれていたが、……ホシの残した手記があるんだ」
男「えっ!? 犯人が誰か分かっているんですか!?」
刑事B「あまり詳しいことは言えないけど、……凶器の入手経路等からも犯人は既にほぼ確定しててね」
刑事B「そしてこの手記の内容の裏付けも、君の供述で得られた」
刑事B「ありがとう。捜査協力に感謝するよ」
男「犯人は、誰だったんです……か?」
刑事A「……」
刑事B「……」チラ
刑事A「……おい。坊主に見せてやれ」
刑事B「えっ!? そりゃマズくないっすか?」
刑事A「お前が黙ってれば誰にもバレんよ。残された手記を読めば、先ほどの供述の中で不鮮明だった事実を思い出すかもしれん」
刑事B「……も~。ホントいい加減なんっすから」
刑事B「あー……君。コレを見せるのはここだけの話ってことで頼めるかな?」ポリポリ
男「はい。誰にも言いませんから…………見せて、ください」
……そうして、刑事の片割れが、俺にその手記のコピーを手渡してくれた
私以外の人間は全員死んだ
やるべきことはすべてやった
私も当初の予定通り死のうと思う
でもその前に、気まぐれに、事の真相を書き記しておく
このメモは、私の遺書であると同時に、告白文でもある
とは言え誰かにあてて書いたものでもない
きっとこの手記は私の遺体を発見した誰かに読まれることになるだろうが……
それも私が死んでしまった後のことだ
どうでもいい
ただ、私は────どこかに吐き出さねば気持ちが悪くなってしまっただけなのだ
脅迫内容は、私自身の名誉に関わることなのでこの手記にも記せない
ただ、私を脅迫していた人物は私のただ一度きりの過ちにつけ込み、何度も多額の金銭を要求した
日増しにその求めはエスカレートしていったが、私には逆らうことなどできなかった
私を脅していた人物は自分の正体を明かさなかった
脅迫犯は極めて狡猾で、直接顔を見せることなく私から金を巻き上げたのだった
それでも、垣間見える情報から、その人が同じ文芸部の人間であることは突き止めた
結局、最期の最期まで、その人物が部内の誰なのかはっきりとは分からなかったが……
茶髪が脅迫内容に関しての情報を知っているかのようなそぶりを見せていたので、
今となってはアイツこそが脅迫犯だったのだろうと推測している
毎日が苦しくて苦しくて仕方がなかった
脅されていることが? お金を要求されていることが?
……そうではない
実を言えば、顔の見えぬ不気味な脅迫も、金銭の要求も、それ自体は大した問題ではなかった
私をここまで追いつめた本当の問題は…………『お金を払うに至るまでの過程』にこそあったのだ
…………
……
一時は自殺も真剣に考えた
しかし、思いとどまった
死を選ぶくらいなら…………復讐した後で死んでやろうと思ったからだ
しかしその人物が誰なのかは分からない
だから、私はこの合宿を利用して文芸部員の皆殺しを画策した
全員殺せば、必然、私の秘密を握って脅している人物も死ぬことになる
もちろん、1人のために他の6人の無駄死にを生んでしまうが……
はっきり言って『そんなことは知ったことじゃない』と思った
私を助けてくれない、私の異常に気づいてくれない他の人間たちも同罪じゃないか
────最初の一人を殺してからは、その思いは益々強まっていった
この人が脅迫犯である可能性は限りなく低いが、この場で唯一の大人である彼女は最初に殺しておく必要があったのだ
深夜に部屋に押しかけて、恋愛相談をもちかけ、隙を見て縄で絞め殺した
自分を殺そうとしている人間を招き入れ、ぽややんとした馬鹿面を振りまいていた彼女は……
死ぬ寸前になっても何が起こっているのか分からない様子だった
最期まで……間抜けなヤツ
殺した後でカーテンレールに縄をくくり、自殺に見せかける
こんなものは子供騙しだが、別にそれで構わない
一時的な目眩しにでもなれば十分だと思った
先生の殺害後に、予め把握しておいた別荘中の電話を壊して自室に戻る
電話線を切る必要なんてない…………ただ、電話機本体を水につけた後で水気を拭きとってやれば事足りた
メガネは先生の死因が自殺ではなく絞殺であることを見抜いていたふしがある
『二人以上で行動するのがいい』という発言から察せられた
賢い人間は早々に片付けた方がいい
夜中に部屋を抜けだして、メガネの部屋のブザーを鳴らして呼出す
案の定警戒していたらしく、ドアには鍵をかけたままで来客の確認窓を覗いてきた
無防備な挙動に思わず笑いがこみあげる
────瞬間、予測位置に固定していたクロスボウで眉間を撃ってやった
日本では銃器所持の難しさに反して、クロスボウは比較的簡単に手に入る
基本的に年齢確認等は必要だが、すべての販売店がそのあたりを徹底しているわけでもない
普段から偉そうな態度をとっておきながらこいつも間抜けだった
慎重で冷静な行動を心がけていたようだが、所詮はガキだ
永遠に、おやすみ
意外なことにチビ子もまた、メガネと同様に頭がキレるタイプのようだったので早々と排除した
先生の死を見た際の過剰な反応は、恐らく先生が部内の誰かに他殺されたことを瞬時に悟ったからだろう
方法は簡単…………食事に毒を盛ってやっただけだ
私のような一般人でも比較的簡単に手に入る毒物がある
────トリカブト
キンポウゲ科の多年草であり、漢方薬として利用されるが、猛毒にもなることでも有名な有毒植物である
そこらの涼しげな山を探せば普通に生えているが、実は市販されてもいる
トリカブトの毒には即効性があり、経口摂取後、数十秒で嘔吐や呼吸困難を起こし、ついには心停止に至る
チビ子はそのご多分にもれず……ゲロを吐き散らしながら苦しんで死んでいった
なんという惨めで、汚らしく、滑稽な死に様だろう
私は、あんな死に方したくない
私にはふさわしくない死に方だ
彼女を殺したのは私ではない
最初は私も誤解してしまった
状況からして、てっきり男がツインテを『犯してから殺した』のだと思ったが
そうではなかった
実はあの茶髪が…………『殺してから犯した』のだ
あの茶髪は強姦魔ではない
……屍姦野郎だ
レイプ犯ではなく、…………ネクロフィリアだったわけだ
いずれにせよ、クソ気持ちわるい変態には他ならないが
結局、茶髪の『一緒にいよう』という提案を蹴って私は自室にこもり一人で休むことにした
予期せぬ事態に疲れを感じてはいたものの、興奮する脳の状態での眠りは浅く……
ベッドに入って2~3時間で目が覚めてしまった
ふと思い立って廊下に出る
……先生の部屋が半開きになっており、室内から声が聴こえてきた
──……誰? 何?
音をたてないようにそっと中を伺うと、そこで見たものは……
茶髪が、ツインテとチビ子と先生、3人分の遺体と…………─────『仲良く』している現場だった
……あの遊び慣れた様子からすると、きっと二日目の夜のうちから既に先生の遺体に悪戯をしていたのではないか
おぞましすぎて嘔吐する
思わず声が漏れて
眼が…………合った
見つかった
全力で逃げた
逃げたのはいいものの……崖側に走ったのがまずかった
追いつかれ……
必死に抵抗して顔面を殴りつけてやったが
揉み合っているうちに突き飛ばされて、私は…………崖下に落ちた
崖の上からでは分かりにくいのだが、崖の岩壁から木々が生えており、それが落下の衝撃を和らげてくれたのだった
そのような事情のため、死ななかったこと自体は奇跡というほどのものでもないが……
骨折すらなく捻挫程度ですんだのはやはり奇跡的だったと言える
頭を打たなかったことも幸いしていた
1~2時間ほど気を失ってはいたが、目を覚ました私は自分の無事を確認した上で、崖上へと登ることにした
崖下から崖上へはきちんと歩いて登れる道があるが、島の外周を遠回りしつつ登る道であるために時間がかかった
別荘にたどり着いた頃には……夕方になっていた
ネクロ野郎に見つからないように慎重に慎重を期して行動していたが、……っはは
あの死姦嗜好者、男にやられたのだろうか
グルグル巻きに縛られて、猿轡までかまされている茶髪を発見した
変態野郎……
日頃の会話の内容や私に向ける粘ついた視線から、私はこの変態こそが脅迫犯だろうという推測を疑めていた
──────くるしめてやる
自室から持ちだしたナイフで、彼の顔面をめった刺しにしてやった
ただし、とてもゆっくりとしたスピードで、だ
猿轡をかまされた口元から悲鳴と嗚咽が漏れる
喋ることはできないため……、助けてくれ、許してくれ─────と、そんなふうに涙で溢れた両目で必死に懇願する
私はニッコリと微笑んで…………その両方の目玉を抉ってやった
1時間……絶命するまでたっぷりと楽しんだ
自分の衣服にこびりついた茶髪の血を洗い落とさずに近づく
私に気づくと驚いていたが、茶髪に突き落とされた事情を説明すると、衣服や両手についた血を私のものだと勘違いしてくれた
私の身体はあちこち汚れており、傷口からバイ菌が入らないようにするためには風呂に入って清めた方がいいと言う
腕がうまく動かないと嘘をつくと、この阿呆は疑いもせず一緒に風呂に入ってくれると提案してくれた
せっかくなので御厚意に甘えて一緒に風呂に入り……
風呂のお湯の中に妹の顔面を抑えつけて溺れさせてやった
私の方が体格は大きいのだが、生死がかかった人間の力というのは中々にすごい
最初のうちは抵抗も強かったが、全力で湯船の中に頭を押し付けた結果、4-5分も経てばぴくりとも動かなくなった
ふふ。残念だったね……
あともう少し慎重だったら、お兄ちゃんとのハッピーエンドが待っていたのに
……ってそんなまともさがあったらこんな事件起こさないんだろうけど
男は崖先に立っていたので、音をたてずに後ろから近づいて突き飛ばしてやった
実を言えば、私は彼に対して少なからず好意をもっていた
一見すると冷たい人間のように見えるけれど、実は心優しい人だということは幼少期からの付き合いで知っている
しかし,もちろん彼が私を脅していた人物の可能性だって……僅かではあるが、やはり捨てきれない
捨てきれない以上……他のみんなを殺してきたときと同様、虫を殺すように無慈悲に手を下した
……でも
突き飛ばしたときの感触が、少し……軽すぎた
ひょっとすると彼は、…………今まさに自殺しようとしていた所だったのかもしれない
であれば、勝手に死ぬのを見守っていればよかった
あるいはもっと早々に突き飛ばしてやるべきだった
だって気持ち悪いじゃないか
はたして私は彼を殺したのか……それとも彼は自殺したのか……最後の殺人が曖昧なままだなんて…………
この手記を書き終えたら、私も死ぬつもりだ
恐怖や混乱の中で苦しみながら死んでいった彼ら彼女らには悪いが、私は眠るように死にたい
手元には強力な抗鬱剤が200錠ほどある
100錠のカプセルで致死量に至ると言われている薬剤だが、念には念を入れて手持ちの200錠全てを服用するつもりだ
私の死を悼んでくれる人はいるだろうか
……いや
きっといないだろう
父は、私の死ではなく、私のしでかしたことのみに心を痛めるだろうし
母は、心を痛めている父に対してのみ心を痛めるだろう
私は独りで死ぬ
『一人を殺すために七人を殺す』というイカレタ発想に何の疑いも持てなくなるほどに追い詰められていた私は……
結局、最期の最期まで、独りきりで苦しみ、独りきりで殺し、独りきりで死んでいくんだ…………────
────手記:了
刑事A「…………」
刑事A「その手記を書いたのが誰か……わかるか坊主?」
男「……ッ」
男「そんなの……一人しかいないじゃないですか」
男「幼馴染が…………犯人、だったんですね……」
刑事A「……」
刑事A「……ああ。そうだ。正確に言えば茶髪がその便乗犯だった」
刑事A「女性陣の遺体についた体液のDNA鑑定をした結果、茶髪のものに間違いないと判明したそうだ」
刑事A「どうだ自分の体験と照らし合わせて? 矛盾点とか……気になることはないか」
男「…………」
男「俺が崖から落ちたのに運良く生き延びることができた理由も、……分かりました」
男「でも……」
刑事B「でも?」
男「この……『脅迫』って、何なんですか」
男「幼馴染に脅迫されるような弱味があったとは思えないですし、部内に幼馴染を脅迫するようなヤツがいたとは思えません」
刑事B「……」
男「みんな……島での出来事でだんだんと変になっていっちゃいましたけど、元々は気のいい奴らばかりだったんです」
刑事A「…………」
刑事A「誰にも言わないと誓えるなら……教えてやってもいい」
刑事A「黙ってろ」
刑事A「こいつには……知る権利があるだろうが」
刑事B「いや! そーゆーことじゃなくってですね!! 刑事としての職業倫理というか何てゆーか……」
男「お……お願いします!!」
男「俺……みんなが……死んじゃって…………」
男「これから……7人分……せ、背負って…………生きてかなきゃいけないん、です……」グス
刑事B「……ぅ…………」
男「だから、この事件については……全部、きちんと知っておかなきゃいけないって、思うんです…………」
刑事B「……ングゥ……」
刑事A「これは単純に俺達のクビが危ないからってのもあるが……お前の幼馴染の名誉の問題でもあるから、絶対に秘密にしておけ」
男「……はい。約束します」
刑事A「確定した情報ではないんだが……」
刑事A「お前の幼馴染はな…………頻繁に、援助交際を繰り返していた形跡があるんだ」
男「え……?」
刑事A「手記の内容に鑑みて言うなら、おそらく最初の一度は興味本位だったんだろう」
刑事A「だが……それを偶然知り合いに見られてしまった。そしてその際に写真でも撮られたのか……」
刑事A「それ以降は、金を稼がせて巻き上げるために売春を強要され続けたんじゃないか、……というのが今の所の有力説だ」
男「そ、ん………」ポロ…
男「そん、な…………こと……が…………」ポロポロ…
刑事A「それは分からん」
刑事A「脅迫犯の方については何の痕跡も残っていなくてな…………真相は闇の中だ」
刑事A「茶髪が最有力の容疑者ではあるが……証拠もないから、確実とは言えないな」
刑事A「…………むしろ、坊主の方に部内での怪しい人間とかに心当たりはないのか」
男「それは…………」
男「いえ……。やっぱり、わかり……ません……」
男「さっきも言いましたけど、ホントにいい奴ばっかりでしたから……」
刑事A「……」
刑事A「そうか……」
男「いや、俺達に相談できなかったのはまだしも、家族とか……警察に……訴え出られなかったんでしょうか……」
刑事B「その理由は、君にも想像がつくんじゃないかい?」
男「……」
男「……そう、でしたね」
男「政治家、ですもんね。彼女の親父さん」
刑事A「ああ……脅迫されていたにもかかわらず誰にも相談できなかった理由だろうよ」
刑事A「万が一にでも秘密が漏れたら、自分一人の問題ではすまなくなると考えたんだろう」
男「彼女、親父さんのことを凄く恐れてましたから……」
男「ましてや『代議士の娘が援助交際』なんてマスコミが飛びつきそうなネタ、絶対に親父さんにバレるわけにはいかなかったのか……」
なんか抑圧されてたんだろう
刑事B「今日のことはくれぐれもここだけの話ということで頼むね!」
刑事B「それに、今回の事件はかなりスキャンダラスなものだから、今後君のところにマスコミが大量にやってくると思うけど……」
男「分かってます。……ベラベラと喋ったりはしないつもりです」
男「事件のことは……俺一人の胸の内に」
刑事B「……うん。頼むよ」
刑事B「何か新たに思い出したことがあったらいつでも電話してほしい」
刑事A「それじゃあな坊主。捜査協力、感謝する」
男「……はい」
……バタン
男「…………」
男「…………」
男「…………」
男「……………………」
男「……………………」
男「……………………」
男「………………」
男「幼馴染……………」
男「…………………………」
男「……………………………………」
男「…………………………………ク……………」
男「……………………………………………………ク……クッ」
男「……くっ…………」
男「……ぐッぅぅぅううううッ…………」ギリ
男「ば…………かッ………………」ジワ…
男「ばっ……かやろぉッッッ!!!!」ポロ…
ガシャンッッ!!!
男「なん、で…………なんでッッ! 一言相談してくれなかったんだよッ! 幼馴染ぃッ!!」ポロポロ…
男「俺たち…………小さい頃から家も隣同士で、あんなに仲よかったじゃねーか!!」
男「一言でも俺に相談してくれてれば、こんなことにはならなかったかもしれないんだ」
男「あんな凶行に及ぶ前に」
男「あんな事件を企てる前に、きっとッ! 止められたかもしれないのにッ……!!」ポロポロポロ…
男「茶髪も、おかしくならなかったかもしれない」
男「妹を…………失わずにすんだかもしれないのに」
男「俺だけが生き残って…………誰もいなくなっちまった…………」
男「…………」
男「妹…………」ポロ…
男「ごめんな、妹…………」ポロポロ…
男「俺のせいだ」
男「お前を守るって約束したのに、守ってやれなかった」
男「避けられた出来事だったはずなんだ」
男「起こった後でも、せめて妹だけは救えたはずだった!!」ポロポロポロ…
男「ちく、しょう…………」ポロポロ……
男「ごめんな、ごめんな、妹…………」ポロポロ……
男「それに…………、幼馴染も、ごめん……」
男「俺、周りのこと見てるようで、幼馴染の想いに配慮できなかった」
男「もう少し、お前の気持ちをきちんと理解する努力をしてれば……」
男「もっと日頃からお前に優しい言葉をかけていれば、俺に悩みを、心情を吐露してくれたのかもしれない」
男「俺は……お前の眼には、信頼に値する人間として映ってはいなかったんだな」
男「結局…………日頃の俺の行いが、招いた結果だって言うのかよッ!?」
男「くそ…………ちくしょう…………」ポロポロポロ…
────…………俺は、道を間違えた
男「ごめんな…………」ポロポロ…
────…………失敗した、失敗した、……失敗、した
男「本当に、……ごめんな…………」ポロポロポロ……
────…………胸に渦巻くのは後悔の想いだけ
男「あぁ…………」
────…………もっとうまくやればよかった、という想いが肺腑を締め上げる
男「こんなことになるなら、本当に────…………」
────…………失意も、悔恨も、もう……何もかもが遅く、何もかもが遠すぎて────────
男「………………──────もっと、生かさず殺さず、うまく搾り取ってやればよかった」
──────その想いだけが、後に残された
──── 男「そして誰もいなくなった」 fin.
少しでも楽しんで読んでくれたならこれ以上の喜びはない
結末を簡単に言えば、『殺人犯』は幼馴染、『便乗犯』が茶髪、然るに事件の最たる元凶の『脅迫犯』は男
男が幼馴染を脅迫して金を巻き上げていた動機は>>55-56あたりの妹の独白を参照
なお茶髪は男と幼馴染の脅迫関係に何となく勘づいていた(>>263の発言、>>391の証言を参照)
殺人犯の正体を推理する際の最大のポイントは、
(1)(独白内容で犯人から外れた主人公を除けば)幼馴染の死『だけ』は誰もきちん間近で確認していない
(2)幼馴染の死体がいつのまにか崖下から消えていた
という点(これだけでは犯人は確定できないが最有力候補の一人となるには十分な情報だった)
情報不足の面もあっただろうが、プロット上・演出上の都合と考えて大目に見てほしい
おかしな所があったら……VIPのSSなのでそれも大目に見てくれると嬉しい
>>1がクリスティの『そして誰もいなくなった』を読んだのは15年以上前で、正直内容はほとんど覚えてない
でも原作は推理小説史に残る超名作なので、今回のSSを少しでも気に入ってくれた人はぜひ読んでみてほしい
このSSの10000倍は楽しめるはずだから
長々とすまない。
それではまた別のSSを書く機会があったらよろしく!
乙!
めっちゃ楽しめた
かなり楽しめたから次作も期待して待っつる
楽しかったぜ!
Entry ⇒ 2012.03.25 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔法使い「魅力的な女性かぁ……」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1332166812/
前→魔法使い「あっ!」
このSSはSS深夜VIPのSSです
前スレ
魔法使い「あっ!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1331859646/79-80
前スレの>>79と>>80の間の話
2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:23:00 ID:L4Ybwo3o
魔法使い「うーん……どうすればいいんだろ……」
魔法使い「たしか明日は男さん、街でお仕事なんだよね……」
魔法使い「どんな女の人がいるか、見に行ってみようかな」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:25:03 ID:L4Ybwo3o
街
ザワザワ ワイワイ
魔法使い(やっぱり人がたくさんいるなぁ……)
魔法使い(うん、これだけいれば、素敵な女の人のお手本、探せそう)
4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:26:55 ID:PFIUKqVs
ロリ魔法使いちゃん来るか?
支援
5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:28:51 ID:LIQ4blr2
カップル男「でねー、その時さ」
カップル女「えー、すごーい」
魔法使い(あ……)
魔法使い(いいなぁ……アタシもあんなふうに男さんの手に抱きついて……)
魔法使い(……身長がちょっと足りないかな……)
魔法使い(あ……あの女の人、胸も大きい……)
魔法使い「…………」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:32:10 ID:H7D0Wp3E
魔法使い家
魔法使い「はあー……」
魔法使い(よくわからないけど、男の人は大きいのが好きなんだよね?)
魔法使い「…………」フニフニ
魔法使い(うう……いや、アタシにはまだ成長の余地が……)
魔法使い(でも、余地があるからこそそのうちにがんばらなくちゃかな……)
7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:34:54 ID:SL3qujJY
ドサドサッ
魔法使い「うーん……」パラッパラッ
魔法使い(やっぱり胸を大きくする薬なんてのはどの本にもないかぁ……)
魔法使い「うう、昔の魔法使いの人たちは胸小さい人いなくて困らなかったのかな」パラッパラッ
8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:39:55 ID:14Kj4Beg
翌日
男「え?今日は手伝えない?」
魔法使い「はい……少し街に用事ができてしまって……」
男「いやいや、魔法使いちゃんは好意で手伝ってくれてるんだし。用事ができたり面倒がなったらそれを優先しても何も悪くないんだよ?」
魔法使い「は、はい」
男「魔法使いちゃんと喋れないのは残念だけどね」
魔法使い「!」
男「それじゃ、何も遠慮することないんだから行ってらっしゃい、気をつけてね」
魔法使い「は、はい」タタタ
9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:42:32 ID:TAYY8bV.
男家
コンコン
男母「はーい」
魔法使い「あの、男母さん、アタシです。魔法使いです」
男母「あら、魔法使いちゃん」ガチャ
魔法使い「お、おはようございます」
男母「よく来たわねー、入って入って」
魔法使い「お、お邪魔します」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:45:38 ID:ICjQatmQ
男母「そう……男に告白したのね」
魔法使い「はい……」
男母「それで数年後、男を振り向かせるために、魅力的な女性になりたいと」
魔法使い「はい……」
男母「なるほどね、それでわたしには何か聞きたいことがあるのかい?」
魔法使い「あ、あの……」
男母「ん?」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:51:41 ID:5Buo3PYU
魔法使い「む、胸を大きくするにはどうすればいいんですか……?」カアアー
男母「胸?」
魔法使い「は、はい、胸です……」
男母「うーん、大きくって言っても、魔法使いちゃん思いっきり膨らみかけでしょ?年齢からして」
魔法使い「は、はい……でも、余地があるからこそ、そのうちにがんばらなくちゃって思って……」
男母「なるほどね、立派な考え方だねぇ」
魔法使い「うう……」カアアー
12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:54:23 ID:eOyp8g/k
男母「うーん、でもわたしも牛乳を飲むくらいしか知らないわ」
魔法使い「牛乳ですか……?」
男母「ごめんねぇ、何も知らなくて……」
魔法使い「いえ、そんな事ないです」
男母「なにか他には……あ!」
魔法使い「?どうしました?」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/19(月) 23:59:19 ID:LBd/b5rE
男母「そうよ魔法使いちゃん!もっと基本的に服と髪をいじってみない?」
魔法使い「ふ、服と髪ですか?」
男母「そうよ、そういうワンピースみたいなシンプルな服もかわいいけど、他の服も似合うと思うわ」
魔法使い「そ、そうでしょうか?」
男母「絶対似合うわよ。それにね、髪もちょっとしばってみたりするだけですごく変わるんだから」
魔法使い「そうなんですか?ちょっとだけでも?」
男母「ええ、試してみない?」
魔法使い「はい!」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:03:37 ID:.RTzYKOM
魔法使い「あ、でもアタシ、髪ならまだしも服はお金がないから……」
男母「いいわよ、何着かプレゼントしてあげるわ」
魔法使い「ええ!?そんな悪いですよ!」
男母「いいのよ、この間の薬のお礼、男だけじゃなくわたしからもしたいんだから」
魔法使い「でも……」
男母「わたしももう若くないからね、なかなか治らない風邪でけっこうしんどかったのよ。それを助けてくれた魔法使いちゃんだもの、お礼くらいさせてちょうだい」
魔法使い「男母さん……」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:07:10 ID:A5YIOwEc
服屋
男母「魔法使いちゃん?着替え終わった?」
魔法使い「ううー、これ、絶対変ですよう……」
男母「そんな事ないわよ、すごくかわいらしいわ」
魔法使い「ほんとですか……?」
男母「ほんとよー。もともとがかわいいから何着てもだいたい大丈夫ね、さ、次はこれよ」
魔法使い「だ、大丈夫かな……」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:10:21 ID:MRmVnGWs
男家
男母「うん、いろいろ買ったけど、やっぱり一番似合うのはその服ね」
魔法使い「こ、これ、ちょっと高すぎませんでしたか?」
男母「気にしないでいいのよ。それよりほら、次は髪だから鏡の前に座ってみて」
魔法使い「は、はい……」ストン
17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:15:13 ID:OxtA2uxk
男母「男はもちろん大切な息子だけど、娘も欲しくてね」サラサラ
魔法使い「は、はい」
魔法使い(男母さん、髪とかすの上手だな……)
男母「かわりに近所の女の子の髪をとかしたり髪形を整えたりしてあげてたから、女の子の髪については詳しいのよ」サラサラ
魔法使い「そ、そうなんですか」
男母「ええ、だから魔法使いちゃんも、もっとかわいくしてあげるわね」サラサラ
魔法使い「うう……」カアアー
18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:19:19 ID:aI/CtLQ6
男母「よし、っと、どうかしら?」
魔法使い「わ……」
魔法使い(すごい……いつものアタシと全然違う……)
男母「少し分け目を変えて、下で二つにしばっただけでも全然違うでしょ?」
魔法使い「はい……すごいです」
男母「今回はその服に似合うようにしてみたのよ。服によって髪形変えるのもかわいく見えるし、楽しいわよ」
魔法使い「はい!ありがとうございます!」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:22:43 ID:jJ36WfF6
魔法使い「男母さん、すごいです」
男母「ふふ、魔法使いちゃんがもともとかわいいからよ」
魔法使い「いえ、そんな……」
ガチャ
男「ただいまー」
魔法使い「!!」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:24:53 ID:jJ36WfF6
男母「あら、今日は早いわね」
魔法使い「あ、あわわわ!」バッ
男母「あら、なんで帽子をかぶっちゃうの?」ヒョイ
魔法使い「あっ!」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:29:16 ID:CBki/aFY
魔法使い「か、返してください!返してくださいー!」ピョンピョン
男母「大方、男にその服と髪を見せるのが恥ずかしいんでしょ?」
魔法使い「う、ううー!」ピョンピョン
男母「まったく恥ずかしがり屋さんね、見せなきゃ意味ないでしょう」ヒョイ
魔法使い「きゃっ!?か、抱えないでください!帽子返してくださいー!」バタバタ
男「母ちゃーん?いないのー?」
男母「今行くわよー」スタスタ
魔法使い「やっ、やあぁあ!」バタバタ
22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:32:12 ID:0Y/b.v96
男母「おかえり」
男「ただいま、って……」
魔法使い「う、うう……」カアアー
男「魔法使いちゃん?だよね?」
男母「そうよ。ほら、顔うずめてちゃわかんないでしょ?」
魔法使い「ううー……!」
23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:35:07 ID:r9rJJS9E
男母「もう、しかたないわね、ほら男、受け取りなさい」
男「ええ?」
魔法使い「やっ、ふ、普通に床におろしてください!」ジタバタ
男「なんか、すごく嫌がってるけど……」
男母「照れ隠しよ、ほら」ヒョイ
男「おっと」ドサ
魔法使い「あ……!」カアアー!
25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:37:32 ID:r9rJJS9E
魔法使い(ま、またお姫さまだっこ……!)カアアー!
男「えーっと……」
男母「ほら、男に聞くことがあるでしょう?」
男「え?」
魔法使い「……あ、あの……男、さん……」カアアー
男「な、なに?」
26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 00:41:00 ID:v8qQTC0g
魔法使い「に、似合ってます、か……?」カアアー
男「う、うん、似合ってるよ、すごく」
魔法使い「…………!」カアアー!
男「髪形もいつもと違って新鮮だし、服にもあってると思う」
魔法使い「は、はい……」カアアー
男「ん、すごくかわいいよ」
魔法使い「あ、ありがとう……ございます……」カアアー!
31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 10:07:00 ID:3k5mQofE
魔法使い家
魔法使い「ううー……」
魔法使い(は、恥ずかしかった……)カアアー
魔法使い(でも、かわいいって言ってもらえた……えへへ)
魔法使い(これからはもっとオシャレしたほうがいいよね……うん)
魔法使い(でもお金が……あ、そういえば牛乳も……)
魔法使い(うーん……薬売りとか、初めてみようかな……食べるためのお金じゃないから安く売れるし……)
32 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 10:22:21 ID:vsycQr3s
翌日
男「薬売り?」
魔法使い「はい、初めてみようかなって……」
男「うん、いいんじゃないかな。魔法使いちゃんの薬はすごくよく効くし」
魔法使い「はい、生活ではお金をほとんど使いませんから、薬が欲しい人にも安く売れますし」
男「でもなんで急に?」
魔法使い「え、えーっと……男母さんのおかげでオシャレにも興味がでてきて……」
男「そっか、新しく服買ったりしたら、ぜひ俺にも着たところ見せてね」
魔法使い「は、はい……」
魔法使い(胸のための牛乳買うことは言わなくていいよね……)ドキドキ
33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 12:55:14 ID:qxhU9WGc
男「よし、これで今日のぶんは終わりかな」
魔法使い「はい」
男「魔法使いちゃんはいつから初めてみるの?薬売り」
魔法使い「はい、この後街に行って、薬が必要な人を探そうと思います」
男「ん、じゃあ一緒に行こうか」
魔法使い「はい!」
34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 12:58:00 ID:cW3k4eaE
街
男「それじゃ、俺はこのキノコ仕事場に持っていくけど……」
魔法使い「大丈夫です、一人でできます」
男「そっか、がんばってね」
魔法使い「はい」
男「仕事場でも、なにか薬が必要な人がいるか聞いておくね」
魔法使い「ありがとうございます」
35 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 13:00:55 ID:HQwALE.M
魔法使い「……がんばらなくちゃ」
魔法使い「……ご、ごほん!」
魔法使い「薬、薬必要なかたはいらっしゃいませんか?お安くお売りします」
魔法使い「必要なかた、いらっしゃいませんか?」
36 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 13:03:08 ID:HQwALE.M
魔法使い「お薬必要なかた、いらっしゃいませんか?」
魔法使い(なかなか人が来ない……警戒されてるのかな)
街人「あの、ちょっといいですか?」
魔法使い「!は、はい!」
37 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 13:07:54 ID:z0yIiD..
街人「あのー、薬を売ってもらえると聞いて……」
魔法使い「は、はい!どんなお薬が必要ですか?」
街人「ばあちゃんが腰をやってしまって……それを治す薬ありますか?」
魔法使い「腰のお薬ですか……今はありませんけど、明日までに作れます」
街人「おお、それはよかった。いくらになりますか?」
魔法使い「えっと、300Gです」
街人「ええ?いいんですかそんな安くて……果物とかわりませんよ?」
魔法使い「は、はい、いいんです」
魔法使い(お金がなくても食べてはいけるし……)
38 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 13:09:58 ID:z0yIiD..
魔法使い「では、明日の正午にこの場所に持ってきますね」
街人「ありがとう。代金はその時でいいかな?」
魔法使い「はい」
街人「それじゃ、また明日」
魔法使い「はい、ありがとうございました」
39 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 19:04:33 ID:.RTzYKOM
翌日
魔法使い「あ」
街人「お、薬屋さん、時間どおりだね」
魔法使い「はい、こちらがお薬になります」スッ
街人「ありがとう。これが代金ね」チャリン
魔法使い「はい、ありがとうございます」
40 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 19:07:34 ID:cW3k4eaE
魔法使い家
魔法使い「ふう」
魔法使い(初めてのお客さんだから緊張したな……)
魔法使い(もらった代金で牛乳は買えたけど……どんな味なんだろ)ゴク
魔法使い「ぷはっ!?」
魔法使い「う、この味……あんまり好きじゃないかも……」
魔法使い「これ飲まなきゃ胸大きくならないのかな……うええ……」
41 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 20:31:56 ID:6pShDGAA
男「うん、今日もたくさんとれた」
魔法使い「はい」
男「魔法使いちゃんはこの後また薬を売りに?」
魔法使い「はい、また街でお客さんを探します」
男「それならよかった、仕事場に薬が欲しいって人がいたんだ。切り傷をつくっちゃったらしくてさ」
魔法使い「切り傷だと、塗り薬ですね。それなら作り置きがあるので今日のうちにお渡しできます」
男「よし、それなら行こうか」
魔法使い「はい」
42 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 20:40:04 ID:aTKLnNps
街
男「ここで待っとくように言ったんだけど……あ、いたいた」
街人2「お、男。待ってたぜ」
男「よ、このコが話してた魔法使いちゃんだ」
街人2「初めまして。男から話は聞いてるよ」
魔法使い「初めまして。あの……手大丈夫ですか?」
街人2「ああ、ちょっとドジってな。これの為の薬が欲しいんだ」
魔法使い「切り傷の塗り薬ですね。これです」スッ
街人2「ありがとな。代金は?」
魔法使い「えーっと、200Gです」
街人2「ほんとに安いんだな。それで大丈夫かい?」
魔法使い「生活の為の仕事ではありませんし……薬の材料もほとんど森からとれるものですから」
街人2「まあ安いのはありがたい。ほら、代金だ」チャリン
魔法使い「ありがとうございます」
43 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 20:45:13 ID:dZgyGplY
男「やっぱり魔法使いちゃん、しっかりしてるね」
魔法使い「い、いえ、まだ二人目のお客さんですし……緊張してます」
男「でも、しっかりできてたよ。えらいえらい」ナデナデ
魔法使い「えへへ……あ」
魔法使い「ううー……」ジー
男「ん?なに?」
魔法使い「こども扱いしないで、一人の女の子として見てください」ジトー
男「あ、ごめんごめん」
魔法使い「むー……」
44 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 20:48:34 ID:KA8VwvdY
1ヶ月後
魔法使い「ふうー」チャリン
魔法使い(けっこうお金貯まってきたな……)
魔法使い(高いのは無理だけど、安いのなら服買えるかな……)
魔法使い(明日男さんはお兄さんに会いに隣街に行くって言ってたし……)
魔法使い(服、買いにいってみようかな)
45 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 20:52:14 ID:sNLc61hI
翌日 街
魔法使い(うーん……)
魔法使い(これは大人っぽすぎる……これは派手……)
魔法使い(わっ!これ胸あきすぎだよ……アタシじゃ無理だ……)
魔法使い(自分だと何が似合うかわからない……男母さんってセンスよかったんだなぁ……)
男母「あら、魔法使いちゃん?」
魔法使い「あ!」
46 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 20:56:49 ID:YqgmtqLo
魔法使い「男母さん!」
男母「どうしたの?こんなところで」
魔法使い「少しですけどお金が貯まったので、服を買おうと思って……」
男母「あ、そういえば薬売りを始めたらしいわね」
魔法使い「はい、アタシ薬つくるくらいしか能がありませんけど、それで困ってる人も助けられますから……」
男母「うんうん、働く事でも立派に成長できるわよ」
魔法使い「はい」
47 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:01:23 ID:r9rJJS9E
魔法使い「それで……自分にどんな服が似合うかわからなくて……男母さん、教えてもらえますか?」
男母「あら、それならタイミングよかったわね。しっかり教えて……あ」
魔法使い「?どうしました?今日は都合が悪かったですか?」
男母「ううん、魔法使いちゃん、もっと素敵な服があるわ」
魔法使い「え?ほかの服屋さんですか?」
男母「いいえ、まあちょっとついてきて」
魔法使い「?は、はい」
48 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:07:33 ID:iLl9v5WA
男家
男母「たしかここに……ほら、これよ」
魔法使い「え!?ど、ドレスですか?」
男母「そうよ、わたしが若いころに着たものなんだけどね」
魔法使い「は、はあ……」
男母「大切に保管しておいたから汚れてないし、破れてもいないわ。ちょっと魔法使いちゃんには大きいかもしれないけど、まあ大丈夫でしょ」
魔法使い「はあ……でも、大切なものなんじゃ……」
男母「いいのよ、娘がいるならまだしも、もう着ることも譲る相手もいないし。受け取りなさい」
魔法使い「あ、ありがとうございます」
49 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:11:52 ID:MM0odWYw
男母「それでね、男は今日の夕方に帰ってくるって言ってたから、それからすぐに森に向かわせるわ」
魔法使い「え、ええ!?なんでですか!?」
男母「もちろん魔法使いちゃんに会わせるためよ。男は正装を持ってないけど、勘弁してやってちょうだいね」
魔法使い「あ、会ってなにをするんですか!?」
男母「ドレス姿を見てもらって、一緒に踊ってもらいなさい」
魔法使い「ええ!?」
50 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:14:26 ID:eL9coEq2
魔法使い「む、無理です!無理です!絶対無理です!」ブンブン
男母「あら、どうして?」
魔法使い「だ、だってアタシ、踊ったことなんてないです……踊りかたなんてわかんないです……」
男母「それは男も同じよー。貴族でもないんだし」
魔法使い「で、でもぉ……」
51 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:19:16 ID:0Y/b.v96
男母「踊りかたなんてどうでもいいのよ、テキトーでも、踊ったことが思い出になるの」
魔法使い「うう……」
男母「それとも魔法使いちゃんは男と踊るのはいや?」
魔法使い「あ……」
魔法使い「……そんな事ないです……踊りたいです……」
男母「ならいいじゃない、決まりね」
魔法使い「うう……」
男母「ドレス着るのと髪形整えるのはこれからやってあげるわ。街を出るまでは目立ってしまうけど我慢してね」
魔法使い「は、はい……」
52 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:21:48 ID:Y1/n7eyM
夕方
男(母ちゃんってばどうしたんだ?)スタスタ
男(帰ってくるなり『いつも魔法使いちゃんとキノコとってる場所に行け』なんて)
男(もう暗くなってきたのにな……ん?)
男「あれは……」
53 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:24:35 ID:cW3k4eaE
男「ま、魔法使いちゃん?」
魔法使い「…………」
男「ど、どうしたのそのドレス……」
魔法使い「……お、男さん……」
男「え?」
魔法使い「……ど、どうですか……?アタシ……キレイですか……?」
54 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:27:44 ID:sy848slY
男「…………」
魔法使い(うう……やっぱり恥ずかしい……)
男「うん、キレイだよ、すごく」
魔法使い「あ……」
男「それに、すごく似合ってる。どこかのお姫さまかと思った」
魔法使い「……嬉しいです」
男「うん」
魔法使い「嬉しいです……すごく」
男「うん」
魔法使い「男さん……アタシと踊ってください」
男「うん……わかった」
55 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:31:14 ID:oldDh7b6
魔法使い「わ、わ」
男「おっと」
魔法使い「ご、ごめんなさい……踊りとかわからなくて……足踏んじゃうかもしれないです……」
男「踊りがわかんないのは俺も一緒だよ。それにこんな服だし……」
魔法使い「いいんです……男さんが相手ならそれで……」
男「ありがとう」
魔法使い「えへへ……」
56 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:33:51 ID:YqgmtqLo
魔法使い「はあ、はあ」
男「……ちょっと踊り疲れたね」
魔法使い「は、はい……」
魔法使い「ここまでにしましょう……」
男「ん、わかった」
魔法使い「男さん……」
男「ん?」
魔法使い「……ありがとうございます」ニコ
男「うん……こちらこそ」
57 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:36:16 ID:YqgmtqLo
魔法使い「わあー……」
男「今日は星がすごくきれいだね」
魔法使い「ごめんなさい、もうちょっとここにいたいなんてワガママを言って……」
男「ううん、俺ももうちょっと魔法使いちゃんとしゃべりたかったしさ」
魔法使い「えへへ……」
58 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:39:14 ID:LD7kwUdI
魔法使い「男さん……」
男「ん?」
魔法使い「アタシ、もっともっと素敵な女の子になりますよ」
男「うん」
魔法使い「男さんが好きで好きで告白するのが我慢できなくなるぐらい、素敵な女の子になりますからね」
男「うん……すごく楽しみだ」
魔法使い「えへへ……」
魔法使い「大好きですよ、男さん♪」
おわり
59 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:39:53 ID:.RTzYKOM
読んでくれた人ありがとう
60 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 21:57:19 ID:3FK83qtI
乙
61 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/20(火) 23:13:49 ID:72a.5dnI
乙。最高だよ
62 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/21(水) 00:15:53 ID:UR7wSsXY
おっつ
64 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/21(水) 01:52:53 ID:8YDOW4Pc
相変わらず可愛かった
Entry ⇒ 2012.03.23 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔法使い「あっ!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1331859646/
このSSはSS深夜VIPのSSです
魔法使い「帽子が落ちちゃった!」
魔法使い「ぐぐぐ、ストップストーーップ!」
2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:05:35 ID:hfVXmH2c
ガサガサ
魔法使い「うーん……このへんに落ちたと思ったんだけど……」
魔法使い「箒で飛んでてブレーキかけられなくて見失うなんて……」
魔法使い「だめだなぁアタシ……箒が使いこなせないなんて……」
魔法使い「うー……住んでる森だから迷いはしないけど……」
魔法使い「帽子がどこいったかわかんないよう……」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:07:35 ID:0LRAP1RM
3時間後
魔法使い「はあ、はあ」ガサガサ
魔法使い「全然見つからない……」
魔法使い「おばあちゃんからもらった大切な帽子なのに……」
魔法使い「あっ!」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:11:00 ID:0Nk2WiUU
これが男だったら泣くぞ俺
7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:11:12 ID:RDPWBulw
男「よし、これで今日は終わりだ」
魔法使い(知らない男の人だ……あ!)
魔法使い(アタシの帽子!あの人が持ってる!)ガサ!
男「ん?」
魔法使い「あっ!」
魔法使い(見つかっちゃった!)
8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:13:40 ID:RDPWBulw
男(女の子……黒いマントに箒……)
男「ねえ、この帽子……」
魔法使い「ひゃ!あわわわ!」バタバタ
男「え!?ちょ!なんで逃げるの!?」
9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:16:31 ID:QWi37goI
魔法使い「おばあちゃんが街の人とはあんまり関わるなって言ってたんです!」バタバタ
男「いやいや、なんもひどい事とかしないからさ……ほら」スッ
魔法使い「あ……」
男「この帽子、君のでしょ?キノコとってる時に見つけたんだ」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:19:19 ID:lHamaEoU
魔法使い「あ……はい……アタシのです……」
男「じゃあはい、今度はなくさないようにね」スッ
魔法使い「あ……」
魔法使い(かぶせてくれた……)
男「ふふ、かわいい魔法使いさんだね」
魔法使い「!!」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:21:23 ID:X.SONh9s
ビュン!
男「うわ!?」
男「びっくりした……箒使わなくてもあんなはやいんだ……」
男「まあとりあえずキノコたくさんとれたし、今日の仕事は終わりかな。帰るか」スタスタ
12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:24:14 ID:qrRJkZPw
魔法使い家
ガチャ!バタン!
魔法使い「な、なんなのあの人!なんなのあの人!」
魔法使い「初対面なのにあんなに親切に……し、しかも……」
魔法使い「アタシの事……かっ、かわいいとか……」
魔法使い「ううー……!」カアアー!
