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向日葵「よく覚えてましたわね」

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 20:53:53.63 ID:OsV1pAv/0

「櫻子、書類取ってくださらない?」

「……」

生徒会活動中だというのに櫻子はぼうとしている

「櫻子?」

「えっ、なに?」

「生徒会中ぐらい集中しなさいよ」

「ご、ごめん……で、なに?」

「もういいですわよ」

自分で取ってしまった

2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 20:54:14.90 ID:OsV1pAv/0

最近の櫻子はいつにも増してうわの空で仕事に手がつかない様子

「生徒会は生徒の代表ですのよ、自覚を持ちなさいよ」

「あー、うん」

「はぁ……少しはヤル気を見せなさいよ」

「わかったってば、うるさいな向日葵は」

櫻子が生徒会にいる理由は私が入ったから

なるほど、それでは櫻子のこの態度も頷ける

「櫻子は生徒会活動に意義を持っていませんのね」


3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 20:54:42.80 ID:OsV1pAv/0

「ん、今失礼なこと言わなかった?」

「事実を羅列したに過ぎませんわ」

「私だって色々考えてるんだもん!」

櫻子の色々はいつだっていい加減でどうしようもない事で

「どうせ口だけでしょう?」

「ちがっ……違うもん!」

櫻子の違うはいつだっていい加減でどうしようもない事で

「はぁ……わかったから仕事してくださいな」

「む……」


5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 20:58:55.69 ID:OsV1pAv/0

今日の仕事もおしまい

「ふう……二人分の業務はくたびれますわね」

「私のぶんまでよく働いてくれたな、ごくろう向日葵」

櫻子は何様のつもりなのだろう

「はぁ……もうなれましたわ」

「どうしたの、帰ろうよ?」

櫻子はいつも私を悩ませる


6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:02:29.06 ID:OsV1pAv/0

冬は太陽もすぐに顔を隠す

櫻子も同様に謙虚であれば私がどれだけ気楽でいられるだろう

「寒いね」

「冬ですもの」

「なんだか懐かしいなーこの感じ」

白い息が口元から漏れる

私の息と櫻子の息が空気中で混ざり合う

「早く帰って温まりたい、そうだ向日葵ん家でコタツに入っていい?」

「駄目と言っても入るつもりでしょう?」

「えへへ」


8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:05:15.84 ID:OsV1pAv/0

「ただいま、楓」

「おかえりなさいなの、櫻子お姉ちゃん」

どうして櫻子がただいまをして、楓がおかえりなさいをしているのか

今更、疑問に感じることもなくなってしまった

「お姉ちゃんもおかえりなさい」

「ただいま、楓」

「お外寒かったよね、もうすぐ帰ってくると思って紅茶用意してたの」

楓は本当によくできた妹、撫子さんが可哀想になってくるほどですわ

「ありがとう楓」

「櫻子お姉ちゃんにはホットミルクなの」

「……」


9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:09:23.05 ID:OsV1pAv/0

「あー、あったまるー」

「温まったらさっさと家に帰りなさいよ」

「なんで? ご飯も食べていきたいんだけど」

櫻子も少しは遠慮というものを知ってほしい

「自分の家で食べなさいよ」

「いつものことじゃん、そんなに気にすんなって」

何だかんだと櫻子は私のご飯を食べる、懲りずに作り続ける私も私だ


