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姪「おじさん。ご飯作るの手伝いましょうか?」
前→姪「おじさんは・・・いいひとだもん」 オレ「・・・」
姪「・・・あ、おじさん。ご飯作るの手伝いましょうか?」
オレ「あー、そうだな。じゃあ皿を出してくれ。今日はハンバーグだから」
姪「ハンバーグっ!」
オレ「おまえ、ハンバーグ好きだろ。体は小さいけど、意外と肉食だもんな」
姪「・・・肉食って・・・」
オレ「つけあわせはマッシュポテトと焼き玉ねぎだ。黄金の三角比だなwww」
姪「・・・黄金の三角比って・・・」
オレ「マッシュポテト、盛るぜぇ~ 超盛るぜぇ~」
オレ「あとはニンジンのスープをっと・・・」
オレ「・・・しかも今日のハンバーグはオーブンで焼くからな。美味いぞ」
姪「フライパンで焼かないんですか?」
オレ「いや、もちろんフライパンでも焼く、表面だけな」
オレ「それからオーブンでじっくり焼くんだ」
オレ「ケンタロウなんかは、ハンバーグをフライパンで焼くとき水入れて蒸し焼きするんだけどな」
オレ「あれはあれでジューシーな仕上がりになるが、いかんせん香ばしさが足りないわけよ」
姪「・・・」
オレ「だが、ガスオーブンはいいぞぉ。これで焼くと肉汁が閉じ込められてだな、」
オレ「ふわあっとした食感とじゅわあっとしたジューシーさとふわんとした肉の香ばしさがもうたまらんくなるわけよ・・・」
姪「・・・・・・」
オレ「おまえも結婚するときはガスオーブン買え。絶対買え。ガスオーブンは神・・・」
姪「おじさん、お皿とナイフとフォークは準備したよ。スープ皿も」
ピンポーン
姪「はあーい」
オレ(・・・こいつ、最近、スルースキルを身につけやがったな。姪友の悪影響か。あいつめ)
お袋「よっこらしょっと、ただいまー、姪ちゃん重くない?」
姪「よいしょ・・・よいしょ・・・はい、大丈夫です」
オレ「なんだよ、これ」
お袋「リンゴよ」
オレ「リンゴ?」
お袋「いただいてきたのよ、仕事場のひとから。B級品とかで、おすそわけ」
お袋「そろそろリンゴの季節も終わりだし、ちょうどいいかなって」
オレ(なにが「ちょうどいい」んだろうか・・・)
オレ「うちには3人しかいないのに、どーすんだよこんなに・・・」
お袋「そりゃあんたが考えなさいよ。ジャムとかケーキとか・・・ あと、ジャムとか?」
オレ(2種類しか言ってねーじゃんか)
オレ(・・・とりあえずささっとリンゴのサラダでも作るか)
オレ「姪、サラダ入れる深皿も出してくれる?」
姪「はい!」
・・・・・・・・
オレ「姪は寝た?」
お袋「寝たわ。だいぶ明るくなってきたわね、あの娘」
お袋「ご飯もたくさん食べるようになったし」
オレ「・・・ああ、まあそうだな。だったらいいけどな」
お袋「え?」
オレ「なんでもない。じゃ、オレ、仕事するわ」
お袋「ちょっと待って。あんたに頼みごとがあるの」
オレ「頼みごと? また面倒事か? 勘弁してくれよ・・・」
お袋「その姪ちゃんのことよ」
オレ「・・・なんだよ、話してみろよ」
お袋「・・・あんた、姪ちゃんのことになるとちゃんと話を聞くのね」
オレ「はい、そこ。脱線すんな」
お袋「学校の新しい担任の先生から電話があってね、姪ちゃんのことで話がしたいって」
オレ「・・・6年生になって、学校でなんかあったのか?」
お袋「そうじゃないらしいの。お父さんお母さんについて少し知りたいって」
オレ「そんなの、義弟に直接聞けばいいだけだろ?」
お袋「・・・そうなんだけど、ねぇ」
お袋「わたしもよくわかんなくてねぇ・・・」
オレ「お袋が行けよ、学校の先生とかオレ会いたくねーし。親でもねーのに」
お袋「でもあんただって、いまあの子の保護者なんだから・・・」
お袋「それに、義弟たちのこと、わたしも冷静に話せる自信がないわ・・・」
オレ(たしかにお袋は義弟を毛嫌いしてるからなあ)
オレ「だけどなー、オレだって義弟は嫌いだぞ」
お袋「いいえ。あんたのほうが先生とは冷静に話せるわよ、たぶん」
お袋「あんた、簡単にキレないとこだけは信用できるし」
オレ(・・・いったいどんな信用だよ)
お袋「それに、たぶん身内の中じゃあんたが姪ちゃんのいちばんの理解者だと思うわよ」
オレ「・・・そんなわけあるか。同じ女なんだからお袋のほうが理解者なんじゃね?」
お袋「・・・・・・・・・・・」
オレ「・・・わーかった。わかったよ。行くよ、オレが行く。それでいいだろ」
お袋「じゃあ、頼むわよ」
・・・・・・・・
先生「すいません。ご足労願いまして、オレさん」
オレ「いえいえ、自宅だと姪がオレたちの話を気にするでしょうから・・・」
先生「早速ですが、姪さん、お宅ではいかがですか?」
オレ「そうですね、だいぶ落ち着いてはきました。うちに来て3ヶ月すぎて、日常会話もうちとけてきましたし」
先生「そうですか・・・」
オレ「ただ・・・」
先生「ただ?」
オレ「・・・まだ距離は感じます。なかなか自分の気持ちを表現しないというか、できないというか」
先生「といいますと?」
オレ「夜、泣いてることがまだあるみたいで・・・」
オレ「うちに来た最初の日、姪はオレの部屋で泣きながら寝たんです」
オレ「それからはずっと自分の部屋でひとりで寝てるんですが、」
オレ「夜中、部屋から泣いてる声が聞こえたり・・・」
先生「・・・そういうときは声かけられます?」
オレ「はい。でも「夢を見てた。ひとりで大丈夫。」って言って・・・」
先生「そうですか・・・」
オレ「あの・・・ 姪は学校ではどうですか?」
先生「そうですね、とてもいい子です」
先生「多少、内気なところもありますが、お友だちも増えましたし、委員会の仕事もきちんとやっています」
先生「ただ、お母さんやお父さんのお話を聞こうとすると、表情が固くなります」
先生「それ以上は立ち入らないで、って雰囲気があるんです」
オレ「あの・・・、義弟から家庭の状況について説明はありましたか?」
先生「はい、精神的な病気でお母さんが入院されてる・・・」
先生「自分が仕事で不在がちだからおばあちゃんのお宅に姪さんを預けてる、と・・・」
オレ「母親の具合については?」
先生「しばらく入院の必要はあるけどそんなに大変な状況ではない、心配しなくていい、と伺っています」
オレ(義弟は、先生に病状を隠しているっぽいな・・・)
先生「わたしたち教師は、生徒に関わることとはいえ、家庭内の事情に簡単には立ち入ることができません」
先生「しかし、これまで姪さんがどういう生活をしていたかがわからないと指導の方針を立てることが難しいんです」
オレ「前の学校の先生はどうおっしゃってましたか?」
先生「あちらの学校では、懇談会や学校の行事ごとにはお父さんが積極的に参加されてて、」
先生「特に問題は感じられなかったという認識で・・・」
先生「お母さんが入院されたとき、学校もびっくりしたようです」
オレ(前の学校にも詳しいことを言ってないんだな、義弟は・・・)
先生「あの・・・オレさんは、姪さんの以前の生活はご存知ですか?」
オレ「・・・いえ、よく知りません」
オレ「ただ・・・うつ病の母親と一緒に暮らしてるとき、あまり良い食生活をしてなかったらしいこととか、」
オレ「うちに来たとき、服や下着の替えをあまり持ってなかったこととか、知ってるのはそのくらいです」
オレ「本人にも無理に聞くようなことはしていません」
先生「そうですか・・・ 姪さんはできるだけはやくカウンセリングを受けたほうが良い状況にあるかもしれませんね」
先生「医療機関だけでなく、スクールカウンセラーを利用することもできます」
先生「学校と連携した対応もできますから・・・」
先生「姪さんはいま思春期の入り口にいます」
先生「お母さんとの生活がこれからの発達にどう影響するのか、よく見てあげたほうがよいかと・・・」
オレ「オレもそう思いますが・・・ でも、そこいらは義弟の意見を聞かないと・・・」
先生「はい。この件は、わたしからもお父さんにお話してみます」
・・・・・・・・
オレ「おーい、姪っ。と、ついでにその子分っ」
姪「・・・おじさん!」
姪友「あーーーーっ、おじーーーさーーーんっ」
オレ「そこは伸ばすな、姪友。別の意味になるだろが。んで、おまえら公園で何してんの?」
姪友「鉄棒。姪ちゃんに逆上がり教えてもらってた。なかなかできないんだよぉ、わたし」
オレ「ふ~ん、オレもひさしぶりにやってみるかな。にしてもこりゃ、むちゃくちゃ低い鉄棒だなあ」
オレ「あーらよっと」
姪&姪友「おおおっ」
オレ「逆上がりとか、こんなん簡単じゃねえか」
オレ(とは言ったものの、思ったより身体が重いな。なまってるなあ、オレ)
姪友「ねえねえ 蹴上がりしてみてよ」
オレ「ああ? 蹴上がりってどんなんだっけ」
姪友「こうやってグーンって体を前にやってさ、んで、からだを引き寄せてババッて・・・」
オレ「あーなんか思い出したわ。ちょっとやってみるからどいてろ」
グーーーーン バコン
オレ「ぐわあああああああああ いってえええええええええ」
姪「わ わ わ おじさん大丈夫ですか!?」
姪友「ぎゃははははははは」
オレ「いってええ いてええよおお、くそおおお なんだこれええ」
姪「おじさんっ! 頭、こぶができてますよっ!!」
オレ「ちくしょう。鉄棒が低いからだ、くそお。もう鉄棒とかやんねえよ、あほお」
姪友「ぎゃははははははは」
オレ「笑うんじゃねえよ、バカたれっ」
姪友「なあなあ、おじさん、もしかして運動音痴? 運痴? うんちくんなの? くくく」
オレ「おまえ、いま見てただろが。鉄棒が低いから頭打っちまったんだよっ 運動神経は関係ねーんだよ(たぶん)」
オレ「だいたい逆上がりできない奴が、ひとのこと運痴とか言うなっ このうんこたれが」
姪友「ぎゃははははははは」
姪「くすくすくす」
オレ「おら、おまえらとっとと帰るぞ。こぶ冷やさないと、オレ死ぬかもしれん」
姪「えっ (;゜Д゜)」
姪友「そんなんで死なねーよーーー、バ~カwww」
姪友「・・・あっ、でもでもっ!! もしかして、頭打っていまバカになったとか?」
姪「えっ Σ(゜д゜lll)」
オレ「・・・もういいよ。帰ろうぜ。どうせバカだよ、オレは・・・」
姪友「ねえ、おじさん。ワタシハ けーきガ 食ベタイ デス」
オレ「食えよ。自分の家で思う存分食ってろよ」
姪友「えー、ケーキケーキーっ、おじさんが作ったケーキーっ」
オレ「あーーっ、うるせー。姪友の声は頭に響くんだよっ」
姪友「ケーキっケーキーっケーキっケーキーっケーキっケーキーっケーキっケーキーっ」
オレ「・・・姪友、明日うちに来い。リンゴのケーキ、作っとくから」
姪友「うっひょおおおお 救われたああああ 神さまありがっとんんんっ」
オレ「・・・やっすい神さまだなあ・・・」
姪「くすくすくす」
・・・・・・・・
オレ「・・・とまあ、そんな感じの話を先生とした」
お袋「そう・・・ で、どう思うの?」
オレ「どう思うって?」
お袋「カウンセリング、姪ちゃんは受ける必要あると思う?」
オレ「ある・・・だろうな」
お袋「姪ちゃん、元気そうだけど・・・」
オレ「・・・こういうのは予防だと思ったほうがいい。念のためにってやつだ」
オレ「何もないならそれにこしたことはないけどさ、もしこの先なにかあったら困るだろう?」
オレ「姪も思春期に入るんだ。先々、摂食障害とか起こしたらどうする?」
お袋「・・・・・」
オレ「・・・ずっと俺たちが姪の面倒を見るわけじゃない。いずれ姪は義弟たちに返すんだ」
お袋「・・・・・」
オレ「いまここで出来ることをやっておいたほうがよくね?」
オレ「カウンセリングの件を、姪にどう説明するかはあとから考えよう。とにかく方針だけは決めとかないとな」