13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:27:45 ID:6hzD2t1U
翌日 森の中
魔法使い「あっ!」
魔法使い(昨日の人だ!)ササッ
男「んー……なんか今日は当たりが悪いな……」
魔法使い「…………」ジー
16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 10:40:45 ID:QWi37goI
男「あ、あったあった、このキノコだ」
魔法使い「…………」ジー
魔法使い(なんでアタシ、あの人の事見てるんだろ……)
魔法使い(話しかけたいな……でも恥ずかしいから見つかりたくないような……)
魔法使い(どうしよう……)ドキドキ
17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 12:20:25 ID:9j287982
男「よし、今日はここらへんにしとくか」
魔法使い「あ……」
男「母ちゃん待ってるだろうし、早く帰らないとな」スタスタ
魔法使い「行っちゃった……」
魔法使い「…………」
魔法使い「結局話しかけられなかったな……」
魔法使い「はあ……」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 12:37:04 ID:qVc8ZgSs
翌日
魔法使い スタスタ
魔法使い「はっ!」
魔法使い「なんでアタシは用もないのにキノコがたくさんある場所に!?」
魔法使い「テキトーに散歩してたつもりだったのに……」
魔法使い「…………」
魔法使い「あの人、来るかな……」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 12:38:35 ID:9j287982
魔法使い「……来なかった……」
魔法使い「ここならいっぱいとれるのに……知らないのかな……」
魔法使い「……帰ろ」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 16:24:48 ID:0Xtq/SHQ
魔法使い家
魔法使い「はー……」
魔法使い(アタシってばどうしたんだろ……)
魔法使い(ちょっと親切にされて、かわいいって言われたくらいで……)
魔法使い(か、かわいい……のかな)
魔法使い「…………」ドキドキ
魔法使い「ダメだ、ドキドキする……」ドキドキ
魔法使い「はー……」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 16:28:05 ID:aqMaooD2
魔法使い(あの人、いくつくらいなのかな……)
魔法使い(見た目は20歳とか……そのくらいだったよね)
魔法使い(もしそうならアタシと6つ差……)
魔法使い(はあ……妹だったにしてもにしても年離れてるよ……)
魔法使い(……どうすればいいのかな……)
23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 16:31:57 ID:6hzD2t1U
魔法使い(というか……もし、もしも、アタシがあの人をす、すす、好き……だったとして……)
魔法使い(この歳の差じゃ、子ども扱いされてあしらわれるとか……)
魔法使い(それにアタシ、魔法使いだし……しかも薬作るくらいしか取り柄ないし…)
魔法使い(せめておばあちゃんみたいなすごい魔法使えたらな……)
26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 18:36:12 ID:tPiwWUNc
翌日
男「あ」バッタリ
魔法使い「あ!」
男「この間の……」
魔法使い「あっ、あっ!あ!あの!」
男「ん?」
魔法使い「こっちのほうが……たくさんキノコとれます……」カアアー
27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 18:39:36 ID:bxqAbAvk
男「うわーほんとだ、こんな穴場あったんだな」
魔法使い「は、はい……」
男「ありがとね、この森について詳しいんだね」
魔法使い「自分が住んでる場所ですから……」
男「そっか。さて、今日も働きますか」
魔法使い「あ、あの!」
男「ん?」
魔法使い「よければ……その……お手伝いします……」カアアー
28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 18:44:09 ID:dHvR4ZIw
男「ふー、たくさんとれた」
魔法使い「は、はい、そうですね」
男「ありがとう、手伝ってくれて」
魔法使い「い、いえ……」
男「ん、それじゃ、今日は魔法使いちゃんのおかげでたくさんとれたし、もう帰るよ」
魔法使い「あ……」
男「ろくにお返しもできなくてごめんね、母ちゃんが持ってるんだ」
魔法使い「はい……」
男「うちは父親がいないからさ、できるだけ早く帰ってやりたいんだ」
魔法使い「はい……」
30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 18:46:33 ID:6hzD2t1U
魔法使い「あ、あの……」
男「ん?」
魔法使い「明日も、来てくれますか……?」
男「うん、いい場所も教えてもらったし、またここで仕事しようかな」
魔法使い「!は、はい!」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:00:25 ID:iYKxQ4zM
魔法使い家
魔法使い「えへへ……」
魔法使い(うまく話せたかはともかく……今日は長く一緒にいれたな……)
魔法使い(そういえば、今日までお互い名前も知らなかったんだよね)
魔法使い(えへへ……それに、明日も来てくれるって……)
魔法使い(またお手伝いさせてもらおっと)
魔法使い(明日は、今日よりたくさんお話しよ……えへへ)
32 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:06:08 ID:6hzD2t1U
数日後
男「魔法使いちゃん、よければ家に遊びにこない?」
魔法使い「はっ、はい!?」
男「いや、この間からずっと手伝ってもらってるしさ、お礼にと思って」
魔法使い「えっ、えっ!え!?」
男「うちも裕福ではないけど……ご飯くらいは食べさせてあげれるからさ」
男「それに、かわいらしい魔法使いさんがいる、って話したら、母ちゃんもぜひ会ってみたいって言っててさ」
魔法使い「あ、あう、あう……」
魔法使い(男さんの家……まさか招待されるなんて……)
男「あ、街にはあんまり関わっちゃいけないんだっけ?無理なら……」
魔法使い「い、いえ!ぜひおじゃまさせてください!」
33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:08:36 ID:lHamaEoU
男「ん、よかった。それじゃ明日の昼くらいに、街の入口で待っててくれるかな?」
魔法使い「は、はい」
男「俺が迎えに行くからさ、待っててね」
魔法使い「はい……」
34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:14:33 ID:nkGjAFRM
魔法使い家
魔法使い(た、大変な事になった!大変な事になった!)バタバタ
魔法使い(まさか男さんの家に……行く事になるなんて……)
魔法使い(なに着て行こう……ていうかアタシいつもの服以外ほとんど持ってないよう……)
魔法使い(目立っちゃいけないから箒は持っていけない……歩きかぁ……)
魔法使い(うう……ほんとにほとんど服がない……)
魔法使い(あんまりいつもと違う服だと落ち着かないから……黒じゃなくて白のワンピースと……)ガサガサ
魔法使い(この帽子は『魔法使いです』って言ってるようなものだから……麦わら帽子で……)ガタガタ
35 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:20:50 ID:7/KQlybw
翌日
男「んー」キョロキョロ
男(魔法使いちゃん、遅れてるのかな。まだ来てないけど)
クイクイ
男「ん?」
魔法使い「あの……男さん……アタシです……」カアアー
36 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:23:27 ID:5rD3Bze.
男「あ、ごめんごめん、いつもの服で来るかと思ってたからさ」
魔法使い「へ、変でしょうか……?」
男「ううん、その服も似合ってるよ、かわいい」
魔法使い「!は、はい……」カアアー!
男「それじゃ、行こうか」
魔法使い「は、はい」
37 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:27:32 ID:OejU/JNU
男「ただいまー」
魔法使い「お、おじゃまします」
男母「いらっしゃい。あなたが魔法使いちゃんね」
魔法使い「は、はい」
男母「毎日男のお手伝いしてくれてるみたいで、ありがとうねぇ」
魔法使い「い、いえ……その……」
男母「ん?どうしたの?」
魔法使い「アタシも男さんとお喋りするの……すごく楽しいですから……」カアアー
男母「あらあら」クスクス
38 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:29:23 ID:OejU/JNU
男母「さ、遠慮なく、お腹いっぱい食べてね」
魔法使い「あ、ありがとうございます」
男「いただきます」
魔法使い「いただきます」
39 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:39:38 ID:0LRAP1RM
男母「どう?お口にあうかしら」
魔法使い「はい!とってもおいしいです!」モグモグ
男「そういえば、魔法使いちゃんは普段どんなものを食べてるの?森でとれるもの?」
魔法使い「あ、はい……果物とか、キノコとかをとって、軽く調理して食べてます」モグモグ
男母「あら、じゃあケーキなんかは食べたことはないの?」
魔法使い「ケーキ……」
魔法使い(おばあちゃんがほんのたまに買ってきてくれたけど……もう何年も食べてないなあ……)
40 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:40:45 ID:PpuwwfwQ
男母「しばらくは食べてない、って顔ね」
魔法使い「はい……」
男母「男、手伝ってくれてるんだから、これからはたまにはケーキくらい持って行ってあげなさい」
男「ん、そうだね、ほんとによく手伝ってくれるし」
魔法使い「え!ええ!?い、いいですよ!アタシが好きで手伝ってるのでそんな!」
男母「遠慮しないの、好きで手伝ってくれてるならなおさらよ」
男「俺もほんとに助かってるんだ、それくらいさせてよ」
魔法使い「男さん……男母さん……」
魔法使い「はい……ありがとうございます」
41 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:45:45 ID:F3h3Obt6
夕方
魔法使い「今日は本当にありがとうございます。すごく楽しかったです」ペコ
男母「いえいえ、わたしも娘ができたみたいで楽しかったわ」
魔法使い「男さん、お仕事大変なんですね……」
男母「ごめんね、急に仕事で呼び出されたらしくて……」
魔法使い「いえ……」
魔法使い(いっぱい遊べたし……男さんが呼び出されたのがアタシが帰る直前で本当によかった)
42 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 20:52:07 ID:vLs70MkU
男母「これからも、気軽に遊びにきてね」
魔法使い「はい、ありがとうございます」
男母「それとね、大事なことを2つ教えてあげるわ」
魔法使い「?なんですか?」
男母「男はね、鈍感だからハッキリ言わないと気づかないわよ」
魔法使い「はっ!はい!?」
男母「それとこれはいい情報だけど、仕事場に女の子がほとんどいないから、男が誰かにとられちゃう可能性は低いわ」
魔法使い「な、なんのことですか!?わ、わわわ、わからないです!」
男母「ふふ、男は気づかなくてもわたしにはバレバレよ、暇さえあれば男のこと横から見つめて」
魔法使い「う、うう、し、失礼します!」ビュン!
男母「ふふ、かわいい」
43 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:06:18 ID:0Xtq/SHQ
魔法使い(うー……!)
魔法使い(そんなにバレバレだったのかな……)
魔法使い(でも男さんは気づいてないって……よかったような残念なような)
男「あ、魔法使いちゃん」
魔法使い「あっ」
44 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:10:08 ID:6hzD2t1U
魔法使い「男さん……もうお仕事終わったんですか?」
男「んー、呼び出されたけど、話を聞いただけだったからね。魔法使いちゃんは帰るところ?」
魔法使い「はい、今日は本当にありがとうございました」ペコ
男「ん、いいよ、俺も楽しかったし」
魔法使い「は、はい……」
魔法使い(楽しかったって……よかったぁ)
男「ケーキも楽しみにしててね、まあゆってもたまにしか買えないけど……」
魔法使い「いえ、とっても楽しみです。ありがとうございます」
45 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:13:09 ID:sthVNC6Q
男「おっと、そろそろ暗くなるね、魔法使いちゃんは今日歩いてきたんでしょ?」
魔法使い「はい」
男「じゃあちょっと急がないと暗くなるかも。引き止めてごめんね」
魔法使い「いえ、大丈夫です。さすがにあの森では迷いませんから」
46 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:15:16 ID:sthVNC6Q
男「ん、それじゃまた明日」
魔法使い「はい、さようなr」ガッ
魔法使い「きゃっ!」ドテッ
ピラ
男「魔法使いちゃ……あ……」
魔法使い「!!!!」
47 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:17:18 ID:sthVNC6Q
魔法使い「あ、あう!あうあうあうあ!」バタバタ
男「その……」
魔法使い「お、男さん!」
男「は、はい!」
魔法使い「み、見ました……?」
男「……ごめん」
魔法使い「ーーーー!!」ボッ!
48 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:19:20 ID:sthVNC6Q
魔法使い「う、ううー……」カアアー!
男「ごめん……すぐ忘れるようにするから」
魔法使い「はい……」
男「じゃあ……また明日ね」
魔法使い「はい……」
49 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:23:20 ID:U5t3huYk
魔法使い家
魔法使い「う、ううー……」カアアー
魔法使い(楽しかったけど……男さんと男母さんと話せて嬉しかったけど……)
魔法使い(男母さんに、バレちゃった……)カアアー
魔法使い(そのうえ男さんにパンツまで見られちゃったし……)カアアー!
魔法使い(恥ずかしい!恥ずかしいよう!)バタバタ
魔法使い(男さん、忘れてくれたかな?)
魔法使い(でも、なんとも反応してくれないのも……)
魔法使い「ううー……」カアアー
50 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:26:09 ID:uxtS0BdY
数日後
魔法使い「…………」
魔法使い(今日は男さん、遅いな……)
魔法使い(あんなことがあってもいつもと変わらず一緒に過ごしてたのに、どうしたんだろ……)
51 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:27:56 ID:aqMaooD2
翌日
魔法使い「…………」
魔法使い(今日も男さん、来ないや……)
魔法使い(風邪ひいたのかな……?)
魔法使い(明日も来なかったら、思いきって街に行ってみようかな……)
52 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:30:03 ID:1Du4DD4o
翌日
魔法使い「あ!」
男「おはよ、魔法使いちゃん」
魔法使い「おはようございます。どうしたんですか?昨日と一昨日は……」
男「んー、母ちゃんが風邪ひいちゃってさ」
魔法使い「え……?」
53 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:34:17 ID:fE7WebIc
男「しかもかなりしつこい風邪らしくて、なかなか治らないんだ」
魔法使い「大丈夫なんですか……?」
男「ん、風邪は風邪だから命に別状はないよ」
魔法使い「ほっ……」
男「それで仕事休んで看病してたけど、いつまでも休ませてはもらえなくてさ、今は隣街の兄貴に来てもらって、看病してもらってるんだ」
魔法使い「…………」
男「さ、早めに仕事終えて、俺も母ちゃんのとこ行かないとな」
魔法使い「はい……お手伝いします」
54 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:36:47 ID:fE7WebIc
魔法使い家
魔法使い「うんしょ、と」ドサ
魔法使い「これで材料は全部だよね……」
魔法使い「……薬作るのが得意でよかったって初めて思ったかも」ゴリゴリ
55 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:38:34 ID:fE7WebIc
ゴリゴリ
魔法使い「ふう」
魔法使い「でもどうしても時間はかかっちゃうなぁ……」
魔法使い「ふわああ……」
魔法使い「今夜は徹夜だ……」ゴリゴリ
56 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:41:40 ID:IhbwAamw
翌日
男「おはよ、魔法使いちゃん……ん?」
魔法使い「あ……男さん、おはようございます……」
男「なんか眠そうだね、大丈夫?」
魔法使い「大丈夫です……それより男さん」
男「ん?なに?」
魔法使い「キノコはアタシが集めておきますから……今すぐ男母さんにこれを飲ませてあげてください」スッ
57 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:48:05 ID:SfdFVojM
男「これ……」
魔法使い「アタシ、薬作るのだけは得意ですから……それを飲めばすぐ治るはずです」
男「でも、キノコまで任せるのは……」
魔法使い「大丈夫です、ずっと男さんのお手伝いさせてもらって、手順とかはわかりますから」
男「そうじゃなくて……」
魔法使い「男さん、アタシも、男母さんには早くよくなってほしいんです」
男「魔法使いちゃん……」
58 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:52:38 ID:aUN5iyo.
男「……わかった、お願いするよ」
魔法使い「はい」
男「ただ、とったキノコは俺がとりにくるから。ただでさえ寝不足なのに街まで届けるのまで任せられない」
魔法使い「はい、わかりました」
男「……寝不足なのも、この薬を作ってたからなんだね」
魔法使い「……はい」
男「ありがとう」ナデナデ
魔法使い「あ……」
男「ありがとう、魔法使いちゃん」ナデナデ
魔法使い「えへへ……」
59 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:54:16 ID:aUN5iyo.
魔法使い「撫でてもらっちゃった……」
魔法使い「えへへ……」ニヨニヨ
魔法使い「あ、キノコとらなくちゃ……」
魔法使い「眠いけど、がんばらなくちゃ……」
60 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:56:11 ID:aUN5iyo.
魔法使い「ふう……」
魔法使い「うん、これくらいあれば充分なはず……」
魔法使い「あ……」クラ
魔法使い「だめだ……眠い……」ウトウト
魔法使い「ん……」
魔法使い「すー……すー……」
61 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:57:49 ID:aUN5iyo.
魔法使い「ん、んん……」
魔法使い「ん……?」パチ
男「あ、目さめた?」
魔法使い「男さん……?えっ!?」
62 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 21:59:57 ID:aUN5iyo.
男「いや、戻ってきたら魔法使いちゃん寝ててさ」
男「魔法使いちゃんの家に運ぼうと思ったんだけど、場所知らなくて、テキトーに探してたんだ」
魔法使い(お、お姫さまだっこ……!)カアアー!
64 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:03:18 ID:VBnQKn1E
男「疲れてるでしょ?そのままでいいよ」
魔法使い「は、は、はい……」
男「家の方向教えてくれるかな?」
魔法使い「あ、えーと……」
魔法使い「…………」
魔法使い「あっちです……」
男「あっちね」スタスタ
65 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:05:35 ID:VBnQKn1E
魔法使い「あ……ちょっと間違ったかもです……引き返してください……」
男「ん、わかった」スタスタ
魔法使い(ごめんなさい男さん……もうちょっとだけお姫さまだっこしててほしいんです……)
66 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:07:02 ID:VBnQKn1E
男「よし、着いたね」
魔法使い(着いちゃった……)
男「じゃ、また明日」
魔法使い「あ!待ってください!」
67 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:09:15 ID:VBnQKn1E
男「ん?どうしたの?」
魔法使い「その……夜の森は危険です……迷ったりとか……」
魔法使い「だ、だから……その……」
魔法使い「今日は……アタシの家に泊まっていってください……」
68 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:11:24 ID:VBnQKn1E
男「よいしょ」ゴソゴソ
魔法使い「すみません、お客さまなのにベッドアタシが使っちゃって……」
男「いや、大丈夫だよ」
魔法使い「はい……」
69 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:13:42 ID:VBnQKn1E
男「それに、むしろ俺は魔法使いちゃんにお礼を言わなきゃね」
魔法使い「え?」
男「あの薬、すごいよく効いたよ。さすがに全快ではないけど、母ちゃん熱下がったしだいぶ楽そうにしてた」
魔法使い「そうですか……よかった」
70 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:17:18 ID:T58Dmfa2
男「ほんとは明日ケーキ持ってきて、言おうと思ったんだけどね。ほんとにありがとう」
魔法使い「いえ……たいしたことじゃないです」
男「ううん、お礼になんでもしてあげたいくらいだよ」
魔法使い「……なんでも……ですか……?」
男「ん?うん。俺にできることなら」
魔法使い「それなら……男さん……」
魔法使い「アタシの話を……聞いてもらえませんか?」
71 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:18:41 ID:eHEI8emw
男「話?」
魔法使い「とっても、大事なお話です」
男「ん、聞くよ、真剣に」
魔法使い「はい……」
72 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:21:14 ID:IxUMs9og
魔法使い「すー……はー……」
男「…………」
魔法使い「ふう……」
男「…………」
魔法使い「……男さん」
男「うん」
魔法使い「アタシは……男さんのことが好きです」
73 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:24:18 ID:5rD3Bze.
男「え……」
魔法使い「男さんにとっては、アタシは妹みたいなのかもしれませんけど……恋愛対象じゃないのかもしれないですけど……」
魔法使い「アタシは……男さんのことが大好きなんです……」
男「…………」
魔法使い「だから……アタシとお付き合いしてください」
74 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:26:56 ID:7uiEJrTc
男「…………」
魔法使い「…………」
男「……魔法使いちゃんは、とってもいい子だと思うよ」
魔法使い「…………」
男「それに、すごくかわいくて、魅力的だと思う」
魔法使い「…………」
75 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:28:36 ID:7uiEJrTc
男「でも、俺にとってはやっぱり妹みたいな存在で……」
男「女の子として好きだとは……思わないんだ」
魔法使い「…………!!」
76 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:32:15 ID:wlwQJpqA
魔法使い「う……」
魔法使い「う、うう……」ポロポロ
男「違うんだ、最後まで聞いて」
魔法使い「ひっく……は、はい……」ポロポロ
男「だから、魔法使いちゃんがこのまま、素敵な女の子のまま成長して、そして、その時もまだ、俺のことを好きでいてくれたなら……」
魔法使い「…………」ポロポロ
男「もう一度、俺にさっきの言葉を、聞かせてほしいんだ」
魔法使い「…………!!」
77 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:37:19 ID:AlRej4j.
男「ごめん、こんな中途半端な答えで……」
魔法使い「うっ、ひっく……」ポロポロ
魔法使い「いえ……ひっく……だ、大丈夫です……」
男「……そっか……」
魔法使い「あ、アタシ……がんばりますから……」
男「え?」
魔法使い「むしろ……男さんが我慢できなくて告白してくるくらい……素敵な女の子になりますから……」
男「……そうだね」
男(こんな素敵な女の子なら……将来惚れそうだ……)
78 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:39:42 ID:AlRej4j.
魔法使い「あの……男さん」
男「なに?」
魔法使い「もう1つ、お願いしていいですか?」
男「ん、いいよ」
魔法使い「目、つぶってください……」
男「ん?いいけど……」スッ
チュッ
79 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:42:37 ID:AlRej4j.
男「あ……」
魔法使い「えへへ……」
魔法使い「まだ恋人同士ではないですから……ほっぺです」
男「…………」
魔法使い「ひょっとして……ドキドキしちゃいました?」
男「……からかうんじゃありません」ワシャワシャ
魔法使い「きゃーっ、ふふふっ」
男「ふふ……」
80 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:45:53 ID:5rD3Bze.
10年後
赤ん坊「ぎゃああん!」
母「あっ!大丈夫!?ほら、よしよし……」
父「どうした?」
母「やけどしたみたい……冷やすけど、跡残っちゃうかな……」
父「それなら、森の薬屋に行ってみるか」
母「森の薬屋?」
81 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:48:30 ID:5rD3Bze.
父「隣から聞いたんだが、森の中に夫婦でやってる薬屋があってな、とてもいい薬をくれるらしい」
母「じゃあお願い。この子女の子だから跡残っちゃかわいそうよ」
父「ああ、隣に場所聞いて行ってくる」ガチャ
82 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:51:09 ID:ma3yex9g
父「ここだな」ガチャ
父「すみませーん」
魔法使い「はい、どうしました?」
父「子どもがやけどしてしまって。やけどの薬をもらえますか?」
魔法使い「やけどのお薬ですね、たしか奥の棚に……あなた、お願いできる?」
男「ああ、わかった」
83 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:53:16 ID:Gnfzw2Gk
魔法使い男の娘疑惑が解消できてよかった………
支援。
84 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:55:32 ID:F8qSTC/s
男「これだろ?」
魔法使い「はい、ありがとうございます」
父「すまないね、いくらになる?」
魔法使い「いえ、お代はいただきませんよ」
父「え!?しかし」
魔法使い「わたし達はこの森にあるもので暮らしていけますし……夫も働いていますから」
父「んん……そうか、ありがとう」
魔法使い「いいえ、お子さん、早く治るといいですね」
父「ああ、ありがとう」
85 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 22:58:12 ID:1Du4DD4o
父「本当にありがとう。今度なにかお礼をしよう、それでは」ガチャ
バタン
魔法使い「ふふ」
男「どうした?」
魔法使い「わたし達も、もう少しであんなふうに、お父さんとお母さんになるんですね」
男「だな。あと半年か」
魔法使い「はい」
86 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 23:02:25 ID:IhbwAamw
男「母ちゃんにも、孫の顔を見せにいかなきゃな」
魔法使い「お義兄さんも、今はお義母さんの家にいますから、甥か姪かわかりませんけど、見せられますね」
男「だな、喜ぶ顔が目に浮かぶよ」
魔法使い「そうですね……ふふ」
男「ん?」
魔法使い「大好きですよ、あなた♪」
おわり
87 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 23:03:00 ID:IhbwAamw
読んでくれた人ありがとう
88 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 23:06:19 ID:XjMzoiwc
乙カレー
89 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 23:07:21 ID:Gnfzw2Gk
乙。
もうちょっとロリ時代のかわいい魔法使いちゃんがみたかったぜ!
91 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/16(金) 23:29:31 ID:K2Ik1Vrk
乙!純愛キュンキュンスレをありがとう!
92 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/03/17(土) 10:09:04 ID:aUp1Y6QA
乙!
ちょっと森できのこ探してくる
Entry ⇒ 2012.03.19 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
件名『私メリー、あなたの後ろにいるの』 男「メール…だと!?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1330084832/
このSSはSS深夜VIPのSSです
『拝啓
突然のお便りで申し訳ござ
いません。
この度、私メリーはあなた
様にとりつかせていただく
運びとなりましたこと、謹
んで御礼申し上げますとと
もに重ねてお詫び申し上げ
ます。
かしこ 』
男「文章がすごく丁寧だっ!!」
男「ん?またメールだ」
『いやー。
なかなか見てくれないから
どうしようかと思いました
よー (´・ω・`) 』
男「急に絵文字とか使うんだ……ていうか、これどっかから見られてる?」
ティロリーン
『ですから後ろにいるの。
と。
あ、件名でしか言ってませ
んでしたっけ? 』
男「いや、そういう意味じゃなく。ホントにうしろにいるんです……か?」
ティロリーン
『いますよー (*´∇`*)ノ 』
男「意外とノリ軽いんですね……。」
ティロリーン
『おかげさまで。
メリーさんやらせていただ
てます (。・ω・)ゞ 』
男「いやいや、メリ-って名前じゃないんですか?」
ティロリーン
『そういう…職業(?)とでも
思って下さい。
現世に残るにはしないとい
けないんです (´Д⊂) 』
男「はぁ。あの、お若いのに大変ですね……。」
ところで、これってどうやって送ってるんですか?」
ティロリーン
『心の送信ボタンです!
v(`ゝω・´) 』
男「あぁ……。えぇっと、アドレス『meri_follow_you@』ってなってますけど?」
ティロリーン
『お手数ですが登録お願いし
ます。 (*u_u*) 』
男「あ、登録とか普通にアリなんだ……。」
ティロリーン
『メール主体の時代ですから
ね。 (o^─^o) 』
男「そういうもんなんでしょうか?」
ティロリーン
『時代を捕らえることはどん
なことに対しても大切なの
です。
と、なにかの本で読みまし
た。 』
男「勉強熱心なんですね……。」
ティロリーン
『普通に電話すると驚いて逃
げられちゃうんですよ
(;ω;) 』
男「逃げられたらこまるんですか?」
ティロリーン
『幽霊には幽霊のルールがあ
りまして…
毎日誰かに見つけてもらえ
ないと、消えてしまうんで
す。 』
ティロリーン
『どちらかというと消滅です
。
多分。 』
男「多分……と言いますと?」
ティロリーン
『なんとなく仕組みが分かっ
てるって感じだったので…』
男「……フワっとしてますね。なんかこうもっと説明的なモノはなかったんですか?」
ティロリーン
『ありませんでした
(; ̄~ ̄)
呼吸の仕方は意識しなくて
も知っていますよね。
それと同じで残るためには
こうしなきゃいけないと… 』
男「なんとなく深い話に聞こえるから不思議ですね……。」
『それに、猶予が49日間し
かないというのも分かって
たので。
考えるよりいろいろ試そう
と…。 』
男「誰かに見つけてもらうための実験を?」
ティロリーン
『はい。
その49日間を使い切る前
に自分なりのやり方を決め
なきゃ! (`・д・´)ゞ
と。 』
ティロリーン
『電話だと逃げられちゃうか
ら毎日違う人を探さなきゃ
ならなかったんです。 』
男「で、思いついたのがメールでメリーさん?」
ティロリーン
『怖かったですか?
(`・д´・ ;) 』
男「シュールでしたwメール見るまでずっと付いて来てたって考えるとなかなかにホラーかもしれませんけど。」
ティロリーン
『でも、あなたは逃げないで
くれました。 』
男「まぁ、まだ実感わいてないからかもしれませんが。」
ティロリーン
『幽霊です私!
(σ≧∀≦)
って言う女の子が現れたら
信じてくれるんですか? 』
男「うん。無理ですね。……あ、でも消えたり透けたりしたら。」
ティロリーン
『使える能力は一日にひとつ
だけみたいで… (´・з・) 』
男「いろんな能力があるの?」
ティロリーン
『たとえば姿を見せるだけと
か。
その場合、声などは伝えら
れないようなんです。
(´・ω・`) 』
男「なるほど、ただの無口な人ですね。」
『そこで良く聞く話なんです
が…
タクシーの運転手さんが山
道で女性を乗せて…って話
知りませんか? 』
男「あぁ、しばらく進んで振り向くとシートがぐっしょり濡れて……」
ティロリーン
『シートが濡れてるかはわか
りませんけど、姿が消えて
いるって奴です。 (゚艸゚;) 』
男「でも普通に見えるならそれで大丈夫なんじゃないですか?」
『ところが気のせいやイタズ
ラと思われてもダメなんで
す (;ω;)
これは幽霊の仕業だって気
づいてもらわないと。 』
男「なるほど、運転中に消えたら幽霊だって気づく……と。
僕もこうやって会話してなかったらイタズラだとおもったかもしれないですし。」
ティロリーン
『だからメリーさんが現れた
のは携帯が普及したからな
んですよ (*゚ー゚*) 』
ティロリーン
『一人に出てもらわないと意
味ないんです。
自分の居場所にだんだん近
づいてくる誰か…
最後は自分の真後ろにっ!
((( ;゚Д゚))) 』
男「怖い怖い怖いっ!!」
ティロリーン
『怖がらせるのも大事なんだ
とは思います…けどね。 』
男「まぁ『幽霊=怖い』だしねぇ。」
『で、実際には振り向いても
誰もいない。
でも自分がどこにいるのか
何をしてるのか電話相手は
知ってる、と。 』
男「そっか。イタズラ電話じゃなく見えない何かに見られてると……
あ、でも怖がらせると逃げちゃうから効率が悪い……なるほど、それで行き着いたのがメールでメリーさんと。」
ティロリーン
『良い考えだと思おもいませ
んか!? (*゚д゚*) 』
男「少なくとも僕には効果抜群でしたねw」
男「えーと……毎日誰かに見つけてもらえないとってことは、明日も僕の後ろに?」
ティロリーン
『お願いしたいんですが…
(´・д・`)ゞ 』
男「つまり……取り付かれてるってことですか?」
ティロリーン
『そう、ですね…。 』
ティロリーン
『大丈夫です。
普通は幽霊の仕業って分か
らせるために取り付くので
あって。
あなたは私が幽霊だって知
ってますから…。 』
男「じゃあ……死なない?」
ティロリーン
『もちろん!
気づいてくれる人は幽霊に
とって貴重なんですよ!
(*´д`*) 』
ティロリーン
『それもお化けとして毎日見
つけてくれるからだと思い
ます… (;´-∀-`) 』
男「僕もメリーさんを毎日見つければいいと?」
ティロリーン
『はい!
ぜひお願いしたいのですが
…? (p*゚w゚*q) 』
男「具体的にはどうしたら?」
ティロリーン
『ただ認識してくれたら良い
んです。
ただ、眠ると全部夢だと思
うかもしれないので。
毎朝メールさせて下さいね
(o^─^o) 』
男「はぁ。……まぁそれくらいなら。やれるだけやってみます。」
ティロリーン
男「ふぁあ~、こんな朝から誰だよ……」
『おはようございます。
私メリーさん、今あなたの
お家の前にいるの。
(。・∀・。)ノ 』
男「あぁ、そういやメリーさんがそんなこと言ってたっけ……えっと返信できるのかな?」
(ポチポチ)『すぐ支度して降りてくから少し待っててね』
男「お、送れた。」
ティロリーン
『わぁ!頭の中に文字が浮か
びましたよ! ヽ(゚∀゚)ノ
待ってますからゆっくり支
度して下さいね。 』
ティロリーン
『私メリーさん、あなたの目
の前にいるの。
(*´∇`*)ノ 』
男「おはよーメリーさんwちょっと思ったんだけど、どうやって僕のアドレス知ったの?」
ティロリーン
『近くにある携帯に直接言葉
が送れるんです。
具体的なアドレスは分かり
ません。 (;ω;) 』
ティロリーン
『たとえ分かっても教えてあ
げませんよ ヾノ・`д・´) 』
男「ちょっ!?幽霊って考えてることも分かるの!?」
ティロリーン
『幽霊じゃなくても分かりま
す! (( ̄ ^  ̄ )プィッ 』
男「そんな……。あれ?てことは近くにいないと僕にも送ってこれないの?」
ティロリーン
『あ、さっき返事くれた時に
アドレス覚えたのでこれか
らはいつでも送れる…のか
な? 』
男「メリーさんにも圏外あったりするのかな?w」
男「おぅ。実は……いやいやw」
ティロリーン
男「おっと。友、ちょい待って。」
『お友達ですか? (*・∀・*)』
友「お?朝からメール!まさかついに男に彼女がっ!?wwwwww」
男「いや、その……(メリーさんとメールしてるなんて誰も信じないよなぁ……)」
男「そんなんじゃね~よ。」
(ポチポチ)『こいつは友って言うんだ。メリーさんとメールしてるなんて言っても信じてもらえないから黙っておくねw』
ティロリーン
『分かりました!そのほうが
都合がいいのでしたら。 』
友「即攻で返事がくるとはwwwお熱いこってwwwwww」
男「だから違うっつーの。」
男「女さんのアドレスなんて知らないよ。僕が知りたいくらいだって。」
ティロリーン
『絶っっっ対に教えてあげま
せんからね! (#゚Д゚) 』
(ポチポチ)『そんな、トドメささなくても!』
友「ちくしょーせめて席代われよ!www」
男「お前だって一番後ろの特等席なんだから良いだろ!」
ティロリーン
『楽しい人ですね~(〃゚艸゚)』
友「またかよ、ちくしょー。むしろ人w生w代wわwれwよw!wwwwww」
男「あぁもう~!ごちゃごちゃするっ!!」
先生『で、このⅹとyは連立しているとあるから――」
男「ふぁあ~ぁ……」
ブブブ ブブブ
『ノート取らなくていいんで
すか? 』
(ポチポチ)『数学は嫌いなの。それにテストは一夜漬けで公式覚えればなんとかなるし!メリーさんは数学とか得意だった?』
ブブブ ブブブ
『分かりません。
というか、実は生前をあま
り覚えていなくて… 』
(ポチポチ)『…そっか。』
ブブブ ブブブ
『だからですか?男さんのア
ドレス分かりやすいのは。
(´ー`) 』
(ポチポチ)『いいでしょ?「the-otoko@」』
ブブブ ブブブ
『簡単に覚えられました! 』
ポチポチ『分かりやすいメアドにしてよかったよw』
…… ……
男(ニヤニヤ)
女「……?」
教師「そして、そのとき時の政府がとった政策が――」
ブブブ ブブブ
『あ、そこの漢字間違ってま
すよ。
専は点なしで博は点がつき
ます。 』
(ポチポチ)『そうなんだ。ずっと両方とも点なしで書いてた。メールだと漢字変換楽そうだねw』
ブブブ ブブブ
『楽ではないですよ。
というか私が書ける字しか
変換されてないみたいです
し。 (。-д-。) 』
ブブブ ブブブ
『ほとんど困らずに変換でき
るので生前から詳しかった
んだと… 』
(ポチポチ)『なるほど…バラってかける?w』
ブブブ ブブブ
『薔薇? ((φ(・д・。) 』
(ポチポチ)『すごwじゃあ…ちみもうりょう』
ブブブ ブブブ
『魑魅魍魎 o(≧∇≦)o
どうでしょう!? 』
(ポチポチ)『すげぇw そんけ |
教師「こらー。男~、授業中にメールすんな~」
男「っ!ごめんなさい電源切っときます!」
クスクス クスクス
――
男(なんてねwサイレントモードにして――ノートに……と)
(カキカキ)『おこられちゃった』
…… ……
『なるほどコレなら内緒でお
話しできますね! 』
(カキカキ)『だれにもバレないで会話できるっていいね』
…… ……
『って、ちゃんと授業受けて
くださいよ~!
(*´・з・`) 』
…… ……
『…なんとなく読書は好きだ
った気がします。
ずっと本ばかり読んでたよ
うな。 (´・ω・`)
ごめんなさい。あんまり覚
えてません…。 』
(カキカキ)『あやらないで どんな人なのかなって気になっただけだから』
…… ……
『自分の未練も思い出せない
ようじゃ幽霊失格ですよね
… 』
(カキカキ)『ちょっとずつ思い出せばいいよ ボクもできることは手伝うから』
…… ……
『ありがとうございます。 』
男(未練が思い出せない……か)
女「ねぇ男くん!相手だれなの?数学のときもずっとメールしてたみたいだしw」
男「え?いやw」
友「あぁ~終わった終わった。男~怒られてんじゃwねwぇwよwwwwww」
男「うるせぇ。」
友「こいつ朝からずっとこうなんだよ。彼女だぜwwwwww」
女「えぇっっ!そうなの!?」
男「だから!彼女なんていないってば!」
ティロリーン
『彼女ってことにしちゃえば
いいんじゃないですか?
(*゚∀゚) 』
ティロリーン
『私は全然良いですよ。
って別に変な意味じゃない
ですけど…
あの…その…。(〃ノωノ) 』
男(ニヤニヤ)
友「もうデレデレだなコイツwむしろドロドロになれば良wいwのwにwwwwww」
女(彼女さん返事早いなぁ……)
友「ところで男、この後、帰りにどっか寄ってくか?www」
男「……いや、悪りぃ。今日ちょっと用事あるから」
友「そっか。じゃあまたなwwwwww」
男「おぅ。じゃあな。」
―――
ティロリーン
『どこかに行くんですか? 』
男「言ったでしょ。僕も手伝うって。」
『ここ…図書館ですか? 』
男「そう、読書が好きって言ってたから何か思いだすかなって。」
ティロリーン
『私のためにありがとうござ
います。 (。v_v。) 』
男「いいのいいの。コレくらいしか出来ること無いし。何か思い出せそう?」
ティロリーン
『いいえ…まだ…。 』
男「……中に入ってみればきっと思い出すよ。行ってみようか……」
ブブブ ブブブ
『私は始めて来たような気が
します。 』
男「図書館自体に……ってこと?」
ブブブ ブブブ
『はい。
なんだかとても遠いところ
だって気がするんです。 』
男「この辺なら図書館なんてだいたいどこも近くにあるはずだけど……。遠い町なのかな……?」
『あの…ココって男さんのご
家族が勤めてたりしません
か? 』
男「ん?母さんがココの司書だけど。何で分かったの?」
ブブブ ブブブ
『朝、男さんの家で感じたの
と同じ携帯が奥にあるみた
いなので。 』
男「へぇ、そんなことも分かるんだ。」
ブブブ ブブブ
『はい。やっぱりなんとなく
…ですけど。 (´・д・`) 』
男「お、噂をすれば。」
母「??何のこと?」
男「なんでもない。それよりココって古い新聞とか保管してない?」
母「いつか必要になるかもって思って、一年分くらいとっといてあるけど……どうして?」
男「それだけあれば十分。ちょっと見せてほしいんだ。」
母「いいけどちゃんと片づけなさいよ。奥にあるから入っていいわ。」
男「ありがと。」
ティロリーン
『さっきのが男さんのお母さ
んですか。
綺麗な方ですね…。 』
男「ちょっと若作りしてるだけだよ……ええと、ここだな。」
ティロリーン
『新聞を見てどうするんです
か? 』
男「昨日49日間で能力を決めるって言ってたでしょ?
逆算したらメリーさんは49日以内に亡くなったはずだから、もしかしたらなんか載ってるんじゃないかなって。」
ティロリーン
『…そうですよ、ね。 』
ティロリーン
『…少し。
でも、何か思い出せるなら
がんばります! 』
男「僕もついてるから。……メリーさんが気がついたのって何日前か分かる?」
ティロリーン
『…男さんにメールをしたの
がちょうど最後の49日目
でした。 』
男「そっか。じゃあ昨日から49日前の新聞は……と――」
ティロリーン
『隣町の、通り魔殺人…です
か。 』
男「もしかして……この被害にあった女子高生って……」
ティロリーン
『あれ?でも、この事件49
日前に起きたんですよね?』
男「うん。だからちょうどメリーさんになった日の……」
ティロリーン
『はい。
ですからこの事件が起きた
時に私はもう幽霊になって
いたはずです。 』
男「あ、そうか。じゃあこの事件は無関係……よかった。」
『でもこの事件、まだ犯人は
捕まってないんですね… 』
男「そういえば今朝ニュースでもやってたっけ。この前また女子高生が襲われたって。その子も重傷らしいし。」
ティロリーン
『…この子も幽霊になったん
でしょうか? 』
男「……どうだろう。僕なら、犯人を呪うかもしれない。」
『成仏、できたのでしょうか
…。 』
男「……?どういう意味?」
ティロリーン
『犯人を呪ったとして。
たとえば犯人を…殺して。
それで、納得できますか…
? 』
男「でき、ない……かな。多分一番の未練は――。」
ティロリーン
『死にたくなかった。
…ですよね 』
ティロリーン
『ん~。どうなんでしょう?
少なくとも今は死んでいる
ことを悲観してないんです
よね。 (´・ω・`) 』
男「でも幽霊は未練があって現世に残った人なんだよね?」
ティロリーン
『はい。それは間違いありま
せん…けど。
ただ、私は死んでしまうこ
とが嫌なのではなく、やり
残した事があるから幽霊に
なった…の、かな。たぶん 』
ティロリーン
『そのはずです。
ですが、もしこの被害者の
子のように幽霊になったの
なら…
ただ生きていたかっただけ
なのなら… 』
男「……未練があっても、成仏できるとは限らないかも知れない、か。」
ティロリーン
『私もそうかもしれません…
未練が分かっても、それが
実現できない…かも。 』
ティロリーン
『…お気使いありがとうござ
います。
でも、やっぱり私は知りた
いです。
なぜ私がこの世に残ってい
るのか。
…巻き込んでしまってごめ
んなさい。 』
男「気にしないで……。その、僕も興味あるから……なんて言ったら不謹慎かもしれないけど。」
ティロリーン
『出会ったのが男さんで
良かったです。
本当に。 (*u_u*) 』
男「それは答えが見つかってから言ってよwさてと、次を探そうか――」
ティロリーン
『名前も知らずに分かるもの
なんでしょうか? 』
男「推測だけどね。『メリーさん』を知ってたりメールの感じから僕とそんなに年は変わらないと思うんだけど……
メリーさんが気がついた時周りに何か無かった?」
ティロリーン
『意識が無いまま風に流され
ていたようで…
気がついたときは知らない
場所でした。 』
ティロリーン
『何か知ってる人…ですか?』
男「寺生まれのTさん……は無いか。でも幽霊の先輩とかさ。」
ティロリーン
『…他の幽霊には会ったこと
がありません。 』
男「え?この辺にいるのはメリーさんだけってこと?」
ティロリーン
『…いえ、きっと他にもたく
さんの幽霊はいるんだと思
います。
でも、誰も感じられません
でした。 』
…… ……
男「……メリーさん?」
ティロリーン
『最初は道行く人に声をかけ
たりしましたが…
お互いを認識して話が出来
たのは…男さんが初めてで
した。 』
ティロリーン
『…そうです。 』
男「……49日間……どうしてたの?」
ティロリーン
『まずは、手当たりしだい声
をかけてみました。
…空耳だと思われましたけ
ど。 』
男「……。」
ティロリーン
『次は姿を見せてみて。
でも、みんな素通りして行
っちゃいました…。 』
男「……生前を知ってる人には出会わなかった?」
ティロリーン
『多分…誰も声はかけてくれ
ませんでしたし。 』
男「ただ知らない人が立ってるだけじゃ、幽霊とは思わない……か。」
『その後に思いついたのが
「メリーさん」でした。
電話で。あなたの後ろに…
って。 』
男「それなら有名だし気づいたんじゃ?」
ティロリーン
『はい。成功はしました。
ただ…
その人は携帯をその場に投
げ出して走って逃げてしま
いました…。 』
男「まぁ……ね。」
ティロリーン
『覚悟はしていましたけど、
人に怖がられるのは…少し
…つらかった。
…です。 』
男「……。」
『それからはしばらく何も
しませんでした。
出来ませんでした。
誰かを傷つけるくらいなら
…怖がられるくらいなら、
このまま消えてしまおうか
…って
でもそうやってただ街を歩
いていたら、メールをして
いる人達をたくさん見かけ
て… 』
男「メリーさんメールを思いついた……?」
『はい。
でも、また怖がられてしま
うんじゃないか…
不安で…
最後に一度だけ…と。 』
男「それで、49日目に送ったのが……僕。」
ティロリーン
『はい。
あの時あの場所で偶然お見
かけした携帯にメールした
んですが… 』
男「そっか……。それが僕でよかったよ。」
ティロリーン
『本当に。
ありがとう。 』
コン コン
がちゃり
母「ちょっと男、そろそろ閉館時間だから片付けて頂戴。」
男「おっと!うん。今ちょうどやろうと思ってたとこ。」
母「学校の宿題か何か?調べたいことは終わったの?」
男「まぁ、だいたい。」
母「そう、じゃあ早く片しちゃってね。」
男「うん。わかった……。――よし!帰ろっか。」
ティロリーン
『はい。
ありがとうございました。 』
支援支援
ティロリーン
『浮遊霊ですから特に…
住んでるとかはないかと。
(* ̄∀ ̄) 』
男「じゃあ寝泊りは?」
ティロリーン
『幽霊は眠らないんです。
疲れたりもしないので夜は
ふらふらしてます。 』
男「……今までずっと?」
ティロリーン
『そう…ですね。 』
ティロリーン
『いいんですか!?
ヽ(゚∀゚)ノ 』
男「まぁ眠らないんじゃ泊まるも何もないかもしれないけど」
ティロリーン
『女の子を家に引き入れて何
する気ですか…?
|ω・`) 』
男「えっ!あ、いや、その……ほら!女の子を外にほっぽり出すのは気が引けるっていうか
まぁおもてなしも少しは……あ、そっか家族には内緒で、あ、いや内緒っていっても変な意味じゃなくて――」
ティロリーン
『あの、冗談ですけど…。
Σ( ̄Д ̄ll) 』
『で、本当に伺っても良いん
ですか? (。・Д・。) 』
男「もちろんメリーさんがよければだけど。」
ティロリーン
『あ、ええと私の方は大丈夫
なので、OKなら「いいで
すよ」と言ってらえません
か?
お邪魔してもいいですか?』
男「?……いいですよ。」
ティロリーン
『ありがとうございます。 』
ティロリーン
『これもお化けのルールです
。
幽霊は「生者が所有してい
る空間に無断で立ち入りで
きない」んです。 』
男「えっと、……所有する空間っていうのは?」
ティロリーン
『たとえば住んでる家とか。
聖域って言うらしいですけ
ど。
その人が他人に踏み込んで
ほしくない場所が聖域にな
るみたいです。 』
ティロリーン
『「線からこっち俺の土地だ
かんな~!」_〆(-∀-*)
っていう小学生の近くも駄
目でしたから、けっこう適
当みたいですけど。 』
男「ははは!最初から思ってたんだけど幽霊のルールって、結構いいかげんだよね。」
ティロリーン
『そもそも全部のルールがなん
となく知ってるって状態です
から (ll-д-)
でも、それでうまく回ってる
ってことは良い加減なのかも
しれません。 』
男「なるほど。言いえて妙ってやつだ。」
ティロリーン
『あの…お邪魔します。 』
男「いらっしゃい。」
ティロリーン
『なんか…緊張しますね。
男の子の部屋に入るのなん
て初めてです… (*μ_μ) 』
男「そ、そうなんだ……
まぁ僕も家族以外の女の子を入れたの初めてなんだけど……」
…… ……
男「何か言ってよ!w」
ティロリーン
『えっと…じゃあ…あの…
勉強机の鍵付引き出しが聖
域になってるんですが…
何が入ってるんですか? 』
男「そこは触れちゃらめぇ~!!!あのっ、ほら!
男には自分の世界があると言いますか、例えるなら空を駆ける一筋の流れ星と言いますか――」
男「あれ?メリーさん?ご、ゴメンなさい!
確かに中にあるのはエロ本ですがこれは男ならしょうがない物でして、むしろ犯罪に走らないよう己をおさえ――」
ティロリーン
男「ん?」
『私メリーさん、窓の外に押
し出されたの。
何か大切なものが入ってい
たんですね。
急に聖域が拡大して外まで
押し出されちゃいました。
もう失礼なことはお聞きし
ないので入れて下さい。
(m´・ω・`)m 』
男「よし。落ち着け……大丈夫。僕はノーマルからは外れてない。健全なエロ本だから大丈夫。」
ティロリーン
『あの、戻ってます…
なるほど…
そういう本ですか…
仕方ないですよね…。 』
男「ミステイクっ!!! いやその違うんです。だから――」
男「――ぉおっとぉおっ!!!これは妹が帰ってきたのかな出迎えなくちゃ!