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:10:20.94 ID:/u67aItA0

ほうほう


12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:13:24.11 ID:OsV1pAv/0

こたつで少し上気した櫻子が頬を染めて私を見上げる

「今日のご飯は何にするの?」

「そうですわね、冷蔵庫の中を見て有り体のものになりそうですわ」

「そっか、まあ向日葵のご飯は何でも美味しいし、それでいいよ」

たまに来る不意打ちに狼狽えるわけにもいかず、私は冷静を装い憎まれ口を叩く

「櫻子はただ座っているだけでいいから、本当に楽でいいですわね」

当然櫻子に皮肉が通じるわけもなく

「向日葵は私のために働き給えよ」

まったく、しょうがない櫻子


13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:18:21.73 ID:OsV1pAv/0

「蜜柑無いの?」

こたつにもたれかかりながら私に聞く

「これから晩御飯だって言うのに蜜柑ですの?」

「蜜柑はいつ食べたって美味しいし」

櫻子が食べていくと聞いて気合いを入れて作るつもりだったのに……

「蜜柑を食べるなら少なめに作りますわよ」

「なんで? 蜜柑も食べるし、向日葵のご飯もいっぱい食べるよ?」

確かに櫻子は私の作ったご飯を残したことは一度もない

「わかりましたわよ、好きなだけ食べればいいですわ」

櫻子の前に蜜柑の入った箱をそっと置く

「これこれ、こたつにはやっぱりこれだよね」


14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:19:09.42 ID:/u67aItA0

これはいいさくひま


15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:22:57.42 ID:OsV1pAv/0

櫻子の笑顔に頬を緩めていると楓が私を呼びましたわ

「お姉ちゃん、炊飯器セットできたの」

「ありがとう楓、そろそろ晩御飯を作り始めますわね」

楓は家事も出来て、櫻子とは大違いで自慢の妹ですわ

「楓もお手伝いするの」

「ありがとう楓、一緒に作りましょうね」

「頼んだぞ、二人とも」

まったく、しょうがない櫻子


16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:26:30.81 ID:OsV1pAv/0

「相変わらず向日葵のご飯は美味い!」

「そう、まあ褒められるのは悪く無いですわね」

蜜柑を貪っていたとは思えないほど綺麗に食べ尽くしてくれた

「お皿を舐めるのはどうかと思いますけど……」

マナー以前の問題だと思う

「残すのもったいないじゃん、ねえ楓」

「お姉ちゃんのご飯は美味しいけどそれはどうかと思うの」

「楓、もっと言ってもいいんですのよ?」

「ううん大丈夫、いくら櫻子お姉ちゃんでもわかってくれると思うの」

悪意のない辛辣な楓の言葉に流石の櫻子も沈黙を強いられた


17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:29:55.35 ID:OsV1pAv/0

「ふう、ご馳走さま」

食後にのんびりとしていた櫻子が突然すくっと立ち上がった

「私帰るね」

「もう帰りますの?」

いつもの調子ならここから一時間はゴロゴロしているはずだった

「さっさと帰れって言ってたのは向日葵でしょ?」

「確かにそうですけど……」

「それに私することあるしね」

にわかには信じがたいが櫻子にも用事があるようで

私に引き止めることは出来ず、その必要も……ない

「また明日ですわね櫻子」


18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:32:02.11 ID:OsV1pAv/0

「向日葵、おはおー」

「どうしましたの? 櫻子にしては珍しい」

いつも元気な櫻子が寝ぼけ眼で私を迎えに来た

「んー、ちょっとあかりちゃんとねー」

赤座さんと?

