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咏「もっと甘えて良いんだぜ?」

引用元: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1349323478/
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:08:46.98 ID:laoo2lUhO

咏「えぇっとー…」

えり「♪」ギュー

咏「えりちゃん?」

えり「はーぁい♪」スリスリ

咏(…わかんねー…)

えり「なんですかー?」ゴロゴロ

咏「そのー…」

えり「三尋木プロー?」

咏「な、なに?」

えり「ふふ……だーいすき♪」ニコッ

咏「……」キュンッ

えり「♪」ギュー

咏(…えーっと、なんでこうなったんだっけ…?)

――――――



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:10:19.92 ID:laoo2lUhO

―――――

咏「えーりちゃん!」ギュ

えり「わっ……み、三尋木プロ」

咏「今帰り?一緒に帰ろ?」

えり「ええ、いいですよ」

咏「よっしゃー」ギュー

えり「…三尋木プロ?そんなにくっつかれると歩きにくいんですが…」

咏「知らんしー」ギュゥー

えり「ですが外では…」

咏「別によくねー?」

えり「…………わかりましたよ」

咏「へへっ♪」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:14:22.80 ID:laoo2lUhO

咏(えりちゃんに告白してOK貰ってから一ヶ月)

咏(変わったことっつーと、こうしてえりちゃんに堂々とくっつけることとか)

えり「…帰りましょうか」

咏「うんっ」

咏(前より一緒にいる時間が少し増えた。くらい)

咏(…っつーか…)

えり「…………」テクテク

咏「…………」テクテク

咏(……えりちゃんは、変わらない。付き合う前と)

咏(クールで、堅くて、真面目。…でもさ…わかんねーけど…)


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:19:22.24 ID:laoo2lUhO

咏(コイビトってさ、イチャイチャでラブラブしてて)

咏(甘えたり、甘えられたり…いや、えりちゃんが甘えてるトコなんて想像つかないけど)

咏(なんか…自分だけ変わっちゃった、みたいな。ホントに、よくわかんねーけど)

えり「…どうしました?」

咏「え、な、何が?」

えり「いや、なんだか元気がないような……」


9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:23:17.70 ID:laoo2lUhO

咏「…んーん、別に知らんし~?」

えり「そうですか…?」

咏「そーそ。いっつも元気だぜ?」

えり「…なら、良いんですけど」

咏(えりちゃんは変わらない。こういうとこだけ、鋭いところも)

咏(……変なとこで、ニブいのも)



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:28:37.41 ID:laoo2lUhO

咏「なーなーえりちゃーん」

えり「はい?」

咏「今日ウチ来ない?」

えり「また、晩ごはん作らせる気ですか?」

咏「うは、バレたか」

えり「別に構いませんよ。でも、明日は早いので……」

咏「泊まっていきなよ」

えり「………は」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:34:09.66 ID:laoo2lUhO

咏「泊まりなら問題なくね?知らんけど」

咏(そんでさ、たしかめさせてよ)

咏(…とか。言えないけどねぃ)

えり「………」

咏(……ああ。無理かね、こりゃあ。呆然としちゃってさ)

えり「…………」ウツムキ

咏「…あ、あのさ、無理なら……」

えり「……お邪魔、します」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:39:04.80 ID:laoo2lUhO

咏「え?」

えり「三尋木プロが大丈夫であれば、泊まっても良いでしょうか」

咏「……もっちろん。誘った側が断るわけねーっしょ。知らんけど」

えり「それもそうですね」

咏「晩ごはんは豪勢に行こうぜ~」

えり「何を作らせる気です?」

咏「知らんし~」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:44:23.66 ID:laoo2lUhO

えり「では、私は一度帰って準備してから向かいますから」

咏「いんや、必要なもんは買ってこうぜ」

えり「え?」

咏「そんで、家に置いてっちゃっていいから。そしたらさ、いつでもえりちゃんは家に泊まれるじゃん?」

えり「…………」

咏「早く行こ?いい加減店閉まっちゃうからねぃ」

えり「……はい……」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:54:36.02 ID:laoo2lUhO

咏(…うっは、めちゃめちゃ嬉しい。OKしてくれるのかよ…!)

咏(初めての、お泊まり。とか…!うわ、うわわ、やべーッ!)

咏(晩ごはん作りに来てくれたことはあったけど、お泊まり!

咏(一緒の家で、ご飯して、お風呂入って、お喋りして…!その後は……)

咏(…べ、別にさ、やましい気持ちは…ゼロではないけど…もうコイビトになって一ヶ月だぜ?)

咏(キス、くらいしても…良いよねぃ?)



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 13:58:30.64 ID:laoo2lUhO

三尋木家

咏「たっだいまーっと」

えり「お邪魔します」

咏「どーぞどーぞ」

えり「前に晩ごはん作りに来て以来ですね…10日くらい?」

咏「めちゃめちゃ美味かったぜー」

えり「ありがとうございます」

咏「今日も期待してるかんな~?」

えり「ご期待に答えられれば良いですが…」

咏「えりちゃんのご飯はなんでも美味いに決まってる!」

えり「…もう。ハードル上げすぎですよ」

咏「知らんし~」


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:03:17.79 ID:laoo2lUhO

咏「~♪」

えり「えっと…お砂糖お砂糖…」パタパタ

咏(前も思ったけどさ、いいな~こーゆーの!)

咏(仕事で疲れてたのも、えりちゃんが一生懸命ご飯作ってくれるのを見てると、癒されるわ~)ホクホク

咏(しかもそれが!コイビトのための料理!ってね!コイビトってね!!)パタパタ

えり「………」ジュー

咏(…………)


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:09:38.17 ID:laoo2lUhO

咏「……ね、ねぃ、えりちゃん」

えり「はい?」ジュージュー

咏「なんか、手伝えることとか…あるかい?」

えり「大丈夫ですよ。三尋木プロは座っていてください」

咏「でも…」

えり「お疲れでしょう?私は大丈夫ですから」

咏「…そっか」

咏(…えりちゃんは、いつもどおり。クールで、堅くて、真面目)

咏(思い上がりすぎてた…かねぃ……一人で舞い上がってさ)

咏(えりちゃんはどうなのさ。嫌ではないみたいだけど)

咏(えりちゃんは、楽しいの?)


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:14:23.54 ID:laoo2lUhO

えり「…よし。できました」

咏「待ってましたぁ~っ!」

えり「そんなにお腹空いていたんですか?」

咏「もーめっちゃめちゃ減った!はーやーくー」

えり「はいはい」クス

咏「うひょーうまそー!」

えり「お口にあえば、良いですけど…」

咏「いっただっきまー!」

咏(めちゃくちゃ幸せだ。だってえりちゃんのご飯だから。目の前にいるのがえりちゃんだから)


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:19:27.17 ID:laoo2lUhO

咏「うまーっ!さっすがえりちゃん」

えり「ありがとうございます」ニコ

咏(えりちゃんの笑顔を見るのも好きだ)

えり「…ん、塩加減足りなかったかな…」

咏(えりちゃんは、どうなのさ。人をこんだけ幸せにしておいて、自分はどうなのさ)

咏「ちょーどいいぜ~塩加減も愛情も絶妙!」モグモグ

えり「そうですか?」

咏「あったり前~!」

えり「…良かった」ホッ

咏(…こっちのことばっかりで、自分のしてほしいことなんも言わないでやんの)


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:30:43.84 ID:laoo2lUhO

………

咏「ごちっ!」

えり「お粗末様でした」

ピピピッ

咏「お、ちょーど風呂わいた。えりちゃん、先に入ってきなよ」

えり「お風呂…私が先に?」

咏「えりちゃんはお客様なんだから遠慮なし~」

えり「でも、三尋木プロ…」

咏「ごちゃごちゃ言うなら一緒に入ろっか~?」ニヤ

えり「!」

咏「どーよ、一緒にお風呂。んん?」

えり「…………じゃあ、お先に…」

咏「そそ、遠慮しない遠慮しない。かったいんだから~」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:38:02.48 ID:laoo2lUhO

えり「では、失礼して…」

咏「おー」フリフリ

咏「………」

咏(…ちょーっち期待したんだけどねぃ~)

咏(そーうまくはいかないよな~知らんけど)

咏(…………)

咏(……お、おお!?)

咏(今えりちゃんウチの風呂だよな!?霰もない姿でウチの…)

咏(うわー、うわ、うわー…なんだ、ドキドキしてきた!)



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:41:53.24 ID:laoo2lUhO

咏(てかさ、てかさ、このあと…風呂あがりのえりちゃんとか、見れるんじゃね!?)

咏(…あわよくば…あわよくば……)

咏(…あわ…よく…ば………)

咏(…………)

咏(何考えてんだー!?)ガーン

咏(てかさ、お泊まりってアレじゃね、バイオレンス感アリアリじゃね!?)

咏(うっひょ、やっべー!マジやっべー!!)

咏(…だから何考えてんだぁー!?)ジタジタ


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:48:59.41 ID:laoo2lUhO

………………

咏(………疲れた。一人で何やってんだか)

えり「三尋木プローあがりましたよー」

咏「あ、ああ!わかっ………」

えり「良いお湯でした」ホカホカ

咏「…うは。えりちゃんのパジャマ、初めて見た」ジー

えり「あ、ああ……えと……」

咏「………」ジー

えり「…変、ですか?」

咏「いや、かわいい」

えり「…へ」

咏「いっつもカッチリした服しか着ないじゃん?なんか新鮮だわー可愛い!」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 14:53:10.35 ID:laoo2lUhO

えり「…………」ウツムキ

咏(あれ?)