すぐに鍵を開けるよ妹ちゃ~ん!!!」
ティロリーン
男「おぉっと!手が滑って読まずに削除しチャッタ!あははははは。」
ティロリーン
男「また手が!いやぁ今日はよく手が滑る!そんなことより妹が!わははははははは――」
がちゃり
妹「ただいま。……女のにおいがする。」
男「おかえ……えっ?!」
ティロリーン
妹「っ!……。……私の部屋には来ないでね。」
男「お、おぅ……ゴメン。」
妹「……。」
『無視とか、私一番傷つきま
すよ… (;Д;)
男さん、本当に妹さんいた
んですね。 』
男「はい。ごめんなさい……。あの通りちょっと変わってるんだけどね。」
ティロリーン
『妹さんがいるなんて気づき
ませんでした。
朝も今も何も感じなかった
ですし。 』
男「あぁ、あいつ携帯持ってないからね。」
さっきの反応見ると僕が携帯持つのもイヤみたいだし。いまどき珍しい奴なんだ。」
ティロリーン
『でも、お母さん似で美人で
すねぇ (*´ω`*) 』
男「あいつ母さんに習ってるから料理とかうまいし、二人とも性格以外は『良い嫁さん』なんだけどね。」
がちゃり
母「ただいま~。あら男、玄関で何してるの?」
男「……母さんて噂するとすぐ出てくるね。」
母「??何のこと?」
男「なんでもない……」
母「あらそう、ならいいけど。じゃあ、すぐご飯にしちゃうからね。」
ティロリーン
『素敵なご家族ですね… 』
男「ごちそうさま~。」
妹「ごちそうさま。」
母「おそまつさまでした。じゃあ妹ちゃん先お風呂は言っちゃってね~。」
妹「うん。」
男「じゃあ僕は部屋にいるからあがったら呼びにきて。」
妹「……やだ。それならお兄ちゃんが先入って。」
男「う、うん。良いけどさっきお前、部屋に来るなって……。呼びに行かなくていいの?」
妹「あがったらそのまま呼びにきて。すぐ来るならいい。」
男「わかんないけど、わかった……。」
(ポチポチ)『ということらしいのでメリーさんは部屋で待っててね。』
ティロリーン
『分かりました。ごゆっくり
どうぞ~ (o^─^o) 』
妹「……。」
ティロリーン
『いえいえ~ (。>∀<。)
妹さんの部屋にはもういっ
たんですか? 』
男「うん。すぐにとの仰せだったしねw」
ティロリーン
『でも、仲良さそうな兄妹で
すね~。 』
男「どこが~?なんか今日は特にご機嫌斜めだったのか、いつも以上に避けられてたよw」
ティロリーン
『普通あれくらいの年頃の子
だったら「お兄ちゃんが入
った後はいや!」とか言い
そうですけど、そういうの
じゃないですし。
兄弟とか羨ましいです。 』
男「メリーさんは一人っ子だったんだ?」
ティロリーン
『そうみたいですね。
って人事みたいになっちゃ
いますけど (ノω`*) 』
『ところで、触れていい部分
なんでしょうか…
夕飯のときお父さんがいな
かったんですが…。 』
男「あははwww大丈夫。ちゃんと健在だよwただの海外赴任。」
ティロリーン
『お一人でですか? 』
男「うん。母さんいろいろ放任主義だしwまぁ、昔はあの二人もいろいろ大変だったんだって。なんでも駆け落ちらしいからねw」
ティロリーン
『駆け落ち!
素敵じゃないですか!
ロマンチックです
(*>∀<*) 』
男「大恋愛の末の逃避行だよw」
ティロリーン
『大恋愛、ですか…。 』
男「今からじゃ想像できないけどねw――。」
ティロリーン
『男さんはどんな子供だった
んですか? 』
男「う~ん。あんま覚えてないけどなぁ。って僕もメリーさんとおんなじ様な答えになっちゃうねw」
ティロリーン
『あはは (。>∀<。)
友さんとは古くからお知り
合いなんですか? 』
男「うん。家も近いしずっと一緒。一緒に撮ったアルバムもたくさんあるよ。見る?」
ティロリーン
『見せてください! 』
男「えっと……。これこれ!……ほら。友の奴、いつも爆笑してんだよなぁw」
ティロリーン
『本当ですね (〃゚艸゚)
あれ?この写真変なの写っ
てません?肩のトコ。
あ、こっちの写真も… 』
男「ちょっw怖い事いわないでよwww――。」
…… ……
ティロリーン
男「う、う~ん……。」
…… ……
ティロリーン
男「ん、んぁ……。」
…… ……
ティロリーン
男「…… ……。」
ティロリーン ティロリーン ティロリーン
ティロリーン ティロリーン
ティロリーン ティロリーン ティロリーン
男「――うおっっっ!!!」
『私メリーさん。
おはようございます!
(´・∀・)ノ 』
『そろそろ起きて~!
朝ですよ~ (*´・з・`) 』
『こら~!
起きないと遅刻しちゃいま
すよ!! 』
『お 』
『 き 』
『 て 』
『 く 』
『 だ 』
『 さ 』
『 い 』
『 (#`Д´)』
男「!!!やっべぇもうこんな時間だ!」
ティロリーン
『私は何回も起こしました!』
バタバタ
テレビ「次のニュースは連日○○市周辺で起きている通り魔事件の――」
母「あらあら。男、おにぎりくらい食べてきなさい。お昼食べれないかもしれないし。」
男「いや、学校は昼休みあるから……。いただきます。……ごちそうさま!」
妹「……行ってきます。」
男「おい!待てよ!お前いつもなら起こしてくれるのに!!!」
ティロリーン
妹「……。」
男「おい!待てよ!!」
母「こら男!『行ってきます』は?」
男「あぁ!もう!行ってきます!!!」
ガタンゴトン
男「あぁ……これは間に合うかぁ?……そういやメリーさんがなんか言ったっけ?」
『いつもは妹さんに起こして
もらってるんですか?
(〃゚艸゚) 』
(ポチポチ)『…恥ずかしながら。寝すぎると悪いものが集まるとか言ってたかな?よくわかんないけど。』
ブブブ ブブブ
『うらやましいです。
いや、うらめしい…か
な? (・ω・) 』
(ポチポチ)『やめてwまぁココんとこ機嫌悪いみたいだけど、ありがたい話だよ。』
『いいなぁ。
私にもそんな家族があった
のかなぁ… 』
男「……」
(ポチポチ)『僕で良かったら…なんて。』
ブブブ ブブブ
『え? (。-д-。)
そんな意味で言ったんじゃ
ないですけど。 』
(ポチポチ)『…おうふ!お恥ずかしいw』
ブブブ ブブブ
『冗談ですって。
(。>∀<。)
ありがとう。 』
男「ふぅ……ギリギリ間に合った……。」
女「お疲れさまw」
友「わはははwww男~。今w日wもw元w気w良wいwなwww彼女と遅くまで話してて寝坊か?wwwwww」
男「うるせぇ!だいたい彼女はいねぇし遅刻でもねぇよ!」
ティロリーン
『友さん良いカンしてますね
~ (* ̄∀ ̄) 』
友「ほらまた来たぞ~!www」
女「彼女じゃないなんて言うから怒ったんじゃない?w」
男「あ~もう。うるせえ全部うるせえ!!!w」
教育実習「はい次、問3は~、棒線2とあるが~、こう記した筆者の考えは――」
男「はぁ~……。」
(カキカキ)『メリーさんみてるー?』
…… ……
『見てますよー?
|ョω・) 』
(カキカキ)『メアド覚えたからいつでも送れるかもって言ってたけど できたのかな?』
…… ……
『そういえば試してませんで
したね。
どうなんでしょう? 』
(カキカキ)『じゃあ今ためしてみてよ とりあえず校内まわりながらメールしてみて!』
『私メリーさん、いま教室の
前にいるの 』
…… ……
『私メリーさん、いま2階ト
イレ前にいるの 』
…… ……
『私メリーさん、階段を上っ
てるの 』
…… ……
『私メリー、3階に着いたの』
…… ……
『私メリー屋上に付いたの。
前ならもう送れないはずで
すけど…どうでしょう? 』
『私メリーさん、あなたの後
ろにいるの。 (。・∀・。)ノ
どうでした? 』
(カキカキ)『おかえりw ジッケン大成功 全部とどいたよ』
…… ……
『やった!
どこでもメリーさん完成で
す v(`ゝω・´) 』
(カキカキ)『www なにそのマスコットほしいw』
…… ……
『あぁアレは尾行して道を覚
えて、近づいてるフリして
るだけだと思います。
本当はずっと近くにいるは
ずですよ (´・ω・`) 』
(カキカキ)『ガンバって道おぼえてるって想像するとなんかカワイイねw』
…… ……
『正体を知ればそんなもので
すよ。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
ってことです。
(´ー`) 』
(カキカキ)『いやいやホントの幽霊に言われましてもw』
女「……。」
男「ふぃ~。さぁメシだメシだ!友~今日はどうする?」
友「あぁ、悪い。今日は部活で外せないんだ。」
男「部活って陸上部?昼錬なんてあったんだ?」
友「いや今日はそっちじゃなくて。ちょっと急がないと。スマン!」
男「おぅ。……さてどうしよう。」
ティロリーン
『良かったら屋上で食べませ
んか? 』
男「……。よし、じゃあ購買でなんか買って屋上行くか。」
女「……」
ティロリーン
『食堂プリン!? (*゚д゚*)』
男「月に一回学食でプリンサービスになるんだ。食堂のオバチャン手作りらしくてすげぇ旨いの。」
ティロリーン
『邪魔しちゃいました? 』
男「いやいやおかげで屋上独り占めだしwここ景色良いから好きなんだよね。」
ティロリーン
『はい。わたしもさっきそう
思って。
天気がよくて飛んでいけそ
うだなぁ (。・Д・。)
なんて。 』
男「あれ?普通に飛べるんじゃないの?」
ティロリーン
『…そう、ですね。
幽霊になってから普通に飛
んでるのに。
……なんでだろ? 』
…… ……
男「あれ?ほんとに飛んでっちゃった!?」
ティロリーン
『いえ…。
私、思い出しました。
小さいとき、鳥になって飛
べたら良いのになって
そう思ったんです。
夢だったんです…。 』
男「僕も小さいときには良くそんなこと思ってたなぁ。正義のヒーローになって――」
女「男くん……ちょっと、良い?」
男「お、女さん!?」
男「え、それってもしかして――」
女「(コクリ)」
男「わ、分かった。…ち、ちょ、ちょっと待って」
(ポチポチ)『メリーさんゴメン。大事な話だから電源切らせて!!!』
プツ
女「……よく、メールしてるよね。最近。えっと、相手は彼女じゃないんだったよね……。」
男「え、え~と。うん。そうだね。まぁ……あの――」
女「メールの相手……もしかして、幽霊?」
女「え、ホントに?」
男「えっ!『え、ホントに?』って、…えっ?」
女「いやいやwカマかけてみただけなんだけど。やっぱり私、霊感あるみたい。」
男「いや霊感って……」
女「冗談。で、本当は授業中に男君のノート見ちゃったの。ノートに書くだけでメールが返ってくるみたいだからおかしいなって。
……ホントに相手は幽霊なの?」
男「……えっと。どう説明したものか。……メリーさん、電源切ってゴメンなさい。今電源入れますんで。」
ティロリーン
『私メリーさん、今男さんの
後ろにいるの。
ていうか電源切るとか無視
とか本当やめて下さいって
言ったじゃないですか。な
にデレデレしてたんですか
もう!告白されるとか思っ
てたんですか!そうですか
。それで邪魔者扱いですか
!?うわ~ん!!!!
・゚・(ノДヽ)・゚・ 』
男「ホント、すいませんでした……という事なんだけど。」
女「……えっと、いやいや。コレ本当に幽霊のメール?w」
~♪~♪
『申し遅れました。メリーで
す。
男さんの後ろにいるのです
が…
|ω・`) 』
男「僕、女さんのアドレス知らないよね。イタズラじゃないってことは分かったでしょ?」
女「そういえば、まだ教えてなかったもんね……」
男「だからアドレス交換してほしいんだけど。」
ティロリーン
『…結局私をダシにしてアド
レス聞くんですね。
ふ~ん… (#^ω^) 』
男「あ、うん。ゴメン……なさい。」
~♪~♪
『心の送信ボタンです!
v(`ゝω・´) 』
女「なんでメールでメリーさん?w」
男「あぁ、もぅ!そのやり取りはもうやったの!説明すると長くなるんだけど――」
―― ――
女「ふ~ん。なるほど。そういうことなら友君に相談すれば良いのに。」
男「え?なんで友になんか?」
女「だって友君。オカルト研究部でしょ?」
男「え?……えっ!?」
『あれ?男さんは陸上部だっ
て思ってましたけど? 』
女「うちの陸部は緩いから。文化部となら兼部オッケーなの」
男「ていうか友からオカルトなんて聞いたことないけど……?」
女「ホント!?私には陸部でロードワークの時とかイロイロ話してくれたけど?」
男「つーかウチにオカ研なんてもんがあったことも初めて知ったよ!?」
女「まぁ部員一人だけだしね。でもその手の人たちには結構な有名人なんだって。」
男「結構付き合い長いはずなのに全然知らなかった……。」
『そういえばさっきも忙しい
とか言ってましたね。 』
女「……確か理科実験室が部室だっていってたけど。」
男「実験室って勝手に使っていいもんなの?器材とか薬品あるだろうし」
女「友君は化学や物理の先生から信頼厚いから。」
男「えっ?!アイツ理系得意だったの?同類だと思ってたのに……」
女「理系というかオカルトに関わることならなんでも。
一見オカルトに見えても科学的に解明できるものも沢山あるから物理学とか心理学の知識が必要なんだって。」
~♪~♪
『幽霊には不便な世の中にな
りました… (;ω;) 』
女「そのイメージ怖いよw
でも、陸部にいるのもオカルトの為なんだって。なんでも『オカルトは足で稼ぐもんだ』とか、口癖みたいに言ってるよ。」
男「全然聞いたことないや。実は嫌われてんのかな、僕……。」
女「そんなことないと思うよ。私といるときは男くんの話ばっかり。『あいつホントは奇跡的にすごいやつだ!』とか。」
男「なにその謎の信頼?むしろ怖いわ。」
ティロリーン
『男同士の友情ってやつです
ねぇ。
素敵です! (p*゚w゚*q) 』
女「今日も何かやってたみたいだよね?」
男「うん。忙しいっていってたけどあいつだし、良いでしょ。理科実験室だっけ?行こう。」
ティロリーン
『お二人とも、ありがとうご
ざいます。 』
女「……?」
男「あ、『ありがとう』って。」
女「私はなんにもしてないけどね。」
『私に気づいてくれただけで
も嬉しいです。 』
男「……?」
女「『気づいただけでも嬉しい』って。」
男「あぁ……。」
二人「……」
ティロリーン
『どうしたんですか? 』
男「……女さん。たぶん同じ事思ってるよね……?」
女「うん。メリーさんには悪いけど――」
二人「この伝言システムめんどくさいっ!!!」
男「うお!理解はえぇな!」
友「霊現象ってのは結構一般的なんだよw人がいる数だけ霊に変わる可能性があるんだしwww」
男「少なくとも俺は身近に起こるなんて思いもしなかったよ。」
友「今まで気づかなかっただけでお前の周りにはたくさんのオカルトがあふれてるんだよwww
大体、男があんなに頻繁にメールするなんておかしいと思ってたんだwwwwwww 」
女「あからさまにニヤニヤしてたしねw」
男「そ、そんなことないって……!」
スチャ
男「お。お前メガネなんてしてたんだ?」
友「オカルト関係のときだけですよ。伊達ではあるんですがね。
迷信には迷信を。源かつぎのようなものです。」
ティロリーン
男「 」
女「キャラが変わってるっ!!」
『 』
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『これでいいですか? 』
男「お!」
女「これ、もしかして?」
友「えぇ。メールリストを作りました。メリーさん、これからみんなに連絡するときは利用してください。」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『よろしくお願いします! 』
やはりメリーさんは未練があるため霊化能力を得たというのが有力だと思います。
未練を解消することにより成仏できると考えるのが妥当でしょう。」
男「でも、メリーさんはよく覚えてないって。」
友「死後のショックなどで記憶があいまいになるという事例も過去にありますので特別なことではないでしょう。
何かに取りついて霊化したのではなく浮遊霊となったことからもほぼ間違いないと思います。」
you got mail!
『では私の未練はどうすれば
思い出せるのでしょうか? 』
友「思い出すためには情報を集めるしかありませんね。
まぁ、心当たりがなくはないのですが……。」
友「いえ、慎重にならざるおえないのですよ。
メリーさんにとっては自分の死因に触れることになるのです。精神的衝撃により暴走した場合には悪霊化する……
なんてこともあるかも知れません。」
you got mail!
『大丈夫です!
覚悟はできてます! 』
友「強い人ですね……。分かりました。では。
……最近このあたりである事件が起こっているのは知っていますか?」
女「もしかして、連続通り魔事件?女子高生ばっかり襲われてるっていう?」
友「えぇ。さすが女さんです。私が今日ちょうど調べていた事件ではあるんですが……。」
男「それは僕も調べたよ。でも、事件が起こったときメリーさんはもう霊になってたんだ。無関係だよ。」
友「それはどうでしょうか?」
男「いや、遅刻しそうだったから見れなかったんだけど。」
女「また昨日被害が出たってやつでしょ、今回は軽傷で済んだみたいだけど。」
友「そうです。この事件はおかしいのです。普通じゃない。」
男「そりゃ通り魔なんて普通じゃないだろ。」
友「『普通の通り魔』ではないんです。通常の連続通り魔というのは被害がだんだん大きくなっていくものなんです。
最初はスリルを求めて犯行に及ぶ、そしてだんだん強い刺激を求めるようになっていく。
まずは犬猫を襲う。次は人間を傷つける。そして殺人。というように……。」
男「ところが、今回はどんどん被害が軽くなってる……のか。」
友「えぇ。ですから、もしかして通り魔として発覚する前にもっと大きな犯罪をしていたのかもしれないと。」
男「考えすぎ……じゃないのか?」
友「そうであってほしいです。が、その可能性もありえるのではという話です。」
男「……つかなんで犯罪についてそんな詳しいんだよ。」
友「一見するとただの事件と思えるものも、意外なところでオカルトにつながることがあるのですよ。
今回も私はこの事件に、別の解釈を疑っています。」
男「別の解釈?」
友「……霊による介入がある。と。」
男「っ!……まさか。」
友「まぁこれこそ考えすぎかもしれませんが、犯人そのものが霊だという可能性もなきにしもあらず。」
『でも幽霊には一つしか
能力はないはずです。』
女「この通り魔は被害者が目撃もしてるし、やっぱり霊じゃないんじゃない?」
友「その能力について少し引っかかるものがあるのですが……。
でも、強い恨みを持ったものは悪霊となって強力な能力を持つということも言われていますし、ゼロではないかと。
……もちろん我々で犯人を突き止めようなんていうのは無理な話です。
ですが、事件が発覚した隣町を調べることでメリーさんの手がかりはつかめるかも知れません。」
男「隣町……か。」
友「私は明日から土日をつかって隣町を調べるつもりでしたがどうでしょう?一緒に行きませんか?」
ティロリーン
『…はい。平気です。
今は、まだ…。
でも、少しでも自分のこと
が分かるなら……
がんばります!
私は真実を知りたい。 』
男「……よし。行こう!」
ティロリーン
『…はい! 』
友「どのみち人手は必要ですし。私もそれまでに最低限の手回しはしておきます。」
男「よし、じゃあ明日また集合ってことで。」
女「がんばろー!!」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『ありがとうございます。
(`・д・´) 』
友「さてと。そろそろ昼休みも終わりますし、詳細は追って連絡しますので。
今回はお開きにしましょう。お疲れ様でした――。」
スチャ
友「――つーか昼メシ食い忘れたwwwめっちゃw腹w減wっwてwいwるwwwwww」
ティロリーン
男「 」
女「何その変身システムっ!?」
『 』
友「男さん!こっちです、通り過ぎないでください!」
男「うぉ!今日はもう眼鏡モードだったのか!?」
you got mail!
『そのモードだと雰囲気違い
すぎて分かりませんね
(;´∀`) 』
友「土日は基本的にこうなんですがねぇ……。」
チリンチリン
女「みんなお待たせ~」
男「あれ?女さん自転車で来たんだ?」
女「だってこの町のいろんなとこ調べるんでしょ?メリーさんはともかく歩きで調べるつもり!?」
友「オカルトは足で稼ぐものですから。」
男「ホントにその『足』って意味だったのっ!」
でも、女さんも陸上部だし実は『足』でも大丈夫だったんじゃない?w」
女「う~ん。でも、私やってるの高飛びだから。」
男「あ、そか種目があるんだっけ。」
you got mail!
『ちなみに友さんの種目は?』
友「もちろん私は長距離です。走り回る必要がありますから。」
女「しかも全国レベルの実力保持者。でもほとんど大会に出ないんだよねぇ……」
友「大会は休日開催ですからねぇ。優先はオカルト研究ですよ。」
ティロリーン
『せっかくの才能なのに… 』
友「ん?メリーさん何か言いました?」
you got mail!
『なんでもありませ~ん
(。-ε-。) 』
友「そのためにもう一人と待ち合わせしてるんですが。そろそろ……。」
婦人警官「ちょっと君たち!今日学校は!?」
男「っ!!い、いや。今日は土曜日でウチの学校は休みなんです!」
友「……なにベタなネタやってるんですか姉さん。」
男「そうそう、まさかこんなベタな婦警さんいるのかと、思わずパニクって……って、姉さん?えっ?姉さんっ!?」
you got mail!
『友さんのお姉さん警察官な
んですか!? Σ(゚Д゚ノ)ノ 』
婦警「ドモー。あねでーすwww」
男「ええぇぇぇええええええええええええええ~~~~~~~~!!!!!!!!!!」
女「私もコレは驚いた……。」
友「あれ、言ってませんでしたっけ?というか両親も警察官ですし代々警察一族ですよ?」
婦警「エリート家族でーすwww」
男「最近どんどん友の知らないとこが飛び出てくるな……。姉さんと歳がはなれてるとは聞いてたけど。」
婦警「離・れ・て・ま・せ・んっ!!そんなには。……ていうかアンタ言ってなかったの?コイツってば将来も警察確定コースなのよwww」
友「勝手に決めないでください。ヤですよ警察なんて。オカルトの存在を認めてくれないような仕事は……。」
婦警「そんなこと言って、こないだも迷宮入り寸前で『犯人は幽霊かも』なんていう事件がアンタの意見で解決したじゃないwww」
友「それは偽オカルトを許せなかっただけです!ただのトリックをオカルトのせいにしたから論破しただけです!」
ティロリーン
『せっかくの才能なのにっ!』
友「誰か何か言いました?」
you got mail!
『なんでもないですってば~
(。-ε-。) 』
婦警「はいはい。……でも~。いくら刑事課でも~、私担当じゃないし~。
だいたい部外者に話せる事ないし~。ニュースでも言ってることくらいしか教えられないし~。」
友「それでいいです、早く。」
婦警「もぅ。怒んないでよ。はいコレ。
この地図に現場の詳しい場所と簡単な状況だけ書いといたから。コレくらいができる限界。」
友「分かりました。ありがとう。」
婦警「でも、気をつけなさいね。……父さんも心配してたよ。『友の意見は参考になるけど本職になってからにして欲しい』ってwww」
友「……まぁ、考えておきます。」
婦警「うん。ま、私的にはやりたい様にやんなさい!って感じだしwwwケガだけすんなwwwじゃ、仕事もどるwwwwww」
――
ティロリーン
『強烈な人でしたね…
(´・ω・`) 』
男「うん。なんか、『友の完成系』を見た気がする……。」
男「この地図の印んとこで事件が起きたのか……。」
友「はい。ですからこの現場に直接行ってみましょう。メリーさんが何か思い出すかも知れません。」
男「メリーさん……いいね?」
ティロリーン
『はい。行きましょう! 』
女「……でも、けっこう距離あるね。やっぱ自転車で来て正解だったw」
男「うわぁ、時間もそんなないし走ることになりそうだな……しまった。」
友「そんなことないと思いますよ……。」
男「ん、どゆこと?」
友「まぁ行ってみれば分かります。」
この……隣、町……って……。坂……おおい……のね……。はぁはぁ。」
――
友「さぁて、ここが第一現場ですね。」
男「最初の事件……亡くなったんだよね。その、女子高生が。」
友「えぇ、姉さんのメモにもかなり出血があったと書いてありますね。さすがにもう綺麗に掃除されてますけど。」
男「なんか信じられないな、こんな普通の場所で殺人があったなんて……。」
友「普段は気にしないだけで日常のすぐ近くで事件はおこってるんですよ。悲しいことですが。この世で死んだ人の全くいない土地はないでしょう……。」
男「……うん。……メリーさん、大丈夫?」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『平気です。
…お花、そなえませんか?
もし、その子が見ていたら
。
やっぱり…。 』
男「……うん。そうしよう。」
そうだと思って、さっき買ってきたよ。なのにみんなドンドン先のぼって行っちゃうんだもん。」
男「あ、ごめんwでも、さすが女さん。ありがとう。」
女「うん。そういうのは、大事にしたいし……。」
―― ――
友「さて、ところでメリーさん。何かおもいだしたこと、感じたことはありませんか?」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『うーん、何も。
この町並も見たことあるよ
うなないような… 』
男「まぁ、このときはもう幽霊になってたし直接関係はないはずだしね。」
友「それでも何かの刺激にはなるかもしれません。気づいたことがあったらなんでも行ってください。」
you got mail!
『はい (。・Д・。)ゞ 』
男「じゃあ、次いってみようか。」
女「また、坂登るの……。」
友「――収穫なしですか……。」
you got mail!
『ごめんなさい。何にも思い
出せません…
(´・ω・`) 』
友「私の思い過ごしでしょうか……。しかし、やはり現場に来るとおかしい。」
男「なにが?さっきと同じふつうの住宅街って感じだけど。」
友「正確には『さっきより奥まった』住宅街です。……人目につきにくいと言ってもいい。」
男「隠れて犯行しようとしたんじゃないか?」
友「先ほどの現場は大きな往来の真ん中だったのにもかかわらず?
なぜ急に二度目の犯行では隠れようとしたのでしょう。」
男「慎重になったって事……かな?」
友「はい。にもかかわらず二人目の被害者は重症。慎重になったはずなのに被害は軽くなっている。」
男「結局そこが問題か。」
友「……次の現場にも言ってみましょうか。」
友「女さん、大丈夫ですか?ちょっと休みましょうか?」
女「だ、大丈夫。
だけど、ちょっと、さっきそこにあった公園に自転車止めてくる。どうせ帰りにまたこっちくるでしょ?」
男「そうだけど、代わりにとめてこようか?」
女「それ、もっと早く言って欲しかった……。よし!平気、行ってくる――」
友「……しかしここまでメリーさんについて何も得られなかったのは誤算でした。」
you got mail!
『見覚えのないものばかりな
んですよねぇ (´・ε・`) 』
男「だから、起こった事件は調べたって言ったじゃん。ね。」
男「僕もこの辺きたことなかったし、そもそも出会ったのもウチの近くだったんだよ?」
友「メリーさん、その前は『風に流されているような』感覚だったんですよね?」
you got mail!
『はい、意識がないままフワ
フワと… 』
友「幽霊とは感覚の塊ですから、『そう感じた』というのはほぼ確実に真理なんです。
つまりメリーさんは本当に風に流された。」
男「ウチの風上は高台になってるこの辺ってことか。」
友「そういうことです。」
男「お前そんないろいろ考えてたんだ……」
友「物事の真実は多角的に見ないと分からないものですから。通り魔=幽霊説も誰より私自身が否定的ですよ。」
男「その割にはオカルト全般は信じてるんだなw」
徹底的に否定しきった結果が常識とはかけ離れていても、それはもっとも真実に近い。そう思っているのです。」
you got mail!
『その言葉、どこかで聞いた
ような…? (。・Д・。) 』
友「おや、そういえばメリーさんは読書がお好きなんでしたっけ。少しアレンジしていますが元は――」
男「友っ!あぶねぇ!!!」
友「おっと。」
キィーーーーーーーーブロロロロ…
男「友、大丈夫か!?何だあの車!狭い道であぶねぇな。」
友「ありがとうございます、男さん。……何でしょう。あの運転手――」
女「きゃあ!っ!!――。」
男「!!今の声、女さん!?向こうかっ!!」
~♪~♪
男「!今の着信音は……これだ!女さんのケータイ――。」
『落としたみたいです! 』
男「このケータイの近くにある赤いのって……。」
友「血痕……まさかさっきの車!でも、どうして車で――いや、それより今は!!」
男「な、んで……。」
友「考えてる暇はありません!男さん地図をどうぞ!捜してくださいっ!
私は姉さんに連絡します!今ならまだ『隣駅』近くにいるはずです、後で合流しますから!」
男「わ、わかった!」
友「メリーさん!あなたが頼りです!では、急いでください!――」
男「おうっ!」
ティロリーン
『友さんの言った私が頼りっ
てどういうことでしょう?
ケータイは落としててココ
にあるわけですし 』
男「わかんないよ!とにかく捜さないと!」
ティロリーン
『でも、闇雲に捜しても! 』
男「どこだ!どこだっ!どこだっ!!」
ティロリーン
『落ち着いてください!
車で移動してるんですよね
!
だったらこの辺にある狭い
路地は通れないはずだから』
男「――車、路地……大きい道の――」
通り魔「なんなんだ!なんなんだよぉおおおおおおお!!!」
女「んんーーー!!んんんんーーーーーーーーっ!!」
通り魔「うるせえっ!!黙れ!!どいつもこいつも!!うるせえ!うるせえ!うるせえぇええええ!!」
女「っ!……。」
通り魔「よ、よし!ここなら……おいっ!降りろ!来い!!暴れるな!!!いいな!!!」
女「……。(コクリ)」
通り魔「この中に入れ!!!」
女「んんっ!……んっ。」
通り魔「いいな!来るな!!来るなよっ!!!お前もおとなしくしろ!いいな!!!」
女「……。」
通り魔「来るな、来るな!!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって!!!!くそお!!!!」
女「……。(この人、何を言って?)」
通り魔「……やっと!やっと静かになったか!……これで――」
女「っ!……んん!んんん!!!」
通り魔「――これでゆっくり女の腹が開ける!!!!!!」
女「んんんーーーーーーーー!!!!!!!」
男「車で通れるような道なんていくらでもあるし……。」
ティロリーン
『男さん、地図を!
連れ去ったってことはどこ
かで必ず降りるはずです。
隠れられるような場所に 』
男「あぁ!どうしてっ!落ち着け!落ち着け。――通り沿いで……隠れられる
――そうだメリーさん!このあたりに聖域はっ!?」
…… ……
男「メリーさん?……メリーさんっ!?」
女「んーーーーーーーー!!!ぷはっ!!いや、いやぁあああああああ!!!」
通り魔「やっぱり、悲鳴ってのは良いよなぁ。やっときけたよ……。」
女「たすけ……。男、く……ん。」
通り魔「大丈夫。やつらが来る前に終わらせ――っ!!!!……なんで、お前ら!!!どうして!!!!!!!!」
女「!!……っ?……な、なに?」
通り魔「どうやってここに入ったんだっ!!!!」
女「誰?……のこと?」
通り魔「やめろぉおお!!いやだっ!いやだぁあああ!
く、……『来るなぁあ嗚呼ぁああああああ゙あ゙ぁあああああああああ』」
男「メリーさん!メリーさんどうしたの!?返事して!!」
……ティロリーン
男「メリーさんっ!」
『私メリー
男さん、いま駅の反対側に
います!
巨大な聖域ができて、ここ
まで押し出されました!
今私がいる所と男さんの場
所の延長線に誰かが隠れて
ます!! 』
男「――地図で駅とココの延長線上にあるのは……廃校か!?」
なぜだ、入ってこれないんじゃないのか!!!なんなんだ!!!!!」
女「……!」
男「――女さんっ!!!」
女「男君!!」
通り魔「うわぁあああ!!!!!うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」
男「あいつ、何やってるんだ!?」
女「わからない。何か来たとか。突然、暴れだして……。」
男「とにかく逃げよう!今、手足をほどくから――」
女「男君!後ろっ!!!」
通り魔「邪魔すんなぁあ嗚呼ああ!!!!!」
男「っ!!――!」
女「いやぁあああ男君!!男君っ!!!!!!」
通り魔「くそぉおおおおお!!!!!くそぉおおおおお゙お゙お゙お゙!」
男「だ、だいじょう……ぶ。」
女「だって!お腹……血が。な、ナイフで……!!!」
女「え……何?」
男「あの、おんな……の子。あぶな、い……。」
女「男君!?どうしたの!?」
???「……あなた、私が見えるの?」
男「君、は……?」
???「そう、あなたコッチに近いのね……。」
女「しっかりして!男君!いや、男君っ!!!」
???「でも、私は見えないはずなのに。
私の能力は『この殺人狂に、わたし以外の霊を見せる』こと。ふふっ……この世で死人の出てない土地なんてないものね。」
男「……何、を……言って?」
???「 オ マ エ ガ シ ヌ マ デ ユ ル サ ナ イ 」
通り魔「うあわぁああ―――――――――――――――――――――――」
女「男くん!!!だめっ!!」
友「――女さん!!男ぉ!!!!」
婦警「お前!!動くな!!!」
通り魔「あ、ああああ、ぁあっあっ、あっ……ぁ――。」
女「友君!男君がっ!男君が!!!」
男「……あ、れ?……友?……へへっ、めが……ね、はずし……――」
友「男!おいっ!男ぉお!!!!」
女「いやぁああああああああああああぁあああああああああああ」
ティロリーン
</font>
男「――あ、れ?ここは……?」
女「……男君?目がさめたの!?……ここは病院だよ。」
男「病院……。俺、確か……通り魔に刺されて?」
女「うん。そのまま気を失って近くの病院に運ばれたの。今は日曜日の朝。……かすり傷。だって。」
男「そっか、かすり傷……え?かすり傷っ!?」
女「うんwせいぜい絆創膏で良いくらい。先生が何で気絶したのかわかんないレベルだってw」
男「あれれ?だって、血とかいっぱい。」
女「血は犯人の。そもそも私が車に押し込まれたときからあの人怪我してたんだよね。
その後暴れだした時にも出血したみたい。」
男「それに、変な女の子とか見えて……そうだ!メリーさんは!?」
女「たぶん、ここにいる。ハイこれ。」
男「俺のケータイ……。」
女「いちお、病院内だから電源は切ってあるよ。屋上でなら電源入れていいって。あとで確認してあげてね。」
女「今は警察で事情聴取受けてる。友君だからメリーさんのことはうまくごまかしてくれると思う。
犯人は錯乱してるみたいだから刑事責任がどうとかって言ってたけど。」
男「そっか。……まぁ、あの様子なら。どうなっても一緒だな……。」
女「?……あ!そうそう。退院は今日にでもできるけど。お母さんが心配してたから連絡してあげてね。」
男「あぁ、そうだね――とかいう話をすると……ほら。」
女「ん?」
母「あら、男気づいたのね!それに女ちゃん、今日も来てくれたの!?
アンタ感謝しなさいね、女ちゃん昨日も付きっ切りで心配してくれたんだから。かすり傷なのに。」
女「い、いえ。私のせいで怪我させちゃったことには変わりないですし……。」
男「そっか!ありがとう女さん。」
女「べ、別に私は……。もう、帰るし……。」
男「ありがとう。」
女「……うん。じゃ、……またね。」
男「わかった。……でもその前にちょっと外の空気吸ってくる。屋上行ってから出るよ。」
母「じゃあ母さんはそのまま帰っちゃうから。……そうそう、男。」
男「ん?なに?」
母「もしこの先、一人で抱えきれないようなことが起きたら何でも言ってね。母さん、これでも結構頼りになるんだから!」
男「もう変なことには首突っ込まないよ。まぁ、わかった。心配させてごめんね。」
母「はいは~い。じゃ、おうちで待ってるわ。」
男「うん。」
(ポチポチ)
『着信メール 1289件』
男「怖えぇっ!」
ティロリーン
『ごめんなさい… (*ノД`)
心配で、つい。 』
男「それにしても多くない?w」
ティロリーン
『だ、だって私にとってはも
うメールするのが当たり前
の表現手段で。
ふつうに話しかける感覚で
送るようになっちゃったん
だもん…
ていうかそもそも気を失う
ようなことにならなきゃこ
んなに話しかけてあげませ
んもん! (( ̄ ^  ̄ ) 』
男「ごめんw心配かけたね。」
『まったくです!
何でかすり傷で気絶しちゃ
うんですか (*´・з・`) 』
男「面目ない……。でもさ、気を失う直前にいた女の子ってもしかして?」
ティロリーン
『何のことです?
私は友さんに連絡をしてそ
のまま一緒に廃校に行った
ので、そのときのこと知ら
ないんです。 』
男「その時も何も気づかなかった?」
ティロリーン
『はい。さっぱり。
でも、その…。
思い出したことなら…
』
ティロリーン
『はい。
私…
私、この場所を知ってます
。 』
男「ここ!?確か『隣町病院』だよね!!」
ティロリーン
『はい。今見えている景色も
見たことがあります。 』
男「そっか!やっぱ友の言ってた事はあってたんだ。メリーさんは隣町に住んでたんだよ!」
ティロリーン
『この風景
とてもよく知ってるんです
… 』
……でも、なんで昨日町を歩いたときは何も思い出さなかったんだろう?」
ティロリーン
『そうだ!
じゃあ今日はもっと普通に
町を歩いてみましょうよ!
ほら、きっと!
きっと事件の捜査してたか
ら見え方が変わって… 』
男「……そうだね!今日は天気もいいし、このままどっか、普通に遊びに行くようなところに行ってみようよ!」
ティロリーン
『…うん。
ありがとう。 』
ティロリーン
『そうです…ね。
この辺にあるのは、確か…
繁華街、とか?
なんか、人が集まりそうな
…? 』
男「よし!決定!なんか楽しくなってきたw」
ティロリーン
『私も。…です。 』
ティロリーン
『な、なんか想像以上に賑や
かですね…。
こんな感じなんだ… 』
男「……メリーさんも始めて?」
ティロリーン
『い、いえ!
あ、ほらあれ!
m9(*゚д゚*)
こういうトコきたら定番じ
ゃないですか? 』
男「いや指差されてもwどれのこと?」
ティロリーン
『クレープ~!
美味しそう (*゚¬゚*) 』
男「お、いいじゃん!?メリーさんはここでちょっと待ってて。」
ティロリーン
『え!?あ、いや。待ってま
すけど… 』
ティロリーン
『いーえ。
て、ふたつも食べるんです
か? (;´д`) 』
男「いや、一個はメリーさんの。」
ティロリーン
『え!私…
だって…その。 』
男「だって、今日は『普通に』町歩くんでしょ?こういうのも大事じゃない?」
ティロリーン
『…そうですね。
うん!ありがとう
(*ノωノ) 』
男「最後には両方とも僕が食べることになりそうだけどね。それはまぁ、お供えも最後は食べるってことで……なんてw」
ティロリーン
『おいコラ。 (#^ω^)
…いいですけどぉ。 』
男「ごめんゴメンwwwじゃ、いただきます――。」
ティロリーン
『はーい!次
あそろ行きたいです!ゲー
ムセンター! 』
男「また、定番だねw」
ティロリーン
『いいじゃないですか~
私行ったことないんですも
ん。 』
男「僕、UFOキャッチャー得意だよ~。」
ティロリーン
『え、じゃあ腕前見せてくだ
さいよ~! (。>д<。) 』
男「まかせてw」
男「!!とと、さすが日曜。なかに中に入るとうるさいなw」
ティロリーン
『え?何か言いました? 』
男(う~ん。さすがに大声出すのは気が引けるし……そだ。)
(ポチポチ)『中はうるさいね。』
ティロリーン
『あぁ。ですね!
やっぱり、こういう時メー
ルって便利 (*゚∀゚) 』
(ポチポチ)『だねw』
ティロリーン
『あ、これブサかわいいです
(*゚д゚*)
「どぜうさん」?のぬいぐ
るみ。これがいい! 』
(ポチポチ)『あ、なつかしい。けっこう古いゲームのキャラだよ。
…箱入りか。うん。この位置なら!w』
男「……。」
――
男「ん?」
――
男「あれ?」
――
ティロリーン
『ダメジャン (〃゚艸゚) 』
(ポチポチ)『今日は調子悪いだけなんだ…。ホントに…。』
ティロリーン
『そんなときもありますよ。
入院してたんですし。 』
(ポチポチ)「かすり傷でね…w」
ティロリーン
『そうでしたっけ?
(ノω`*) 』
(ポチポチ)『なんか、もうチョイ簡単なのならできるはずだから。』
ティロリーン
『大丈夫ですって。
(ll-д-)
帰り道のお金もあるでしょ
? 』
(ポチポチ)『あと一回分なら何とかなる!ラストチャンスください!w』
『じゃあ…
このストラップはどうです
か? 』
(ポチポチ)『ミッチーラットのやつ?うん、これなら。…一発勝負!』
――
男「お!」
ティロリーン
『とれた!
すご~い!ホントに一回で
!
o(≧∇≦)o 』
(ポチポチ)『よかったぁ。腕前わかっていただけました?』
ティロリーン
『ちょっと格好良かったです
。 (。>∀<。) 』
ティロリーン
『うん。ありがとう!
では。
男さんにプレゼントです。』
(ポチポチ)『え、いいの?』
ティロリーン
『もともと私じゃつけられま
せんし。
それに、男さんのケータイ
って何もついてないじゃな
いですか、これだったら似
合うかと思って。 』
(ポチポチ)『もしかしてそのためにメイリーラットじゃなくてミッチーにしてくれた?』
ティロリーン
『ダメもとでしたけど
(>艸<) 』
(ポチポチ)『あれ~wじゃあ、つけておくね!』
財布はすっからかんだからお金かからないトコじゃないとダメだけどw」
ティロリーン
『う~ん。あとなにがあるの
かなぁ? 』
ゴーンゴーンゴーン・・・
男「ん、鐘の音?」
ティロリーン
『そういえば、この辺は教会
があるとか。
日曜はミサとかやってるら
しいですよ! 』
男「教会なんていったことないよ!行ってみよう!」
ティロリーン
『たぶん? 』
ガヤガヤ
男「っと。いっぱい人出てきたけど……ミサってのは終わっちゃったみたい。」
ティロリーン
『でも、一日開放って書いて
ありますね。 』
男「じゃ、入っちゃえw」
ティロリーン リーン リーン
『ステンドグラス、綺麗です
ね…。 』
男「わ、音響くwいちおうマナーにしとこう。」
ブブブ ブブブ
『はーい (* ̄∀ ̄)
でも、…私みたいなのが教
会なんて来てよかったんで
しょうか? 』
男「幽霊お断りとは書いてないよwそれに事情を知ったら神様だって許してくれるよ。」
ブブブ ブブブ
『神様、ですか。 』
男「うん。こういうところに来るとなんか身が引き締まるね……。」
男「……。」
ブブブ ブブブ
『……。
私、男さんに謝らないと。
こういう場所だから『懺悔
』っていうか…。 』
男「……どうしたの?」
ブブブ ブブブ
『私、男さんに嘘をついてい
る事があるんです…。 』
男「……そんなの気にしないけど?」
ブブブ ブブブ
『でも。
私のことで大切なことだか
ら…。
私…
私、すべてを思い出しまし
た。 』
ブブブ ブブブ
『本当は、病院で…全部。
全部思い出してたんです。』
男「……そっか。」
ブブブ ブブブ
『…ごめんなさい。 』
男「……やっぱりw」
ブブブ ブブブ
『え!?
…気づいてたんですか? 』
男「だって、メリーさん嘘つくの下手だもんw今日ずっと様子がおかしかったしね。」
『わかってて付き合ってくれ
たんですか…? 』
男「うん。だって、何かわけがあったんでしょ?……教えて。メリーさんの事。」
ブブブ ブブブ
『…はい。
私…
生きていたとき…
あの病院の中しか知らなか
ったんです。
あの病院で生まれ、あの病
院で育って。
そして、…あの病院で死に
ました。 』
『先天性の病気だったんで…
ずっと身体が弱くて。
生まれてから一度も退院し
たことがなかったんです。
だから、町のことが知りたく
て… 』
男「そっか。でも、それならそうって言ってくれたらよかったのに。」
ブブブ ブブブ
『でも、…これはワガママかな
って。 』
男「前に言ったよね?僕にできることなら協力するって。
メリーさんが成仏しちゃったら……悲しいけど。でも、メリーさんはこのままでいいなんて思ってないんでしょ?」
ブブブ ブブブ
『それは…。 』
男「メリーさん言ったじゃん。真実を知りたいって。そのためならがんばるって。……なら僕はそれを応援する。」
ブブブ ブブブ
『本当、…に? 』
男「もちろん。メリーさんとじゃなきゃできない体験たくさんできたしね。……メリーさんと会えてよかった。」
ブブブ ブブブ
『私も…。
最後にもうひとつ、
…ワガママを言ってもいい
ですか? 』
男「何でもきくよ!……お金のかからないことならw」
ブブブ ブブブ
『大丈夫。
最後に行きたいたい所があ
るんです。 』
ブブブ ブブブ
『あそこって坂をけっこう登
ったトコにありますよね。
あの公園、私が入院してた
病院の屋上から見えるんで
す。
あそこからなら、私がずっ
といた病院も、私がずっと
知りたかったこの町も、全
部見えると思うから…。 』
男「わかった。……でも今からあそこに行くと、けっこう時間かかっちゃうけど……間に合う、よね?」
ブブブ ブブブ
『それは、大丈夫です。
まだ…。
それはわかってます…。 』
男「そっか。でも、……急ごう――。」
――――
けど!……メリーさん!間に合ったよね!?」
ティロリーン
『私メリーさん。
ちゃんと、あなたの後ろに
いるよ。 』
男「……この公園、こんな高台にあったんだね。」
ティロリーン
『町明かりが綺麗ですね。 』
男「うん。キラキラしてる……。」
ティロリーン
『私の病院も、明かりがつい
てる。 』
男「うん。……見える。」
ティロリーン
『これで、私の見たいもの、
…全部。
見れちゃいましたね。 』
ティロリーン
『今日、楽しかったですね。』
男「……うん。」
ティロリーン
『クレープ食べて。ゲームセ
ンター行って。 』
男「……うん。」
ティロリーン
『教会なんて行っちゃって。
今なんか、星空と夜景が見
える公園にいますよ? 』
男「……。」
ティロリーン
『そろそろ…かな。
ちゃんと、言わなきゃ。
ね。 』
男「……。」
不安で不安でどうしようも
なくて
分からないないことがたく
さんあって
でも、やらなきゃいけない
こともたくさんあって
何とかしようとしても
人を傷つけちゃって
あきらめようとしたけど
最後の望みで思い付きを試
してみて。
はじめに何て送ったら良い
かわかんなくって
変にお堅い文章になっちゃ
って
男さんと出会って。 』
いてなくて
友さんは笑ってばっかで
女さんは優しくって
お母さんは変に鋭くって
妹さんは…
ちょっと変わってて?