お袋「・・・そうね。そうかもしれないわ」
オレ「なんにしろ義弟が同意しないと先には進まねーけどな」
オレ「ま、オレからも電話してみるわ、義弟に」
お袋「ふぅ、わかったわ・・・ それにしてもあんた・・・」
オレ「ん?」
お袋「その頭、すごいこぶね。どうしたの?」
オレ「・・・・・・・」
TRRRRRRR....Pi
オレ「もしもし、義弟か?」
義弟「ご無沙汰してます、義兄さん。娘がお世話になってます」
オレ「いま大丈夫か?」
義弟「ええ、娘のカウンセリングのお話ですか?」
オレ「ああ、もしかして先生から話を・・・」
義弟「さきほど先生から伺ったところです。ですが、娘にカウンセリングの必要はありません」
オレ「は?」
義弟「こないだも電話で娘と話しましたけど、義兄さんたちが言うほど娘におかしいところはありませんでしたから」
オレ「いや、これは将来への予防みたいなもので・・・」
義弟「いえ、わたしは大丈夫だと思ってます。娘を信頼してるんです。義兄さんは、信頼できないんですか?」
義弟「・・・それとも、本人からなにか悩みを聞いてるとか?」
オレ「・・・いや、そういうわけじゃないが・・・」
義弟「では、大丈夫だということです。このあいだもお話させてもらいましたが、余計な干渉はしないでください」
オレ「・・・・・」
義弟「義兄さんたちに感謝はしてますけど、わたしたち家族のなかに立ち入って欲しくないんです」
義弟「家内の治療も、いまが大事な時期です。彼女にも余計な心配はかけたくない」
オレ「・・・・・」
義弟「もしなにか娘に問題が発生したら、まずわたしに電話してください。着信拒否してるわけじゃないんですから」
オレ「・・・・・ああ」
義弟「お義母さんにも同じこと、伝えてもらえますか? それではよろしくお願いします。じゃ・・・」
オレ「ちょっと待ってくれ」
義弟「は?」
オレ「もうひとつ義弟に頼み事があったんだ」
義弟「・・・なんですか?」
オレ「姪が自分の家にある本を取りに行きたいって言ってるんだが、行っていいか?」
義弟「・・・・わかりました。鍵は娘が持っていますからいつでもどうぞ。わたしはたぶんいませんけど」
オレ「わかった。忙しいところすまなかったな」 Pi
オレ(さすが、オレ。よくキレなかったな。我ながら感心する)
オレ(義弟の野郎。嫁の病気を「恥」だとか思ってるのかもしれんな)
オレ(恥はおおやけにしたくないってことか。こんなふうだと、姪も手遅れになるかもしれん)
オレ(それにしても、姪は母親に会いたがらないんだよなあ・・・)
オレ(病院に見舞いに行こうとか、自分で言ったことがない・・・)
オレ(だが、せっせと母親あてに手紙は送っている・・・ いったいどういうことだ?)
オレ(姪が母親のことを嫌ってないことはわかるんだが・・・)
オレ(だが、なぜか会いたがらない・・・)
オレ(・・・やっぱ、一度家に行ってみるしかないよな・・・ なにか分かるかもしれん)
オレ「おーい、姪」
姪「なんですか、おじさん。頭のこぶはどんな具合?」
オレ「帰ってきて冷やしたからな、だいぶ引っ込んだ。死ななくて済んだみたいだな」
姪「くすくす」
オレ「ところで、姪」
姪「はい?」
オレ「おまえ、家ではどんな本読んでたんだ?」
姪「えっと、いろいろですけど・・・」
オレ「オレにも何冊か読ませてくんない?」
姪「うーーん・・・ でもあんまり持ってきてないし・・・」
オレ「そっか・・・ じゃあ、おまえんちに取りに行くか、日曜でも」
姪「え?」
姪「・・・・・・」
姪「・・・・・・・・・・・・」
オレ(・・・こいつ、見事に固まったな)
オレ「ダメか?」
姪「いえ、だめじゃない・・・ですけど」
オレ「じゃあ、行こう」
姪「・・・・・・・・はい」
オレ「あとな、いまからリンゴのケーキ作るから手伝え。皮剥きくらいできるだろ?」
姪「・・・はいっ」
・・・・・・・
お袋「この家に来るの、2回目だわ、わたし」
オレ「オレなんかはじめてだ。綺麗な家だなあ、姪」
姪「・・・・・・・・はい」
ガチャッ
オレ「おおっ、玄関広い! しかも綺麗にしてある」
姪「・・・・・・・」
オレ(リビングも綺麗だな。っていうか全然生活感がない。義弟はこの家に戻ってきてるのか?)
姪「・・・・あの、じゃあ、わたし2階の自分の部屋に行って本を取ってきます」
オレ「ん、わかった」
姪「・・・・あの・・・おじさん?」
オレ「なに?」
姪「ついてこないでもらえますか?」
オレ(ついてこないで、か。姪にしては強い言葉だな・・・)
オレ「・・・・なんで?」
姪「恥ずかしいし・・・」
オレ「おまえの部屋、オレいっつも入ってるじゃん」
姪「でも・・・でも・・・」
姪「・・・・・・」
オレ「あのな、姪」
オレ「オレはなに見たって、おまえとおまえのお母さんのこと、嫌いになったりしねーよ」
姪「・・・・・・」
オレ「だいじょうぶだから。二階を見せてみろ」
姪「・・・・・・」
オレ「へぇ、お前の部屋、ちゃんと片づいてるな」
姪「・・・はい」
オレ「隣のこの部屋、開けてもいいか?」
姪「・・・・・・・・・・・・・・・・ダメです」
オレ「信用しろ、姪。大丈夫だよ。ちょっと見るだけだ。なかのものは触らないから」
姪「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガチャッ
オレ「うわ・・・・」
オレ(なんだこれ・・・ ぼろ布の山? レールごとカーテンが落ちて・・・)
オレ(雛飾りがバラバラだ・・・ 箱もぐちゃぐちゃじゃんか・・・)
姪「・・・それ、お雛さまで・・・・お母さんが・・・・お母さんが・・・・うううううわあああん」
オレ「・・・わかった、姪、下に行こう」
オレ(そういうことか・・・・)
お袋「なに? なにがあったの?」
オレ「見ないほうがいいぞ、お袋」
お袋「は? どうして姪ちゃん泣いてるのよ! あっ」
お袋「これは、わたしが買ってあげた雛飾り・・・」
オレ「下りような、姪」
姪「・・・クスンクスン」
・・・・・・・
オレ「状況はわからんが、とにかく暴れたんだろうな、妹は・・・」
お袋「・・・・・」
オレ「たぶん、姪の前で暴れた・・・ 義弟がその場にいたかどうかはわからん」
お袋「姪ちゃんは叩かれたりしたのかしら・・・」
オレ「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。本人がはっきり言わないからなんとも言えん」
オレ「とにかく、姪が母親を怖がってることだけはわかった」
オレ「だから見舞いに行こうって自分からは言わないんだ」
お袋「・・・・・」
オレ「学校の先生にも、それを言いたくないんだろうな。だから黙ってるんだ」
お袋「・・・・・」
お袋「・・・言えばいいのに。悩みは大人に話すもんでしょ?」
オレ「母親をかばってるんだよ、たぶんな。悪く思われたくないだろ? 自分の母親のことを・・・」
お袋「・・・・・」
オレ「会いたいけど、会いたくない。会うのが怖い」
オレ「暴れた怖いお母さんには会いたくないって感じなんだろうな、姪の気持ちは」
お袋「・・・・・」
・・・・・・・・・
コンコン ガチャッ
オレ「姪、入るぞ」
姪「・・・・・はい」
オレ「持ってきた本、見せてみろ」
姪「・・・・・はい」
オレ「ふーん、面白そうだな。これ借りてもいい?」
姪「・・・・・はい」
オレ「・・・・・じゃあ、姪にはかわりにこの本を貸してやる。読んでみな」
姪「・・・しん せいざ じゅん? れい? 『新星座巡礼』ですか?」
オレ「うん、オレがガキの頃に読んでた本だからボロボロだけど」
オレ「あー、ちょっと姪には難しいかもなあ・・・ でもいい本だ。暇なときに読んでみな」
姪「・・・おじさんは、小学生の頃、これ読んだんですか?」
オレ「ああ、たぶんお前と同じくらいの年だったと思うけど」
姪「じゃあ、頑張って読みます」
オレ「ん」
姪「・・・あの、おじさん」
オレ「なんだ?」
姪「お母さんは治りますか?」
オレ「ああ、治るよ。時間はかかるかもしれないけど、ぜったい治るよ」
姪「・・・はい」
オレ(ほんとはオレにもわからんけど、こういう嘘ならいくらでもついてやる)
TRRRRRRR....Pi
オレ「よお、義弟」
義弟「こんばんわ、義兄さん。最近良く電話かけてくれますね」
義弟「いったいどうしたんですか? いままでこんなにわたしと話したことはないと思いますが」
オレ「皮肉はいい、義弟。お互いそんな時間はねぇ。今日、おまえの家に行ったぞ」
義弟「そうですか。娘は本を持って帰りました?」
オレ「二階の部屋を見たぞ」
義弟「・・・・・ガサ入れってやつですか? 趣味が悪いですね、義兄さん」
オレ「説明しろ。あれはどういうことだ?」
義弟「・・・義兄さんには関係ないと思いますよ」
オレ「あの雛人形は姪が生まれたときお袋が買ってやったもんだぞ」
オレ「オレに説明できないならお袋にしろ。その義務はあるだろう?」
義弟「・・・・・・家内が壊したんです」
オレ「・・・えらく派手に壊したな。なにが原因なんだ?」
義弟「・・・・・・話したくありません」
オレ「その場に姪はいたのか?」
義弟「・・・・・・・・・」
オレ「その場に姪はいたのかっつってんだよ、義弟っ!」
義弟「・・・・・・・・・」
義弟「・・・娘が義兄さんに話したんでしょ? じゃあご存知なんじゃないんですか?」
オレ「姪はなにも話しちゃいねえよ。母親をかばって」
義弟「・・・・・・・・・」
オレ「あのな、義弟。オレはおまえが嫌いだ。話したくもないからいままで距離をとってきた」
オレ「だがな、うっかり姪と関わっちまった。ガキを守るのは大人の義務だ」
オレ「・・・しょうがねえ。てめえとは徹底的に戦争してやる。覚悟を決めろ」
義弟「・・・・・・・・・」
オレ「戦争が嫌なら、正直に話せ」
義弟「・・・・・・・・・」
義弟「・・・娘は・・・その場にいました」
オレ「おまえはそこにいたのか?」
義弟「・・・・・・いえ」
オレ「じゃあ、姪は暴れる母親とふたりっきりだったのか?」
義弟「・・・そういうことになります」
オレ「・・・・・・・・・・」
オレ「なんでいままで話してくれなかったんだ?」
義弟「・・・・・先日も言いましたが、わたしたちの家庭に踏み込んで欲しくないんです・・・」
オレ「ふん。だが、知ってしまったもんは仕方ねえな。学校の先生にはなにがあったのか伝えておく」
義弟「・・・・・・・・・・」
オレ「どう考えても姪にはカウンセリングが必要な状況だな。お前も同意しろ」
義弟「・・・どうしてですか?」
オレ「馬鹿かおまえは。姪は母親を怖がってるぞ。このままだとおまえらずっと同居できねーだろが」
義弟「・・・・・・・・・・わかりました。先生にはわたしのほうから連絡します」
オレ「オレのほうからも先生には電話しておく。それとな・・・」
義弟「まだなにかあるんですか? わたしも忙しいんですが」
オレ「妹と、いや姪の母親と会わせろ」
義弟「・・・・いいですけど、後悔すると思いますよ」
オレ「どういう意味だ?」
義弟「いえ、そのままの意味です」
義弟「病院には連絡しておきますが、先生の判断とか本人の具合とかあるので、」
義弟「すぐには会えないかもしれませんよ。いいですか?」
オレ「ああ、それでいい。頼む」
義弟「わかりました。では娘のこと、よろしくお願いします」 Pi
・・・・・・・・・
オレ(ベランダはまだ寒いな)
オレ(スピカも見えないか。東から上ってきてるはずなんだがな・・・)
オレ(やっぱ街中だとあんまり星が見えねぇ・・・)
オレ(・・・・・・)
オレ(姪はどんな気持ちだったんだろうか。母親が暴れてるとき・・・)