えり「…三尋木プロも、お風呂入ってきては?」

咏「お、おう!入ってくる!」パタパタ

咏(…地雷踏んだかねぃ…?わっかんねー)


えり「…………」


――――――



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:00:44.33 ID:laoo2lUhO

お風呂あがり

咏(やっべ、長風呂しすぎたかねぃ?)

咏(…さっきまでえりちゃんの入ってたお風呂って考えるとさぁ~…)

咏(…いやいや、やめやめ)ブンブン

咏「えりちゃーん、おまたせー」ガチャ

えり「!」ピク

咏「さーてと、なんか半端な時間だよねぃ~どうする?」

えり「…………」

咏「あ、ノド乾いてね?なんか飲むかい?」スッ

えり「あ……」

キュ

咏「…ほ?」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:08:24.78 ID:laoo2lUhO

咏(立ち上がろうとしたら袖掴まれた?)

咏「ど、どしたん?えりちゃん」

えり「あの…飲み物は、大丈夫なので…」

咏「そ、そう?」

えり「大丈夫だから…そばにいて?」

咏「そ、そ…………えっ」

えり「……隣に、いて?」ジッ

咏「」ドキュン

咏(な、え、な、な…なにって?)

咏(えりちゃんが?え?え?わかんねー)ボーゼン

えり「…だめですか?」

咏「」

咏「だ、だめなわけないぜ!?知らんけど!知らんけど!!」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:16:46.35 ID:laoo2lUhO

咏「よっ…」ストンッ

えり「…ありがとうございます」ニコ

咏「…え、えっとさ、どうしたん。えりちゃん」

えり「?」キョト

咏「な、なんか、いつもと違うような…」

えり「………」ジー

咏「…な、なに?」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:23:48.71 ID:laoo2lUhO

えり「三尋木プロ…」

咏「うん?」

えり「一つだけお願いして、いいですか?」

咏「い、いいよ?全然、なんでもどんとこい!」

えり「…ぎゅーってしても、いいですか?」

咏「どんとこ………」

咏「…………」

咏「………ごめん、もう一回言って」

えり「ぎゅーってしても、いいですか?」

咏「」キュンッ

咏「い、いいよ…」ドキドキ

えり「……」ギュ

咏(あんなの誰も断れねーよ…)ドキドキドキ


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:33:40.86 ID:laoo2lUhO

咏(ぎゅーって言うから、抱きついてくるかと思ったけど…腕なんだな…)

えり「………」ギュー

咏「…え、えりちゃん?」

えり「……ふふ……♪」ニコッ

咏「」

咏(かわえええええ!!何!?何これ!?)

咏(つーか!腕に!なんか!柔らかい何か!何これ!?)

えり「三尋木プロ?」

咏「なにっ!?」

えり「…もっとぎゅーってしていい?」

咏「」

咏(大歓迎、喜んで!!)コクコク


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:48:29.63 ID:laoo2lUhO

えり「…♪」ギュー

咏(…おもちの感触が…)ドキドキ

えり「三尋木ぷろー…♪」スリスリ

咏「」

咏(うひゃーかわえーかわえー!)キュンキュン

咏(嬉しそうにさーニコニコしててさー頬擦りなんてしちゃってさー)

咏(普段のえりちゃんからは想像もつかないよねぃ~♪)

咏(………)

咏(……………)

咏(……いや、誰よ。この人)



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 15:58:41.17 ID:laoo2lUhO

~そして冒頭へ~

咏(だってさ、あのえりちゃんだぜ?)

咏(クールで、堅くて、生真面目なえりちゃんだぜ?)

咏(そのえりちゃんがさ、えりちゃんが……)


咏(だーいすきって……)

えり「ふふ…言っちゃった♪」ギュー

咏(だーいすきって…………)

咏(大好きだよこのやろぉぉぉ!!)

咏(あああ腕に抱きつかれてなけりゃこっちから抱きしめるのに!!)

咏(ぎゅーってしてナデナデしてスリスリしてぇぇぇぇ!!)



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 16:03:16.26 ID:laoo2lUhO

咏(!)ハッ

咏(…いやいや、何おんなじこと繰り返してんだか)

咏「えりちゃん。どうしたん、急に」

えり「?」

咏「い、いやその…いつもと違うなーっつーか…」

えり「あ……」

咏「い、いやその、嫌って訳じゃねーけどさ、むしろ嬉しいんだけどさ…」

えり「…本当に?」

咏「ホントホント!!」コクコク

えり「…よかったぁ…」ボソッ

咏「えりちゃん…?」

えり「あの、三尋木プロ?」

咏「う、うん!なに?」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 16:09:30.20 ID:laoo2lUhO

えり「“咏さん”って呼んでもいいですか?」

咏「…!?」

えり「……」ギュ

咏「う、う、う……」パクパク

えり「…だめ、ですか?」シュン

咏「いい!凄い良い!!咏さん!」

えり「!」パァッ

えり「ふふ…咏さーん…♪」スリスリ

咏(なんかもう…なんでもいっかぁ~♪)



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 16:21:02.78 ID:laoo2lUhO

………………

咏「…ね、ねぃえりちゃん?」

えり「?」

咏「明日…早いんじゃなかったっけ?」

えり「あ……」

咏「そろそろ寝よ?」

えり「………」シュン

咏(かわいい)

えり「…………」ジッ

咏(うっ)ドキッ

えり「…………」シュン

咏「い、い、一緒に布団入る?」

えり「!」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 16:30:19.66 ID:laoo2lUhO

お布団

えり「…狭くないですか?」

咏「う、うん…あったかいからむしろ…良い」

えり「私も、心地良いです…」

咏(一緒の…布団。一緒の……)ドキドキ

咏(これ…いいんだよな?その……いいんだよな!?)

咏(いくぞ…言っちゃうよ!?)

咏「えりt」

えり「咏さん」

咏「ほい!?」

えり「…おやすみなさい」ニコッ

咏「お、お、おう!おやすみ!」

咏(……ん?)



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 16:38:33.22 ID:laoo2lUhO

咏(…………んん?)

咏「…え、えりちゃーん?」コソッ

えり「……すぅ……」zzZ

咏(早っ!?)

咏(ってか、えー!え、えぇー!?)

咏(あれだけ期待させて、…えぇー!?)

えり「…んん……すぅ……」zzZ

咏(…………)

咏(…なんだったんだろうなぁ…)ハァ

咏「……ふぁ~あ」

咏(……寝よ。明日また、聞いてみよう)



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 16:48:11.40 ID:laoo2lUhO

………………
翌朝

えり「……ん……」

えり「…………」

えり(あ…そうだ、昨日の夜は三尋木プロの家に泊まって……)

咏「ふわ~……ぁ」

えり「」

咏「ん~……あ、おはよ~えりちゃーん…」

えり「………あ、……え……?」

咏「あーよくねたー」ノビー

えり「……な……なんで……」

咏「ほ?」

えり「どうして私、三尋木プロと同じ布団で……?」

咏「…え?」


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 18:02:35.99 ID:laoo2lUhO

咏「夕べえりちゃんがOKしてくれたんだぜ?」

えり「わ、私が!?夕べは……あれ……?」

咏「えりちゃん?」

えり「ええと……お風呂入って……それから……」ブツブツ

咏「どうしたん?」

えり「…たしか…、………」ハッ

えり「……まさか」ボソッ…

咏「?」

咏「あ、そうだ。ねー昨日のさー」

えり「三尋木プロ」

咏「お?」


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 18:06:45.21 ID:laoo2lUhO

えり「私、そろそろ支度して仕事に行かないと」

咏「あ、ああ…りょーかい」

えり「では」スッ

咏「…………」

えり「…あ」

咏「?」

えり「朝ごはん、作りましょうか?」

咏「…おっ、いいねぃ」

えり「じゃあ、パンと卵焼きで良いですかね」

咏「卵焼きはだし巻きでー」

えり「はいはい」

咏「よっしゃ~」

咏「…………」

咏(……あれ?もしかして今はぐらかされた?)


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 18:24:01.38 ID:laoo2lUhO

……………

えり「では、行ってきます」

咏「いてら~」フリフリ

パタン

咏「…………」

咏「……う~ん?」

咏(絶対なんかオカシイよなぁ?)

咏(起きて目ぇあったらスゲー驚いてたし…そのあともブツブツ言ってたし…)

咏(聞こうと思ったら遮られたし……でも、ホントにワケわかんねーみたいな顔……)

咏(……もしかして…マジで覚えてなかったり?)

咏(…いやいや、まっさかーそんな、ねぃ?)

咏(………)

咏「…わっかんねー…」


83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 18:35:07.14 ID:laoo2lUhO

仕事終わり

えり「……はぁ」

ピリリッ

えり「?……メール……あ」

えり(…三尋木プロから…)

『えりちゃん忘れ物したっしょ~?とりあえず仕事終わり次第ウチに来るべし』

えり(…忘れ物?)

えり(…そんなのしたっけ…?)

えり「…………」

えり(取りに行くだけ…一瞬会うだけなら…そのくらいなら…大丈夫)グッ

ピッピッ

『今から向かいます』


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 18:45:21.01 ID:laoo2lUhO

三尋木家

ピンポーン

咏「へいへーい」ガチャ

えり「こんばんは、三尋木プロ」

咏「おっす、えりちゃーん」

えり「ええと、すみません私…忘れ物なんて…」

咏「んーんー、とりあえず上がって上がって」

えり「いえ、ここで、その…」

咏「いーからいーから~」グイグイ

えり「ちょ、ちょっと…!」

えり(さっそく予定崩れる…いつものことか…)タメイキ

咏(よし、予定通り!)



