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幼馴染「キミが気にする事じゃないよ」男「気にするよ!」

1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:06:52 ID:GaAW7czc

幼「何故だい?」

男「俺たち、幼馴染だろ?」

幼「幼少期から仲良く過ごしてきたからね」

幼「まぁ、そう言っても差し支えないだろうね」

幼「だからってキミが気にするような事じゃあないんだよ」

男「だけど!」


2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:11:56 ID:GaAW7czc

幼「立候補してきたとは言え、副会長を指名したのは私だし」

幼「半年間、彼がしていた事に気付かなかったのも私」

幼「つまり生徒会長である、私に全責任がある」

男「だからってあのアホどもがしたことの責任を…」

男「何で全部、幼が取る事になるんだよ!」

幼「全部ではないよ、男」

幼「私は私の本分を果たすだけだよ」


3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:12:41 ID:GaAW7czc

男「本分って…」

幼「学校というコミュニティ内でのリーダーとして選ばれた私には」

幼「責任という物があるんだよ、男」

男「…」

幼「そんな目をしないでくれ、男」

幼「私まで悲しくなってしまうじゃないか」

男「…」


4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:13:57 ID:GaAW7czc

3日前
幼「…案外遅くなってしまったな」

幼「最近は日が落ちるのも早い」

幼「早く職員室に鍵を戻して、帰ろう」

幼「…?三階のあの教室…カーテンの隙間から光が漏れているな」

幼「完全下校時刻は過ぎている…消灯し忘れか?」

幼「いや、そもそも、あの角の教室は使われていないはずだな」

幼「…見てくるか」



幼「…中から話し声が聞こえるな」


5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:14:19 ID:GaAW7czc

副会長「あ、それロン!メンタンピンドラ3!」

不良A「ぎゃー!やられたー!」

不良B「オーラスでマクられるとはな…」

副会長「ハハハ、これで俺がトップか?」

不良C「お前たまにすげーな」

副会長「頭の出来が違うよ、ハハハ」


6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:15:00 ID:GaAW7czc

不良A「マージャンって、頭の良さ関係あるか?」

副会長「フフ。ある程度は運だけど、頭の良さは関係あるさ」

副会長「さぁ、負けた分払えよ?」

不良A「わかってるよ、おらよ」

不良B「おう、今日はそろそろ帰るか?」

副会長「もう半荘やろうぜ?」


7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:15:41 ID:GaAW7czc

不良C「タバコ切れた…集中できねー」

副会長「メンソールで良ければ一本やるよ」

不良C「お、ありがとよ」

不良A「じゃ、あと半荘いくとすっか!」



幼「…君たち。下校時間は過ぎているが?」


8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:16:19 ID:GaAW7czc

副会長「!!!!」

不良達「あぁん?」

幼「副会長…くわえ煙草で賭けマージャンか」

幼「窓も開けず換気もせず」

幼「ゴミ溜めの匂いだな、これは」

副会長「か、会長」


9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:16:56 ID:GaAW7czc

不良A「あ?こいつがいつも話してるバカな生徒会長様か?」

不良B「何だよ、結構可愛いじゃん」

不良C「あれ?ここ、絶対バレないんじゃなかったか?」

幼「こんな時間に、使われていない教室の電気が付いていたんだ」

幼「不審に思うのは当然だろう?」


10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:18:00 ID:GaAW7czc

副会長「な、なぜこんな時間まで残って居たんですか」

幼「図書館の司書先生に頼まれてね」

幼「さっきまで図書室で手伝いをしていたんだ」

副会長「…」

幼「申し開きがあるなら聞くが?」

副会長「…黙ってろって言っても、聞かないよな。アンタなら」


11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:18:50 ID:GaAW7czc

幼「言葉使いがよろしくないな。普段の口調は嘘だったという訳か」

副会長「あぁ、そうだよ!」

副会長「俺は大学へ行く時に有利になると思って、生徒会に入ったんだ!」

副会長「幸い、仕事は、有能なアンタと、アンタの子分が片付けてくれるからな!」

幼「男は私の子分じゃない」

副会長「知るか!だいたい俺は生徒会長になるはずだったのに」

副会長「アンタが…アンタなんかが選ばれたから…」

幼「…」


12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:19:42 ID:GaAW7czc

副会長「知ってると思うが、俺の親は市長なんだぜ?」

副会長「エリートなんだ!」

副会長「その俺より上の立場のお前が憎かった!」

不良A「なぁ、その話し長いのか?」

副会長「黙れよ!クソが!」

不良A「ぁあ?誰がクソだと?」

幼「…いい加減にしないか、見苦しい」

幼「そこの3人も含めて、生活指導に報告させてもらう」