でも、二人とも美人で
あったかい家族で
そだ、男さんは鍵付き引き
出しにエッチな本を隠して
るんですよね
妹さんに見つからないよう
にしてあげてね? 』
そうになったり
女さんに見つかって
結局私を使って女さんのメ
アド聞き出しましたよね?
実は友さんは凄くって
なんで眼鏡で変身するんで
すかね? 』
『そして
通り魔事件を調べて 』
れてましたね
もったいないなぁ
そして女さんが、大変なこ
とになって
あ、でも怪我はしてなかっ
たんですよね
代わりに男さんが怪我しま
したけど
女さんずっと手を握って心
配してたんですよ
ただのかすり傷なのにねぇ
ホント
いろいろありましたね。 』
すよ
明日からが普通になるんで
すよ
明日から朝のメールはなく
なります
妹さんが起こしてくれるん
でしょ?
だから
眠ると全部夢だと思うかも
しれませんね
きっと、そうです。
』
ティロリーン
『何か行ってくださいよ。 』
男「……。」
ティロリーン
『…ねぇ。 』
男「……。」
ティロリーン
『じゃあ、最後にとっておき
のこと教えてあげます。 』
男「……。」
ティロリーン
『私の未練。
この町を見ることじゃない
よ (。-ε-。) 』
男「……え?」
『男さん、勘違いしてたでし
ょ?
面白いから黙ってました。
(。>∀<。) 』
男「え?……じゃあ!――」
ティロリーン
『私の未練は「恋がしたい」
ってこと。
私の分も恋してくださいね
。
出会ったのが、貴方でよか
ったです。
ありがとう。
男さん、大好きですよ。
』
男「ふぁああ~。あぁ~よく寝た……。」
コンコン。
妹「お兄ちゃん?起きてるの?」
男「うん。今起きた……。」
ガチャ
妹「おはよう。――女さんがいちおう病み上がりだからって心配して迎えにきてくれてるよ。」
男「ん~。わかった。でもお前今日は起こしに来てくれたんだ?ここんとこなかったのに。」
妹「なんのこと?……変な夢でも見てたんじゃない?」
男「まぁ、いいや。じゃあすぐ支度する。」
妹「うん。」
ガチャリ。
男「――なんか、すごく長い夢でも見てた気がするな……。」
…… ……
全部夢……。
夢。……なんて、思えるはずないじゃないかっ!!
ずっと一緒にいたのに!
ずっと話してたのに!
……忘れられるわけないだろ!!!」
…… ……
何か言ってよ!何か答えてよ!……メリーさんっ――!!!
…… ……
……。そういえば、別れの言葉も言ってなかったっけ……。」
(ポチポチ)
『メリーさん、ありがとう。』
ケータイ、買い換えるかな……。
……もう、……いい、よね。
…………さようなら。メリーさん。」
ガチャリ
……バタン
ティロリーン……。
fin.
えらい読みづらいもんを読んでくれてありがとうございました。
Entry ⇒ 2012.03.15 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
犯人「お宅の娘を預かった」母『ええ?何ゆえ?』
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330953018/
母『え?え?あの、娘は……』
犯人「心配するな」
母『いえいえ。まだ、10歳ですよ?』
犯人「そうだな」
母『そんな……まだ、早いと思いますけど』
犯人「何の話だ?」
母『あと五年は待っていただけないでしょうか?』
犯人「バカか。今すぐ必要なんだ」
母『まぁ、そういう性癖なんですか?』
犯人「あ?」
母『え?』
母『あの、娘をどこで?』
犯人「小学校の前だ」
母『あら、ランドセルが好みなんです?』
犯人「好み?いや。別にランドセルに興味はない」
母『じゃあ……どこに惹かれて?』
犯人「金だ」
母『うちのこ、財布にはいつも500円しか入ってないはずですけど』
犯人「ちょっとまて」
母『はい』
犯人「おい」
少女「ん?」
犯人「お前の母親、バカなのか?」
少女「しらん」
犯人「……」
犯人「もう何もいうな。俺の言うことだけを黙ってきけ」
犯人「ん?おい!!聞こえているのか?おい!!」
母『―――すいません。うちのジョンが餌がほしいって、おほほほ』
犯人「お前、状況が呑めてないようだな」
母『と、いいますと?』
犯人「いいか?俺はお前の娘を預かったんだ。それはわかるな?」
母『ええ』
犯人「よし。事の重大さも分かるな?」
母『ごめんなさい。数学は苦手で……』
犯人「もういい。三時間後にもう一度連絡する。5000万用意しろ」
母『えっと……ジンバブエドルで?』
犯人「円だ」
母『わかりました』
犯人「頼むぞ」
少女「……おい」
犯人「あ?」
少女「この私の両腕の自由を奪っている楔をとってくれ」
犯人「お前、変な本でも読んでるだろ?」
少女「はやくしろ」
犯人「解くわけないだろ」
少女「そうか。ならばおしっこを盛大に放射するがよろしいか?」
犯人「やめろ。……ほら、たて」グッ
少女「むぅ……この楔さえ解ければ、すぐに厠へいけるというに」
犯人「……」
少女「くぅぅ。これが我が暗黒パワーを封じ込めている鎖かぁ!!」
犯人(頭いてぇ……)
犯人「おい。立場が分かってないのか」
少女「分かっている。お前は私を殺すことはできない」
犯人「……」
少女「ふふーん」
犯人「てめ……」ペシーン
少女「いたっ!?」
犯人「調子にのるなよ……糞ガキ……」
少女「な……」
犯人「てめえの小便ぐらいてめえで流せ」
少女「……」
犯人「ふんっ」
少女「脚払い!!」ザンッ
犯人「おわっ?!―――っとと!!おまえ?!」
少女「私は誘拐された身だぞ!!手厚くもてなして!!」
少女「それに私の触手は封印されている。これでは水を流すことも叶わない」
犯人「……」ゴソゴソ
少女「まぁ、1割の力でも地球を割ることなんて簡単に―――」
犯人「……黙ってろ」ペタッ
少女「むー!!!むー!!!!」ジタバタ
犯人「……誘拐する家庭をもう少し調査するべきだったな」
少女「むー!!!むー!!!」
犯人「だまれ!!」
少女「……」
犯人「それでいい」
少女「……」グゥ~
犯人「……腹がへったのか?」
少女「むぅ」コクコク
犯人「……」
少女「むー!!」ジタバタ
犯人「ちっ……」ベリベリ
少女「ぷはぁ!!」
犯人「黙って食え」
少女「いただきまぁーす!!!!」
犯人「黙って食えっていっただろ!!」
少女「いただきますって大事でしょ!!」
犯人「もういいから、静かにしてろ!!」
少女「はぁい」
犯人「はぁ……はぁ……」
少女「……」モグモグ
犯人「……」
少女「……」モグモグ
犯人(聞き分けはいいようだな……)
犯人「む……。そろそろ電話するか」
少女「ぐぅ……ぐぅ……」
犯人「のんきな奴だな……」トゥルルル
母『もしもし?』
犯人「5000万は用意できたか?」
母『それが、高収入のアルバイト広告を見ていたんですけど、どこも年齢制限があって……』
犯人「なに稼ごうとしてるんだ!!」
母『え?まだ、若い子には負けませんよ』ムフー
犯人「やめろ。体は大事にするんだ」
母『あら。お優しいのね。ところで娘は?』
犯人「まだ手を出してない。安心しろ」
母『意外と硬派なんですね。私も安心しました』
犯人「お前、バカだろ?」
母『ば、バカ?!し、しつれいですっ!!流石のわたしも名誉きそんでうったえますよっ!!』プンスカ
母『急に言われてもご用意できません……』
犯人「お前の夫は大企業の重役だろうが。それぐらい調べはついているぞ」
母『あら、旦那をご存知なんですか?いつもお世話になっております』
犯人「なってない!!」
母『じゃあ、誰なんですか?』
犯人「なんでお前が少し怒ってるんだ」
母『だって……お名前も聞いてませんし』
犯人「俺はお前の娘を誘拐したんだぞ?名乗れるわけないだろ?」
母『誘拐?』
犯人「そうだ。俺は誘拐犯だ。身代金の5000万を早く用意しろ』
母『逆探知は成功だ。無駄な抵抗はやめろ』
犯人「なんだと?」
母『うふふ。うそでーす』
犯人「……」イラッ
犯人「よかったな」
母『ちなみに1位は『おまえはもうしんでいる。あべしー!!』です』
犯人「それはセットか」
母『はい』
犯人「あ、いやいや。とにかく5000万だ。早く用意しろ!!」
母『そんなぁ。意外と重いんですよ、5000万ペセタ』
犯人「円だっていってるだろ?!」
母『今、円高で……』
犯人「関係ないだろ!?」
母『えー?』
犯人「えーじゃない!!早く用意しろよ!!」
母『わかりましたよぉ……タンス預金に100万ほどありますね……たしか』トテトテ
犯人「足りないだろ」
母『前金じゃだめなんですか?』
母『私、小説読まないので……』
犯人「小説の世界にもいない」
母『最近読んだのは容疑者ワイ!でした』
犯人「聞いてないし、エックスだろ」
母『あら?そうでした?確かあの本……』
犯人「探すな。おい、またかけ直す。いいな。早急に5000万円を用意しろ」
母『体で?』
犯人「現金だ!!」
母『げんきんなやつねー。なんちゃって―――』
ガチャン!!!
犯人「ふー!!ふー!!!」
少女「……ん?どした?」
犯人「お前の母親、なんだあれ?バカとかのレベルじゃないぞ」
少女「しらんがな」
少女「半分は?」
犯人「……優しさでできてるよ」
少女「バッファロー」
犯人「もういい……疲れた。少し休む……」
少女「逃げるぞ?」
犯人「ふん。逃げられるなら逃げてみろ」
少女「両手が封印されていても……私には……大地を踏みしめられる足があるんだぁー!!!」テテッ
ドガッ
少女「うわぁーこけたぁー」キャッキャッ
犯人「ふぅ……」
少女「おこせー!!」
犯人「ねてろ」
少女「了解でありますっ!!」
犯人(負けるな……諦めるな……金のためだ……金のため……)ウルウル
犯人「ん……?」
少女「もう1時間経過したぞー」
犯人「あぁ……そうか……」
犯人「ありがとよ」
少女「いえいえ」
犯人「……」トゥルルル
母『はぁーい。天下の王将でーす』
犯人「……餃子一日」
母『ひゃく……まんこっ』
犯人「変なところで言葉を切るな。5000万は?」
母『あのぅ。マコトに申し訳ないのですがぁ』
犯人「なんだ?もうなんでもいえ」
母『口座番号を教えてくれませんかぁ?』
犯人「……手元に用意しろよ」
犯人「もういい。口座番号を教えれば……いや!!だめだ!!」
母『なんでですか?』
犯人「足がつく」
母『誰にもいいませんって』
犯人「信用できない」
母『あら。心外ですわっ』
犯人「……ありえないと思うが……警察とかいないだろうな?」
母『え?』
犯人「警察だ。いないだろ?」
警官『いるよー』
犯人「?!」
警官『かわいいお母さんだとおもった?残念でしたー、おまわりさん―――』
ガチャン!!!
犯人「……バカな……くそ!!あいつ……バカのふりをしてたのか……!!?」
犯人「だ、だまれ!!……いや、まだ俺には人質がいる……大丈夫だ」
ピリリリリリ!!!
犯人「な、なんだ!?」
少女「着信アリだぁ」
犯人「……も、もしもし?」
警官『いきなり切るなよ。渾身の一発ギャグを疲労したのに電話切られてるとか、ないわー』
犯人「なんでこの電話番号がわかった?」
警官『ふふ。おわかりいただけただろうか?」
犯人「……」
警官『そうだ。逆探知だ!!ふはーははー!!』
犯人「母親に代われ」
警官『おかあさん、かわってって』
母『はいはい。―――もしもし?なんでしょう?』
犯人「娘の命はないと思え」
犯人「いいか?娘の命はないと思え!!」
ツーツー
犯人「切れてる……」
ピリリリ
犯人「もしもし?」
警官『どうだ?ちょっと寂しかっただろ?』
犯人「わかったから母親に代われ」
警官『ロリコンでマザコンか。すくえんな』
犯人「いいから!!」
警官『おかーさーん』
母『はいはい。―――もしもし?今、刑事さんたちにお夕飯を準備していて忙しいの。またにしてくれる?』
犯人「ふざけんな!!娘がどうなってもいいのか?!」
母『まだ男性との経験はないと思いますので、できるだけ優しくしてあげてください』
犯人「警官にかわれ!!話にならない!!」
犯人「いいか?バカ女の旦那を連れて来い。直接話がしたい」
警官『ファザコンも患ってるのか。お前、キャラ濃いなー』
犯人「違うっ!」
警官『おとーさん。よんでるよー。―――はぁーい。パパだよぉ?』
犯人「あそぶんじゃねえ!!」
警官『なんだよ。場を和ませようとしてるんじゃないか』
犯人「こっちには人質がいるんだぞ!!」
警官『む……無事なんだろうな?』
犯人「さぁな。五体満足で帰られるかはお前らの態度次第だ」
警官『性奴隷にだけはするなよ。捕まるぞ』
犯人「しねーよ!!」
警官『で、娘さんの声を聞かせろ。本当に無事なのか確認したい』
犯人「ふん……おい」
少女「なんだぁ?」
少女「なにかって?」
犯人「なんでもいい」
少女「天光満つる所に我はあり。黄泉の門ひらく所に汝あ―――」
犯人「この通り元気だ」
少女「さいごまでいわせてよー!!」
警官『出でよ!!神の―――』
犯人「5000万だ!!いいな!!」
警官『5000万元?』
犯人「円だよ?!わかれよ!?」
警官『通貨単位を言わないとわからないし』
犯人「なんで拗ねてんだ……」
警官『わかった。5000円な』
犯人「……」
警官『冗談!冗談だって!!もう!!冗談が通じないやつだなぁー』
警官『アイアイサー』
ガチャン
犯人「……」
少女「こがはざん」
犯人「はいはい」
少女「疲れてるな。肩でももんでやろうか?」
犯人「……」
少女「私はにげないっ!!」ドーン
犯人「縛られた状態で偉そうに……」
少女「私の肩もみ・肩たたきはうまいって定評があるんだよ」
犯人「大人は子どもに対して皆そういうんだ」
少女「乙女ショック!!」
犯人「……」
少女「よよよ……私はまた大人の汚さをしり……そして私も穢れた大人になるのね……」
少女「あれ?縄ほどくの?」
犯人「もう疲れた……好きにしろ」
少女「えー?」
犯人「俺には無理だったんだ……誘拐なんて……」
少女「……」トコトコ
犯人「リストラされて……就職先もなくて……もうこうするしか……おもいつかなくて……」
少女「……」
犯人「何ヶ月もシミュレートして……誘拐する子どもも……その家庭環境も念入りに調べたのに……くそぅ……」
少女「……」トントン
犯人「……何の真似だ?」
少女「気持ちいい?」
犯人「好きにしろっていっただろ」
少女「だから肩をたたいてるんでしょ!!バカぁか!!?」トントン
犯人「そ、そうか……」
犯人「……」
少女「かゆいところはありませんかぁー?」モミモミ
犯人「全然違うな、それ」
少女「私は背中がかゆいです。かけ、おらぁ」
犯人「……ここか?」ポリポリ
少女「違うよ。もっと下」
犯人「ここか?」ポリポリ
少女「違う違う。もっと下」
犯人「あー?ここか?」ポリポリ
少女「ふっ。少女の尻をかくとはいい度胸だ。豚箱いきだよぉ!!」
犯人「……」
少女「ふふふ。誘拐犯と前科にかかれるか、それとも女児に悪戯とかかれるか……その運命は私がにぎったぁ!!」
少女「故にお前はもう、私に逆らえない!!―――さぁ、チョコレートを買ってこい。いちごのやつだぞ」
犯人「でてけ」
少女「きゃう!?」
犯人「もういい。面倒みきれん」ガチャ
少女「今、冬ですよ?!さむっ?!」ブルブル
犯人「知らん」
少女「まって!!ぎゃくたーい!!」
犯人「家にかえれ」
少女「どこよここ!?早速迷子だぞ!!」
犯人「そこの道路をまっすぐ南にいけば駅がある!!」
少女「500円でかえれんのぁ?!」
犯人「……」
少女「それは無理な顔だー!!うわーん!!」
犯人「お、おい……大声でなくな……」
「なんだ?なんだ?」
「女の子がないてるぞー?」
犯人「いってねーよ!!」ふざけんな!!」
少女「うわーん!!ソーセージがふっといよぉ!!」
犯人「お前本当に小学生か!?」
ざわざわ……
「ロリコンだ……」
「うわぁ……」
犯人「くっ……!!はいれ!!」
少女「やったぜ」グッ
「……」ジーッ
犯人「えっと。うちの妹で……」
少女「ごめんね。おにーちゃん!」
「なんだ。微笑ましいうらやま兄妹か」
犯人「……」
少女「はやくこたつでみかんたべよっ!」
犯人「はぁ……」
犯人(追い出すこともできないのかよ……)
ピリリリ
犯人「……」
少女「電話だ。もしもーし、人質でーす」
母『もう八時だけど、まだ帰れそうにないの?』
少女「もうちょっとかかり―――」
犯人「勝手にでるな!!!」
少女「あぁん」
犯人「もしもし?」
母『あ、いたいた』
犯人「旦那は?」
母『残業だそうで』
犯人「つれもどせ……たのむ……」
犯人「いるかっ!?」
母『でも、半分っこなら……うふ』
犯人「変な想像するな」
母『あぁ……そんなところに……あぁ……』モジモジ
犯人「5000万円は?」
母『あ、そうそう。ご用意できたんです。それを伝えようと思って』
犯人「真っ先に伝えろ!!」
母『ご、ごめんなさい。娘が出るとは思わなくて、思わず忘却のかなた」
犯人「よし……いいか?今から指示するところにその金を置いて来い」
母『え?』
犯人「なんだ?」
母『でも……こんな大金をどこかに放置したら……餓鬼どもが群がりますよ?』
犯人「お前、娘にどんな本を読んでるんだ?」
母『死神代行するあれです。うふっ』
警官『んー?なんだぁ?今、奥さんの作ってくれた焼きそばに舌鼓をうってたんだけど?」ズルズル
犯人「こっちはなにも食べてないぞ」
警官『またまたー。10歳の女の子を食べたんだろー?んー?』
犯人「だまれ」
警官『んで、なんだ?』ズルズル
犯人「金があるな?」
警官『おう。すごいな。俺が欲しいぐらいだ』
犯人「△町○丁目×番地にある公園、わかるな?」
警官『うん』ズルズル
犯人「0時丁度に金を何かに詰めて公園の中央に置け」
警官『なんで?』
犯人「金を受け取りたいからだよ!!」
警官『そこの住所教えてくれた郵送するけど?』
犯人「できねーよ!!!それぐらいしってるだろ?!小分けして送る気かぁ!?」
犯人「……ズルズルやめろ」
警官『おう』
犯人「とにかく言うとおりにしろ。詰める物は……そうだな、アタッシュケースにしろ」
警官『わかった』チュルルン
犯人「……よし」
警官『おーい!!アタッシュケース用意してくれー!!』
警官『うーっす!!』
警官『あ!!こら!!一万円抜き取ろうとするなよ!!』
警官『一枚ぐらいばれないですって―――』
ツーツー
犯人「……」
少女「んで、どうなった?」
犯人「……最後の仕上げだ。付き合ってもらう」
少女「ま、まじで……ま、まぁ……その……あの……いいけど……」ポッ
少女「初デートでドライブとか洒落てるね」バタン
犯人「……」ガチャ
少女「音楽なにがあるの?」
犯人「ん?そこにCDがあるだろ?」
少女「えっと……えあろすみす?なんじゃこれ、二酸化炭素でも感知してボラボラボラ?」
犯人「……全然違うな。というか、お前、やっぱり小学生じゃないな?」
少女「ボラーレヴィーア」
犯人「いくぞ」ブゥゥン
少女「海がいいなぁー」
犯人「公園だ」
少女「え?海の見える?」
犯人「海好きだな」
少女「なんか、いいじゃん?」
犯人「よくしらんが」
犯人「……」
少女「ここー?なにもないね」
犯人「まだ出るな」
少女「なんで……はっ?!まさか……カーセック……」
犯人「違う」
少女「つまんね」
犯人「……おれはそう言う犯罪者になりたくない」
少女「リクライニング、ドーン!!!」バターン
犯人「……」
少女「もういっかい!もういっかい!!」キャッキャッ
犯人「……あと5分か」
ピリリリ
犯人「はい?」
警官『ごっめん!!道に迷った!!3分遅れる!!』
警官『んだよ。のりわるいなぁ。さっきまでのノリはどこいったんだべ?』
犯人「もう深夜だ」
警官『深夜のほうが変にテンションあがんじゃん。なにいってんだよ』
犯人「いいから急いで来い!!!」
警官『おっけーおっけー』
警官『おーい!!こっちに交番あるぜー!!』
警官『ナイス!!でかした!!』
警官『うっわ!!巡回中だってよ!!警察おわってんなぁ!!』
ツーツー
犯人「……ふん」
少女「ふわぁ……」
犯人「ねるか?」
少女「……いいよ?しよ?」
犯人「マジで殺すぞ?」
少女「すぅ……すぅ……」
犯人「ん?」
母「……」トテトテ
犯人「あれは……?」
母「……」キョロキョロ
犯人「……」ガチャ
母「あれー?いない……刑事さんたちも……犯人さんも……どゆことー?」オロオロ
犯人「おい」
母「はい?」
犯人「……金は?」
母「……あ!!貴方が?!」
犯人「ああ……誘拐犯だ」
母「まぁまぁ。まだいらしたんですね。お金は受け取ってくれました?」キャッキャッ
犯人「まだだ。どこいった?」
犯人「誰一人きてない」
母「あららー。そうですかぁ」
犯人「……娘は車の中だ」
母「そうなんですか?」
犯人「つれて帰ってくれ」
母「えぇ?何ゆえ?」
犯人「何ゆえもくそもない。もう負けだ……諦めた」
母「はぁ?誰にお負けになったのです?」
犯人「お前と!!お前の娘だ!!」
母「あらぁー……もう再起不能?」
犯人「どこみてんだよ!!」
母「あら、やだ。わたしったらド淫乱……」ポッ
犯人「いいから、娘を―――」
母「あ、そーだ。犯人さんが何も食べてないって刑事さんが言ってましたので、焼きそばタッパーに入れてもってきました。冷めてますけど、どーぞ」
少女「ん……あ、母上ー」
母「久しぶりー。12時間ぶりかなぁー?」スリスリ
少女「16時間ぶりだよぉー!!」スリスリ
母「ちょっと見ない間に……女になったのね」
少女「うん……」ポッ
犯人「いい加減にしろ」
母「まぁまぁ。照れなくてもいいですのに」
犯人「照れてない!!」
少女「あれがツンデレか……」
犯人「マジで呆れてんだよ!!!」
母「で、焼きそばおいしいで……あれ?食べてないんですか?」
犯人「……箸」
母「きゃー!!ママったらうっかりしちゃってましたぁ!!そーですよね。インド人じゃあるまいし、お箸いりますよねー」
少女「あっは♪お母さんのドジっこがぁー」
少女「おくってけー」
犯人「ここから家まで徒歩2分ぐらいだろ!!知ってんだぞ!!それぐらい!!」
母「まぁまぁ。ガソリン代はお支払いしますから……体で」
犯人「やめろ!!旦那がいるんだろ!!!」
母「あらやだ、娘がですよー」
少女「うっふん。かもーん」スルスル
犯人「ぬぐな!!」
母「人妻の魅力が分かる人に悪い人はいませんけどね……うふっ」
犯人「……」
少女「はやく車だしてー」
母「だしてぇ」
犯人「……あぁぁ!!!!はやくのれ!!」
少女「やったぜ」グッ
母「やったぞ」グッ
犯人「ここでいいな?」
母「はい」
少女「たのしかったぞ。また誘拐してくれ!」
犯人「二度としない!!!」
母「はっ!!次はわ、私ですね……」ブルブル
犯人「顔がにやけてるぞ」
母「あれ?そうですか?」
少女「またなー」
犯人「二度と会うことはねーよ」
少女「ふっふっふ。こっちは電話番号をつかんでるんだぜ?」
犯人「すぐに破棄するに決まってるだろ」
母「あの……どうして誘拐なんてしたんですか?もっと派手な銀行強盗とかあるのに……」
犯人「うるさい。説教するポイントが違うんだよ」
少女「この人、リストラされてニートなんだって」
犯人「ああ……必死に10年働いて……それでも駄目だった……」
母「あの……ちょっと待っててください!!」テテテッ
犯人「あ、おい!!」
少女「ねえねえ。今度はどんな羞恥プレイする?」
犯人「プレイじゃねーよ!!!」
母「はやく!!」
父「な、なんだよ」
母「はい!お待たせしました!!」
犯人「え?」
父「この人か」
母「うん。面接してあげて」
犯人「え?え?」
父「むむ……ママが選んだ男だ。おーし!!採用!!来週からうちの会社にこい!!」バンバン
犯人「……は?」
父「やめないかぁー。そう言うことはベッドの上だぞー?」
母「もう!絶倫なんだからっ!」ポッ
父「あははは!!」
犯人「……」
少女「よかったなぁ!!父上の会社は世界中に社員がいて10万人規模の大企業だぞ」
犯人「おい!!ふざけんな!!」
父「なんだと?」
犯人「簡単に決めるな。ちゃんと面接してからにしろ。俺の何がわかるっていうんだ……!!」
父「むぅ……折角誘ってやったのに」
犯人「いいか?!俺はお前の娘を攫ったクズだぞ?!」
父「うむ」
犯人「そんな奴を雇ってどんなメリットがあるんだよ!!」
父「履歴書を相手に見せてから会話するのと、こうして出会って会話するのも同じだと思わないか?結局、第一印象が大事なんだよ」
犯人「誘拐犯の第一印象って破滅的じゃないのか?」
母「私はそんなこと思わないけど……」
少女「頑固だなぁー」
犯人「もういい……。でも、誘ってくれて嬉しかったです」
父「そうか」
犯人「それじゃあ、失礼します」バタン
少女「またつれさってねー!!」
母「焼きそば、たべてくださいねー」
犯人「……」ブゥゥゥン
犯人「……」
犯人(はぁ……)
犯人(疲れただけだったなぁ……)
犯人(さてと……行くか……)
ブゥゥゥン
犯人「……」バタン
犯人「……」スタスタ
ガチャ
警官「ん?どちらさま?」
犯人「女の子を誘拐しました」
警官「え?その女の子どこよ?」
犯人「……もう返しました」
警官「えー?証拠は?」
犯人「調べればすぐにわかります」
警官「……逮捕されたいの?マゾ?」
犯人「違います……。営利誘拐したんです」
警官「証明するものがないと、こっちも誤認逮捕になっちゃうし」
犯人「……もういいです……かえります……」
警官「んー。お大事にー」
犯人「疲れた……」
犯人「寝よう……」モゾモゾ
犯人「はぁ……」
少女「疲れてんな」
犯人「うお?!」
少女「肩もんでやろうか?」
犯人「な、なんで……」
少女「パパの情報網を甘くみたなぁー?電話番号から住所ぐらい割り出せるんだぜ」
犯人「いや……さっきとのところとは違う場所なんだが……」
少女「母上と父上から許可を貰ってきたから、これからは一緒な」
犯人「なんだと?!」
少女「よろしくいっといって」
犯人「うわぁぁ!!!」
少女「ひゃっはー」
犯人「……」
少女「よぉー、朝飯できるぜー」
犯人「……」ゴシゴシ
母「うふふ。顔を洗ってきてくださいな」
犯人「……おい」
少女「朝ごはんを作りにきてくれたんだー」
母「娘はまだ料理が駄目なんで」
少女「包丁が血を欲するが故に手を切っちゃうんだ」
犯人「―――もう自首させてくれぇ!!」
テレビ『今日未明、大金をもった警官10人が飲食店で酒に酔い、店員に暴行を加える事件がありました』
テレビ『その警官10名はもれなく御用になりました。次のニュースです。ペンギンが逃げ出して人間が大慌てするという凄惨な事件が―――』
おしまい
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
女エルフ「ねえ」女騎士「ん?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330676924/
女エルフ「最近思うんだけど」
女騎士「?」
女エルフ「私たちってさ」
女騎士「うん」
女エルフ「ひどい目に会いすぎじゃない?」
女騎士「あー……」
女騎士「よくある話だな」
女エルフ「しかもね」
女騎士「うん」
女エルフ「その娘、処女だったんだよ……」
女騎士「うわあ…」
女エルフ「ひどいよね」
女騎士「ひどいな」
支援
女エルフ「え?同じ人間なのに?」
女騎士「半々」
女エルフ「半々?」
女騎士「うん」
女騎士「オークとか」
女エルフ「あー」
女騎士「触手とか」
女エルフ「あるある」
女エルフ「なにがさ?」
女騎士「ナニがさ」
女エルフ(笑
女騎士「どう見ても入らないよね」
女エルフ「丸太くらいあったりするよね」
女騎士「でも入れられる」
女エルフ「痛いよね…」
女騎士「痛いよ…」
女エルフ「うん」
女騎士「アレでね」
女エルフ「うんうん」
女騎士「おなか」
女エルフ・女騎士「「ボコォッ!!」」
二人「(笑
女エルフ「うん」
女騎士「触手でもさ」
女エルフ・女騎士「「ボコォッ!!」」
女エルフ「あるある」
女騎士「痛い痛い」
女エルフ「痛いね」
女エルフ「でもさ」
女騎士「うん?」
女エルフ「たまにね」
女エルフ「媚薬」
女騎士「あ~…」
女騎士「飲ませるタイプもあるけど、直接塗り込んでくるやつ」
女エルフ「そうそう」
女騎士「あれやばい」
女エルフ「やばいね」
女騎士「もう大変だった…」
女エルフ「ほほう」
女騎士「おなか」
女エルフ・女騎士「「ボコォッ」」
二人「(笑
女騎士「されてさ」
女エルフ「んで?」
女騎士「もう、奥の奥までずっこんばっこんずっこんばっこん」
女エルフ「うぅ…」
女騎士「でも媚薬のせいで乳首は立つし、締まりはよくなっちゃうし」
女エルフ「イキそうになるもんね」
女騎士「そそ。でね」
女騎士「やめない」
女エルフ「やめないよね」
女騎士「むしろ喜ぶ」
女エルフ「ありすぎる…」
女エルフ「うん…」
女騎士「しばらく犯されてたら」
女騎士「アレがびくびくしてくるのが分かるわけ」
女エルフ「うっ……」
女騎士「そうそう。すぐわかる」
女エルフ「『膣内で更に太く……!』みたいな?」
女騎士「それ」
女騎士「でさ」
女騎士「私も妊娠したくないから」
女騎士「『膣内はやめろ』って言うけど」
女騎士「ヤツら決まって」
女騎士「膣内射精」
女エルフ「容赦ないよね……」
女エルフ「どんな?」
女騎士「『膣内はやめてください』って」
女エルフ「あ~……それ一番言っちゃいけないやつだ」
女騎士「やっぱそう?」
女エルフ「絶対そう」
女エルフ「だいたい膣内に射精される」
女騎士「むしろ喜ぶ」
女エルフ「それどころか」
女エルフ「『射精すぞ!』とか叫んで」
女エルフ「一番奥まで『ズンッ!』て突いて」
女エルフ「おなか」
女エルフ・女騎士「「ボコォッ!」」
二人「(笑
女騎士「何度妊娠しかけたことか……」
女エルフ「でも」
女エルフ「悔しいことに」
女エルフ「一緒にイっちゃうわけ」
女騎士「あるある」
女エルフ「ふむ」
女騎士「量が半端ない」
女エルフ「ですよねー」
女騎士「もうドロドロ」
女騎士「妊婦かってくらいパンパンになるまで射精」
女エルフ「つらいよねー」
女エルフ「あー…」
女エルフ「抜かず?」
女騎士「そう」
女騎士「『いま射精したばっかりなのに、また膣内でおっきく…!』みたいな」
女騎士「腰抜けるよアレ」
女エルフ「頭真っ白になるもんね~」
女エルフ「わたしこないだアヘ顔にされたもん」
女騎士「うわー」
女騎士「触手に?」
女エルフ「いや、人間」
女騎士「えげつない」
女エルフ「でもあそこまでされたら」
女エルフ「そら堕ちる」
女騎士「どんなだった?」
女騎士「びくんびくんしちゃうね」
女エルフ「そう。悔しいけど、びくんびくん」
女エルフ「か~ら~の」
女エルフ「焦らしプレイ」
女騎士「うわあああ」
女エルフ「代わる代わる私の口をまるで道具のように」
女エルフ「使う使う」
女騎士「相手ばっか気持ちいいよね」
女エルフ「でさ」
女エルフ「しゃぶれよ、ってうちはまだいい」
女騎士「あ、わかった」
女騎士「頭掴んで腰ふってくるやつ」
女エルフ「それ」
女騎士「オエってなるよね」
女エルフ「でも私ら、喉耐性高いじゃん?」
女騎士「意外に吐かないよね」
女エルフ「で、喉奥に射精」
女騎士「量は?」
女エルフ「意外に多いんですわこれが」
女騎士「人間なのにね」
女エルフ「お前ら全員エビオス飲み過ぎみたいな」
女エルフ「で、一巡したかと思ったら」
女エルフ「『へへ…これで終わりと思うなよ』」
女騎士「二回目?」
女エルフ「も、あるけど背後から手下パターンだった
女騎士「うわ~」
女エルフ「10人ちょっと」
女エルフ「でも割りと少ない」
女エルフ「少ない少ない。多いときは50人とか行くし」
女騎士「ちなみに50人は」
女エルフ「お城の兵士に捕まったり(笑」
女騎士「ごめん(笑」
女騎士「うん」
女エルフ「話戻すけど」
女エルフ「フェラ」
女騎士「口んなかネバネバ」
女エルフ「あれもさ」
女エルフ「吐かせてくれるなら、まだいい」
女騎士「うんうん」
女騎士「あるあるあるある」
女エルフ「ネバネバしてるから喉にひっかかるしさ」
女騎士「しょっぱいよね」
女エルフ「苦くない?」
女騎士「あー、そっち派?」
女エルフ「いや、派とか意味わかんないし(笑」
女騎士「絡むよね」
女エルフ「うえっ、て精液だけ吐くんだけど」
女騎士「『なに吐いてんだ!』って?」
女エルフ「よくおわかりで」
女騎士「まあねえ」
女騎士「口のなか溜めさせるよね」
女エルフ「そうそう!」
女エルフ「口開いて、こっち向け~って」
女騎士「で、ごっくん?」
女エルフ「いや」
女エルフ「うがいパターンだった…」
女騎士「うえぇ……」
女騎士「うぅ」
女エルフ「翌日から地獄ですよ」
女エルフ「手マンとか」
女エルフ「ク○ニとか」
女エルフ「するくせに」
女エルフ「挿れない」
女騎士「焦らしかあ」
女エルフ「焦らしだあ」
女騎士「高いの?」
女エルフ「高い高い」
女エルフ「エルフ高いよ」
女エルフ「ていうか
女エルフ「プライド高くないエルフ少ない」
女騎士「堕ちるの早かったりするけどね(笑」
女エルフ「いきなり『んほおおお!しゅごひいあいいい!!』?(笑」
女エルフ「半々だよ、半々」
女騎士「まあ私らもだいたいそうだけど(笑」
女騎士「うん」
女エルフ「プライド高いから」
女エルフ「『へへへ…ヒクヒクしてるな。挿れて欲しいのか?』」
女エルフ「って言われたときに」
女エルフ「ふざけるな!誰がキサマらなんぞ…」
女エルフ「と」
女騎士「あー……」
女騎士「でもモジモジ?」
女エルフ「モジモジですよホント……」
女騎士「うん?」
女エルフ「目の前で」
女エルフ「他の女と」
女エルフ「ヤリだす」
女騎士「あ~」
女エルフ「うむ」
女騎士「あれ、だいたい知り合いじゃない?」
女エルフ「友人か姉か妹か母さんかその辺りだね」
女騎士「ちなみにそのときは?」
女エルフ「妹でした」
女騎士「おー」
女エルフ「可愛い。弱気だからなお可愛い」
女騎士「イジメられちゃうタイプか」
女エルフ「それはもう。エルフのくせにけしからんわけで」
女エルフ「そんな妹が高速ピストン」
女エルフ「なんかトロ顔で甘ったるく喘ぐし」
女エルフ「我慢できないっしょ?」
女騎士「できないかもね…」
女エルフ「だよねー」
女騎士「つらそう」
女エルフ「うん。だから言ったんです」
女エルフ「『お願いします……』って」
女騎士「堕ちた?
女エルフ「まだ」
女エルフ「で、そいつのチ○コが」
女エルフ「おなか」
女エルフ・女騎士「「ボコォッ!!」」
女エルフ「ならんならん(笑」
女騎士「ならんか(笑」
女エルフ「でね」
女騎士「うん」
女エルフ「散々焦らされたせいか」
女エルフ「やばい」
女騎士「おおぅ」
女エルフ「死ぬかと思った」
女騎士「あれか」
女エルフ「あれだ」
女エルフ「『んほおおおお!』」
女エルフ「アヘ顔」
女騎士「仕方ない」
女エルフ「『膣内に射精すぞ!』って言ったのね」
女騎士「ふむ」
女エルフ「アヘ顔晒したとはいえ」
女エルフ「まだ堕ちてないから」
女騎士「ほう」
女エルフ「だから」
女エルフ「膣内はやめて!って言ったの」
女エルフ「そしたら」
女エルフ「まさかの」
女エルフ「外だし」
女騎士「おほっ」
女騎士「うんうん」
女エルフ「散々じらされたあと」
女エルフ「ようやく入れたと思った直後の」
女エルフ「それですよ」
女騎士「モジモジしちゃう?」
女エルフ「モジモジどころじゃないよ……思わず『あっ…』とか言っちゃたもん…」
女エルフ「『なんだ?膣内に欲しかったのか?』って」
女エルフ「もうね」
女エルフ「感服したね」
女エルフ「あ、こいつには勝てないって」
女騎士「で?」
女エルフ「そっからはあんまり覚えてない…」
女騎士「堕ちたか…」
女エルフ「もちろん」
女エルフ「まあ、今は姉妹そろって元気だからいいよ」
女騎士「あー」
女騎士「ていうか私もそうだけど」
女エルフ「うん」
女騎士「よく助かるよね」
女エルフ「意外に最後は助かるよね」
女騎士「うんうん」
女エルフ「まあ魔法使えるし」
女騎士「私は剣」
女エルフ「非力じゃない娘もわりと多いもんね」
女騎士「逃げる力、地味にあるしね」
女エルフ「あるね」
女騎士「…ん?」
女エルフ「ん?」
女エルフ「うん」
女騎士「何でわたしたち捕まるんだっけ」
女エルフ「えっ」
女エルフ「……薬?」
女エルフ「人質とか」
女騎士「う~ん。それもあるけど」
女騎士「叩き伏せられるパターンが」
女エルフ「ボスか」
女騎士「ボスだな」
女騎士「で、捕まったあとも用意周到」
女エルフ「媚薬?」
女騎士「力を奪う的な首輪とか」
女エルフ「ああ」
女エルフ「あれ誰が作ってんのかな」
女騎士「わかんないけどあれ困る」
女騎士「抵抗できなくなるもん」
女騎士「力入らないことをいいことに」
女騎士「好き勝手してくるよね。手下」
女エルフ「憂さ晴らししてくるね」
女騎士「無理やり壁に押し付けたりしてさ」
女騎士「『へへ!今までのお返ししてやるぜ』『おら、ケツだせや!』みたいなパターン多いよ」
女騎士「お前ら女を犯す以外選択肢ないのかと」
女エルフ「ねー」
女騎士「で。しかもボスな人って陰湿だし?」
女エルフ「例えば?」
女騎士「なんか」
女騎士「私の場合は」
女騎士「公衆面前輪姦とか」
女エルフ「あー、あるあるある」
女騎士「『ド淫乱な変態雌豚だ!』とか」
女エルフ「言葉責めは基本だよね」
女騎士「あれホント恥ずかしい」
女騎士「あまつさえさ」
女騎士「民衆にヤラせるでしょ」
女エルフ「そーそー」
女騎士「なにがどうなってるか知らないけど」
女騎士「民衆の男ども、普通にチ○コ突っ込んでくるし」
女騎士「それだけならまだしも」
女騎士「『ああ…女騎士様が』『女騎士様、すみません』とか」
女騎士「『女騎士様になんてことを』みたいなノリで」
女騎士「膣内射精しまくるなと」
女エルフ「尊敬されるだけいいよ…エルフはなんか物みたいな扱い多いよ」
女騎士「悲しい」
女エルフ「大抵拘束されてるしね…」
女騎士「そう。あれ、なんていうんだろ」
女騎士「首と手首固定する道具」
女騎士「あれに何度お世話になったか……」
女エルフ「ん~?」
女騎士「個人的に一番つらいのは」
女騎士「相手が人間とか触手とか魔物とかじゃなくて」
女騎士「犬」
女エルフ「獣姦か~」
女エルフ「グロいよね。妙に赤黒いし」
女騎士「先のほうがゴリゴリしててつらい」
女騎士「ていうか」
女騎士「四つん這いになっただけで」
女騎士「的確に挿入してくる」
女エルフ「豚とかも
女騎士「豚はやばいね」
女騎士「うんうん」
女騎士「ところでさ」
女騎士「あれはどうよ」
女エルフ「あれ?」
女騎士「肉体改造系」
女エルフ「ふたなりか」
女騎士「うむ」
女騎士「私はなんか変な種埋め込まれたらチ○コ生えたよ」
女エルフ「しかもチ○コ凄い敏感だし」
女騎士「確かに」
女エルフ「チ○コ少し触られただけで『うあっ』てなる」
女騎士「でも射精、地味に気持ちよかったりするから困るよ」
女エルフ「金○マはないのになぜか射精できるんだもんね」
女エルフ「ん」
女騎士「さっきの動物の話だけど」
女エルフ「急にどうしたの」
女騎士「いや」
女騎士「言い忘れた動物がいた」
女エルフ「ん?」
女騎士「馬」
女エルフ「あー、あー」
女エルフ「長いし太いしバックで容赦ない」
女騎士「うんうん」
女エルフ「触手や魔物でもないのに」
女エルフ「おなか」
女騎士「ボコォッ!」
女騎士「あれ?」
女エルフ「ごめん。もういいかな(笑」
女騎士「恥ずかしい……///」
女騎士「うん」
女エルフ「たま~に純愛あるよね」
女騎士「あるある!」
女エルフ「好きだった人とかね」
女騎士「いいよねー」
女エルフ「ちょっとだけ強引にキスされたりしてさ」
女騎士「ベッドイン!」
女騎士「でも改造されて死んじゃったりね…」
女エルフ「ね……」ハァ
女騎士「レイプから始まる恋か」
女エルフ「うん」
女エルフ「けどさ」
女エルフ「ないよね、実際」
女騎士「……うーん」
女エルフ「えっ?」
女騎士「えっ」
女騎士「いや」
女騎士「あるわけではないんだけど」
女エルフ「ふむ」
女騎士「たぶん私」
女騎士「こ、ここだけの話……」
女騎士「……ドMかもしれない」
女エルフ「詳しく」
女騎士「ほら、さっきから話してるけど」
女騎士「無理やり……ってシチュエーション多いじゃん?」
女エルフ「うむ」
女騎士「今はこんな話し方してるけど」
女騎士「普段はわりと」
女騎士「『貴様らクズに私は屈せぬ』とか言うわけですよ」
女エルフ「まあ私も似たタイプ」
女騎士「いざ責められると」
女騎士「すぐに頬が上気するわ」
女騎士「乳首は立つわ。濡れるわ」
女エルフ「だいたいみんなそうだよ。うちら変態ばっかじゃん」
女騎士「うーん。そんでね」
女騎士「『はは!騎士様はとんだ淫乱だな!』」
女騎士「とか言われるとなぜか」
女騎士「『締まりがよくなったぞ!』『興奮してるのか変態が!』」
女騎士「……みたいに、よく言われたり…」
女エルフ「いるいる」
女騎士「極めつけは針とか蝋燭ですよ」
女エルフ「きついね」
女騎士「でしょ?だけど……」
女騎士「乳首に針刺されたり」
女エルフ「痛い痛い」
女騎士「お尻に蝋燭たらされたり」
女エルフ「熱い熱い」
女騎士「……気持ちよくなることが」
女エルフ「安心しなよ。私らじゃ普通」
女騎士「そっか」ホッ
女エルフ「うん?」
女騎士「私ら、使われてない場所ないよね…」
女エルフ「大抵はね…」
女騎士「お尻もさ」
女エルフ「うん」
女騎士「触手とかで腸がボコボコになるくらいに荒らされたし」
女エルフ「ひどいときは口から出てくるよね」
女騎士「なんかもう綺麗な場所残ってないよね」
女エルフ「極めると、脳姦やら眼孔姦とかもあるらしいし」
女騎士「乳首拡張で乳首に挿入されたって同僚もいたみたい…」
女騎士「想像つかないもんね」
女エルフ「ホント大変だよ…」
女騎士「うんうん……あ」
女エルフ「ん?」
女騎士「もうこんな時間だ」
女騎士「うん」
女騎士「今から」
女騎士「盗賊を退治しにいかなきゃ」
女エルフ「あー」
女エルフ「そういや」
女エルフ「私も森に攻めてくるオークを迎撃しなくちゃいけないんだった」
女エルフ「うん」
女騎士「気をつけてね」
女エルフ「お互いね」
女騎士「じゃーねー」
女エルフ「また今度~」
―――
――
盗賊「へへへ…自分の状況わかってんのか?」
女騎士「くっ!まさか私がこんなやつに…!」
盗賊「今までの例をたっぷりしてやるぜ」
女騎士「や、やめろ……そんなもの私に…い、いやあああああ!!」
―――
――
オーク「グフッ」
女エルフ「妹をはなしなさい!」
妹エルフ「姉さん、来ちゃダメ!」
女エルフ「くっ――な、なに!?やめろ、貴様ら私に触るな…い、いやああああああっ!」
―――
――
女騎士「久しぶり」
女エルフ「何かあった?」
女騎士「いつも通り」
女エルフ「だよねー」
女騎士「ていうか」
女エルフ「うん」
女騎士「騎士やめようかな」
おわり☆
最早様式美だなww
女騎士はやめられるけどエルフは…
面白かったよー
満足満足
Entry ⇒ 2012.03.11 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「エロい事したいから能力くれ」 神「うむ」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1329835292/
このSSはSS深夜VIPのSSです
男「まあそうだな」
神「それによってどんな能力を与えたものかも考えなきゃならんしの」
男「ふむ」
神「というかバトルものに出てくるような能力も使いようによってはエロい事できるぞ」
男「なに?」
男「なぜいきなり若く、しかもうちの学校の制服になったんだ」
神「明日おまえの学校についていって実践してやろうと思ってな」
男「マジかよ、サンキュー」
神「うむ」
神「では始めるか」
男「おう」
神「まずは基本からいくか、時間を止める能力じゃ」
男「定番だな」
ピタ
男「これで時間が止まったのか?」
神「そうじゃ、わしとおまえ以外はな。ではあの女子にするか」
男「ほほう、水玉か」
神「パンチラと違い、好きなだけ見れるぞ」ジー
男「それはいいな、水玉の数まで数えて把握しよう」ジー
男「おおっ」
神「ふむ、きれいな尻じゃの。それにとてもやわらかい」プニプニ
男「うめえー生尻うめえー」ペロペロ
男「おお」クルクル
神「言っておくがその水玉パンツ、見つからんようにせえよ」
男「この女子からしたら突如パンツ消えたように感じるだけだろ」
神「まあそれはそうじゃが」スッ
女子「!?!?」
女子(ぱ、パンツが急に!?どうして!?)