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 18:55:42.62 ID:laoo2lUhO

えり「それで、三尋木プロ…」

咏「ん~?」

えり「私、忘れ物に心当たりがなくて…何を忘れて行きましたか?」

咏「忘れ物っつーか…」

えり「はぁ」

咏「…晩ごはん?」

えり「…は」

咏「昨日えりちゃんの寝間着とかのついでに材料スゲー買ったじゃん?」

えり「そういえば…」

咏「正直材料だけあってもねぃ~料理作れんし」

えり「…それで、結局…?」

咏「晩ごはん作ってくの忘れてんよ~」ヒラヒラ

えり「……はぁ……」タメイキ


93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 19:06:57.64 ID:laoo2lUhO

咏「晩ごはんは~んーとねぃ~」

えり「三尋木プロ…」

咏「ん?」

えり「急に連絡が入ったと思えば…ソレですか…!」

咏「うん」

えり「………」アタマカカエ

えり(こっちは、正直気まずいのに…人の気も知らないで…!)

咏「…だってさ…」

えり「はい?」

咏「…えりちゃんに会いたかったんだよねぃ」

咏「えりちゃんに会って、えりちゃんのご飯食べたかったんだよ」

えり「………」



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 19:18:24.27 ID:laoo2lUhO

えり「…………」ウツムキ

咏(…………)

えり「…晩ごはん…」

咏「!」

えり「何が、良いですか…?」

咏「いいの?」

えり「…………」コクッ

咏「よっしゃあ!大好きだぜえりちゃーん!」ギュ

えり「!」

咏「…へへ。今日はくっついてなかったからねぃ~」ギュー

えり「み、………っ」

咏「あれ?えりちゃんもしかして照れてる?」

えり「!」


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 19:29:56.68 ID:laoo2lUhO

咏「めっずらし~えりちゃんが照れてる~」ギュー

えり「そんな、ことは…」

咏「照れんなよー」ギュー

えり「で、ですから…」

咏「かわいいねぃ、えりちゃんは」

えり「……は」



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 19:39:08.31 ID:laoo2lUhO

咏「かーわいーい」ニヤニヤ

えり「…………」

咏「んー」ギュー

えり「……~~っ」

咏「…えりちゃん?」

えり「………」

咏「おーい、えりちゃ…」

キュ…

咏「お?」

咏(…抱きしめてたら腕回してくれた…)

えり「……♪」ギュー

咏(……わお)

咏「えり…ちゃん?」



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 19:46:34.58 ID:laoo2lUhO

えり「はーぁいっ」

えり「咏さん♪」ニコッ

咏(呼び方……!)

えり「咏さん咏さん」

咏「…なぁに?」

えり「あったかいですね」ニコッ

えり「落ち着く…」ギュー

咏「」キュンッ

咏(おぅふ、間違いねぇ…夕べのえりちゃんだ…)ドキドキ

咏(………)ドキドキ

咏(…さーて)

咏「詳しく聞かせてもらおうかぁ?」

えり「………!」



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 19:55:16.87 ID:laoo2lUhO

えり「…何を?」

咏「すっとぼけんじゃないぜ~?なぁんか隠してるっしょ」

えり「………」

咏「さぁさ、言っちまいな?」

えり「……し」

咏「お?」

えり「知らんしー……」

えり「……です」プイ

咏「」

咏(やばい、なんだ今のカウンターパンチ)キュンキュン



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 20:05:59.48 ID:laoo2lUhO

咏「…いーや、知らん。誤魔化されないね!」

えり「………」

咏「言わないと、アレだよ?えーっと…」

えり「…?」

咏「えっと、えーっと……ち、ちゅーするよ!?」

えり「っ!」

咏「ほ、ほら、どうなのさ!」

咏(うわー勢いでなーに言ってんだ…でも)

咏「ほら、しちゃうよ~ちゅー」ジリジリ…

えり「…ぁ…あ…っ…」

咏「正直に言ったら許したげるぜ?」

えり「わ……わかりました……」

咏「よぅし」

咏(…なんだこの複雑な気分…)


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 20:19:49.12 ID:laoo2lUhO

えり「正直に言いますから……」

咏「おぅ、はけはけ」

えり「えっと、その前に。…お腹、空いてません?」

咏「……そういやそーだねぃ」

えり「ご飯食べてからにしましょう?」ニコッ

咏「ん!」

えり「何が食べたいですか?」

咏「んーと、シチューの素買わなかったっけ?シチュー食べたい」

えり「はーい♪」パタパタ

咏「…ご機嫌だねぃ」



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 20:32:11.47 ID:laoo2lUhO

………………

えり「♪」コトコト

咏(うーむ……わっかんねー…)

えり「咏さん?」

咏「お、おう!?」

えり「そろそろできますから、お手伝いして貰っても良いですか?」

咏「なになに?」

えり「お皿出して、並べててください」

咏「おっけぃ!」

咏(えりちゃん……だよな?間違いなく…)カチャカチャ

咏(…ま、考えても仕方ない。後でジックリ聞くかねぃ…)カタン


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 20:42:01.24 ID:laoo2lUhO

咏(今は…とりあえず)

えり「さ、どうぞ♪」

咏「うひょーっ!うまそーっ!」

咏(楽しんだモン勝ちじゃね~?知らんけど!)

咏「いっただっきまー!」

えり「………」ドキドキ

咏「うん、美味い!美味いよえりちゃん、天才!」

えり「…よかった」ニコッ



118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 20:55:34.41 ID:laoo2lUhO

……………

咏「食べ終わったし?」

えり「……」

咏「さぁて、聞かせてもらおっか~?」

えり「…わかりました…」

咏「まず、」

えり「あ、あの!…は、話す前に、その…」モジモジ

咏「?」

えり「…お隣…いいですか…?」

咏「隣?」

えり「…咏さんの隣に…座っても…」カァァ

咏「………」キューン

咏「…へいカモン」ポフポフ

えり「!」

えり「…♪」イソイソ


119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:02:11.55 ID:laoo2lUhO

咏「で、本題なんだけど…えりちゃんだよね?」

えり「ええ。正真正銘、針生えりです」

咏「ん~…?」

えり「まぁ、単刀直入に言ってしまうなら…」

えり「別人格とでも思っていただければ」

咏「…………」

咏(…予想は、してたけど…ねぃ)

咏「……マジで?」

えり「後日でよろしければ、医師の診断書を見ますか?」

咏「…いんや、いい。信じる」


122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:10:21.92 ID:laoo2lUhO

咏(しっかし……)

えり「!」スッ

咏(別人格って言うには、えりちゃんはえりちゃんって感じだし…)

えり「…………」ニギ…

咏(えりちゃんって言うには、あまりに駆け離れている)

えり「………♪」キュ

咏「…何してるん?」

えり「咏さんに手のマッサージを」キュッキュッ

咏「…………」

えり「指のここの部分をつまんでグリグリすると良いんですよ?」グリグリ

咏「~~~…!」

咏(これが…これがコイビト同士のイチャイチャ…!)シアワセカミシメ


124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:17:56.49 ID:laoo2lUhO

えり「まぁ、別人格というのは言い過ぎですが…」グリグリ…

えり「もう少し細かく言いますと……あ、次は人差し指やりますね」

咏「う、うん…」

えり「私って…ええと。普段の私、今の私じゃない私…“表”とでも言いましょうか」キュッキュッ

えり「表の私はストレスを溜め込むタイプ、というのはなんとなく知っているでしょう?」グリグリ…

咏「そ、そうだねぃ」

えり「そのストレスって、大抵は何かをやりたいのに抑え込んでるから生まれてるんです。私の場合は、ですが…」



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:21:11.02 ID:ADOeqX/x0

ブラック羽川的な


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:24:55.48 ID:laoo2lUhO

えり「次、中指しますよー」キュッ

咏「……」

えり「それで生まれたのが、今の私…そうですね…“裏”の針生えりでしょうか」グリグリ

えり「表がどうしてもやりたいのに、どうしてもできない。そんなジレンマの解消のためだけに出てくるのが私…裏です」

咏「………」

えり「次は小指…薬指はダメなんです。…何か質問はありますか?」キュッキュッ

咏「えーっと…何から聞けば良いのやら」

えり「無理もないです」グリグリ

咏(つーかマッサージで若干集中して聞けねぇっつの…)


128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:30:09.37 ID:laoo2lUhO

咏「え、えーっと、じゃあ今のえりちゃんは…自分の好きなことやってるってこと」

えり「ええ。…あ、ご心配なく。モラルや常識は守れますから」グリグリ

咏「あ、ああ…」

えり「…と、言いますか。“針生えり”が常識はずれなことをしたがるって想像、できます?」

咏「…無理だねぃ」

えり「でしょう?基本的には理不尽なことや…自分にとって不慣れなこと、そのくらいです」

咏「…じゃ、じゃあ、さ……」ドキドキ


129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:34:29.12 ID:laoo2lUhO

えり「はい?…あ、次は左手やりますね」スッ

咏「お、おう…。昨日とか、さっきも…その、裏えりちゃんのやってたことって…」

えり「表…いや。針生えりがやりたいこと、です。今しているマッサージを含めて」キュッキュッ

咏「………!」ドキドキ

咏「じゃ、じゃあ、言ってることも……」

えり「私が、どうしても言いたいこと……」

えり『ふふ……だーいすき♪』ニコッ

咏(きたあああああああ!!!)キラキラキラ



131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:41:57.40 ID:laoo2lUhO

えり「はい、次は人差し指……」

咏「あ、あとさ…」

えり「ええ」

咏「ストレスって言ってたけど…ストレス発散とか、えりちゃんは無いの?」

えり「ありますよ?」

咏「でも、今裏がいるっつーことは発散できてなくね?」

えり「…針生えりのストレス発散は…仕事ですから」

咏「仕事……?でも仕事なら…」

えり「…咏さんとの仕事は…ストレスが溜まる、とは言いませんが…」

えり「かなりのジレンマがおきますから」

咏「…なるほど。素直に言ってくれりゃいいのに」


133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 21:51:40.45 ID:laoo2lUhO