オレ(雛人形が壊されるとき・・・ 姪はどんな気持ちだったんだろうか)
オレ(自分が生まれたお祝いの人形を壊されたとき・・・)
オレ(・・・・・・)
オレ(・・・ほんとうは、姪を中心に考えるべきなんだろうな)
オレ(大人が苦しい思いをするのは仕方ねぇが、ガキは難しいことを考えずに育つべきだ)
オレ(周りにいる大人たちが、ちょっとずつ我慢する)
オレ(・・・子どものために)
オレ(問題は、それを当事者がどれだけ理解してるかってことなんだが・・・)
カラララ...
姪「おじさん・・・」
オレ「ああ、姪か。なんだ?」
姪「いえ、別に・・・ 星の観測ですか?」
オレ「んー? ぜんぜん見えないんだけどなー」
姪「でも、今夜は晴れてるんですよね?」
オレ「街中は、家とか車の光で星が見えにくくなるんだよ。光害ってやつなー」
姪「あ~あ、せっかく星の本読んでるのに・・・」
オレ「あの本、おもしろいか?」
姪「はい。・・・でも難しいです」
オレ「・・・だろうな。オレも最初読んだ時はよくわからんかったからな」
姪「でも、星のこと詳しいですよね、おじさんは。なにげに」
オレ「なにげに? んん、なんかひっかかるけど、まあそうかもな」
姪「星が好きなんですか?」
オレ「好きだなー ガキの頃は天文学者になりたかったなー」
姪「す、すごいですね」
オレ「でもなあ、数学が全然ダメでさ。あきらめた」
オレ「まあ、ぼけーっと星を見る分にゃ数学は関係ないしな」
姪「いまからなれない?」
オレ「無理だろww オレ、すでにおっさんだぞww」
オレ「あ、でも雑学は詳しいぞ。「ブラックホールには毛が3本」って格言とか知ってる(格言じゃねえけど)」
姪「・・・なんですか、それ?」
オレ「ggrksって言いたいところだけど、おまえはパソコン持たないからな。学校の先生に聞け」
姪「・・・はい。で、ggrksってなんですか?」
オレ「・・・・・・それも先生に聞け」
オレ「でも、星はいいよな。何百年も前の光がやっとここに届いてるんだ。なんかありがたくなる」
姪「・・・よくわかんないです」
オレ「・・・オレもなんかよくわかんないけど」
オレ&姪「・・・・・・・」
姪「あの・・・いつか星見したいです」
オレ「ああ、それいいな。気候も良くなってきたし」
オレ「この辺でもちょっと郊外に行けば、意外と星がたくさん見れるはずだがなあ」
姪「行きたいです! 本で勉強します。あの・・・姪友も連れていきたいです」
オレ「ああ、あいつか・・・ あいつは基本的にオレの敵だからなあ・・・」
姪「え?」
オレ「いや、いいよ。あちらの家のひとの許可があれば連れてってやる」
オレ「・・・寒いから家の中に入ろう、姪」
姪「はいっ! じゃあコーヒー入れます」
オレ「あ、おれ、ミロでいいや」
・・・・・・・・・・・・
オレ(閉鎖病棟か・・・ 無茶苦茶ひさしぶりだな)
オレ(この独特の雰囲気、気が滅入るな)
オレ「お袋」
お袋「な、なによ・・・」
オレ「不愉快なこと言われてもスルーしろ。いちいち相手するな」
オレ「なに言われても気に留めるな。病気だから仕方ないと思え」
お袋「・・・・・」
医師「患者さんがいらっしゃいました・・・」
医師「事前にご案内したとおり医師のわたしが立会いさせていただきますが、ご了承ください」
オレ&お袋「あ、はい」
ガチャッ
お袋「ひさしぶりね、妹ちゃん」
オレ「ひさしぶりだな、妹」
妹「・・・こんにちは」
お袋「元気そうね、よかった」
妹「・・・・・・・元気なはずないでしょ」
オレ「義弟に聞いてるだろうけど、姪は元気にしてる。心配しなくていい」
妹「・・・・・・・」
オレ「時期を見て、姪をここにも連れてこようかと思ってるんだ。おまえも会いたいだろうし」
妹「・・・・・・・」
妹「・・・なんでお見舞いになんか来たの?」
お袋「・・・え?」
妹「違うでしょ、姪のことが心配なだけでしょ?」
お袋「そんなことないわよ・・・」
妹「・・・・・・・・・・・・・・」
お袋「・・・・・・・・・・・・・・」
オレ「・・・・・・・・・・・・・・」
妹「お母さんも笑ってるんでしょ?」
お袋「え?」
妹「お兄ちゃんもわたしがこんなふうで笑ってるんでしょ?」
オレ「・・・・・・・」
妹「お母さん、むかしからそうだったし・・・ お兄ちゃんばっかりほめてたし」
お袋「そんなことないわよ、妹ちゃん・・・」
妹「お母さんはわたしがピアノ教室やめたときもすごく怒った、ダメな子だって言った」
お袋「言ったかもしれないけど・・・そんなこと思ってない・・・」
妹「お母さんはわたしを褒めてくれたことない、そんな記憶ぜんぜんないもん」
お袋「・・・・・・・」
妹「わたしが結婚するときも「どうせ失敗する」って思ってたんでしょ」
お袋「・・・・・・・」
妹「お兄ちゃんもずっと昔からわたしのこと馬鹿にしてた」
妹「お兄ちゃん、わたしが成績悪いの、すごく嫌だったでしょ」
妹「中学生の頃、友だちと話してたでしょ、わたしの悪口いっぱい言ってた」
妹「わたしのことブサイクだって話してたでしょ、わたし知ってるよ」
妹「お兄ちゃんみたいに、友だちもすぐできないダメ人間だ、わたし」
妹「いまもいい気味だって思ってるんでしょ、お兄ちゃん」
妹「黙ってるけど、お兄ちゃんが考えてること全部わかるんだからね」
妹「わたしひとつのことしかできないのに家のこととか子育てとか全部ひとりでやってて」
妹「お母さんはむかしからなんでもできるしお兄ちゃんもなんでもできるのにわたしだけ」
妹「ひととちがうんだもんでもしょうがないもんお兄ちゃんが笑っててお母さんも笑って」
妹「るし旦那は帰ってこないし帰ってきても話とかしないしわたしがおもしろい話ができ」
妹「ないからだろうしあの子も言うこときかないし近所の人が噂したりしててわたしのこ」
妹「と馬鹿にしてお金を貯めないと旦那と別れたときに困るから一生懸命お金貯めてでも」
妹「すごく怒られてお父さんが怖いお母さんが怖いお兄ちゃんが怖い旦那が怖い娘も怖い」
妹「お父さんが嫌いお母さんが嫌いお兄ちゃんが嫌い旦那が嫌い娘も嫌い先生も嫌い嫌い」
妹「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い」
妹「もういやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ」
妹「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいや」
妹「だやだやだやだややだだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだや」
妹「だやだやだやだややだだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだや」
妹「だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
・・・・・・・・・・
オレ「落ち着いたか・・・お袋?」
お袋「・・・わたしの育て方が間違ってたのかしら・・・」
オレ「そうじゃないだろ。あれは病気で一時的にああいう状態になってるだけだ」
オレ「波があるって先生も言ってただろう? 今日はああいう気分の日だったんだよ」
お袋「でも・・・あの子があんなことずっと考えてたなんて・・・」
お袋「あの雛飾り壊したのも、わたしがあげたものだからかもしれない・・・」
オレ「・・・・・・」
お袋「それに、あんな目をするなんて・・・」
オレ(たしかにそうだな。あれは、オレたちを憎んでいる目だ。絶対許さないっていう目だった)
オレ「お袋・・・ 人間は自分の「物語」を作って生きてるんだ。それが楽だからな」
オレ「あいつにとっては、いまあれがいちばん楽な「物語」なんだ。ほんとのことじゃねーよ」
お袋「・・・・・・」
オレ「・・・あー、なんだっけ? 嘘も方便ってやつだな」
オレ「子どもの頃、オレはそんなにあいつを馬鹿にしてたつもりはない。お袋もそうだろ?」
オレ「でも、いまはそう思い込んでいたいんだよ、あいつは」
オレ「それだけなんだから、気にするな」
お袋「気にするなって言っても気になるわよ・・・ あんたみたいに鈍感じゃないのよ、わたしは」
オレ「・・・・・・とにかく帰ろう。姪が待ってる」
・・・・・・・・
コンコン
オレ「あー? 入っていいぞ」
ガチャッ
姪「あの・・・おじさん・・・」
オレ「ん? どうした??」
姪「おばあちゃんが元気ないから・・・ 部屋から出てこない・・・」
オレ「ああ、ばあちゃんちょっと落ち込むことがあったんだよ」
オレ「・・・できればそっとしておいてやってくれ」
姪「はい・・・ あの・・・」
オレ「まだ、なんかあるのか?」
姪「あのあの・・・ ここで宿題してもいいですか?」
オレ「・・・ああ、いいよ。そのへんでやれ。オレは仕事するから面倒見れないけどな」
カキカキカキ
姪「・・・・・・」
カチャカチャカチャカチャ
オレ「・・・・・・」
姪「・・・あの」
カチャカチャカチャカチャ
オレ「あ? なんだ?」
姪「・・・お母さんのところに行ったんですか?」
カチャカチャカチャ ピタッ
オレ「なんでそう思うんだ? 姪」
姪「・・・おばあちゃんが、泣いてたみたいだから。お母さんの名前聞こえて」
オレ「・・・・・・・ふぅ」
オレ「うん、見舞いに行った」
姪「・・・お母さん、元気でしたか?」
オレ「・・・ああ、元気だったけど、帰るときちょっと調子悪くなってな」
姪「・・・そう・・・ですか」
姪「・・・・・・・」
オレ(もしかすると全部嘘になるかもしれんが・・・ いま言っておくしかねぇか)
オレ(しゃーない。これが大人の務めってやつだ)
オレ「あのな、姪」
オレ「お母さんは、むかしのお母さんにちゃんと戻れるけど、時間がかかるかもしれない」
姪「・・・・はい」
オレ「しばらく待てるか?」
姪「・・・コクン」
オレ「お母さんを待つあいだ、おまえはここにいていい」
オレ「おまえがここにいられるようオレは一生懸命努力する。安心しろ」
姪「・・・はい」
オレ「待ってるあいだ、おまえは元気じゃないといけない」
オレ「お母さんが元気になったのに、おまえが元気じゃないと、意味ねーからな」
姪「はい」
オレ「ご飯はちゃんと食べろ、夜はちゃんと寝ろ」
オレ「心がきつくなったら、いつでもそう言えばいいし、」
オレ「すぐに言えなかったら、言ってくれるまでオレたちはそばで待ってる。わかった?」
姪「はい」
オレ(うん、まっすぐな目だ。オレが嘘をついてる間はこいつはだいじょうぶなはず)
オレ「もしかすると、お母さんがおまえを傷つけるようなことを言ったことがあるかもしれないけど・・・」
オレ「それは全部嘘だ、心配するな・・・ほんとうのことじゃない・・・」
オレ「・・・いま、あいつは病気だから・・・病気だからな・・・」
オレ「お母さんは・・・妹は・・・・えっとな・・・・・妹は・・・・・・」
姪「・・・おじさん、泣いてるの?」
オレ「あ・・・ いや・・・昔のこと・・・ちょっと思い出して・・・」
オレ「子どもの頃、小学生の頃、おまえのお母さんといっしょにおたふく風邪にかかって・・・」
オレ「雪が降る日で、ふたりで顔がまんまるくなった写真とか・・・撮って・・・」
オレ「小学生の頃は、二段ベッド使ってて・・・・、上のベッドの取り合いで喧嘩したり」
姪「・・・・・・クスンクスン」
オレ「年子だったからかなあ・・・たしかに仲は良くなかったかもしれないけど・・・」
姪「・・・おじさん・・・クスンクスン」
オレ「・・・やっぱ妹だしな」
オレ「・・・おまえのお母さんは、オレの妹だから。みんなで一緒に待っててやろうな、姪」
姪「・・・はい」
・・・・・・・・