男「バトルでもエロでも基本だな」
神「ふむ、まあこういう事じゃ」チョイ
ビュウウウ!
女子2「きゃっ!?」バッ!
女子3「いやっ!?」バサッ!
男「白に黄色か」
神「時間を操る能力よりもずっとエロの幅は狭くなる、しかし突如めくれあがるスカートとその奥のパンツ、なにより恥ずかしがる女の子を見れるぶん、こちらのほうがパンチラマニア向けじゃな」チョイチョイ
女子2「ちょっ、と、止まらなっ……」チラッチラッ
女子3「なんでこんな吹き上げてっ……ちょ、ちょっとお!」チラッチラッ
男子S ウオオースゲーダブルパンチラ ザワザワ
男「風神って風神雷神の?」
神「ああ。わしも風は起こせるが普段はもっぱら風神に任せておる。時々突風でJKのスカートがめくれてパンツが見えるのはあやつの気まぐれなプレゼントじゃぞ」
男「今度うまい店奢りで連れていくって伝えといてくれ」
神「いや、あやつは女子が夏服になると突然の雨を降らす」
男「透けブラを狙ってるのか」
神「しかも雲1つない晴天からマジで奇襲かけてくるからな。近くの店に非難した透けブラJKの集団がいるその店に、人間に化けて入って眺めとる」
男「それは壮観だろうな」
神「白いブラの場合はうまくすれば乳首まで見えると言っておった」
男「バトルでは定番だけどエロい事できるのか?」
神「いやいや、これは下手すると今までで一番エロいぞ」
男「なに?」
女子4 スタスタ
神「スカートの周辺のみ重力を無くして……」スッ
バッ!
女子4「きゃっ!?」
男「おお、パンモロ!」
神「まだまだ、見ておれ」
男「あれはまさか……」
神「そう、風と違って『めくれている状態がデフォ』のためじゃ」
女子4「やっ!いやっ!」ググ
男「ピンクのパンツ……」ハアハア
神「さらに重力を強める事も可能じゃ。つまりあのパンツを……」スッ
女子4「っ!?いやぁあ!?」
男「す、すげえ、生まれたままの下半身が」ハアハア
神「あえてスカートが脱がされるのではなくめくれっぱなしなのがまたいいじゃろ?」
男「またマニアックだな」
神「無駄じゃ無駄じゃ、はき直させたりはせん。そのパンツの今の重さ実質は数十キロにもなっておる」
男「用意周到だな」
女子4「も、もういやぁ!」スッ
神「おっと、隠しきれないとはいえ手で隠すか」
男「最後の手段だな」
神「なあに、となればあの女子の制服の袖の重力を無くして……」スッ
女子4「いやぁああ!?」
神「万歳状態、Iの字拘束ともいうの」
男「なあ、せっかくだから制服とブラも」
神「そうじゃな、ほれ」スッ
ブワッ ズルウ!
女子4「きゃあぁあ!?」
神「ほほ、いい乳をしておる。乳の重力を無くして戻し、無くして戻しと」
プルンプルン
男「おっぱいが上下に揺れて……」ハアハア
女子4「せ、せめて隠させてよぉ……」グスン
男「ああ、たしかにあれは強烈な隠し玉だ」
男「ところで、これも基本だが、透視能力は?」
神「ああ、たしかにあれは悪くない。下着も裸も見放題。出会う全ての女子の全ての下着を把握できる、ある意味究極の夢じゃ」
男「だったら」
神「ただな、見えるだけで触れもしない。先程のように脱がすのも無理、そして唯一の利点の下着と裸の監察じゃが、これが信じられないことに飽きてくるのじゃよ」
神「海の家を経営しておるものは若い女子の水着を見てもなんとも思わなくなる、というのと同じじゃな」
男「人間って贅沢だな」
男「ありがたい事だ」
神「では遠慮なく乗っからせてもらって変身能力じゃな」
男「おう」
神「まずは子供に変身する、それから……」
男「おっと、子供になるのなら放課後まで待ってくれ、より良い結果を得られる」
神「ほう、では待ってみるか」
神「で、わざわざ学校を離れてこのボロい銭湯にまで来たのはなぜじゃ?」
男「神が考えてたのは子供だからスカートめくりやらパイもみが許される程度だろう?」
神「そうじゃな」
男「もちろんそれも素晴らしい。しかしここではもっといい事ができる」
神「ほほう」
男「見ての通りボロボロの銭湯、料金は安いが老人すら滅多に来ない、しかし……」
男「この曜日は練習を終えて汗を流したいテニス部の女子達が来るのだよ」ククク
神「ほほう、それはまた……」
男「間違えて女湯に入った幼稚園児に化け、堂々と女子達の裸を見ようじゃないか」
神「温泉でなくとも熱い風呂はいいのう」
男「さっきまで学生だったり今は子供だったりだけど、ほんとの姿はじいちゃんだからな」
神「まあテニス部女子達が来たらこの口調もやめるわい」
男「まあやめなくてもアニメかなんかのマネだと思われるだろうがな」
キャッキャッ ガララ
神「おお!」
男「きたぞ!」
テニス部2「今日きつかったねー」
テニス部3「大会前だからしかたないよー」
テニス部4「早く体洗おー」
その他テニス部 キャッキャッ
男「なあ、天国ってここか?」
神「いや……これは本物よりも天国じゃ」
テニス部6「せっけんなくなってるー」
男 ジー
神 ジー
テニス部「どうしたんだろあの子たち」
テニス部2「男女間違えたんじゃない?あの年なら漢字読めないだろうし」
男「同年代女子の裸、裸」ハアハア
神「やはりたまらんのう、いやたまらん」ジュルリ
テニス部4「ふふーん、どう?」フンゾリ
男「はあはあ」
神「うひょ、巨乳が見せつけるような体勢を」ハアハア
テニス部5「あっ」パサ
テニス部5「タオル落としちゃったー」スッ
男神「!!」
男「全裸でタオル拾うためしゃがむとは」ハアハア
神「アソコ丸見えじゃったな」ハアハア
男「おい見ろよ、あの尻は芸術だぜ」
神「あのコはちっぱいを気にしてさっきの巨乳を見つめてるのがかわいいのう」
男「ただ乳首はあのちっぱいの勝ちだな」
神「うむ」
男神「えっ?」
テニス部2「あたしたち子供大好きなんだー」ギュウ
男(うひょひょひょひょwwwおっぱいがおっぱいがwwwあなたの抱きしめてるのは同じクラスの男ですぞwww)
テニス部「ずるーい、あたしはこのコ」ギュウ
神(うひょwww乳首が頬に当たってwww)
テニス部「かわいいー!」ギュウ
テニス部2「やわらかーい!」ギュウ
男神(やわらかーい!!)
男「だな」ツヤツヤ
神「さて次は催眠じゃ」
男「おう」
神「なんじゃ?」
男「催眠というのは理性を抜かして本能に命令する技術、だから大概の命令はきくが、『裸や下着を見られる』というのは本能的な嫌悪感だから命令してもきいてくれない、と本で読んだぞ」
神「ふふ、なあに、きちんと考えはあるわい」ニヤ
女子5「?なんですかお兄さん?」
神「…………」ジー
女子5「あ……」クラ
女子5「う……」グッタリ
神「ここは温泉の女湯、ここは温泉の女湯」ジー
女子5「あ……気持ちよさそう……」
神「そう、誰もいない貸し切りじゃ」
女子5「疲れた……」
神「うむ、ゆっくりつかって疲れをとれ」
男「なるほどな……」
神「あとは隠れて見とればよい、他のやつらに見つかると面倒じゃからな」
男「策士だな、たしかに異性が誰もいない場所で、服を脱ぐのが当然の風呂ならば、理性があっても脱いでつかるからな」
神「よいこの催眠術師は真似しちゃダメじゃぞ」
神「ぐふふふwww」
男「完全にストリーキングだな。ところで」
おっさん「はあはあ」
サラリーマン「カメラ、カメラを」ピロリン
男子中学生「AVじゃない人の裸、裸」ハアハア
男「男しか通りかからず一切止めるやついないんだがなにかしたか?」
神「さあてなんのことやら」
神「さて、分身能力じゃの。今回は『実体があるタイプの分身』でいく」
男「おう」
神「そして昨日の変身能力も使って」ドロン
神「かわいらしい5つ子の完成じゃ」
男「うむ」
神「お主も同じようにして合計10人じゃな」スッ
男「サンキュー」ドロン
女子6 スタスタ
神「てーい!」バサッ
女子6「きゃあっ!?」
男「スカートめくり!スカートめくり!」バサッバサッ
女子6「きゃっ!?きゃあぁあ!?」
神2「いくぞー!」
男2「おう!」
神2男2「パンツ下ろし!」ズルウ!
女子6「いやぁあ!?」
神3「パンツが引っ掛かってこけたぞー!いまだー!」
ノシノシ、ガシ
女子6「やっ、乗らないでっ、動けなっ……」
神4「いい尻だなー」ニヤ
男4「ではでは」
神5「さっそく」
男5「いただきまーす!」
神4「むふ、むふふふ」ペロペロ
男4「ぴちゃぴちゃ……ペロ」
神5「ペロペロ……ペロペロペロ」
男5「ぐふふwwwぺちゃぺちゃ」
女子6「いやあっ!舐めないでっ、ふああ!?」ビクン!
男6「くくく」モミモミ
女子6「んっ、ふあ!」ビクン!
神7「こちょこちょこちょこちょwww」
男7「こおちょこちょこちょこちょこちょwww」
神8「くすぐれー!」コチョコチョ
男8「おっしゃwww」コチョコチョ
女子6「きゃっ!?あははははは!や、やめて、あははははは!」
男9「ボタンはずしてねwww」プチプチ
神10「当然ブラジャーもwww」
男10「ホックはずしてずりあげてwww」ズリ
女子6「あははははは!やめて!あははははは!こんなかっこ!あはははははは!ひああっ!はははははは!」
男「道のまん中で全裸で気絶したが」
神「いい思いしたじゃろ?」
男「まあな」
男「うーん……」
神「言っとくが1つだけじゃぞ」
男「よし、決めた」
神「ほう、早いな」
男「うん」
神「で、なんにする?やはり変身か重力か時間あたりかの?」
男「いいや」
男「おまえと友達になることにしたわ」
おわり
Entry ⇒ 2012.03.09 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
女帝「反乱軍ですって!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330516146/
大臣「……以上が、現在の我が国の収支報告となります。
財政的にはなんら問題ありません」
女帝「うん、ありがとう」
執事「女帝様」
女帝「なに?」
執事「しきりにうんうん頷いてましたけど、ホントに理解できてます?」
女帝「も、もちろん!」
執事「じゃあ、私に説明してみて下さい」
女帝「ごめんなさい」
兵士「女帝様、大変ですっ!」
女帝「ど、どうしたの!?」
兵士「反乱軍が城に攻め込んできましたっ!」
女帝「反乱軍ですって!?」
執事「………」
執事「お前たちは、いったいなにをやっていたんだ!」
兵士「も、申し訳ありません! なにしろ敵は強く……!
まもなく敵はこの部屋にやってくるでしょう!」
女帝「くっ……なんてことなの……」
農民「もう、この帝国の圧政には耐えられないっす!
反乱っす! 革命っす! 俺が国を変えてやるっす!」
女帝「帝国に逆らうなんていい度胸じゃない!」
女帝も剣を抜いた。
大臣「すいません、私は執務に戻ってよろしいでしょうか?」
女帝「あ、どうぞ」
農民「俺の鎌で、成敗してくれるっす! 喰らえっ!」ブオンッ
執事「女帝様っ!」
女帝「きゃああっ!」
女帝「う、うぐぐ……この栄光ある帝国が滅びてしまうとは……。
む、無双……」
執事「無念ですよ」ボソッ
女帝「む、無念……」ドサッ
執事「ああ……女帝様ぁっ!」
農民は鎌を天に掲げ、誇らしげに宣言した。
農民「女帝は滅びたっす! これからは俺たち農民がこの国の支配者っす!
農民の、農民による、農民のための国にするっす!」
こうして女帝の死とともに帝国は崩壊し、新たな時代が始まろうとしていた。
執事「悪いな、忙しいのに」
農民「いえいえ、俺も面白かったっすから」
女帝「迫真の演技だったわ」
農民「女帝様、ちゃんと大臣様や執事さんのいうことを聞くんすよ。
お二人を困らせちゃダメっすよ」ナデナデ
女帝「うんっ!」
農民「じゃあ、これ」
女帝「チョコレート!?」
農民「町で買ってきたんすよ。あとで食べて下さいっす」
女帝「ありがとう!」
執事「ああ、ありがとう」
農民に続き、兵士も出て行った。
執事「………」
執事「女帝様」
女帝「なに?」
執事「昨日、今朝はちょっとしたイベントがあると聞いていましたが、
なんなんですか、今の茶番は」
(私もついノッてしまったが)
女帝「ひどい、茶番だなんて……!」
執事「すいません。私の乏しい語彙力では、
今のやり取りを表現する他の単語が浮かびませんでした」
だから昨日のうちに、農民と兵士に頼んでおいたの」
執事「今のが帝国っぽいこと、ですか……?」
女帝「帝国といったら、圧政と反乱でしょ」
執事(えぇ~……)
執事「どこからそんな知識を得たんですか?」
女帝「本で読んだの」
執事(きっと、なんかの小説だな……)
なになにっす、っていうやつ。他の国じゃ絶対許されませんよ」
女帝「たしかにちょっと無礼だったかもしれないけど……。
撫でてくれたし、チョコくれたし、許してあげる」
執事(安い君主だなぁ)
執事「しかし、一国の君主が下々の者からもらったものを
毒味もなしに食べてはいけません。私が毒味しましょう」サッ
女帝「あ」
執事は女帝からチョコレートを奪い取った。
執事「では、一口」モグッ
女帝(え……これってまさか……間接キス!?)
女帝「え?」
執事「これはなかなか……」パクパク
女帝「ちょっ……」
執事「ちょうどいい甘さでデリシャスです」モグモグ
女帝「あ、あぁ……」
執事「すいません、ほとんど食べちゃって。
こんなちっぽけなのをお渡しするのはかえって失礼なんで、全部食べますね」モグッ
女帝「………」
執事「あ、すいません。つい……」
女帝「な、なんでぇ……」ポロッ
執事(えぇ~……)
「す、すいません。あとで新しいの買ってきますから……」
女帝「新しいのじゃダメなの!」
女帝「農民がくれて、執事がかじったやつが欲しかったのに!」
執事(よく分からないが、こだわりがあるのか……)
執事「ならば、圧政者らしく私を死刑にして下さい」
女帝「え!?」
女帝「く、首を……」
執事「首がイヤなら、手でも足でもかまいません。
少し時間はかかりますが、血が流れて死ぬでしょう。
女帝様のチョコレートを食べた罪、この命で償います」
執事「さぁ」
女帝「うっ……」
執事「さぁ!」
女帝「で、できないよ……そんなこと……」
女帝は剣を床に落とした。
女帝「ご、ごめんなさい……」
執事「分かればいいんです」
我が帝国はとても小さいですからね」
執事「領内にあるのはこの城と、さっきの農民が暮らしている町だけです」
執事「帝国どころか、国と呼べるかも怪しい規模です」
女帝「………」
執事「しかも、この帝国は三つの強国に囲まれております」
執事「北には強大な騎士団を抱えるナイト共和国、
東には、魔法の研究が栄えているメイジ共和国、
西には屈強な猛獣を兵として扱うサバンナ共和国」
執事「いずれもこの帝国より大きい都市を、いくつも持つ大国です」
今でも三国を束ねているのは帝国ということになっていますが、
そんなしきたりはもはや形骸化してますしね」
執事「帝国っぽいことといえば他国侵略ですが、
どの国に戦争を仕掛けても一瞬で勝負はつくでしょう」
執事「なにせ、我が帝国の兵力はさっきの兵士含め10名足らずですから」
女帝「んもう、そんなこと分かってるわよ……!」
女帝「しょうがないじゃない、私がこの国を作ったわけじゃないんだし。
でもせっかくだから、帝国っぽいことをしたかっただけよ」
執事(まずいな、落ち込まれてしまった)
執事「……仕方ありませんね」
執事「じゃあ、町に重税の取り立てにでもいきますか?」
女帝「うん、そうする!」
執事「では食事を取ったら、町に取り立てに向かいましょう」
女帝「楽しみだわ。帝国領民に私の恐ろしさを骨の髄まで味わわせてやらなきゃ!」
女帝「あ、あとチョコレートも買ってね」
執事「はいはい(町でチョコレートを買う君主をだれが恐れるというのか)」
町民「お、女帝様と執事さん!」
町民「これから仕事なんですが、見学していきませんか?」
女帝「ダメダメ、今日の私は暴君モードなの。
残念だけど、あなたたちと馴れ合うつもりはないわ」
執事(暴君モード……初耳だな)
町民「はぁ、そうなんですか」
女帝「だから今日は重税を取り立てに来たの」サッ
女帝「ちょーだい」
町民「………」
町民「くそぉっ……このお金だけは……!
持っていかれたら家族は食えなくなってしまうんです!
でも仕方ありません……持っていって下さい」チャリン
女帝は小銭を手に入れた。
女帝「どうもありがとう!」
執事(どうもありがとう、女帝様に付き合ってくれて)
女帝「お仕事頑張ってね」
執事「今度来た時は見学させてもらうんで」
女帝「見て見て、さっそく税を取り立てたわ!」
執事「さすがです、おみごと!
すぐにも、領民が激怒して反乱を起こしますよ、きっと」
女帝「うん、私には才能があるのかも!」
執事(ダメだ、この方には暴君の素質がまるでない……)
執事(いや、なくていいのか)
執事(知らず知らずのうちに、私も女帝様のペースに飲まれてるな……)
八百屋「いい野菜が入ってるんで、ぜひ持っていって下さいよ」
女帝「八百屋さん、今日の私はいつもの私じゃないの。
重税を取り立てる泣く子も黙る暴君なのよ」
八百屋「な、なるほど……」
八百屋「……じゃあ、年貢としてこの大根持っていって下さい!」
女帝「やった!」
女帝は大根を手に入れた。
執事「……よかったですね」
(ようするに、もらえればなんでもいいんだな)
女帝「うん、城に戻ったら執事の大好物、ふろふき大根作ってあげる」
執事「ホントですかっ!?」
(ありがとう八百屋! ナイス八百屋!)
~
老婆「じゃあ、このお人形をあげましょうかね」
女帝「わっ、可愛い!」
執事(高そうだけどいいのかな……)
~
農民「さっきはどうもっす! 芋がいっぱいあるので、どうぞっす!」
女帝「うん、これはいい芋だわ」
執事「いい晩ご飯になりますね」
~
町長「ふぉっふぉっ、じゃあこの町を全て差し上げましょう」
女帝「えっ、いいの!? さすがにそれはまずいんじゃ……」
執事(あなたが国で一番偉いでしょうに……)
女帝「執事が怪我したら巻いてあげるから、なるべく早く怪我してね」
執事「かしこまりました(絶対イヤだ)」
~
木こり「斧を持ってかれたら仕事ができないんで……。
切り株くらいしかあげるものがないなぁ……」
女帝「じゃあ執事、お願いね」
執事(これ持って帰るの!?)
~
少女「あたしの絵本あげます!」
女帝「ぜひ読ませてもらうね」
執事(もう税でもなんでもないな。というか、切り株重すぎ……!)ヨロッ
女帝と執事の鬼のような徴税に逆らえる領民は、誰一人としていなかった。
女帝「だいぶ税が徴収できたわね」
執事「そうですね……」ドスン
執事「ところで、この切り株はどうするつもりですか?
すんごく重かったんですけど」ハァハァ
女帝「う~ん、そうねぇ……。じゃあ森に戻してきてくれる?」
執事「え……?」
女帝「やっぱり切り株は森にあった方がいいかなぁ~なんて」
執事「え……?」ギロッ
女帝「ご、ごめんなさい。椅子にするから、椅子にするから」
執事「助かりました。あやうく私が反乱軍になるところでしたよ」
女帝「はい、どうぞ」
女帝「たっぷりあるからね」
執事「いただきますっ!」
執事「うまい……うまい……!」モシャモシャ
女帝「もっと味わって食べてよ」
執事「す、すいません。でも、手が止まらないんです!」モシャモシャ
執事「うますぎるっ!」モシャモシャ
女帝「ふふ、ありがとう」
執事(切り株を運んで疲れ切った体に、大根の味が染みわたる……!)
執事「どうでしたか、今日は?」
女帝「うん、とても楽しかった」
執事「そうですか。それはなによりです」
女帝「いつかまた、やってもいい?」
執事「かまいませんが……切り株とかをもらうのは止めて下さいね。
私は明日、両腕を動かせないでしょう」
女帝「分かったわ」
執事「では、おやすみなさいませ」
女帝「おやすみなさい」
帝国の長い一日が終わりを告げた。
ところがおよそ700年前、当時の皇帝は帝国の解体を決意した。
領土や権力の膨らみすぎを懸念しての判断と伝えられている。
皇帝は三人の優秀な部下にそれぞれ領土を託し、国として独立させ、
帝国はいわば三国にとっての象徴として落ち着くことになった。
この三国こそが、帝国を囲む三強国、
『ナイト共和国』『メイジ共和国』『サバンナ共和国』である。
女帝も執事と大臣たちと町を訪れ、祭りを楽しんでいた。
大臣「女帝様、楽しんでおられますかな?」
女帝「うん、とっても!」
執事「さっきからいくら祭りだからって食べすぎですよ……。
太っても知りませんよ?」
女帝「いいじゃない、私痩せてるし」
執事「特に胸は発展途上中ですしね」
女帝「うるさい」
女帝「あら農民、どうしたの?」
農民「あっちで町長が、めったにやらないスーパー町長ダンスを披露するそうっすよ!」
女帝「なにそれ、見たい!」
執事「行きましょうか」
大臣「………」
女帝「大臣はいかないの?」
大臣「私はけっこうです」
大臣(ずっと前、あれを見てトラウマになったからな……)
スゥゥゥパァァァ町長ダンスッ!」
町長「ほあーっ!!!」
スーパー町長ダンスは凄まじかった。
女帝「どうなってるの、これは……」
執事「関節がありえない方向に曲がってますが……目の錯覚ですよね?」
農民「こりゃ、すげえっす……」
八百屋「ひどくひん曲がったきゅうりみたいだ」
町民「これが幻のスーパー町長ダンスか!」
(幻になるわけだ……)
木こり「人間技じゃない……」
少女「ママーッ! 町長さんがすごいことになってるよーっ!」
町医者「まさに人体の神秘……! 医学の常識を超越している……」
老婆「おやおや、町長もまだまだ元気だねぇ」
女帝「え、えぇと……」カチンコチン
執事(さすがに緊張してるな……)
「頑張ってーっ!」 「しっかりー!」 「ゆっくりでいいですよーっ!」
女帝「……こほん」
女帝「今日はとても楽しかったわ。町長のダンスは怖かったけど……。
いっぱい食べて、踊って、笑って……」
女帝「私はまだまだ君主として未熟かもしれないけれど……」
女帝「これからも頑張るので、よろしくお願いしますっ!」ペコッ
「応援してます!」 「こちらこそ!」 「いつでも町に遊びに来て下さい!」
執事(君主の挨拶っぽくはないけど……ま、いっか)パチパチ
大臣「さてと、夜も更けたことだし城に戻るとしようか」
執事「そうですね」
女帝「執事」
執事「はい?」
女帝「前に私、帝国っぽいことをしたいっていったけど、もうやらないわ」
執事「おや、どうしてです?」
女帝「あんなにいい人たちに向けて圧政をするなんて、とんでもないもの。
私は暴君じゃなく、みんなに慕われる君主を目指すわ」
執事「女帝様がそう感じられたなら、きっとそれは正しいのでしょう。
少なくとも私は全力であなたを応援しますよ」
女帝「ありがとう」
執事「では、おやすみなさいませ」
女帝「おやすみなさい」
最初こそ、三国は帝国を中心にまとまり、理想的な関係を築いていた。
しかし、力をつけた三国はいつしか傲慢になっていった。
そして今や、三国にとって、帝国などあってないような存在と化していた。
唯一の幸運といえば、帝国には確かな平和があることであるが、
この平和も決して盤石なものではなかった。
執事「またか……」
大臣「どうしたのかね?」
執事「サバンナ共和国とメイジ共和国の国境で小競り合いがあったんですよ。
この間もナイト共和国の騎士団がわざと他二国との国境線に槍を投げつけるなんて
事件がありましたし……」
執事「このままじゃ……」
大臣「まちがいなく戦争だろうな」
なにもこんな時に……」
大臣「いや、むしろこの時期だからだろう」
大臣「三国はいずれも他の二国を疎んじている。
どの国も来月の大会議で大義名分を作り、戦争を仕掛けたいのだろう。
だからこうやってチマチマ火種を用意しておるのだ」
執事「たしかに……大会議が近づくと三国はいつも険悪になりますしね」
執事「しかし、あの三国に戦争なんてやられたら……」
大臣「この帝国も巻き込まれ、滅亡するだろうな」
執事「……ですよね」
執事「女帝様、来月はこの城に三国首脳が集まり、五年に一度の大会議があります。
初めてのことで大変でしょうが、頑張って下さいね」
執事「たしか、前回の会議は父君である先代皇帝が出られたんですよね。
まだ私が城に務めるようになる前のことですが……」
女帝「うん……」
執事「あ、いや……」
(しまった、亡くなられた両親のことを思い出させてしまったか?)
女帝「戦争……起こるの?」
執事「え?」
女帝「いくら私でも分かるよ。
今度の大会議を、三つの国が戦争のきっかけにしたいことくらい」
女帝「あの三国の仲の悪さは、今まで戦争がなかったのが不思議なくらいだもの」
執事「女帝様……」
女帝「戦争を止める方法はないの!?」
執事「なにをいってるんですか……戦争なんか起きませんよ。
これまでも起きそうで、ずっと起こらなかったじゃないですか」
執事「今回もきっと大丈夫──」
女帝「はぐらかさないで!」
執事「!」
執事「……ないです」
執事「700年前ならいざ知らず、今の帝国にはなんの力もありません。
戦争を止めるだけの権力も、武力も……」
女帝「………」
領土を始めとした諸問題にケチをつけあったりするにちがいありません」
執事「みるみるうちに会議はヒートアップします」
執事「やがて、どこかの国がいうでしょう。“戦争しかない”と」
他の二国ももちろん受けて立つでしょう」
執事「そしてこの三国の象徴たる帝国から、首脳たちは号令を発します。
他の二国を滅ぼせ、と」
執事「こうなったらもう、神ですら戦いを止めることはできません。
拮抗した実力を持つ三国による、戦争の幕開けです」
女帝「そうなったら……どうなるの……?」
執事「何千、何万と人が死ぬでしょうね。
数十年、下手すれば百年以上決着はつかないかもしれません。
あちこちに地獄絵図が広がるでしょう」
執事「………」
女帝「教えて……」
執事「この帝国もまちがいなく戦火に巻き込まれるはずです。
下手すると、最初の戦場がここになるかもしれません。
そうなれば……」
女帝「そうなれば……?」
執事「………」
女帝「みんな、殺されちゃうの……?」
執事「……はい」
女帝「なんであんなに大きく豊かな国同士が戦わなきゃいけないの……?
仲良くすればいいじゃない!」
女帝「なんで町の人々が殺されなきゃならないの……?
悪いことなんて一つもしてないのに……」
女帝「元々あの三国は、この帝国から独立したんでしょう……?
なのに、なんで私はなにもできないのっ!?」
女帝「どうしてなのっ!?」
女帝「教えてっ!」
女帝「教えてよ……執事」
執事「……すいません」
執事「いえ、あなたの疑問はごもっともです。
にもかかわらず、なにも答えられない私が悪いんです」
女帝「………」
女帝「じゃあ、私は自分にできることをする」
執事「え?」
女帝「今のうちに、町のみんなを避難させてくる!」ダッ
執事「えぇっ!?」
農民「ふんふ~ん」
女帝「あっ、農民!」
農民「おや、どうしたんっすか、怖い顔して。もっとスマイルっすよ!」
女帝「来月、この国で大会議があるの、知ってるでしょ?」
農民「もちろんっす。この帝国を囲む三国がやってくるっすよね?」
女帝「多分分かってるとは思うんだけど……。
きっと会議をきっかけにして、あの三国は大きな戦争を起こすの……。
そしたらこの帝国も巻き込まれてしまうわ、だから避難してっ!」
農民「………」
農民「……女帝様はどうするっすか?」
農民「ハハ、じゃあ俺だけが逃げるわけにはいかないっすね。
これでも俺、この国も女帝様も大好きなんすよ。
だから、逃げませんっす」
農民「俺は最後の最後まで、畑を耕すつもりっすよ」
女帝「こ、これは命令なのよっ!」
農民「聞けない命令もあるっすよ。じゃあ、農作業があるんでこれで……」スタスタ
女帝「あっ……」
町民「逃げるのは無理ですね……。自分の命も大切だけど、この国も好きですから
もちろん女帝様のこともね」
~
八百屋「俺はこの国が滅ぶ時まで、八百屋であり続けますよ。
ところでいい人参があるんで、持っていって下さい」
~
町長「ふぉっふぉっ……この国と町がなくなる時は、ワシもなくなる時ですじゃ。
生まれも育ちもこの町ですからな……」
ならば私はここにいなくてはなりません」
~
老婆「私は最後までここに残りますよ……ごめんなさいね」
~
木こり「この国の森にはいい木がいっぱいあるんですよ。
見捨てるわけにはいきません」
~
少女「だいじょーぶ、あたしが女帝さまを守ってあげるから!」
女帝「なんでよぉっ!」
女帝「なんでみんな、逃げてくれないの……!」
執事「それだけこの国とあなたが愛されているということですよ」
女帝「………」
女帝「……だったら」
女帝「私が正真正銘、だれもが認める暴君になれば、
みんな避難してくれるかもしれないってことだよね?」
女帝「私がメチャクチャすれば、みんな帝国に愛想を尽かして
逃げてくれるかもしれないよね?」
執事「……そうかもしれませんね」
女帝「!」
執事「どうしてもやるとおっしゃるのであれば、
前にいったように私を極刑にしてからおやり下さい」
女帝「そ、そんなこと……」
執事「あなたにはできませんよね?」
女帝「………」
執事「この土壇場で皆を裏切って、どうするんですか……!」
女帝「ごめんなさい……!」
女帝「でも……私、どうしていいのか……!」
執事「いくら悩んでも答えが出るものではありません。
とにかく、今夜はおやすみ下さい」
女帝「うん、分かった……」
大勢の兵隊が押し寄せてきた。
10名からなる帝国兵たちは瞬く間に全員殺された。
そして、敵兵は女帝たちがいる部屋になだれ込んできた。
敵兵「死ねっ!」グサッ
大臣「ぐわあぁっ!」
敵兵「あとはお前らだけだ……」
執事「くそっ、町の人々はどうしたんだ!」
敵兵「全員殺したよ。町には火を放った……なにもかも燃えているさ。
すぐお前らもあの世に送ってやる!」
敵兵の槍が、執事の胸を貫いた。
執事「がふっ……! じょ、女帝様……申し、訳あり……」
女帝「し、執事ーっ! 執事ーっ!」
帝国城 寝室──
バタンッ!
執事「どうしましたかっ!」
女帝「ゆ、夢……」ハァハァ
執事「ものすごい悲鳴でしたが、なにがあったんですか!?」
女帝「ううん……ちょっと変な夢を見ただけ……」
執事「そうですか……」
女帝「ねぇ……もう少しだけ、ここにいてくれる?」
執事「かしこまりました」
三国首脳を説得することもできません」
執事「しかし……最後まであなたのおそばにいますから……。
なにもできない私ですが、それだけは必ず果たします」
女帝「ありがとう……」
執事「どういたしまして」
女帝「執事の顔を見て安心したら、眠くなってきちゃった……」ウト…
女帝「ふぁ……」ウトウト…
女帝「すぅ……」
執事(ふぅ、今度は悪夢を見ることはなさそうだな。
おそらく戦争の夢かなにかを見たんだろう……)
執事(どうにかして、不安をやわらげてあげたいものだが……)
女帝「昨日はありがとう。おかげでぐっすり眠れたわ」
執事「それはなによりです」
執事「三国とて戦争が起これば、自国も無事では済まないことは理解しているはずです。
大丈夫、戦争なんて起こりませんよ」
女帝「うん……。今は三国を信じるしかないよね」
執事「さ、今日はいかがいたしましょう?」
女帝「勉強でもしようかな」
執事「ではお食事が済み次第、図書室に向かいましょう」
女帝「うんっ!」
女帝や執事の祈りも空しく、帝国に入ってくるニュースは不穏なものばかりだった。
『ナイト共和国、またも騎士団による挑発行為』
『サバンナ共和国、猛獣軍団を率いて国境にて威嚇行為』
『メイジ共和国、魔法兵らが大規模な魔法実験』
三国とも、帝国での大会議を発端とし、開戦しようとしているのは明らかだった。
そして、ついに誰もが恐れる大会議当日となってしまった。
女帝「いよいよね……」
大臣「おそらく三国とも、ある程度の軍を率いて帝国領に入るでしょう。
会議には私と執事も同席いたします。
護衛として、兵士一名にもついてもらいます」
女帝「うん、分かった」
執事「……兵士、いざとなったら頼むぞ」チラッ
兵士「が、頑張りまーすっ!」ガタガタ
執事(悪いけど、全く頼りにならないな)
大臣(さて、いよいよか……。どうなるか……)
ナイト共和国の元首は大統領である。
大統領「ふん、いつ来てもさびれた国だ。
名目上のこととはいえ、こんな国が栄光ある我が国の宗主国などと
プライドを大いに傷つけられてしまう」
騎士団長「まったくですな」
大統領「もっとも、今日でこの国も見納めだがな。会議が終われば戦争だ。
手始めに騎士団を率いて、この帝国の町を滅ぼせ。
騎士たちのいいウォーミングアップになるだろう」
騎士団長「はっ!」
メイジ共和国の元首は首相である。
首相「ふふふ……帝国解体をきっかけに誕生した三国が、
ついに雌雄を決する時が来たのですね」
首相「これまで戦争は起きそうで起きませんでしたが、今日はちがいます」
魔法兵長「はい、魔法兵団の力を思い知らせてやりましょう」
首相「会議が終わったら、まずはこの帝国の町を焼き払いなさい。
開戦の狼煙代わりになるでしょう」
魔法兵長「おおせのままに」
サバンナ共和国の元首は軍団長である。
軍団長「猛獣どもは?」
部下「みんな腹を空かせてますよ。調教部隊の準備も完了しています」
軍団長「よし、戦争が始まったらこの帝国の人間をたらふく食わせてやれ。
こんなちっぽけな国、もう用はないからな!」
部下「お任せを!」
最初に到着したのは、ナイト共和国の大統領と騎士団長だった。
大統領「おやおや、帝国の方々はもう席についておられましたか。
待たせてしまったかな?」
大臣「いえいえ。さ、どうぞお席に」
大統領と騎士団長が女帝に近づいていく。
大統領「ハッハッハ。ずいぶんと、顔が強張っておりますな。
まぁお嬢さんはそこで座っていればいいのですから、楽なものでしょうな」
女帝「い、いえそんなことは……」
大統領「まだ若いのに一国の君主とは大したものです。
年齢に合わせ、椅子ももっと小さい方がよろしいのではないかな?」
騎士団長「ふっ……今日はジョークが冴えてますな、大統領」
女帝「………!」
大統領たちの態度に、宗主国の君主への敬意は微塵もなかった。
執事(このヤロウ……!)
彼はたしかに女帝を心の中でよく小馬鹿にする。
が、同時に尊敬してもいる。
未熟ながらも毎日君主として務めを果たしている女帝を軽々しく扱われたことを、
どうしても許すことができなかった。
執事「ぶっ、無礼ではありませんか!」
女帝「!」
大統領「!?」
騎士団長「!?」
大臣「!」
兵士「!」
執事「我が帝国は貴国の宗主国であり、女帝様はあなた方の統治者なのです。
その方に対し、そのような軽口を叩かれるとは
あまりにも無礼ではありませんか!」
女帝(し、執事……)
執事(やってしまったぁ~~~~~!)
大統領「これはこれは、申し訳なかった。無礼があったことをお詫びいたします」
(ふん、生意気なことを……)
大統領「おい、騎士団長」パチン
騎士団長「はっ」
執事のもとに、騎士団長が近づいてきた。
バキッ!
執事「がふっ!」ドサッ
騎士団長「失敬、手が滑りました」ツカツカ
執事は騎士団長から裏拳をプレゼントされた。
執事「い、いいんです、女帝様……。
一国の首脳がたかが執事に指摘されて謝罪したんです。
女帝様がこれ以上なにかいえば、敗者に鞭打つことになりますから」
女帝「………」
女帝(ありがとう、執事……)
大統領(なにが敗者だ。この帝国は、騎士団によって今日で滅びるんだよ)
執事(これが精一杯だ……。我ながら情けない……)
しかし、大臣と兵士は執事に向けてさりげなく親指を立てていた。
執事もハンカチで鼻血を拭きながら、彼らに親指を立てた。
彼らもやはり、女帝に対して敬意を払うことはなかった。
帝国陣営──
女帝「………」
大臣「では、三国ともに揃いましたので、大会議を開始いたします」
ナイト共和国陣営──
大統領(いよいよ戦争の始まりか……)
騎士団長(今日から我が騎士団の栄光の日々が始まる……!)
メイジ共和国陣営──
首相(この大会議も今日が最後となりますねぇ……)
魔法兵長(魔法こそ最強の武力だと世に知らしめてやる)
サバンナ共和国陣営──
軍団長(ふんっ、どいつもこいつも我らの餌に過ぎん!)
部下(猛獣ども、もうすぐ大暴れさせてやるぞ)
大統領「さっそくだが、他の二国に申し上げたい」
大統領「我が国が誇る騎士団は世界でもっとも誇り高く、勇猛果敢である。
貴国らの軍隊など、まったく問題にならん」
大統領「貴国らを平定しようと思えば、いつでも平定できる」
大統領「ただし……我が国に主要都市のいくつかを差し出し、
なおかつ毎年貢ぎ物を捧げる……というのであれば、
今後も変わらぬ付き合いをしてもよい、と考えている」
執事(なんつう始まり方だよ……)
軍団長「ハッハッハ、大した自信だな。ナイト共和国」
軍団長「だが、我らの国でも同じことがいえるのか?」
大統領「なんだと?」
軍団長「キサマらの騎士団など、我らの国に組み入れたとしても、
とても危なっかしくて戦場には出せん。
なぜなら、猛獣軍団の方が騎士団より圧倒的に優れているからな」
大統領「ほう……?」ピクッ
もし戦ったなら、騎士のノロマな剣や槍など軽々とかわし、
鍛えた牙と顎で、鎧ごと騎士を噛み砕くだろうよ」
大統領「これは面白い冗談だ。我が騎士団が、ケダモノにやられるなどと……」
軍団長「ケダモノだと……?
どうやら、アンタは訓練された猛獣の知性を知らんようだな。
無知とは哀れなものだ。いや、ある意味幸せなのかもしれん」
大統領「ふん、そんなもの知りたくもない」
軍団長「メイジ共和国の魔法兵団とて同じことだ。
のんびり呪文を唱えている間に、魔法兵は喉笛を噛みちぎられてるさ」
首相「ふふふ……これは聞き捨てなりませんね。
魔法は術者次第では村や町を丸ごと消し飛ばすことも可能です」
首相「鈍重な騎士団や知恵のない獣など、まとめて葬り去れるでしょうね」
基本的な接近戦ができぬ連中など、我が騎士団の神速の突撃によって
瞬く間に打ち砕いてしまえる」
首相「神速の突撃……? ずいぶん笑わせてくれますねぇ。
近づく前に魔法兵に焼き尽くされる滑稽な騎士の姿が目に浮かびますよ」
軍団長「どちらにせよ、接近戦に自信はないというわけだ。
ノロマな騎士団では無理だろうが、猛獣軍団の前ではただの餌だな」
首相「ふふふ、ケダモノなど魔法に怯えてすぐ逃げてしまうでしょうね」
大統領「我が騎士団の突撃の前には、ケダモノの爪や牙など通用せん」
軍団長「ふん。キサマらの国の軍隊など、敵を餌とし進軍する猛獣軍団になすすべなく
食われていくだろうよ」
三国首脳が口角泡を飛ばし、軍事力を誇示し合い、
各々の国が抱える問題点に難癖をつけ合う。
子供の口喧嘩にも似た、強国同士の意地の張り合い。
まもなく始まる戦争の前哨戦として、三国とも他の二国を口でやり込めたいのだ。
いやむしろ、この口論もまた戦争と呼べるのかもしれない。
いうまでもなく、帝国の人間は蚊帳の外である。
口を挟む余地など全くなかった。
大統領「やはり、貴国らとは分かり合えぬ運命にあるようだ。
戦争しかあるまい。我が国の騎士団の恐ろしさを知らしめてくれよう」
首相「ふふふ、やれるものならどうぞおやりになって下さい。
二国とも魔法兵団によって蹂躙される定めなのですから」
軍団長「勝利するのは我がサバンナ共和国だがな。
ナイト共和国とメイジ共和国、ちょうどいい餌場になるだろう」
大統領(騎士団長に命じて、まずはこの帝国を滅ぼすとするか)
首相(予定通り帝国の町を焼き払い、魔法の恐ろしさを見せてあげるとしましょう)
軍団長(帝国の人間どもを、猛獣たちの前菜にしてやる)
会議は終わった。
三国首脳が、それぞれ命令を下そうとする。
その時だった。
女帝「──待ってっ!」
女帝「わ、私はこれでもあなたたち三国を束ねる帝国の皇帝です……。
会議の最後に、私の話を聞いてもらいたいの」
大統領「ほう」
首相「面白い、うかがいましょうか」
軍団長「ふむ」
女帝「……ありがとう」
女帝は席から立ち上がった。
女帝「この帝国が巻き込まれたくないということも、もちろんあるけど、
私はあなたたちにも傷ついて欲しくないの……」
女帝「あなたたち三国が戦争をすれば、どこが勝つにせよ、
大勢の人が死ぬに決まっている……!」
女帝「私は帝国皇帝として、それを見過ごすわけにはいかない!」
女帝「だから……だからっ……!」
女帝「戦争をしないで、欲しいの……!」
息を切らしつつ、女帝は席についた。
執事は女帝が紡いだ言葉の数々に、感動を覚えていた。
執事(勇気を振り絞られましたね、女帝様……)
執事(殺気立つ強国の指導者たちに臆することなく、自分の意見を述べる。
並の人間ではできることではありません。少なくとも私は無理です)
執事(お約束した通り、私は最後まであなたのおそばにおりますよ)
首相「ふふふ、たしかに戦争はよくありませんねぇ」
軍団長「うむ、戦争が始まれば大勢が死ぬことになる」
すぐさま三国首脳は、そばに立つ各々の軍の最高司令官に命じる。
大統領「騎士団長、騎士団をすみやかに帝国から撤退させよ!
むろん、二国に対する挑発行為は、今後厳禁とする!」
騎士団長「はっ!」
首相「魔法兵長、兵団も同じく撤退させなさい。
我が兵団は、今後国内の治安維持を第一に動くのです」
魔法兵長「おおせのままに」
軍団長「猛獣軍団と調教部隊に帰国命令を出せ!
国に戻り次第、ヤツらに存分には肉を与えてやれよ」
部下「お任せを!」
三国の軍隊ともに、あっという間に帝国から撤退した。
また、各国首脳と司令官も女帝に挨拶すると、それぞれの国に帰っていった。
ここ数ヶ月で極限まで達した緊張は、わずか半日であっけなく雲散霧消してしまった。
女帝「みんな、帰っちゃったわね」
執事「えぇ……」
執事(これで、本当に戦争は回避されたのか……?)