えり「…恋愛に不慣れなんですよ」

咏「不慣れ?」

えり「ええ。経験は人並み以下、限りなく0に近いかと」

咏「えりちゃんモテそうなのにねぃ」

えり「…まぁ、昔色々ありまして」

咏「ふーん?そういえばさ、裏えりちゃんが出てきたのって、初めてじゃないよねぃ?」

えり「ええ。ここ最近は全くなかったですが…」

咏「大体どのくらい?」

えり「ストレスの種類で言えば、4個目くらいですね。回数もあまり」


135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:01:07.30 ID:laoo2lUhO

咏「初めて出てきたのはいつ?」

えり「高校…でしょうか」

咏「……結構早いねぃ」

えり「……昔のことです」

咏「もしかして、さっきの恋愛がどーちゃらの、昔の色々?」

えり「……よくわかりましたね」

咏「い、いや、なんとなくだけど」

えり「さ、他に質問は?」

咏「…あ、大事なこと聞くの忘れた」

えり「どうぞ」


136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:09:53.18 ID:laoo2lUhO

咏「裏えりちゃんの発動条件と、表に戻る条件」

えり「ああ、簡単です。まず、戻るにはですが…」

咏「ま、なんとなく察しはついてるけどねぃ」

えり「ええ。寝れば戻ります」

咏「単純だねぃ」

えり「そして裏になる方法ですが、今回の場合…」

咏「………」ゴクリ

えり「“恥ずかしい”って感情が限界を突破したら、ですね」

咏「…恥ずかしい?」

えり「ええ」


140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:22:26.71 ID:laoo2lUhO

咏「恥ずかしがってたん?」

えり「…あ、有り体に言えば」

咏「全然そんな風に見えなかったんだけど」

えり「…………表情に、出ないんですよ」

咏「出ない?」

えり「…いえ、出なくなった…が正しいでしょうか」

咏「…それも、昔の色々?」

えり「…ええ」

咏「…ん?昨日ってさ、えりちゃんはいつ裏になったん?」

えり「たしか…咏さんがお風呂に入っているとき、だったかと」



141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:29:14.36 ID:laoo2lUhO

咏「何にそんなに恥ずかしがってたのかわかんねーんだけど」

えり「…………」ウツムキ

咏「だってさ、こっちは風呂入ってたわけだし。えりちゃんに何も…」

えり「…お風呂入る前に…何て言っていたか覚えていますか?」

咏「入る前?えーっとたしか、えりちゃんが出てきてー…」

咏『いや、かわいい』

えり『…へ』

咏『いっつもカッチリした服しか着ないじゃん?なんか新鮮だわー可愛い!』

咏「…おお」

えり「…思い出しました?」


143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:35:54.47 ID:laoo2lUhO

咏「それで照れちゃったと」

えり「…………」ウツムキ

咏「そういえばさっきも、かわいいって言ったら裏になったねぃ~」ニヤニヤ

えり「…そりゃ、恥ずかしいですよ…」

咏「なーるほど。恥ずかしいと俯くんだねぃ~?」

えり「あ……」カァ

咏「…裏えりちゃんは表えりちゃんより表情が豊かだねぃ」

えり「そ、そうかもしれません」

咏「ちょっと赤くなったよ、顔」

えり「えっ!?」ペタ


145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:44:36.15 ID:laoo2lUhO

咏「あっはは、かーわいー」

えり「咏さんのいじわる…」

咏「」キューン

咏「…そだよ~咏さんはいじわるだぜ~?」ナデナデ

えり「うぅ……」

咏「お、抵抗しないんだ?」

えり「…わ、私は…裏ですから…」

咏「嬉しいんだ?」

えり「……あぅ……」カァァ

咏「ほら、また赤くなったー♪」

えり「あ、あんまりいじめないでください!」

咏「知らんしー♪」


148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:54:43.74 ID:laoo2lUhO

えり「もう…質問なければ、終わりにしましょう?」

咏「あ、そだそだ。もう一個」

えり「どうぞ」

咏「裏の記憶は、表には引き継がれないの?」

えり「基本的にはそうです」

咏「基本的には?」

えり「ええ」

咏「……そんだけ?」

えり「ええ、それだけ」

咏「表えりちゃんは裏えりちゃんのこと…」

えり「知っていますよ、もちろん」

咏「そ、そか…」

えり「…以上ですか?」

咏「ん。だいたいわかった。多分」


151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:10:09.39 ID:laoo2lUhO

えり「では……」

咏「うん」

えり「……ぁ……」

咏「ん?」

えり「…………」チラッ

咏「?」

えり「…………」メソラシ

咏「えりちゃん?」

えり「…あの…」

咏「うん」

えり「わ、我が侭…言っちゃうと…」

えり「……帰りたく、ないなぁ…って…」

咏「!」



153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:18:09.25 ID:laoo2lUhO

えり「…迷惑、ですか?」

咏「ぜ、ぜんぜん!」ブンブン

えり「じ、じゃあ…!」

咏「また泊まってってよ!」

えり「ありがとうございます…」ギュ

咏「お…」ドキ

えり「♪」ギュー

咏「…え、えりちゃん、さ。腕に抱きつくの、好きだよねぃ」

えり「…いつも、咏さんがするから…その。羨ましくて…」

えり「ぎゅーってされるのも好きだけど…するのも、好きになりました」ニコッ

咏(かわいい)



155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:29:31.64 ID:laoo2lUhO

咏「え、えりちゃん?」

えり「はい?」

咏「…こっちからもしたいんだけど…ぎゅーって」

えり「!」

咏「ちょっと離してくんないかねぃ?」

えり「あ、は、はいっ!」ワタワタ

咏「んー」ギュー

えり「ぅ……」

咏「へへ…正面からぎゅーってするのも良いもんだぜ?」カオウズメ

咏(昨日までは戸惑ってたけど…この人も“えりちゃん”なら話は早い)

咏(…えりちゃんとくっついていられるなら、なんでも良いよねぃ~♪)



158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:39:39.63 ID:laoo2lUhO

えり「…ぅぅ…」

咏「えりちゃん?正面からぎゅーってされるのは嫌かい?」

えり「い、いえ!そうじゃなくて…その」

咏「?」

えり「今日は…まだシャワー浴びてなかったなぁ…って…」

咏「知らんし。気にすることないぜー」

えり「い、いえ!気になります!」

咏(…えりたそ~)

えり「で、ですから…咏さん、先にお風呂に…」

咏「だーかーら、えりちゃんが先に入れっつーの!」


160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:48:35.42 ID:laoo2lUhO

えり「でも、私は昨日…」

咏「じゃー一緒に入るかい?」

えり「え……」

咏「ほれ。一緒のお風呂。どうよ」

えり「…………」

えり「…じゃあ、ごめんなさい。先にお湯、貰いますね」

咏「そそ。昨日も言ったじゃんか、遠慮なんかいらんし~」

咏「………」

咏(裏えりちゃんは、表えりちゃんの本当にやりたいことをやる存在…か)


162: ねむい 2012/10/04(木) 23:57:44.36 ID:laoo2lUhO

咏(なにかを拒否したら、本当に嫌がっているってこと)

咏(さっきの、ちゅーのときもだったけど…)

咏(えりちゃんは、キスとか一緒に風呂入るのが…本気でイヤなのか!?)ガーン

咏(あんなにくっついて…だーいすきって…)ニヤニヤ

咏(…なのに…風呂やキスは嫌?)

咏(…………)

咏(ま、いっか)


165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:03:15.27 ID:i24yhiovO

咏(えりちゃんのやりたいことをやりゃいいさ)

咏(それで幸せなら、こっちも幸………)

咏(……ん?)

咏(なーんか引っかかる。なんだっけ…モヤモヤする)

咏(…ん~?忘れたっつーことは…わりとどうでも良いことなのかねぃ?)