オレ「おい、姪友。あんまり離れて歩くな。懐中電灯にセロファン巻いてる暗い。離れたらあぶねぇだろが」
姪友「だいじょおぶですうううううう」
オレ「今夜は寒いからベストも脱ぐな。風邪ひくぞ」
姪友「だいじょおぶですうううううう」
オレ「やっぱムカつくな。あの言い方が激しくムカつく。あいつはオレの敵だ」
姪「くすくす」
姪友「お~~いっ、おっさ~んっ」
オレ「「じ」を略すな。二文字目に「っ」を入れるな。ちゃんと「おじさ~ん」と言え」
姪友「で、ケーキ持ってきた?」
オレ「は? ケーキ?」
姪友「こないだ食べた、樽とトタン? だっけ? リンゴがみっちみちのやつ」
オレ「そりゃ、タルト・タタンだ」
姪友「それーっww」
オレ「暗いとこで星見するのに、ホールケーキとか持ってくるわけないだろ。おまえ、アホか」
姪友「・・・はぁ、存在価値なし」
オレ「あ? なんだと?? マドレーヌ持ってきたのに。おまえにはやらん」
姪友「マ ド レ ー ヌ ・・・って、なにそれ?」
オレ「知らんのか、おまえは。ふふん、無知なやつめ。要するにちっちゃいケーキみたいな菓子だ」
姪友「やったあああああ、なんだケーキ持ってきてるじゃん。生くり~むぅ、いちごぉ」
オレ「マドレーヌにゃ生クリームも苺もトッピングされてねぇよ」
姪友「え? じゃ、栗は」
オレ「モンブランじゃねぇよっ」
姪友「ケーキじゃないじゃん。やっぱ存在価値なし」
オレ「流行ってんのか? 「存在価値なし」って。なんかすげえ凹むわ・・・」
オレ「・・・なあ、姪」
姪「はい?」
オレ「おまえこんなやつと一緒にいて、くたびれないの?」
姪「いいえ? どうしてですか」
オレ(いちばん変わってるのはこいつかもしれんな)
姪友「うわああああああああああああ」
オレ「おい、どした姪友! だいじょうぶか!?」
姪友「すげえっす、おっさん、その懐中電灯消して空見ろ、おっさん」
オレ「だからおっさんはやめれって・・・・」
カチッ
姪「・・・うわあ」
オレ「・・・すげえ」
真っ暗な世界から見上げた
夜空は星が降るようで
姪「ね、おじさん。わたし、南のあの星知ってる。スピカでしょ」
オレ「ああ、そうだ。よく知ってるな、姪」
姪「わたし、おじさんの貸してくれた本、ノートに写してきたんだ」
春の静かな黄昏に、この星が柔い純白な光にきらめくのを眺めると、
胸の底まで浄められたような気持がします。
広い天上にもこれほど純潔な印象を与える星はありません。
姪「綺麗だねー、おじさん」
オレ「・・・ああ」
姪友「ねー、姪のおっさん。なんか飲み物ちょうだい」
オレ「おまえのせいでなにもかもぶちこわしだな、姪友。 ・・・あったかいミロでいいだろ?」
姪友「もちろん、おけー」
姪「くすくすくす」
-おわり-
読んでる人がおるかわからんけど、すっきりした。
おやすみなさい。
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:33:25.22 ID:zYiY02sc0
姪「・・・あ、おじさん。ご飯作るの手伝いましょうか?」
オレ「あー、そうだな。じゃあ皿を出してくれ。今日はハンバーグだから」
姪「ハンバーグっ!」
オレ「おまえ、ハンバーグ好きだろ。体は小さいけど、意外と肉食だもんな」
姪「・・・肉食って・・・」
オレ「つけあわせはマッシュポテトと焼き玉ねぎだ。黄金の三角比だなwww」
姪「・・・黄金の三角比って・・・」
オレ「マッシュポテト、盛るぜぇ~ 超盛るぜぇ~」
オレ「あとはニンジンのスープをっと・・・」
2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:37:31.31 ID:zYiY02sc0
オレ「・・・しかも今日のハンバーグはオーブンで焼くからな。美味いぞ」
姪「フライパンで焼かないんですか?」
オレ「いや、もちろんフライパンでも焼く、表面だけな」
オレ「それからオーブンでじっくり焼くんだ」
オレ「ケンタロウなんかは、ハンバーグをフライパンで焼くとき水入れて蒸し焼きするんだけどな」
オレ「あれはあれでジューシーな仕上がりになるが、いかんせん香ばしさが足りないわけよ」
5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:41:02.33 ID:zYiY02sc0
姪「・・・」
オレ「だが、ガスオーブンはいいぞぉ。これで焼くと肉汁が閉じ込められてだな、」
オレ「ふわあっとした食感とじゅわあっとしたジューシーさとふわんとした肉の香ばしさがもうたまらんくなるわけよ・・・」
姪「・・・・・・」
オレ「おまえも結婚するときはガスオーブン買え。絶対買え。ガスオーブンは神・・・」
姪「おじさん、お皿とナイフとフォークは準備したよ。スープ皿も」
ピンポーン
姪「はあーい」
オレ(・・・こいつ、最近、スルースキルを身につけやがったな。姪友の悪影響か。あいつめ)
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:44:44.10 ID:zYiY02sc0
お袋「よっこらしょっと、ただいまー、姪ちゃん重くない?」
姪「よいしょ・・・よいしょ・・・はい、大丈夫です」
オレ「なんだよ、これ」
お袋「リンゴよ」
オレ「リンゴ?」
お袋「いただいてきたのよ、仕事場のひとから。B級品とかで、おすそわけ」
お袋「そろそろリンゴの季節も終わりだし、ちょうどいいかなって」
オレ(なにが「ちょうどいい」んだろうか・・・)
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:48:37.86 ID:zYiY02sc0
オレ「うちには3人しかいないのに、どーすんだよこんなに・・・」
お袋「そりゃあんたが考えなさいよ。ジャムとかケーキとか・・・ あと、ジャムとか?」
オレ(2種類しか言ってねーじゃんか)
オレ(・・・とりあえずささっとリンゴのサラダでも作るか)
オレ「姪、サラダ入れる深皿も出してくれる?」
姪「はい!」
10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:52:08.11 ID:zYiY02sc0
・・・・・・・・
オレ「姪は寝た?」
お袋「寝たわ。だいぶ明るくなってきたわね、あの娘」
お袋「ご飯もたくさん食べるようになったし」
オレ「・・・ああ、まあそうだな。だったらいいけどな」
お袋「え?」
オレ「なんでもない。じゃ、オレ、仕事するわ」
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 21:55:29.58 ID:zYiY02sc0
お袋「ちょっと待って。あんたに頼みごとがあるの」
オレ「頼みごと? また面倒事か? 勘弁してくれよ・・・」
お袋「その姪ちゃんのことよ」
オレ「・・・なんだよ、話してみろよ」
お袋「・・・あんた、姪ちゃんのことになるとちゃんと話を聞くのね」
オレ「はい、そこ。脱線すんな」
14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:00:57.47 ID:zYiY02sc0
お袋「学校の新しい担任の先生から電話があってね、姪ちゃんのことで話がしたいって」
オレ「・・・6年生になって、学校でなんかあったのか?」
お袋「そうじゃないらしいの。お父さんお母さんについて少し知りたいって」
オレ「そんなの、義弟に直接聞けばいいだけだろ?」
お袋「・・・そうなんだけど、ねぇ」
お袋「わたしもよくわかんなくてねぇ・・・」
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:03:57.97 ID:zYiY02sc0
オレ「お袋が行けよ、学校の先生とかオレ会いたくねーし。親でもねーのに」
お袋「でもあんただって、いまあの子の保護者なんだから・・・」
お袋「それに、義弟たちのこと、わたしも冷静に話せる自信がないわ・・・」
オレ(たしかにお袋は義弟を毛嫌いしてるからなあ)
21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:08:38.71 ID:zYiY02sc0
オレ「だけどなー、オレだって義弟は嫌いだぞ」
お袋「いいえ。あんたのほうが先生とは冷静に話せるわよ、たぶん」
お袋「あんた、簡単にキレないとこだけは信用できるし」
オレ(・・・いったいどんな信用だよ)
23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:12:42.06 ID:zYiY02sc0
お袋「それに、たぶん身内の中じゃあんたが姪ちゃんのいちばんの理解者だと思うわよ」
オレ「・・・そんなわけあるか。同じ女なんだからお袋のほうが理解者なんじゃね?」
お袋「・・・・・・・・・・・」
オレ「・・・わーかった。わかったよ。行くよ、オレが行く。それでいいだろ」
お袋「じゃあ、頼むわよ」
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:51:44.45 ID:zYiY02sc0
・・・・・・・・
先生「すいません。ご足労願いまして、オレさん」
オレ「いえいえ、自宅だと姪がオレたちの話を気にするでしょうから・・・」
先生「早速ですが、姪さん、お宅ではいかがですか?」
オレ「そうですね、だいぶ落ち着いてはきました。うちに来て3ヶ月すぎて、日常会話もうちとけてきましたし」
先生「そうですか・・・」
オレ「ただ・・・」
先生「ただ?」
オレ「・・・まだ距離は感じます。なかなか自分の気持ちを表現しないというか、できないというか」
25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:53:00.19 ID:zYiY02sc0
先生「といいますと?」
オレ「夜、泣いてることがまだあるみたいで・・・」
オレ「うちに来た最初の日、姪はオレの部屋で泣きながら寝たんです」
オレ「それからはずっと自分の部屋でひとりで寝てるんですが、」
オレ「夜中、部屋から泣いてる声が聞こえたり・・・」
先生「・・・そういうときは声かけられます?」
オレ「はい。でも「夢を見てた。ひとりで大丈夫。」って言って・・・」
先生「そうですか・・・」
27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:54:08.23 ID:zYiY02sc0
オレ「あの・・・ 姪は学校ではどうですか?」
先生「そうですね、とてもいい子です」
先生「多少、内気なところもありますが、お友だちも増えましたし、委員会の仕事もきちんとやっています」
先生「ただ、お母さんやお父さんのお話を聞こうとすると、表情が固くなります」
先生「それ以上は立ち入らないで、って雰囲気があるんです」
29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:56:21.59 ID:zYiY02sc0
オレ「あの・・・、義弟から家庭の状況について説明はありましたか?」
先生「はい、精神的な病気でお母さんが入院されてる・・・」
先生「自分が仕事で不在がちだからおばあちゃんのお宅に姪さんを預けてる、と・・・」
オレ「母親の具合については?」
先生「しばらく入院の必要はあるけどそんなに大変な状況ではない、心配しなくていい、と伺っています」
オレ(義弟は、先生に病状を隠しているっぽいな・・・)