執事(いや、和解したと見せかけて奇襲をかける、なんて常套手段だ。
危機が完全に去ったわけではない……)
執事「終わりましたね、女帝様。本当にお疲れ様でした」
女帝「うん……でも、本当に大丈夫かな?」
執事「まだ、なんともいえませんが……」
執事「彼らもやはりここで戦争を始めることはリスクが大きいと、
判断したのではないでしょうか」
何も起こることはなく日は沈み、夜になった。
女帝「おやすみ、執事」
執事「今日は特にお疲れでしょう。ゆっくりお休みください」
女帝「うん、ありがとう」
執事「では、失礼いたします」
執事(今日は本当に長かった……)
執事(しかし、いったいなぜ戦争は回避されたんだろうか?)
執事(あの会議での彼らの殺気が演技だったとはとても思えない……)
執事(いったい三国にはどんな戦略があって、会議を戦争のきっかけにしなかったのか。
気になるが……まさか本人たちに聞けるはずもない)
執事(考えて結論が出るものでもないだろうし……)
執事(私も寝るとするか)
執事(せっかくだから、兵士や大臣にも一言声をかけてから眠るとしよう)
まず、執事は兵士のもとに向かった。
執事「今日はお疲れだったね」
兵士「えぇ、生きた心地がしませんでしたよ。
はっきりいって、今日自分は死ぬと思っていましたし」
執事「私もだよ」
兵士「しかし、最後に女帝様が彼らに自分の意見をいってくれたので、
帝国の人間としてはスッキリしましたよ」
執事「ああ。私でさえ、女帝様が口を開くことはないと思っていたからな」
兵士「では、自分はもう少し城内の警備があるので……」
執事「頼むよ。ではおやすみ」
部屋のドアはわずかに開いており、まだ明かりがついていた。
執事(よかった、まだ起きていたか)スタスタ
すると、部屋の中から大臣の独り言が聞こえた。
大臣「ふぅ……忙しい一日だった」
大臣「これで、また五年間は平和が保たれるというわけか」
執事「!?」
執事(今の独り言、どういうことだ……!?)
一瞬迷ったが、やはり執事は自分の好奇心を抑えることができなかった。
部屋のドアを開く。
ギィ……
大臣「!」
執事「大臣……盗み聞きをするつもりはなかったのですが、聞いてしまいました」
執事「今のは……いったいどういう意味ですか?」
執事「………」
大臣「……まぁ、いいだろう。いずれは君にも話すつもりだった。
そこへかけたまえ」
執事「……失礼します」ガタッ
大臣はゆっくりと息を吐いた。
大臣「さてと」
大臣「君も気になっていたのだろうね」
大臣「なぜ、不可避だったはずの戦争が、回避されたのか……」
執事「当然ですよ。だれもが今日、戦争が始まると思っていたでしょう。
今まで起こりそうで起こらなかった戦争が、今日こそ始まってしまう、と……」
執事「自分なりに考えてはみましたが、答えは出ませんでした。
会議は子供の喧嘩のような有様で、あとはもうゴーサインを待つだけ
という状態でしたし」
大臣「だが、戦争は起こらなかった」
大臣「女帝様が戦争をするな、と訴えたことによって……」
執事「えぇ、女帝様は本当によく勇気を振り絞られたと思います。
三国首脳があの言葉で心を打たれて戦争をやめた、というのは
さすがにないでしょうが……」
大臣「あるんだよ」
執事「え?」
大臣「戦争を回避できたのは、会議の最後に女帝様が不戦を訴えたからに他ならない」
大臣「紛れもなく、女帝様のお力によるものなのだ」
執事「たしかに私は強国のトップたちに向けて、
堂々と自分の意見を述べた女帝様のお姿に感動すら覚えました」
執事「しかし、発言自体は……こういっては失礼かもしれませんが、
勃発寸前の戦争を止めるほどの説得力があったとは思えません」
大臣「君のいうことは正しいのかもしれない。だが……説得力など関係ないんだ」
大臣「女帝様が、三国首脳に向けて命令とも取れる言葉を発した。
この行為にこそ意味があるんだ」
執事「どういうことです?」
執事「大臣の言葉からは、三国の首脳は女帝様にいわれるがままに動いた、
というように聞こえるんですが」
大臣「その通りだ」
大臣「女帝様に命じられた以上、彼らが戦争を起こすことはできない。
この命令の効力は……だいたい五年ぐらいといったところか」
執事「つまり、三国の首脳は女帝様のご命令には絶対服従ということなんですか!?」
大臣「少しちがうな」
大臣「あの命令は首脳に同席していた騎士団長ら軍司令官にも有効だった」
大臣「もっとはっきりいってしまうと──」
大臣「ナイト共和国、メイジ共和国、サバンナ共和国の全国民は、
この帝国の皇帝に命じられたら絶対に逆らえないんだ」
大臣「700年前から……ずっとな」
執事「なっ……!(なんて力だ、まるで神じゃないか)」
大臣「この力は、700年前の皇帝が三国の独立を承認するのと引き換えに、
得た能力とされている。神から授かったという説もある。
以来、歴代皇帝は例外なくこの力を備えているという」
大臣「おぞましい能力だよ」
大臣「当時の皇帝は大きくなりすぎた帝国を危惧して、帝国を解体したんじゃない。
優秀な三人の部下に国を与え、競わせ、そして強くなった三国を
自分の手足のように操りたかったがために、独立させたのだ」
大臣「大会議は帝国と三国が一堂に会する場などではない。
皇帝が三国首脳に、新たな命令を下すための行事に過ぎない」
大臣「だが、700年前の皇帝の思惑とは裏腹に、歴代皇帝は穏健な方ばかりで、
これまで帝国皇帝によって大きな戦争が引き起こされることはなかった。
むろん、私がお仕えした先帝も穏やかな方だった」
執事「ならばなぜ、大臣は女帝様にこのことをお教えしなかったのですか!?」
執事「大臣が女帝様に“大会議で戦争をやめろといって下さい”といえば、
簡単に戦争は回避できたじゃありませんか!」
執事「あなたは悩み苦しむ女帝様を、見て見ぬふりをしていたのですか!?」
執事「!」
大臣「皇帝に自身の力について教えるのは成人してから、という決まりになっている。
それに……」
大臣「私が今のように助言をして、女帝様が戦争を止めたとしよう」
大臣「だが、それはいったいだれの命令だ?」
執事「!」
だからこそ、臣下が立ち入るなど絶対あってはならない。
絶対不可侵の領域なのだよ」
大臣「たとえ女帝様がどんなに平和を望んでいたとしても──」
大臣「我々が助言をし、女帝様に命令させるなど、絶対にあってはならないのだ」
そしてその命令は、女帝様の心から出でたものでなければならないのだ」
執事「たとえこの国が滅んでもですか? 大勢の人が死ぬことになってもですか?」
大臣「そうだ」
大臣「逆に、女帝様が三国を率いて世界中を侵略する、という決心をされたとしても」
大臣「私は止めないだろう」
大臣「むろん、あの三国はこの力のことを知らない」
大臣「この力のことを知るのは、歴代皇帝とごく一部の側近のみ。
歴代の側近は内政はともかく、この力に関しては一切助言をしてこなかった」
大臣「だから、先帝夫妻が不運な事故で亡くなられた時、
私は平和が終わる時が来たのかもしれないと覚悟をしたよ」
大臣「しかも、参加した君ならば分かるだろうが、あの大会議で意見をいうのは
並大抵の胆力ではできないことだからな」
大臣「だが、女帝様はあの場で“戦争をするな”といってくれた」
大臣「だからこうして、我々は昨日と変わらぬ平和な夜を享受することができる」
きっと君のおかげなのだろうと思っている」
執事「私の……ですか?」
大臣「ナイト共和国の連中が女帝様を侮辱した時、君は彼らに抗議をしてみせた」
執事「あれがですか? ただ殴られただけですけど……」
そうなれば、今頃この帝国は火の海になっていただろう」
執事「………」
大臣「疑問を解くはずが、かえって混乱させてしまったようだ」
大臣「さて、ずいぶん話が長くなってしまった。そろそろ眠るとしよう」
この城に雇われましたが……」
執事「もしかして、私の役割ってメチャクチャ重要なのでは?」
大臣「ああ、世界の運命を左右するくらいにな」
世界を征服することすら可能かもしれない」
大臣「だが、私は君ならば信頼できると思って話したまでだ」
(独り言を聞かれてしまった、というのもあるが)
大臣「あとは君次第だ。おやすみ」
執事「は、はい……」
女帝「おはよう、執事」
執事「……お、おはようございますっ! 女帝様!」
女帝「ど、どうしたの!?」
執事「え!?」
執事「ハ、ハハ……私はいつも通りですよ、いつも通り!」
女帝「………」
この日、女帝と執事は町を散策するなどして過ごしたが、
執事はいつものように振る舞うことができなかった。
執事(ダメだ……。女帝様の近くにいるだけで、大臣の話が頭にチラついて
緊張してしまう……)
執事(とはいっても、女帝様が背負われている過酷な運命や、
この帝国や三国の命運の一端を私が握っているということを考えると、
どうしても恐ろしくなってしまう……)
執事(なんだ? 私の寝室のドアに手紙が挟んである)
執事(この字は……女帝様だ!)ピラッ
執事(いつの間に……)
直接いうのがどうしても恥ずかしかったので、手紙にしました。
昨日、会議前に他の国からバカにされた時、本当は泣きそうになっていました。
とても怖くて、悔しかったんです。
でも、執事がすぐに彼らに怒ってくれたから、泣かずに済みました。
本当にありがとう。
今日の執事は少し様子が変だったけど、殴られたところがまだ痛かったんですか?
調子が悪かったら、遠慮せず言って下さい。
私、いっぱいふろふき大根作るから。
私は執事が大好きです。
おやすみなさい。
執事(女帝様に余計な心配をかけてしまって……)
執事(私は三国を操る力を持つ女帝様に仕えているんではなく、
心優しい君主である女帝様に仕えているんだ)
執事(女帝様がどんな力を持っていようと、関係ない。
私にできることは──)
執事(いつものように、女帝様のおそばにいることだ)
女帝(やっぱり手紙なんかやめとけばよかったかな……)
執事「おはようございます、女帝様」
女帝「お、おはよう」
執事「ハハハ、なんだか昨日と逆ですね」
執事「手紙、拝見いたしました。ご心配をおかけして申し訳ありません。
私はもう大丈夫です。昨日は少し風邪をひいておりまして」
執事「ただし、ふろふき大根を食べないと、再発しそうなんですが……」
女帝「分かったわ。今夜作ってあげるから」
執事「ありがとうございます」
大臣(ふふふ、女帝様と執事は、なかなかいい主従関係なのかもしれんな。
帝国の未来に幸多からんことを……)
そして、この三国に囲まれている小さな帝国がある。
帝国を名乗るにはあまりにも小さい、人々から忘れ去られた国家。
いつ壊れてもおかしくない平和だ。
しかし、女帝や執事のような君主と側近がある限り、
この地の平和は守られていくことだろう……。
おわり
かなり面白くて見入ってしまった
Entry ⇒ 2012.03.09 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「捕まった」 エルフ「ふふふ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330343764/
男「(俺のいた国とエルフ族が戦争を始めて約1ヶ月)」
男「(開戦してからしばらくは、我が国とエルフ族の戦力は5分5分だった)」
男「(しかし、しばらくすると強力な魔法を使用してくるエルフ族が優勢となり)」
男「(我が国は劣勢となった)」
男「(そこで政府は数でゴリ押しをするために、俺達一般市民や低階級の者にも召集令状を出した)」
男「(そして俺は戦争に参加するはめになった)」
男「(……現在は本隊からはぐれて迷子中である)」
男「……おーい!誰かいないか?」
男「いい歳こいて、森の中で迷子になるとは……」
男「……めんどくさいから、このまま逃げようかな?」
男「まだ死にたくないし、終戦までどこかに隠れて」
男「終わったら、家で酒でも飲むか!」
男「そうと決まったら早いとここの森から抜けるか!」
男「……」
男「森から出れない……」
男「というか自分がどこにいるのかもわからないのに、迂闊だった……」
グギュルルルルルル
男「……腹減ったな」
男「……ん?なんだ?あれは」
男「とりあえず、中に入ろうかな」
男「……待てよ?これは罠かもしれない」
男「入った瞬間に、背後からやられるかも……」
グギュルルルルルルル
男「……飢え死にするよりはましかもな」
男「お邪魔しまーす……」
男「……誰もいないのか?」
男「……食料は無いかな?」
男「……台所だな」
男「なにかないかな?」ガサゴソ
トコトコ
エルフ「……」
男「うーん」ガサゴソ
エルフ「(戦争がめんどくさいからここの小屋に隠れてたのに)」
エルフ「(まさか人間が入ってくるとは)」
男「なにも無いなー」ガサゴソ
エルフ「(盗人?)」
エルフ「(偵察?)」
エルフ「(……それとも殺しに?)」グッ
男「ん?なんだ?」
エルフ「覚悟!!」ダッ
男「え?」
ゴッ!
ドサッ
男「」ピクピク
エルフ「やっちゃった……」
エルフ「でも、まだ息をしているみたいだし」
エルフ「監視も兼ねて、捕まえておこう……」
____
__
_
ジャリッ
男「ん?……鎖か?これ?」ジャリッ
男「というか、なんで俺はベットに首輪で繋がれているんだ?」
エルフ「起きた?」
男「!?」
エルフ「なにをそんなに驚いているの?」
男「エ……エルフか?」
エルフ「うん」
男「(どうやらこの小屋はエルフの罠だったらしい)」
男「(しかも、相手はエルフ、何をされるかわかったものじゃない、最悪だ)」
男「……殺すのか?」
エルフ「?」
男「エルフ族からしたら、人間は敵だもんな」
男「お前は俺を殺す気だな!」
エルフ「え?、貴方は私を殺しにきたんじゃないの?」
男「……は?」
男「……ちょっと待ってくれ」
エルフ「何?」
男「君は、俺がこの場所を知っていて、襲撃しに来たとでも?」
エルフ「うん」
男「……それは誤解だ、俺は腹が減ってなにか食べ物がないかこの小屋にだな」
グギュルルルルルルルル
男「……」
男「うん」
エルフ「そう……」
男「だったら、この鎖を外してくれないか?」ジャリッ
エルフ「なんで?」
男「俺は君に危害は加えないし、逃げた後もここの場所は誰にも教えないから!」
エルフ「……だーめ!」
男「はぁ!?」
エルフ「逃がした後に貴方がここの場所を誰かに教えないとは限らない!」
男「待ってくれよ!絶対に誰にも言わないから!」
男「ッ!?……そうだよ」
エルフ「なら、ここで窃盗罪で監禁する!」
男「はあ!?冗談じゃない!!」
エルフ「うるさい!盗人!」
男「しょうがないだろ!腹が」
グギュルルルルルルル
男「……減ってたんだから」
男「っおい!どこに行くんだよ!」ジャリッ
男「おい!」
男「(ったく!なんなんだよ!この状況!ついてねぇ!)」
男「(まさかエルフに捕まるとは……)」
男「(……このまま放置されて餓死するのか?俺は)」
__________
_____
___
_
男「(エルフは外に出たっきり戻ってこない)」
男「(本気で俺を餓死させるつもりか……)」
グギュルルルルルルルル
男「(……喉が渇いた、腹が減った)」
男「(思えば、最後に飲んだのは川の水だな)」
男「(あれはクソ不味かった、泥の味しかしなかったし、硬水だし)」
男「(あんな水が最後の晩餐になるとは……)」
ガチャッ
男「!?」
男「……」
エルフ「……寝てるのかな?」
エルフ「……出来たら起こせばいいかな?」
ザクッザクッザクッ
男「(向こうの部屋から刃物で何かを切る音がする……)」
男「(……殺されるのか?俺は)」
男「(あっちでなにかやっているみたいだが)」
トコトコトコトコ
男「(おっと……)」
男「……」
エルフ「おーい」ユサユサ
男「(揺するなよ……)」
エルフ「ご飯できたから起きてよ」ユサユサ
男「(……え?)」
エルフ「うん、お腹空いてたみたいだしね」
男「毒でも入れてるのか?」
エルフ「入れるわけないでしょ」
男「……信用できないな」
エルフ「……」スッ
男「?」
エルフ「はむっ」パクッ
エルフ「信用してくれないから、毒味してあげてるの」モグモグ
男「……わかったよ、食べるよ」ジャリッ
男「……首輪のせいでそっちのテーブルまで行けないんだけど」
エルフ「わかった」トコトコ
男「?」
エルフ「はい、あーん」スッ
男「……別に手は自由だからそこまでしなくても」
エルフ「いいの!」グイッ
エルフ「あーん」スッ
男「……早い、味わわせろよ」
エルフ「……で、味はどうなの?」
男「……」モグモグ
エルフ「早く」
男「塩味が薄い」
エルフ「……ちょっと待ってて」トコトコ
男「?」
エルフ「塩」
男「……でかい箱だな」
エルフ「はい」ドバッ
男「うわ!?料理に大量の塩を入れるな!」
エルフ「え?味が薄いっていうから」
男「限度を考えろよ!」
エルフ「……ふふふ」クスクス
男「なんだよ」
男「……うるせえ」
エルフ「もうご飯食べさせてあげないよ?」
男「それは困るな」
エルフ「正直だね」スッ
男「ったく……」パクッ
男「っ!?」ビクッ
エルフ「どうしたの?」
男「……しょっぱい、水くれ」
エルフ「はいはい」トコトコ
エルフ「何?」
男「……トイレ行きたいんだけど」
エルフ「へ?」
男「トイレ」
エルフ「行けばいいじゃん」
男「首輪」ジャリッ
エルフ「あっ……」
エルフ「……」
男「な?」
エルフ「だめ、逃げないとは限らないし」
男「……」
エルフ「図星ね」
男「じゃあ、漏らすわ」
エルフ「それもダメ!」
男「なんか、首輪したままトイレって落ち着かないな」シャー
エルフ「しょうがないじゃない、逃げるかもしれないし」
男「……ペットの気分だ」シャー
エルフ「ふふふ、いい気味ね人間」
男「なんだと!」クルッ
エルフ「うわあ!?おしっこかけないでよ!」
男「うるせえ!エルフ風情が!」シャー
男「ごめんなさい」
エルフ「別にペットらしくその汚いものを切ってもいいのよ?」
男「すいませんでした、早くそのナイフをさげてください」
エルフ「……次は許さないから」
男「(危うく男の勲章を失くすとこだった)」フゥ
男「俺も体洗いたいな」
エルフ「だめ!逃げられるかもしれないし」
男「……汚くなるぞ?」
エルフ「別に!捕虜みたいなものだもん!」
男「いいんだな?臭くなるし、部屋の中が蛆とハエだらけになるぞ?」
エルフ「……それは困るかも」
男「だろ!」
エルフ「なに?」
男「なんで首輪に手錠までしなくちゃいけないんだ?」
エルフ「背後から襲われたら困るし」
男「だかからって、森の中を両手を封じながら歩くのも危険だと思うが」
エルフ「別にいいの!」
男「……はぁ」
エルフ「こっち見ないでよ?」
男「……だったら首輪の鎖を手から離せばいいじゃないか」
エルフ「だめ!逃げるし」
男「……へいへい」
男「(いくら相手がエルフといえど、女の裸は見たいな)」
エルフ「……見ないでよ?」
男「(見たくなるんだなそれが)」
男「……」チラッ
男「(悪くは無いな)」
男「(もう少し、胸にボリュームが欲しいところだが)」
エルフ「?」
男「(おっと)」スッ
エルフ「気のせいかな?」ゴシゴシ
男「(もう少し堪能しようか)」ジー
男「おう」ニヤニヤ
エルフ「なんでニヤニヤしてるの?」
男「なんでもない」ニヤニヤ
エルフ「そう」
男「そうだ」
エルフ「なに?」
男「俺の裸をじろじろ見るのは止めてもらいたいんだけど」
エルフ「目を離したら逃げるじゃん」
男「見られながらだと、なんか落ち着かないんだよ」
エルフ「ダメ!」
男「ったく……」
エルフ「(男の人の裸……)」ジー
エルフ「ええ」ニヤニヤ
男「なんでニヤニヤしてんだ?」
エルフ「なんでも」ニヤニヤ
男「そうか」
エルフ「そうよ」
男「ベットは一つしかないけど」
エルフ「……うーん」
男「いいよ、俺は床で寝るから」
エルフ「だめ!逃げるかもしれないし!」
男「じゃあ、どうするんだ?」
エルフ「私が隣で見張っていればいいじゃない」
男「……添い寝?」
エルフ「うん」
エルフ「zzz」
男「(なんで俺はロープでグルグル巻きなんだ?)」
エルフ「zzz」
男「(寝顔もかわいいなコイツ)」
男「(少し、ムラムラしてきたけど)」
男「(これじゃあ、身動きがとれない)」
男「……」ボー
エルフ「寝不足?」
男「まあな」
エルフ「……朝ご飯作ってくる」トコトコ
男「(昨日は結局寝れなかった)」
男「……今のうちに」ゴソゴソ
男「……」シュッシュッシュッ
エルフ「ねえ」
男「うわあああああああああああああああああああああああああ!?」
男「(危ねえ……危うく見られるところだった)」ゴソゴソ
エルフ「なにか隠してるの?」
男「いや?なんでもない」
エルフ「そう」トコトコ
男「……迂闊にオナニーもできん」
_________
______
___
_
男「(エルフはあれからも俺の首輪は外さなかった)」
男「(しかし、だんだん料理も俺好みの味付けになってきている)」
男「(オナニーできないのを除けば、マシかもしれない)」
男「(添い寝さえなければ!!)」
男「むぐっ」パクッ
エルフ「じゃあ食器片付けるね?」トコトコ
男「ああ」
男「(完全に介護生活になってきている)」
男「(しかし、ムラムラは収まらない)」ムラムラ
エルフ「ねえ」
男「なんだ?」
エルフ「さっき森の中でこんなものを拾ったんだけど」スッ
エルフ「へーこれお酒なんだ、フタが空かないけど」
男「まかせろ」グッ
キュポン
男「フタが空いたぞ」スッ
エルフ「わーい!お酒飲んでみたかったんだ!」
男「飲んだことないのか?」
エルフ「うん」
エルフ「どうしたの?」
男「ん?戦争が終わったら自宅で酒でもゆっくり飲んでたいなと思ってさ」
エルフ「自宅……」
男「ああ、戦争が終わったら家に帰らせてくれよ?」
エルフ「……うん」
男「?」
男「はいはい」
エルフ「うぐっ」ゴクゴク
男「っ!?直接ビンで飲むなよ!」
エルフ「っぷは!おいしいねこれ!」
男「……満足したようでなにより」
エルフ「ウグッ!」ゴクゴク
男「……俺の分は?」
男「全部飲みやがった……」
エルフ「……」
男「どうした?」
エルフ「……ウプッ!?」
男「っおい!はやくトイレ行け!」
エルフ「っっっ!!」ダダダダダダ
オエー ビチャビチャ
男「イッキ飲みなんてするから……」
エルフ「……」ゴクゴク
男「まったく……」
エルフ「……ねえ」ボソッ
男「なんだ?」
エルフ「貴方は、この戦争が終わったら帰るの?」
男「は?」
エルフ「ここは嫌?」
男「何言ってるんだ?」
男「お前何言って」
エルフ「……///」ポー
男「(こいつ、酔ってる!?)」
エルフ「……」トコトコ
男「おいっ!?なにするつもりだ!!」
男「顔を近づけるな!!」
エルフ「グヘヘヘヘ」グググ
男「おい!やめ」
ブチュ
男「っ!?」ジタバタ
エルフ「っ……はぁ……はぁ……」クチュクチュ
男「(ゲロ味のディープキス!?)」
エルフ「っ……はっ……はあ……」クチュクチュ
男「(でも止めてほしくない!不思議!)」クチュクチュ
エルフ「っぷは!」チュポン
タラー
男「……糸すげー」タラー
男「うおっ!?」ドサッ
エルフ「げへへへへへへ」ジー
男「……なんで、俺のソーセージ様を見ているんだ?」
エルフ「……」スッ
ジィー
男「チャックが!?」ボロン
エルフ「グヘヘヘヘヘヘ」ガシッ
男「ひうん!?」ビクッ
男「っっっフェラだと!?」
エルフ「……んっ……ん」チュポッチュポッ
男「おおうっ!?」ビクッ
男「(なにげにうまいぞこいつ!)」
エルフ「んっ……んっ」ジュルジュル
男「いっ!?」ビクッ
エルフ「んん……んっ……んっ」チュポッチュポッ
男「うおうっ!?」ビクッ
男「もう無理いいいいいいいい!!」ビクッビクッ
ドビュルルルルルル
エルフ「うんんんんっ!?」ゴクンッ
男「……全部飲みやがったコイツ!!」
エルフ「……ウプッ!?」
男「っ!?トイレ!」
エルフ「ううううっ!!」ダダダダダダダダダ
オエー ビチャビチャ
男「なんか……吐かれると悲しいな」
男「はい水」スッ
エルフ「んっんっ」ゴクゴク
エルフ「……」コトッ
男「……あのー」
エルフ「……私ね」
男「ん?どうした」
エルフ「貴方に行ってほしくないの」
男「は?」
男「……なんでだ?」
エルフ「……貴方とここ一ヶ月過ごして、楽しかったの」
エルフ「今までロクに異性と話した事もなかったし、人間とも」
男「……」
エルフ「私、戦争に参加したくなくて、この小屋に逃げてきたの」
男「まあ、俺もだな」
エルフ「そして、貴方に出会った」
男「……」
男「監禁だけどな」
エルフ「……どっか行ってほしくなかったから」
エルフ「貴方といるとポカポカするの」
男「……」
エルフ「心が、体が」
エルフ「ねえ」ジワッ
エルフ「どこにも行かないでよ」ポタポタ
エルフ「え?」ポタポタ
男「俺はどこにも行かない、お前と一緒に居てやる」
エルフ「いいの?」ポタポタ
男「ああ、どうせ自宅には誰もいないからな」
エルフ「本当?」
男「うん」
エルフ「っ!!」ダッ
男「うおっ!?急に抱きつくな!」
エルフ「……うれ…し」ダキッ
男「……っふう」ナデナデ
エルフ「……なんで?」
男「いいから」
エルフ「……わかった」カチャ
男「っ隙あり!」ドンッ
エルフ「キャッ!?」ドサッ
男「ふふふ、形勢逆転だな」
エルフ「……何を?」
男「さっきは一方的だったからな!今度は俺からやらせてもらおうか!」ガバッ
エルフ「……好きにしていいよ?」
エルフ「……はい」ヌギヌギ
パサッ
男「……わんだふぉ」
エルフ「……///」モジモジ
男「……触っていい?」
エルフ「……はい///」
エルフ「ひうんっ!?」ビクンッ
男「どうやら胸が弱いとみた」ツンツン
エルフ「むっねばかりっは!やめてっ!!」ビクビク
男「じゃあ、下の口でも見ようか、足広げて」
エルフ「……///」バッ
男「(見事なM字開脚だ!)」
エルフ「……そんなに、見ないでよ!///」
男「ターゲット!ロックオン!」
エルフ「?」
男「フィンガーロケット発射!!」シュッ
クチュ
エルフ「っ!?」ビクッ
男「まだ、9発も残しているぞ!ぐふふふ!」
エルフ「……ふぇ?」
男「下のお口に俺がディープキスでもしてやろう」
エルフ「え?」
ペチャペチャ
男「ふへへへへへ…ほうら!」ペロペロ
エルフ「うっ…ん……んん」ビクビク
男「舌突撃!」ジュプ
プッ
男「」
エルフ「……あの?」
男「(臭い!?臭い!)」
男「ウプッ!?」ダダダダダダダダ
エルフ「ちょっと!?どこ行くんですか!?」
オエー ビチャビチャ
エルフ「」
エルフ「……」
男「……ごめん」
エルフ「……流石に吐くのは引くよ」
男「……悪い、まさかあんなに臭いとは」
エルフ「……」
男「続きしようか」ドンッ
エルフ「えっ!?」ドサッ
エルフ「……吐いてる間に自分でしたから」
男「そうか……していいんだな?」
エルフ「どうぞ」ニコッ
男「入れるぞ?」グッ
エルフ「……多分そこは尿道」
男「おお、確かに小さいな、これか」ズプッ
エルフ「いっ!?」」
男「……もしかして、初めてなの?」
エルフ「っうん!……っはぁ…はぁ」
男「……ゆっくりのがいいか?それともイッキか?」
男「てえいっ!!」ズンッ
エルフ「ひぎいいいいいいぃっ!?痛い!?」ビグンッビグンッ
男「今まで監禁されてきたんだ、言うとおりにすると思うなよ!」パンパンッ
エルフ「あっ……あんっ……ああ…んっ///」パンパン
男「……もう感じてるのか、早いな」パンパン
エルフ「ひっ……んんっ…あああっ///」パンパン
男「俺も、もうそろそろ限界が!!」パンパン
エルフ「あんっ……あひぃ!?///」パンパンパン
男「しかし、まだ行けるうううううううう!!」パンパンパンパンパンパンパン
エルフ「ひいいいいいいぃん!?/////」ビクビクッ
男「と、ここで限界だああああ!!」ドビュルルルルル
エルフ「中に来てるううううううう!?」ビクビクンッ
エルフ「……」グッタリ
男「勢いで中に出してしまった……」
エルフ「……zzz」スゥスゥ
男「寝たか……」ナデナデ
男「……心配するな、お前と一緒に居てやるよ」
________
_____
__
_
男「(一度、エロイことを覚えたエルフは)」
男「(あれから毎晩毎晩体を求めてきた)」
男「(……それを断りきれない俺だった)」
男「(そしてまた、首輪を付けられた)」ジャリッ
男「食料を探しにいくといったきり帰ってこない」
男「……なにかあったのか?」
ガチャッ
男「エルフか?」
男「え?」
兵士「おいっ!大丈夫か!」ダッ
男「え?なんでうちの国の兵士がここに?」
兵士「来てくれ!ここに囚われている男を見つけたぞ!」
男「待て!なんの話だ?」
兵士「助けにきたんだ!」
男「助け?俺は助けなんていらない!」
男「俺はここにエルフと住んでいるだけだ!」
兵士「……こりゃ、幻術にやられているな」
男「は?」
兵士「安心しな、さっきそこら辺でお前を監禁していたエルフを捕らえたんだ」
兵士「もう大丈夫だ」カチャカチャ
男「……」
兵士「ほら、こんな薄暗い所から早く出よう」
男「……」スタスタ
兵士「(こりゃ、精神的にやられてるな)」
男「(今はエルフ族の残党狩り)」
男「(エルフは見つけしだい、オスは殺し、メスは奴隷にする)」
男「(……人間側の大勝利)」
男「(結局俺は、エルフの姿を見ることなく国に帰ることになった)」
男「(……約束したのに)」
店主「おいおいお客さん、もう何杯目だ?」
男「うるせぇ!さっさとだせよ!」ドンッ
店主「ったく……」ゴソゴソ
男「……」ヒック
男「(酒を飲んでもイライラする)」
男「っんむ」ゴクゴクッ
男「(胸がモヤモヤする)」
男「……夜か」ヨロヨロ
男「帰るか……」ヨロヨロ
男「どこに?」
男「あの小屋に?エルフはもういないのに」
男「それとも、あの寂しい我が家か?」
男「俺はどこに行きたいんだ?」
男「……」ヨロヨロ
男「わからない」ヨロヨロ
______
___
_
男「……いつの間にか階段で寝てたのか俺は」
男「……あいつはもういない」
男「いない」ジワッ
男「……いいじゃないか、監禁されてたのから脱出できたんだ」ポタポタ
男「なに……泣いてるんだ?俺」ポタポタ
男「ああ、これは嬉し泣きか」ポタポタ
男「あははははははははははははははははは!」ポタポタ
男「はははははははははははあはっはははは!」ポタポタ
ドンッ!
「っ気をつけろ!クソが!」
男「……」ヨロヨロ
「おいっ!調子乗ってんじゃねえぞ!」
バキッ!
男「ぐっ!?」ドサッ
「ざまあみろ!」ペッ
男「おえっ!」ビチャビチャ
男「……飲みすぎたか」
『イッキ飲みなんてするから』
男「……っはは!エルフの事言えないな!俺も!」
男「エルフはもういないのにさ!」
男「あいつも今頃奴隷に……」
男「……奴隷か」
男「……ああ、なんだ、アイツに会うのは簡単なことじゃないか」
エルフ「(捕らえられてもう1週間)」
エルフ「(私以外の仲間はほとんど売られてしまった)」
エルフ「(どうやら、処女とやらはとても貴重品らしい)」
エルフ「(そうじゃない私はまだ誰にも買われてない)」
エルフ「(……あの人はどうしているのだろう)」
「いいのかい?まだ新築みたいだけど」
男「ああ、なんなら家の中身ごとくれてやる」
「そうか」
男「いくらだ?」
「ほれ」スッ
男「……結構あるな」パラパラ
「まあ、それくらいあったら、中古のエルフくらいは買えるな」
男「中古か……」
トコトコ
エルフ「(……誰か来た)」
商人「お前を買う奴が現れた、出ろ」
エルフ「(とうとう、買われちゃうのか)」
商人「ったく、珍しい客だ、わざわざ中古を買うなんて」
商人「まあ、在庫処分になっていいけど」
エルフ「……」トコトコ
エルフ「……はい」
商人「まあ、悪く思うなよ」
商人「呪うなら、自分の運命でも呪いな」
エルフ「……」トコトコ
ガチャッ
エルフ「……なんで貴方が?」
男「俺がお前を買ったんだよ」
エルフ「……」
男「なんだ?」
エルフ「……」ポタポタ
男「うおっ!?泣くなよ!」
エルフ「なんで……買ってくれたの?」ポタポタ
男「……言ったじゃねえか」
エルフ「え?」ポタポタ
エルフ「っわあああああん!」ガシッ
男「おい!いきなり抱きつくな!」
エルフ「怖かった!知らない人間に買われてどんな目にあうか想像してたら!」ポタポタ
男「……」ナデナデ
エルフ「もう、貴方に会えないと思ってた!」ポタポタ
男「……」ギュッ
エルフ「でも!会えた!」ポタポタ
男「……そうだな」
_________
_____
___
_
エルフ「いいの?」
男「なにがだ?」
エルフ「あんなボロボロの小屋よりも、街のほうが」
男「……あの国には奴隷にされたエルフがたくさんいる」
エルフ「……」
男「正直見てるとさ、胸糞悪いね、俺もお前もな」
エルフ「……うん」
男「それに、お前を奴隷だとは思いたくない」
男「おっ、本当だ」
エルフ「……本当にいいの?」
男「……いくら小奇麗な家にいたって、この小屋での思い出には匹敵しない」
エルフ「……」タタタタタ
男「いきなり走ってどうした?」
エルフ「おかえりなさい!」
男「……っはははは!」ケラケラ
エルフ「笑わないでよ!」
男「悪い、あまりにも予想外すぎて」
エルフ「……返事は?」
男「ただいま!」
おしまい
いちゃラブ後日談とかあると嬉しい
ちょっと森の中駆け回ってくる
途中どうなるかと思ったがハッピーエンドでよかった!
コンコンコンコン
男「……」コンコンコンコン
エルフ「ねえ」
男「今、とても集中しているんだ、後で」
エルフ「……ねえ」
男「なんだよ!」
エルフ「板の向き逆だけど」
男「うおっ!?」
男「……」
エルフ「なにこのオブジェ、カクカクだけど」
男「俺の……自信作です」
エルフ「へえ」ゲシッ
ガシャン
男「うわあああああ!?マイチェアーが!!」
エルフ「……手先が不器用なんだから変なことしないの!」
エルフ「ご飯できたから、家に入ろうよ?」
男「飯か」スクッ
エルフ「……立ち直り早いね」
男「まあな」
エルフ「ふふふ」
男「笑うな」
エルフ「……」ジー
男「どうした?」
エルフ「あーん」スッ
男「……またそれか」
男「あむっ!」パクッ
エルフ「ふふふ」
男「まったく……」
男「なんだ?」
エルフ「……」チョンチョン
男「ん?腹を指刺してどうした?」
エルフ「……できたの」
男「へ?」
エルフ「赤ちゃん」
男「え」
男「えええええええええええええええっ!?」
エルフ「うん」
男「うわああああああ、今のうちに名前を考えないとおおおおお!!」
エルフ「慌てすぎ」
男「いやいや、だってだって!俺とお前の子だよ?そりゃうれしいさ!」
エルフ「そうね」
男「いやっほおおおおおおおおおおおお!」ダダダダダダダダダ
男「また首輪かよ」ジャリッ
エルフ「しばらく反省!」
男「とほほ、捕まった」
エルフ「ふふふ」
おしまい
Entry ⇒ 2012.03.08 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
風呂桶「は、入っちゃらめぇぇええ!!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1329407550/
このSSはSS深夜VIPのSSです
風呂桶「あっ、こんばんわ。男さん。」
男「おう、今日もシャワーな。」
風呂「は・・・・はい・・・・・・。」
シゃー・・・・・
風呂「(男さん、最近全然お風呂に浸かってくれない・・・)」
風呂「(忙しいのは分かるけど・・・なんだか、焦らされてるみたいで・・・・)」
風呂「あ、あの男さん・・・?」
男「どうした?」
風呂「その・・・た、たまにはお風呂に浸かっていきませんか?」
風呂「血行も良くなりますし、寝つきもいいですよ?」
男「ん~、明日も早いしなぁ・・・また今度な?」
風呂「はい・・・・わかりました・・・・・・(ダメ!もっと積極的に攻めなきゃ!明日こそ!)」
風呂「男さん!」
男「な、なんだよ・・・」
風呂「今日こそはお風呂に浸かってもらいますからね!」
男「わ、わかったよ・・・・」
風呂「(やった!これで男さんと・・・・ふふふふふ)」
男「じゃあ、お湯張るからちょっと待ってろよ?」
風呂「はい。」
ジャー・・・・・
風呂「んっ・・・・熱いのがいっぱい・・・・・」
男「おう、じゃあ浸かるとするか。」
風呂「えっ、きゅ、急にそんな・・・・ひぐぅっ!!」
ざばーん・・・・
風呂「お、男さんが入ってくるぅ!!びちょびちょの私の膣中に入ってくりゅぅ!!」
男「はぁはぁ・・・・久しぶりに風呂に浸かると、息切れするな。」
風呂「そ、そうですね・・・・はぁはぁ・・・・・」
男「PSPでもするか。ZIPロックで防水は万全だ。」
風呂「はい!もっと楽しんでいって下さいね♪」
風呂「(でも、なんだか物足りない・・・・そうだ!)」
男「あぁ、そういえばそんな機能もあったな。よろしく頼むよ。」
風呂「任せてください!」
ゴポポポポポポッ・・・・・
男「あ、あのさ・・・・」
風呂「ハイ、なんでしょうか?」
男「どうい、して俺の股間ばかり狙うんだ?」
レポートが字bdが美r地やお
>レポートが字bdが美r地やお
なんじゃこりゃあああ
酒飲んでて記憶に無い・・・
恐らくこの後爆睡てしまったんだ。
無視してくんろ
男「いや・・・・気持ちいいんだが、なんつーかこう・・・・。集中できないんだが。」
風呂「ごめんなさい・・・(久しぶりすぎてちょっとやりすぎちゃったかなぁ・・・)」
風呂「男さん、気持ちいいですか?」
男「あぁ・・・。ただ、ちょっと湯加減がなぁ・・・。温いかもしれない。」
風呂「わかりました、すぐ温めます!」
男「あぁ、いい感じだ・・・。」
風呂「あ、熱いぃー!あはぁっ!あっあっ!!熱いのがいっぱいぃ!!」
男「だ、大丈夫か?」ざばざば
風呂「う、動いちゃだめですぅっ!膣中がぁ!膣中が擦れてぇ・・・ひぐぅっ!!」
風呂「そ、そんなことは・・・・はぁはぁ・・・・・」
風呂「そんなことより、男さん最近お仕事の方はどうですか?」
男「ん~、まぁぼちぼちかな。そっちは?」
風呂「ぼちぼちです!男さんが久しぶりにお風呂にちゃんと浸かって貰えたんで」
風呂「今日はとっても嬉しいですけど・・・。」
男「やっぱり入ったほうが嬉しいのか?」
風呂「い、いえ・・・無理に入らなくてもいいんですよ?ただ、嬉しいだけです。」
風呂「次は、気が向いた時でいいので・・・・。」
男「わかった。」
ごぽぽぽぽぽぽ・・・・
風呂「えっ!?はぅうううう!!」
風呂「お、男さんのエキスが溶け出したお湯があああでてりゅううう!!」
風呂「いっぱい、いっぱいぃ・・・・はうぅうううっ!もっと!もっと出してぇっ!」
男「(これが苦手なんだよなぁ・・・・)」
風呂「すごいたくさん・・・・出てりゅ!出てりゅぅうううのぉおおお!!」
こぽぉ・・・・
風呂「はぁ・・・・はぁ・・・・・・す、すごく良かったです・・・・・・・。」
男「なぁ、風呂桶。ここが弱いのか?」
風呂「ら、らめぇ!配水管さわっちゃらめぇぇええ!!」
男「じゃあ、ここに俺のナニを入れればどうなるかな?」
風呂「汚いです!汚いから止めて下さい!!」
男「そんなこと無いよ・・・風呂のここ、すごく綺麗だ・・・・。」
風呂「う、嘘です・・・そんな・・・はぅっ!」
男「ほら、全部入ったぞ?淫乱な風呂桶だなぁ、お前は。」
風呂「お、男さんだから・・・・男さんだからいいんですよぉ・・・・。」
男「風呂桶・・・・。」
風呂「お、男さんの固いのがぁ!私のパッキンに当たってぇ!はぅぅうう!!」
男「そ、そろそろ出るぞ・・・!」
風呂「下さい!男さんのおちんぽミルクいっぱいぃ配水管に下しゃいぃっ!はうぅ!!」
男「・・・・くっ!」どぴゅどぴゅ
風呂「出てりゅぅっ!いっぱい男さんのおちんぽミルクが出てりゅぅううう!!」こぽこぽ
男「なかなか良かったぞ。風呂の膣中・・・・。」
風呂「本当ですか?毎日してくれてもいいんですよ・・・?私妊娠しませんし・・・その、膣中に出しても・・・。」
男「そうだな。じゃあこれからはそうさせてもらおうかな・・・・。」
風呂「お、男さん・・・・これからは毎日お風呂入ってくれると嬉しいです・・・。」
男「さすがにそれは時間的に・・・・。」
風呂「勝手にガス代上げちゃいますよ!」ぷんぷん
男「わかったわかった・・・できるだけ入るようにするよ」
風呂「えへへ、男さんありがとうございますぅ~」
END
これは…
今学校だけど
ふぅ…
\ ,-/ _/ ,,‐''-''ヽ ,,-‐'''‐-、 /ノ / ノ / /,,-─/
/ / '" / / ,,-、 /、ヽ\ ゙i;,-''" / ./ /─''''" ̄ ,,/
おい・・・ / ./ / ,,,-‐'"-/ / ./ ゙" "\ ゙i;, | 、// / " ,,,/
/ ,-''/ / ,,-''"_ / // ヽ l / レ'/~ /‐/
/ / | l| ,,-'"/゙/,」| / ..::;;;,,, } / |~ ,,-‐,,,-''' //~
/ /-'''''| | /l /‐'''/'' .人 i' .:: :;'" / / l ノ゙i// ,,-‐'"──==
//'" ゙i;: | /‐' ./,, ,,ノ ゙i;,. | _,,-ヾ.// ノ ,-''" l | ‐'" ,,,-‐二
レ' ヽl:i' ./ )'、‐,\゙i;: | ,,,-‐二-┬ナ" /‐'"‐ 〉 ,i'───'''" ̄~-''"
,-‐',ヽ|'" ./゙ヽ-ゝ='\゙i,'''ヽ -゙=‐' '" ,‐'ノ,, /‐''" ,,-‐'''"~
/ / ;;:. ──ヽ, ゙i;'''''' , ゙ "-‐'''''""" 〔_,/ ゙ヽ'-'"~ おめぇら、ココ
/ / / ,; ,,_}_ ゙、 ./__,, _,, / \
,;' / ,;;;:;:/;: ,, ~ ヽ ヽ. ヽニ‐'、 / / ゙i,_ おかしいんじゃねぇか?
./ '' ,l,,,,,,/ 〉 ゙ヽ、 '''' :;l ,,-''" / ゙i.\
/ / ヽ / ゙ヽ、--イ~;;:'" // ::;:;:;: | \
i /  ̄ ゙̄" |;:" // ヽ-‐'''"~l|
./ ゙''''ヽ、,,-‐''" .i /,;'" _,,,,,,,,,_,,,-‐'''-''"~ |
(" ̄"'''''‐--、,,_i' // '",,-─'''" ,,,-‐'",-‐'" ,,,,-‐ .___|
i' ゙'':::::::::::::::::::::::} _/''-'''"~ ,,,-‐'",,-'''" ,,,-‐二-‐''''" ゙ヽ
Entry ⇒ 2012.03.01 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
村娘「魔王軍との戦争で村は未亡人だらけです」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328891310/
はぐれ勇者「つまり、セックスしまくればいいんだな!?」
村娘「え?いや、それは……」
はぐれ勇者「とりあえず君、そこの茂みに行ってみようか」
村娘「はぁ、いいですけど…」
はぐれ勇者「はぁー、気持ち良かった…」
村娘「それはなによりです」
村娘「では、これから末永く可愛がってくださいね?」
はぐれ勇者「え?」
村娘「掟です。この村では、身体を許した相手と必ず結婚し、どちらかが死ぬまで愛し続けなければならないのです」
はぐれ勇者「マジかよ、俺のハーレムどこいった」
村娘「ただし、大物の魔物の首級を一つ上げる度に、男性は妻を一人増やす事ができます」
はぐれ勇者「この辺りで大物というと…」
村娘「ドラクエでいうボストロール的な奴ですね」
はぐれ勇者「………もしかして、この村に男がいないのって」
村娘「皆欲望に忠実な方達でした」
村長「ふぅん、お前が村娘の夫か」
はぐれ勇者「まぁ、一応」
村娘「一応?」ギロッ
はぐれ勇者「夫です、間違いありません」
村長「ふむ、そのヘタレっぷり、なかなか可愛いのう」
はぐれ勇者「えへへ」
はぐれ勇者「えっ、マジ?」
村娘「マジです」
村長「まぁの」
はぐれ勇者「多く見ても30代前半くらいなんですけど」
村長「触ったり舐めたり挿したりして確かめてみるか?」ヌギッ
はぐれ勇者「是非!」
村娘「殴りますね」
はぐれ勇者「ご、ごめんなさい…」
村長「私はいつでもウェルカムだぞ」
はぐれ勇者「ぐぬぬ…」
村娘「お帰りなさい、あなた」
はぐれ勇者「ただいま…」ヨロッ
村娘「今日もボロボロですね。回復呪文をかけてあげます」キラキラ...