咏(じゃ、いっか~えりちゃん待ち~…)



168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:12:37.66 ID:i24yhiovO

………………

咏「お互い、風呂も済ませて、あと寝るだけって感じになったけど~」

えり「そうですね…」

咏「ちなみに明日の予定は?」
えり「朝から実況…って咏さんも一緒に実況ですよ」

咏「うは、マジで?」

えり「はい。一緒のお仕事ですよ」

咏「じゃー一緒に会場まで行けるねぃ♪」

えり「そうですね…」

咏「…ちなみに何時集合?」

えり「たしか…10時前くらいだったかと」

咏「10時か…じゃー朝はそんなに急がなくて良いねぃ~」


169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:15:53.07 ID:i24yhiovO

えり「どうしてですか?」

咏「いやぁ~…ね?」ドンッ

えり「…お…お酒…」

咏「大人二人いたらそうなるっしょ~」

えり「は、はぁ…」

咏「どーよどーよ、ちょっとくらいさ!集合もそんなに早くないし~」

えり「…お酒…」

咏「ほらほら、呑も呑も!」カチャカチャ

えり「……じゃあ、少しだけ……」


191: おはようございます 2012/10/05(金) 06:20:57.94 ID:i24yhiovO

咏「ほれ、かんぱーい!」

えり「乾杯」

チンッ

咏「んぐっ…んぐっ…」グビグビ

えり「……コクッ……」チミッ

咏「ぷはーっ!」

えり「い、一気……」

咏「ん?」

えり「ペース早すぎませんか?」

咏「ダイジョブダイジョブ。全っ然酔わないから」

えり「え」

咏「ザルまではいかないけどねぃ。どんだけ呑んでもちょーっとフワフワするくらい」トクトク…

えり「…へぇ…」



194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 06:31:00.30 ID:i24yhiovO

咏「えりちゃんは……呑んだの?それ」

えり「呑みましたよ?」

咏「一口くらい?」

えり「…まぁ」

咏「もっと呑め~ぃ」フリフリ

えり「お酒って苦手で…。すぐに酔っちゃうので」

咏(酔っ払ってるえりちゃん超見たい)

えり「だから少しずつ…」

咏「まぁまぁまぁ~」トクトク

えり「ちょ、ちょっと、こぼれ……っ」

咏「呑め呑め~」

えり「あわわっ」ゴクンッ

咏「そそ。それくらいは飲まなきゃねぃ」ニヤリ



195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 06:45:29.37 ID:i24yhiovO

えり「あ…、」

咏「どうよどうよ、おいし?」

えり「え、えと…」

咏「チミッチミ呑んでたら味なんてわからんっしょ~?」

えり「えと……」

咏「意外と良い酒なんだぜ~これ!勿体無い勿体無い!」グビッ

えり「…………」

咏「…おぅーい、えりちゃーん?」

えり「?」クビカシゲ

咏「いや、? じゃなくて。仕草かわいいけど」

えり「…………」ポケー…

咏「えりちゃん?」



197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 06:54:55.99 ID:i24yhiovO

えり「………」ギュ

咏「おぉ?」

えり「………♪」スリスリ

咏「…また腕かい?」

えり「ん…」コクリ

咏「抱きついては来ないの?」

えり「…これ、好きです」ギュー

咏「…酔ってんの…か?」

えり「知らんし~…ですー」スリスリ

咏(だから…それヤバいって…かわいいっつの…)

咏(裏えりちゃんが酔っ払っても、あんまり変わらない感じかねぃ?)

えり「ふふ…うーたさん♪」

咏「なーに?」

えり「呼んだだけー♪」ニコニコ

咏(おぅ)キュン


198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 07:02:57.68 ID:i24yhiovO

咏(そうそう…これが、コイビト同士ってやつだよねぃ…!)カンドウ

えり「んー…」ハナレ

咏「? どしたん?急に離れちゃって」

えり「…私ばっかり甘えてます」

咏「良いんだよ?」

えり「咏さんは何かしたくないですか?」

咏「何か?」

えり「ん」コクリ

咏「…えりちゃんに?」

えり「…ん」コクリ

咏「………」

えり「………」ジー

咏(…つまり…“なんでもしていいよ”っつーこと…?)ドキドキ


200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 07:32:36.76 ID:i24yhiovO

咏(……それは……なんつーか……)

咏「~~~!」グビグビ

咏(かなり……その、なんだ。かなり、…ねぇ?)

えり「………」ジッ

咏「……目ぇ、瞑って?」

えり「…はい」メトジ

咏「…………」

咏(…どうする気だよ…目、瞑らせて…)

えり「…咏さん?」

咏「ちょ、ちょっと…待って…」

咏「…………」ドキドキ

ソッ…

えり「っ」ビクッ


201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 07:40:48.55 ID:i24yhiovO

咏「…しっかり瞑っててねぃ?薄目開けたら駄目だかんな?」

咏「だから、目隠ししたからな?手で、だけど…なんも、見えない…よな?」

えり「…ん」コクリ

咏「………」ドキドキ

咏(…やばいな、最初っから一気はダメだったか)

咏(…ちょっと、酔ってるかも)

咏「…………」ジリジリ…

咏(……もう、少しで……)

えり「………」

咏(えりちゃんの………)


202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 07:52:52.54 ID:i24yhiovO

咏(うわ…息、かかるかも…)ドキドキ

咏(こんなに近くで顔見たの…初めてかも…)

咏(えりちゃんの……唇……)

えり「………」

咏「―――ッ!!」

パッ

咏「もういいよ!!」

えり「?」

咏「目ぇ開けていいから!」

えり「は、はい……」パチ

咏(うわー、うわあーもー!!)

えり「あの…何かしましたか?」

咏「し、したよ、した!」

えり「…?」クビカシゲ



203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 08:01:05.71 ID:i24yhiovO

咏(なに、しようとしてんだよ…さっき考えたばっかじゃんか…)

えり「………」

咏(えりちゃんは…キス、嫌なんだよ…なのにさぁ…)

咏(酔ったイキオイとか…酔ってる人の言葉にほだされるとか…)

えり「…………」ウトウト

咏(…これ、最低じゃね!?)ガーン

咏(良かった!思いとどまって良かったぁぁアブねえぇ!!)

えり「………」コックリ

咏「え!?」



204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 08:13:40.51 ID:i24yhiovO

咏(い、今ココロ読まれた!?)

えり「………」コックリ…

えり「!」ハッ

えり「………」ウトウト

咏(あ…眠いだけか…)

咏(ビビったぁ…頷かれたかと思った…)

咏「えりちゃん、もう寝よっか」



205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 08:16:22.32 ID:i24yhiovO

えり「!……あ、はい……」ウトウト

咏「じゃあ、」スッ

キュ…

咏「お?」

えり「あの…」ソデツマミ

えり「…また、おんなじお布団で……」

咏「………」

えり「……だめですか?」ジ…

咏(上目遣いは反則)



211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 09:49:37.28 ID:i24yhiovO

布団

咏「………」ゴソゴソ

えり「………」ポフッ

咏「…ふぅ…」

えり「…咏さん?」

咏「…んー?」

えり「…だーいすき」ニコッ

咏「………」キュン



212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 09:51:10.93 ID:i24yhiovO

咏「私も、好きだよ」ナデナデ

えり「ふふ……おやすみなさい」

咏「おやすみ」

咏「…………」

咏(…罪悪感がヤバい)ズーン

咏(嫌われてることは多分100%ないみたいだけど…)

咏(…なんで嫌なんだろ。わかんねー…)

咏(好きなら…したくなるもんなんじゃないかねぃ……知らん、けど)



230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 15:34:09.41 ID:i24yhiovO

翌朝

咏「……んぁー……」

咏「……ふぁ~ぁ」ノビー

咏「…あれ…えりちゃん?」

咏「……仕事行ったのかな……」

咏「……お?」

咏(メモ用紙…)

『ごめんなさい 針生』

咏「…………」

グシャグシャ ポイッ

咏「…知らんし」


232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 16:09:18.62 ID:i24yhiovO

咏(なぁにが『ごめんなさい』だ。黙って帰ったことのがよっぽどだよねぃ)

咏(……何に対して謝ってんだかわかんねーし。謝られるようなことなかったし)

咏(…………)

咏「……今日も問い詰めるかねぃ」

咏(ついでに、晩ごはんも頼んじゃおーっと)

咏(今日は何を頼もうかねぃ~♪)


――――

えり「……クチュンッ」クシャミッ

えり(…マズイ、風邪かな……)

――――


233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 16:19:31.06 ID:i24yhiovO

仕事終わり

えり「……はぁ……」

えり(…今日は…)チラッ

えり(よし、携帯に連絡なし)

えり(…もう、しばらくは会えないだろうな…)

えり(……私、何してるんだろ……)

ピリリリッ

えり「!」ビクッ

えり「で、電話!?」ピッ

えり「も、もしもし針生ですが…」

咏『やっほーえりちゃん』

えり「う、咏さん!?」

えり(し、しまった…焦って誰だか確認せずに通話ボタンを…)



240: ただいま 2012/10/05(金) 17:36:55.60 ID:i24yhiovO

えり「ど、どうしたんですか?私、また何か忘れて…」

咏『あー違う違う』

えり「では…?」

咏『えりちゃんの“かわいい”声が聞きたくなってねぃ~♪』

えり「………は」

咏『あー今多分ボーゼンとしてるでしょ?』

えり「い、いや、その…」

咏『照れてんだ~かーわい~』

えり「…からかってます?」

咏『本音に決まってんじゃん。わっかんねーかなぁ、えりちゃーんちょーかわいいぜー』

えり「な……な………」パクパク


241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 17:43:25.36 ID:i24yhiovO

咏(よぅしもうちょい!)

咏「えりちゃーん」

えり『っ…よ、用がないなら、もう切りますよ?私今仕事終わったばっかりで…』

咏「愛してるぜ」

えり『』

咏「ちょっとでも長く一緒にいて、ちょっとでも長く話していたいじゃん」

咏「…コイビトだろ?」

えり『…………』

咏(…………)



243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 17:48:28.56 ID:i24yhiovO

えり『…あ、あの……』

咏「ところでえりちゃん」

えり『は、はい!』

咏「…今日の晩ごはんは、スパゲティがいいな」

えり『…………』

えり『いいんですか?』

咏「頼んでるのはこっちだっての」

えり『…♪』

咏(お)

えり『…材料買ってから、向かいますね』

咏「おう」

えり『…他に何かありますか?』

咏「晩ごはんにさ。えりちゃんの愛情、入れてくれる?」

えり『………はい♪』

咏(大・成・功)


244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 17:49:59.45 ID:19+yC9RyO

迫り来る怒涛の火力……


245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 18:00:53.64 ID:i24yhiovO

三尋木家

ピンポーン

咏「ほーい」ガチャ

えり「こんばんは」

咏「おっかえりぃ~」

えり「あ……」

咏「ん?」

えり「え、えーっと……」

えり「…ただいま、あなた」ニコッ

咏「」

えり「…なんて」カァァ

咏「お、おかえりぃぃぃ!!」ギュゥー

えり「きゃっ…」

咏(やべー破壊力やべぇぇー!)