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 22:59:11.25 ID:zYiY02sc0
先生「わたしたち教師は、生徒に関わることとはいえ、家庭内の事情に簡単には立ち入ることができません」
先生「しかし、これまで姪さんがどういう生活をしていたかがわからないと指導の方針を立てることが難しいんです」
オレ「前の学校の先生はどうおっしゃってましたか?」
先生「あちらの学校では、懇談会や学校の行事ごとにはお父さんが積極的に参加されてて、」
先生「特に問題は感じられなかったという認識で・・・」
先生「お母さんが入院されたとき、学校もびっくりしたようです」
オレ(前の学校にも詳しいことを言ってないんだな、義弟は・・・)
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:01:52.30 ID:zYiY02sc0
先生「あの・・・オレさんは、姪さんの以前の生活はご存知ですか?」
オレ「・・・いえ、よく知りません」
オレ「ただ・・・うつ病の母親と一緒に暮らしてるとき、あまり良い食生活をしてなかったらしいこととか、」
オレ「うちに来たとき、服や下着の替えをあまり持ってなかったこととか、知ってるのはそのくらいです」
オレ「本人にも無理に聞くようなことはしていません」
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:03:10.58 ID:zYiY02sc0
先生「そうですか・・・ 姪さんはできるだけはやくカウンセリングを受けたほうが良い状況にあるかもしれませんね」
先生「医療機関だけでなく、スクールカウンセラーを利用することもできます」
先生「学校と連携した対応もできますから・・・」
先生「姪さんはいま思春期の入り口にいます」
先生「お母さんとの生活がこれからの発達にどう影響するのか、よく見てあげたほうがよいかと・・・」
オレ「オレもそう思いますが・・・ でも、そこいらは義弟の意見を聞かないと・・・」
先生「はい。この件は、わたしからもお父さんにお話してみます」
34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:04:27.93 ID:zYiY02sc0
・・・・・・・・
オレ「おーい、姪っ。と、ついでにその子分っ」
姪「・・・おじさん!」
姪友「あーーーーっ、おじーーーさーーーんっ」
オレ「そこは伸ばすな、姪友。別の意味になるだろが。んで、おまえら公園で何してんの?」
姪友「鉄棒。姪ちゃんに逆上がり教えてもらってた。なかなかできないんだよぉ、わたし」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:09:05.65 ID:zYiY02sc0
オレ「ふ~ん、オレもひさしぶりにやってみるかな。にしてもこりゃ、むちゃくちゃ低い鉄棒だなあ」
オレ「あーらよっと」
姪&姪友「おおおっ」
オレ「逆上がりとか、こんなん簡単じゃねえか」
オレ(とは言ったものの、思ったより身体が重いな。なまってるなあ、オレ)
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:13:47.39 ID:zYiY02sc0
姪友「ねえねえ 蹴上がりしてみてよ」
オレ「ああ? 蹴上がりってどんなんだっけ」
姪友「こうやってグーンって体を前にやってさ、んで、からだを引き寄せてババッて・・・」
オレ「あーなんか思い出したわ。ちょっとやってみるからどいてろ」
グーーーーン バコン
オレ「ぐわあああああああああ いってえええええええええ」
37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:17:58.69 ID:zYiY02sc0
姪「わ わ わ おじさん大丈夫ですか!?」
姪友「ぎゃははははははは」
オレ「いってええ いてええよおお、くそおおお なんだこれええ」
姪「おじさんっ! 頭、こぶができてますよっ!!」
オレ「ちくしょう。鉄棒が低いからだ、くそお。もう鉄棒とかやんねえよ、あほお」
姪友「ぎゃははははははは」
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:23:35.15 ID:zYiY02sc0
オレ「笑うんじゃねえよ、バカたれっ」
姪友「なあなあ、おじさん、もしかして運動音痴? 運痴? うんちくんなの? くくく」
オレ「おまえ、いま見てただろが。鉄棒が低いから頭打っちまったんだよっ 運動神経は関係ねーんだよ(たぶん)」
オレ「だいたい逆上がりできない奴が、ひとのこと運痴とか言うなっ このうんこたれが」
姪友「ぎゃははははははは」
姪「くすくすくす」
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:26:33.66 ID:zYiY02sc0
オレ「おら、おまえらとっとと帰るぞ。こぶ冷やさないと、オレ死ぬかもしれん」
姪「えっ (;゜Д゜)」
姪友「そんなんで死なねーよーーー、バ~カwww」
姪友「・・・あっ、でもでもっ!! もしかして、頭打っていまバカになったとか?」
姪「えっ Σ(゜д゜lll)」
オレ「・・・もういいよ。帰ろうぜ。どうせバカだよ、オレは・・・」
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:30:51.80 ID:zYiY02sc0
姪友「ねえ、おじさん。ワタシハ けーきガ 食ベタイ デス」
オレ「食えよ。自分の家で思う存分食ってろよ」
姪友「えー、ケーキケーキーっ、おじさんが作ったケーキーっ」
オレ「あーーっ、うるせー。姪友の声は頭に響くんだよっ」
姪友「ケーキっケーキーっケーキっケーキーっケーキっケーキーっケーキっケーキーっ」
オレ「・・・姪友、明日うちに来い。リンゴのケーキ、作っとくから」
姪友「うっひょおおおお 救われたああああ 神さまありがっとんんんっ」
オレ「・・・やっすい神さまだなあ・・・」
姪「くすくすくす」
47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:34:34.95 ID:zYiY02sc0
・・・・・・・・
オレ「・・・とまあ、そんな感じの話を先生とした」
お袋「そう・・・ で、どう思うの?」
オレ「どう思うって?」
お袋「カウンセリング、姪ちゃんは受ける必要あると思う?」
オレ「ある・・・だろうな」
お袋「姪ちゃん、元気そうだけど・・・」
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:40:50.91 ID:zYiY02sc0
オレ「・・・こういうのは予防だと思ったほうがいい。念のためにってやつだ」
オレ「何もないならそれにこしたことはないけどさ、もしこの先なにかあったら困るだろう?」
オレ「姪も思春期に入るんだ。先々、摂食障害とか起こしたらどうする?」
お袋「・・・・・」
オレ「・・・ずっと俺たちが姪の面倒を見るわけじゃない。いずれ姪は義弟たちに返すんだ」
お袋「・・・・・」
オレ「いまここで出来ることをやっておいたほうがよくね?」
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:44:25.15 ID:zYiY02sc0
オレ「カウンセリングの件を、姪にどう説明するかはあとから考えよう。とにかく方針だけは決めとかないとな」
お袋「・・・そうね。そうかもしれないわ」
オレ「なんにしろ義弟が同意しないと先には進まねーけどな」
オレ「ま、オレからも電話してみるわ、義弟に」
お袋「ふぅ、わかったわ・・・ それにしてもあんた・・・」
オレ「ん?」
お袋「その頭、すごいこぶね。どうしたの?」
オレ「・・・・・・・」
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:47:29.70 ID:zYiY02sc0
TRRRRRRR....Pi
オレ「もしもし、義弟か?」
義弟「ご無沙汰してます、義兄さん。娘がお世話になってます」
オレ「いま大丈夫か?」
義弟「ええ、娘のカウンセリングのお話ですか?」
オレ「ああ、もしかして先生から話を・・・」
義弟「さきほど先生から伺ったところです。ですが、娘にカウンセリングの必要はありません」
オレ「は?」
53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:53:18.17 ID:zYiY02sc0
義弟「こないだも電話で娘と話しましたけど、義兄さんたちが言うほど娘におかしいところはありませんでしたから」
オレ「いや、これは将来への予防みたいなもので・・・」
義弟「いえ、わたしは大丈夫だと思ってます。娘を信頼してるんです。義兄さんは、信頼できないんですか?」
義弟「・・・それとも、本人からなにか悩みを聞いてるとか?」
オレ「・・・いや、そういうわけじゃないが・・・」
義弟「では、大丈夫だということです。このあいだもお話させてもらいましたが、余計な干渉はしないでください」
オレ「・・・・・」
54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/05(木) 23:58:57.06 ID:zYiY02sc0
義弟「義兄さんたちに感謝はしてますけど、わたしたち家族のなかに立ち入って欲しくないんです」
義弟「家内の治療も、いまが大事な時期です。彼女にも余計な心配はかけたくない」
オレ「・・・・・」
義弟「もしなにか娘に問題が発生したら、まずわたしに電話してください。着信拒否してるわけじゃないんですから」
オレ「・・・・・ああ」
義弟「お義母さんにも同じこと、伝えてもらえますか? それではよろしくお願いします。じゃ・・・」
56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:01:24.86 ID:zYiY02sc0
オレ「ちょっと待ってくれ」
義弟「は?」
オレ「もうひとつ義弟に頼み事があったんだ」
義弟「・・・なんですか?」
オレ「姪が自分の家にある本を取りに行きたいって言ってるんだが、行っていいか?」
義弟「・・・・わかりました。鍵は娘が持っていますからいつでもどうぞ。わたしはたぶんいませんけど」
オレ「わかった。忙しいところすまなかったな」 Pi
59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:08:28.79 ID:R+CPdmLw0
オレ(さすが、オレ。よくキレなかったな。我ながら感心する)
オレ(義弟の野郎。嫁の病気を「恥」だとか思ってるのかもしれんな)
オレ(恥はおおやけにしたくないってことか。こんなふうだと、姪も手遅れになるかもしれん)
オレ(それにしても、姪は母親に会いたがらないんだよなあ・・・)
オレ(病院に見舞いに行こうとか、自分で言ったことがない・・・)
オレ(だが、せっせと母親あてに手紙は送っている・・・ いったいどういうことだ?)
オレ(姪が母親のことを嫌ってないことはわかるんだが・・・)
オレ(だが、なぜか会いたがらない・・・)
オレ(・・・やっぱ、一度家に行ってみるしかないよな・・・ なにか分かるかもしれん)
60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:13:47.60 ID:R+CPdmLw0