「ふあ~……」

「そう……」

赤座さんと櫻子、二人は確かに仲がいい


19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:37:13.15 ID:OsV1pAv/0

「おはよ、櫻子ちゃん向日葵ちゃん」

「ちなつちゃんおはよー」

「おはようございます吉川さん」

吉川さんはいつも愛嬌があって、羨ましいですわ

「櫻子ちゃん眠そうね」

「まーねー」

櫻子にも少しぐらい吉川さんを見習って欲しい

「櫻子ちゃん、今日放課後大丈夫?」

「もちろんオッケー」


20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:41:37.09 ID:OsV1pAv/0

「櫻子、生徒会行きますわよ」

「今日はちょっと用事があるから行けないよ」

昨日はぼんやりしていて、今日は来る来ない時点の話だ

「また怠けますの?」

「怠けるって……いいんだもん、副会長に許可貰ってるんだもん」

「え、そうなんですの?」

櫻子が私に内緒で話を進めている

「そんなことって……」

「遅くなりそうだから、先帰ってていいよ」

「え?」


21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:46:19.48 ID:OsV1pAv/0

櫻子はきっとまた何かバカな事をしてるに決まっている、気にしない気にしない

「どうしたの古谷さん、溜め息なんかついて」

「あ……私、溜め息ついてました?」

「そりゃあもう盛大についてたで」

指摘され、顔が赤くなっているのを自覚してしまいますわ

「わかる、わかるで! 大室さんがいなくて寂しいんやね!」

「な、そそそんなことあるわけないですのよ」

池田先輩ったら、櫻子がいないくらいで私が寂しくなるわけないですわ

本当に


22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:51:56.41 ID:OsV1pAv/0

「それにしても、池田先輩も櫻子が来ないことを知ってましたんですのね」

「そうやで、その時ちょうど綾乃ちゃんと一緒にいたんや」

「まぁ、そうでしたの」

池田先輩と杉浦先輩は一緒にいることが多い、私と櫻子のように

「歳納さんの事で綾乃ちゃんに相談受け取ったんやで」

「ちょっ、千歳!?」

杉浦先輩は乙女ですわね、私だって杉浦先輩みたいになれたらいいですのに

「って何考えてますの私!?」

「ん? どうかしたん、古谷さん?」


24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:54:12.26 ID:OsV1pAv/0

「さ、今日はお終い、帰りましょう」

「そうやね」

「……」

昨日、櫻子に注意しておいて今日は私がこのザマだ

「すみません、ろくに仕事もしないで……」

「気にせんでええよ、たまにはこういう日もあるで」

「そうよ、あまり気落ちすることもないわ」

ありがとうございます

「……」


25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 21:58:46.12 ID:OsV1pAv/0

櫻子は今何をしているのか

どうにも腑に落ちず、つい櫻子を待ってしまう

「校門前で待てば来ますわよね」

桜の木はか細い枝に小さな蕾を付け、今か今かと春を待ちわびている

「私はいったい何をしているのかしら……」

櫻子がいつここを通るのか、そもそももう通りすぎてしまっているかもしれないのに

帰ってしまおうかと、桜の木の下で右へ左へ

「こんなの私らしくないですわね……」

帰ろう、たまにはこんな日があってもいい、そう思い込もう

「櫻子ちゃん、忘れ物ない?」


26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:03:28.06 ID:OsV1pAv/0

「ッ!?」

櫻子の名前を聞いて、なぜか隠れてしまった

「赤座……さん?」

「大丈夫だよ、あかりちゃんはほんといい子だよね」

「えへへぇ、ありがとう櫻子ちゃん」

櫻子は今日、赤座さんと一緒に?