248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 18:15:28.63 ID:i24yhiovO

えり「ところで咏さん?」

咏「ん?」

えり「わざわざ“私”を呼び出すなんて、何を企んでいるんですか?」

咏「企みとか知らんし。さっきも言ったじゃんか。少しでも一緒にいたいんだよ」

えり「!」パァ

えり「…♪」ギュー

咏(かわええのうかわええのう)ナデリナデリ

えり「えへへ…だーいすき♪」

咏(このやろ…あとで抱き締めてやる、覚悟しとけぃ…)



250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 18:29:15.17 ID:i24yhiovO

えり「あ、お腹空いてますよね?晩ごはん作っちゃいますから♪」

咏「期待してるねぃー」

えり「愛情込めて、作ります」ニコッ

咏「ひゃっは~!」

えり「あ……えっと……」ゴソゴソ

咏「お?」

えり「咏さんの家って、エプロンないでしょう?だから…買ってみました」

咏「おぉーっ」

えり「ん、と……」イソイソ

咏「………」

えり「…こ、こんな感じ…ふふ、ちょっと恥ずかしい…かも」

咏(たまんねー新婚みてー!たまんねー!)キュンキュン



253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 18:55:32.41 ID:i24yhiovO

………………
食後

咏「いやーえりちゃんの料理やっぱウマイわー」ポンポン

えり「お粗末様でした」

咏「毎日作ってくれん?」

えり「いいですよ」

咏「そうだよねぃ~……え、マジで!?」

えり「できる限りは」ニコッ

咏「お、おぉっ…」

咏(…一緒に住んだら………いや、今言うのは卑怯だよな…)

咏「…えりちゃん、明日の予定は?」

えり「明日、ですか?」



254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 19:04:24.61 ID:i24yhiovO

えり「明日は…あ、オフの日です」

咏「ふむ。…よぅし、今日も泊まってけぃ!!」ズビシ

えり「!」

咏「そうと決まれば風呂入ってこぉい!えりちゃんの寝間着、洗っといたぜ」

えり「あの、咏さn」

咏「もう風呂入ったから。えりちゃん入った入った!」

えり「………」

えり「はい!」ニコッ

咏(…実は、オフって知ってて全部先に準備したんだけどねぃ~)ニヤリ



256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 19:16:45.84 ID:i24yhiovO

咏「んぐっ…んぐっ…プハーッ!」

咏(調子乗って高い酒開けちゃったよ…えりちゃんまだ風呂だけど)

咏「~♪」トクトク

咏(やばいなぁ…幸せすぎる。えりちゃんの本音を、あーんな聞けちゃうとか!)グイッ

咏(ちょっと前まで、スゲー不安だったのにねぃ…えりちゃんも、素直に言ってくれりゃいいのに!)プハーッ

咏(…そう簡単にはいかねーか。不慣れ、とか言ってたし)

咏(それ言ったらこっちだって慣れちゃいないけどさ~…)トクトク…


260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 19:35:42.33 ID:i24yhiovO

咏(慣れちゃいないけど…えりちゃんともっと一緒にいたいなぁ~…)

咏(一緒にいて…ラブラブしてー……らぶらぶ……)グイー

咏「ぷはっ……」

コトッ…

咏(…ちゅーぐらい良くね?)

咏(えりちゃんのことだから、照れてるだけっしょ?知らんけど~)

咏(最近圧倒され気味だけどさ~…ちーとばかし積極的にいっちゃうかねぃ?)ニヤニヤ

咏「んぐっ…んぐっ…プハーッ!」

咏「…けふっ」



262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 19:46:24.16 ID:i24yhiovO

……………

えり「良いお湯でしたー」ホクホク

咏「おーぅおかえりぃー」フリフリ

えり「ただいまです。…あれ、咏さん?」

咏「ほいな~」

えり「…お酒?」

咏「おう!えりちゃんも呑む~?」

えり「い、いえ……咏さん、ずいぶん呑んだみたいですね…」

咏「あーそーかもねぃ」

えり「珍しく酔ってるみたいな…」

咏「そんなことよりえりちゃ~ん」


271: ただいま 2012/10/05(金) 20:43:17.65 ID:i24yhiovO

えり「はい?」

咏「いつもみたいにくっついてくれないの?」

えり「!」

咏「ほれほれ、この胸にどーんと」テヒロゲ

えり「…良いんですか?」

咏「かも~ん」

えり「…じゃあ…」

えり「………♪」ギュー

咏「おーよしよし」ナデナデ

えり「昨日は、お風呂入る前だったから…今日は…」

えり「……♪」ギュー

咏「ん~…」スリスリ


276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:00:55.68 ID:i24yhiovO

咏「えりちゃ~ん…」スリスリ

えり「はーい?」

咏「…こっち、見て」

えり「?」

咏「ん~…」

えり「…咏、さん?」

咏「むちゅちゅ~」ジリジリ

えり「!」ビクッ

えり「っ……!」ポフッ

咏「えーえりちゃーん、顔うずめんなよー」

えり「……」フルフル


279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:10:01.91 ID:i24yhiovO

咏「いーじゃんかー、ほらほら」グイッ

えり「あっ…」

咏「照れんなよー」ジリジリ

えり「だ、ダメ…」ニゲ…

咏「えーりーちゃーぁーん~」グイグイ

えり「ダメで……きゃあっ!?」

ドサッ

咏「ほら、逃げらんないぜ~?」


281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:18:12.82 ID:i24yhiovO

咏(っつーか、この体勢…イキオイとはいえ、エロいな)ニヤ

えり「…あ……ぁ……」

咏「いーでしょ?」

えり「だ、だめ……」

咏「まだ言うか、こいつぅ」スッ

えり「ぁ…っ」ビクッ

咏「ね、えり…、……?」

えり「…だめ……だめ……っ」ギュゥ

咏(震えてる…?)

えり「お願い、…だめ、お願い……!」ジワ

咏「…えりちゃん…?」

えり「……うぅ……」フルフル



283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:23:51.20 ID:i24yhiovO

えり「おねがい……許してぇ……!」

咏「え、えりちゃん…?」

えり「…………」ウルウル

咏「…………」

ギュ

えり「ぁ……」

咏「ごめん。何もしないから…怖がらないでよ」ナデナデ

えり「………うた、さん………」

咏「うん。ごめんね、もうしないから」

えり「…………」

えり「……ごめんなさい」

咏「ううん、えりちゃんは悪くないよ」

えり「…違うんです」



285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:30:26.79 ID:i24yhiovO

咏「違う?」

えり「………まだ私、咏さんに言ってないことが…あって…」

咏「…!」

えり「……私の……」

えり「……昔の色々に、ついて……」

咏「…昨日言ってたやつ?」



えり『…恋愛に不慣れなんですよ』

咏『不慣れ?』

えり『ええ。経験は人並み以下、限りなく0に近いかと』

咏『えりちゃんモテそうなのにねぃ』

えり『…まぁ、昔色々ありまして』



288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:40:28.01 ID:i24yhiovO

えり「…退いてもらって良いですか?」

咏「あ、ああ、ごめん!」

えり「いえ…私も、取り乱してしまって…」

咏「いや……」

えり「……」

咏「…何か飲むかい?」

えり「…お願いできますか?」

咏「んーじゃ、ホットミルクでも作るかねぃ」

えり「………」ニコッ

咏「ん」ニコッ

咏(…無理して笑顔なんて作っちゃって…涙目、なってるぜ?)

咏(…肩も、まだ震えてて……)

咏(…なぁにやってんだろ…えりちゃんにあんな顔させてさ…)


292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 21:51:56.83 ID:i24yhiovO