はぐれ勇者「ふいぃぃ…。助かったぁ…」
村娘「毎日精が出ますね。そんなに村長を娶りたいのですか?」
はぐれ勇者「村長もそうだけど、出来るなら村の人全員と関係を持ちたいよ」
村娘「私だけでは不服だと?」
はぐれ勇者「村娘は一生手放したくないくらい愛してるよ」
村娘「そ、そうですか……」ポッ
はぐれ勇者「でも、男として生まれたからには、たくさんの女性とセックスしたいんだ」
村娘「はぁ…」
はぐれ勇者「さ、それは置いといて、早く晩御飯にしよう」
村娘「はい。今日もたっぷり精の出る料理を作りましたよ」
はぐれ勇者「うーん、惜しかったなぁ…」
女兵士「やぁ、毎日ご苦労さん」
はぐれ勇者「あ、こんにちは」
女兵士「あんたもしぶといね。必ず生きて帰ってくるじゃないか」
はぐれ勇者「まぁ、死んだら元も子もありませんから」
女兵士「全くだ。だから、あんたみたいな男がこの村に来てくれてよかったよ」
はぐれ勇者「そうですか?」
女兵士「ああ。だってあんた、そろそろ一匹くらい仕留められそうだろう?」
女兵士「そうやって堅実にやってくれる奴がいなかったから、この村から男達は消えちまったのさ」
女兵士「あんたには期待してるんだ、頑張っておくれ」
女兵士「それで、もし私を愛してくれたら嬉しいよ」
はぐれ勇者「任せてください。女兵士さんには、絶対に俺の子供を産んで貰いますから」
女兵士「ははっ、頼むよ、未来の旦那様」
はぐれ勇者「やった!遂に一匹狩ったぞ!」
村娘「おめでとうございます」
村長「ほう、流石は希望の星だ」
はぐれ勇者「希望の星?」
村長「一部の者達から、おぬしはこの村の希望だと」
はぐれ勇者「なるほど」
はぐれ勇者「もちろん」
村長「して、誰を…」
はぐれ勇者「村長」
村長「……いいのか?村娘も言っていたが、私の年齢は―――」
はぐれ勇者「むしろそれがいい」
村長「そ、そうか…」
はぐれ勇者「さぁ、脱いで脱いで」
村長「あ、あぁ―――末永くよろしくな、お前様」
村娘「むぅ…」
なるほど!なるほどー!
はぐれ勇者「うーん、次のはちょっと強敵だなぁ」
酒家「あれぇ?君が村娘と村長さん手込めにした勇者クン?」
はぐれ勇者「ええ、そうですけど」
酒家「ふぅーん…」ジロジロ
はぐれ勇者「なにか?」
酒家「……えいっ」
ムギュ
はぐれ勇者「うわっ!な、何するんだアンタ!」
酒家「何よぉ、ちょっとイチモツに触っただけじゃない」
はぐれ勇者「普通触らないだろ…」
酒家「はいはい。しかし、あんたなかなかいいモノ持ってるねー」
村娘「だめです」
酒家「うわっ、いたの」
村娘「旦那が妻以外とふしだらな事をしていないか、私は常に監視しています」
酒家「へいへい、私は選ばれるまで待ちますよー」
酒家「でも君、手軽に抜きたくなったらうちにおいで?」
酒家「いろいろサービスするから、さ」
はぐれ勇者「くそぉ、なかなか勝利の糸口が見えないぞ…」
はぐれ勇者「今日は流石に限界かな…。帰って休むか…」
漁師「よぉ兄ちゃん。今日もお疲れ!」
はぐれ勇者「あ、とーも」
漁師「毎日精が出るね!」
はぐれ勇者「まぁ、半分自分の為ですから」
漁師「それでもさ!どうだい、今しがた取れた魚、よかったら持って行きな!」
はぐれ勇者「いいんですか?」
漁師「おうよ!たっぷり栄養つけて、村の女達全員と子供作って貰わなきゃならんしなぁ!」
はぐれ勇者「それって、漁師さんも入ってますよね?」
漁師「あたぼうよ!大物しこたま倒して、早く迎えに来てくんな!」
はぐれ勇者「ははは…」
はぐれ勇者「よし!二匹目を倒したぞ!」
村娘「流石です」
村長「毎日たっぷり奉仕した甲斐があったね」
はぐれ勇者「その説はお世話になりました」
村長「まさか胃袋が精液でいっぱいになる日が来るとは思わなかったよ」
村娘「私はまだ腰が痛いです」
はぐれ勇者「ははは…」
村娘「それで?次は誰を?」
はぐれ勇者「酒家さん」
はぐれ勇者「早めに選んでおかないと、掟破らされそうだし」
酒家「選んでくれたのはいいけど、そこまで常識はずれてないって」
はぐれ勇者「今日は素面なんですか?」
酒家「ま、まぁ、めでたい日だし…」
はぐれ勇者「ようやく酒家さんに俺のものをお披露目か…」
酒家「ん…今夜は寝かさないからね」
はぐれ勇者「獲物が見つからない…」
はぐれ勇者「もう草原にはいないのかな…」
漁師「ん、希望の星か」
はぐれ勇者「ああ、こんばんは」
漁師「獲物が見つからないのか?」
はぐれ勇者「はい…」
漁師「それなら、この先の山に何匹か見た」
はぐれ勇者「本当ですか!?」
漁師「もちろん」
漁師「さっさと狩って、皆を幸せにしてやってくれ」
漁師「私は、最後でいいから…」
はぐれ勇者「…」
はぐれ勇者「なんかよく知らないけど強い奴倒してきた」
村娘「これはキングトロールですね」
はぐれ勇者「おぉ、凄そう」
村娘「凄いですよ。私も初めて見ました」
村長「これは重畳。お前様、特別に妻を一度に二人増やしてよいぞ」
はぐれ勇者「マジで!?誰選ぼうかな…」
女兵士「………」ドキドキ
はぐれ勇者「女兵士さん」
女兵士「あ、あぁ、なんだ?」ドキドキ...
はぐれ勇者「俺とセックスしたいですか?」
女兵士「………そ、そんなのっ!」
はぐれ勇者「……」ニヤニヤ
女兵士「うぅ…意地悪な奴め…」
女兵士「ふにゃ…もう中に入らないぃ……」スヤスヤ
はぐれ勇者「確かに入らなかった」
はぐれ勇者「それはさておき、もう一人妻を選べるんだよなー」
はぐれ勇者「うーん…」
漁師「やぁ、幼なじみの女兵士が抱かれたと聞いて見に来たよ!」
はぐれ勇者「漁師さん」
漁師「おぅ!なんだい、プレイボーイよ!」
はぐれ勇者「服脱いでください」
漁師「あ、えーと…」
漁師「抱かれちゃう、のかな?私も」
はぐれ勇者「はい」
はぐれ勇者「泣いて許しを請いてもやめません」
漁師「お、おう…!」ゾクゾクッ
猟師「ん…勇者…」
はぐれ勇者「何してるんですか?」
猟師「………」
猟師「…一人でも幸せになる呪いだ」
はぐれ勇者「見てていい?」
猟師「………」ハァ...
猟師「…好きにしてくれ」
はぐれ勇者「じゃあ、お言葉に甘えて」
猟師「………」
猟師「ん……ん……ぁ…」
はぐれ勇者「なんだか最近手強くなってきた」
シャーマン「おや、光の人」
はぐれ勇者「あ、えー、こんにちは」
シャーマン「うん、こんにちは」
はぐれ勇者「初めて会う方ですよね」
シャーマン「まぁね。僕は普段、人前には出ないから」
はぐれ勇者「何をしてるんですか?」
シャーマン「祈祷だよ。君の行いが万事上手くいくようにね」
はぐれ勇者「それはそれは」
はぐれ勇者「俺が貴女を自分の物にしようとしてるのも上手くいきますかね」
シャーマン「さぁ、君の頑張り次第だけど…」
シャーマン「きっかけさえあれば、それはたやすい事だと思うよ」
はぐれ勇者「そういえば、この村の宿屋を見てなかったな」
宿屋「あー……」
はぐれ勇者「何か呻いている。くさった死体のようだ」
宿屋「誰が死体だい。暇過ぎてぼうっとしていただけさね」
はぐれ勇者「そんなに暇ですか」
宿屋「脳にカビが生えそう」
はぐれ勇者「成る程」
はぐれ勇者「どんな?」
宿屋「従業員が全裸で各種サービスしちゃうの」
はぐれ勇者「それもう宿というか…」
宿屋「文句は体験してから言って欲しいね」
はぐれ勇者「じゃ、さっそく」
宿屋「よし、今脱ぐから待ってな」
はぐれ勇者「従業員て女将さんだけかー」
はぐれ勇者「なんか三匹まとめて倒せた」
女兵士「流石だな」
はぐれ勇者「壁の穴にお尻がはまって動けなくなった女兵士とセックスしてたら妙案が浮かんでさ」
女兵士「その話はしないでくれ…」
はぐれ勇者「とりあえず猟師の家行ってくる」
女兵士「早速か」
はぐれ勇者「行く前に準備しとくよう言ったから、今頃はもう」
女兵士「そこまでの確信が生まれたのか…」
猟師「勇者…好き、好きぃ…」
はぐれ勇者「こんにちはー」
猟師「勇者…!」
猟師「………!」ダキッ
はぐれ勇者「やぁ、お待たせ」
猟師「…待ってた」
はぐれ勇者「準備は?」
猟師「万端」
猟師「早く…!私を私物化して欲しい…!」
はぐれ勇者「喜んで」
はぐれ勇者「そうかい」
シャーマン「まぁ、そこに座って」
はぐれ勇者「ん」
シャーマン「僕が祈りを捧げた後、そこの台に寝そべるから、そこからはもう君の好きだよ」
勇者「何を祈るんだ?」
シャーマン「僕が生涯をかけて愛する人が幸せであらん事を」
勇者「幸せ以外に何があるのか」
シャーマン「そして、君が僕を幸せにしてくれる事も」
勇者「………頑張ります」
宿屋「おや、いらっしゃい」
はぐれ勇者「またあのサービスお願いします」
宿屋「…今更言うのもなんだが、こんなおばさんの裸で本当にいいのかい?」
はぐれ勇者「これから死ぬまでずっとサービスして貰いたいし」
宿屋「え?それって…」
はぐれ勇者「そのおばさんの裸は一生俺だけのサービスにしてよ」
宿屋「冗談だろ?」
はぐれ勇者「証拠が欲しい?」
宿屋「……それなら、今夜は貸し切りだ」
はぐれ勇者「とうとう村の女全員を妊娠させてしまった…」
はぐれ勇者「本当にハーレムになってしまった。何かいろいろ問題もありそうだけど…」
村娘「あなた」
村長「お前様」
女兵士「旦那様」
酒家「ダーリン」
漁師「お前さん」
猟師「勇者様」
シャーマン「光の人」
宿屋「あんた」
女達「必ず無事に帰って来て」
はぐれ勇者「とりあえず、家族の為にも魔王倒してくるとしますか!」
眠いからおわり
Entry ⇒ 2012.02.26 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
hyde「ちょっと魔王倒しにいこうかな。」DAIGO「マジっすか。」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328878090/
hyde「何か人の心に残るようなことせなアカンなーって思うわけよ。」
DAIGO「いやいや、20年やってたら十分人の心に残ってるんじゃないッスか?」
hyde「いやー、まだまだだと思うって。」
DAIGO「っていうか、音楽でやればいいじゃないッスかー、なんでわざわざ魔王なんスか?」
hyde「魔王倒した騒ぎに便乗して、俺の身長161cmだって広めたくてさ。」
DAIGO「動機そっちなんじゃないスか…。」
hyde「もちろん、DAIGOもきてくれるよね?」
DAIGO「マジっすか。」
hyde「大丈夫だって。気にせんでも大丈夫だって。」
DAIGO「っていうか、二人でいくんスか?」
hyde「いやいや、yasu君あたり誘おうかなーって。」
DAIGO「あー、yasuさんなら絶対きますよ、あの人マジハンパねぇくらいhydeさん好きだし。」
hyde「やっぱ、関西人の勢いってイイと思うんだよね、俺。」
DAIGO「hydeさんもバリバリ関西人じゃないッスか。」
プルルルル
ガチャ
hyde「あ、yasu君?ちょっと頼みがあるんだけど…。」
yasu「何ですか?hydeさんのゆう事やったらなんでも聞きますよ!」
hyde「俺いまからDAIGOと魔王倒しにいくんだけどさ、一緒に来てくれない?」
yasu「俺を誘ってくれるんでしたらホンマどこでもいきますよ。」
hyde「ありがとー、じゃあちょっとこっち着てくれる?じゃねー。」
ピッ
hyde「これでよしっと。」
DAIGO「いや、こっち来てってちゃんと居場所いってないじゃないですか。」
yasu「hydeさーん!」
DAIGO(何でわかったの!?つか来るのはやいッスよyasuさん!)
DAIGO「え、普通パーティって4人じゃないんすか?」
hyde「ガっちゃんいれて4人も考えたけどさー、ドラクエ2って3人じゃん?」
DAIGO「いや、それ以降4人じゃないっすか…。」
yasu「hydeさんがおるんやったら俺は何人でもいいですよ。」
DAIGO「ていうか、GACKTさんいたほうが絶対いいですって。」
hyde「そうかな…。ローレシアとムーンブルクとメガンテでいいじゃない。」
DAIGO「GACKTさんはFFッスよ、HPのケタが違いますって。」
hyde「そういえばガっちゃんFF出てたんよね。DQのムードつぶれそうだから止めとこうかな。」
yasu「俺はもうhydeさんがゆうた通りにしますから。」
hyde「あ、yasuくんさー。ABCの方すごいみたいだね。」
yasu「はい!もうhydeさんのおかげッスよ。」
hyde「またまた、全部yasu君の実力じゃない。」
yasu「いやいや、俺のラブソング全部hydeさん宛てなんで…。」
DAIGO「っていうか、魔王ってどこにいるんですか?」
hyde「あー、それちょっと俺もわからないんだよね。」
DAIGO「ちょ、マジっすか!?」
yasu「大丈夫やって。最初から魔王の城わかるRPGそこまでないから。」
hyde「ドラクエの1ってすぐそこにあるけどね。」
yasu「そうっすよね。あれもう『泳いでいけるやろボケ!』ってくらい近いですよね。」
yasu「情報ってゆうてもなDAIGO。どないして集めんねん。」
DAIGO「それを今から考えるんじゃないッスか。」
hyde「その辺DAIGOに任せていいんじゃない?」
yasu「そうや、お前姉ちゃんおるやろ?漫画家やし、そういう漫画とかゲーム的なのに詳しいんとちゃうん?」
DAIGO「あー、だめっすね。いまちょっと姉ちゃんに電話したら殺されるんで。」
hyde「え、なんで?」
DAIGO「ちょっと土曜の6時はだめなんすよ。」
DAIGO「そうなんスよ。せめて8時くらいにしないと。」
hyde「なんで?6時半じゃだめなの?」
DAIGO「もしかしたら録画したの見直しまくってるかもしれないんで…。」
yasu「あー、そらアカンわ…。」
hyde「じゃあさ、各自自分の知り合いに聞いてみない?」
DAIGO「そうッスね、とりあえず手当たり次第きいてみるしかないっすね。」
ka-yu「ん、どないしたん?」
yasu「hydeさんと魔王倒しにいく事になったんやけど…。」
ka-yu「お前波乱万丈やなー、それで、俺に何の用なん?」
yasu「何か魔王の情報しらへん?」
ka-yu「俺がしるわけないやろ…。」
yasu「まあ、そう来ると思っとったわ。」
ka-yu「スエやったら何か知ってるんちゃうん?」
yasu「え、なんで?」
ka-yu「いやぁ、なんとなく。」
yasu「何なそれ、お前真面目にせぇや!」
ka-yu(しらんがな…)
shuji「魔王なー、この前ココイチでおうたで。」
yasu「え、それホンマなん!?」
shuji「なんかマントきて魔王ってかいた名札つけとったわ。」
yasu「それホンマに魔王なんか?」
shuji「聞いたら「魔王ですー」やって。」
yasu「絶対ウソやろそれ、お前ええ加減にせえよ!?」
shuji「ホンマやって、ウソやと思うんやったらココイチの店員に聞いてみたらええねん。」
yasu「魔王がココイチでカレー食うてたらしいですよとかhydeさんに怒られるわ・・・。」
yasu「どないしよ・・・、適当にそれらしい情報でっちあげよかな・・・。」
yasu「あかんあかん!それこそバレたらhydeさんに怒られるわ・・・。」
yasu「とにかく二人のところに戻ろらなあかんな。」
yasu「あ、ソレが・・・。」
hyde「何もわからなかったの?」
yasu「あ、いや・・・。なんかココイチでおったらしいんですけど・・・。」
DAIGO「マジっすか!?」
yasu「なんか名札つけてたみたいなんですけど・・・。」
hyde「それじゃあ一回ココイチいってみる?」
yasu「はあ、なんかすんません・・・、こんなアホみたいな情報しかなくて・・・。」
店員「はい、確かに魔王がきましたよ。」
yasu「ほんまかいな!?」
店員「はい。あの日は他に有名な方もいらっしゃいませんでしたし。」
yasu「いやいやいや、きとったやろ?」
店員「いや・・・、魔王だけでしたね。」
yasu「いや、ウチのドラマーが着てたはずなんですけど。」
店員「淳士さんはきてないですねー。」
yasu「・・・・・・・・・。」
DAIGO「流石にいまのは絶句っすねー。」
hyde「まあ、ABCになってからのファンとかも多いだろうしね。」
DAIGO「まあまあ、魔王ガチできてたじゃないっすか。」
hyde「shujiくんのおかげだねー。」
yasu「まあ、そうですけど・・・。」
DAIGO「っていうか、案外魔王ここに来るんじゃないですか?」
yasu「そうかもしれへんな。」
hyde「じゃあ、ちょっと様子みてみようよ。」
hyde「魔王らしき人はきてないね。」
DAIGO「shujiさんは3回ほどきてましたね。」
yasu「アイツどんだけココイチ好きやねん!」
DAIGO「もう魔王shujiさんでいいんじゃないっすか?」
yasu「なんでやねん!・・・ほんまにカレーばっか食うて…、kiyoみたいになったらどないすんねん。」
DAIGO「yasuさんも結構辛辣っすよね。」
hyde「はははは。ココイチにきたあたりからイライラしてるよね、yasuくん。」
DAIGO「相当店員さんがJanne知らないのがショックみたいっすね。」
yasu「うちのギターアッキーちゃうっちゅーねん!津田豊じゃぼけ!」
yasu「え、どこどこ?」
DAIGO「ほら、あのパチンコ屋っすよ。」
hyde「あ、あれ?」
yasu「おまえ、あれアッコさんやん…。」
hyde「さすがにアッコさんと戦う勇気はないね。」
yasu「お前な、アッコさんと美輪明宏とマツコだけは敵に回したらあかんぞ。」
DAIGO「っていうか、なんであの人パチンコやりながら殺気醸し出してんすか。」
hyde「そりゃゴッドねーちゃんだからじゃない?」
yasu「ゴットってゆうくらいですからね。」
DAIGO「ちょっと意味わかんないっす。」
hyde「魔王っていうくらいだから、やっぱモンスターなんじゃない?」
yasu「もしかしたら閣下みたいなんかもしれませんよ。」
hyde「はははは、あれ出てきたら俺もう降参しちゃうよ。」
DAIGO「なんでっすか、ぶっちゃけ志村けんのバカ殿とかわらないじゃないっすか。」
yasu「なにゆうてんねん…、目のところのメイク全然ちゃうやろ。」
DAIGO「いや、そこは大した問題じゃないっすよね。」
hyde「でも、出てくるならバカ殿がいいよね。」
yasu「流石に志村さん本人やったら倒されへんっすからね。」
DAIGO「ていうか、志村どうぶつ園終わっちゃうじゃないっすか。」
飲み仲間
DAIGOがhydeのファン
hydeの目の前で物真似やった(やらされた)らしい
DAIGOの手袋はhydeに貰ったとかなんとか
yasu「あ、あれ魔王やないですか?」
DAIGO「また大御所ってオチじゃないっすか…?」
店員「いらっしゃいませー。」
魔王「あ、すいません。いつものお願いします。」
DAIGO「魔王常連じゃないッスか!」
shuji「お、魔王ちゃんきとったん?」
魔王「おー、末松くんじゃない。」
yasu「ほんで何でまたアイツきとんねん!」
hyde「しかも仲よさそうだね。」
魔王「えー、本当に?まいったなー、俺退治されちゃうよ。」
shuji「でもまあ、琵琶湖埋めたりはやりすぎやとおもうで。」
魔王「そうかな?なんか西川とかいうヤツがブチギレてたけど。」
shuji「まあ、そろそろ観念したほうがええんとちゃうん?」
魔王「ちょっとまってよー。もうちょい日本を恐怖の底に陥れたいんだって。」
shuji「やめてーや、ココイチ閉店するやん。」
魔王「飲食業に手はださないよー。」
魔王「しったこっちゃないよー、俺魔王なんだしさ。」
shuji「それは分かるねんけど、こっちの事情もあるやん?」
魔王「しらないよー、俺だって仕事なんだし。」
shuji「分かる、分かるよ。でもココイチに免じて許してーや。」
魔王「もう、ココイチを引き合いに出すとは。卑怯だなー。」
shuji「そこを何とか。」
魔王「いやー、こればっかりはダメだわ。」
shuji「そうか、それやったらしゃーないな。」
魔王「悪いね。」
shuji「いや、ええねん。多分うちのボーカルがお前倒してくれるやろうし。」
魔王「ワオ、なかなか言うね。」
shuji「今日は俺が奢ったるわ、お前への手向けやな。」
魔王「うわー、やっすいな。」
DAIGO「ちょっと何いってるかは聞こえないっすけど…。」
hyde「あ、魔王でてきたよ。」
DAIGO「ちょっと城まで後つけましょうよ。」
yasu「やな、…っとその前にやらなアカンことあんねん。」
店員「いらっしゃいませー。」
shuji「おう、どないたん。」
yasu「ちょっとどうしてもやらなアカンことあってな。」
yasu「おいコラ店員、覚えとけよ。こいつがJanne Da Arcのドラムじゃぼけ!」
店員「!」
yasu「淳士とあわせて覚えとけ、わかったな!」
店員「は、はひ!わかりました!」
yasu「よし。…そんなら俺もちょっとカレー食うていこうかな。」
yasu「すまんすまん、カレー食うとった。」
DAIGO「hydeさん先にいっちゃいましたよ。」
yasu「えぇ!?置いてかれてもうた!?」
DAIGO「どーすんすか?」
yasu「まあええわ。hydeさんのおる場所やったらわかるし。」
DAIGO「ちょっと本気でキモイっすよ…。」
hyde「1人できちゃったけど…、どうしよう。」
hyde「──にしても、これでもかーってくらいに魔王がいそうな城だな。」
hyde「逆にこんなところにおれへんちゃうのってくらいに魔王城だなー。」
yasu「hydeさーん!」
hyde「お、yasuくん、DAIGO。遅かったね。」
yasu「すんません、ちょっとカレー食うてました。」
hyde「もう、しょうがないなー。」
yasu「エヘヘヘヘ。」
DAIGO「バカやってないでのりこみましょうよ。」
yasu「せやな。」
yasu「あ、hydeさん危ない!」
スライム「ピギー!」
hyde「おっと、もうちょっとで齧られるところだったよ、ありがとうyasuくん。」
yasu「いやあ、hydeさん守るのが俺の仕事ですやん。」
DAIGO「yasuさーん、俺は?」
yasu「自分の身は自分で守れや。」
DAIGO「ちょっと露骨過ぎませんか・・・その贔屓。」
yasu「冗談やって。DAIGOもあんま離れんなよ。」
DAIGO「yasuさん・・・・・・。」
hyde「だよねー、なんか違和感あるよね。」
DAIGO「もしかしてハナっから配置されてないんじゃないっすか?」
yasu「それはないやろー。hydeさんのオーラに気圧されてんやって。」
hyde「ちょっと照れるじゃない。やめてよー。」
DAIGO「なんでもいいっすから、早くいきましょうよ…。」
yasu「DAIGO、いまのツッコムとこやで。」
hyde「ねー、やっぱ東の人ってこういうとき冷めてるよね。」
DAIGO「西のノリもってこないで欲しいッスね。」
DAIGO「本当っすね。」
hyde「何かハゲてるね、あの人。」
yasu「誰やろ……。」
DAIGO「あれ、あの人。かおr…」
hyde「あー!やばいって!誰か俺と同じように魔王倒しにきてるよ!」
yasu「このままやったら先越されてしまいますよ!」
DAIGO「いや、だからあの人。」
yasu「何してんねんDAIGO、走るぞ!」
DAIGO「ああ、もう…。ちょっと待ってくださいよ!」
魔王「療養してから出直しといで。バシルーラ。」
バシュンッ ドコッ
魔王「おー、壁ぶちぬいていった。」
Die(いや、今ので死んだやろ…)
Die「やもちゃん、逃げよか。」
Shinya「……うん。」
Toshiya(え、俺は!?)
魔王「じゃあ手伝ってやんよ。バシルーラ!」
バシュンッ バシュンッ バシュンッ
yasu「しましたよね。」
DAIGO「なんか人が壁にぶつかる音しましたよね。」
hyde「ちょっとコレ急いだほうがよくない?」
yasu「そうですよね、ほらDAIGO、いくで!」
DAIGO「あ、ちょ…。」
hyde「さあ、まってろよ魔王め!」
魔王「お、hydeとDAIGOの姉の弟とyasuだ。」
DAIGO「何で俺そんな回りくどいんすか!?」
yasu「ほら、スターダストの頃は姉ちゃんのほうが有名やったやん。」
hyde「今DAIGOの方が人気あるからねー、そのへん皮肉ってるんじゃない?」
DAIGO「misonoさん扱いっすか。」
yasu「おい、やめたれ。」
hyde「なんか弱ってるね。」
魔王「くそ、やはり京はつよかった…。」
DAIGO「やっぱDIRの人ら着てたんすね。」
魔王「それにあのなんかハゲてるギターのメガンテが…。」
DAIGO「薫さん……。」
hyde「ていうか、メガンテやってよく体残ってたよね。」
魔王「そのおかげてこちらのダメージもある程度抑えられたが。」
hyde「わー!来る、来るって!」
DAIGO「ちょ、落ち着いてくださいよ!」
yasu「DAIGO、スタンドや、スタンド!」
DAIGO「じーちゃん攻撃力3%アップくらいしか能力ないっすよ。」
yasu「3%は微妙やなー。」
hyde「せめて5%だよね、やっぱ。」
魔王「何遊んでんだこら!メラ!」
yasu「威力もメラやな…。」
hyde「メラゾーマ級のきてほしいよね。」
DAIGO「熱!まじこれハンパねえっす!」
yasu「これちょっと本気でヤバないですか?」
DAIGO「すいませんけど消してくれませんか…」メラメラ
yasu「ごめん、DAIGO。ちょっとムリやわ。」
魔王「フフフ、さあ、そろそろ終わりにしてやるぜ!」
????「そうはさせない、っていったらどうする……?」
魔王「だ、だれだ!」
GACKT「つれないなァ、hyde。」
hyde「ガッちゃああああああああああん!!」
魔王「え、なにこのイケメン、GACKTじゃん。」
yasu「いや、でも誘ってきたのはhydeさん…。」
GACKT「うるさいよ。」
hyde「ガっちゃん!きてくれたのか!」
GACKT「当たり前じゃない…、〝GACKTはお米食べない〟それくらいに当たり前だよ。」
hyde「ガっちゃあああああん!」
yasu「あの、GACKTさん。」
GACKT「何?」
yasu「後は任せてもいいですか?」
GACKT「yasuくんさァ、……愚問なんだよね。はやく二人を連れて逃げなよ。」
yasu「は、はい!」
GACKT「〝愛してるぜ、セイラさん〟」
魔王「…?なんだ、いきなりモノマネなんかしやがって!」
ゴゴゴゴゴ
魔王「ん?」
魔王「な、な…何ィ!?モ、モビルスーツだとォ!?」
GACKT「……」 ニヤ
プチ
魔王「ぐ、ぐはぁ……!」
yasu「GACKTさーん、何か音してましたけど…。」
hyde「うわ、すげー!ガンタンクとガンキャノンだ!」
DAIGO「ていうか、魔王下敷きじゃないっすか。」
GACKT「DAIGO、お前は焦げてるよ。」
DAIGO「ちょっとyasuさんが消火活動もたつきやがりまして。」
yasu「おいDAIGO。なんやねんその言い方。」
hyde「まあ、流石にこれで魔王も倒せたでしょ。」
yasu「ていうか、これで押しつぶすとか鬼っすねー。」
悪い悪い。
魔王「ぐぐぐ…、この俺が人間にまけるなんて…。」
yasu「っていうか、お前ほんま何モンなん?」
hyde「そうそう、それ気になるよね。」
DAIGO「あれ、GACKTさんどこ行くんすか?」
GACKT「hydeも助けたし、帰るよ。」
hyde「ガっちゃん、本当ありがとうね。」
yasu「ホンマたすかりましたわ。」
GACKT「………」シュバッ
DAIGO「ねえ、いまあの人消えましたよ。」
魔王「おれの、俺の正体は…!」
キュピーン
yasu「これが魔王の真の姿…。」
DAIGO「えらく小さくないっすか?」
hyde「だね、だいたい5cmくらいじゃない?」
DAIGO「そうっすね、5cmくらいっすね。」
hyde「5cm……?ま、まさか…、お前は…。」
魔王「やっと気づいたか…。」
yasu「そうか!5cm1ゆうたら、hydeさんの実際の身長とネット上で噂されとった身長の差!」
yasu「つまり、その5cmの歪みが産んだ存在!」
魔王「そうだ、俺はネット上にいた156cmのhydeの虚像。」
魔王「俺はネット上で、イケメンで美声のhydeとして楽しくやっていた。」
魔王「しかし、お前が身長をぶっちゃけた所為で、俺の存在は否定されてしまった!」
魔王「そしておれは、その誤差5cmになってしまったんだ。」
魔王「たった5cmで俺の存在は否定されたんだからな。」
魔王「だから俺は決めたのさ!」
魔王「だったら、五センチの俺が世界を否定し、壊してやるって!」
DAIGO「それで背の低いVoつながりで琵琶湖埋めたんすか。」
yasu「そうか、DIRがここまで来たのも、魔王に導かれたからなんか。」
hyde「なんかナイトメアとかもきてたりしてね。」
魔王「しかし、…はやり161cm<オリジナル>には勝てないか…。」
hyde「そんなことないさ、未だにネットには156cmの俺が根付いている。」
hyde「だからこそ、お前は琵琶湖をうめるほどの力をもてたんだ。」
DAIGO「そうッスよね、っていうか156も161もかわらないっすよね。」
yasu「まあ、おれはhydeさんやったらそれでええし。」
hyde「いや、否定はしたよ。」
魔王「…・・ああ、俺はネットの世界でずっといればよかったんだな。」
魔王「5cmの姿でも、人々は156cmのhydeだと思ってくれていたのか。」
hyde「…ああ、きっとそうだよ。」
魔王「……ありがとう、hyde。いや161cmの俺。」
魔王「迷惑をかけてしまったお詫びに、俺の5cmをお前にあげよう。」
hyde「え、まじで!?」
DAIGO「これで166cmっすね!」
魔王『だが、お前達ならきっと乗り越えられると思う…。』
魔王『それじゃあ…、 またな。』
hyde「…ん、伸びた?ねえ、伸びた!?」
DAIGO「…あー、伸びてますね。」
hyde「まじで?やった!夢の四捨五入して170cmだよ!」
yasu「あの、hydeさん。伸びてるの髪の毛…なんですけど。」
hyde「へ?」
DAIGO「あちゃー、四捨五入しても160っすね。」
hyde「ふざけんなよ!」
hyde「だね。いやあ、ホント大変だったよ。」
DAIGO「でも、こんなことってあるんですね。」
hyde「いやあ、もうちょっとやんわり否定すればよかったよ。」
yasu「でも、ホント不思議ですよね。」
DAIGO「俺もプロフィールとか噂で食い違いうまれるとこうなるんすかね。」
yasu「改名とかしてもなったりするかもしれへんで。」
DAIGO「やめてくださいよ…魔王量産されるじゃないですか。」
yasu「まあ、そこへんは譲られへんっすよね。」
DAIGO「また面倒なことなりそうッスね。」
hyde「そんときはまた俺たちで魔王倒そうよ。」
DAIGO「ぶっちゃけマジで俺ら何もしてないっすけどね。」
yasu「まあ、ええやん。」
hyde「そうそう、これからのみにいこーよ。」
DAIGO「いや、ほんの数時間じゃないですか。」
yasu「でも、魔王倒したことやし、すがすがしいわー。」
???「フハハハハハ!」
hyde「!?」
小暮「吾輩は小暮である!」
hyde「そういえば、閣下って〝小暮〟省いてたよね。」
DAIGO「え、じゃああれ小暮ってことすっか。」
yasu「デーモンも閣下もないのにあのプレッシャーかぁ…。」
hyde「やっぱ10万年以上生きてる人の歪みだからハンパないんじゃない?」
DAIGO「まあ、省かれた小暮の恨みはほんとハンパねえっすね。」
yasu「それこそ閣下つれて来ーなあきませんて。」
hyde「じゃあさ、朝青龍に枕営業でもさせて仲間にしちゃう?」
DAIGO「そもそも角界とパイプなんてないっすよ。」
hyde「あー、じゃあやっぱガっちゃんかなあ、フジカラーのCMでてたし。」
yasu「いやー、フジカラーゆうたら樹木希林さんちゃいます?」
DAIGO「シェケナベイベーっすか。」
hyde「ほら、小暮さん凄い暴れてるよ?」
DAIGO「ほんとハンパないっすね。」
yasu「ちょっとシメたらなあきませんね。」
hyde「勝てそうにないけど、それじゃ戦いにいこうか。」
DAIGO「ほんと仕方ないっすね。」
yasu「hydeさんが行くんやったら俺もいきますよ!」
hyde「よし、それじゃいこうか!」
GACKT「やれやれ…、世話がやけるなhydeは。」
シュバッ
終
がっちゃんwwwwwwwww
おもしろかったよ!
Entry ⇒ 2012.02.24 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
象娘「まってー!」ドスンドスン
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328742520/
頼んだ
ニート「マジで!? どうせ生きてても意味ないし、最後に良い思いをしてやる」
ニート「フィギュアみたいな可愛い女の子とセックスしたい!」
悪魔「ふぃ…ふぃぎゅ…?なんだそれ」
ニート「フィギュア知らないのかよ…あの、ほらあれだ。彫像みたいな女の子のことだ」
悪魔「なんだ、そんな事なら容易い。そらっ」ボゥーン
ニート「おい」
悪魔「はい」
ニート「俺が願ったは『彫像のように可愛い女の子』だったはずだよな」
悪魔「はい」
ニート「じゃあこいつはなんだ!」
悪魔「えーっと…」
悪魔「『超・象のように可愛い女の子』?」
象娘「ニートさまぁ~」ドスンドスン
ニート「うわああああ!くるなあああ!!!」
ニート「ああ 家屋を破壊しながら追ってくる!しかも速い!」
巡査 「こらー!象をあやつって街を壊している者がいると通報があったが貴様かー!」
ニート「誰だよそんなでたらめな通報したの…」
悪魔 「ケケケ…」
ニート「貴様かー!!」
巡査 「えっ 射殺?マジで?」
ニート「なに巡査をそそのかしてんだよ!おまえは悪魔か!」
巡査 「よーし象使いの死刑執行!!動くなよ!玉が外れるからな!」
パン!パン!
ニート「うは やめろ撃つな!あぶねえ!」
象娘 「パオーン!!」
巡査 「ああ 象がさらに興奮している!うわー!鼻でしばかれる!!」
バシッ!!
巡査「ギャー!!」
巡査は吹っ飛んでいった!
ニート「まさか象娘おまえ…俺を助けてくれたのか?」
巡査「いててて…なにしろ象をけしかけてくる凶悪な奴でして…拳銃程度では役にたたんのです」
猟師「わかったワシにまかせろ。象使いより象をしとめるのが先だな 奴らはいまどこに?」
巡査「町のはずれの池沼にいます」
猟師は猟銃をとった。その銃身には無数の動物の刻印が彫られていた。
猟師「まさかこの銃に象の刻印を彫るとは思わなかったぞ…ククク」
象娘 「♪」
ニート「あはは 鼻で水をかけるのはやめろよ さすがに寒いってww」
象娘&ニート「キャッキャウフフ///」
悪魔「こいつらすっかり仲良くなってやがる…ケッ」
>>28
そういう名前の沼なんじゃないの
わからんけど
象娘 「♪」
デッキブラシで洗われて輝く象娘はこの世のものとは思えぬほど美しかった
ニート「お、おまえ よく見るとけっこう可愛いな…」
ニート「ん?なんだ急に険しい顔して どうした?」
猟師 「やばい隠れろ」
巡査 「これだけ離れているのにこちらに気がつくなんて…!」
猟師 「鼻のきく奴だ これは相当気合を入れてかからんと」
猟師 「大丈夫だ もうすぐやつらには隙が生まれる」
巡査 「え?なんで?」
猟師 「わからんか?奴らはいま発情期だ。もうすぐ交尾する。そこを狙う」
巡査 「こ 交尾!?はイ?だってヒトと象ですよ!?」
猟師 「こういうのは理屈じゃねえんだよ! 長年動物を見てきた俺にはわかる」
巡査 「よくわかりません あいつのささやきを聞くとあやつられそうになるんです
悪魔みたいな奴です」
猟師 「ふーむ 悪魔みたいな奴 か…」
悪魔 「おいおいいいからさっさとヤっちゃえよ!象娘もおまえのこと気に入ってるぞ!」
ニート「そうなのか?でも、ヒトと象だし…やっぱ色々まずいって…」
巡査 「だめだ こんなのワイセツ物陳列罪だ!」
猟師 「いいから見てろって こんなのめったに見られるもんじゃねえぞ」
巡査 「俺はこんなのいやだ!俺は俺のやりかたで法を守る!」
猟師 「ああ 巡査どっかいっちゃった…真面目なやつだなあ」
象娘の瞳もあやしく潤んでいる
悪魔 「いいぞ!やっちゃえやっちゃえ!」
ニート「お おまえはさっきの巡査!!」
悪魔 「チッ…いいところだったのに」
象娘 「チッ…」
巡査 「俺の管轄内で象との交尾など認めん!見ろ!おまえの両親を連れてきたぞ!」
ニート「な なんだと!!」
父 「おいおい おまえいつのまに象の彼女なんかつくったんだ?」
母 「たかしー!おねがいだからちゃんと働いてー!!」
ニート「と、父さん! うっせーババアどさくさにまぎれて痛いトコつくんじゃねー!!」
ニート「うるせー!誰にも俺たちの邪魔はさせない!!」
巡査 「どうしてもやめないというのなら 今からおまえの両親に交尾させるぞ!!」
ニート「ま マジかよ!?」
父 「わしはいっこうにかまわんけど…」
母 「お父さんたら…///」
父 「とりあえずやるか。たかし。いまからおまえの弟か妹つくるから見てろ」
母 「こんどはまともに働く子供に育てましょう」
ニート「やめてくれー!!これ以上俺を追い詰めないで!!」
母 「オーイエー!オーイエー!カモーン!!」
巡査 「おいおい けっこう激しいなあ」
ニート「ちきしょー!親のセックス見ちゃったよ!!もういい!俺もやる!!」
象娘 「///」
課長 「たかし君 今日も仕事がんばるなあ」
元ニート「えへへ なんといっても象二頭分稼がなくちゃいけないもんで…」
HAPPY END
もう一作くらい読みたい
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
妖狐「ここから出せー!」仙狐「駄目だ」
仙狐「ああもう五月蝿いな、おまえは罰でここにいると言う事を分かっているのか?」
妖狐「なんだよー、ちっと村でいたづらしただけじゃないかー!」
仙狐「ちっとでも十回も二十回も悪戯していれば当然の報いだ。この山頂の神聖なる社で頭を冷やせ」
妖狐「ケチキツネー!略してきちくー!」
仙狐「何処をどう略せば鬼畜になるこのうつけが!まったく、本当に喧しい奴だ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328108401/
妖狐「ここから出せー!」仙狐「駄目だ」
仙狐「だいたいそこの御神木の力だ。これがある限りお前はここから出られない」
妖狐「なんだと!?じゃあこいつを倒してしまえば」
仙狐「たかが尻尾が二本の化け狐ごときに倒せる代物ではない。諦めろ」
妖狐「くっそー!きっと絶対逃げてやるからな!」
仙狐「どっちだ馬鹿者」
仙狐「木の周りをうろつくな。くるくるくるくる鬱陶しい」
妖狐「どっかに弱点とか無いかなと思って」
仙狐「化け物の類じゃないんだぞ。そんなものあるか」
妖狐「あ、ウロ発見!……だからなんだっちゅーねん」
仙狐「五月蝿いなぁ本当に」
妖狐「リスが一匹いるだけだったよ」
仙狐「低いところに住んでいるなそのリス」
仙狐「これに懲りたら反省して悪さをするんじゃないぞ」
妖狐「お、その口ぶり。もしかして出してくれるとか?」
仙狐「そんなわけないだろう。そもそも封印したのは私ではなくここの神社の神主だ、私にはそんな決定権は無い」
妖狐「なんだよ、ちょっと期待しちゃったじゃん」
仙狐「ろくに反省していないだろうお前」
仙狐「そんなものを渡して何の徳があるというのだ」
妖狐「私が暇を潰せる」
仙狐「却下。お前は岩に括りつけられてろ」
妖狐「ちぇっ、しょうがないから昼寝でもしようか」
仙狐「もう寝たのか、こいつは」
仙狐「ああ、急にあの男が外から妖気を帯びた狐を捕らえてきたと思ったら、こいつだ」
仙狐「大分悪さをしていたようだが……、一体何をやらかしたかは聞いてないな」
仙狐「後で探っておくとしよう」
仙狐「……む?私も眠くなってきたな。どうせしばらく起きんだろうし、どれ。私も少しだけ……」
「……おきろー……」
仙狐「ん、……なんだ……」
妖狐「起きろっつってんだろこのネボスケ!」
仙狐「のわっ!?い、いきなりなんだ!?」
妖狐「あんた私を監視してるんでしょ?それが三時間も私を放っておいていいっての!?」
仙狐「さ、三時間?しまった、すっかり寝坊したか……くそっ!」
妖狐「しっかりしなさいよね、あまりにも暇だったから顔に落書きしちゃったわよ」
仙狐「ふん、もうじき日が暮れる。麓に下りたあの男の帰ってくるだろう」
妖狐「あの男っていうと、私をとっ捕まえやがったあの神主さん?やだな私あいつ嫌いだもん」
仙狐「そんなこと知ったことではない。どうせしばらくはここに缶詰なんだ、愛想の一つでも振っておけ」
妖狐「げ、もう参道にいる。しょうがないなあ、普通の狐にもどろっと」
仙狐(…………)
狐「クゥン?」
神主「む、愛想良くしても妖怪には甘くはしないぞ。ほれどいたどいた」
タッタッタッタ
妖狐(……なにあいつー、センのこと見えてないの?)