「……」

なに……この気持ち、胸がざわつく

「へくっ……寒いからですわね」


27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:07:32.10 ID:OsV1pAv/0

放課後のことが頭をもたげ、夜もあまり眠れないまま朝を迎えた

「向日葵、まだ寝てるの?」

「んん……あまり寝られなかったから……」

「快眠快食の向日葵らしくないな」

私がそう呼ばれたことなんて一度もないしそれは櫻子のことに違いない

そんなツッコミも出ないほどほとほと疲れはてていた

「気にしすぎ、ですわね……」

「私が向日葵の心配するのってそんなに変?」

「あなたに言ったんじゃないですわ」

「?」


28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:11:35.18 ID:OsV1pAv/0

生徒会、今日は櫻子も参加するようで胸をなで下ろす

「昨日いなかったぶんしっかり働いて貰いますわよ」

「わかったわかった」

私をあしらうように手を振る櫻子に苛立ってしまう

「あなたねえ!」

「まあまあ古谷さんも怒らんとき、いつもとおんなじやん?」

池田先輩にそう言われては顔を潰すわけにもいかないですわね

「……櫻子、仕事しますわよ」

突然メガネを外して鼻血を流し出す池田先輩、いったい何に反応したのかしら


29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:12:37.25 ID:CFZxMga60

本当に何に反応したんだ…


30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:16:04.43 ID:OsV1pAv/0

「おっと、部活の予算か」

「予算、櫻子に任せて大丈夫ですの?」

櫻子にお金の管理をさせるなんて不安で仕方がない

「あ、私が頼んだのよ」

「杉浦先輩が? まあ、それならいいですけど」

それでもとても任せてはいられない

「櫻―――」

「ごらく部の部費どうなってんの? ちょっと話聞いてくるね!」

「あ、ちょっと櫻子!」

私の話も聞かずに櫻子はごらく部へ走っていった

「古谷さん、これお願いできるかしら」

「あ、えと……はい」


32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:20:19.50 ID:OsV1pAv/0

櫻子はごらく部……つまり、赤座さんの所に

これは……そういうことなのだろうか

「櫻子……」

ごらく部は部と名乗ってはいても顧問もいないので正式な部活動ではない

もとより部費なんて出ていない

櫻子は、赤座さんに会いに行ったのだ

「櫻子……」


34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:25:16.53 ID:OsV1pAv/0

櫻子が帰ってきたのは下校時間ギリギリだった

「櫻子、あなたいったい何していたんですの!」

赤座さんに会いに行ったの? などと聞けるはずもなく

「いやぁ、部費の話で盛り上がっちゃってさ」

下手な嘘

それでも私は櫻子に再度問いただすことが出来なかった

櫻子の口から答えを聞くのが怖かったから


35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:29:30.30 ID:OsV1pAv/0

「……」

「どうしたの向日葵、元気ないみたいだけど?」

「なんでもないですわよ」

「……そう?」

櫻子が私の顔を覗く、珍しく心配そうな顔をして

「ま、元気だしなって!」

背中を叩かれる、櫻子なりの活の入れ方だ

空元気を無理やり浮き上がらせる

「痛いですわよ! もうっ、さっさと帰りますわよ!」


36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:33:20.46 ID:OsV1pAv/0

翌日学校につくと櫻子を呼ぶ声が聞こえた

「大室さんちょっといい?」

「あ、船見先輩いま行きます」

船見先輩が櫻子を呼び出すだなんて珍しいですわね

櫻子は本当にごらく部に入り浸っているらしい

「……」

少し離れたところから二人の話し声が聞こえる

聞きたい、でも聞きたくない

耳をふさぐ? そんなの不自然だし私らしくない

自分をなくしてしまったみたい


37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:37:54.19 ID:OsV1pAv/0

「はい、そんな感じで大丈夫ですよ」

「それはよかった、じゃあ放課後また部室でね」

部室、今日もまたごらく部に行くつもりなのだろうか

「櫻子、生徒会は……」

「今日も休むからね、よろしく」

「よろしくって……」

「例によって許可は取ってるから」

サボってばかりなのにいつの間にそんな根回しまで

もう、我慢ならなかった


38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:39:02.16 ID:OsV1pAv/0

「そんなに……」

「ん、なに?」

「そんなに赤座さんと一緒にいたいなら、生徒会なんて止めてしまえばいいんですわ!」

「櫻子なんてごらく部でもどこでも好きな場所に行ってしまいなさいよ!」

「はぁ!?」

「いきなりなに言い出してんの!? わけがわからないんだけど!」

「わけわからないのは私の方ですわよ!」

「え……向日葵、泣いて……」

「ううっ……」

櫻子に背を向け、教室を飛び出した


40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:42:22.55 ID:OsV1pAv/0

「うわぁ!」

逃げるように走っていると図書室から出てきた歳納先輩にぶつかってしまいましたわ

「きゃっ!」

「ととっ、おっぱいちゃん大丈夫?」

「ご、ごめんなさい歳納先輩、私前も見ずに」

「いやいや、私だって華麗に避けるべきだったよ」

その場でクルクルと回転し目を回すモーションをする歳納先輩につい笑をこぼしてしまいましたわ

「よかった笑ってくれて、おっぱいちゃんに泣いてる顔は似合わないしね」

「お、お恥ずかしい所をお見せしましたわ」


42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:45:26.31 ID:OsV1pAv/0

「私はさ、みんなが笑って過ごせたら、とってもいいことだって思うんだ」

「ごらく部のみんなも、生徒会のみんなも、ね」

「歳納先輩……」

歳納先輩はみんなのことを本当によく考えてくれていますわ、櫻子とは大違い