咏「できたよ、ちょっと甘くした」

えり「…ありがとうございます……ん…」コクッ

えり「…おいしい…」

咏「ちょっと落ち着いた?」

えり「……はい」

咏「…………」

えり「…私、その…」

咏「…うん」

えり「……昔、…襲われたことが、あって…」

咏「!」

えり「押し倒されて…おさえ、こまれ……っ」

咏「えりちゃん」

えり「…大丈夫です、…だい…じょ……」

えり「……っ」ブルッ

咏「……」ナデナデ


297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:02:06.78 ID:i24yhiovO

えり「…ごめんなさい…ごめん、なさい…っ」ギュゥ

咏「大丈夫だよ、大丈夫だから…」

えり「……っ…うぅ…」フルフル…

咏「無理に話さなくても…」

えり「い、いえ…聞いてほしい、から……」

咏「………」

えり「…高校生のとき、告白してくれた方がいて…でも私、そのころ恋愛に興味がなくて…」

えり「一度お断りしても、…何度も……段々、その…ストーカー…といいますか…」

えり「それで…学校の、放課後…」

えり「……っ」

咏「………」ナデナデ


302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:07:33.82 ID:i24yhiovO

咏「…怖かったんだね…」

えり「……っ…」コクッ

えり「それ以来…なんだか、その…」

えり「い、一応…全部未遂では…あるんですが…」

咏「…………」

咏「…ちょっと待って?」

えり「は、はい…?」

咏「“それ以来”?“全部”?」

えり「え、ええ……途中で、助けていただいたり…あとは…」

咏「…ごめんね、ちょっとツラいこと聞くかも」

えり「…どうぞ…」

咏「…どれくらいの人に、何回くらい、襲われた?」

えり「……ええと……」


306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:16:04.64 ID:i24yhiovO

えり「高校ではその最初の人と……それから、…2人がかりで、体育館倉庫に…とか…」

えり「中学は近所でしたから徒歩だったんですけど、高校からは電車通学になりまして」

えり「…満員電車…とか……その…スカートの、………っ」

えり「…さすがにもう電車に乗るのは、と思って免許をとって…それ以来は車で…」

えり「あと、仕事で上司の……」

えり「…………っ」ジワ

えり「………も、もう……いいですか……?」プルプル ウルウル

咏「…ごめん、ありがと」クラッ



311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:26:47.07 ID:i24yhiovO

咏「とりあえず、最初の男だれ?」

えり「?」

咏「調べて殴ってくる」

えり「あの…私、女子校で……」

咏「…え?」

えり「男性では……」

咏「………」

咏「うん、何でもない。気にすんな」

えり「は、はい…」

咏「………」

えり「……多分……」

咏「え?」


313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:34:07.44 ID:i24yhiovO

えり「…多分、それがきっかけ…なんです…」

咏「…何が?」

えり「“私”が」

咏「……!」

咏『初めて出てきたのはいつ?』

えり『高校…でしょうか』

咏『……結構早いねぃ』

えり『……昔のことです』

咏「…裏…えりちゃん…」

えり「……」コクリ


316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:40:03.96 ID:i24yhiovO

えり「女子校だったから、クラスメイト同士のスキンシップ…とか。あるでしょう?」

咏「あー、ある…んだ?知らんけど」

えり「ええ。それが、ちょっと過激なものだったりして…」

咏「例えば?」

えり「た、たとえば………ボディタッチがエスカレートして、その……素肌……に…」

咏(それスキンシップじゃねぇ。ただのセクハラだ)


320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:50:07.13 ID:i24yhiovO

えり「私もその、色々あって…冗談として受け止められないレベルにまでなったときに…」

えり「…私が」

咏「…なるほど」

えり「表には何がなんだか判らなかったでしょうね」

えり「意識が戻ったら、同級生が反省文50枚土下座しながら渡してきましたから」

咏「…おお…」

えり「それ以来、過激なスキンシップは無くなりましたけど…」



322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 22:58:59.44 ID:i24yhiovO

えり「まぁ、そんなに回数裏の私にはなりませんでしたけどね…」

咏「そっか…」

えり「あ、でも。こういうことばかりじゃないんですよ?」

咏「?」

えり「誰かに…その、身体を…まさぐられて……怖くて、嫌と言えない自分、だけじゃなくて」

えり「仕事で、絶対に間違ってると思っても話が進んでいってしまっているとき、とかに呼ばれたりもしました」

咏「…大変だねぃ」

えり「言いたいこと、言えちゃいますから。そのときはちょっとスッキリしました」ニコ


324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 23:10:35.39 ID:i24yhiovO

えり「だから……初めてなんです」

咏「なにが?」

えり「今までは、嫌なことを嫌と言えない…駄目なことを駄目と言えない…」

えり「裏の私は裏らしく、負の部分ばかりをやってきました」

えり「…でも、今は…」スッ

咏「あ……」

えり「好きな人に、目を見て…はっきりと“好き”って言える」

えり「すごく、幸せなんです」ニコッ

咏「!」ドキッ



329: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 23:26:26.77 ID:i24yhiovO

えり「…さて。私の話はおしまいです」

咏「ん…」

えり「………」

咏「………」ウツムキ

えり「私……咏さんと…したくないってわけじゃ…ないんです」

咏「…!」

えり「…でも…私…未遂とはいえ、…唇、だけは…」

咏「あ……」

えり「…守り、きれませんでした。…この年になっても、好きな人とは……」

えり「一度も…したこと、ない…のに…」



332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 23:36:46.97 ID:i24yhiovO

えり「…だから、咏さんには…触れて欲しくないんです」

咏「な、なんで?」

えり「私の唇は……汚れているから」

えり「あなたに、そんな―――」

グイッ

…チュ…ッ…

えり「――――!?」




333: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 23:42:20.95 ID:i24yhiovO

咏「……ん」

えり「う、……うた、さ……どうして……!?」

咏「知らんし」

えり「わっ…私は!わた、…し…は……!」

咏「わっかんねーよ。そんなの」

咏「えりちゃんはえりちゃんだ。汚れてなんかいない、綺麗だよ」

咏「…もし、汚れてるって思うなら…」

咏「…私が、消毒ついでに、上書きしてやる」ギュ

えり「……うた……さ…ん……」


336: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 23:59:42.30 ID:i24yhiovO

咏「だから、自分が汚れてるなんて思うんじゃねーよ…」

えり「…私……わたし……」

咏「えりちゃんは、綺麗だよ」

えり「でも………!」

咏「まだ言うか…もっかい消毒、するかい?」


えり「!」

咏「えりちゃんが納得するまで、何回でもしてやるよ」

えり「………」

えり「…わたしを……」

咏「…うん」

えり「…わたしを…きれいに…してください…」

えり「嫌な思い出…全部、上書きしてください…」

咏「…任せとけ」

チュ…



340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 00:06:27.40 ID:NWDyK2i5O

………………
翌朝

えり「……ん……」

えり「……………」

えり「………!?」ガバッ

えり「また…三尋木プロの……家……!」

咏「なにさ、文句あるかい?」

えり「!!」バッ

咏「おっはよーえりちゃん♪」

えり「み、三尋木プロ…」

咏「ほれ、一日の始まりは挨拶から。っしょ?」

えり「…おはよう、ございます…」

咏「おぅ、おはよ」ニコッ


343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 00:14:34.73 ID:NWDyK2i5O

えり「………」

咏「………」ニコッ

えり「……あの、私…また泊まったりなんかして…」

咏「いーのいーの、全然いーんだよ」

えり「…わ、私そろそろ仕事の……」

咏「オフ、だよねぃ?」

えり「…!」

咏「えりちゃんは今日はオフの日だぜ。忘れたん?」

えり「………そ、そう…でした、ね」

咏「………」

えり「…で、では私はお暇させていただ……」

咏「だめ」



344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 00:21:19.33 ID:NWDyK2i5O

えり「は……?」

咏「帰さない」

えり「な、何を言っているんですか…三尋木プロ」

咏「すっとぼけんのもいい加減にしな?」

えり「…と、とにかく、私はこれで…」スッ…

ジャラッ…

えり「…!?」

咏「もう既に、逃げらんないようにしてあったりするんだよねぃ~」

えり「こ、これは一体!?」

咏「手錠だよ手錠。まんま」

えり「だから、どうして私が手錠に……」

咏「…“アッチ”のえりちゃんには、言っておいたよ」ニヤ

えり「………!」 サァァ


349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 00:33:10.14 ID:NWDyK2i5O

咏「ちゃぁんと許可取った上で、逃げらんないよーに」

えり「………っ」

咏「一昨日ははぐらかされたし、昨日は逃げられた」

咏「…今日はどうする?」ニッ

えり「っ……卑怯ですよ」

咏「知らんし」

えり「……どうする気ですか」

咏「別に?えりちゃんとお喋りしたいだけだぜ~?」

えり「じゃあ、これを外してください」

咏「それは駄目」

えり「何故!」

咏「知らんし~」

えり「………」イラッ


357: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 01:13:02.18 ID:NWDyK2i5O

えり「………お喋り、とは」

咏「お、お喋りしてくれる?」

えり「…ほとんど脅迫じみていますがね」

咏「人聞き悪いねぃ」

えり「やってることは脅迫です」

咏「だから合意の上で…」

えり「なんの話ですか」

咏「だから」

えり「アッチの…とか、合意とか…意味が、わかりません…」

咏「……ふーん?」



380: おはようございます 2012/10/06(土) 06:46:08.56 ID:NWDyK2i5O

えり「私は、合意した憶えはないし…」

咏「…ホントに?」

えり「…何故ですか」

咏「ねぃえりちゃん。昨日の電話、覚えてっかい?」

えり「電話…ああ、それなら…」

咏「じゃあさ…一番最初のクダリ、思い出してみ」

えり「一番最初……?」


ピリリリッ

えり『も、もしもし針生ですが…』

咏『やっほーえりちゃん』

えり『う、咏さん!?』


382: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 06:52:23.00 ID:NWDyK2i5O

えり「何かおかしいですか?」

咏「…………」

えり「驚いてしまったのは、考え事をしていた時に電話がかかってきたからで…」

咏「ねーえりちゃーん」

えり「…なんでしょう」

咏「………」

えり「……三尋木プロ?」

咏「ソレだよ」

えり「え?」



384: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 06:54:45.00 ID:NWDyK2i5O

咏「“三尋木プロ”」

えり「………あ………っ…」

咏「電話で驚いて、つい言っちゃった感じ?珍しいミスしたねぃ、えりちゃ~ん?」ニヤ


咏『やっほーえりちゃん』

えり『う、咏さん!?』


咏「“咏さん”って呼んでるのは、裏えりちゃんのハズでしょ?」

えり「………ッ」

咏「…記憶、残ってるんじゃないの~?」

咏「ねい、表えりちゃん♪」



385: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 07:07:51.48 ID:NWDyK2i5O

えり「…………」

咏「どーせ逃げらんないぜ?素直に言っちまいな」

えり「……まさか…あれだけのミスで、勘づかれるなんて…」

咏「お?」

えり「……仰るとおり、です」

咏「…へぇ♪」

えり「ただ……少し違うのは…」

咏「え、違うの?」

えり「記憶は、断片的にしか残ってないこと。実際に何があったり何を話したかは、ほとんど…」


咏『裏の記憶は、表には引き継がれないの?』

えり『基本的にはそうです』

咏『基本的には?