13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:20:18 ID:GaAW7czc

幼「…では、失礼する。この臭いにもう耐えられない」

副会長「…頭が良いと思っていたけど、買いかぶりだったみたいだな」

幼「…何だい、副会長。言いたい事があるなら言うと良い」

副会長「そのまま帰す訳ないだろって言いたいんだよ、バカか?」

不良達「おう、やっちまおうぜ!」

幼「古今東西、悪の栄えた試しは無し、だよ」


14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:21:09 ID:GaAW7czc

副会長「このクソが!」

幼「…どうやら殴られないと、解らないようだね」



幼「さて」

幼「すぐに職員室へ行き、先生を呼んでこよう」

幼「大した怪我もないはずだが、救急車でも呼ぼうか?」


15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:21:38 ID:GaAW7czc

不良達「」

副会長「…覚えていろよ…親父に言いつけてやるからなっ」

幼「お好きにどうぞ」

副会長「学校に居られなくしてやる!」

幼「それだけ大声が出せるなら、救急車は必要ないようだね」




16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:22:54 ID:GaAW7czc

幼「先生達も事情は分かっているさ」

幼「だからこそ、退学ではなく、私は自宅謹慎3日で済んだんだよ」

幼「副会長は自主退学、不良達は退学になってしまったがね」

男「でも、幼は生徒会長を…」

幼「まぁ、それは仕方のない事だよ」

幼「暴力事件を起こした人間が、生徒の見本となれる訳がない」


17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:23:29 ID:GaAW7czc

男「悔しくないのかよ?」

幼「それが不思議と悔しさは無いよ」

幼「…いや、嘘だな」

男「やっぱり悔しいんだな?」

幼「違う。私がついた嘘とは、悔しいと思っていないと言う事ではないよ」

男「ん?」


18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:24:10 ID:GaAW7czc

幼「私は全然悔しくない理由を、明確に分かっているんだ」

幼「不思議でも何でもないんだよ」

男「相変わらずの遠回しな物言いだな、幼」

幼「歯痒いかい?」

男「付き合い長いんだ。別になんともないよ」

幼「フフ。そうかい」


19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:24:52 ID:GaAW7czc

男「で?もちろん理由は教えてくれるんだろうな?」

幼「もちろんさ」

幼「あぁ、これは良い機会かもしれないね」

幼「私の思いの丈を伝えてしまおうか」

男「思いの丈?」


20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:25:29 ID:GaAW7czc

幼「私はね、男」

幼「生徒会長として、全校生徒の為を思い、行動していた訳ではないんだよ」

幼「ただ一つの事だけを想い、行動していたんだ」

男「何の事だ?」

幼「ふふ。ちょっと昔ね」

幼「ある事をしたら、ある人に褒められた」

幼「私はまたそれが欲しかっただけなんだ」

男「ん?」


21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:26:19 ID:GaAW7czc

幼「その人に褒められただけで、私は何でも出来た」

幼「体に羽根が生えたら、きっとこんな感覚なんだろうとさえ思えた」

幼「どんなに大変な事も、その人の一言で」

幼「全部、軽々と乗り越えられた」

幼「単純だろう?」

幼「だから別に良いんだ」

幼「庶務の後輩男君は、しっかり者だから」

幼「立派に次の生徒会長を務めてくれるよ」


22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:26:56 ID:GaAW7czc

…過去…
保育園の先生「はーい、それじゃあみんなー」

保育園の先生「仲の良い人と4人で輪になってくださーい」

園児「はーい」

幼「男くん、いっしょにわになろ?」

男「いいよっ」

幼「友くんと、幼友ちゃんもいっしょにやろう?」

友「わーい」

幼友「はーい」


23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:27:34 ID:GaAW7czc

男「幼ちゃんはえらいね!」

幼「えー?なにがー?」

男「みんなでなんかするとき、いつでもいちばんにやるよね!」

男「えらい!」

幼「えへへ。そうかな?」


24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:28:23 ID:GaAW7czc

男「えらいよ、幼ちゃん」
ナデナデ

幼「男くん、はずかしいよー」

男「えらい人はあたまナデナデしてもらえるんだよ!」

幼「えへへ。ありがとう、男くん」




25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:29:05 ID:GaAW7czc

男「幼ちゃん。委員長頑張ってね!」

幼「うん。頑張るよ」

男「もう4年連続で委員長だね!凄いよ幼ちゃん」

幼「えへへ。そうかな」

男「うん。偉い!」
ナデナデ


26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:29:28 ID:GaAW7czc

幼「お、男くん…恥ずかしいよ」

男「偉い事した人は頭を撫でて貰えるんだよ!」
ナデナデ