「昨日だってちっぱいちゃんが部室に来てさ」

「あ……」

櫻子の話にほんの一瞬、顔がこわばってしまう

「おっぱいちゃん?」

それでも歳納先輩は私の変化に敏感に気づいてしまいましたわ

「ご、ごめんなさい私……ッ」

そして私はまた逃げ出した


45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:58:38.46 ID:XQZ2pG620

一時間目ギリギリに教室に戻り、そのまま櫻子と目も合わせられず放課後になった

「ねえ向日葵」

「……ッ」

「向日葵は生徒会行くよね」

私は行かないけどね、そう言いたいのだろうか

「もちろんですわよ……」

「ん、そかそか」

櫻子が何を言いたいのか私には本当にわからなくなってしまった


46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 22:59:37.61 ID:XQZ2pG620

「古谷さんちょっとええ?」

「はい……」

「ちょっと仕事頼まれてほしいねんけど」

「わかりました」

…………

「古谷さん大丈夫かしら……」

「心配やね、でももう少しの辛抱やで」

「そうね、私たちも早く準備しましょう」


47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:02:10.70 ID:XQZ2pG620

池田先輩に頼まれたのは図書室での調べ物でしたわ

一人で考えるには丁度良くて正直助かった

「櫻子……」

仕事の間も櫻子のことばかり考えてしまう

「仕事しましょ」

図書室で調べ物、そういえば歳納先輩は図書室から出てきましたわね

何を調べていたのかしら

櫻子に似ていると思っても、やっぱり大違い


5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:25:34.41 ID:NsSuvwci0

しばらく調べ物をしていると

「あー、向日葵ちゃんいたいたぁ」

「あ……赤座さん、どう……しましたの?」

「大変なんだよぉ、こっち来て!」

「な、なんですの?」

「櫻子ちゃんが大変なんだよぉ!」

「櫻子になにがありましたの!?」

櫻子が私のいない所で何かに巻き込まれた……心配だ

「こっちだよ!」


6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:26:03.45 ID:NsSuvwci0

「生徒会室?」

「開けるよぉ!」

赤座さんが生徒会室を力一杯開きましたわ

「「おめでとー!」」

「え? え?」

生徒会室はきらびやかに装飾され、奥には下手くそな字でおめでとうと書かれた幕が掛かっていた

「誕生日おめでとう、向日葵ちゃん」


7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:29:16.70 ID:NsSuvwci0

「誕生日?」

「秘密で準備するの大変だったんだから」

「これプレゼント、ちっぱいちゃん監修のもとに描いたんだ」

「もう注文多くて多くて、それに資料も必要で大変だったよ」

歳納先輩から渡されたものは綺麗な向日葵と満開の桜の木が描かれた絵でしたわ

「まあ、不思議な光景ですわね……綺麗」

「でも、今日は私の誕生日じゃないですわよ?」

「「え?」」


9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:33:15.75 ID:NsSuvwci0

「大室さんが誕生日だって言ってたんだよね、ねえあかり?」

「う、うん……櫻子ちゃんが今日は大切な日だって」

櫻子が私の誕生日を間違えた?

そんなことって……

「櫻子はどこにいるんですの」

「準備するから、後で来るって言ってたわ」

廊下の方でドタドタと走る音が聞こえてくる、櫻子に違いない

「向日葵ー!」

「櫻子! これはなんですの!」

「うわぁ! 何で怒ってんの向日葵!?」

「誕生日ってどういう事ですの!」

「誕生日って、誰の?」


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:34:23.37 ID:NsSuvwci0

「どうやら、ちょっとしたすれ違いみたいやね」

「どういう事?」

「それはこっちのセリフですわ」

「今日って向日葵ちゃんの誕生日じゃなかったの?」

「誰がそんな事言ったの?」

「櫻子ちゃんだよぉ! 大切な日だって言ってたでしょ?」

「そうだよ?」

「でも、誕生日じゃないんでしょ?」

「大切な日、今日はね」


11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:35:21.18 ID:NsSuvwci0

「……私たちが初めて会った日、ですわ」

「うん!」

「ブフッ」

「千歳ぇ!?」

「ウチは大丈夫や、二人の邪魔にはならへんで! 続けて!」

「よく覚えてましたわね」

「忘れるわけ無いでしょ?」

「櫻子……」

「下僕が出来た記念だしね!」

「櫻子!」

「冗談だよ」


12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:37:04.18 ID:NsSuvwci0

「私、ここ数日櫻子がいなくて不安でしたの」

「ごめんね、寂しい思いさせたね」

「櫻子が私の元から離れていくんじゃないかって、怖くて、怖くて」

「驚かせようと思ったんだけど、逆に悲しませちゃったね」

「ううん、いいんですのよ、私とっても嬉しいですわ」

「向日葵、これあげる」

「なんですの?」

「手出して」

「あ……指輪」

「婚約指輪、手作りだけど」

「……嬉しい」

「これからもよろしくね向日葵」

「不束者ですがよろしくお願いしますわ、櫻子」

おしまい


13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:37:16.51 ID:YNfzv5WM0

  /\___/\
/ ⌒   ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < すばらしい
|   ト‐=‐ァ'   .::::|    \_____
\  `ニニ´  .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\



15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/08(日) 23:37:33.00 ID:NzzHk4Wh0

乙!
いいさくひまだった


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