オレ「おーい、姪」
姪「なんですか、おじさん。頭のこぶはどんな具合?」
オレ「帰ってきて冷やしたからな、だいぶ引っ込んだ。死ななくて済んだみたいだな」
姪「くすくす」
オレ「ところで、姪」
姪「はい?」
オレ「おまえ、家ではどんな本読んでたんだ?」
姪「えっと、いろいろですけど・・・」
オレ「オレにも何冊か読ませてくんない?」
63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:18:32.13 ID:R+CPdmLw0
姪「うーーん・・・ でもあんまり持ってきてないし・・・」
オレ「そっか・・・ じゃあ、おまえんちに取りに行くか、日曜でも」
姪「え?」
姪「・・・・・・」
姪「・・・・・・・・・・・・」
オレ(・・・こいつ、見事に固まったな)
64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:20:30.22 ID:R+CPdmLw0
オレ「ダメか?」
姪「いえ、だめじゃない・・・ですけど」
オレ「じゃあ、行こう」
姪「・・・・・・・・はい」
オレ「あとな、いまからリンゴのケーキ作るから手伝え。皮剥きくらいできるだろ?」
姪「・・・はいっ」
65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:23:52.45 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・
お袋「この家に来るの、2回目だわ、わたし」
オレ「オレなんかはじめてだ。綺麗な家だなあ、姪」
姪「・・・・・・・・はい」
ガチャッ
オレ「おおっ、玄関広い! しかも綺麗にしてある」
姪「・・・・・・・」
オレ(リビングも綺麗だな。っていうか全然生活感がない。義弟はこの家に戻ってきてるのか?)
67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:27:36.95 ID:R+CPdmLw0
姪「・・・・あの、じゃあ、わたし2階の自分の部屋に行って本を取ってきます」
オレ「ん、わかった」
姪「・・・・あの・・・おじさん?」
オレ「なに?」
姪「ついてこないでもらえますか?」
オレ(ついてこないで、か。姪にしては強い言葉だな・・・)
オレ「・・・・なんで?」
姪「恥ずかしいし・・・」
オレ「おまえの部屋、オレいっつも入ってるじゃん」
姪「でも・・・でも・・・」
68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:29:36.30 ID:R+CPdmLw0
姪「・・・・・・」
オレ「あのな、姪」
オレ「オレはなに見たって、おまえとおまえのお母さんのこと、嫌いになったりしねーよ」
姪「・・・・・・」
オレ「だいじょうぶだから。二階を見せてみろ」
姪「・・・・・・」
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:35:28.04 ID:R+CPdmLw0
オレ「へぇ、お前の部屋、ちゃんと片づいてるな」
姪「・・・はい」
オレ「隣のこの部屋、開けてもいいか?」
姪「・・・・・・・・・・・・・・・・ダメです」
オレ「信用しろ、姪。大丈夫だよ。ちょっと見るだけだ。なかのものは触らないから」
姪「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガチャッ
オレ「うわ・・・・」
オレ(なんだこれ・・・ ぼろ布の山? レールごとカーテンが落ちて・・・)
オレ(雛飾りがバラバラだ・・・ 箱もぐちゃぐちゃじゃんか・・・)
71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:37:58.95 ID:fiL8MmWN0
こえええええ
72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:38:20.11 ID:LH6FliLTO
キツいな
73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:38:59.02 ID:R+CPdmLw0
姪「・・・それ、お雛さまで・・・・お母さんが・・・・お母さんが・・・・うううううわあああん」
オレ「・・・わかった、姪、下に行こう」
オレ(そういうことか・・・・)
お袋「なに? なにがあったの?」
オレ「見ないほうがいいぞ、お袋」
お袋「は? どうして姪ちゃん泣いてるのよ! あっ」
お袋「これは、わたしが買ってあげた雛飾り・・・」
オレ「下りような、姪」
姪「・・・クスンクスン」
75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:43:57.73 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・
オレ「状況はわからんが、とにかく暴れたんだろうな、妹は・・・」
お袋「・・・・・」
オレ「たぶん、姪の前で暴れた・・・ 義弟がその場にいたかどうかはわからん」
お袋「姪ちゃんは叩かれたりしたのかしら・・・」
オレ「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。本人がはっきり言わないからなんとも言えん」
オレ「とにかく、姪が母親を怖がってることだけはわかった」
オレ「だから見舞いに行こうって自分からは言わないんだ」
お袋「・・・・・」
76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:46:58.85 ID:R+CPdmLw0
オレ「学校の先生にも、それを言いたくないんだろうな。だから黙ってるんだ」
お袋「・・・・・」
お袋「・・・言えばいいのに。悩みは大人に話すもんでしょ?」
オレ「母親をかばってるんだよ、たぶんな。悪く思われたくないだろ? 自分の母親のことを・・・」
お袋「・・・・・」
オレ「会いたいけど、会いたくない。会うのが怖い」
オレ「暴れた怖いお母さんには会いたくないって感じなんだろうな、姪の気持ちは」
お袋「・・・・・」
78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:52:39.95 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・・・
コンコン ガチャッ
オレ「姪、入るぞ」
姪「・・・・・はい」
オレ「持ってきた本、見せてみろ」
姪「・・・・・はい」
オレ「ふーん、面白そうだな。これ借りてもいい?」
姪「・・・・・はい」
79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:53:41.95 ID:R+CPdmLw0
オレ「・・・・・じゃあ、姪にはかわりにこの本を貸してやる。読んでみな」
姪「・・・しん せいざ じゅん? れい? 『新星座巡礼』ですか?」
オレ「うん、オレがガキの頃に読んでた本だからボロボロだけど」
オレ「あー、ちょっと姪には難しいかもなあ・・・ でもいい本だ。暇なときに読んでみな」
姪「・・・おじさんは、小学生の頃、これ読んだんですか?」
オレ「ああ、たぶんお前と同じくらいの年だったと思うけど」
姪「じゃあ、頑張って読みます」
オレ「ん」
81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 00:58:49.55 ID:R+CPdmLw0
姪「・・・あの、おじさん」
オレ「なんだ?」
姪「お母さんは治りますか?」
オレ「ああ、治るよ。時間はかかるかもしれないけど、ぜったい治るよ」
姪「・・・はい」
オレ(ほんとはオレにもわからんけど、こういう嘘ならいくらでもついてやる)
82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:02:04.13 ID:R+CPdmLw0
TRRRRRRR....Pi
オレ「よお、義弟」
義弟「こんばんわ、義兄さん。最近良く電話かけてくれますね」
義弟「いったいどうしたんですか? いままでこんなにわたしと話したことはないと思いますが」
オレ「皮肉はいい、義弟。お互いそんな時間はねぇ。今日、おまえの家に行ったぞ」
義弟「そうですか。娘は本を持って帰りました?」
オレ「二階の部屋を見たぞ」
85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:07:39.88 ID:R+CPdmLw0
義弟「・・・・・ガサ入れってやつですか? 趣味が悪いですね、義兄さん」
オレ「説明しろ。あれはどういうことだ?」
義弟「・・・義兄さんには関係ないと思いますよ」
オレ「あの雛人形は姪が生まれたときお袋が買ってやったもんだぞ」
オレ「オレに説明できないならお袋にしろ。その義務はあるだろう?」
義弟「・・・・・・家内が壊したんです」
オレ「・・・えらく派手に壊したな。なにが原因なんだ?」
義弟「・・・・・・話したくありません」
86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:11:30.12 ID:R+CPdmLw0
オレ「その場に姪はいたのか?」
義弟「・・・・・・・・・」
オレ「その場に姪はいたのかっつってんだよ、義弟っ!」
義弟「・・・・・・・・・」
義弟「・・・娘が義兄さんに話したんでしょ? じゃあご存知なんじゃないんですか?」
オレ「姪はなにも話しちゃいねえよ。母親をかばって」
義弟「・・・・・・・・・」
87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:14:02.94 ID:R+CPdmLw0
オレ「あのな、義弟。オレはおまえが嫌いだ。話したくもないからいままで距離をとってきた」
オレ「だがな、うっかり姪と関わっちまった。ガキを守るのは大人の義務だ」
オレ「・・・しょうがねえ。てめえとは徹底的に戦争してやる。覚悟を決めろ」
義弟「・・・・・・・・・」
オレ「戦争が嫌なら、正直に話せ」
義弟「・・・・・・・・・」
89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:16:46.47 ID:R+CPdmLw0
義弟「・・・娘は・・・その場にいました」
オレ「おまえはそこにいたのか?」
義弟「・・・・・・いえ」
オレ「じゃあ、姪は暴れる母親とふたりっきりだったのか?」
義弟「・・・そういうことになります」
オレ「・・・・・・・・・・」
93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:22:37.35 ID:R+CPdmLw0
オレ「なんでいままで話してくれなかったんだ?」
義弟「・・・・・先日も言いましたが、わたしたちの家庭に踏み込んで欲しくないんです・・・」
オレ「ふん。だが、知ってしまったもんは仕方ねえな。学校の先生にはなにがあったのか伝えておく」
義弟「・・・・・・・・・・」
オレ「どう考えても姪にはカウンセリングが必要な状況だな。お前も同意しろ」
義弟「・・・どうしてですか?」
オレ「馬鹿かおまえは。姪は母親を怖がってるぞ。このままだとおまえらずっと同居できねーだろが」