幼「あ、ありがとう。男くん」




27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:29:57 ID:GaAW7czc

男「幼、空手大会優勝おめでとう!」

幼「ありがとう、男君」

男「小学生の頃から頑張ってきたもんな」

幼「フフ。そうだね」

男「委員長やら、児童会長やらをやりつつ」

男「空手、頑張ってたもんな」


28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:30:31 ID:GaAW7czc

幼「体を動かすのは楽しいし」

幼「精神の鍛錬にもなるからね」

幼「それに、男君が色々手伝ってくれたから、ここまで頑張れたんだよ」

幼「男君、いつもありがとう」

男「いやいや。頑張ったのは幼だろ?」

男「俺はほんの少し手伝っただけだよ」

男「偉いのは幼の方!偉いぞっ幼」
ナデナデ

幼「…ありがとう、男君」




29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:31:13 ID:GaAW7czc

幼「それじゃあ、生徒会に入るつもりはないんだね?」

男「あぁ。今まで通り、自主的に幼の手伝いをするって感じで頼む」

男「全校生徒の前で壇上に上がるなんて、ぞっとする」

男「俺、ヘタレだからさ」

幼「そうかい…では立候補してきた彼を副会長に指名しよう」


30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:31:43 ID:GaAW7czc

男「大丈夫。生徒会長、頑張れよ!」

男「いつも隣りで見てたからわかる」

男「幼ならやれるよ」

幼「そうかな?」

男「間違いないよ」
ナデナデ

幼「…頑張るよ」




31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:32:16 ID:GaAW7czc

幼「保育園の年長組の時、班分けの時、男君が私を褒めてくれた」

幼「フフフ。幼いながらに感じる事があったんだよ」

幼「それからかな。私は君に褒めて欲しくて」

幼「ただそれだけが欲しくて、頑張っていたんだよ」

幼「だから、生徒会長に固執していないんだよ」

男「幼…」


32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:33:37 ID:GaAW7czc

幼「私は男君が思っているような、善人ではないという事さ」

幼「偽善の塊みたいな存在だよ」

幼「幻滅されても仕方のない事だけど」

幼「この気持ちは偽れないよ、男」

幼「私は幼い頃から、ずっと君の事が好きだったんだ」

幼「ただ君だけを見ていたんだよ」

幼「でもこれは私の一方的な想いだから…」


33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:34:26 ID:GaAW7czc

幼「君が気にする事じゃないよ」

男「気にするよ!」

幼「!」

男「幼っ!俺も思いの丈を伝えるぞ!」

幼「…なんだい?」


34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:35:37 ID:GaAW7czc

男「幼のその気持ちは一方的なんかじゃない!」

男「俺も、幼の事が好きだ!」

幼「ほ、本当に?」

男「俺が嫌いな奴の側にずっと居るわけがない。わかってるだろ?」

幼「…そうだね」


35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:36:29 ID:GaAW7czc

男「理由はどうあれ、幼は何をするのも一生懸命だった」

男「俺はそれを隣りでずっと見てきた」

男「一生懸命に頑張る幼の事が大好きだ」

男「できればこれからもずっと、幼の側に居させてくれ」

幼「…フフフ。それは愛の告白と受け取っていいのかな?」

男「あぁ。そのつもりで言った」

幼「私の勘違いではないんだね?」


36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:37:02 ID:GaAW7czc

男「俺、はっきり言葉にしただろ?」

幼「あぁ、夢みたいで、信じられないよ」

男「なら改めてもう一回言うぞ」

男「幼さん、俺とお付き合いして下さい」

幼「…こんな、偽善者な私で良ければ、貴方の彼女にしてください」

幼「ずっと…私の側に居て下さい


37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:37:59 ID:GaAW7czc



幼「良かったよ」

男「何がだ?」

幼「実はね…大学には生徒会なんて無いだろうから」

幼「もう褒めてもらえないな…などと思っていたんだ」

幼「滑稽だろう?」


38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 04:38:30 ID:GaAW7czc

男「もう良いだろ、幼」
ギュッ

幼「なっ…」

男「俺に褒められる事で幸せになるなら、いつでも褒めてやるよ」

男「幼の良い所なんて、山ほど知ってるぞ?」

男「毎日褒めてやるからな?覚悟しろよ」

幼「嬉しいよ、男」

幼「…ずっと一緒に居て、ね、男」

男「…おう」


おわり


41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 07:56:46 ID:la3TNNME


毎朝ありがたや


44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/06/23(土) 16:44:03 ID:trurWc5o


次も期待



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