えり『ええ』

咏「…なーるほど。嘘はついてないわけだ?」


387: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 07:19:24.99 ID:NWDyK2i5O

えり「…やっぱり、知っていたんですね…」

咏「ごめん、結構色々聞いちゃった」

えり「では……」

咏「高校時代とか、仕事先とか、免許取った理由とか」

えり「そこまで……」

咏「…ごめん」

えり「謝らないでください。…いずれ、話すことにはなっていたでしょうから」

咏「………」

えり「今回の切り替わりの条件とか…聞きました?」

咏「ああ…“恥ずかしい”っつー感情が限界突破すると、だって」

えり「なるほど…今回はソレでしたか…」

咏「?」


389: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 07:29:06.25 ID:NWDyK2i5O

えり「三尋木プロ」

咏「ん?」

えり「…もう、あの子を呼ばないで欲しいのですが…」

咏「え……」

えり「昨日は故意的にやったでしょう?」

咏「あ、ああ……。なんで?」

えり「…………」

咏「えりちゃん?」

えり「…わかっている、つもり…なんですけど…」

えり「……いや、やっぱり…わからない」

咏「何が?」

えり「…自分が、何をしたいのか」



391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 07:59:02.50 ID:NWDyK2i5O

えり「あの子は、私の本当にやりたいことをやるために出てきます」

えり「…わかりますか?やりたいことだけやって、あとの記憶はハッキリしない…」

えり「私は、……何をしていたのか、……わからない……!」

えり「怖いんですよ……っ」

咏「…えり、ちゃん…」

えり「私が本当にやりたいことって何!?私は何をしているの!?」

えり「私はっ……あなたに、何をしたんですか……?」



392: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 08:09:34.97 ID:NWDyK2i5O

えり「あなたに、酷いことしてませんか?」

咏「…ううん」

えり「朝起きたら、一緒の布団に入っていて……でも、記憶はなくて…」

えり「憶えているのは、…ううん、身体が憶えてるんです」

えり「“咏さん”と言う言葉と…あなたの、暖かさ…!」

えり「私は……わたし、……ッ」ジワ…

えり「もし、あなたに何かあったら、私は…あなたに、顔向けできない…」

咏「…………」

ギュ



394: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 08:37:47.43 ID:NWDyK2i5O

えり「……っ……離して、ください……」

咏「やだ」ギュー

えり「離して……」

咏「知らんし」

えり「三尋木プ、……っ」

チュ

えり「…ん……んんっ…」

チュルッ

えり「!?…ふ、ぁぁ…!」ビクッ

咏「……チュ、…ん、レロッ……」

えり「ん、ンー……っ…!」イヤイヤ


396: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 08:43:04.58 ID:NWDyK2i5O

咏「…ん……ふぅ」ツゥ

えり「ッ…はぁっ…はぁ…は…」

えり「なんで…なんでぇ…!」ウル

咏「ねぃ、えりちゃん」

えり「…どうして、こんなことするの…っ…?」

咏「身体は憶えてた?」

えり「そんなわけなっ――」

えり「――憶えて、…ない…」

咏「…でしょ?」ニッ



405: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 10:38:52.47 ID:NWDyK2i5O

えり「………」

咏「じゃあ、これは?」ギュ

えり「…憶えて…ます…」

咏「わかった?」

えり「………」

咏「ちゅー以上のことなんてしてないし、“酷いこと”なんてのもなかったんだよ」

えり「…でも」

咏「クドい。酷いことなんてなかった」

えり「………」

咏「おっけー?」

えり「……はい……」

咏「…ちゃんと、幸せだったよ」ギュー


419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 14:06:43.68 ID:NWDyK2i5O

咏「えりちゃんと一緒にいられて、幸せなんだよ」

えり「!」

咏「でも…でもさ、えりちゃんは…変わんないし。告白して、コイビト同士になって」

咏「それでもえりちゃんはクールで、堅くて、生真面目で。…ホントに好きなのかー?って」

えり「それは!」

咏「うん…裏えりちゃんと会って、話して…わかったから」

咏「酷いことなんてない。むしろ…凄く幸せだから」

えり「………」


422: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 14:24:49.64 ID:NWDyK2i5O

咏「でも、裏にはなりたくないって?」

えり「……それは……そう、です」

えり「裏とは言っても、私は私。…酷いことをしていなくても」記憶が、ないのは……」

えり「…不安です」

咏「じゃあ、裏にならなきゃいい」

えり「え…」

咏「なんなきゃ良いじゃん。裏えりちゃんっつーのは、表えりちゃんの一部なんでしょ?」

えり「そ、そうですが…」

咏「表えりちゃんが裏えりちゃんみたいなことすりゃいいんだよ」


425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 14:43:50.79 ID:NWDyK2i5O

えり「え……?」

咏「裏えりちゃんは“えりちゃん”の、本当はやりたいけど出来ないことをするんだよねぃ」

えり「ええ…」

咏「それって、えりちゃんがやりたいことやっちゃえばさ。ジレンマもストレスもなしってことっしょ?」

えり「……そう、簡単には……」

咏「わかんねーじゃん」

えり「…裏は、何をしていましたか?」

咏「えりちゃんのやりたいこと」

えり「………」

咏「ほら、遠慮なんかすんなよ~」

咏「もっと甘えて良いんだぜ?」


429: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:14:15.15 ID:NWDyK2i5O

えり「…………」

えり「……あの……」

咏「うん」

えり「……良いん…ですか…?」

咏「もちろん」

えり「…………」

咏「………」

えり「…えっ…と……」

えり「………っ///」

咏「……へへっ♪」ギュ

えり「な、なんですかっ」

咏「べーつにぃ~」



431: ただいま 2012/10/06(土) 15:46:50.10 ID:NWDyK2i5O

咏「えりちゃんのいろんな顔が見られるようになったな~って思ってねぃ」

咏「ほら、前は顔に出なかったじゃん?」

えり「…………」

咏「えりちゃん?」

えり「…私の昔の話は、きいたんですよね?」

咏「う、うん……もしかして?」

えり「ええ。…私、昔は気持ちがすぐ表情に出てしまって…なのに、普段は無愛想だから…」

えり「…面白がられたんでしょうか。余計に相手を調子に乗させてしまうことが何度かあって」

咏「………」

咏(いや、多分そうじゃなくてさ…えりちゃんの照れ顔、普通にソソるかんな?知らんけど)


433: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:57:26.81 ID:NWDyK2i5O

えり「それ以来、表情を出さないようにしていたんです。それで、そのまま…」

咏「…なるほど」

えり「でも、裏の私には関係ありませんから。…しばらく裏が続くと、緩んでしまうみたいで…」

咏「そっちのが良いぜ?」

えり「そう…ですか?」

咏「かわいいから」

えり「っ!……///」

咏「ほらかわいい」

えり「…か、からかわないでください!」



434: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:07:12.10 ID:NWDyK2i5O

咏「お、このくらいじゃもう裏にはならないねぃ」

えり「……こっちは必死なんですからね?」

咏「知らんし。…えりちゃんが素直じゃないだけだし~」

えり「…う…」

咏「素直に言っちゃえば良いんだよ。拒否とかするわけないし」

えり「…仕方ないじゃないですか……不安、だったんですから」

咏「?」

えり「…恋愛って、は…初めて、だったから…どうしたらいいか、わからなくて」



436: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:18:39.42 ID:NWDyK2i5O

えり「咏さんが好きになってくれた私でいないと、と思って…いつも、気を…」

咏「…馬鹿だねぃえりちゃんは」

えり「なっ!?」

咏「どんなえりちゃんでも、えりちゃんはえりちゃんなの!」

咏「その上で、えりちゃんが好きなんだよ。何度も言ってるっしょ~?」

えり「…咏さん…」



437: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:24:09.88 ID:NWDyK2i5O

咏「ホントに、不器用だねぃ」

えり「…仕方ないでしょう…わかんないんですから…」

咏「もうわかった?」

えり「…少し」

咏「ちょーっとずつで良いから、いろんなえりちゃん見せてみな?」

咏「ぜってー嫌いになんか、なんないから。かけてもいい」

えり「………」

咏「そんでさ。恋愛にも、少しずつ慣れていこうよ。…二人でさ」

えり「……躓いても、引っ張って行ってくれますか?」

咏「それ助け起こすのが先じゃね?知らんけど」

えり「……ふふ……」

咏「……へへ」ニコッ


438: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:34:47.69 ID:NWDyK2i5O

えり「……その……咏さん?」

咏「おぅ」

えり「……お願いしても、いいですか……?」

咏「もちろん。えりちゃんのやりたいこと、言ってみ?」

えり「……………///」

えり「……っ…」メソラシ

咏「ん?」

えり「………」ジ…

咏「………」ニコッ

えり「…ぎゅーってしても…いいですか……?」

咏「…大歓迎」


おわり



442: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:49:16.10 ID:NWDyK2i5O

思った以上に時間がかかってしまった…
ありがとうございました
咏えりかわいい


441: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:39:42.39 ID:Xu3woXCo0

迫り来る怒濤の可愛さ


444: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:55:14.14 ID:+uYqnHXG0

おつおつ


445: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:55:32.87 ID:X/KqsSph0

乙だし!


447: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:12:49.26 ID:DzJ/soTg0

乙!知らんけど


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