義弟「・・・・・・・・・・わかりました。先生にはわたしのほうから連絡します」
オレ「オレのほうからも先生には電話しておく。それとな・・・」
義弟「まだなにかあるんですか? わたしも忙しいんですが」
95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:26:17.27 ID:R+CPdmLw0
オレ「妹と、いや姪の母親と会わせろ」
義弟「・・・・いいですけど、後悔すると思いますよ」
オレ「どういう意味だ?」
義弟「いえ、そのままの意味です」
義弟「病院には連絡しておきますが、先生の判断とか本人の具合とかあるので、」
義弟「すぐには会えないかもしれませんよ。いいですか?」
オレ「ああ、それでいい。頼む」
義弟「わかりました。では娘のこと、よろしくお願いします」 Pi
96 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:29:28.10 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・・・
オレ(ベランダはまだ寒いな)
オレ(スピカも見えないか。東から上ってきてるはずなんだがな・・・)
オレ(やっぱ街中だとあんまり星が見えねぇ・・・)
オレ(・・・・・・)
97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:30:32.75 ID:R+CPdmLw0
オレ(姪はどんな気持ちだったんだろうか。母親が暴れてるとき・・・)
オレ(雛人形が壊されるとき・・・ 姪はどんな気持ちだったんだろうか)
オレ(自分が生まれたお祝いの人形を壊されたとき・・・)
オレ(・・・・・・)
オレ(・・・ほんとうは、姪を中心に考えるべきなんだろうな)
オレ(大人が苦しい思いをするのは仕方ねぇが、ガキは難しいことを考えずに育つべきだ)
オレ(周りにいる大人たちが、ちょっとずつ我慢する)
オレ(・・・子どものために)
オレ(問題は、それを当事者がどれだけ理解してるかってことなんだが・・・)
98 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:35:32.34 ID:R+CPdmLw0
カラララ...
姪「おじさん・・・」
オレ「ああ、姪か。なんだ?」
姪「いえ、別に・・・ 星の観測ですか?」
オレ「んー? ぜんぜん見えないんだけどなー」
姪「でも、今夜は晴れてるんですよね?」
オレ「街中は、家とか車の光で星が見えにくくなるんだよ。光害ってやつなー」
姪「あ~あ、せっかく星の本読んでるのに・・・」
オレ「あの本、おもしろいか?」
姪「はい。・・・でも難しいです」
オレ「・・・だろうな。オレも最初読んだ時はよくわからんかったからな」
100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:40:52.56 ID:R+CPdmLw0
姪「でも、星のこと詳しいですよね、おじさんは。なにげに」
オレ「なにげに? んん、なんかひっかかるけど、まあそうかもな」
姪「星が好きなんですか?」
オレ「好きだなー ガキの頃は天文学者になりたかったなー」
姪「す、すごいですね」
オレ「でもなあ、数学が全然ダメでさ。あきらめた」
オレ「まあ、ぼけーっと星を見る分にゃ数学は関係ないしな」
101 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:41:51.07 ID:R+CPdmLw0
姪「いまからなれない?」
オレ「無理だろww オレ、すでにおっさんだぞww」
オレ「あ、でも雑学は詳しいぞ。「ブラックホールには毛が3本」って格言とか知ってる(格言じゃねえけど)」
姪「・・・なんですか、それ?」
オレ「ggrksって言いたいところだけど、おまえはパソコン持たないからな。学校の先生に聞け」
姪「・・・はい。で、ggrksってなんですか?」
オレ「・・・・・・それも先生に聞け」
105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:47:08.54 ID:R+CPdmLw0
オレ「でも、星はいいよな。何百年も前の光がやっとここに届いてるんだ。なんかありがたくなる」
姪「・・・よくわかんないです」
オレ「・・・オレもなんかよくわかんないけど」
オレ&姪「・・・・・・・」
姪「あの・・・いつか星見したいです」
106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:48:52.51 ID:R+CPdmLw0
オレ「ああ、それいいな。気候も良くなってきたし」
オレ「この辺でもちょっと郊外に行けば、意外と星がたくさん見れるはずだがなあ」
姪「行きたいです! 本で勉強します。あの・・・姪友も連れていきたいです」
オレ「ああ、あいつか・・・ あいつは基本的にオレの敵だからなあ・・・」
姪「え?」
オレ「いや、いいよ。あちらの家のひとの許可があれば連れてってやる」
オレ「・・・寒いから家の中に入ろう、姪」
姪「はいっ! じゃあコーヒー入れます」
オレ「あ、おれ、ミロでいいや」
107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:52:12.83 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・・・・・・
オレ(閉鎖病棟か・・・ 無茶苦茶ひさしぶりだな)
オレ(この独特の雰囲気、気が滅入るな)
オレ「お袋」
お袋「な、なによ・・・」
オレ「不愉快なこと言われてもスルーしろ。いちいち相手するな」
オレ「なに言われても気に留めるな。病気だから仕方ないと思え」
お袋「・・・・・」
110 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 01:57:04.26 ID:R+CPdmLw0
医師「患者さんがいらっしゃいました・・・」
医師「事前にご案内したとおり医師のわたしが立会いさせていただきますが、ご了承ください」
オレ&お袋「あ、はい」
ガチャッ
お袋「ひさしぶりね、妹ちゃん」
オレ「ひさしぶりだな、妹」
妹「・・・こんにちは」
お袋「元気そうね、よかった」
妹「・・・・・・・元気なはずないでしょ」
111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:00:56.13 ID:R+CPdmLw0
オレ「義弟に聞いてるだろうけど、姪は元気にしてる。心配しなくていい」
妹「・・・・・・・」
オレ「時期を見て、姪をここにも連れてこようかと思ってるんだ。おまえも会いたいだろうし」
妹「・・・・・・・」
妹「・・・なんでお見舞いになんか来たの?」
お袋「・・・え?」
妹「違うでしょ、姪のことが心配なだけでしょ?」
お袋「そんなことないわよ・・・」
112 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:02:08.06 ID:R+CPdmLw0
妹「・・・・・・・・・・・・・・」
お袋「・・・・・・・・・・・・・・」
オレ「・・・・・・・・・・・・・・」
妹「お母さんも笑ってるんでしょ?」
お袋「え?」
妹「お兄ちゃんもわたしがこんなふうで笑ってるんでしょ?」
オレ「・・・・・・・」
114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:05:36.11 ID:R+CPdmLw0
妹「お母さん、むかしからそうだったし・・・ お兄ちゃんばっかりほめてたし」
お袋「そんなことないわよ、妹ちゃん・・・」
妹「お母さんはわたしがピアノ教室やめたときもすごく怒った、ダメな子だって言った」
お袋「言ったかもしれないけど・・・そんなこと思ってない・・・」
妹「お母さんはわたしを褒めてくれたことない、そんな記憶ぜんぜんないもん」
お袋「・・・・・・・」
妹「わたしが結婚するときも「どうせ失敗する」って思ってたんでしょ」
お袋「・・・・・・・」
115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:08:38.13 ID:R+CPdmLw0
妹「お兄ちゃんもずっと昔からわたしのこと馬鹿にしてた」
妹「お兄ちゃん、わたしが成績悪いの、すごく嫌だったでしょ」
妹「中学生の頃、友だちと話してたでしょ、わたしの悪口いっぱい言ってた」
妹「わたしのことブサイクだって話してたでしょ、わたし知ってるよ」
妹「お兄ちゃんみたいに、友だちもすぐできないダメ人間だ、わたし」
妹「いまもいい気味だって思ってるんでしょ、お兄ちゃん」
妹「黙ってるけど、お兄ちゃんが考えてること全部わかるんだからね」
116 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:11:52.36 ID:R+CPdmLw0
妹「わたしひとつのことしかできないのに家のこととか子育てとか全部ひとりでやってて」
妹「お母さんはむかしからなんでもできるしお兄ちゃんもなんでもできるのにわたしだけ」
妹「ひととちがうんだもんでもしょうがないもんお兄ちゃんが笑っててお母さんも笑って」
妹「るし旦那は帰ってこないし帰ってきても話とかしないしわたしがおもしろい話ができ」
妹「ないからだろうしあの子も言うこときかないし近所の人が噂したりしててわたしのこ」
妹「と馬鹿にしてお金を貯めないと旦那と別れたときに困るから一生懸命お金貯めてでも」
妹「すごく怒られてお父さんが怖いお母さんが怖いお兄ちゃんが怖い旦那が怖い娘も怖い」
妹「お父さんが嫌いお母さんが嫌いお兄ちゃんが嫌い旦那が嫌い娘も嫌い先生も嫌い嫌い」
妹「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い」
妹「もういやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ」
妹「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいや」
妹「だやだやだやだややだだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだや」
妹「だやだやだやだややだだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだや」
妹「だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
妹「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
118 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:14:58.75 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・・・・
オレ「落ち着いたか・・・お袋?」
お袋「・・・わたしの育て方が間違ってたのかしら・・・」
オレ「そうじゃないだろ。あれは病気で一時的にああいう状態になってるだけだ」
オレ「波があるって先生も言ってただろう? 今日はああいう気分の日だったんだよ」