仙狐(ああ、邪悪なら見えるようだが神聖なものになるとどうも……センとはなんだ)
妖狐(あ、仙狐のセンだよ。なんとなくあだ名で呼びたくなった)
仙狐(……勝手にしろ)
鼠「キーッ!キーッ!」
狐「…………」
神主「そんな目で見てもこの酒はやらんぞ。村のものに奉納された神酒だからな」
狐「くぅ……」
神主「よし、それじゃ俺は寝るとするか」
パチッ
仙狐「どうだ?普通の狐も悪くないだろう」
妖狐「あ、センスッゲーむかつく顔してる!この野郎この野郎!」
仙狐「はっはっは!そういきり立つな雑魚妖怪めが!これでも飲んで落ち着け」
妖狐「うわっぷ、なにこれ徳利?……あ、さっきのお神酒じゃん。飲んでいいの?」
仙狐「もう神には渡してある。残った酒はしっかり処理しなきゃな!はっははは!」
妖狐「ふーん、そんじゃお言葉に甘えるわ。お酒はただの狐じゃ味わえないしねー」
仙狐「我ら化けたものの特権だな!はーっはっはっはっはっは!」
妖狐「何?笑い上戸?しかもかなり弱いのねあんた」
妖狐「落ち着きなさい、それアンタの自爆だから。何も覚えてないの?」
仙狐「あー……そういえばなんか呑んだような呑まれたような……うえっぷ」
妖狐「意外とセンも完璧って訳じゃないんだねー。弱み握った感じ?」
仙狐「くっそー……昼寝といい酒といいどうしてこう私は……あ」
妖狐「吐くなら隅っこでね?あ、駄目駄目ここはまずいって!」
妖狐「すごかったんだからね昨夜のアンタ。それはもういつものお堅いイメージが崩れるくらい」
仙狐「なあ、私は何をしたんだ?すまないが本当に覚えていないんだ」
妖狐「!……えー、そんなこと、この私に言わせるつもり?」
仙狐「おいなんでそこで照れるんだなあ私は何をしたんだ答えてくれよ頼むとっても怖いから」
妖狐「いやまあ普通に大笑いしたり私に抱きついたりそのまま寝たりいたって平和な酔っ払いだったよ」
仙狐「なんだ……驚かせやって……ん?」
仙狐「ん、なにやら村の方でも騒いでるようだな。田んぼの方も調子が悪くなってきたとか」
妖狐「あー、旱魃(かんばつ)だっけ?水がないと米育たないものね」
仙狐「うちの神社でも雨乞い祈願などはやっているんだが……所詮は祈願だしなあ」
妖狐「あらあら、いいの?自分の上の人をそんな風に言っちゃって」
仙狐「神は私みたいに直接は干渉できないんだ。祈願を受けてもそれを叶えられるかは村の者次第……」
妖狐「ふーん、大変そうだね。竜神とかがいれば直接ザーッっといけるんだろうけどねー」
仙狐「竜神か……そういえば最近下のほうに竜を祭った小さな神社が建ったらしいな」
妖狐「え、商売敵じゃん。しかも一気に人気もってけるだけの切り札持ってるじゃん。どうすんの?」
仙狐「どうもしないさ。向こうは向こう、こっちはこっちでうまくやればいい。利益が目当てと言うわけではないからな」
仙狐「なんだ、珍しいな。お前が書物を読むなんて」
妖狐「ふっふっふ。反省したのを見せるためには村の者を助けるのが一番だと思ってね」
仙狐「感心な心がけだな、それで?」
妖狐「うん、私の母さんもやる気になりゃ晴れだろうと雪だろうと雨を降らすことができたなって思い出して、そんでね」
仙狐「すごい母親を持ったな。で?」
妖狐「まあ私も雨乞いの術が使えないかなあと思ったわけなんだけど。いやさっぱりでね。神社の書物とかならそんなの書いてあるかなと思ったけど」
仙狐「無かったんだな。まあ別に大丈夫だろう、うちの男も良くやってるし麓の神社もあるからな」
妖狐「うー私の手柄にしようと思ったのにー!」
仙狐「む?確か麓の……」
巫女「あ、貴方がここの神社の神使さん?どうも竜宮神社の巫女です」
仙狐「見えるのか、私はこの山狐神社の仙狐と申す。用件はなんだ」
巫女「はい、今回私の方の神社で雨乞いの儀を執り行うことになりまして、それで貴方の所の神主さんを少しお借りしますと伝えにきました」
仙狐「そうか、ご苦労であった。あの男、少々使えぬかもしれませぬが……よろしく願おう。お前のところの神様にもよろしく伝えておいてくれ」
巫女「はい、そうしておきます。神主さんはちゃんとしてますから大丈夫ですよ。それでは」
仙狐「よく隠れていたな。彼女はおそらくお前がここにいる理由を知らぬから顔を出していたら大騒ぎになっていたところだ」
妖狐「それにしても、雨乞いの儀ねぇ。麓でやるってことはやっぱ麓の手柄にされちゃうのかな」
仙狐「そうだろうが……くどいなお前。そんなに自分がやりたかったのか」
妖狐「だってーうー、いっそのこと日照りの儀で妨害を」
仙狐「冗談で済ましておかないと本気で岩にくくりつけるぞ」
仙狐「なんだ……おお!」
妖狐「すごいね、本当に竜がきたよ」
仙狐「しっかり雨雲もひきつれて……これが竜か」
妖狐「あーあ、これで多分三日くらいは雨祭りだ。その間どうするの?」
仙狐「……仕方ないな。囲碁でもして過ごすか」
妖狐「あ、いいね!私は将棋のほうが得意なんだけどね」
妖狐「あら本当、二日間か。随分と早い気がするけど」
仙狐「しかしまだ少し遠くに竜の姿が見える。何回かに分けるのかもしれない」
妖狐「はー、これで村も安泰か。さぞしたの神社は大人気だろうね」
仙狐「そうでもないぞ?ほれ」
妖狐「ん?うわっなにその神酒の山!こっちにも供え物が来たの?」
仙狐「なんだかんだでここも古いからな。うちの神主が出張ったから報酬は半々といったところだろう」
妖狐「人気なんだねーここ」
妖狐「どれ?……なんだ半月じゃないさ」
仙狐「でも、綺麗だ。雨で空気が浄化され、月がとてもよく映る」
妖狐「まだお月見には早いんじゃない?それよりもさちょっとこれ見てよ」
仙狐「ん?これは、祝詞?一体何の」
妖狐「へっへー、多分中身は雨乞いの儀だよ。あいつが神社に帰ってきたときに持ってたんだ」
仙狐「間違えて持ってきてしまったのか?速めに気づかせて返させなければいけないな」
妖狐「ちょいとお待ちよ。どうせなら私が見てからでも遅くないと思うんだ、ちょっと応用利かせれば私の術の糧になりそうだ」
仙狐「あ、こら!ちゃんと返しなさい!向こうも困ってるかもしれないだろう?」
妖狐「大丈夫!今夜中に別の紙に写してさくっと返すからさ!」
神主「うう……?なんか落っこちて!?これはあのときの!」
神主「しまった!急いで返しに行かねば!」
タッタッタ
妖狐「よっしこれで大丈夫ね」
仙狐「まったく、それで?役に立ちそうかそれ」
妖狐「うーん、ちゃんと見ないことにはどうにも。でもなんとかなるっしょ」
仙狐「…………不安だ」
仙狐「むう、これは一体……?向こうで何かあったのか?」
妖狐「ひゃっ雷!セン、私雷はどうも苦手なのよ!」
仙狐「……これからもっと激しくなりそうだ、お前は早めに寝ておいたほうがいいと思うぞ」
妖狐「ん、それじゃあね!また明日!」
仙狐「ああ、また明日」
仙狐「うわぁあ!?な、なんだあ!?」
仙狐「外に雷が落ちたのか!?何処だ……!」
仙狐「ば……馬鹿な……ご神木が……!」
仙狐「そ、そうだ!妖狐!妖狐はどうした!」
仙狐「妖狐!よう……居ない、しまった!」
仙狐「あっ火が!神木に火がついた!くそっこんなときに限って雨がやみやがる!」
仙狐「おい、神主!神主起きろ!早くしないと……この神社が!」
妖狐「……や、やっほう?」
仙狐「逃げたな?」
妖狐「あ、えーと……つい」
仙狐「……もういい。この神社に留める力はない。いや、本社少し火がつきもはや神社かすらも怪しい」
仙狐「消えてくれ、いやさっさと消えろ!この化け狐!」
妖狐「あ……ああ!じゃあね、セン!多分もう二度と会えない!」
巫女「そう、ですか……」
神主「竜神様の天罰なのか?あれを持ち出してしまった……」
巫女「いえ、そんなはずは無いでしょう。きっと」
神主「俺は……俺はどうすれば」
巫女「……もし、よろしかったら……」
仙狐「修復にはしばらく時間がかかる。それに神木の代わりも用意しなければならないしな」
仙狐「その間は向こうの神社にいるのだろう。きっとそうだ」
仙狐「なあ、よう……ふん」
仙狐「なぜ……なぜこんな事に」
仙狐「……くそっ」
妖狐「へん、この術さえあればあんな奴なんかねえ……ヒヒヒ」
妖狐「……いやあ嫌われたなあ、盛大に」
妖狐「い、いや寂しくないけどね?むしろ楽になったけどね?娑婆の空気美味しいです!」
妖狐「……明日は、満月かあ」
妖狐「仕掛けるには丁度いい、大悪党は月の夜に蘇るのさ」
仙狐「だがもうこれを一緒に楽しむものはいないんだ」
仙狐「……ん?これは……」
仙狐「雲も無いのに、雨粒?」
神主「おや、月夜に天気雨が降るとは」
巫女「どこかの狐がまじないでもかけたのかしら、なにも誰にも見られないように……」
妖狐「こらぁ竜神!アメフラシ!さっさと私に顔見せろ!」
ゴロゴロゴロゴロ
竜「……貴様か、雑魚妖怪」
妖狐「へん、きたわねオロチさん?あんたなんで神社を撃ったりしたのかな?」
竜「……何の話だ」
妖狐「すっとぼけなさんな!あの時落ちた雷は確かに神威を纏っていた!それに雷が落ちた後あんたの雲が急に消えたんだ!」
竜「……貴様がいたからだ。妖狐」
妖狐「はいはい言ってろカス野郎!アンタの本当の狙いは分かってるんだ!」
竜「面白い……私の真意?言ってみろ、小娘」
妖狐「簡単な事だよ!あんたはあの神社をつぶしたかったんだ!信仰心を一身に受けるためにね!丁度私がいたから上手い事言ったつもりだろうけど、私の目はごまかせないよ!」
竜「フハハハハ……言い逃れ、責任転嫁。見苦しいなあ、ええ?どれも証拠がない妄言ばかりだ」
妖狐「へへ、確かに証拠はない!でもねえアンタが神社を焼ける理由にはなってないんだよ!つかあんた神じゃねえだろ!」
竜「な!何を言う貴様!」
竜「そんなわけあるかあ!さっき貴様が言ったではないか!我がいかづちは神威を纏っていると!」
妖狐「あーあれ嘘。私そんなの見分けつく目もっていません!揺さぶりようの嘘です!ばーか!」
竜「く、私は竜神だ!雨を降らし、雷を操る。これが神の力でなくてなんだと言うのだ!」
妖狐「残念だけどね、その程度」
九尾「私にだってできるんだわ、意外と」
仙狐「な、なんだこの妖気は?鬼でも来たというのか!?」
仙狐「場所は向かいの山か、すぐに向かわねば!一体何が起こっているんだ!」
神主「いま……雷落ちませんでした?雲も無いのに」
巫女「…………いえ、何も聞いておりません」
仙狐「……いや違う!あれは何か力を持った蛇の妖怪だったのか!」
仙狐「ではこの妖気は奴の……いやその目の前にいる小さな妖怪」
仙狐「まさか、まさかまさか!あいつは……妖狐!」
九尾「よう、来たかセン。みてよこの醜い妖怪」
竜「私は、神だ!神なのだ!だから他の神など要らんのだ!」
九尾「こいつが大体の犯人だ。ちょいと手を貸しなさい!」
仙狐「は?な、何がどうなってるのか良く分からないが、分かった!」
竜「ぬっ!?ぐっ!ああああああああああああああああああああああ!!!!」
九尾「はあ?え、終わり?折角いいとこだったのに!」
仙狐「あ、あなたは……まさか本物の?」
竜神「おうともよー俺が竜神だーちょっとだけ力奪われてたけど元気だぞーごめんな九尾ちゃんー出番貰ったー」
妖狐「ええーなんで今になって来るかなーもー」
仙狐「あの、未だに私にはよく状況が分からないのですが、ありがとうございました。竜神様」
竜神「いいのよいいのよーそれよりもさーうちの巫女ったらアンタのとこの神主と結婚したいとか考えててさー、最近やたら緊張してるしどうなのー!てかんじー」
仙狐「へ?は?え?」
妖狐「気にしないほうがいいと思うわ、ちょっとボケてるみたい」
仙狐「……文字通り嵐のようなお方だったな」
妖狐「ちくしょーまた出番取られたー!せっかく犯人捕まえて仲直りの手土産にしようと……あっ」
仙狐「……へ?な、仲直り?」
妖狐「あー……いや、あの時つい好奇心で外に出てごめんねーとか、いろいろ。やっぱ忘れて!山に帰るわ!」
仙狐「あっちょ、ちょっと待ってくれ!」
仙狐「えーと……なあ。もし良かったらだが、あの神社にもうちっとだけいてくれないか?」
妖狐「ちょっまた監禁ですか?そればっかりはご勘弁」
仙狐「いや、そうではない。ほら、あそこ……本来神使二柱いるはずなのに私一人だろ?もう長いこと一人なんだ!だから、そのー」
仙狐「……話し相手になってくれると、私が嬉しい」
妖狐「は、早い話が私にもう一柱になれと?え、隣にずっと一緒にいてくれと?」
仙狐「嫌ならそれでいい。ただ……」
妖狐「急な話だなぁ。うーん……よし!」
仙狐「……あ、ありがとう!今度こそ絶対逃がさないからな!」
妖狐「え、そりゃ簡便して」
おわれ
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
探偵「難事件だよ……これは……」助手「マジッす?!」
探偵「……」ジーッ
助手「ほっ、ほっ」パタパタ
探偵「よく働くね」
助手「うっす!所長のためっすもん」
探偵「……」
助手「ほっ、ほっ」パタパタ
探偵「お尻がいいねえ」
助手「うっす!あざっす!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328073001/
探偵「難事件だよ……これは……」助手「マジッす?!」
探偵「……うむ」
助手「おそーじおわりっ」
探偵「……」
助手「所長、お茶でもどっすか?」
探偵「貰おうか」
助手「うっす!」
探偵「……」
助手「それにしてもヒマッすね」
探偵「いいことじゃないか」
助手「でも、漫画や小説みたいに難事件を解決したいっすよ」
探偵「世間一般の探偵はそんなことしないし、トリックを暴くだけの頭脳など私にも君にもない」
助手「ま、そっすねー」
探偵「だが、君はお尻がいい。背中からお尻のラインなんて整いすぎていて、見惚れてしまうよ」
助手「うっす!あざっす!」
探偵「ありがとう」ズズッ
助手「依頼こないっすかねー」
探偵「昨日、浮気調査の依頼は来たけど」
助手「えー!?なんでいってくれないんっすか?!」
探偵「え?」
助手「自分もお手伝いするっす!!」ムフー
探偵「君は私の目の保養になってくれればいいんだ」
助手「じぶんも所長と調査したいっす!したいっす!」ジタバタ
探偵「……」
助手「したいっす!したいっす!!」ジタバタ
探偵「やめろ」
助手「あ……すいません」
探偵「君は私を悶死させる気か?」
助手「ごめんなさい……殺すつもりなんで毛頭ないっす……」
助手「クビっすか?!じぶん、クビっすかぁ?!」
探偵「そんなことしない。君はお尻がいいからな」
助手「うっす!地元の友達にもよくいわれるっす!」
探偵「そうだろう。そうだろう」
助手「この魅惑のヒップラインがじぶんの武器っすから」プリンッ
探偵「やめろ」
助手「え?」
探偵「……ふー」
助手「あの……所長?」
探偵「……そうやってお尻を強調されると……仕事にならないだろ」キリッ
助手「あ……すいません」
探偵「自然にしていればいいんだ。それだけで君は輝ける」
助手「うっす。精進するっす……」
助手「あの、じぶんは……?」
探偵「……」
助手「あ!はい!お留守番してるっす!」ビシッ
探偵「頼むよ」
助手「うっす!」
バタンッ
助手「はぁ……」
助手(ここで働き始めてもう半年……)
助手(上達したのはお茶とコーヒーの淹れかただけ……)
助手(所長は良い人だし尊敬もできるから……あの人の役に立ちたいのに……)
助手「所長……」
女「ふんふふーん」スタスタ
探偵(あの人だな……)
探偵(38歳。子どもが二人にも関わらず、家事を省みないでいつも昼間は外にいる)
探偵(旦那さんが心配もするわけだ……)
女「らんららーん」スタスタ
探偵「……」
探偵(しかし見るに耐えん、お尻だ)
探偵(尾行する気も失せるな……)
女「あ、はぁい」
男「よお。おせえぞ」
女「ごめんなさい」
探偵(ふん……簡単な仕事になりそうだな)
探偵(ホテルにでも直行してくれれば……)
探偵(早く帰って助手のお尻を拝みたいよ、まったく)
助手「すぅ……すぅ……」
ガチャ
助手「うおぉお!?寝てない!寝てないっすよ!!」
探偵「ただいま」
助手「おかえりなさいっす!!」ビシッ
探偵「コーヒーを」
助手「うっす!!」パタパタ
探偵「……」ジーッ
助手「コーヒーのさとうは~かくざとう~どうしてしかく~まるでもいいじゃ~ん♪」
探偵「……くっ……くく……」
助手「どうしたんすか?」
探偵「いや……長年、他人のお尻ばかりを見てきたが、やはり君ほど洗練されたお尻は見たことがない」
助手「あざっす!」
探偵「生きてて良かったよ」
探偵「ありがとう」
助手「で、浮気調査のほうは?」
探偵「簡単な仕事だった」
助手「おぉ!?もう写真が」
探偵「奥さんの行動がおかしくなり始めてから既に三ヶ月ほどたっているらしいからな」
探偵「罪悪感など薄れてしまっているのか、周囲を警戒する様子もない」
助手「じゃあ、ミッションコンプリートっすか」
探偵「うむ」
助手(これくらいなら自分でもできたんじゃ……)ムスッ
探偵「自分もでできたのではないか。そんなお尻をしているね」
助手「な!?わかるんすか?!」
探偵「君のお尻は表情や言葉やりも心情を雄弁に語ってくれる」
助手「お尻にマスクとかいりますか?」
探偵「隠すとか鬼畜の所業だな。やめたまえ」
探偵「そんなに私の仕事を手伝いたいのか?」
助手「もちろんっす!!」
探偵「……」
助手「……」プリンッ
探偵「ふはっ……」
助手「所長!?鼻血が!!」
探偵「負けたよ……」
助手「ティッシュ!ティッシュ!!」パタパタ
探偵「すまんね」
助手「あの……」
探偵「次の依頼、私と一緒に調査してみるか?」
助手「まじっすか?!わーい!わーい!」
探偵「……」
探偵(試されているのは私だな……。調査中も助手のお尻の誘惑に負けないでいられるか……それが問題だ……)
依頼人「この写真の彼女を行方を捜してください」
探偵「この人は?」
依頼人「妹です……」
探偵「……妹さん。家出でも?」
依頼人「わかりません。一年前、急に家を飛び出してそれっきりで……」
探偵「なるほど」
依頼人「お願いできますか?」
探偵「ええ。引き受けます」
依頼人「ありがとうございます」
助手「お茶です」
探偵「ありがとう」
依頼人「……」
探偵「うちの助手になにか?」
依頼人「いや……いいお尻だなぁって……。あ!すいません!!なにいってんだ俺……!!」
依頼人「うぅ……恥ずかしい……」
探偵「ところで、妹さんの行き先については?」
依頼人「心当たりは一年の間に全て当たりました。友人、知人にも……」
探偵「なるほど……」
依頼人「……申し訳ありません。私には出せる情報がありません」
探偵「いやいや。その交友関係や一年前までよく顔を出していたであろう場所を教えてください」
依頼人「え、ええ」
探偵「見つけてきますよ、必ず」
依頼人「お願いします!!」
助手「ふんふーん……」プリンッ
依頼人「……」
探偵「助手を凝視しないようにお願いします」
依頼人「は、はい!!」
探偵「ま、無理もないですがね。ふふ」
助手「うおー!!もえてきたっすよー!!」
探偵「熱くなりすぎないようにな」
助手「めらめらー!!」
探偵「ふっ……可愛い奴め」
助手「さ、行きましょう!!」ズンズン
探偵「行き先は知っているのか?」
助手「妹さんが通ってた学校からじゃないんすか?!」
探偵「よくわかってるな」
助手「えへへ~」
探偵「依頼人の妹は22歳。大学生。今は23歳だな」
助手「なにがあったんでしょうね。気になりますね」
探偵「それを調査するのが私たちだ」
助手「うっす!うっす!!」
探偵「いくぞ」
助手「今から潜入調査っすね」
探偵「ま、大学だから私服で入っても怪しまれはしないが」
助手「いきましょう!!」
探偵「……」
助手「わたしはたんて~い、なんじけんも~ひとひねり~♪」
探偵「ふー……」
探偵(なんてヒップだ。引き締まっているだけではなく、確かな弾力性も見て取れる……)
探偵(思わず噛み付きたくなるお尻とはこういうのを言うのだろうな……)
探偵「……」ジーッ
「なにあの人……?」ヒソヒソ
「警備員呼んだ方よくない?」ヒソヒソ
助手「所長……あの、そんな至近距離でお尻を見つめられると……流石に照れるっす……」
探偵「あ、しまった……すまない……」
助手「もう……」
「そうですね。何の連絡もないんで、こっちも心配してるんですよ」
助手「ほうほう」
探偵「……」ジーッ
助手「ところで、この方が退学する直前のこととかって知ってますか?」
「そうですねぇ……」
助手「変なところに行ってるとか、変な男とつるんでたーとか」
「大阪に行きたい。とかなんとかは聞いた覚えがありますね」
助手「大阪」
探偵「……」ジーッ
「ところで、後ろの人は……?」
助手「え?!あー!!所長!!どうしてじぶんのお尻をみるんすかぁ!!真面目にやってくださいっす!!」
探偵「え?あ、ああ。これは失敬」
助手「もう!」
(ヘンタイか……?)
探偵「大阪だな」
助手「でも部活や同じゼミの友人には一切、言ってなかったのがきになりますね」
探偵「漏らしていたのは、同講義で一緒だったわずかな人だけ」
助手「なんかあるんすかね」
探偵「失踪する前、親類に知られたくないのなら普通は誰にも漏らさない」
探偵「でも、大抵の場合は引き止めて欲しいと心のどこかで思うもの」
助手「だから親しい友人には言わずに、浅い知人にだけ?」
探偵「相談したんだろ」
助手「なるほど」
探偵「じゃあ、大阪に行こうか」
助手「うっす!!支度するっす!!」
探偵「ふー……」
探偵「ホテルの手配も……」
探偵「はっ……!!ホテル……。同室……にするべきか……?経費削減ということで……」
性別わかると思ったのに
助手「きたー!!」
探偵「……」
助手「なんでやねん」ビシッ
探偵「騒ぎすぎだ」
助手「すんません」
探偵「ホテルに行こうか」
助手「うっす!!」
探偵「ところで……」
助手「なんすか?」
探偵「その……手違いがあって……ホテルは一部屋しか借りれなかった……」
助手「へええ!?!?」
探偵「ま、問題はないか」
助手「いや……」
探偵「行こうか」
助手「よいしょっと」
探偵「大阪か……騒がしいが、東京も似たようなものだな」
助手「そうっすね」
探偵「……」
助手「あのぉ」
探偵「なんだ?」
助手「なんでシングルの部屋なんすか?」
探偵「なにか?」
助手「ベッド、ひとつじゃないっすか」
探偵「気にするな」
助手「じぶんはどこで寝ればいいんすかぁ!?」
探偵「私と一緒にねればいい」
助手「ほ、ほんきっすか……?」
探偵「経費削減だ」
助手「あのあの!!」
探偵「なんだ?」
助手「……」
探偵「どうした?」
助手「いえ……なんでも……」
探偵「いくぞ」
助手「うっす……」
助手(これは……立場を利用したパワーハラスメント……?い、いや……セクシャルハラスメント……?)
助手(まさか……所長はじぶんのことが……)
助手「マジっすか……」
助手「まじっすかー!!!」
探偵「うるさいぞ」
助手「す、すいません……」
探偵「そうですか」
「すいません」
探偵「ありがとうございます」
「えっと……あなたは?」
探偵「私はこの女性の行方を追っているのです」
「そうですか」
探偵「それでは」
助手「……」
探偵「ここも駄目だったな」
助手「そっすね……」
探偵「どうした?悩み事か?」
助手「え!?」
探偵「お尻を見ていれば分かるぞ」
助手「な、なにをいってんすか!?」
探偵「ふー……今日は収穫がなかったな」
助手「残念っすね」
探偵「……風呂でもはいったらどうだ?」
助手「え?」
探偵「ふー……」
助手「じゃあ、お先に失礼するっす……」
探偵「ゆっくりでいいぞ」
助手「……あの」
探偵「なんだ?」
助手「の、覗かないでくださいね?」
探偵「……ああ」
助手「それじゃあ……」
探偵「……」
探偵「さてと……」
助手「はぁ……」
助手(所長……もしかして……じぶんのことを……)
助手(いやいや!!ありえない!!)
助手(じぶんの魅力はこのお尻だけだし……)ペチンッ
助手(体なんて……別に……)
助手(でも……もしかしたら……)
助手「うー!!!」
助手「だめだめだめ!!!仕事できてるんすから!!」
助手(それに所長はそんなことしないっす!!)
助手「……」
助手「ん……?視線を感じる……」
助手「気のせい……?」
探偵(よし……この風呂場は狭い……。大抵は入り口に背を向ける姿勢でシャワーを浴びることになる)
探偵(ゆえにこうして扉の隙間から覗けば、お尻が……見える……ふふ……)
探偵「ふー……」
探偵(私の目に狂いはなかったな……)
助手「ふんふーん」ゴシゴシ
探偵(泡が滴り、尻を伝い……落ちていく……)
探偵(すばらしい……すばらしいよ……君のお尻は……)
探偵(この絶景を写真に……)
ピローン
助手「!?」
探偵(しまった……携帯のカメラは音がでるんだった……)
助手「所長!!いるんすか?!」
探偵「部屋の写真をとっていただけだ!!」
助手「あ、そうっすか」
探偵「すまんな、驚かせて」
探偵(危ないところだった……だが、この一枚は素晴らしい。永久保存確定だ……)
探偵「では、私も入ろうかな」
助手「……」
探偵「なんだ?」
助手「い、いえ……」
探偵「ふー……」
助手「……」
助手「いまだ……」
助手「すいません、所長!!疑ってるわけじゃないっす!!」
助手「ただの確認なんっす!!」
助手「……所長の携帯電話……」
助手「……」ピッ
助手「……」ポチポチ
助手「あ、部屋の写真っす」
助手「ふー、流石に盗撮はないっすよね。もう、じぶんのバカバカっすよ。あはは」
探偵「まぁ、いいか……」
助手「ひゃっほーい!!」
探偵「……」
探偵(何を騒いでいるのか……)
探偵(さて……)
探偵(依頼人の妹さんの行方は二の次でいい)
探偵(既に行き先の目星もついているしな……)
探偵(この出張の真の目的は……)
探偵(助手のお尻を心いくまで堪能することにある)
探偵(こういう遠出する依頼は正直、珍しいからな……)
探偵(仕事という名目ならば、助手の警戒心も然程ありはしない)
探偵(この夜が……第一の山場だな……)
探偵「ふふふ……ふふふふふ……あーっはっはっは」
助手「所長が風呂場で笑ってるっす……なんか、あったんすかね……?」
助手「ぶふっ!?なんで素っ裸で出てくるんすか!!」
探偵「別にいいではないか」
助手「目のやり場にこまるっす!!」
探偵「ふふん。そういう顔も可愛いな」
助手「やめてくださいっす!!」
探偵「今日はもう寝るか」
助手「そうっすね」
探偵「さ、くるんだ」
助手「え?」
探偵「私の隣で寝ろ」
助手「またまたー」
探偵「……」
助手「ま、マジッすか……?」
探偵「こい」
しかし・・・っ!同性であるという可能性も捨てきれない・・・っ!つまり・・・まだ・・・まだ分からない・・・っ!
探偵「背中合わせで寝れば問題ないだろ?」
助手「ま、まあ……」
探偵「……おやすみ」
助手「お、おやすみなさい……」
探偵「……」
助手(ひー……予想はしてたけど……やっぱりこうなるんだ……)
助手(いや……でも所長のことっす。じぶんに手を出すことはないはずっす……)
探偵(赤外線暗視カメラ……まさかこんなところで役に立つとは……)ゴソゴソ
探偵(君が寝ている間、ずっとお尻を撮影させてもらうよ……)
探偵(悪いね)
助手「……」ドキドキ
探偵「……」ゴソゴソ
探偵(うん。ここに固定していればいいだろう。よく撮れている。興奮してきたよ)
助手(寝れない……)
探偵「すぅ……すぅ……」
助手「所長……?ねちゃったっすか?」
探偵「んー……すぅ……」
助手「寝てる……」
助手「はぁ……」
助手(じぶんは何を疑ってたのか……)
助手(所長がそんなことするわけないのに……)
助手(じぶんも寝ないと)
助手「……」
助手「ん?」
助手「なんか……ある……」ゴソゴソ
助手「……カメラ?」
助手「なんで……?」
探偵「すぅ……おしりぃ……うまほぉ……」
助手「無線で映像を飛ばす盗撮用のカメラっすね、これ」
助手「んー?」
助手「なんでこんなものが……?」
助手「所長、所長」ユサユサ
探偵「ん?なんだぁ?」
助手「あの、ベッドの中に隠しカメラが」
探偵「え?なに……?」
助手「なんすかね?これ」
探偵「そうか……ホテルにはこういう盗撮用のカメラをおいて客の行動を監視するところもある」
助手「それって犯罪じゃないっすか!?」
探偵「私が明日、フロントで言うよ」
助手「お願いしまっす!!」
探偵(危ないところだった……)
助手(絶対嘘だ……)
助手「じぶんがあずかるっす」
探偵「え……」
助手「おやすみなさいっす」
探偵「待って」
助手「なんすか?」
探偵「かえし―――いや、私が預かる」
助手「明日、一緒にフロントでいいましょう」
探偵「待て……よこせ」
助手「いやっす」
探偵「なんでだ!?」
助手「なんで所長、そんな必死なんすか?誰が持っててもいいじゃないっすか」
探偵「君の身に余るものだ」
助手「ただのカメラじゃないっすか」
探偵「うぐ……」
探偵「……」オロオロ
助手(でも、ベッドの中に仕掛けて……なにを……?)
探偵(冷静になれ……冷静に……)
探偵(焦れば負けだ……)
助手(ベッドの中なんて撮っても……意味が……)
探偵「……分かった。白状しよう」
助手「え?」
探偵「ふー……カメラの性能を試したかったんだよ」
助手「じぶんに内緒で?」
探偵「あと、君の洞察力も知りたかった。初めての仕事だからな」
助手「所長……!!」
探偵「まさかこんなに早く看破されるとは……君はすばらしいな」
助手「嘘っすね?」
探偵「……」
探偵「ちっ……」
助手「所長……?」
探偵「……」
助手「……」
探偵「君は嘘を見破るのが得意なのか?」
助手「目を見ればわかるっすよ」
探偵「探偵にはもってこいの特技だな」
助手「で、どうしてこんなカメラを?」
探偵「性能を見ていた」
助手「ほんとっすかぁ?」
探偵「本当だ」
助手「まあ、それならいいんすけど」
探偵(ふー……あぶない)
助手「でも、今度からは一声かけてくださいね!」
助手「……ん?」
探偵(直に見るか……)
助手「所長!!」
探偵「なんだ?」
助手「枕のほうに足をもってきてどうするんすか!!」
探偵「寝相が悪いんだよ。私は」
助手「意識があるうちにっすか!?」
探偵「ふっ」
助手「もう……何がしたいんっすか……?」
探偵「寝やすい姿勢を探すのは当然だろうに」
助手「にしたって……」
探偵「きにするな」
助手「息苦しくなると思うっすよ?」
探偵「ノープログレムだよ」
助手(やっぱり息苦しいんじゃ……)
探偵(匂いまで……最高じゃないか。ここが桃源郷だな)
助手「……」
探偵(あぁ……噛み付きたい……でも……そんなことしたら……きっと嫌われる)
探偵(今日は見るだけ……見るだけ……)
探偵(みる……だ……け……)
助手「ううん……」プリンッ
探偵「がうぅ!!!」ガブッ!
助手「ぎゃぁぁぁ!!!」
探偵「君が悪いんだ!!君が……こんなお尻をしているから!!」
助手「いたい!!いたい!!!」
探偵「ぐるるるる!!!」
助手「やめて!!!やめてー!!!」
助手「……」
探偵「ごめん……」
助手「こんなお尻じゃ結婚できないっす……」
探偵「……」
助手「……さいてー」
探偵「だから……謝ってるじゃないか」
助手「信じてたのに……」
探偵「……」
助手「……依頼はどうすんすか?」
探偵「あ、ああ……じゃあ、行こうか」
助手「お尻……ヒリヒリする……」
探偵「あの……」
助手「……」プイッ
探偵(どうやら、私は難事件に巻き込まれたようだな……)
探偵「……」
助手「……」
探偵(すっかり嫌われたな……)
探偵(どうしたらいいか……)
助手「所長」
探偵「な、んだ!?」
助手「ここで聞き込みじゃないっすか?」
探偵「あ、ああ!そ、そうだな!!」
探偵「いこうか!!」
助手「……」
探偵「ごめんください」
妹「はい」
探偵「あ」
助手「いた」
助手(ここでアルバイトをしてたんすね……)
妹「兄が……」
探偵「ええ」
妹「私は帰りません」
探偵「どうしてですか?」
妹「……いえません」
探偵「居場所をお兄さんにお伝えしても?」
妹「やめてください!!」
探偵「……」
妹「言わないで……絶対に……」
探偵「……分かりました。今日のところは失礼します」
妹「では……」
探偵「……ふむ」
助手「……」
助手「何かわかったんすか?」
探偵「彼女もまたお尻が素晴らしいな」
助手「……さいてーっすね」
探偵「まて!!君が一番だ!!」
助手「それで、どうするんすか?」
探偵「おい……そんな冷たい目をするな。悲しくなるだろ……」
助手「で、これからどうするんすか?」
探偵「……」
助手「……」
探偵「そ、そうだな……。もう少し彼女の調査を行うか」
助手「どうしてっすか?お兄さんに居場所を伝えればハッピーエンドじゃないっすか」
探偵「そうなるとこの出張が終わってしまう」
助手「意味わかんねーっす」
探偵「とにかく調査だよ」
探偵「ここだよ」ムフー
助手「……」
探偵「たこ焼きでも食べるか?」
助手「いらねーっす」
探偵「ソフトクリームもあるぞ?」
助手「いらねーっす」
探偵「……」
助手「……」
探偵「大阪城、のぼるか?」
助手「興味ないっすから」
探偵(落ち着け……)
探偵(まだ大丈夫だ……焦ると負ける……)
探偵(この難事件を見事に解決してこそ、探偵じゃないか……)
助手(お尻……まだ噛み付かれたときの感覚が残ってる……)
探偵「なに!?別室だと!?」
助手「当たりまえっすよ!!もう同室なんてごめんこうむるっす!!」
探偵「しかし……経費削減……」
助手「……じゃあ、じぶんは事務所でお留守番してるっす」
探偵「な……!!き、君が協力したいっていったんじゃないかぁ!!」
助手「そりゃいいましたけど、お尻が被害をうけるなんて考えてなかったっすから!!」
探偵「ぐっ……」
助手「……」
探偵(まて……冷静になれ……)
探偵(ここで帰らせるほうがメリットはない……)
探偵(引き止めるしかないな……)
探偵「分かった、部屋をもうひとつ取ろう」
助手「……どうもっす」
探偵(ここに滞在している間はいくらでもチャンスはある……)
助手(所長にはほんと、マジびっくりっすよ)
助手「……」
助手「お尻……まだうずくなぁ……」
トントン
助手「はーい」
探偵「どうだ?新しい部屋は」
助手「眺めもいいし、いい感じっすね」
探偵「そうか」
助手「なんすか?」
探偵「いや……ベッドの調子を……」
助手「おい」
探偵「な、なんだ?」
助手「その手に持ってるのみせるっす」
探偵「……」
探偵「たまたま持っていただけだ」
助手「こんな高性能小型カメラをっすか?」
探偵「私は探偵だからな」ムフー
助手「開いた口が閉まらないっすよ」
探偵「君のお尻はいつでも引き締まっている」
助手「でてけ」
探偵「やれやれ」
助手「こっちの台詞っす」
探偵「では、失礼」
助手「もう……」
バタン
探偵(くく……見事に引っかかったな)
探偵(カメラを仕掛けるつもりなど初めからない。あのカメラはフェイクだ)
探偵(本当は扉の鍵に細工をしたのだよ。カメラを見つけたことで、もう他の場所を怪しむことはしないだろう……くく……)
助手「そろそろねるかー!!」
助手「……」
助手「所長……」
助手「―――すぅ……すぅ……」
ガチャ
探偵「……よし」
探偵「……」
助手「すぅ……すぅ……」
探偵「寝ているな……」
探偵「布団をめくれば……」ペラッ
探偵「桃源郷が現れる……」
探偵「まずは拝むか」
探偵「いいお尻だ」
助手「ううん……」
助手「ふぅ……?」ズルッ
探偵「ふふ……」
探偵「いいぞ……実にいい……」
探偵「ご飯、丼で五杯はいけるな」
探偵「さて……噛み付きたいな……」
探偵「昨日は布の上からだったから、味を確かめられなかった」
探偵「かといって、これ以上の嫌われると危険だ。助手が辞めてしまうかもしれない」
探偵「だから……舐める」
探偵「ふふ……優しく舐めれば……問題はないはずだ」
探偵「では……いくか……」
助手「むぅ……」
探偵「……」ハァハァ
探偵「……じゅる、じゅぱ、ぷちゅぅ……!」
助手「―――ひやぁぁぁぁぁ!!!!!」
助手「おそいっす!!!」ガシッ
探偵「おぉ?!」
助手「……」
探偵「何をする!はなせ!!」
助手「なにしてんすか?」
探偵「……この部屋に監視カメラがないか探しにきたんだ」
助手「もう探したっすよ、じぶんで」
探偵「そ、そうか……」
助手「……」
探偵「にゃん☆」
助手「辞表、出します」
探偵「待て!!早まるな!!」
助手「早まってないっす!!むしろかなり遅らせたほうっす!!」
探偵「一時の感情に流されてはいけないない!!」
探偵「くっ……」
助手「もうやだ!!さいてー!!ど変探偵!!」
探偵「その言い方はあんまりだ」
助手「ふん……!」
探偵「……わかった。もうしない。誓うから」
助手「信じられないっす」
探偵「頼む……この通りだ……」ザッ
助手「な……!?ど、土下座したって……だめっすから……!!」
探偵「おねがいだ……!!やめないでくれ……!!」
助手「……」
探偵「たのむ……!!」
助手「……もう、しないっすね?」
探偵「ああ!!絶対にしない!!」
助手「じゃあ……いいっすけど……」
助手「……」プイッ
探偵「ありがとう!!」ギュゥゥ
助手「ちょっと!!抱きつかないでくださいっす!!」
探偵「嬉しいよう!!」スリスリ
助手「もう……!!」
探偵「……」サワサワ
助手「おい」
探偵「なんだ?」ムニュムニュ
助手「お尻、触ってるっすよ?」
探偵「ああ、うっかり」
助手「反省……してないんすね?」
探偵「してるしてる」サワサワ
助手「……」ギュゥゥ
探偵「いたたた!!!手を抓るな!!」
探偵「よし。じゃあ、依頼人の妹さんの身辺調査といこか」
助手「それがなにになるんすか?」
探偵「何かにはなる。無駄にはならないよ」
助手「ならいいっすけど……」
探偵「よし、いこう」
助手「はぁ……」
探偵「どうした?お尻に張りがないぞ?」
助手「そうかもしれないっすね。どこかの変態がじぶんのお尻を執拗に追い回すんで」
探偵「ふん……。君がそんな魅力的過ぎるお尻をしているからだよ。人の所為にしてはいけない」
助手「……」
探偵「人間とは業の深いものだ」キリッ
助手「帰ったら辞表だすんで。お願いします」
探偵「まて!!絶対に受理はしないからな!!」
助手「しないと訴えるっすからねっ!!」
「ああ、その子か」
探偵「やはり知っているんですね?」
「よくこの店に来てるからね」
探偵「なるほど……」
「なんで?」
探偵「関係者なんです。でも、最近めっきり会えなくなって。それで今、少し調べているのですよ」
「ふーん」
探偵「どうして大阪に着たか、知ってますか?」
「アニキから逃げてきたとは言っていたな」
助手(逃げてきた……?)
探偵「お兄さんですか。仲が悪かったとか?」
「いや。日常的に暴力を振るわれていたらしい」
探偵「……」
「酷い兄貴もいたもんだよ」
探偵「なるほどね……」
助手「この依頼……どうするんすか?」
探偵「どうしたらいいと思う?」
助手「え……?」
探偵「私たちは探偵だ。依頼人の依頼を遂行して初めて仕事をしたことになる」
助手「そうですけど……」
探偵「それに気になることもある」
助手「なんすか?」
探偵「彼女が日頃から暴力を受けていたとすれば、どうして警察に連絡をしないのか」
探偵「周囲の親類、友人に話さなかったのか……」
探偵「何故、親しくもない知人に逃げることをさりげなく伝えたのか……」
助手「……」
探偵「彼女のところに行こうか」
助手「は、はいっす!!」
探偵「……そこのお尻の素敵な人」
妹「え?」
探偵「そう、君だ」
妹「な、なんですか……?」
探偵「恥らう姿もまた、いいね」
助手「ふん……!!」ギリギリ
探偵「いたいよ。足、踏んでるから」
妹「あの……」
探偵「色々、訊きたいことがあります」
妹「……帰ってください」
探偵「お兄さんと……どういった関係だったのですか?」
妹「……?!」
助手「へ?」
探偵「もう推測はできてます。私から話しましょうか?」
探偵「どうも」
妹「……」
探偵「貴女とお兄さんは……特別な関係にあったのではないですか?」
助手「え?!」
妹「……っ」
探偵「否定してくれても構いません。これまでの情報を元に推論を述べるだけですから」
探偵「お兄さんに暴力を受けていたということを色々な人に話しているようですね?」
妹「え、ええ……」
探偵「では、どうして警察に相談しなかったのですか?親でもいいし、親しい友人でもよかった」
探偵「なのに貴女は誰にも話さず、ただ地元から去ることだけを浅い関係の知人にだけ語った」
妹「……」
探偵「お兄さんのことを話したくなかった……好きだから……」
妹「それは……」
探偵「そして本当は兄の傍から離れたくないという心理が働き、知人らに去ることを漏らしてしまった。違いますか?」
妹「……その通りです。私は兄を愛してます。一人の男性として」
探偵「それは今でも?」
妹「はい」
探偵「暴力を受けていても……ですか」
妹「暴力といっても……兄はすこし偏った……性癖があるので……」
探偵「どういうことです?」
妹「お尻……」
助手「!?」
探偵「ほう……?」
妹「兄はお尻が好きで……。よく、ぶたれました」
探偵「お尻を?」
妹「はい……。拒否すると……その……兄が荒れて……何をされるかわからなくて……」
探偵「なるほど。愛してはいるけど、それが嫌になったと」
妹「はい」
助手「……」ギュゥゥ
探偵「いたいから。手のひらを抓るのはいたいから」
妹「……中学校に入ったときから兄の暴力は始まりました」
妹「でも、普段は優しくて……いつも私のことを……愛してくれていて……」
探偵「よくあることです」
妹「私……どうしたらいいか……」
助手「所長……どうするんですか?」
探偵「私は探偵です。お兄さんに貴女の現在を伝えます」
妹「それが……お仕事……ですものね……」
探偵「貴女が困惑していることも全て、話します」
妹「え……」
探偵「お兄さんも貴女を愛している。だから、探偵まで雇って探している」
探偵「貴女がまだ会いたくないとわかれば、お兄さんも無理に会おうとはしないはずです」
妹「はい……そうかもしれませんね……」
探偵「それでは」
妹「あの!」
探偵「はい」
妹「兄に……愛していますとだけ、伝えてください」
探偵「分かりました」
妹「……」ペコッ
助手「はぁー……」
探偵「どうした?バカみたいに口をあけて」
助手「あ、いえ……所長が探偵だったを再確認してしまったっす」
探偵「全く……何を言ってるんだ」
助手「ちょっと……しびれたっす……」
探偵「ふっ。さ、ホテルに戻ろう。明日、新幹線で帰るぞ」
助手「うっす!!」
探偵(よし……今晩は何をしても許されるぐらいに好感度は上がったはずだ……)
助手「うー!!やっぱ、所長かっこいいっす!!」
助手「普段、アレなのは全部相手を油断させるための演技にちがいないっす!!」
助手「くー!!!」
助手「私は、探偵です」キリッ
助手「あはっ!かっこいぃー!!!」
助手「もう一生ついていくっす!!これは永久就職っす!!!」
助手「うー!!」バタバタ
トントン
助手「あ、はーい」
探偵「お邪魔するよ」
助手「所長……ど、どどど、どうしたんすか!?」
探偵「少し、話でもしようと思って。ハイ、ジュース」
助手「どうもっす!!」
探偵(睡眠薬入りだけどね……)
探偵「ほら、ジュースが温くなる。早く飲んだほうがいい」ハァハァ
助手「えっと……今日、すごくかっこよかったっす……」
探偵「ありがとう。さ、ジュースを飲むんだ」ハァハァ
助手「えと……所長?」
探偵「なんだ?」
助手「じぶん……所長にずっとついていきたい」
探偵「え……」
助手「今日の仕事ぶりを見て、改めてそう思いました」
助手「家を追い出された私に仕事と住む場所を与えてくれたからじゃない」
探偵「……」
助手「じぶん、所長が好きです」
探偵「お……おい……」
助手「だから……ずっと、助手でいさせてください!!」
探偵「う、うん……いい……よ……うん……」
探偵「全く……君を手放すつもりなんてないがな」
助手「所長……!!」
探偵「そこまで信頼されているのは……少し驚きだよ……」
助手「えへへ。所長も照れるんっすね。かっわいー!!」
探偵「上司をからかうな」
助手「じゃあ、これ、頂きますね」
探偵「まて!!」
助手「なんです?」
探偵「そちらは駄目だ。こっちにしなさい」
助手「なんでっすか?」
探偵「いいから」
助手「こっちでいいっすよ」
探偵「いや。心が痛むからだめだ」
助手「……なんか、盛ったっすか?」
助手「じゃあ、飲んでくださいっす」
探偵「おふぅ……!?」
助手「ほら。ぐっと、一気に飲んでくださいっす」
探偵「やめろ」
助手「なんだ!?睡眠薬でも盛ったっすか!?」
探偵「なんで分かった?証拠は?」
助手「その発言っすよ!!ばかー!!」
探偵「誘導尋問か。やるな」
助手「所長がバカなだけっす!!」
探偵「やめろ……」
助手「おら!!のめ!!」
探偵「おま……訴えるぞ?」
助手「じぶんが勝つっすよ!!」
探偵「それもそうか……」
依頼人「そうですか……」
探偵「……はい。まだ、心の整理ができていないと、言っていました」
依頼人「ありがとうございます。妹にはまだ当分、会えそうにないですね」
探偵「これで依頼は達成ということで、よろしいですか?」
依頼人「ええ」
探偵「そうそう。妹さんから伝言です」
依頼人「え?」
探偵「―――愛している」
依頼人「……すいません」ウルウル
探偵「お気をつけて」
依頼人「はい……」ポロポロ
助手「ふんふーん」プリンッ
依頼人「……いい尻だなぁ……」
探偵「あのお尻は私のです」キリッ
探偵「お前のことをいいお尻だと言っていた」
助手「それ、伝えなくてもいいっす」
探偵「そうか」サワサワ
助手「おっと、手が滑って熱々のお茶が所長の手に」バシャ
探偵「がゃ!?!」
助手「セクハラっすよ?」
探偵「く……なんてやつだ……クビにしてやるぞ……」
助手「ふふん。別に反撃が怖くないならお尻、どうしたっていいっすよ?」
探偵「マジか!?」
助手「でも……容赦はしないっすからね?」
探偵「難事件だよ……これは……」
助手「マジッす!?触れなきゃいいだけなのに?!」
探偵「いや、触れるさ。―――だって、私は君のことが大好きだからね」キリッ
助手「なんか全然嬉しくないけど。ありがとうございます。私も好きっすよ、所長♪」
END
いいキャラだった
分からない所にロマンがある
Entry ⇒ 2012.02.16 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)