121 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:17:00.95 ID:R+CPdmLw0
お袋「でも・・・あの子があんなことずっと考えてたなんて・・・」
お袋「あの雛飾り壊したのも、わたしがあげたものだからかもしれない・・・」
オレ「・・・・・・」
お袋「それに、あんな目をするなんて・・・」
オレ(たしかにそうだな。あれは、オレたちを憎んでいる目だ。絶対許さないっていう目だった)
123 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:20:35.24 ID:R+CPdmLw0
オレ「お袋・・・ 人間は自分の「物語」を作って生きてるんだ。それが楽だからな」
オレ「あいつにとっては、いまあれがいちばん楽な「物語」なんだ。ほんとのことじゃねーよ」
お袋「・・・・・・」
オレ「・・・あー、なんだっけ? 嘘も方便ってやつだな」
オレ「子どもの頃、オレはそんなにあいつを馬鹿にしてたつもりはない。お袋もそうだろ?」
オレ「でも、いまはそう思い込んでいたいんだよ、あいつは」
オレ「それだけなんだから、気にするな」
お袋「気にするなって言っても気になるわよ・・・ あんたみたいに鈍感じゃないのよ、わたしは」
オレ「・・・・・・とにかく帰ろう。姪が待ってる」
125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:23:00.82 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・・
コンコン
オレ「あー? 入っていいぞ」
ガチャッ
姪「あの・・・おじさん・・・」
オレ「ん? どうした??」
姪「おばあちゃんが元気ないから・・・ 部屋から出てこない・・・」
126 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:26:07.54 ID:R+CPdmLw0
オレ「ああ、ばあちゃんちょっと落ち込むことがあったんだよ」
オレ「・・・できればそっとしておいてやってくれ」
姪「はい・・・ あの・・・」
オレ「まだ、なんかあるのか?」
姪「あのあの・・・ ここで宿題してもいいですか?」
オレ「・・・ああ、いいよ。そのへんでやれ。オレは仕事するから面倒見れないけどな」
129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:30:27.22 ID:R+CPdmLw0
カキカキカキ
姪「・・・・・・」
カチャカチャカチャカチャ
オレ「・・・・・・」
姪「・・・あの」
カチャカチャカチャカチャ
オレ「あ? なんだ?」
姪「・・・お母さんのところに行ったんですか?」
カチャカチャカチャ ピタッ
オレ「なんでそう思うんだ? 姪」
姪「・・・おばあちゃんが、泣いてたみたいだから。お母さんの名前聞こえて」
オレ「・・・・・・・ふぅ」
131 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:34:15.42 ID:R+CPdmLw0
オレ「うん、見舞いに行った」
姪「・・・お母さん、元気でしたか?」
オレ「・・・ああ、元気だったけど、帰るときちょっと調子悪くなってな」
姪「・・・そう・・・ですか」
姪「・・・・・・・」
132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:36:14.39 ID:R+CPdmLw0
オレ(もしかすると全部嘘になるかもしれんが・・・ いま言っておくしかねぇか)
オレ(しゃーない。これが大人の務めってやつだ)
オレ「あのな、姪」
オレ「お母さんは、むかしのお母さんにちゃんと戻れるけど、時間がかかるかもしれない」
姪「・・・・はい」
オレ「しばらく待てるか?」
姪「・・・コクン」
オレ「お母さんを待つあいだ、おまえはここにいていい」
オレ「おまえがここにいられるようオレは一生懸命努力する。安心しろ」
姪「・・・はい」
133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:41:48.72 ID:R+CPdmLw0
オレ「待ってるあいだ、おまえは元気じゃないといけない」
オレ「お母さんが元気になったのに、おまえが元気じゃないと、意味ねーからな」
姪「はい」
オレ「ご飯はちゃんと食べろ、夜はちゃんと寝ろ」
オレ「心がきつくなったら、いつでもそう言えばいいし、」
オレ「すぐに言えなかったら、言ってくれるまでオレたちはそばで待ってる。わかった?」
姪「はい」
オレ(うん、まっすぐな目だ。オレが嘘をついてる間はこいつはだいじょうぶなはず)
134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:44:06.76 ID:R+CPdmLw0
オレ「もしかすると、お母さんがおまえを傷つけるようなことを言ったことがあるかもしれないけど・・・」
オレ「それは全部嘘だ、心配するな・・・ほんとうのことじゃない・・・」
オレ「・・・いま、あいつは病気だから・・・病気だからな・・・」
オレ「お母さんは・・・妹は・・・・えっとな・・・・・妹は・・・・・・」
姪「・・・おじさん、泣いてるの?」
136 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:46:39.01 ID:R+CPdmLw0
オレ「あ・・・ いや・・・昔のこと・・・ちょっと思い出して・・・」
オレ「子どもの頃、小学生の頃、おまえのお母さんといっしょにおたふく風邪にかかって・・・」
オレ「雪が降る日で、ふたりで顔がまんまるくなった写真とか・・・撮って・・・」
オレ「小学生の頃は、二段ベッド使ってて・・・・、上のベッドの取り合いで喧嘩したり」
姪「・・・・・・クスンクスン」
137 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:49:43.44 ID:R+CPdmLw0
オレ「年子だったからかなあ・・・たしかに仲は良くなかったかもしれないけど・・・」
姪「・・・おじさん・・・クスンクスン」
オレ「・・・やっぱ妹だしな」
オレ「・・・おまえのお母さんは、オレの妹だから。みんなで一緒に待っててやろうな、姪」
姪「・・・はい」
138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:55:11.54 ID:R+CPdmLw0
・・・・・・・・
オレ「おい、姪友。あんまり離れて歩くな。懐中電灯にセロファン巻いてる暗い。離れたらあぶねぇだろが」
姪友「だいじょおぶですうううううう」
オレ「今夜は寒いからベストも脱ぐな。風邪ひくぞ」
姪友「だいじょおぶですうううううう」
オレ「やっぱムカつくな。あの言い方が激しくムカつく。あいつはオレの敵だ」
姪「くすくす」
姪友「お~~いっ、おっさ~んっ」
オレ「「じ」を略すな。二文字目に「っ」を入れるな。ちゃんと「おじさ~ん」と言え」
姪友「で、ケーキ持ってきた?」
139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:56:43.40 ID:R+CPdmLw0
オレ「は? ケーキ?」
姪友「こないだ食べた、樽とトタン? だっけ? リンゴがみっちみちのやつ」
オレ「そりゃ、タルト・タタンだ」
姪友「それーっww」
オレ「暗いとこで星見するのに、ホールケーキとか持ってくるわけないだろ。おまえ、アホか」
姪友「・・・はぁ、存在価値なし」
140 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 02:59:35.70 ID:R+CPdmLw0
オレ「あ? なんだと?? マドレーヌ持ってきたのに。おまえにはやらん」
姪友「マ ド レ ー ヌ ・・・って、なにそれ?」
オレ「知らんのか、おまえは。ふふん、無知なやつめ。要するにちっちゃいケーキみたいな菓子だ」
姪友「やったあああああ、なんだケーキ持ってきてるじゃん。生くり~むぅ、いちごぉ」
オレ「マドレーヌにゃ生クリームも苺もトッピングされてねぇよ」
姪友「え? じゃ、栗は」
オレ「モンブランじゃねぇよっ」
姪友「ケーキじゃないじゃん。やっぱ存在価値なし」
141 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:02:21.11 ID:R+CPdmLw0
オレ「流行ってんのか? 「存在価値なし」って。なんかすげえ凹むわ・・・」
オレ「・・・なあ、姪」
姪「はい?」
オレ「おまえこんなやつと一緒にいて、くたびれないの?」
姪「いいえ? どうしてですか」
オレ(いちばん変わってるのはこいつかもしれんな)
142 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:06:24.98 ID:R+CPdmLw0
姪友「うわああああああああああああ」
オレ「おい、どした姪友! だいじょうぶか!?」
姪友「すげえっす、おっさん、その懐中電灯消して空見ろ、おっさん」
オレ「だからおっさんはやめれって・・・・」
カチッ
姪「・・・うわあ」
オレ「・・・すげえ」
真っ暗な世界から見上げた
夜空は星が降るようで
143 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:08:26.07 ID:R+CPdmLw0
姪「ね、おじさん。わたし、南のあの星知ってる。スピカでしょ」
オレ「ああ、そうだ。よく知ってるな、姪」
姪「わたし、おじさんの貸してくれた本、ノートに写してきたんだ」
春の静かな黄昏に、この星が柔い純白な光にきらめくのを眺めると、
胸の底まで浄められたような気持がします。
広い天上にもこれほど純潔な印象を与える星はありません。
姪「綺麗だねー、おじさん」
オレ「・・・ああ」
144 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:09:16.57 ID:R+CPdmLw0
姪友「ねー、姪のおっさん。なんか飲み物ちょうだい」
オレ「おまえのせいでなにもかもぶちこわしだな、姪友。 ・・・あったかいミロでいいだろ?」
姪友「もちろん、おけー」
姪「くすくすくす」
-おわり-
145 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:10:16.37 ID:R+CPdmLw0
読んでる人がおるかわからんけど、すっきりした。
おやすみなさい。
146 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:10:40.06 ID:lRO0A+1N0
乙
147 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:11:10.55 ID:nwG0yqSwO
乙
148 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/06(金) 03:11:44.64 ID:J2S/GeT80
乙!
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